JPH1047194A - 油圧作動型燃料噴射器 - Google Patents

油圧作動型燃料噴射器

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JPH1047194A
JPH1047194A JP9119020A JP11902097A JPH1047194A JP H1047194 A JPH1047194 A JP H1047194A JP 9119020 A JP9119020 A JP 9119020A JP 11902097 A JP11902097 A JP 11902097A JP H1047194 A JPH1047194 A JP H1047194A
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fuel
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piston
pressure
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Gregory G Hafner
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 噴射事象の開始部分の噴射質量流量を燃料供
給パターン制御する燃料噴射器を提供する。 【解決手段】 油圧作動型燃料噴射器において、増圧器
ピストンが、噴射事象を開始するために燃料圧力を上げ
るプランジャとともに用いられる。本発明は、プランジ
ャと増圧器ピストンを2つに分離するスプリングを用い
ることによって、増圧器ピストンに対するプランジャの
速度を緩めて各噴射事象の開始時の燃料質量流量を小さ
くする。スプリングが圧縮される際、高圧作動流体から
のエネルギは、燃料圧力を高めるために伝えられるので
はなく、吸収される。各噴射事象中の短時間後に、スプ
リングは完全に圧縮され、増圧器ピストンとプランジャ
が、従来の燃料噴射器に典型的であるように、残りの噴
射事象の間、一体となって動き始める。各噴射事象の開
始時における噴射質量流量を小さくすることは、エンジ
ン性能を改善し、望ましくない排気ガス、特にNOX化
合物を少なくする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般に油圧作動型
燃料噴射システムに関し、特に各噴射事象の開始部分に
おける噴射質量流量の燃料供給パターン制御(rate shap
e)を行う機能を有する油圧作動型燃料噴射器用のプラン
ジャ/ピストン組立体に関する。
【0002】
【従来の技術】各噴射事象の開始時に燃料噴射質量流量
の流量を減らす装置が、ディーゼルエンジンからの燃焼
排気中の望ましくないNOX排気ガスを減らすのに役立
つことが良く知られている。又、当業分野において「パ
イロット又は前噴射」と呼ばれることのある各噴射事象
の開始時の燃料噴射を燃料供給パターン制御すること
が、エンジンの燃料効率を改善する。油圧作動型燃料噴
射システムの場合、増圧器ピストンが、潤滑油のような
高圧作動流体により作動される。この増圧器ピストン
は、それからプランジャを駆動して、ニードルチェック
を開き且つ燃料を噴射器のノズル出口に放出する閾値レ
ベルより高く加圧チャンバ内の燃料圧力を上昇させる。
このような従来のほとんどの燃料噴射器においては、ピ
ストン/プランジャ組立体が、特に単一の固定ユニット
として動作するように設計される。増圧器ピストンとプ
ランジャの間の固定接触は、増圧器ピストンから独立し
たプランジャの移動速度の変更を不可能にする。
【0003】このタイプの噴射器の燃料供給パターン制
御を行うための技術が多く存在するが、これらの技術の
うちの多くが、適切でない又は別の実行不可能とする欠
点をもつ。本発明は、各噴射事象の開始時にピストンと
プランジャとを相対的に運動させることによって、この
ような噴射器の燃料供給パターン制御を行うことを目的
とする。
【0004】
【発明の概要】本発明は、増圧器ピストンと油圧作動型
燃料噴射器のプランジャの間に圧縮スプリングを置くこ
とによって燃料供給パターン制御を行う。このスプリン
グは、各噴射事象が開始する前に、プランジャからピス
トンを一定の距離だけ離れるように付勢する役割をす
る。スプリングの予荷重すなわち組立て荷重は、燃料供
給パターン制御スプリングが縮み始める前に、燃料加圧
チャンバ内の圧力が噴射器のニードルチェックを開くの
に十分なレベルに達するように設定されるのが好まし
い。この燃料供給パターン制御スプリングは、従来技術
の噴射器に対して、噴射器が最大燃料質量流量を達成す
る時間を遅らせる。各噴射事象開始時のこの遅れは、各
噴射事象の開始時に噴射される燃料量を少なくし、燃料
噴射の燃料供給パターン制御をより望ましいものとし
て、エンジン性能を改善し、望ましくない排気ガスを低
減する。
【0005】本発明の1つの目的は油圧作動型燃料噴射
器で燃料供給パターン制御を行うことである。本発明の
別の目的は、燃焼効率を改善し、油圧作動型燃料噴射器
を用いるエンジンからの望ましくない排気ガスを低減す
ることである。
【0006】
【発明の実施の形態】図1を参照すると、本発明による
ユニット噴射器11の各々が、上側本体部分12、下側
本体部分13、及び一連の内側ブロック部分14〜17
で構成される噴射器本体を含む。噴射器本体12〜17
は、作動流体ドレン20、ピストンボア32、及び作動
流体入口21に開く作動流体キャビティ23を含む。噴
射器本体は、燃料供給通路56及びノズル供給ボア59
に開くプランジャボア41を含む。又、ノズル供給通路
59及びノズル出口58に開くノズルチャンバ65も、
噴射器本体に含まれる。制御バルブ22が、噴射器本体
内に取り付けられ、ソレノイド26により動かされる。
バルブ22は、作動流体入口21を開き且つ作動流体ド
レン20を閉じる第1位置と、作動流体入口21を閉じ
且つドレン20を開く第2位置とを有する。図1は、そ
の第1位置にある制御バルブ22を示す。しかしなが
ら、制御バルブ22は、その第1位置とその第2位置の
間をおよそ 250ミクロンのオーダで動くために、燃料噴
射器11の別の構成要素との相対的な位置を検討しなけ
れば、制御バルブ22の位置は、図1に示されたような
図面からでは容易に確認できないことに気付かれたい。
制御バルブ22はポペット式2方バルブとして示されて
いるが、3方スプールバルブが、このタイプの噴射器に
おいて利用されることも可能である。このような場合に
は、制御バルブが、作動流体入口21と作動流体ドレン
20の両方を閉じる第3位置を有する。この別の具体例
は、充填計量の用途に関して特に有用である。
【0007】ソレノイド26が、接続点27を介してそ
の作動信号(電流)を受け取るとき、ポペットバルブ2
2が、制御バルブもどしスプリング25の作用に抗して
シート24から持ち上げられ、その第1位置に動かされ
る。これにより、高圧作動流体が、入口21を通って作
動流体キャビティ23に流される。ポペットバルブ22
がその上方停止点に達したとき、同時に作動流体入口2
1が、ポペットバルブ22により閉じられる。ソレノイ
ド26が作動されないとき、バルブもどしスプリング2
5がポペットバルブ22をそのシート24に戻し、作動
流体入口21を閉じる。各噴射事象は、ソレノイド26
を作動することによって開始される。増圧器ピストン3
0は、ピストンボア32内の下方位置と上方位置の間で
往復運動をするように配置される。これらの位置の間で
下降行程にあるピストン30が、図1に示されている。
当業分野において知られるように、増圧器ピストン30
が、作動流体キャビティ23内の作動流体圧力によって
作動し、プランジャ40にかかる下降力を大きくする手
段としての役割を果たす。増圧器ピストン30は、キャ
ビティ34に露出した下方領域を有するが、このピスト
ンは、作動流体キャビティ23に露出する単一の油圧作
動面31を有する。言い換えると、ボリューム34内の
蒸気圧は、プランジャ40、燃料供給パターン制御スプ
リング33、もどしスプリング35及び作動流体キャビ
ティ23内の圧力により増圧器ピストンに作用する力と
比較すると無視してよい。従来技術とは異なり、本発明
の燃料供給パターン制御スプリング33は、各噴射サイ
クルのある部分にわたり、プランジャ40をピストン3
0から離すように付勢する。
【0008】接触端42及び圧力面端44の間に延びる
側面43を有するプランジャ40が、プランジャボア4
1内の前進位置と引込み位置の間で往復運動できる。そ
の下降行程中のプランジャ40が示される。プランジャ
40が、噴射事象中の下降行程においてその引込み位置
から前進位置に動いているとき、プランジャ40の接触
端42が、増圧器ピストン30の裏面に接触するように
される。プランジャ40は、圧力面44を通って一端に
開き且つ環48を介して側面43を通る他の端部に開く
圧力逃し通路46を有する。必要ではないが、本発明の
この態様は、各噴射事象終了時に残存している燃料圧力
を、燃料もどし通路51を介して燃料ドレン通路64内
の低圧に曝すことによって素早く消散させて噴射を急激
に終了させることができるために望ましい。
【0009】プランジャ40の圧力面端44とプランジ
ャボア41の一部分が、ノズル供給ボア59と燃料供給
通路56に開く燃料加圧チャンバ52を形成する。燃料
加圧チャンバとノズルチャンバを単一のチャンバに統合
することも望ましいが、燃料加圧チャンバ52が、ノズ
ル供給ボア59を介してノズルチャンバ65に流体連通
している。燃料供給通路56内のチェックバルブ57
は、燃料が燃料加圧チャンバ52から燃料供給通路56
に戻る方向に流れないようにする。ニードルチェック6
0が、ノズルチャンバ65内で、ノズル出口58を閉じ
る閉位置と、示されるようにノズル出口を開く開位置の
間を往復運動するように配置される。ニードルチェック
60は、ノズルチャンバ65内の燃料圧力に曝される油
圧リフト面61を有する。チェックもどしスプリング6
2が、ニードルチェック60を閉位置に付勢する手段と
して役立つ。油圧面61に作用するノズルチャンバ65
(及び燃料加圧チャンバ52)内の燃料圧力が、チェッ
クもどしスプリング62の力を打ち消すのに十分なとき
には、ニードルチェック60が、各噴射事象中にノズル
出口58を開く。
【0010】燃料が、燃料入口50から噴射器11に入
る。この燃料は、燃料供給通路53、(スクリーン又は
縁フィルタのいずれかが好ましい)フィルタ54、チャ
ンバ支持チェックもどしスプリング62を通って下向き
に流れ、上昇して燃料供給通路56に入り、チェック5
7を通過して最終的に燃料加圧チャンバ52に入り込
む。チェックバルブ57は、燃料の逆流を防ぐ。従来技
術において知られるように、複数の噴射器が、連続して
接続された燃料供給部を備えるように、燃料は、燃料入
口50と燃料ドレン64の間を自由に循環できる。噴射
事象中の噴射器11が、作動流体入口20を開き、プラ
ンジャ40及びピストン30を下方に動かし、ノズル出
口58を開いた状態で示されている。本発明の燃料供給
パターン制御の概念を紹介する前に、噴射器11の全体
の機能を簡単に概説することが当業者にとって有用であ
ろう。本発明は充填計量式油圧作動型電子制御式燃料噴
射器に関する使用について例示されているが、当業者で
あれば、本発明の概念がいかなる油圧作動型燃料噴射器
にも用いられることができることを理解するだろう。各
噴射事象が開始する前に、ソレノイド26が非励磁にさ
れ、作動流体キャビティ23を高圧作動流体入口21に
対して閉じる。この時、燃料が燃料加圧チャンバ52に
流れ込む際に、ピストン30及びプランジャ40が、も
どしスプリング35の作用の下で引き込んでいる。ニー
ドルチェック60は、その閉位置にある。作動流体キャ
ビティ23は、低圧ドレン20に排出し続ける。
【0011】次の噴射事象は、ソレノイド26を励磁す
ることによって開始され、制御バルブ部材22が、もど
しスプリング25の作用に抗して、その下方シート位置
から持ち上がる。燃料の所望の量が噴射器に計量されて
送られるとき、この開始事象が命令されるのが好まし
い。この作用は、高圧作動流体入口21を開き、同時に
低圧ドレン20を作動流体キャビティ23に対して閉じ
る。圧力が作動流体キャビティ23内で上昇すると、プ
ランジャ40及びピストン30が、すぐに引き込みを中
止し、方向を変え、下降行程を始める。プランジャ40
の下降行程は、燃料加圧チャンバ52内の燃料圧力を上
昇する。閾値のバルブ開き圧力で、ニードルチェック6
0がチェックもどしスプリング55の作用に抗して開
き、燃料をノズル出口58から出す。この噴射事象は、
プランジャ40上の環48が燃料還流通路51に開くま
で続く。この事象は、プランジャが行程の終了点に達し
たときに生じるのが典型的である。
【0012】燃料加圧チャンバ52中に残っている高圧
燃料が、環48を介して接続される圧力逃し通路46と
燃料還流通路51を通じて通気されると、各噴射事象が
急速に終了する。このことにより、ノズルチャンバ65
内の圧力が、ニードルチェック60を開いた状態に維持
するのに必要なバルブ開き圧力より下に急激に下がる。
ニードルチェック60は、もどしスプリング55の作用
により閉じ始める。この時、ノズルチャンバ65内の燃
料圧力が比較的小さく、ニードルチェック自身が閉位置
に向かって素早く動いているため、比較的少量の燃料が
ノズル出口58に残される。噴射事象が、ノズル出口5
8を閉じることにより終了した後、噴射器は待機モード
に入る。待機モードの間、ピストン30及びプランジャ
40は、キャビティ23内の高圧作動流体の作用によ
り、行程の底部にある(図2参照)。待機モードの期間
は、次の噴射事象のタイミングだけでなく、次の噴射事
象に対して噴射器に計量して送られた燃料量により定め
られる。この待機モードが終了すると、ソレノイド26
が非励磁になり、制御バルブ22を動かして作動燃料入
口21を閉じ、作動流体ドレン20を開いて、噴射器サ
イクルの充填計量モードが始まる。キャビティ23内の
圧力は、比較的瞬時に下がり、ピストン30及びプラン
ジャ40がもどしスプリング35の作用により引き込み
始めると、作動流体が出口20を通じて排出し始める。
ソレノイドは、次の噴射事象に対する所望の燃料量を燃
料加圧チャンバ52に計量して送られるときにかかる時
間だけ非励磁な状態が保たれる。計量モードが終了する
と、次の噴射事象が、ソレノイド26を再び励磁して高
圧流体入口21を再び開くことによって開始される。こ
のように、この好適な具体例の各噴射器サイクルは、噴
射モード、待機モード及び計量モードを含む。
【0013】本発明は、主に各噴射モードの始まりの部
分、すなわちノズル出口は開かれているが、ノズル出口
から出る質量流量はまだ最高に達していない期間に関す
る。噴射モードのこの傾斜の上がる部分の期間が長くな
ると、各噴射事象の開始時にエンジンの燃焼チャンバに
噴射される燃料が少なくなることが分かっている。この
ことにより、有害なNOX排気ガスが減少し、エンジン
性能が改善される。従来技術の装置において、プランジ
ャの移動速度が、固定された接続又は接触によってピス
トンの移動速度から独立して変化できなかったために、
各噴射事象のこの前噴射部分の期間は、容易に長くする
ことはできなかった。本発明は、プランジャとピストン
とを分離し、それらの間にスプリングを挿入することに
よって、前噴射質量流量の期間を長くする。この結果、
下降行程の一部分にわたって、プランジャがピストンよ
りも遅く動くことになる。
【0014】図2を参照すると、燃料加圧チャンバ52
が圧力逃し通路46と環48を介して燃料還流通路51
に連通しているときの噴射器の待機モードにある図1の
噴射器中のプランジャ/ピストン組立体が、拡大されて
示されている。このとき、プランジャ40の接触端42
が、ピストン30の裏面37に接触し、プランジャとピ
ストンの両方が、それらの行程の終了点にある。もどし
スプリング35と燃料供給パターン制御スプリング33
の両方が、プランジャ40の外面35に製造された環状
肩部49の対向する側で作用する。図3に示されるよう
に、噴射器が、次の噴射事象を開始できる状態になる
と、燃料供給パターン制御スプリング33が、プランジ
ャ40の肩部49を、ピストン30にあるクリップリン
グ36に強制的に接触させる。ピストンがその下降行程
を始めるときに、スプリング33がプランジャ40の加
速を緩めるために、前噴射時間周期が、本発明の燃料供
給パターン制御スプリング33により長くされる。しか
しながら、接触端42がピストン30の裏面37に接触
する前に、燃料加圧チャンバ52内の圧力が、ニードル
チェックバルブのバルブ開き圧力を超えるように、燃料
供給パターン制御スプリング33の予荷重すなわち組立
て荷重が選択されるのが好ましい。プランジャ40がそ
の下降行程を開始し、ニードルチェックが開き始めた後
でないと、燃料供給パターン制御スプリングは、縮み始
めないことが好ましい。このようにして、プランジャと
ピストン間の完全な距離は、前噴射周期を長くするため
に利用される。
【0015】ニードルチェックを開くことによって燃料
噴射を開始した後、圧力は燃料加圧チャンバ52におい
て連続して上昇する。最終的に、この圧力は、燃料供給
パターン制御スプリング33が縮み始め、プランジャ4
0がピストン30よりもゆっくりと動き始めるほど十分
に高くなる。プランジャ40の遅い動きは、燃料加圧チ
ャンバ52及びノズルチャンバ65内の燃料圧力を最大
に達しないようにする。ノズル出口58を出る燃料の質
量流量がノズルチャンバ65内の圧力に関係するもので
あるため、当業者は、プランジャ40とピストン30の
間の接触が固定されている場合よりも少ない燃料が噴射
されることに気付くであろう。この時、燃料加圧チャン
バ52内の圧力は連続的に上昇し、ピストン30及びプ
ランジャ40が、連続してその下降動作を加速する。よ
り広い意味においては、ピストン30に作用する高圧作
動流体のエネルギの一部分が、プランジャ40を介して
燃料に直接与えられるのではなく、燃料供給パターン制
御スプリング33によって吸収されるために、短い前噴
射周期中に、より少ない燃料が噴射器の外に噴射され
る。
【0016】図4を参照すると、プランジャとピストン
の動きが、一回の噴射器サイクルにわたって時間に対し
てプロットされている。また図4は、各計量モードの開
始時のキャビティ23内の圧力が急降下することによ
り、スプリング33が、プランジャ40の肩部49を押
し返して、ピストン30にあるスナップリング36に接
触させるために、燃料供給パターン制御スプリング33
が各計量モードの開始時でそれ自身を復帰することを示
している。図5は、本発明の燃料供給パターン制御スプ
リングが、排気ガス及びエンジン性能を改良するため
に、各噴射事象の前噴射部分で噴射質量流量をどのよう
にして小さくするかを例として示す。燃料供給パターン
制御スプリング33が十分に圧縮された後に、プランジ
ャ40とピストン30とが接触し、両方とも一体となっ
て動く従来の燃料噴射器と基本的に同じように、本噴射
器が、下降行程の残りの部分を動き始める。
【0017】比較のために、図4及び5は、一回の噴射
事象に対して、従来の噴射質量流量曲線を伴った従来の
プランジャ/ピストン軌跡をそれぞれ含む。図4及び5
のグラフは、噴射質量流量は一定であると仮定して、本
発明の燃料供給パターン制御スプリングを有するか又は
有しないかを除けば、タイミング等の他の全ての要素を
無視した噴射器特性を示す。当業者であれば、本発明を
実施した後に、エンジン性能を最適にするために、タイ
ミング及び期間のある程度の調節がされるべきであるこ
とを理解されたい。図4及び5は、時間T1の前にプラ
ンジャとピストンの両方が同じ速度で引き込まれている
計量モードの終了時に対応する時間周期で始まる。時間
T1で、ソレノイド26が作動し、キャビティ23に入
る高圧油圧作動流体をピストン30の頂面31(図1参
照)に作用させることを可能にする。このことにより、
プランジャとピストンの両方は、それらの引き込み移動
を逆転し、同一速度でその下降行程を行い始める。プラ
ンジャが下降する際に、燃料加圧チャンバ52内の燃料
圧力が、ニードルチェック60を開き且つノズル58か
ら燃料の流れさせるのに十分な高さになるまで急速に上
昇する。燃料は、時間T1後、短期間流れ始める。本発
明の燃料供給パターン制御スプリング33は、まだ圧縮
されていない。本発明と従来技術の時間T1からT2ま
での噴射曲線は、ピストンとプランジャの両方が同一速
度で動いているために同じである。
【0018】時間T2で、燃料加圧チャンバ52内の圧
力が、燃料供給パターン制御スプリング33を収縮させ
始める第2の閾値に達する。図4において、時間周期T
2からT3の間のピストンの傾きに対するプランジャの
傾きの変化によって、このことが明らかにされている。
この時間周期におけるプランジャの下方への移動が、ピ
ストンに比べて遅いため、噴射質量流量は、対応する同
じタイプの従来の燃料噴射器と比べて小さい。最終的
に、時間周期T3で、燃料供給パターン制御スプリング
33により生成されるプランジャとピストンの間の全体
の離間距離は縮められ、プランジャとピストンは直接接
触して、時間周期T3後に一体となって動き始める。時
間周期T3後には、プランジャとピストンが、従来技術
と同様に直接固定して接触するために、噴射器が、その
従来技術と等価のものと実質的に同じ挙動を示す。時間
T4A及びT4Bが、従来技術と本発明に関するプラン
ジャがそれらの行程の終点に達した時間をそれぞれ示
す。噴射器は、時間T4A及びBからT5の間、図2に
示されるように、プランジャ及びピストンが行程の底部
に存在する待機状態にある。時間周期T5は、プランジ
ャとピストンが引き込まれ、燃料の所望量が次の噴射事
象に対して燃料加圧チャンバに計量して送られる計量モ
ードの始まりを例示する。
【0019】図5は、最終的に、各噴射事象の開始時に
噴射される燃料をより少なくなる結果を示す。この燃料
供給パターン制御は、エンジン性能を改良し、望ましく
ない排気ガス、特にNOX化合物を低減させる。本発明
は、各噴射事象の始まりの部分で噴射質量流量を小さく
するのが望ましい燃料噴射器に特に利用できる。これ
は、キャタピラ社(Caterpillar, Inc)により製造される
比較的大きいディーゼルエンジン等に関して特に望まし
い。本発明の概念は、キャタピラ社により製造される充
填計量式油圧作動型電子制御式燃料噴射器に関して示さ
れ、説明され、特許及び係属中の特許出願に記載された
数多くの従来技術における様々な形態に関して説明され
た。それにも関わらず、本発明の燃料供給パターン制御
の概念は、噴射事象を開始し且つ維持するべく燃料圧力
を上昇するために増圧器ピストン及びプランジャ組立体
を利用するいかなる油圧作動型燃料噴射器に対しても利
用することができる。
【0020】エンジニアは、スプリング定数、スプリン
グの組立て予荷重、及びピストンからプランジャまでの
ギャップ距離を変更することによって、各噴射事象の開
始時の噴射燃料供給パターン制御特性にわたり重要な制
御を行うことができる。組立て荷重は、スプリングがい
つ収縮し始めるかを定め、スプリング定数は、スプリン
グが収縮する速度を定める。スプリング予荷重は、スプ
リングが収縮する前にニードルチェックがノズルを開く
ように選択されるのが好ましい。このようにすると、燃
料噴射が実際に開始する前に、スプリング動作のいずれ
もが無駄にならない。燃料供給パターン制御スプリング
が適切に機能するために、ピーク燃料圧力が実現される
前、また好ましくはピーク噴射質量流量が実現される前
に、スプリングが収縮するような組立て荷重でなければ
ならないことを認識することは重要である。このように
して、燃料噴射が開始した後であって、噴射質量流量が
最大になる前に、完全なギャップ距離が用いられること
ができる。当業者であれば、ギャップ距離及びスプリン
グ定数が、噴射事象のスプリング収縮部分の期間を制御
することを理解するであろう。これらの変数を変化させ
ることによって、燃料供給パターン制御スプリングによ
る遅延期間を制御することができる。例えば、プランジ
ャ及びピストンが、燃料供給パターン制御スプリングの
作用に抗して互いに接触するように動くために比較的長
い期間をかけるときには、比較的大きいギャップの距離
が、比較的長い遅延期間を生成する。
【0021】上述した例は、単なる例であって、いかな
る意味においても本発明の範囲を制限することを意図す
るものではないことを理解されたい。例えば、当業者で
あれば、本発明が燃料供給パターン制御コイルスプリン
グ33を用いて説明されているが、皿座金又は油圧スプ
リングのような他のスプリングが用いられることができ
ることを理解するであろう。どのような場合において
も、本発明の範囲は、請求項の記載によってのみ定めら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な具体例に従った油圧作動型燃料
噴射器の断面側面図である。
【図2】燃料供給パターン制御スプリングが完全に圧縮
した図1の噴射器に関するピストン/プランジャ組立体
の拡大断面図である。
【図3】本発明の燃料供給パターン制御スプリングが伸
びた図1の燃料噴射器のプランジャ/ピストン組立体の
拡大図である。
【図4】従来技術と本発明の1つの態様に基づいた、一
回の噴射サイクルに関するプランジャ及びピストンの位
置と時間との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の燃料供給パターン制御スプリングを有
する場合と有しない場合とで、一回の噴射サイクルに関
して噴射質量流量と時間との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F02M 61/16 F02M 61/16 G

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 作動流体入口と作動流体ドレンとピスト
    ンボアとに開く作動流体キャビティ、及び、燃料供給通
    路とノズルチャンバとに開くプランジャボアを有し、前
    記ノズルチャンバがノズル出口に開いている噴射器本体
    と、 前記噴射器本体に取り付けられ、前記作動流体入口を開
    き且つ前記作動流体ドレンを閉じる第1位置と、前記作
    動流体入口を閉じ且つ前記作動流体ドレンを開く第2位
    置の間で移動可能な制御バルブと、 前記ピストンボア内の上方位置と下方位置の間を往復運
    動するように配置される増圧器ピストンと、 接触端と圧力面端の間に延びる側面を有し、前記プラン
    ジャボア内の前進位置と引込み位置の間を往復運動する
    ように配置されるプランジャと、 前記増圧器ピストンと前記プランジャの間に配置され、
    前記増圧器ピストンを前記プランジャから一定の距離だ
    け離すように付勢する手段と、 前記プランジャボアと前記プランジャの一部分により形
    成され、前記ノズルチャンバに開く燃料加圧チャンバ
    と、 前記ノズルチャンバ内の前記ノズル出口を閉じる閉位置
    と、前記ノズル出口を開く開位置の間を往復運動するよ
    うに配置されたニードルチェックとを備えることを特徴
    とする油圧作動型燃料噴射器。
  2. 【請求項2】 前記増圧器ピストンを付勢する前記手段
    が、圧縮スプリングを含むことを特徴とする請求項1に
    記載の燃料噴射器。
  3. 【請求項3】 前記圧縮スプリングが、コイルスプリン
    グであることを特徴とする請求項2に記載の燃料噴射
    器。
  4. 【請求項4】 前記増圧器ピストンが前記上方位置から
    前記下方位置に動いているときに、前記プランジャの前
    記接触端が前記増圧器ピストンに接触するようにコイル
    スプリングが圧縮可能であることを特徴とする請求項3
    に記載の燃料噴射器。
  5. 【請求項5】 前記ニードルチェックがバルブ開き圧力
    を有し、 前記燃料加圧チャンバが、前記プランジャを前記増圧器
    ピストンに接触するように動かすのに十分な閾値燃料圧
    力を有し、 前記閾値燃料圧力が、前記バルブ開き圧力よりも大きい
    ことを特徴とする請求項4に記載の燃料噴射器。
  6. 【請求項6】 前記プランジャが前記前進位置から引き
    込まれているときに、前記引込み位置と前記前進位置の
    間の規制位置で前記プランジャを止める手段を備えるこ
    とを特徴とする請求項5に記載の燃料噴射器。
  7. 【請求項7】 作動流体入口と作動流体ドレンとピスト
    ンボアとに開く作動流体キャビティ、及び、燃料供給通
    路とノズルチャンバとに開くプランジャボアを有し、前
    記ノズルチャンバがノズル出口に開いている噴射器本体
    と、 前記噴射器本体に取り付けられ、前記作動流体入口を開
    き且つ前記作動流体ドレンを閉じる第1位置と、前記作
    動流体入口を閉じ且つ前記作動流体ドレンを開く第2位
    置の間で移動可能な制御バルブと、 前記ピストンボア内の上方位置と下方位置の間を往復運
    動するように配置される増圧器ピストンと、 接触端と圧力面端の間に延びる側面を有し、前記プラン
    ジャボア内の前進位置と引込み位置の間を往復運動する
    ように配置されるプランジャと、 前記増圧器ピストンと前記プランジャの間に配置され、
    前記プランジャが前記引込み位置から前記前進位置に動
    くときに、前記増圧器ピストンと前記プランジャの間に
    相対的な動きを生じさせる手段と、 前記プランジャボアと前記プランジャの一部分により形
    成され、前記ノズルチャンバに開く燃料加圧チャンバ
    と、 前記ノズルチャンバ内の前記ノズル出口を閉じる閉位置
    と、前記ノズル出口を開く開位置の間を往復運動するよ
    うに配置されたニードルチェックとを備えることを特徴
    とする油圧作動型燃料噴射器。
  8. 【請求項8】 前記相対的な動きを生じさせる手段が、
    前記増圧器ピストンと前記プランジャの間に配置される
    スプリングを含むことを特徴とする請求項7に記載の燃
    料噴射器。
  9. 【請求項9】 前記ニードルチェックがバルブ開き圧力
    を有し、 前記燃料加圧チャンバが、前記プランジャを前記増圧器
    ピストンに接触するように動かすのに十分な閾値燃料圧
    力を有し、 前記閾値燃料圧力が、前記バルブ開き圧力よりも大きい
    ことを特徴とする請求項8に記載の燃料噴射器。
JP9119020A 1996-05-09 1997-05-09 油圧作動型燃料噴射器 Withdrawn JPH1047194A (ja)

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