JPH1036933A - 鋳物電線部品 - Google Patents

鋳物電線部品

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JPH1036933A
JPH1036933A JP19582996A JP19582996A JPH1036933A JP H1036933 A JPH1036933 A JP H1036933A JP 19582996 A JP19582996 A JP 19582996A JP 19582996 A JP19582996 A JP 19582996A JP H1036933 A JPH1036933 A JP H1036933A
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JP
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casting
cast
alloy
present
electric wire
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JP19582996A
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Akira Hideno
晃 秀野
Shoichi Sakota
正一 迫田
Katsuhiko Uda
克彦 宇田
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Furukawa Electric Co Ltd
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Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋳造法による製造が可能であって、強度と信
頼性に優れた鋳物電線部品を提供する。 【解決手段】 Si6〜12%とCu0.1〜2.0
%、Mg0.2〜3.0%のうち1種又は2種と、更に
Ti0.005〜0.2%、B0.0005〜0.05
%のうちの1種又は2種を含み、残部がAlと不可避不
純物からなる合金を用いて、金型のゲート部に於ける鋳
込み速度を1.0m/秒以下に制御して金型に鋳込み、
凝固完了まで20MPa以上の圧力で加圧し続ける鋳造
方法によることを特徴とする鋳物電線部品である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】架空送電線、配電線等を把持
し、引き留め、固定するための鋳物電線部品に関する。
【0002】
【従来の技術】電線部品は架空送電設備、配電設備で多
種多様な部品が、種々の状態で使用されているが、例え
ば、高圧送電線の導体を把持し、鉄塔等に引き留めるた
めに使用される電線部品は、コロナ放電による事故、送
電電力の損失等の防止のために、その外形は全体に丸み
を帯びた複雑な形状に設計され、製造される。このよう
に複雑な形状を持つ部品を機械加工によって得ようとす
ると、加工コストが上昇するため、一般には、鋳物製品
が使用される。電線部品用アルミニウム鋳物合金には、
強度、靭性と耐食性に優れ、適度な鋳造性を備えたAl
−Mg系が、一部にはAl−SiーMg系鋳物用合金
が、具体的にはJISに規定されている鋳物7種A(A
C7A)合金或いは鋳物4種CH(AC4CH)合金が
用いられており、砂型重力圧鋳造法により、鋳造されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】電線部品は高所作業で
取り扱われる部品のため、従来から軽量化が望まれてき
た部品であるが、近年、送電容量の効率化のため、送電
電圧の高圧化、導体の多導体化が進んでおり、これに伴
って電線部品の形状も大型・複雑化すると共に、部品数
の増加が避けられなくなりつつある。このような状況の
変化は電線部品重量の増加をもたらし、鉄塔への負荷を
増加させ、その補強は鉄塔建設費のコスト上昇をまねく
一因にもなる。上述の理由から電線部品の高強度化と軽
量化はますます重要な課題となってきた。材料の機械的
強度及び靭性を向上させて、部品自体の信頼性を損なう
ことなく高強度化を図ることが望まれるが、従来の技術
によれば次のような問題がある。
【0004】鋳物電線部品にAC7A合金が用いられて
きた理由は、他の鋳物合金に比して、機械的性質、なか
でも大きな伸びが得られるためでる。即ち、より大きな
伸びを有することにより、優れた靭性を示し、急激な破
壊を免れることができて、鋳物電線部品としての信頼性
が優れるためである。しかし、この合金は3.5〜5.
5%のMgを含有しており、鋳造時の溶湯の酸化が激し
く、この酸化によってMgOとAl2O3が生成、結合し
て、スピネル型の結晶構造をもつ化合物を形成する。こ
の化合物は非金属介在物として製品中に混入し、製品の
機械的性質を低下させると共に、所謂、ハードスポット
となり切削加工性を著しく低下させる。また、従来から
砂型による鋳造法が採用されてきたのは砂型の熱伝導性
の低いことによるもので、鋳造中の溶湯の流れ性の低下
を防止して、湯廻りが改善されるためである。しかし、
凝固速度が遅くなることによって、材料の内部組織が粗
大化し、徐冷部に於ける引け巣、ミクロポロシティ発生
の危険性が増大して、機械的性質の低下を生じ易くなる
と同時に製造歩留まりが低下するという問題がある。ま
た、AC4CHは、AC7Aに比して、強度、耐食性、
鋳造性に優れるという特徴を持つが、伸びが劣りその改
善が望まれている。
【0005】凝固速度を速くする鋳造法には、金型鋳造
法或いはダイカスト法があるが、AC7Aにたいし、こ
れらの方法で鋳造を行うと、湯流れ性が著しく低下し湯
廻り不良を生じる、厚肉部に引け巣などの内部欠陥が集
中して発生する、また溶湯の乱流が発生して空気巻き込
みによるブローホールが多発する等の問題を生じる。更
に、空気の巻き込みが多い材料を熱処理するとブリスタ
ー等の欠陥が発生するため熱処理が不可能になる問題が
ある。また、鋳物用合金として多く用いられているAl
−Cu系合金、Al−Si−Cu系合金等の鋳物では機
械的強度は得られても、伸びが低く信頼性が伴わない、
耐食性が劣るなどの問題があり、鋳物電線部品用材料と
して適当でない。上述のように、鋳物電線部品は、その
信頼性、安全性を確保するために、比較的生産性の低い
砂型による重力鋳造法を採用して、中強度鋳物合金が使
用されている。このため、部品の強度向上の要求に対し
ては肉厚化で対応せざるを得ず、電線部品は軽量化が求
められるにもかかわらず、重量増加を免れかねない状況
にある。従って、以上の課題を解決するために、高い強
度と大きな伸びと優れた耐食性を備えた材料からなる鋳
物電線部品の出現が強く望まれてきた。
【0006】
【問題を解決するための手段】上記の問題を解決するた
めに、種々のアルミニウム合金について、種々の鋳造法
と得られる鋳物の電線部品としての特性について、鋭
意、研究を重ねた結果、電線部品として十分な機械的性
質、特に優れた靭性(即ち、高い伸び)を得る為の合金
成分と鋳造条件の関係を知見し、本発明の完成に至った
ものである。即ち、本願請求項1の発明は、Si6〜1
2%とCu0.1〜2.0%、Mg0.2〜3.0%の
うち1種又は2種と、更にTi0.005〜0.2%、
B0.0005〜0.05%のうち1種又は2種を含
み、残部がAlと不可避不純物からなる鋳物電線部品で
ある 次に、本がん請求項2の発明は、金型のゲート部に於け
る鋳込み速度を1.0m/秒以下に制御して金型に鋳込
み、凝固完了まで20MPa以上の圧力で加圧し続ける
鋳造法によることを特徴とする請求項1に記載の組成か
らなる鋳物電線部品である。
【0007】
【発明の実施の形態】先ず、本発明の成分の限定理由に
ついて述べる。Siは鋳造時の溶湯の流動性を改善し、
材料の強度を高める。Siの含有量が6%未満では溶湯
流動性の改善の効果が十分に得られず、12%を越える
と、溶湯流動性の改善効果が飽和し、硬い粗大な初晶S
i相を晶出し易くなり、部品の伸び値を低下させると共
に、切削加工性を低下させる。従って、Siの含有量は
6〜12%とする。
【0008】Cuの添加は引張強さと耐力を向上させる
が、添加量が0.2%未満ではその効果が顕著でなく、
2.0%を越えると耐食性が低下して好ましくないの
で、Cuの含有量は0.2〜2.0%とする。Mgの添
加はCuと同様に引張強さと耐力を向上させる効果をも
つが、添加量が0.2%未満ではその効果が顕著でな
く、また3.0%を越えると溶湯の酸化が激しくなりス
ピネル構造の結晶型をもつAlとMgの酸化物を生成し
て非金属介在物として材料中に存在して内部欠陥となる
他、AlとMgとの金属間化合物β相を生成して粒界腐
食発生の危険性が増大する等の問題を生ずる。
【0009】Ti及びBは結晶粒組織を微細化するため
にTiとBのうち1種または2種を添加するが、添加量
が、それぞれTi0.005%未満、B0.0005%
未満ではその効果が小さく、Ti0.2%、B0.05
%を越えると添加の効果が飽和すると同時に、Ti、B
を含む粗大金属間化合物が生成され易くなり、機械的性
質を低下させる危険がある。従ってTi及びBの含有量
はTi0.005〜0.2%、B0.0005〜0.0
5%とする。上記以外の不純物については、Fe1.0
%以下、Mn0.8%以下、その他の不純物はそれぞれ
0.5以下であれば、本発明の効果を損なうことはな
く、許容される。
【0010】次に、鋳造方法、鋳造条件の限定理由につ
いて述べる。本発明の鋳物電線部品の鋳造には金型を用
いることにより、従来の砂型鋳物に比して、優れた特性
を有する製品を得ることができる。鋳造の鋳込み速度
(金型ゲート部1(図3参照)に於ける溶湯流速)は、
1.0m/秒以下にして鋳造する。鋳込み速度が1.0
m/秒を越えると鋳込み溶湯流が乱流となり金型内の空
気を巻き込み、ブーロホール、引け巣等の鋳造欠陥が発
生しやすくなる。湯温低下による湯廻り不良が発生しな
い限り、鋳込み速度は出来るだけ遅くすることが品質上
は望ましい。しかし、過度に遅いと生産性を低下させる
ので、本発明の範囲内であれば、電線部品の寸法、形状
に応じて適宜決めて差し支えないが、好ましくは0.6
〜0.3m/秒である。
【0011】鋳込み後、金型内の溶湯が凝固を完了する
まで、金型内部を20MPa以上の圧力で加圧し続け
る。金型内では凝固が進行して金型と製品部との間にエ
アギャップが生じるが、加圧により、エアギャップの生
成が遅れ、凝固速度の低下が防止される。凝固速度の低
下が防止される結果、凝固組織が緻密、微細になり、機
械的性質を向上させる効果が得られる。更に、凝固の進
行に伴い製品部内部でも凝固収縮が進行するが、加圧に
より収縮部への溶湯の補給が継続されるため、引け巣等
の内部欠陥の発生を防止することが出来る。更に、加圧
によるエアギャップの生成の遅れは、製品部の凝固殻の
冷却を促して凝固殻を強固にし、凝固割れ発生防止の効
果をもたらす。即ち、本発明の加圧を行う方法により、
収縮部への溶湯補給と凝固殻の強化により、鋳造内部欠
陥及び凝固割れの発生を防止することができる。
【0012】本発明による金型を用いた加圧鋳造方法に
よれば、鋳造後、熱処理を行ってもブリスター等の欠陥
の発生がなく熱処理歩留まりが向上する。従って、熱処
理による高強度化が可能であり、熱処理型鋳物合金を選
択することができる。熱処理条件は使用する合金成分に
従って通常の熱処理条件を選択すればよい。
【0013】以上のような加圧の効果を得るためには2
0MPa以上の加圧が必要であり、20MPa未満の加
圧力では加圧の効果が十分に得られない。加圧力が増加
するに従って、加圧の効果はより安定して得られるた
め、50MPa以上とすることが望ましい。加圧力の効
果は100MPaでほぼ飽和する傾向が認められ、10
0MPa越える加圧は加圧装置の設備コストの負担を大
きくするので100MPaを越える加圧の効果は経済的
に有効とはいえない。
【0014】
【実施例】本発明を、実施例により更に詳細に説明す
る。本実施例では、鋳物電線部品の例として図1に示す
架空送電線を把持するクランプ部品の鋳造を行った。本
クランプ部品の形状はコロナ放電防止のため外形は3次
元曲面で構成されており、部位により厚さが異なる不等
肉厚の形状をもつ。図2には図1のクランプ部品の代表
的な部分の断面図を示す。図3には使用した鋳造機の構
造の概要を断面図で示す。ゲート部1での溶湯速度が
1.0m/秒以下となるようにプランジャー4により溶
湯を製品部3へ注入する。注入終了と同時にガス抜き部
6はアルミニウム合金で閉塞され、プランジャー4の加
圧力が加わる。加圧力は凝固が終了するまで20MPa
以上で加圧を続ける。図1に示す部品を、表1に示す組
成の合金を用い、表2に示す鋳造方法及び鋳造条件によ
って作製した。なお、製作個数は各条件とも繰り返し5
0個ずつを製作した。
【0015】作製した部品について、引張り試験、X線
透過試験による鋳造欠陥の発生状況の調査を行った。引
張り試験は図1の点線で示す位置よりJIS 14
(A)号試験片(形状;丸棒、試験片全長;100m
m、平行部径6mm、平行部長さ40mm)を採取し,
JIS Z2214(金属材料引張り試験方法)に従っ
て行った。引張り試験片の採取位置は図1に点線で図示
した。X線透過試験はJISH0522(アルミニウム
鋳物の放射線透過試験方法及び透過写真の等級分類方
法)によって行った。機械的性質は各製作条件で得られ
た50個のなかから良品を選び、5試験片を採取して引
張り試験を行い、結果はその平均値で示した。X線透過
試験は全数について行い、欠陥の発生状況を調べた。歩
留は鋳造欠陥の無いものを良品として求めた。以上の試
験結果を纏めて、表2に併記した。
【0016】表1の番号1〜6は何れも本発明の条件を
満たす組成のもの、比較例の番号7、8はSiは本発明
の成分範囲を満たさないもの、番号9、10は、それぞ
れCu、Mgが本発明の範囲を超えて添加されたもので
ある。番号11の従来例は、従来より鋳物電線部品に使
用されてきた鋳物用合金AC7Aに相当する組成を有す
る合金である。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】表2に示す番号11〜19は、本発明の組
成の合金を用いて、本発明の鋳造方法及び条件に適合し
た範囲内で鋳造を行ったものである。番号27、28に
示す従来法によるものより優れた機械的性質を有すると
ともに、鋳造欠陥の発生も極めて軽微で製造歩留まりも
改善されることを示している。番号21〜24の比較例
は本発明の組成範囲を満たさない合金を本発明の鋳造条
件で鋳造したものである。過剰なSiを含む番号21は
初晶Siの発生が認められ、伸びが小さい。番号22は
Siの含有量が本発明の範囲より少なく、溶湯の流動性
が十分でなく引け巣の発生が多い。番号23はCuが過
剰に含まれるため、鋳造割れ感受性が大きくなり、凝固
割れが発生する。番号24はMgが過剰のため酸化物の
混入が多くなる。番号25、26は本発明の組成範囲を
満たす合金を本発明の鋳造条件の範囲外の条件で鋳造し
たもので、鋳造欠陥の発生が多く、殆ど製造不可能であ
った。番号27、28は本発明合金及び従来合金を、通
常の方法を用いて製作したもので、通常の重力鋳造法で
は顕著な特性と歩留まりの改善が得られない。
【0020】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明によれば、
強度に優れ、伸びが大きい機械的性質を持つ鋳物電線部
品が得られ、電線部品の信頼性の向上、軽量化に貢献す
ることが出来るので、工業的に顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に於ける鋳物電線部品の例とし
て、クランプ部品の形状の概要と試験片採取位置を示す
図で、(1)は側面図、(2)は下面図である。
【図2】図1に示すクランプ部品の主要部分の断面図
で、(1)はA−A断面図、(2)はBーB断面図、
(3)はCーC断面図、(4)はDーD断面図、(5)
はE−E断面図である。
【図3】本発明の実施に用いた加圧鋳造装置の機構の概
略を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ゲート部 2 金型 3 製品部 4 プランジャー 5 金型水冷パイプ 6 ガス抜き部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si6〜12%とCu0.1〜2.0
    %、Mg0.2〜3.0%のうち1種又は2種と、更に
    Ti0.005〜0.2%、B0.0005〜0.05
    %のうちの1種又は2種を含み、残部がAlと不可避不
    純物からなる鋳物電線部品。
  2. 【請求項2】 金型のゲート部に於ける鋳込み速度を
    1.0m/秒以下に制御して金型に鋳込み、凝固完了ま
    で20MPa以上の圧力で加圧し続ける鋳造法によるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の組成からなる鋳物電線
    部品。
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