JPH1043948A - 電解加工による仕上げ加工方法 - Google Patents

電解加工による仕上げ加工方法

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JPH1043948A
JPH1043948A JP20022296A JP20022296A JPH1043948A JP H1043948 A JPH1043948 A JP H1043948A JP 20022296 A JP20022296 A JP 20022296A JP 20022296 A JP20022296 A JP 20022296A JP H1043948 A JPH1043948 A JP H1043948A
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JP
Japan
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electrode
processing
rod
current
electrolytic
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JP20022296A
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English (en)
Inventor
Kenji Asaoka
健二 浅岡
Yohei Kuwabara
陽平 桑原
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Shizuoka Seiki Co Ltd
Original Assignee
Shizuoka Seiki Co Ltd
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  • Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 印加電流の低減、三次元形状の加工面の仕上
げ加工および電解液の交換を容易にして加工効率を向上
させることができる仕上げ加工方法を得る。 【構成】 ワークと加工電極との間に電解液を満たし、
前記加工電極から前記ワークに加工電流を供給して前記
ワークの加工面を仕上げる仕上げ加工方法において、上
記加工電極を棒状電極で構成し、その棒状電極をNC制
御によって上記ワークの加工面に倣って移動させるとと
もに、棒状電極に対して移動速度に比例した電流印加を
行いながら電解仕上げ加工を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電解加工による仕上げ
加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】放電加工による無接触加工やフライス盤
等による切削加工によって加工された金型等の金属加工
品の表面仕上に用いられる方法として、電解加工の原理
を用いた電解研磨が知られている。この方法では、硝酸
ナトリュウム、塩化ナトリュウム等の電解液中にワーク
となる金属加工品を配置し、ワークの表面形状と反転し
た形状からなる総型電極をワーク表面に対向させ、ワー
ク表面を陽極とする高い電流密度のパルス電流を流すこ
とでワーク表面を一様に電解溶出させる一方、電解液を
ワーク表面と総型電極との間で高速流動させて電解生成
物を洗い流すことにより電極形状に倣った仕上面の形成
やワーク表面を滑らかな光沢面に仕上げることができ
る。この方法では、2種以上の金属が組み合わされた加
工物でないことや表面の粗さが所定ミクロン以下である
こと等を含む条件が適当であれば熟練を要しなくても光
沢面に仕上げられることが知られている(例えば、19
87年4月15日 開発社発行の「加工の工学」第13
6頁〜138頁)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の電解研
磨等の電解加工には、次のような問題がある。まず第1
に、加工面と対向する電極として、加工面と反転形状に
形成された総型電極等、加工に必要とされる新たな構造
の電極を準備しなければならない。例えば、電解加工に
よる仕上げ工程以前の工程において、放電加工等の総型
電極が用いられている場合には、その電極を用いること
で電解加工が可能であるので、新たな電極を準備する必
要はないものの、放電加工工程において製作が容易な分
割電極や、部分形状のみを放電加工により処理する場合
のように部分形状電極のみを用いた場合には利用できな
い。つまり、部分形状電極を用いた場合、電極の芯出し
が困難であったり、所望する部分形状電極との対向範囲
外においてその電極からの漏れ電流によって必要のない
加工が行われてしまうこで形状精度が確保できなくなる
ことや、一つの加工対象物を加工するに要する時間が増
大する等の問題がある。そこで、ボールエンド・ミル等
を用いて、NCフライス盤やマシニング・センターなど
の工作機械による工具のプログラミング軌跡通りの形状
を創成した三次元形状の仕上げには、電解加工のための
電極を新たに準備しなければならなくなる。しかし、こ
のような加工面に対応した所望の電極を作成することは
コスト面において難しいので、現状では、部分形状電極
を用いることは適当でない。
【0004】第2に、総型電極を用いた場合には、大き
なワークを対象とした場合の仕上げに要する時間が比較
的短時間で済む反面、その加工表面積に比例した値の電
流が必要となる。大表面積を有する金型を対象とした場
合には、時として10万アンペアを超える電流が必要と
なることがあり、大物ワークを対象とする加工装置で
は、高額な装置になり易い。
【0005】第3に、総型電極とワークとの間の隙間に
存在する電解生成物の影響によって加工効率が悪化し、
加工遅れなどの弊害によって形状精度が損ねられる。つ
まり、ワークの加工面と総型電極との間には、パルス電
流印加による電解生成物が充満するので、次のパルス電
流印加により有効な電解溶出反応を生じさせるには、上
記隙間内の電解液を新しいものと交換しておく必要があ
る。このため、パルス電流印加後、次のパルス電流が印
加されるまでの間で電極をワークの仕上げ面から離し、
隙間内に新しい電解液を引込み、再度、電極を所定位置
に復帰させることが行われている。しかし、大型な総型
電極では、一般的に中心位置が液の流動による入れ替え
効果が少ない。これによって、中心位置に残存する電解
生成物の影響を受け易くなるので、電解加工効率が悪く
なる。この結果、特定の部位には加工遅れが発生して形
状精度が損なわれてしまうことになる。そこで、現実に
は、上記のような問題があるために、現状の総型電極を
用いる電解仕上げ加工は、適用範囲が制限され、適用で
きないワーク表面の仕上げ加工には、砥石やサンドペー
パ等を利用して熟練した作業者による手磨きが行われて
おり、加工コスト、加工に要する手間において仕上げ加
工効率を向上させることが困難である。
【0006】本発明の目的は、上記従来の電解加工によ
る仕上げ加工方法における問題に鑑み、総型電極を用い
た場合の問題を全て解消して加工効率を向上させるばか
りでなく、従来の技術では適用できなかった三次元形状
の加工面を対象とした仕上加工が可能な電解加工による
仕上げ加工方法を提供することにある。
【0007】この目的を達成するため、請求項1記載の
発明は、ワークと加工電極との間に電解液を満たし、前
記加工電極から前記ワークに加工電流を供給して前記ワ
ークの加工面を仕上げる仕上げ加工方法において、上記
加工電極を棒状電極で構成し、その棒状電極をNC制御
によって上記ワークの仕上げ面に倣って移動させながら
電解加工を行うことを特徴としている。
【0008】請求項2記載の発明は、請求項1記載の電
解加工による仕上げ加工方法において、上記棒状電極
は、ワークの仕上げ面と対向する先端部が丸頭形状、円
柱形状および角柱形状のいずれかが選択して用いられる
ことを特徴としている。
【0009】請求項3記載の発明は、請求項第1または
2記載の電解加工による仕上げ加工方法において、上記
棒状電極は、上記ワークの仕上げ面に倣って移動する速
度に比例して印加される電流が制御されることを特徴と
している。
【0010】
【作用】請求項1記載の発明では、棒状電極に対して比
較的低電流を印加することができる。特に、棒状電極が
ワークの加工面の面積に比べて大きくないので、大電流
の印加を要しないことにより従来のもののようにパルス
電流ではなく直流電流を用いて加工することができる。
さらに、ワークの加工面と対向する電極の間隙部での面
積が異なっているので、電極同士の対向面積内での加工
屑の偏積度合が低くすることができ、形状精度や表面粗
さが悪化しないようにできる。しかも、電極同士の対向
面積が大きくないことにより、電解生成物の流動が阻害
されないことにより、電解効率が低下しないようにでき
る。
【0011】請求項2記載の発明では、加工面と対向す
る棒状電極の先端部の形状を選択することにより、加工
面との間の隙間設定も適正化され、倣い移動を行わせた
際の電解加工効率を最適化することができる。
【0012】請求項3記載の発明では、棒状電極の移動
速度に比例して加工電流が印加され、棒状電極が移動し
ていないときには電流が印加されず、棒状電極の移動速
度が規定速度に達して時点で規定の加工電流となるよう
に加工電流の印加制御が行われる。
【0013】
【実施例】以下、図面に示した実施例を参照して本発明
の詳細を説明する。図1は、本発明の電解加工による仕
上加工方法を実施するために用いられる電解加工装置の
システム構成を説明するためのブロック図であり、同図
に示された電解加工装置は、ワークの仕上面と対向する
電極部材として、棒状電極が用いられていることを特徴
としている。すなわち、電解加工装置1は、電解液2を
充填した加工槽3を備えており、加工槽3内に加工物で
あるワーク4を載置固定するためのワーク固定装置5が
配置されている。ワーク固定装置5は、絶縁性の高いグ
ラナイトあるいはセラミックス製のテーブルで構成さ
れ、その上面に予め放電加工等によって仕上げ面に相当
する加工面4aが形成されているワーク4が図示しない
ネジやセット治具等の手段により固定されている。
【0014】ワーク4の上部位置には、加工面4aに対
向して電極部6が配置されている。電極部6には、棒状
電極7のチャックを兼ねた給電部8を仕上面4aと対向
させている機械本体9が備えられており、この機械本体
9には、X、Y、Z方向への駆動用サーボモータ10、
11、12により回転駆動されるボールネジ送り機構
(図示されず)が設けられている。
【0015】棒状電極7は、純銅、グラファイトあるい
はステンレス鋼等の耐腐食性を備えた電気的良導体から
なり、仕上面4aの表面積に対してきわめて小さい対向
面積を有するロッド部材で構成されている。棒状電極7
は、外径寸法が次の条件に基づいて設定されている。つ
まり、外径寸法は、電源容量により上限の寸法が、そし
て、電極として要求される剛性が得られるように下限の
寸法がそれぞれ設定され、複雑な加工面の形状の場合に
は小径のものが、また、単純な形状や広範囲の加工面に
対しては大径のものが選択される。棒状電極7は、加工
面4aの形態に応じて適宜交換可能なものである。図1
に示されている棒状電極7は、仕上面4aと対向する先
端部が丸頭形状とされ、仕上面4aとの間の間隙が0.
1〜0.5mmに設定されて給電部8により固定保持さ
れている。この間隙寸法は、電極間でのアークの発生が
防止できると共に電源ロスを抑えられ、さらに形状寸法
の悪化が防止できること根拠としており、最も良好な寸
法としては、0.1mmが好ましい値として設定されて
いる。
【0016】図1に示されている電解加工装置1には、
電解加工を司どるための加工制御手段13が設けられて
いる。加工制御手段13は、サーボモータ10、11、
12の回転制御を行うためのNC制御装置14、加工条
件を制御するための加工条件制御部15、電解液流制御
を行うための電解液流制御部16を備えている。加工制
御手段13には、入力装置17、給電部8に対して給電
するための直流電源部18および電解液濾過装置19が
電気的に接続されており、入力装置17によってNCプ
ログラム、加工条件が入力されるようになっている。加
工制御手段13に対しては、入力装置17を介してワー
クの材質、仕上加工代、寸法精度の等級、仕上面粗さ、
電極間隙等の情報が加工条件として入力され、また、加
工制御手段13から直流電源部18に対しては、棒状電
極7の外径寸法に応じた電流密度の直流電流を発生させ
るための信号が出力される。さらに、加工制御手段13
から電解液濾過装置19に対しては、電解液の流量およ
び流速を設定するための信号が出力される。
【0017】上記構成を備えた電解加工装置1を用いる
本発明の仕上加工方法は、加工制御手段13において、
入力装置17から入力されたNCプログラムによって機
械本体9を加工面4aの形状に倣って三次元方向に移動
させながら、給電部8に対して必要な直流電流を印加し
てワーク4の加工面4aを電解処理する。
【0018】電解処理に際しては、棒状電極7からの電
流印加により加工面4aから電解生成物が発生するが、
この電解生成物は、電解液濾過装置19から供給される
電解液2を給電部8に設けたノズル(図示されず)から
噴出することにより加工面4a近傍から洗い流される。
【0019】本発明者は、棒状電極7の外径寸法と電流
密度との関係が加工に必要な電流密度に対してどのよう
な関係となるかを実験したところ、以下に説明する結果
を得た。
【0020】実験に際しての加工条件は次の通りであ
る。 加工面の面積=900cm2 単位面積当たり仕上げ加工量=0.1mm 目標仕上げ加工時間=60分 棒状電極7の外径寸法=3mm(5mm) 電解加工間隙=0.2〜0.3mm 時間内必要クーロン値=225000(Q) 平均直流電流値=62.5A以上
【0021】これらの条件の基で実験したところ、図2
乃至図6に示す結果となった。図2乃至図4は、棒状電
極7の外径寸法と電流密度との関係であり、次の式
(1)によって電流密度(iθ)を求めた結果である。
【数1】 但し、κ:加工液(電解液)伝導度、E:極間電圧、
θ:棒状電極7の中心からのラジアン角、R:電極半
径、G:最小部の加工間隙とする。図2は、棒状電極7
の外径寸法(2R)が3(mm)、極間電圧(E)が8
(V)、極間間隙(G)が0.2(mm)である場合の
結果であり、図3は、2R=5(mm)、E=15
(v)、G=0.3(mm)の場合の結果であり、さら
に、図4は、2R=10(mm)、E=18(v)、G
=0.5(mm)の場合の結果である。各図から、図2
においては棒状電極7の中心部最大電流密度が40A/
cm2、図3においては上記中心部最大電流密度が38
A/cm2、図4においては中心部最大電流密度が37
A/cm2という結果が得られた。
【0022】一方、図5および図6は棒状電極7の中心
部からの位置における電流値分布状態を図2乃至図4に
示した条件に基づいて実験した結果であり、この場合の
微小ラジアン角内の電流積分値(dIθ)は、式(2)
によって求められる。
【数2】 但し、各パラメータは、式(1)に順じる。図5および
図6においては、各部の電流密度分布が黒色被膜抵抗の
影響を受けないで、電極との距離のみに影響すると仮定
した場合、同一ラジアン角内での積分電流値は、棒状電
極7の半径(R)よりも外側での方が絶対値として大き
くなることが判る。
【0023】一方、図7および図8は、棒状電極7の外
径寸法と極間最小間隙との組合わせによる極間電圧変化
に対する総電流値の関係を実験した結果であり、同図か
ら明らかなように、棒状電極7の外形寸法として直径3
mmとした場合には、間隙を0.1mmに設定しても、
極間電圧を25V程度作用させて略45Aの電流値に止
まるのに対して、棒状電極7の外形寸法として直径5m
mとした場合には、間隙を上記の寸法よりも大きい0.
2mmに設定して極間電圧を上記の場合よりも低い19
V作用させるだけで略70Aというきわめて高い電流値
を確保することができた。以上の結果からいえること
は、加工面4aに対向する電極の面積を小さくすること
により、抵抗率から換算して得られる電流値を大きくす
ることができ、これによって、加工に必要な総電流値を
低減することができる。
【0024】本実施例では、この結果を踏まえて、加工
条件制御部15を介して直流電源部18に対して40V
以下の範囲で1〜100Aの直流を給電部8に印加すべ
く制御が実行される。
【0025】本実施例では、加工条件制御部15から直
流電源部18に対しての給電制御が次のようにして行わ
れる。つまり、本実施例では、加工面4aに倣って移動
する棒状電極7の速度に比例した電流が印加されるよう
になっており、このための制御は、NC制御における3
軸の移動速度を合成した速度を基準としてその速度に比
例した直流電流を設定することが行われている。これに
より、棒状電極7は、非移動時には加工電流が印加され
ず、NC制御による移動方向での移動速度が規定速度に
達した時点で規定値の加工電流が印加されるというよう
に、3軸の各方向での加減速時にその軸速度に比例して
電圧を増減させて加工電流が制御される。図10乃至図
13は、上述した棒状電極7の移動速度と加工電流の印
加状態とを説明するための図であり、図10は、棒状電
極7に見立てた円柱電極7Aを加工面4aに対して直角
に対向させた実験装置であり、この実験装置において、
円柱電極7Aを3000mm/minの移動速度で図
中、Yで示す方向に10往復させ、印加電流を40Aと
する。このような実験装置において、円柱電極7Aへの
加工電流の印加タイミングは、図11に示すとおりであ
る。
【0026】図11において、下段は円柱電極7Aの移
動速度を示し、上段は加工電流を規定するための加工電
圧を示している。本実施例では、円柱電極7Aが移動を
開始して速度が加速されるのと同時に加工電圧に基づき
加工電流も、0A/cm2から印加され始め、円柱電極
7Aが規定の速度に達したときに規定の電流密度が得ら
れるように制御されている。加速の場合とともに、減速
時にも同じ様な制御が行われる。このような加工電流の
制御による結果を示すのが図12および図13であり、
図12は、速度に比例した電流制御が行われていない場
合の表面粗さを示し、図13は上記実験装置を用いて説
明したように速度に比例した電流制御が行われた場合の
表面粗さを示している。図12に示すように、速度に比
例した電流制御が行われない場合には、電極の加減速時
においてワークに与えるクーロン数が結果的に変動する
ため、電極周辺部にも電解作用が及ぶことにより、彫り
込み(図12中、符号Pで示す部分)が発生する。これ
に対して速度に比例して電流制御を行った場合には、図
13に示すように、図12に示した彫り込み現象が抑え
られている。
【0027】本実施例は、次のような手順により加工面
4aに対する電解加工が実施される。まず、加工制御手
段13からは、機械本体9に対してNCプログラムに対
応した三次元移動を行わせるべく、サーボモータ10、
11、12への駆動制御が実行されることで給電部8に
チャッキングされている棒状電極7を加工面4aの形状
に倣って移動させる。給電部8は、三次元移動を行う
際、棒状電極7の先端部と加工面4aとの間の間隙を
0.1〜0.5mmに設定した状態で棒状電極7を固定
保持できる位置に位置決めされていることは前述したと
おりである。また、給電部8は、サーボモータ10、1
1、12による棒状電極7の移動速度に比例した直流電
流が印加されることも前述した通りである。本実施例に
おける棒状電極7は、平均値で40A/cm2の電流密
度が得られる電流値が設定されている。
【0028】このとき、加工槽3には、電解液流制御部
16を介して電解液濾過装置19から電解液2が必要な
流量および流速を以て供給され、棒状電極7と加工面4
aとの間の電解生成物の排除が行える状態が設定され
る。棒状電極7の先端部は、加工面4aの一部と対向し
ているだけであるので、電解液2が間隙間を流れる際の
流路長がきわめて短い。このため、間隙内に介在する電
解生成物が容易に流されることになり、間隙内は常に清
浄化されることになる。電解液流制御部16では、棒状
電極7において実施される電流印加のタイミングに対応
して電解生成物を排除することができる電解液2の供給
が行えるようにされている。これにより、加工電流が棒
状電極7に印加されることで棒状電極7と加工面4aと
の間の間隙内に電解生成物が介在した場合には、次の加
工電流が印加されるまでの間に電解生成物が排除され
る。電解液2が供給される際には、上述したように、間
隙内に残存する電解生成物を排除できる流速および流量
が設定されている電解液が供給されるので、間隙内のき
わめて短い流路長を通過する際に、容易に電解生成物が
排除されて新たな電解液と交換される。本実施例では、
電解液2の交換に際して棒状電極7を加工面4aから離
すことは行われず、対向したままの状態で新たな電解液
2が供給されて交換が行われる。以上のような処理を加
工面4aに対する加工条件に適合するまでの間、繰り返
すことにより、仕上げ加工が行われる。
【0029】本実施例によれば、加工面4aに対向する
電極を加工面4aの表面積よりも小さい棒状電極7を用
いることにより、電極としての構造を簡単なものですま
せることができる。これにより、加工コストの上昇を抑
制した仕上げ加工が行える。
【0030】上記した棒状電極7は、その先端部の形状
および形状を上記した装置のものに限定されるものでは
なく、円柱形あるいは角柱形状とすることも可能であ
る。このような形状の選択を行うことにより、加工面4
aの形態に応じて加工面4aと電極面との対向状態を最
適化して電極間の間隙を所定条件下に設定できることに
より加工面に微少半径(R)からなる隅形状を含むもの
にも適用することができる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明によれば、ワークの加工面に対向して配置される電極
部材として、加工面の表面積よりも小さい面積を有する
棒状電極とすることにより、低電流を印加した場合でも
所望する表面粗さを確保することが可能になるので、電
流印加のための装置構造を大型化する必要がなくなる。
しかも、大電流を要しないことによってパルス電流では
なく直流電流を用いた仕上げ加工ができるので、加工効
率が向上させられると共に、大きな加工面の仕上げを対
象とした場合の装置を比較的安価なものとすることがで
きる。
【0032】さらに、請求項1記載の発明によれば、棒
状電極は、NCプログラムによって三次元移動させるこ
とができるので、従来のような定置形式の電極と違っ
て、加工面の形状の如何に拘らず、その形状に倣って移
動しながら加工面の仕上げ加工を行うことが可能にな
る。
【0033】また、請求項1記載の発明によれば、加工
面の表面積に比べてきわめて小さい面積を以て対向する
ことができる棒状電極を用いることにより加工面と電極
との間の電解液の流路長を短くすることができるので、
従来のものと違って、交換の度毎に電極を移動させる操
作を要することなく電解液の交換が容易に行われ、これ
によって、交換操作を簡略化しても電解生成物の残留を
なくして加工効率が低下するのを確実に防止することが
可能になる。しかも、加工間隙部の面積を異ならせるこ
とにより、加工屑の偏積状態を異ならせて加工屑が一部
に集中するような現象をなくでるので、形状精度や表面
粗さが向上させられる。
【0034】請求項2記載の発明によれば、棒状電極の
先端部および形状を選択することにより、対向する加工
面との間隙設定を適性化することができ、これによっ
て、間隙のバラツキをなくして電解加工効率が低減する
のを防止することが可能になる。
【0035】請求項3記載の発明によれば、棒状電極の
移動速度に比例して加工電流の制御が行われるので、棒
状電極が規定の移動速度に達した時点に対応して規定の
加工電流を印加することが可能になり、これによって、
電極周辺部での彫り込み現象が発生するのを防止して規
定の面形状に対応させた表面の仕上げ加工が可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の仕上げ加工方法に適用される電解加工
装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図2】図1に示した電解加工装置で設定される電極の
外形寸法と電流密度との関係を説明するための線図であ
る。
【図3】図1に示した電解加工装置で設定される電極の
外形寸法と電流密度との関係を説明するために図2に示
した条件と異なる条件下での関係を説明するための線図
である。
【図4】図1に示した電解加工装置で設定される電極の
外形寸法と電流密度との関係を説明するために図2およ
び図3に示した条件と異なる条件下での関係を説明する
ための線図である。
【図5】図2に示した条件下での電極中心からの位置と
その位置での電流値との関係を説明するための線図であ
る。
【図6】図3に示した条件下での電極中心からの位置と
その位置での電流値との関係を説明するための線図であ
る。
【図7】図4に示した条件下での電極中心からの位置と
その位置での電流値との関係を説明するための線図であ
る。
【図8】電極の外形寸法に対する極間電圧と電流値との
関係を説明するための線図である。
【図9】図8に示した条件と異なる条件下での電極の外
形寸法に対する極間電圧と電流値との関係を説明するた
めの線図である。
【図10】請求項3記載の発明を説明するための実験装
置を示す模式図である。
【図11】図11に示した実験装置により実施される制
御の内容を説明するための、電極の移動速度と加工電圧
の印加状態との関係を示す線図である。
【図12】図11に示した実験装置による制御が行われ
ない場合の表面粗さを示す模式図である。
【図13】請求項3記載の発明により得られる表面粗さ
を示す模式図である。
【符号の説明】
1 電解加工装置 2 電解液 3 加工槽 4 加工物であるワーク 4a 加工面 6 電極部 7 棒状電極 8 給電部 9 機械本体 10、11、12 サーボモータ 13 加工制御手段 14 NC制御装置 15 加工条件制御部 16 電解液流制御部 17 入力装置 18 直流電源部 19 電解液濾過装置
【手続補正書】
【提出日】平成8年9月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正内容】
【0002】
【従来の技術】放電加工による無接触加工やフライス盤
等による切削加工によって加工された金型等の金属加工
品の表面仕上に用いられる方法として、電解加工の原理
を用いた電解仕上げが知られている。この方法では、硝
酸ナトリュウム、塩化ナトリュウム等の電解液中にワー
クとなる金属加工品を配置し、ワークの表面形状と反転
した形状からなる総型電極をワーク表面に対向させ、ワ
ーク表面を陽極とする高い電流密度のパルス電流を流す
ことでワーク表面を一様に電解溶出させる一方、電解液
をワーク表面と総型電極との間で高速流動させて電解生
成物を洗い流すことにより電極形状に倣った仕上面の形
成やワーク表面を滑らかな光沢面に仕上げることができ
る。この方法では、2種以上の金属が組み合わされた加
工物でないことや表面の粗さが所定ミクロン以下である
こと等を含む条件が適当であれば熟練を要しなくても光
沢面に仕上げられることが知られている(例えば、19
87年4月15日 開発社発行の「加工の工学」第13
6頁〜138頁)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正内容】
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の電解総
型電極を用いた電解仕上げには、次のような問題があ
る。まず第1に、加工面と対向する電極として、加工面
と反転形状に形成された総型電極等、加工に必要とされ
る新たな構造の電極を準備しなければならない。例え
ば、電解加工による仕上げ工程以前の工程において、放
電加工等の総型電極が用いられている場合には、その電
極を用いることで電解加工が可能であるので、新たな電
極を準備する必要はないものの、放電加工工程において
製作が容易な分割電極や、部分形状のみを放電加工によ
り処理する場合のように部分形状電極のみを用いた場合
には利用できない。つまり、部分形状電極を用いた場
合、電極の芯出しが困難であったり、所望する部分形状
電極との対向範囲外においてその電極からの漏れ電流に
よって必要のない加工が行われてしまうこで形状精度
が確保できなくなることや、一つの加工対象物を加工す
るに要する時間が増大する等の問題がある。また、ボー
ルエンド・ミル等を用いて、NCフライス盤やマシニン
グ・センターなどの工作機械による工具のプログラミン
グ軌跡通りの形状を創成した三次元形状の切削加工後の
仕上げには、電解仕上げのための電極を新たに準備しな
ければならなくなる。しかし、このような加工面に対応
した所望の電極を作成することはコスト面において難し
。従って現状では、切削加工後や部分形状電極を用い
た放電加工後の仕上げに、上述した電解仕上げを用いる
ことは適当でない。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】
【作用】請求項1記載の発明では、棒状電極に対して比
較的低電流を印加することができる。特に、棒状電極が
ワークの加工面の面積に比べて大きくないので、大電流
の印加を要しないことにより従来のもののようにパルス
電流ではなく直流電流を用いて加工することができる。
さらに、ワークの加工面と対向する電極の表面積が大き
くないので、電解生成物の流動が阻害されないことによ
り、電極同士の対向面積内での加工屑の偏積度合低く
することができ、電解効率が安定し、形状精度や表面粗
さが悪化しないようにできる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】請求項3記載の発明では、棒状電極の移動
速度に比例して加工電流が印加され、棒状電極が移動し
ていないときには電流が印加されず、棒状電極の移動速
度が規定速度に達し時点で規定の加工電流となるよう
に加工電流の印加制御が行われる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】図1に示されている電解加工装置1には、
電解仕上げ加工を司どるための加工制御手段13が設け
られている。加工制御手段13は、サーボモータ10、
11,12の回転制御を行うためのNC制御装置14、
加工条件を制御するための加工条件制御部15、電解液
流制御を行うための電解液流制御部16を備えている。
加工制御手段13には、入力装置17、給電部8に対し
て給電するための直流電源部18および電解液濾過装置
19が電気的に接続されており、入力装置17によって
NCプログラム、加工条件が入力されるようになってい
る。加工制御手段13に対しては、入力装置17を介し
てワークの材質、仕上加工代、寸法精度の等級、仕上面
粗さ、電極間隙等の情報が加工条件として入力され、ま
た、加工制御手段13から直流電源部18に対しては、
棒状電極7の外径寸法に応じた電流密度の直流電流を発
生させるための信号が出力される。さらに、加工制御手
段13から電解液濾過装置19に対しては、電解液の流
量および流速を設定するための信号が出力される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】電解処理に際しては、棒状電極7からの電
流印加により加工面4aから電解生成物が発生するが、
この電解生成物は、電解液濾過装置19から供給される
電解液2を給電部8に設けたノズル(図示されず)から
噴出又は吸入することにより加工面4a近傍から排除
れる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】実験に際しての加工条件は次の通りであ
る。 加工面の全表面積=900cm 単位面積当たり仕上げ加工量=0.1mm 目標仕上げ加工時間=60分 棒状電極7の外径寸法=3mm(5mm) 電解加工間隙=0.2〜0.3mm 時間内必要クーロン値=225000(Q) 平均直流電流値=62.5A以上
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正内容】
【0033】また、請求項1記載の発明によれば、加工
面の表面積に比べてきわめて小さい面積を以て対向する
ことができる棒状電極を用いることにより加工面と電極
との間の電解液の流路長を短くすることができるので、
従来のものと違って、交換の度毎に電極を移動させる操
作を要することなく電解液の交換が容易に行われ、これ
によって、交換操作を簡略化しても電解生成物の残留を
なくして加工効率が低下するのを確実に防止することが
可能になる。しかも、加工間隙部の面積を異ならせるこ
とにより、加工屑の偏積状態を異ならせて加工屑が一部
に集中するような現象をなくるので、形状精度や表面
粗さが向上させられる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワークと加工電極との間に電解液を満た
    し、前記加工電極から前記ワークに加工電流を供給して
    前記ワークの加工面を仕上げる仕上げ加工方法におい
    て、上記加工電極を棒状電極で構成し、その棒状電極を
    NC制御によって上記ワークの仕上げ面に倣って移動さ
    せながら電解加工を行うことを特徴とする電解加工によ
    る仕上げ加工方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の電解加工による仕上げ加
    工方法において、 上記棒状電極は、ワークの仕上げ面と対向する先端部が
    丸頭形状、円柱形状および角柱形状のいずれかが選択し
    て用いられることを特徴とする電解加工による仕上げ加
    工方法。
  3. 【請求項3】 請求項第1または2記載の電解加工によ
    る仕上げ加工方法において、 上記棒状電極は、上記ワークの仕上げ面に倣って移動す
    る速度に比例して印加される電流が制御されることを特
    徴とする電解加工による仕上げ加工方法。
JP20022296A 1996-07-30 1996-07-30 電解加工による仕上げ加工方法 Pending JPH1043948A (ja)

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