JPH1045976A - 熱可塑性エラストマーパウダー、粉末成形方法及び成形体 - Google Patents
熱可塑性エラストマーパウダー、粉末成形方法及び成形体Info
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- JPH1045976A JPH1045976A JP10710997A JP10710997A JPH1045976A JP H1045976 A JPH1045976 A JP H1045976A JP 10710997 A JP10710997 A JP 10710997A JP 10710997 A JP10710997 A JP 10710997A JP H1045976 A JPH1045976 A JP H1045976A
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Abstract
殆ど生ずることなく複雑な形状の成形体を製造すること
のできる熱可塑性エラストマーパウダーを提供する。 【解決手段】 下記(A)で示される熱可塑性エラスト
マーからなり、球換算平均粒径が0.70mmを超え
1.20mm以下、かつ、かさ比重が0.38以上であ
ることを特徴とする熱可塑性エラストマーパウダー、該
熱可塑性エラストマーパウダーを用いることを特徴とす
る粉末成形方法、並びに、該熱可塑性エラストマーパウ
ダーが粉末成形されてなることを特徴とする成形体。 (A)エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとポリ
オレフィン系樹脂とを含有する熱可塑性エラストマーま
たはエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとポリオ
レフィン系樹脂とを含有する組成物を動的架橋すること
によって得られる熱可塑性エラストマー
Description
ーパウダー、粉末成形方法及び成形体に関する。
ッチ模様などの細かい凹凸模様が施された熱可塑性エラ
ストマーからなる成形体は自動車内装部品などの表皮材
として用いられており、かかる成形体として熱可塑性エ
ラストマーのパウダーが粉末成形されてなる成形体が提
案されている(例えば特開平5−1183号公報、特開
平5−5050号公報など。)。しかしながら、かかる
熱可塑性エラストマーパウダーは複雑な形状の成形体、
例えば狭くて高い凸部を有する成形体などを製造する際
に、該凸部のエッジにピンホールや欠肉などを有する成
形体を与える傾向があった。
粉末成形法によってピンホールや欠肉などを殆ど生ずる
ことなく複雑な形状の成形体を製造することのできる熱
可塑性エラストマーパウダーを開発すべく鋭意検討した
結果、特定の物性を有するオレフィン系熱可塑性エラス
トマーからなり、かつ特定の粉体物性を有する熱可塑性
エラストマーパウダーは、これを粉末成形することによ
ってピンホールや欠肉などを殆ど生ずることなく複雑な
形状の成形体が容易に得られることを見出し、本発明に
至った。
第一の発明は、下記(A)で示される熱可塑性エラスト
マーからなり、球換算平均粒径が0.70mmを超え
1.20mm以下、かつ、かさ比重が0.38以上であ
ることを特徴とする熱可塑性エラストマーパウダーに係
るものである。 (A)エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとポリ
オレフィン系樹脂とを含有する熱可塑性エラストマーま
たはエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとポリオ
レフィン系樹脂とを含有する組成物を動的架橋すること
によって得られる熱可塑性エラストマー また、本発明のうち第二の発明は、第一の発明の熱可塑
性エラストマーパウダーを用いることを特徴とする粉末
成形方法に係るものである。更に、本発明のうち第三の
発明は、第一の発明の熱可塑性エラストマーパウダーが
粉末成形されてなることを特徴とする成形体に係るもの
である。
−オレフィン系共重合体ゴムとポリオレフィン系樹脂と
を含有する熱可塑性エラストマーまたはエチレン・α−
オレフィン系共重合体ゴムとポリオレフィン系樹脂とを
含有する組成物を動的架橋することによって得られる熱
可塑性エラストマーを構成する一成分であるエチレン・
α−オレフィン系共重合体ゴムとは、非結晶性のエチレ
ン・α−オレフィン共重合体、エチレン・α−オレフィ
ン・非共役ジエン共重合体またはこれらの混合物であっ
て、ここでα−オレフィンとしては、例えばプロピレ
ン、1−ブテンなどが、非共役ジエンとしては、例えば
ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、1,
4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノル
ボルネンなどがそれぞれ挙げられる。このようなエチレ
ン・α−オレフィン系共重合体ゴムとして具体的には、
例えばエチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・
ブテン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・エチリデ
ンノルボルネンゴム(以下、EPDMと称する。)など
が挙げられる。このようなエチレン・α−オレフィン系
共重合体ゴムの中でも、そのムーニー粘度〔ASTM
D−927−57Tに準じて100℃において測定した
ムーニー粘度であり、以下、ML1+4 (100℃)と称
する。〕が10〜350、好ましくは15〜300の範
囲である共重合体ゴムが使用される。
ィン系共重合体ゴムとポリオレフィン系樹脂とを含有す
る熱可塑性エラストマーまたはエチレン・α−オレフィ
ン系共重合体ゴムとポリオレフィン系樹脂とを含有する
組成物を動的架橋することによって得られる熱可塑性エ
ラストマーを構成する他の成分であるポリオレフィン系
樹脂は、1種以上のオレフィンが重合もしくは共重合さ
れてなる結晶性を有する重合体もしくは共重合体であっ
て、例えばポリプロピレン、プロピレンとエチレンとの
共重合体、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィ
ン、例えば1−ブテンとの共重合体などが挙げられる
が、これらの中でも柔軟性に優れた成形体を与え得る点
で、エチレンとプロピレンとの共重合体、プロピレンと
1−ブテンとの共重合体などが好ましく使用される。か
かるポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート(JI
S K−7210に準拠して230℃、2.16kg荷
重で測定した値であり、以下、MFRと称する。)は通
常20g/10分以上、特に50g/10分以上である
ことが好ましく、かかるMFRが20g/10分未満で
あれば、粉末成形時に溶融した熱可塑性エラストマーパ
ウダーの粒子同士が熱融着し難くなり、得られる成形体
の強度が低くなる傾向がある。
は、例えば上記のエチレン・α−オレフィン系共重合体
ゴムとポリオレフィン系樹脂とを混練または混練後さら
に動的架橋することによって容易に製造することができ
る。
ては、予め混練して得たエチレン・α−オレフィン系共
重合体ゴムとポリオレフィン系樹脂とからなる組成物
と、架橋剤とを加熱下に混練すればよく、かかる架橋剤
としては、通常は有機過酸化物が用いられる。かかる有
機過酸化物としては、例えば2,5−ジメチル−2,5
−ジ(t−ブチルペルオキシノ)ヘキサン、ジクミルペ
ルオキシドなどのジアルキルパーオキサイドなどが挙げ
られ、その使用量は、先の混練において用いたエチレン
・α−オレフィン系共重合体ゴムとポリオレフィン系樹
脂との合計量100重量部に対して通常は1.5重量部
以下、好ましくは0.8重量部以下である。
場合、ビスマレイミド化合物などの架橋助剤の存在下に
動的架橋を行うと、適度に架橋が進行し、粉末成形にお
ける溶融流動性に優れ、かつ優れた耐熱性を有する成形
体を与え得る熱可塑性エラストマーパウダーを得ること
ができる。この場合、有機過酸化物の使用量は、エチレ
ン・α−オレフィン系共重合体ゴムとポリオレフィン系
樹脂との合計量100重量部に対して通常は1重量部以
下、好ましくは0.8重量部以下、さらに好ましくは
0.6重量部以下であり、架橋助剤の使用量はエチレン
・α−オレフィン系共重合体ゴムとポリオレフィン系樹
脂との合計量100重量部に対して通常は1.5重量部
以下、好ましくは0.8重量部以下である。なお、架橋
助剤は動的架橋に先立って加えられることが好ましく、
通常は先の混練において加えられる。
ン系共重合体ゴムとポリオレフィン系樹脂とからなる組
成物および架橋剤は通常の方法、例えば一軸押出機、二
軸押出機などを用いて混練される。
レフィン系共重合体ゴムとポリオレフィン系樹脂とから
なる組成物において通常はエチレン・α−オレフィン系
共重合体ゴムが優先的に架橋され、目的の部分架橋組成
物が得られるが、かくして得られる部分架橋組成物にお
いては未架橋のエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴ
ムが存在してもよいし、エチレン・α−オレフィン系共
重合体ゴムとポリオレフィン系樹脂との架橋物が存在し
ていてもよく、また場合によってはポリオレフィン系樹
脂の架橋物が存在していてもよい。
マーは、これにエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴ
ムが追加配合されて用いられてもよい。ここで追加配合
されるエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムは、前
記のエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムと同様の
ものであってもよいが、通常は、ML1+4 (100℃)
が200以下であってα−オレフィンがプロピレン、1
−ブテンなどであるエチレン・α−オレフィン系共重合
体ゴムが好ましく用いられ、中でもエチレン単位含有量
が40〜90重量%、好ましくは70〜85重量%、M
L1+4 (100℃)が10以上50以下であるエチレン
・プロピレン共重合体ゴムが特に好ましく使用される。
このように追加配合されるエチレン・α−オレフィン系
共重合体ゴムの使用量は、先の混練において用いたエチ
レン・α−オレフィン系共重合体ゴムとポリオレフィン
系樹脂との合計量100重量部に対して通常は50重量
部以下である。
合体ゴムとポリオレフィン系樹脂とを含有する熱可塑性
エラストマーまたはエチレン・α−オレフィン系共重合
体ゴムとポリオレフィン系樹脂とを含有する組成物を動
的架橋することによって得られる熱可塑性エラストマー
が得られるが、かかる熱可塑性エラストマーの製造にお
いて、使用するエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴ
ム(動的架橋後に追加配合する場合は、その追加量を含
む。)とポリオレフィン系樹脂との重量比は5:95〜
80:20であることが好ましく、さらに好ましくは2
0:80〜70:30の範囲である。
ーは、通常の熱可塑性エラストマーに配合されると同様
の各種の添加剤やゴム類などを含有していてもよい。添
加剤としては、例えばパラフィン系プロセスオイルなど
の鉱物油系軟化剤、フェノール系、サルファイト系、フ
ェニルアルカン系、フォスファイト系、アミン系、アミ
ド系の耐熱安定剤、老化防止剤、耐光安定剤、帯電防止
剤、金属石鹸、発泡剤、ワックスなどの滑剤、メチルポ
リシロキサン化合物などの内部添加離型剤、着色用顔料
などが挙げられ、ゴム類としては、例えばスチレン・ブ
タジエンゴム、水添スチレン・ブタジエンゴム、水添ス
チレン・ブタジエン・スチレン三元共重合体ゴム、ニト
リルゴム、天然ゴムなどが挙げられる。これらの添加剤
やゴム類などは、予め原料となるエチレン・α−オレフ
ィン系共重合体ゴムやポリオレフィン系樹脂に含有され
ていてもよいし、上記の混練や動的架橋に際して、また
はその後、通常の方法、例えば混練などによって適宜配
合されてもよい。
エラストマーに含有されることによって熱可塑性エラス
トマーパウダーのスラッシュ成形における溶融流動性が
向上し、かつ柔軟性に優れた成形体を与え得るため好ま
しく使用されるが、これを予めエチレン・α−オレフィ
ン系共重合体ゴムに含有させた油展オレフィン系共重合
体ゴムを使用することによって、前述の混練や動的架橋
をより容易に行うことができる。かかる油展オレフィン
系共重合体ゴムにおける鉱物油系軟化剤の使用量は、エ
チレン・α−オレフィン系共重合体ゴム100重量部に
対して通常は120重量部以下、好ましくは30〜12
0重量部の範囲である。
ラストマーが得られるが、かかる熱可塑性エラストマー
の下記で述べる溶融特性を満足するように上記の組成物
または部分架橋組成物を構成する各成分の種類、その重
量比、架橋の程度、各種添加剤の使用量などを適宜選択
する必要がある。また、動的架橋における剪断速度が上
記の物性に与える影響は大きく、剪断速度5×102 秒
-1以上が好ましく、1×103 秒-1以上で動的架橋を行
うことが特に好ましい。
は、成形条件に応じて種々の範囲が選択されるが、例え
ば粉末成形法に用いられる場合は、該熱可塑性エラスト
マーの複素動的粘度η* (1)は、5×104 ポイズ以
下が好ましく、更に好ましくは5×103 ポイズ以下、
特に好ましくは2×103 ポイズ以下である。ここで複
素動的粘度η* (ω)は、250℃において振動周波数
ωで測定される貯蔵弾性率G’(ω)及び損失弾性率
G”(ω)を用いて、下記〔2〕式により算出される。 複素動的粘度η* (1)は5×104 ポイズを超えると
熱可塑性エラストマーパウダーは粉末成形に際して金型
面上で流動しなくなることがあり、成形時の剪断速度が
通常は1秒-1以下である粉末成形法では成形体を得るこ
とが困難になる傾向がある。
0.28を越えると仮に複素動的粘度η* (1)が5×
104 ポイズ以下であっても、成形時の賦圧力が1kg
/cm 2 以下である粉末成形法においては、溶融した熱
可塑性エラストマーパウダー同士の熱融着が不完全とな
って、機械的物性が低い成形体が得られる傾向があるた
め0.28以下であることが好ましく、更に好ましくは
0.26以下である。ここでニュートン粘性指数nは、
上記の複素動的粘度η* (1)と、振動周波数100ラ
ジアン/秒で測定される複素動的粘度η* (100)を
用いて先述の式〔1〕に基づいて算出される。 n={logη* (1)−logη* (100)}/2 〔1〕
は、このような熱可塑性エラストマーからなり、その球
換算平均粒径が0.70mmを超え1.20mm以下、
かつ、かさ比重が0.38以上であることが必要であ
る。ここで球換算平均粒径とは熱可塑性エラストマーパ
ウダーの粒子の平均体積を求め、その平均体積と同じ体
積の球の直径として算出される粒径であり、ここで粒子
の平均体積は任意に取り出した熱可塑性エラストマーパ
ウダーの粒子100個の合計重量および熱可塑性エラス
トマーの密度から計算される。また、かさ比重とはJI
S K−6721に準拠してかさ比重測定用ロートから
かさ比重測定用容器に供給された熱可塑性エラストマー
パウダー100mlの重量から算出される値であって、
好ましくは0.42以上である。
と、粉末成形時にパウダー同士の熱融着が不十分とな
り、得られた成形体にピンホールや欠肉などが生じる。
また、かさ比重が0.38未満であれば、粉末成形にお
けるパウダーの金型面上への付着が不十分となり、成形
体にピンホールや欠肉などが生じる。なお、好ましい球
換算平均粒径は0.70mmを超え1.10mm以下で
あり、好ましいかさ比重は0.42以上である。
性エラストマーパウダーは、例えば上記(A)で示され
る熱可塑性エラストマーを熱溶融し、これをダイスから
押し出してストランドとし、次いでこれを引き取り、あ
るいは引き伸ばしながら引き取り、冷却後に切断する方
法(以下、ストランドカット法と称する。例えば特開昭
50−149747号公報参照。)、熱可塑性エラスト
マーをそのガラス転移点以下の温度で粉砕し、次いで溶
剤処理して球状化する方法(以下、溶剤処理法と称す
る。例えば特開昭62−280226号公報参照。)、
熱可塑性エラストマーを熱溶融し、これをダイスから水
中に押し出しながら切断する方法(以下、ダイフェース
カット法と称する。)などによって容易に製造すること
ができる。
合、ダイスの吐出口径は通常は0.1〜3mm、好まし
くは0.2〜2mmの範囲、ダイスからの吐出速度は通
常0.1〜5kg/時/穴、好ましくは0.5〜3kg
/時/穴の範囲、ストランドの引取速度は通常1〜10
0m/分、好ましくは5〜50m/分の範囲である。ま
た、冷却後の切断長さは、通常は1.4mm以下、好ま
しくは1.2mm以下である。
熱可塑性エラストマーはそのガラス転移点以下の温度、
通常は−70℃以下、好ましくは−90℃以下の温度で
粉砕されたのち、溶剤処理される。ここで溶剤処理とは
粉砕された熱可塑性エラストマーを、これと相溶性の低
い媒体中において、分散剤と乳化剤との存在下に攪拌し
ながら熱可塑性エラストマーの溶融温度以上、好ましく
は該溶融温度よりも30〜50℃高い温度に加熱して球
状化したのち冷却し、取り出す方法である。
えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポ
リプロピレングリコールなどが挙げられ、その使用量
は、用いる熱可塑性エラストマー100重量部に対して
300〜1000重量部、好ましくは400〜800重
量部の範囲である。分散剤としては、例えばエチレン−
アクリル酸共重合体、無水ケイ酸、酸化チタンなどが挙
げられ、その使用量は用いる熱可塑性エラストマー10
0重量部に対して通常は5〜20重量部、好ましくは1
0〜15重量部の範囲である。乳化剤としては、例えば
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリエ
チレングリコールモノラウレート、ソルビタントリステ
アレートなどが挙げられるが、これらに限定されるもの
ではなく、その使用量は用いる熱可塑性エラストマー1
00重量部に対して通常はに対して通常は3〜15重量
部、好ましくは5〜10重量部の範囲である。
合、ダイスの吐出口径は通常は0.1〜3mm、好まし
くは0.2〜2mmの範囲、ダイスからの吐出速度は通
常0.1〜5kg/時/穴、好ましくは0.5〜3kg
/時/穴の範囲である。
ウダーが得られるが、かかる熱可塑性エラストマーパウ
ダーを粉末成形することによってピンホールや欠肉など
が殆どない成形体を容易に得ることができる。粉末成形
法としては特に限定されるものではなく、例えばスラッ
シュ成形法、流動浸漬法、静電塗装法、粉末溶射法、粉
末回転成形法などが挙げられる。
塑性エラストマーパウダーを加熱した粉末成形用の金型
の成形型面上に供給して付着・溶融させて該パウダー同
士を熱融着させ、所定の時間が経過したのち付着・溶融
しなかった余分のパウダーを回収し、必要により金型を
さらに加熱することによって成形型面上にシート状物を
得、次いでこれを冷却、脱型することによって、目的の
成形体を容易に製造することができる。金型の加熱温度
は、熱可塑性エラストマーの溶融温度以上であって、通
常は160〜300℃、好ましくは210〜270℃の
範囲であり、金型は、例えばガス加熱炉方式、熱媒体油
循環方式、熱媒体油内もしくは熱流動砂内への浸漬方
式、または高周波誘導加熱方式などによって加熱され
る。また、付着・溶融時間は特に限定されるものではな
く、目的とする成形体の大きさや厚みなどに応じて適宜
選択される。
ダーは、これに通常の方法、例えばブレンダーや高速回
転ミキサーなどを用いて微細粉体や前記の各種添加剤を
配合して、粉末成形に用いてもよい。ここで微細粉体と
は平均粒径が30μm以下、好ましくは0.01〜10
μmの粉体であって、例えば有機顔料、無機顔料、酸化
アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムな
どの粉体が挙げられる。かかる微細粉体を使用する場
合、その使用量は熱可塑性エラストマーパウダー100
重量部に対して通常0.1〜10重量部の範囲である。
は、これを粉末成形することによってピンホールや欠肉
などを殆ど生ずることなく複雑な形状の成形体を容易に
製造することができる。
するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
らびに実施例1〜4および比較例1〜4において製造し
た熱可塑性エラストマーパウダーおよび成形体のは、以
下の方法によって評価した。 (1)熱可塑性エラストマーの複素動的粘度η* (1) レオメトリックス社製ダイナミックスペクトロメーター
RDS−7700型を用いて、平行平板モード、印加歪
み5%、サンプル温度250℃、振動周波数1ラジアン
/秒で動的粘弾性を測定し、複素動的粘度η* (1)を
算出した。 (2)ニュートン粘性指数n 振動周波数を100ラジアン/秒とした以外は複素動的
粘度η* (1)の場合と同様にして動的粘弾性を測定し
て複素動的粘度η* (100)を算出し、これと先に求
めたη* (1)とを用いて、前記の式〔1〕によってニ
ュートン粘性指数nを算出した。 (3)熱可塑性エラストマーパウダーの球換算平均粒径 熱可塑性エラストマーパウダーの粒子100個を任意に
採取し、その重量を求め、これと熱可塑性エラストマー
の比重とから粒子の平均体積を算出し、この平均体積と
同体積の球の直径を算出して、球換算平均粒径とした。 (4)熱可塑性エラストマーパウダーのかさ比重 JIS K−6721に準拠して、熱可塑性エラストマ
ーパウダー100mlを採取、秤量し、かさ比重を算出
した。 (5)成形体の評価 得られた成形体(5)において、図3に示す3つの凸部
A(高さ7mm、幅25mm)、B(高さ11mm、幅
25mm)、C(高さ15mm、幅25mm)の各エッ
ジにおけるピンホールおよび欠肉の有無を目視で確認
し、以下に示す4段階で評価した。 1:凸部A、B、Cのいずれのエッジにもピンホール、
欠肉が生じた。 2:凸部Aのエッジにはピンホール、欠肉が無いが、凸
部B、Cのエッジにはピンホール、欠肉が生じた。 3:凸部A、Bのエッジにはピンホール、欠肉が無い
が、凸部Cのエッジに僅かにピンホール、欠肉が生じ
た。 4:凸部A、B、Cのいずれのエッジにもピンホール、
欠肉が無かった。
1+4 (100℃)=242、プロピレン単位含有量=2
8重量%、ヨウ素価=12〕25重量部に鉱物油系軟化
剤〔出光興産社製、商品名ダイアナプロセスPW−38
0〕25重量部を添加し、油展EPDMゴム〔住友化学
社製、商品名エスプレンE670F、ML1+4 (100
℃)=53〕を得た。次いで、これにプロピレン・エチ
レンランダム共重合体樹脂〔エチレン単位含有量=4.
5重量%、MFR=90g/10分〕50重量部と架橋
助剤〔ビスマレイミド化合物、住友化学社製、商品名ス
ミファインBM〕0.6重量部とを加え、バンバリーミ
キサーを用いて10分間混練して、架橋用マスターバッ
チ(以下、M.B.と称する。)を得た。このM.B.
を押出機と切断機とを用いてペレットにした。このM.
B.のペレット100重量部に、有機過酸化物〔2,3
−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシノ)ヘ
キサン、三建化工社製、商品名サンペロックスAPO〕
0.4重量部を加え、二軸押出機を用いて剪断速度1.
2×103 秒-1、温度200℃で混練して動的架橋し
て、熱可塑性エラストマーを得た。この熱可塑性エラス
トマーの複素動的粘度η* (1)は1.5×103 ポイ
ズ、ニュートン粘性指数nは0.25であった。次い
で、この熱可塑性エラストマーを二軸押出機から押し出
し、切断機を用いて、ペレットにした。
た熱可塑性エラストマーを30mmφ押出機に入れて1
60℃に加熱し、溶融させたのち、吐出口径1.0mm
のダイス(温度160℃)から吐出速度1kg/時/穴
で吐き出し、引取速度30m/分で引き取ったのち、冷
却し、直径0.8mmのストランドを得た。次いでこれ
をペレタイザーで切断することにより、球換算平均粒径
0.91mmの熱可塑性エラストマーパウダーを得た。
この熱可塑性エラストマーパウダーの評価結果を表1に
示す。
得られた熱可塑性エラストマーパウダー(3)を容器
(2)に投入し、次いで該容器(2)とスラッシュ成形
用の金型(1)とをその周縁部が密着するように互いに
固定して、一体化した(図1)。ここで金型(1)は、
図2に示すように、その成形型面に3つの凹部(深さ7
mm、11mm、15mm、幅はいずれも25mm)を
有し、また成形型面の全面が皮シボ模様であった。ま
た、金型(1)の温度は250℃であった。その後、直
ちに一体化した金型と容器とを一軸回転装置(図示せ
ず。)を用いて回転軸(4)を中心にして180°回転
させて、熱可塑性エラストマーパウダー(3)を金型の
成形型面上に供給し、次いで15秒間かけて振幅45°
の範囲で2往復揺動させて、成形型面上に熱可塑性エラ
ストマーパウダーを付着・溶融させた。その後、再び1
80°回転させて、付着・溶融しなかった余分の熱可塑
性エラストマーパウダーを容器(2)に回収した。次い
で、その成形型面上に熱可塑性エラストマーパウダーが
付着・溶融したままの金型(1)を容器(2)から取り
外し、250℃のオーブン中で2分間加熱したのち、冷
却し、脱型して、成形体(5)を得た。この成形体
(5)は、厚み1.2mmであり、3つの凸部A(高さ
7mm、幅25mm)、B(高さ11mm、幅25m
m)、C(高さ15mm、幅25mm)を有し、その表
面には金型成形型面の皮シボ模様が全面にわたって正確
に転写されていた。この成形体(5)の断面図を図3に
示し、評価結果を表1に示す。
外は実施例1と同様に操作して、熱可塑性エラストマー
パウダーを得、成形体を得た。評価結果を表1に示す。
0.4重量部とする以外は参考例1と同様に操作して
M.B.のペレットを得、次いで有機過酸化物の使用量
を0.1重量部、混練時の剪断速度を1×103 秒-1、
温度を190℃とする以外は参考例1と同様に操作して
熱可塑性エラストマーを得た。この熱可塑性エラストマ
ーの複素動的粘度η*(1)は5.2×103 ポイズ、
ニュートン粘性指数nは0.31であった。次いで、こ
の熱可塑性エラストマーを二軸押出機から押し出し、切
断機を用いて、ペレットにした。
で得た熱可塑性エラストマーを用い、ダイスからの吐出
速度を0.8kg/時/穴、引取速度を35m/分とす
る以外は実施例1と同様に操作して熱可塑性エラストマ
ーパウダーを得、成形体を得た。評価結果を表2に示
す。
100℃に冷却したのち、冷却状態のまま直ちに粉砕
し、タイラ−標準ふるい32メッシュ(目開き500μ
m×500μm)を通過する熱可塑性エラストマーパウ
ダーを得た。次いでこの熱可塑性エラストマーパウダー
を用いる以外は実施例1と同様に操作して成形体を得
た。評価結果を表2に示す。
機を用いて160℃に加熱して吐出口径1mmのダイス
(温度200℃)から2kg/時/穴で水中に吐出しな
がら、ダイスの吐出口に設けた回転刃で切断して、熱可
塑性エラストマーパウダーを得た。次いでこの熱可塑性
エラストマーパウダーを用いる以外は実施例1と同様に
操作して成形体を得た。評価結果を表2に示す。
チレン単位含有量4.5重量%、MFR=228g/1
0分]66.7重量部およびエチレン・プロピレン共重
合体ゴム[(住友化学社製エスプレンV0141)プロ
ピレン単位含有量27%、MFR=0.7g/10分]
33.3重量部を30mmφ押出機に入れて160℃に
加熱・混練したのち、吐出口径1.0mmのダイス(温
度160℃)から吐出速度1kg/時/穴で吐き出し、
引き取り速度32m/分で引き取った後、冷却し、直径
0.8mmφのストランドを得た。次いでこれをペレタ
イザーで切断することにより、球換算平均粒径0.90
mmの熱可塑性エラストマーペレット(複素動的粘度η
* (1)=1.8×103 ポイズ、ニュートン粘性指数
n=0.12)を得た。後は、実施例1と同様に操作し
て、成形体を得た。評価結果を表3に示す。
エチレン単位含有 量4.5重量%、MFR=90g/
10分]50重量部およびエチレン・ブテン共重合体ゴ
ム[(住友化学社製エスプレンN0115)ブテン単位
含有量22%、MFR=5.0g/10分]50重量部
を用いた以外は、実施例5と同様に操作して、球換算平
均粒径0.90mmの熱可塑性エラストマーペレット
(複素動的粘度η* (1 )=2.7×103 ポイズ、ニ
ュートン粘性指数n=0.08)を得た。あとは実施例
1と同様にして成形体を得た。評価結果を表3に示す。
スラッシュ成形用金型の断面概念図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 下記(A)で示される熱可塑性エラスト
マーからなり、球換算平均粒径が0.70mmを超え
1.20mm以下、かつ、かさ比重が0.38以上であ
ることを特徴とする熱可塑性エラストマーパウダー。 (A)エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとポリ
オレフィン系樹脂とを含有する熱可塑性エラストマーま
たはエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとポリオ
レフィン系樹脂とを含有する組成物を動的架橋すること
によって得られる熱可塑性エラストマー - 【請求項2】 250℃において振動周波数1ラジアン
/秒で測定される複素動的粘度η* (1)が5×104
ポイズ以下である請求項1に記載の熱可塑性エラストマ
ーパウダー。 - 【請求項3】 η* (1)と250℃において振動周波
数100ラジアン/秒で測定される複素動的粘度η
* (100)とを用いて式〔1〕によって算出されるニ
ュートン粘性指数nが0.28以下である、請求項1に
記載の熱可塑性エラストマーパウダー。 n={logη* (1)−logη* (100)}/2 〔1〕 - 【請求項4】 η* (1)が5×104 ポイズ以下であ
り、nが0.28以下である、請求項1に記載の熱可塑
性エラストマーパウダー。 - 【請求項5】 溶剤処理法、ストランドカット法又はダ
イフェースカット法によって製造される請求項1に記載
の熱可塑性エラストマーパウダー。 - 【請求項6】 請求項1に記載の熱可塑性エラストマー
パウダーを用いることを特徴とする粉末成形方法。 - 【請求項7】 請求項1に記載の熱可塑性エラストマー
パウダーが粉末成形されてなることを特徴とする成形
体。
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---|---|---|---|
JP10710997A JP3309763B2 (ja) | 1996-05-10 | 1997-04-24 | 熱可塑性エラストマーパウダー、粉末成形方法及び成形体 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11629496 | 1996-05-10 | ||
JP8-116294 | 1996-05-10 | ||
JP10710997A JP3309763B2 (ja) | 1996-05-10 | 1997-04-24 | 熱可塑性エラストマーパウダー、粉末成形方法及び成形体 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1045976A true JPH1045976A (ja) | 1998-02-17 |
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ID=26447176
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10710997A Expired - Fee Related JP3309763B2 (ja) | 1996-05-10 | 1997-04-24 | 熱可塑性エラストマーパウダー、粉末成形方法及び成形体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3309763B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6395833B1 (en) * | 1999-09-24 | 2002-05-28 | Riken Technos Corporation | Thermoplastic elastomeric resin composition and a granule thereof |
-
1997
- 1997-04-24 JP JP10710997A patent/JP3309763B2/ja not_active Expired - Fee Related
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US6395833B1 (en) * | 1999-09-24 | 2002-05-28 | Riken Technos Corporation | Thermoplastic elastomeric resin composition and a granule thereof |
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---|---|
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