JPH10337786A - 長繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造方法及びその製造装置 - Google Patents

長繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造方法及びその製造装置

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JPH10337786A
JPH10337786A JP10093956A JP9395698A JPH10337786A JP H10337786 A JPH10337786 A JP H10337786A JP 10093956 A JP10093956 A JP 10093956A JP 9395698 A JP9395698 A JP 9395698A JP H10337786 A JPH10337786 A JP H10337786A
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JP
Japan
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impregnated
thermoplastic resin
bundles
reinforced thermoplastic
sheet
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JP10093956A
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Takashi Niifuku
隆志 新福
Koichi Saito
晃一 斉藤
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JNC Corp
Original Assignee
Chisso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産性を上げても繊維の偏在や穴あきが生じ
ず、縦さけもしずらい、均一で含浸性に優れた長繊維強
化熱可塑性樹脂シートの製造方法及びその製造装置を提
供する。 【解決手段】 単一方向に沿う2本以上の強化用繊維束
2を含浸槽1を通過させて、該含浸槽1に貯留された溶
融樹脂を前記各強化用繊維束2に含浸させ、その後、該
溶融樹脂が含浸された強化用繊維束2(以下「含浸繊維
束4」という)を、出口ノズル1d直前に配置された規
制格子5を通すことにより、1本づつに分離して引き揃
えて並べた後、これら含浸繊維束4を出口ノズル1dを
通しながら前記含浸槽1外へ引き出し、次いで、該含浸
繊維束4が固化する前に、賦形ロール6,7で前記個々
の含浸繊維束4を、前記出口ノズル1d寸法に対してシ
ート出来上がり寸法が1.05〜1.10倍になるよう
に接合し、賦形し、冷却してシート状に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続した強化用繊
維束に溶融樹脂を含浸させて、単一方向に整列した長繊
維で強化された長繊維強化熱可塑性樹脂シートを製造す
る方法及び製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種のものとしては、例えば特
開昭61ー229535号公報、特公昭63ー3769
4号公報、又は、特開平7ー24830号公報に記載さ
れたようなものがある。
【0003】特開昭61ー229535号公報には、複
数の繊維束を櫛の目状の引揃え器によって引揃えたの
ち、溶融熱可塑性樹脂の塗膜を付与したロールに接触さ
せながら通過させ、冷却する長繊維強化熱可塑性樹脂シ
ートの製造方法が提案されている。
【0004】この方法によれば、繊維の偏在のない均一
な長繊維強化熱可塑性樹脂シートを得ることが可能であ
る。
【0005】しかしながら、検討の結果、ドライな状態
で繊維束を引揃え、その引揃えた状態を保ちながらこれ
に樹脂塗膜付与ロールを接触させたものであり、含浸性
がいまだ不充分で補強効果に劣ることが判明した。
【0006】また、特公昭63ー37694号公報に
は、強化用繊維束を張力下で、スプレダー表面上を接触
通過させることによって溶融樹脂を含浸させたのち、ロ
ールで賦形、冷却し、長繊維強化熱可塑性樹脂シートを
成形する方法が開示されている。
【0007】この方法によれば、含浸性に優れた長繊維
強化熱可塑性樹脂シートを得ることができる。
【0008】しかしながら、検討の結果、生産性、すな
わち引取り速度が低い場合には良好なシートを安定して
得ることができるが、引取り速度を数m/min〜十数
m/minに上げた場合には、得られるシートには幅方
向における強化用繊維の偏りが生じ、均一な二次賦形成
形品が得られないなどの問題が生ずることが判明した。
さらには、この全体的な繊維の偏りとは別に、局部的な
繊維の偏りが生ずる結果として、しばしばシートに穴あ
きが発生し、製品としての価値を損ねる問題が生ずるこ
とも判明した。
【0009】また、この方法の改善策として、本発明者
らは、強化用繊維束をドライな状態で引揃えたのち含浸
槽中のスプレダー表面に接触通過させる方法を検討した
が、生産性を上げたときの繊維の偏在やシートの穴あき
にはまったく改善がみられなかった。
【0010】さらに、特開平7ー24830号公報に
は、連続補強繊維のトウに熱可塑性樹脂を含浸させると
同時にテープ状にしたトウプリプレグを幅方向に複数引
き揃えて並べた後、加熱下、加圧してシートを成形する
方法が開示されている。
【0011】この方法によれば、含浸性に優れた、繊維
の偏在のない均一な長繊維強化熱可塑性シートを得るこ
とが可能である。
【0012】しかしながら、検討の結果、シート成形に
は、2段階のステップが必要であり、本発明の1段階ス
テップと比較してコストパーフォーマンス特性に劣る。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、上
記従来技術では解決できなかった各種の不都合を解消
し、生産性を上げても繊維の偏在や穴あきが生じず、縦
さけもしずらい、均一で含浸性に優れた長繊維強化熱可
塑性樹脂シートの製造方法及びその製造装置を提供する
ことを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】鋭意検討の結果、含浸繊
維を引き揃えて並べるような規制格子を含浸区域の出口
ノズル直前に配置し、更に固化する前に、賦形ロールで
個々の該含浸繊維束を出口ノズル寸法に対してシートの
出来上がり寸法が1.05〜1.10倍になるように接
合し、賦形し、冷却する方法が、穴あき、偏在性、縦さ
けまでも含む上記すべての問題をクリヤーできることを
見い出し、本発明に達した。
【0015】すなわち、請求項1に記載の発明は、単一
方向に沿う2本以上の強化用繊維束を含浸槽を通過させ
て、該含浸槽に貯留された溶融樹脂を前記各強化用繊維
束に含浸させ、その後、該溶融樹脂が含浸された強化用
繊維束(以下「含浸繊維束」という)を、出口ノズル直
前に配置された規制格子を通すことにより、1本づつに
分離して引き揃えて並べた後、これら含浸繊維束を出口
ノズルを通しながら前記含浸槽外へ引き出し、次いで、
該含浸繊維束が固化する前に、賦形ロールで前記個々の
含浸繊維束を、前記出口ノズル寸法に対してシート出来
上がり寸法が1.05〜1.10倍になるように接合
し、賦形し、冷却してシート状に形成する長繊維強化熱
可塑性樹脂シートの製造方法としたことを特徴としてい
る。
【0016】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
に記載の構成に加え、前記規制格子は、複数のピンを有
し、前記含浸繊維束の一本づつが該各ピンの間に挿入さ
れることにより、1本づつ分離して引き揃えて並べられ
るように設定され、該規制格子は、前記含浸槽内で、前
記出口ノズルから上流側へ50mm以内の位置に設置さ
れ、且つ、前記ピンの直径が5mm以内であることを特
徴とする。
【0017】請求項3に記載の発明は、単一方向に沿う
2本以上の強化用繊維束が通過されることにより、溶融
樹脂が含浸される含浸槽と、出口ノズルの直前に配置さ
れ、前記溶融樹脂が含浸された強化用繊維束(以下「含
浸繊維束」という)が通過されることにより、1本づつ
に分離して引き揃えて並べる規制格子と、これら含浸繊
維束が通過されて前記含浸槽外に引き出される出口ノズ
ルと、該含浸槽外に引き出された含浸繊維束が固化する
前に、前記個々の含浸繊維束を、前記出口ノズル寸法に
対してシート出来上がり寸法が1.05〜1.10倍に
なるように接合し、賦形し、冷却してシート状に形成す
るための賦形ロールとを有する長繊維強化熱可塑性樹脂
シートの製造装置としたことを特徴としている。
【0018】請求項4に記載の発明は、請求項3に記載
の構成に加え、前記規制格子は、複数のピンを有し、前
記含浸繊維束の一本づつが該各ピンの間に挿入されるこ
とにより、1本づつ分離して引き揃えて並べられるよう
に設定され、該規制格子は、前記含浸槽内で、前記出口
ノズルから上流側へ50mm以内の位置に設置され、且
つ、前記ピンの直径が5mm以内であることを特徴とす
る。
【0019】以下に、上記各発明の各構成要件について
説明する。
【0020】<強化用繊維束>本発明に用いられる強化
用繊維束としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、
高分子繊維など、公知のものを幅広く例示することがで
きる。これらは、単独、または2種以上組合わせて用い
られるが、補強効果及び入手容易性等の点でガラス繊維
が好適である。樹脂強化用として通常的に製造されて市
販されている連続状ガラス繊維束としては、ガラスロー
ビングがあげられる。通常、その平均繊維径は4〜30
μm、フィラメント集束本数は400〜10,000
本、及びテックス番手は300〜20,000g/km
であるが、好ましくは平均繊維径9〜23μm、集束本
数1,000〜6,000本のものである。補強効果の
観点から、表面には、熱可塑性樹脂に対する界面接着性
付与又は向上のために何等かの処理が施されていること
が好ましい。
【0021】<溶融樹脂>強化用繊維束に含浸されるべ
き溶融樹脂は、熱可塑性樹脂であればその何れかを問わ
ない。とはいえ、通常の用途においては結晶性樹脂、た
とえばポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ
エステル系樹脂を用いることが普通である。
【0022】上記の結晶性熱可塑性樹脂の中でも、通常
の用途向けには、性状および価格等の見地からポリオレ
フィン系樹脂が多用される。ポリオレフィン系樹脂とし
ては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテ
ン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オ
クテン、1−デセンなどの炭素数通常2〜10個程度の
α−オレフィンの、結晶性単独重合体もしくは結晶性共
重合体またはこれらの2種以上からなる組成物などを包
含する概念である。なかでも、実用的にはポリプロピレ
ン、またはプロピレンを主成分とするプロピレンと他の
α−オレフィンとの結晶性共重合体が汎用性に富んでい
る。また、これらポリオレフィン系樹脂の場合には、補
強効果の観点から、ポリオレフィン系樹脂に不飽和カル
ボン酸もしくはその無水物をグラフト反応させた改質ポ
リオレフィン樹脂、あるいはポリオレフィン系樹脂とこ
の改質ポリオレフィン樹脂との混合物が好ましい。
【0023】更に高い耐熱性が望まれる用途向けには、
各種のポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂が適合す
る。ポリアミド系樹脂としては、6−ナイロン、6,6
−ナイロン、12−ナイロン、6,10−ナイロンなど
をあげることができる。ポリエステル系樹脂としては、
ポリエチレンテレフタレート(略称PET)、ポリブチ
レンテレフタレート(略称PBT)などをあげることが
できる。
【0024】<含浸槽>この含浸槽は、溶融樹脂を所定
量貯留させながら流動させるための槽で、ヒーターを装
備して、使用する樹脂の融点より高い温度に温度調節で
きるものが好ましい。含浸槽は、例えば、以下の、開繊
ピン、溶融樹脂供給機構、強化繊維導入口、規制格子、
出口ノズルを備える。
【0025】強化用繊維束に溶融樹脂を含浸させるため
の方法は、良好な含浸性が得られる方法であれば、公知
の方法がいずれも採用できる。下記の発明の実施の形態
にて、含浸性に優れた長繊維強化熱可塑性樹脂シートを
製造するための製造装置の一例を示す。
【0026】<開繊ピン>開繊含浸手段として通常は開
繊ピンと称される断面略円形状の部材が用いられる。含
浸槽内で、強化用繊維束をこの開繊ピンに千鳥状に巻き
掛けながら引く、あるいは対をなした2本の開繊ピンの
間を接触させながら、もしくは非接触で通過させること
により含浸させることができる。
【0027】開繊ピンは、含浸性の観点から、1系列あ
たり少なくとも3個もしくは3対用いるのが好ましい。
それらは、強化用繊維束の進路に沿って直線状、あるい
は千鳥状に配置される。開繊ピン対の間を強化用繊維束
を非接触で通過させる場合には、当然ながら直線上に配
置する必要がある。
【0028】また、開繊ピンは、自由に回転するもので
も固定式のものでもどちらでもよい。形状は、通常は断
面略円形状であるが、多角柱の角をなめらかに落とした
ようなものであってもよい。太さは、円筒状ピンの直径
としてみた場合、通常5〜50mm程度のものが用いら
れる。
【0029】開繊ピン対の間を通過させる方法で含浸さ
せる場合には、強化用繊維束を接触通過させる場合で
も、非接触通過させる場合でも、例えばある強化用繊維
束の上側のピンと、その下側のピンとは共通のものとす
ることができる。
【0030】開繊ピン対の間を強化用繊維を非接触で通
過させることのメリットは、含浸性が良好であるにもか
かわらず、強化用繊維束の受けるダメージが少ないた
め、高速運転した場合でも毛羽発生がほとんどなく、連
続的に安定生産が可能なことである。この時のピン間の
クリアランスは、好適には10D〜500D(D:強化
用繊維束を構成する単繊維の平均繊維径)である。10
D未満では、高速安定性のメリットが少なくなり、逆に
500Dを超える場合には、含浸性が悪化する。クリア
ランスを大きくした場合には、ピン自体も径の大きなも
のを使用するものが好ましい。また、すべて同じ太さの
ものを使用しても多少違った太さのものを使用してもど
ちらでもかまわない。
【0031】<溶融樹脂供給機構>溶融樹脂供給機構と
しては、押出機が通常用いられる。押出機としては各種
のものが使用可能であって、単軸型、二軸型など何れで
あってもよい。溶融樹脂は、含浸槽に設けられた溶融樹
脂供給口から供給される。溶融樹脂供給口は、通常、含
浸槽の天板や、底板、あるいは上流側境壁に設けられ
る。
【0032】<強化用繊維束導入口>強化用繊維束導入
口は、通常、前記含浸槽の上流側の境壁または天板に設
けられる。上流側の境壁に設けられる場合は、その形状
は、強化用繊維束を横方向に並べたものの断面形状であ
る横長長方形に適合するようなスリット形状であれば足
りる。上流側の天板に設けられる場合は、溶融樹脂が漏
れる心配がないので、上記のような形状であっても勿論
かまわないが、単なる大きな開口部でも足りる。
【0033】<規制格子>溶融樹脂により含浸された強
化用繊維束は、規制格子により縦方向に引き揃えられ横
方向に均一に並べられる。規制格子としては各種のもの
が考えられるが図2に示すような櫛型の形状をしたもの
や、梯子型の形状をした規制格子が最もよく知られてい
る。櫛型のピンとピンの間に溶融樹脂により含浸された
強化用繊維束を通すことによって複数本の含浸繊維束が
引き揃えられる。
【0034】規制格子は、出口ノズル直前がよく、極端
に出口ノズルから離すことは、引き揃えられた強化用繊
維束が規制格子と出口ノズルの間で繊維束の乱れを起こ
し適当でない。規制格子は、含浸槽内で、出口ノズルか
ら上流側へ50mm以内に設置するのが望ましく、さら
には25mm以内に設置するのが最適である。
【0035】また、ピンの形状は、通常は断面略円形状
が望ましい。太さは、円筒状ピンの直径としてみた場
合、通常5.0mm以内のもので、特に、0.1mm〜
3.0mm程度のもが用いられる。0.05mm未満の
ピンの径のものを用いると、ピンの剛性が低くなり、ピ
ンが曲がるなどして繊維束の乱れを起こし、あまり好ま
しくない。一方、5.0mm超えたピンを用いると、繊
維束と繊維をまったく含まない樹脂層に分離し、偏在を
示すために適当でない。
【0036】<出口ノズル>前記含浸槽の下流側境壁に
設けられた出口ノズルの形状については、製造したい長
繊維強化熱可塑性樹脂シートの断面形状により決められ
る。
【0037】ノズルの断面積は、希望する長繊維強化熱
可塑性樹脂シート中の強化用繊維束含有量と、使用する
ベースポリマーや強化用繊維束の種類によって決められ
る。たとえば、ポリプロピレン(比重0.9)をマトリ
クスとし、平均単繊維径17μm、集束本数4000本
のガラス繊維ロービング(比重2.6)を50本使用
し、長繊維強化熱可塑性樹脂シート中のガラス繊維含有
量60wt%としたい場合は、ノズル断面積は約155
mm2にすればよい。
【0038】出口ノズルと規制格子を合体させたような
分割ノズル(図7)は、穴あき、偏在性に効果があるよ
うに、容易に推定できる。実際、穴あき、偏在性におい
ては効果があるものの、引取り速度が、20m/min
以上では毛羽発生が多発し、ロングラン運転ができず
(10分も運転できず)生産性に問題があることが解っ
た。このことから、出口ノズルと規制格子は、分割する
ことが望ましい。即ち、規制格子は含浸槽内で出口ノズ
ルから上流側へ50mm以内に設置するのが望ましく、
さらには25mm以内に設置するのが最適である。
【0039】<賦形ロール>賦形ロールは、少なくとも
1組のニップロールから構成され、個々の含浸繊維束を
出口ノズル寸法に対してシートの出来上がり寸法が1.
05〜1.10倍になるように接合し、賦形し、冷却で
きるものであれば、特に制限はない。1.05未満であ
れば、熱可塑性シートの穴あき、縦さけがひどく作業性
に問題があり、逆に1.10を超える場合には、繊維の
偏り偏在性を示し、製品としての価値を損ねる問題が生
ずる。
【0040】水冷等による温度調整が可能で、少なくと
も第一賦形ロール(出口ノズルに最も近いロール)につ
いては、圧力、もしくはクリアランスが調整可能である
ものが好ましい。
【0041】
【発明の効果】かかる発明の製造方法及び製造装置によ
れば、強化用繊維束への溶融樹脂の含浸性、すなわち、
強化用繊維束の補強効果に優れ、かつ、生産性を上げた
場合でも幅方向の全体的な強化用繊維束の偏りや、局部
的な繊維の偏りによる穴あきがなく、縦さけがし難く、
均一な長繊維強化熱可塑性樹脂シートを得ることができ
る。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0043】図1乃至図4は、この発明の実施の形態を
示す図である。
【0044】図1は、本発明の製造装置の一態様を、強
化用繊維束の進路(複合材成形方向)に沿って鉛直平面
で切断した模式的縦断面図である。図2及び図3は、図
1の本発明の製造装置を構成する規制格子及び出口ノズ
ルの一態様を下流側正面から見た模式図である。図4
は、本発明の製造方法において、賦形ロールにより含浸
繊維束が接合される様子を示した模式的な平面図であ
る。
【0045】図1において、符号1は含浸槽で、この含
浸槽1に単一方向に沿う2本以上の強化用繊維束2を上
流側(図1中左側)から下流側(図1中右側)に向けて
通過させることにより、この含浸槽1内に貯留された溶
融樹脂が含浸されるようになっている。
【0046】これら強化用繊維束2は、含浸槽1の上流
側境壁1aに設けられた強化用繊維束導入口1bを介し
て、この含浸槽1内に導入され、対をなして配置された
開繊ピン3の間を非接触状態にて進行するように設定さ
れている。このように開繊ピン3と非接触とすることで
繊維の間に溶融樹脂による含浸が行われる。
【0047】この開繊ピン3は、上下に2本配置された
ものを一組として全体で4組配設されている。
【0048】そして、これら溶融樹脂が含浸された各強
化用繊維束2(以下「含浸繊維束4」という)は、規制
格子5と、下流側境壁1cに形成された一つの出口ノズ
ル1dを通して引き取られ、含浸繊維束4が引き揃えら
れて並べられる。
【0049】この規制格子5は、図2に示すように、下
部に設けられた長板部5aと、この長板部5aから上方
に向けて複数本所定間隔で突設されたピン5bとから構
成されている。これら各ピン5bの間に含浸繊維束4が
1本づつ通されることにより分離されるようになってい
る。また、出口ノズル1dは、図3に示すように、下流
側境壁1cに水平方向に一直線上に形成されている。そ
の規制格子5は、出口ノズル1dの上流側で、50mm
以内に設置されていることが望ましく、ピン5bの直径
が5mm以内に設定されていることが望ましい。
【0050】また、出口ノズル1dを通過して含浸槽1
外へ引き出された個々の含浸繊維束4は、固化する前
に、賦形ロール6,7により接合、賦形、冷却され、シ
ート状に成形され、引取ロール8により引き取られた
後、巻取ロール9に巻き取られるようになっている。
【0051】その賦形ロール6,7による接合や賦形
は、出口ノズル1dの寸法L1に対してシートの出来上
がり寸法L2が、1.05〜1.10倍になるように設
定されている。
【0052】
【実施例】以下に、本発明の製造方法及び製造装置を用
いて長繊維強化熱可塑性樹脂シートを製造した場合につ
いて説明する。
【0053】(1)樹脂含浸性 得られた長繊維強化熱可塑性樹脂シートの任意の箇所
を、繊維の方向に沿って、長さ100mm、幅10mm
の短冊状に切出し、その一端の10mmを呈色指示薬で
あるメチルレッドのプロパノール溶液(メチルレッドの
プロパノール飽和溶液50mlに塩酸1mlでphを調
整してメチルレッドの発色性を向上させたもの)に30
min浸漬した後、呈色指示薬の液面上昇状況を観察し
た。10本の試料について観察し、次の表1に従って判
定した。
【0054】
【表1】 (2)曲げ強度 得られた長繊維強化熱可塑性樹脂シートの任意の箇所
を、150mm長さに10枚切断した。繊維の方向がす
べて略同一となるようにして、これら切断シート10枚
を重ね、200℃に調整された加熱プレスによって積層
した。圧力は0.2MPa、時間は5分とした。その後
すばやく水冷冷却プレスに移し、同圧、同時間で冷却し
た。積層板の中央部から、繊維の方向に、長さ100m
m、幅10mmの短冊片5枚を切出し、この短冊片を試
験片とする以外はJISK−7203に準じて曲げ試験
を行った。
【0055】(3)強化用繊維の偏在 得られた長繊維強化熱可塑性樹脂シートの任意の箇所を
長さ50mm、幅方向10mmに切断し、それぞれ灰分
を測定した。この20者を比較し、ばらつきの程度を調
べることで、強化用繊維束の偏在を評価した。ばらつき
の程度は、標準偏差値で表した。計測値は10個の試料
について得られた個別計測値の平均値とした。
【0056】(4)穴あき 連続運転4時間にわたって穴あきの有無を目視観察し
た。穴あきの箇所を数え、次表2に従って判定した。
【0057】
【表2】 (5)縦さけ性評価 得られた長繊維強化熱可塑性樹脂シートの任意の箇所
を、長さ10mm、幅200mmの短冊片5枚を切り出
し、この短冊片を試験片とする以外はJIS K−71
13に準じて一方向に配列された方向の90゜方向(一
方向シートの横方向)引張試験を行った。
【0058】90゜方向(一方向シートの横方向)引張
強度が低い値を示せば、その材料は縦さけし易い材料で
あり、反対に引張強度が高い値を示せば、その材料は縦
さけしにくい材料であることを示唆する。
【0059】[実施例1]この実施例1では、図1乃至
図4に示された製造装置を用いて長繊維強化熱可塑性樹
脂シートを製造した。
【0060】「強化用繊維束2」としてガラス繊維のロ
ービング2[平均単繊維径17μm、テックス番手23
10g/km、集束本数4000本]20本を水平に並
べて含浸槽1の強化用繊維束導入口1bから供給し、こ
の含浸槽1を通過させながら連続的に下流側から引き取
る一方で、この含浸槽1内へ押出し機(不図示)からは
改質ポリプロピレン[無水マレイン酸改質物(M−P
P)、結晶融点(DEC測定)、MRF(230℃,2
1.2N):130g/10min]の溶融物(溶融樹
脂)を供給すると共に開繊されたロービング2の間に溶
融樹脂を充分に含浸させた。
【0061】開繊ピン3は、上下に2本配置されたもの
を一組として全体で3組配設されており、各組の上段開
繊ピン3と下段開繊ピン3との間の距離(クリアラン
ス)L3を1mmに設定した。含浸槽1内の温度は27
0℃に調整した。規制格子5は、出口ノズル1dから上
流側の方向25mmの位置に設置し、又、規制格子5の
ピン5bの径は、1.0mmのものを使用した。また、
出口ノズル1dとしては、図3に示すような、縦0.3
0mm、横200mmの単一ノズルを用い、このノズル
1dに「含浸繊維束4」である含浸ロービング4、20
本全部を通過させるようにした。引取り速度は20m/
minとした。
【0062】出口ノズル1dから引出された各含浸ロー
ビング4は40℃に調整された「賦形ロール6,7」で
ある2組のニップロール6,7にて接合、賦形、冷却さ
れた。出口ノズル1dから、第1ニップロール6中心ま
での水平距離は150mmとした。また、ニップロール
6,7の圧力は、賦形後の製品幅が216mm(出口ノ
ズル寸法L1に対して出来上がり製品寸法L2が1.0
8倍)になるように調整した。
【0063】この実施例1によれば、運転中において穴
あきがまったく発生せず、優秀と判定された。得られた
長繊維強化熱可塑性樹脂シートのガラス含有率は60w
t%であり、繊維の偏在性もなく、含浸性は「優秀」に
格付けられ、縦さけも起こりにくい取り扱いやすいもの
が得られた。これらの結果は、表3に示した。
【0064】[実施例2]この実施例2は、規制格子5
として、出口ノズル1dから上流側の方向25mmの位
置に設置し、規制格子5のピン5bの径は、0.7mm
のものを使用する以外は実施例1と同様にして長繊維強
化熱可塑性樹脂シートを製造した。
【0065】この実施例2によれば、運転中において穴
あきがまったく発生せず、優秀と判定された。得られた
長繊維強化熱可塑性樹脂シートのガラス含有率は60w
t%であり、繊維の偏在性もなく、含浸性は「優秀」に
格付けられ、縦さけも起こりにくい取り扱いやすいもの
が得られた。これらの結果は、表3に示した。
【0066】[実施例3]この実施例3は、規制格子5
として、出口ノズル1dから上流側の方向25mmの位
置に設置し、規制格子5のピン5bの径は、2.5mm
のものを使用する以外は実施例1と同様にして長繊維強
化熱可塑性樹脂シートを製造した。
【0067】この実施例3によれば、運転中において穴
あきがまったく発生せず、優秀と判定された。得られた
長繊維強化熱可塑性樹脂シートのガラス含有率は60w
t%であり、繊維の偏在性もなく、含浸性は「優秀」に
格付けられ、縦さけも起こりにくい取り扱いやすいもの
が得られた。これらの結果は、表3に示した。
【0068】[実施例4]この実施例4は、規制格子5
として、出口ノズル1dから上流側の方向25mの位置
に設置し、規制格子5のピン5bの径は、5.0mmの
ものを使用する以外は実施例1と同様にして長繊維強化
熱可塑性樹脂シートを製造した。
【0069】この実施例4によれば、運転中において穴
あきがまったく発生せず、優秀と判定された。得られた
長繊維強化熱可塑性樹脂シートのガラス含有率は60w
t%であり、繊維の偏在性もなく、含浸性は「優秀」に
格付けられ、縦さけも起こりにくい取り扱いやすいもの
が得られた。これらの結果は、表3に示した。
【0070】[実施例5]この実施例5は、ニップロー
ル6,7の圧力を、賦形後の製品寸法L2が212mm
(出口ノズル寸法L1に対して出来上がり製品寸法L2
が1.06倍)になるように調整する以外は実施例1と
同様にして長繊維強化熱可塑性樹脂シートを製造した。
【0071】この実施例5によれば、運転中において穴
あきがまったく発生せず、優秀と判定された。得られた
長繊維強化熱可塑性樹脂シートのガラス含有率は60w
t%であり、繊維の偏在性もなく、含浸性は「優秀」に
格付けられ、縦さけも起こりにくい取り扱いやすいもの
が得られた。これらの結果は、表3に示した。
【0072】[実施例6]この実施例6は、規制格子5
として、出口ノズル1dから上流側の方向40mmの位
置に設置し、規制格子5のピン5bの径は、1.0mm
のものを使用する以外は実施例1と同様にして長繊維強
化熱可塑性樹脂シートを製造した。
【0073】この実施例6によれば、運転中において穴
あきがまったく発生せず、優秀と判定された。得られた
長繊維強化熱可塑性樹脂シートのガラス含有率は60w
t%であり、繊維の偏在性もなく、含浸性は「優秀」に
格付けられ、縦さけも起こりにくい取り扱いやすいもの
が得られた。これらの結果は、表3に示した。
【0074】[比較例1]この比較例1は、規制格子5
を配置しなかった以外は、実施例1と同様にして長繊維
強化熱可塑性樹脂シートを製造した。
【0075】この比較例1により得られた長繊維強化熱
可塑性樹脂シートのガラス含有量は60wt%で、含浸
性は「優秀」に格付けられたものの、繊維の偏在につい
ては改善が見られなかった。これらの結果は表3に示し
た。
【0076】[実施例7]この実施例7は、規制格子5
として、出口ノズル1dから上流側の方向25mmの位
置に設置し、規制格子5のピン5bの径は、8.0mm
のものを使用する以外は実施例1と同様にして長繊維強
化熱可塑性樹脂シートを製造した。
【0077】この実施例7により得られた長繊維強化熱
可塑性樹脂シートのガラス含有量は60wt%で、含浸
性は「優秀」に格付けられ、繊維の偏在、穴あきについ
ては若干の改善が見られた。これらの結果は表3に示し
た。
【0078】[実施例8]この実施例8は、規制格子5
として、出口ノズル1dから上流側の方向75mmの位
置に設置し、規制格子5のピン5bの径は、1.0mm
のものを使用する以外は実施例1と同様にして長繊維強
化熱可塑性樹脂シートを製造した。
【0079】この実施例8により得られた長繊維強化熱
可塑性樹脂シートのガラス含有量は60wt%で、含浸
性は「優秀」に格付けられ、穴あき、繊維の偏在につい
ては若干の改善が見られた。これらの結果は表3に示し
た。
【0080】[比較例2]この比較例2は、ニップロー
ル6,7の圧力を、賦形後の製品寸法L2が204mm
(出口ノズル寸法L1に対して出来上がり製品寸法L2
が1.02倍)になるように調整する以外は実施例1と
同様にして長繊維強化熱可塑性樹脂シートを製造した。
【0081】この比較例2により得られた長繊維強化熱
可塑性樹脂シートのガラス含有量は60wt%で、含浸
性は「優秀」に格付けられたものの、穴あきについては
改善が見られなかった。これらの結果は表3に示した。
【0082】[比較例3]この比較例3は、ニップロー
ル6,7の圧力を、賦形後の製品寸法L2が230mm
(出口ノズル寸法L1に対して出来上がり製品寸法L2
が1.15倍)になるように調整する以外は実施例1と
同様にして長繊維強化熱可塑性樹脂シートを製造した。
【0083】この比較例3により得られた長繊維強化熱
可塑性樹脂シートのガラス含有量は60wt%で、含浸
性は「優秀」に格付けられたものの、偏在については改
善が見られなかった。これらの結果は表3に示した。
【0084】[比較例4]この比較例4は、出口ノズル
1dとして、比較例1と同様に、図3にあるような縦
0.30mm、横200mmの単一ノズルを用い、この
ノズル1dに含浸ロービング4、20本全部通過させる
ようにした。また、繊維の偏在を改善する目的で、ロー
ビング2は、含浸槽1に導入する直前に櫛状の引き揃え
機によって、その歯と歯の間にロービング2を1本ずつ
通すようにして全幅200mmに引き揃えた。これ以外
は実施例1と同様にして長繊維強化熱可塑性樹脂シート
を製造した。
【0085】この比較例4により得られた長繊維強化熱
可塑性樹脂シートのガラス含有率は60wt%で、含浸
性は「優秀」に格付けされたものの、穴あきや繊維の偏
在性については改善が見られなかった。これらの結果は
表3に示した。
【0086】[比較例5]この比較例5は、図5に示さ
れた製造装置を用いて長繊維強化熱可塑性樹脂シートを
製造した。
【0087】すなわち、「強化用繊維束2」としてガラ
ス繊維のロービング2[平均単繊維径17μm、テック
ス番手2310g/km、集束本数4000本]20本
を、櫛状の引き揃え機13によって、その歯と歯の間に
ロービング2を1本ずつ通すようにして全幅200mm
に引き揃え、この装置を通過させながら連続的に下流側
から引き取った。一方、この装置の第1含浸ロール14
へは、押出し機(不図示)から改質ポリプロピレン[無
水マレイン酸改質物(M−PP)、結晶融点(DSC測
定)、MFR(230℃,21.2N):130g/1
0min]の溶融物(溶融樹脂)を塗布した。第1〜第
3含浸ロール14,15,16の温度は270℃に調整
した。その後、「含浸繊維束4」としての含浸ロービン
グ4は、除冷炉17内で冷却された。引取り速度は0.
5m/minの条件で、幅216mmの長繊維強化熱可
塑性樹脂シートを製造した。図5中符号18は張力調整
ロール、符号8は引取ロール、符号9は巻取ロールであ
る。
【0088】この比較例5では、運転中において穴あき
が発生せず、又、得られた長繊維強化熱可塑性樹脂シー
トは、ガラス含有率が65wt%であり、繊維の偏在性
もなかったが、縦さけが見られ、又、肝心の含浸性が不
満足のもであった。これらの結果は表3に示した。
【0089】[比較例6]この比較例6は、図1に示す
規制格子5を配置していない製造装置を用いて長繊維強
化熱可塑性樹脂シートを製造した。
【0090】すなわち、「強化用繊維束2」としてのガ
ラス繊維のロービング2[平均単繊維径17μm、テッ
クス番手2310g/Km、集束本数4000本]1本
を水平に並べて含浸槽1の強化用繊維束導入口1bから
供給し、この含浸槽1を通過させながら連続的に下流側
から引き取る一方で、この含浸槽1内へ押出し機(不図
示)からは改質ポリプロピレン[無水マレイン酸改質物
(M−PP)、結晶融点(DSC測定)、MFR(23
0℃,21.2N):130g/10min]の溶融物
(溶融樹脂)を供給すると共に開繊されたロービング2
の間に溶融樹脂を充分に含浸させた。
【0091】上下2本で一組の開繊ピン3を3組設け、
各対の上段開繊ピン3と下段開繊ピン3との間の距離
(クリアランス)L3を1mmに設定した。含浸槽1内
の温度は270℃に調整した。出口ノズル1dとして
は、図3に示すような、縦0.30mm、横10mmの
単一ノズルを用い、このノズル1dに含浸ロービング
2、1本全部を通過させるようにし、単一方向強化テー
プ20(以下「トウプリプレグ20」という)を製造し
た。引取り速度は20m/minとした。
【0092】製造したトウプリプレグ20、20本を図
6に示された櫛状の引き揃え機21によって、その歯と
歯の間にトウプリプレグ20を1本ずつ通すようにして
全幅200mmに引き揃え、ヒーター22を温度200
℃に、加熱ロール23を温度200℃にし、加圧して、
引取り速度3m/minの条件で幅216mmの長繊維
強化熱可塑性樹脂シートを製造した。なお、符号24は
冷却ロール、25は巻取ロールである。
【0093】この比較例6によれば、運転中において穴
あきがまったく発生せず、優秀と判定された。得られた
長繊維強化熱可塑性樹脂シートのガラス含有率は62w
t%であり、繊維の偏在性もなく、含浸性は「やや不
良」に格付けられ、縦さけも起こりにくい取り扱いやす
いものが得られた。しかし、この方法は2段階のステッ
プで製造されるので、生産性に劣るばかりでなくコスト
パフォーマンスに劣る。これらの結果は、表3に示し
た。
【0094】[比較例7]この比較例7は、図1の規制
格子5を配置していない製造装置を用いて長繊維強化熱
可塑性樹脂シートを製造した。
【0095】すなわち、「強化用繊維束2」としてのガ
ラス繊維のロービング2[平均単繊維径17μm、テッ
クス番手2310g/Km、集束本数4000本]20
本を水平に並べて含浸槽1の強化用繊維束導入口1bか
ら供給し、この含浸槽1を通過させながら連続的に下流
側から引き取る一方で、この含浸槽1内へ押出し機(不
図示)からは改質ポリプロピレン[無水マレイン酸改質
物(M−PP)、結晶融点(DSC測定)、MFR(2
30℃,21.2N):130g/10min]の溶融
物(溶融樹脂)を供給すると共に開繊されたロービング
2の間に溶融樹脂を充分に含浸させた。
【0096】上下2本で一組の開繊ピン3を3組設け、
各対の上段開繊ピン3と下段開繊ピン3との間の距離
(クリアランス)L3を1mmに設定した。含浸槽1内
の温度は270℃に調整した。出口ノズル1dとして
は、図7に示すような、縦0.35mm、縦7.4mm
のノズル20個を1.2mm間隔で水平方向に一列に設
置したものを使用し、ノズル1穴につきロービング2を
1本を通過させるようにした。引取り速度は、20m/
minとした。
【0097】このノズル1dから引出された各含浸ロー
ビング4は40℃に調整された2組のニップロール6,
7にて接合、賦形、冷却された。ノズル出口1dから、
第1ニップロール6中心までの水平距離は150mmと
した。また、ニップロール6,7の圧力は、賦形後の製
品寸法L2が216mmになるように調整した。
【0098】かかる比較例7によれば、引取り速度が、
20m/minでは毛羽発生が多発し、ロングラン運転
ができず(10分も運転できず)生産性に問題があるこ
とが解った。しかし、毛羽発生が起こらなかった状態に
おいては、穴あきがまったく発生せず、優秀と判定され
た。得られた長繊維強化熱可塑性樹脂シートのガラス含
有率は60wt%であり、繊維の偏在性もなく、含浸性
は「優秀」に格付けられ、縦さけも起こりにくい取り扱
いやすいものが得られた。これらの結果は、表3に示し
た。
【0099】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態を示す製造装置の説明図
である。
【図2】同実施の形態に係る規制格子を示す正面図であ
る。
【図3】同実施の形態に係る出口ノズルを示す正面図で
ある。
【図4】同実施の形態に係る賦形ロールにより含浸繊維
束が接合される様子を示した平面図である。
【図5】比較例の、引揃え繊維束を樹脂塗膜付与ロール
に接触させるタイプの製造装置の一態様を示す図1に相
当する説明図である。
【図6】比較例の、長繊維強化熱可塑性樹脂シートを2
段階ステップで製造する製造装置の一態様を示す図1に
相当する説明図である。
【図7】比較例の、分割ノズル(出口ノズルと規制格子
を合体したタイプ)の一態様を示す正面図である。
【符号の説明】
1 含浸槽 1a 上流側境壁 1b 強化用繊維束導入口 1c 下流側境壁 1d 出口ノズル 2 強化用繊維束 3 開繊ピン 4 含浸繊維束 5 規制格子 5a 長板部 5b ピン 6,7 ニップロール 8 引取ロール 9 巻取ロール 13 櫛状の引き揃え機 14,15,16 含浸ロール 17 除冷炉 18 張力調整ロール 20 トゥプリプレグ 21 櫛状の引き揃え機 22 ヒーター 23 加熱ロール 24 冷却ロール 25 巻取ロール L1 出口ノズル寸法 L2 出来上がり製品寸法 L3 上段開繊ピンと下段開繊ピンとの間の距離(クリ
アランス)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単一方向に沿う2本以上の強化用繊維束
    を含浸槽を通過させて、該含浸槽に貯留された溶融樹脂
    を前記各強化用繊維束に含浸させ、その後、該溶融樹脂
    が含浸された強化用繊維束(以下「含浸繊維束」とい
    う)を、出口ノズル直前に配置された規制格子を通すこ
    とにより、1本づつに分離して引き揃えて並べた後、こ
    れら含浸繊維束を出口ノズルを通しながら前記含浸槽外
    へ引き出し、次いで、該含浸繊維束が固化する前に、賦
    形ロールで前記個々の含浸繊維束を、前記出口ノズル寸
    法に対してシート出来上がり寸法が1.05〜1.10
    倍になるように接合し、賦形し、冷却してシート状に形
    成することを特徴とする長繊維強化熱可塑性樹脂シート
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記規制格子は、複数のピンを有し、前
    記含浸繊維束の一本づつが該各ピンの間に挿入されるこ
    とにより、1本づつ分離して引き揃えて並べられるよう
    に設定され、 該規制格子は、前記含浸槽内で、前記出口ノズルから上
    流側へ50mm以内の位置に設置され、且つ、前記ピン
    の直径が5mm以内であることを特徴とする請求項1記
    載の長繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  3. 【請求項3】 単一方向に沿う2本以上の強化用繊維束
    が通過されることにより、溶融樹脂が含浸される含浸槽
    と、 出口ノズルの直前に配置され、前記溶融樹脂が含浸され
    た強化用繊維束(以下「含浸繊維束」という)が通過さ
    れることにより、1本づつに分離して引き揃えて並べる
    規制格子と、 これら含浸繊維束が通過されて前記含浸槽外に引き出さ
    れる出口ノズルと、 該含浸槽外に引き出された含浸繊維束が固化する前に、
    前記個々の含浸繊維束を、前記出口ノズル寸法に対して
    シート出来上がり寸法が1.05〜1.10倍になるよ
    うに接合し、賦形し、冷却してシート状に形成するため
    の賦形ロールとを有することを特徴とする長繊維強化熱
    可塑性樹脂シートの製造装置。
  4. 【請求項4】 前記規制格子は、複数のピンを有し、前
    記含浸繊維束の一本づつが該各ピンの間に挿入されるこ
    とにより、1本づつ分離して引き揃えて並べられるよう
    に設定され、 該規制格子は、前記含浸槽内で、前記出口ノズルから上
    流側へ50mm以内の位置に設置され、且つ、前記ピン
    の直径が5mm以内であることを特徴とする請求項3記
    載の長繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造装置。
JP10093956A 1997-04-10 1998-03-23 長繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造方法及びその製造装置 Pending JPH10337786A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100846338B1 (ko) * 2001-09-28 2008-07-15 아사히가라스마텍스가부시끼가이샤 섬유강화 합성수지제 격자형상체의 연속제조방법
JP2012086548A (ja) * 2010-09-24 2012-05-10 Daicel Polymer Ltd 無機繊維巻きテープとその製造方法
CN110293617A (zh) * 2019-07-17 2019-10-01 武汉微动机器人科技有限公司 一种压片机

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