JPH1037879A - スクロール圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 背圧室の圧力に影響を与えることなく圧縮室
へ冷媒を注入して、固定スクロールが軸方向に一定量移
動するスクロール圧縮機の信頼性を向上する。 【解決手段】 軸方向に一定量の移動が可能に配設され
た固定スクロール２、この固定スクロールとともに圧縮
室を構成して冷媒を圧縮する揺動スクロール１を備え、
前記圧縮室の圧力と固定スクロール２の反圧縮室側の圧
力との合成力により固定スクロール２を揺動スクロール
１に押し付けるようにしたものにおいて、前記固定スク
ロール２の反圧縮室側圧力と隔てられ、前記圧縮室へ外
部から冷媒を注入する冷媒通路１６を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は冷凍、空調機器等
に使用されるスクロール圧縮機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図９は、例えば米国特許第５，３２９，
７８８号明細書に示された従来のスクロール圧縮機を示
す断面図である。図において、１は揺動スクロール、２
は軸方向に一定量の移動が可能に配設された固定スクロ
ール、３は揺動スクロールを軸方向に支持する軸受支
え、４は密閉容器を吐出圧力空間と吸入圧力空間に分割
するセパレータである。

【０００３】このように構成されたスクロール圧縮機で
は、揺動スクロール１が公転運動を始めると、揺動スク
ロール１と２の固定スクロールを組み合わせた圧縮室１
０で圧縮された冷媒ガスは、固定スクロール２に設けら
れた吐出孔９から密閉容器内に吐出され、吐出管１１を
経て圧縮機外に吐き出される。高低圧セパレータ４と固
定スクロール２の間には高圧側シール５と低圧側シール
６で区画された背圧室７が配設され、この背圧室７と圧
縮室１０を連通する抽気孔８が設けられている。

【０００４】ここで、固定スクロール２は軸方向に一定
量の移動が可能に支持されているため、運転中は圧縮室
に作用する軸方向のスラスト力により、揺動スクロール
１に対して、軸方向に離反しようとする。この力を固定
スクロール２の反渦巻側に作用する吐出圧力と背圧室７
に作用する圧力の和でキャンセルし、固定スクロール２
を揺動スクロール１に比較的弱い力で押しつけ、渦巻の
歯先を接触させて圧縮室のシールを良好に保って運転し
ている。

【０００５】また、吐出圧力と吸入圧力の比である圧縮
比が高い運転条件では圧縮機の吐出ガス温度が上昇し、
圧縮機内部の熱膨張の増大や潤滑油の劣化等の悪影響を
生じるため、吐出ガス温度を低減させるために圧縮途中
の圧縮室内に液冷媒を注入して圧縮機を運転する必要が
ある。このため、凝縮器２１を出た液冷媒の一部を分流
して、毛細管２４で適当な圧力に調整し、制御弁２５を
通して、冷媒配管１３を介して背圧室７に一旦導入し、
抽気孔８を通して圧縮室１０に液冷媒を導入している。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】従来のスクロール圧縮
機は、以上のように構成されているので、固定スクロー
ル２が軸方向に変位するため、直接固定スクロール２の
抽気孔８に冷媒配管１３を結合させると固定スクロール
２の変位を阻害し、また接合部の強度的信頼性の確保が
困難である。または、背圧室７に液冷媒を注入させた場
合、液冷媒の導入圧力が作用することになり、固定スク
ロールの押しつけ力を最適値に保つことは困難となる。
逆に、固定スクロールの押しつけ力を適正に保ったまま
の導入圧力で液インジェクションの効果を十分に発揮さ
せることも困難である。

【０００７】この発明は、上記のような問題点を解消す
るためになされたもので、背圧室７の圧力を直接影響を
与えずに、圧縮室内に冷媒を出入りさせられる冷媒流路
を得ることを目的とし、さらに、固定スクロールが軸方
向に一定量移動するスクロール圧縮機の圧縮室に圧縮機
外部と連通する冷媒流路を設ける場合に信頼性の高い構
造を得ることを目的とする。

【０００８】第１の発明は、背圧室の圧力に影響を与え
ることなく圧縮室へ冷媒を注入して、固定スクロールが
軸方向に一定量移動するスクロール圧縮機の信頼性を向
上しようとするものである。

【０００９】第２の発明は、可動配管により固定スクロ
ールを介して、背圧室の圧力に影響を与えることなく圧
縮室へ冷媒を注入して、固定スクロールの移動に関係な
く安定した冷媒の注入を行うことができるようにし、固
定スクロールが軸方向に一定量移動するスクロール圧縮
機の信頼性を向上しようとするものである。

【００１０】第３の発明は、揺動スクロールと軸受支え
とに設けられ、互いに連通した冷媒通路により、背圧室
の圧力に影響を与えることなく圧縮室へ冷媒を注入し
て、固定スクロールが軸方向に一定量移動するスクロー
ル圧縮機の信頼性を向上しようとするものである。

【００１１】第４の発明は、揺動スクロールと軸受支え
とに設けられ、互いに連通状態を確保された冷媒通路に
より、背圧室の圧力に影響を与えることなく圧縮室へ冷
媒を確実に注入して、固定スクロールが軸方向に一定量
移動するスクロール圧縮機の信頼性を向上しようとする
ものである。

【００１２】第５の発明は、冷媒注入孔を対称位置に配
置し、背圧室の圧力に影響を与えることなく圧縮室へ冷
媒を注入して、固定スクロールが軸方向に一定量移動す
るスクロール圧縮機の信頼性を向上するとともに、圧縮
室の圧力および温度を均等化でき、固定スクロールおよ
び揺動スクロールの圧力および温度による変形・移動を
均等化することができるスクロール圧縮機を得ようとす
るものである。

【００１３】第６の発明は、冷媒注入孔を抽気孔よりも
伸開角で２π以上内側に配設し、背圧室の圧力に影響を
与えることなく圧縮室へ冷媒を注入して、固定スクロー
ルが軸方向に一定量移動するスクロール圧縮機の信頼性
を向上するとともに、冷媒注入孔と連通する圧縮機と抽
気孔と連通する圧縮室の干渉をなくすことができ、圧縮
室に冷媒を注入しても固定スクロールの軸方向のスラス
ト力には影響を及ぼさないスクロール圧縮機を得ようと
するものである。

【００１４】第７の発明は、抽気孔に対し、冷媒注入孔
を圧縮室の対称位置に配設し、背圧室の圧力に影響を与
えることなく圧縮室へ冷媒を注入して、固定スクロール
が軸方向に一定量移動するスクロール圧縮機の信頼性を
向上するとともに、固定スクロールおよび揺動スクロー
ルの変形・移動を均等化し、安定した運転をすることが
できるスクロール圧縮機を得ようとするものである。

【００１５】

【課題を解決するための手段】第１の発明のスクロール
圧縮機においては、軸方向に一定量の移動が可能に配設
された固定スクロール、この固定スクロールとともに圧
縮室を構成して冷媒を圧縮する揺動スクロールを備え、
前記圧縮室の圧力と固定スクロールの反圧縮室側の圧力
との合成力により固定スクロールを揺動スクロールに押
し付けるようにしたものにおいて、前記固定スクロール
の反圧縮室側圧力と隔てられ、前記圧縮室へ外部から冷
媒を注入する冷媒通路を設けたことを特徴とする。

【００１６】第２の発明のスクロール圧縮機において
は、密閉容器内に軸方向を支持され、台板の片側に渦巻
を有し、かつ上記渦巻の反対側に駆動力を受けるための
軸または軸受けを有する揺動スクロール、台板の片側に
渦巻を有し、上記揺動スクロールの渦巻と組み合わせる
ことにより、圧縮室を形成し、半径方向および軸方向に
支持されて軸方向に一定量の移動が可能に配設され、軸
方向に押え付ける力を調節するために圧縮室より圧力を
取り出すための抽気孔を配設された固定スクロール、上
記固定スクロールの渦巻の反対側に位置し、密閉容器を
吸入圧力室と、吐出圧力室に分割する高低圧セパレー
タ、上記揺動スクロールを軸方向に支持する軸受支えを
有するスクロール圧縮機において、上記固定スクロール
に設けられ前記圧縮室へ圧縮機外部から冷媒を注入する
冷媒通路と圧縮機外部とを可動配管により接続したこと
を特徴とする。

【００１７】第３の発明のスクロール圧縮機において
は、前記揺動スクロールと揺動スクロールを支持する軸
受支えとに、互いに連通し、圧縮機外部から冷媒を注入
する冷媒通路をそれぞれ設けたことを特徴とする。

【００１８】第４の発明のスクロール圧縮機において
は、前記揺動スクロールの冷媒通路は、径方向に延長す
る中間部と、この中間部の内端に設けられ圧縮室に向け
て軸方向に延長する内端部と、中間部の外端に設けられ
軸受支えに向けて軸方向に延長する外端部とを有すると
ともに、軸受支えの冷媒通路は、径方向に延長する中間
部と、この中間部の内端に設けられ揺動スクロールに向
けて軸方向に延長する内端部と、中間部の外端に設けら
れた外端部とを有し、前記軸受支えの冷媒通路内端部
は、揺動スクロールの冷媒通路外端部の揺動に対応し
て、この冷媒通路外端部との連通を確保する開口を有す
ることを特徴とする。

【００１９】第５の発明のスクロール圧縮機において
は、前記圧縮室へ圧縮機外部から冷媒を注入する注入孔
を対称位置に偶数個配置したことを特徴とする。

【００２０】第６の発明のスクロール圧縮機において
は、前記固定スクロールに配設された固定スクロールを
軸方向に押さえつける力を調節するために圧縮室から圧
力を取り出す抽気孔よりも上記固定スクロールおよび揺
動スクロールに配設する圧縮機外部から冷媒を注入する
注入孔を伸開角で２π以上内側に配設したことを特徴と
する。

【００２１】第７の発明のスクロール圧縮機において
は、前記固定スクロールに配設された固定スクロールを
軸方向に押さえつける力を調節するために圧縮室から圧
力を取り出す抽気孔に対し、前記固定スクロールおよび
揺動スクロールに配設する圧縮機外部から冷媒を注入す
る注入孔を圧縮室の対称位置に配設したことを特徴とす
る。

【００２２】この発明の実施の形態においては、次のよ
うな課題解決手段を有する。この発明の実施の形態は、
固定スクロールに圧縮機外部より冷媒を注入する冷媒通
路を設け、固定スクロールの冷媒通路と圧縮機外部とを
可動できる配管で接続したものである。また、この発明
の実施の形態は、軸受け支えに圧縮機外部より冷媒を注
入する冷媒通路を設け、揺動スクロールの冷媒注入孔よ
り冷媒を注入できるようにしたものである。また、この
発明は、固定スクロールおよび揺動スクロールの冷媒注
入孔を半径方向の中心に対して対称位置に偶数個配置し
たものである。また、この発明の実施の形態は、固定ス
クロール及び揺動スクロールの冷媒注入孔を固定スクロ
ールに設置された抽気孔に対して伸開角で２π以上内側
に配置したものである。また、この発明の実施の形態
は、固定スクロールおよび揺動スクロールの冷媒注入孔
を固定スクロールに設置された抽気孔に対して半径方向
に対称的な圧縮室に配置したものである。

【００２３】

【発明の実施の形態】

実施の形態１．以下、この発明の一実施の形態を図につ
いて説明する。図１において、１は揺動スクロール、２
は軸方向に一定量の移動が可能に配設された固定スクロ
ールで、板バネ２０により軸受け支え３に締結され、径
方向の移動を規制されている。４は密閉容器１４内を吐
出圧力雰囲気と吸入圧力雰囲気に区画する高低圧セパレ
ータであり、シール５により、高圧と低圧をシールして
いる。

【００２４】揺動スクロール１と固定スクロール２を組
み合わせた圧縮室１０で圧縮された冷媒ガスは、固定ス
クロール２に設けられた吐出孔９より密閉容器内に吐出
され、吐出管１１を経て圧縮機外に吐き出される。ま
た、固定スクロール２は軸方向に一定量の移動が可能に
支持されているため、運転中は圧縮室に作用する軸方向
のスラスト力により、揺動スクロール１に対して、軸方
向に離反しようとする。この力を固定スクロール２の反
渦巻側に作用する吐出圧力でキャンセルし、固定スクロ
ール２を揺動スクロール１に押し付け、渦巻の歯先を接
触させて圧縮室のシールを良好に保っている。

【００２５】１３は圧縮機運転中に圧縮機外部から冷媒
を導入するための配管、１５は高低圧セパレータ４と固
定スクロール２の冷媒注入孔を接続する可撓性部材から
なるバネ形状の配管、１６は固定スクロールに加工され
た冷媒注入孔である。高低圧セパレータ４と固定スクロ
ール２の冷媒注入孔を接続する配管１５は、固定スクロ
ール２が軸方向のスラスト力により移動しても接続部分
が破損しないようバネ形状としており、固定スクロール
２の移動および抽気孔の位置に関係なく、安定した冷媒
の注入を行うことができる。また、高低圧セパレータ４
と固定スクロール２はシール材を不要とすることができ
る。

【００２６】実施の形態２．図２において、１３は圧縮
機運転中に圧縮機外部より冷媒を注入する配管、１７は
軸受支え３に加工された冷媒注入孔からなる冷媒通路、
１８は揺動スクロールに加工された冷媒注入孔からなる
冷媒通路であり、その他の構成部品は上記実施の形態１
と同様である。

【００２７】軸受支え３に加工された冷媒注入孔からな
る冷媒通路１７を通して揺動スクロール１に加工された
冷媒注入孔からなる冷媒通路１８から圧縮室へ冷媒を注
入することにより、固定スクロール２の軸方向のスラス
ト力による移動に関係なく冷媒の注入を安定して行うこ
とができ、シール材を用いることなく冷媒を注入でき
る。

【００２８】前記揺動スクロール１に設けられた冷媒注
入孔からなる冷媒通路１８は、径方向に延長する中間部
と、この中間部の内端に設けられ圧縮室１０に向けて軸
方向に延長する内端部と、中間部の外端に設けられ軸受
支え３に向けて軸方向に延長する外端部とを有するとと
もに、軸受支え３に設けた冷媒注入孔からなる冷媒通路
１７は、径方向に延長する中間部と、この中間部の内端
に設けられ揺動スクロール１に向けて軸方向に延長する
内端部と、中間部の外端に設けられた外端部とを有し、
前記軸受支え３の冷媒通路１７内端部の開口端には、他
の部分よりも広い断面積の拡大部が設けられ、揺動スク
ロール１の揺動による冷媒通路１８外端部の揺動に対応
して、この冷媒通路１８外端部との連通を確保し、揺動
スクロール１の揺動動作時に冷媒通路１７・１８間で冷
媒を確実に流通するように構成されている。

【００２９】実施の形態３．図３は、上記実施の形態１
において、固定スクロール２に加工された冷媒注入孔１
６・１６ａを半径方向の対称位置に偶数個設置したもの
であり、図４は、上記実施の形態２において揺動スクロ
ール１に加工された冷媒注入孔１８・１８ａを半径方向
の対称位置に偶数個設置したものである。

【００３０】図３・図４に示す揺動スクロールに半径方
向の対称位置から冷媒を注入することにより、左右の圧
縮室の圧力および温度を均等化することができ、固定ス
クロール２および揺動スクロール１の圧力および温度に
よる変形・移動を均等化することができる。

【００３１】実施の形態４．図５は、上記実施の形態１
において固定スクロール２の冷媒注入孔１６・１６ａを
抽気孔８より伸開角で２π以上内側に設置したものであ
り、図６は、上記実施の形態２において揺動スクロール
１の冷媒注入孔１８・１８ａを抽気孔８より伸開角で２
π以上内側に設置したものである。

【００３２】図５・図６に示す揺動スクロールに冷媒注
入孔１６・１６ａおよび１８・１８ａを抽気孔８より伸
開角で２π以上内側に設置することにより、冷媒注入孔
と連通する圧縮機１０ｂと抽気孔と連通する圧縮室１０
ａの干渉をなくすことができ、圧縮室に冷媒を注入して
も固定スクロール２の軸方向のスラスト力には影響を及
ぼすことがない。

【００３３】実施の形態５．図７は、上記実施の形態１
において固定スクロール２の冷媒注入孔１６を抽気孔８
に対して半径方向に対称な位置に設置したものであり、
図８は、上記実施の形態２において揺動スクロール１の
冷媒注入孔１８を抽気孔８に対して半径方向に対称な位
置に設置したものである。

【００３４】図７・８で示すように冷媒注入孔１６・１
８を抽気孔８と半径方向に対称な位置に設置することに
より、上記実施の形態４と同様に冷媒注入孔と連通する
圧縮室１０ｂと抽気孔と連通する圧縮室１０ａの干渉を
なくすことができる。

【００３５】以上のように、この発明の実施の形態によ
れば、高低圧セパレータと固定スクロールを移動できる
配管で接続したので、固定スクロールの移動および抽気
孔の位置に関係なく安定した冷媒の注入を行うことがで
き、信頼性の高いものが得られる効果がある。

【００３６】また、実施の形態２では軸受支えを通して
揺動スクロールより冷媒の注入を行うようにしたので、
実施の形態１と同様に固定スクロールの移動に関係なく
安定した冷媒の注入を行うことができ、信頼性の高いも
のが得られる効果がある。

【００３７】また、実施の形態３では、固定スクロール
および揺動スクロールの冷媒注入孔を半径方向に対称な
位置に配設したので、固定スクロールおよび揺動スクロ
ールの変形・移動を均等化し、安定した運転をすること
ができ、信頼性の高いものが得られる効果がある。

【００３８】また、実施の形態４では、固定スクロール
及び揺動スクロールの冷媒注入孔を抽気孔に対して伸開
角で２π以上内側に配置したので、圧縮機運転中に冷媒
を注入しても、固定スクロールの移動に影響を与えるこ
とがなく安定した運転をすることができ、信頼性の高い
ものが得られる効果がある。

【００３９】また、実施の形態５では、固定スクロール
及び揺動スクロールの冷媒注入孔を抽気孔に対して半径
方向に対称な位置に配置したので、実施の形態４と同様
に圧縮機運転中に冷媒を注入しても固定スクロールの移
動に影響を与えることがなく、安定した運転をすること
ができ、信頼性の高いものが得られる効果がある。

【００４０】

【発明の効果】第１の発明によれば、背圧室の圧力に影
響を与えることなく圧縮室へ冷媒を注入して、固定スク
ロールが軸方向に一定量移動するスクロール圧縮機の信
頼性を向上することができる。

【００４１】第２の発明によれば、可動配管により固定
スクロールを介して、背圧室の圧力に影響を与えること
なく圧縮室へ冷媒を注入して、固定スクロールの移動に
関係なく安定した冷媒の注入を行うことができるように
し、固定スクロールが軸方向に一定量移動するスクロー
ル圧縮機の信頼性を向上することができる。

【００４２】第３の発明によれば、揺動スクロールと軸
受支えとに設けられ、互いに連通した冷媒通路により、
背圧室の圧力に影響を与えることなく圧縮室へ冷媒を注
入して、固定スクロールが軸方向に一定量移動するスク
ロール圧縮機の信頼性を向上することができる。

【００４３】第４の発明によれば、揺動スクロールと軸
受支えとに設けられ、互いに連通状態を確保された冷媒
通路により、背圧室の圧力に影響を与えることなく圧縮
室へ確実に冷媒を注入して、固定スクロールが軸方向に
一定量移動するスクロール圧縮機の信頼性を向上するこ
とができる。

【００４４】第５の発明によれば、冷媒注入孔を対称位
置に配置し、背圧室の圧力に影響を与えることなく圧縮
室へ冷媒を注入して、固定スクロールが軸方向に一定量
移動するスクロール圧縮機の信頼性を向上するととも
に、圧縮室の圧力および温度を均等化でき、固定スクロ
ールおよび揺動スクロールの圧力および温度による変形
・移動を均等化できるスクロール圧縮機を得ることがで
きる。

【００４５】第６の発明によれば、冷媒注入孔を伸開角
で２π以上内側に配設し、背圧室の圧力に影響を与える
ことなく圧縮室へ冷媒を注入して、固定スクロールが軸
方向に一定量移動するスクロール圧縮機の信頼性を向上
するとともに、冷媒注入孔と連通する圧縮機と抽気孔と
連通する圧縮室の干渉をなくすことができ、圧縮室に冷
媒を注入しても固定スクロールの軸方向のスラスト力に
は影響を及ぼさないスクロール圧縮機を得ることができ
る。

【００４６】第７の発明によれば、抽気孔に対し冷媒注
入孔を圧縮室の対称位置に配設し、背圧室の圧力に影響
を与えることなく、圧縮室へ冷媒を注入して、固定スク
ロールが軸方向に一定量移動するスクロール圧縮機の信
頼性を向上するとともに、固定スクロールおよび揺動ス
クロールの変形・移動を均等化し、安定した運転をする
ことができるスクロール圧縮機を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明の一実施形態によるスクロール圧縮
機の断面図。

【図２】 この発明の他の実施の形態によるスクロール
圧縮機の断面図。

【図３】 この発明の他の実施の形態によるスクロール
圧縮機の断面図。

【図４】 この発明の他の実施の形態によるスクロール
圧縮機の断面図。

【図５】 この発明の他の実施の形態によるスクロール
圧縮機の圧縮工程図。

【図６】 この発明の他の実施の形態によるスクロール
圧縮機の圧縮工程図。

【図７】 この発明の他の実施の形態によるスクロール
圧縮機の圧縮工程図。

【図８】 この発明の他の実施の形態によるスクロール
圧縮機の圧縮工程図。

【図９】 従来のスクロール圧縮機の断面図。

【符号の説明】

１ 揺動スクロール、２ 固定スクロール、３ 軸受支
え、４ 高低圧セパレータ、７ 背圧室、８ 抽気孔、
１０ 圧縮室、５ シール、２０ 板バネ、１３ 冷媒
注入管、１５ 可動配管、１６ 冷媒注入孔（固定スク
ロール）、１７冷媒注入孔（軸受支え）、１８ 冷媒注
入孔（揺動スクロール）。

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸方向に一定量の移動が可能に配設され
   た固定スクロール、この固定スクロールとともに圧縮室
   を構成して冷媒を圧縮する揺動スクロールを備え、前記
   圧縮室の圧力と固定スクロールの反圧縮室側の圧力との
   合成力により固定スクロールを揺動スクロールに押し付
   けるようにしたものにおいて、前記固定スクロールの反
   圧縮室側圧力と隔てられ、前記圧縮室へ外部から冷媒を
   注入する冷媒通路を設けたことを特徴とするスクロール
   圧縮機。
2. 【請求項２】 密閉容器内に軸方向を支持され、台板の
   片側に渦巻を有し、かつ前記渦巻の反対側に駆動力を受
   けるための軸または軸受けを有する揺動スクロール、台
   板の片側に渦巻を有し、前記揺動スクロールの渦巻と組
   み合わせることにより、圧縮室を形成し、半径方向およ
   び軸方向に支持されて軸方向に一定量の移動が可能に配
   設され、軸方向に押え付ける力を調節するために圧縮室
   より圧力を取り出すための抽気孔を配設された固定スク
   ロール、前記固定スクロールの渦巻の反対側に位置し、
   密閉容器を吸入圧力室と、吐出圧力室に分割する高低圧
   セパレータ、前記揺動スクロールを軸方向に支持する軸
   受支えを有するスクロール圧縮機において、前記固定ス
   クロールに設けられ前記圧縮室へ圧縮機外部から冷媒を
   注入する冷媒通路と圧縮機外部とを可動配管により接続
   したことを特徴とするスクロール圧縮機。
3. 【請求項３】 前記揺動スクロールと揺動スクロールを
   支持する軸受支えとに、互いに連通し、圧縮機外部から
   冷媒を注入する冷媒通路をそれぞれ設けたことを特徴と
   する請求項１に記載のスクロール圧縮機。
4. 【請求項４】 前記揺動スクロールの冷媒通路は、径方
   向に延長する中間部と、この中間部の内端に設けられ圧
   縮室に向けて軸方向に延長する内端部と、中間部の外端
   に設けられ軸受支えに向けて軸方向に延長する外端部と
   を有するとともに、軸受支えの冷媒通路は、径方向に延
   長する中間部と、この中間部の内端に設けられ揺動スク
   ロールに向けて軸方向に延長する内端部と、中間部の外
   端に設けられた外端部とを有し、前記軸受支えの冷媒通
   路内端部は、揺動スクロールの冷媒通路外端部の揺動に
   対応して、この冷媒通路外端部との連通を確保する開口
   を有することを特徴とする請求項３に記載のスクロール
   圧縮機。
5. 【請求項５】 前記圧縮室へ圧縮機外部から冷媒を注入
   する注入孔を対称位置に偶数個配置したことを特徴とす
   る請求項１ないし請求項４のいずれかに記載のスクロー
   ル圧縮機。
6. 【請求項６】 前記固定スクロールに配設された固定ス
   クロールを軸方向に押さえつける力を調節するために圧
   縮室から圧力を取り出す抽気孔よりも前記固定スクロー
   ルおよび揺動スクロールに配設する圧縮機外部から冷媒
   を注入する注入孔を伸開角で２π以上内側に配設したこ
   とを特徴とする請求項１ないし請求項５のいずれかに記
   載のスクロール圧縮機。
7. 【請求項７】 前記固定スクロールに配設された固定ス
   クロールを軸方向に押さえつける力を調節するために圧
   縮室から圧力を取り出す抽気孔に対し、前記固定スクロ
   ールおよび揺動スクロールに配設する圧縮機外部から冷
   媒を注入する注入孔を圧縮室の対称位置に配設したこと
   を特徴とする請求項１ないし請求項４のいずれかに記載
   のスクロール圧縮機。