JPH10337591A - ハロゲン置換有機化合物収容容器の洗浄装置及び洗浄方法 - Google Patents

ハロゲン置換有機化合物収容容器の洗浄装置及び洗浄方法

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JPH10337591A
JPH10337591A JP14612597A JP14612597A JPH10337591A JP H10337591 A JPH10337591 A JP H10337591A JP 14612597 A JP14612597 A JP 14612597A JP 14612597 A JP14612597 A JP 14612597A JP H10337591 A JPH10337591 A JP H10337591A
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organic compound
halogen
substituted organic
solvent
pcb
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JP14612597A
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Michio Ikeda
理夫 池田
Masao Kon
雅夫 今
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、洗浄・浄化処理による二次汚染廃液
の発生をほとんど生じることなハロゲン置換有機化合物
の分解が可能なハロゲン置換有機化合物収容容器の洗浄
方法を提供することにある。 【解決手段】本発明は、 ハロゲン置換有機化合物が入
った収容容器に有機溶剤を導入して前記ハロゲン置換有
機化合物を溶解する第1の洗浄工程と、前記ハロゲン置
換有機化合物を溶解した溶媒と前記ハロゲン置換有機化
合物分解能を有する微生物の懸濁液を混合し前記収容容
器内で前記微生物を培養する第2の洗浄工程とを有す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、PCB等のハロゲ
ン置換有機化合物に汚染されたハロゲン置換有機化合物
収容容器の洗浄装置及び洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ハロゲン置換有機化合物はその安定な化
学的特性から広く利用されてきた。しかし、その有害性
や環境へ与える負荷の大きさから、先進各国ではその利
用だけでなく生産も徐々に中止されている。しかし、過
去に生産され、利用されたこれらの化合物が廃棄物とし
て保存容器中に納められたまま大量に保管されており、
その処理が問題となっている。
【0003】例えばPCBは、その有害性が明らかにな
るまでトランスオイル等の絶縁剤として大量に使用され
ていた。しかし、その毒性のためPCBの使用は禁止さ
れ、その移動・運搬も厳しく制限されている。これらの
トランスを再利用するために、トランス内のPCBを取
り除こうとしても、トランスオイルには粘性があるため
トランス内にあるコイルの隙間などに残存してしまい完
全除去が困難である。そこで従来は、溶媒等を用いてト
ランス内を洗浄し、洗浄溶媒にPCBが検出されなくな
るまで繰り返し洗浄を行っていた。このような有機溶媒
等の溶媒による洗浄だけでは、トランスを洗浄・浄化す
るためにPCBを取り除くまでに繰り返し洗浄を行わな
ければならず洗浄工程が煩雑である。しかも、洗浄に伴
ってごく低濃度のPCBに汚染された洗浄廃液が大量に
発生してしまうため、それら大量のPCB二次汚染廃液
の処理も行わなければならないという問題点があった。
【0004】この様に、大量に保管されているハロゲン
置換有機化合物を保管していた容器の洗浄は、内容物で
あるハロゲン置換有機化合物の処理と同様に大きな問題
となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来のハロゲン置換有
機化合物を収容したトランス等の洗浄法は、ハロゲン置
換有機化合物に汚染された洗浄廃液が大量に発生し、洗
浄・浄化処理による二次汚染廃液が大量に発生するとい
う問題点があった。
【0006】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
ので、洗浄・浄化処理による二次汚染廃液の発生を低減
し、 ハロゲン置換有機化合物を完全に近い状態に分解
することのできるハロゲン置換有機化合物収容容器の洗
浄装置及び洗浄方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、請求項1のハロゲン置換有機化合物収容容器の洗
浄装置は、ハロゲン置換有機化合物が入った収容容器に
有機溶剤を導入して前記ハロゲン置換有機化合物を溶解
する洗浄手段と、前記ハロゲン置換有機化合物分解能を
有する微生物の懸濁液を前記収容容器の内部に導入する
微生物導入手段と、前記収容容器を前記微生物が生存す
る環境に保持する環境保持手段とを具備することを特徴
とする。
【0008】請求項2のハロゲン置換有機化合物収容容
器の洗浄方法は、ハロゲン置換有機化合物が入った収容
容器に有機溶剤を導入して前記ハロゲン置換有機化合物
を溶解する第1の洗浄工程と、前記ハロゲン置換有機化
合物を溶解した溶媒と前記ハロゲン置換有機化合物分解
能を有する微生物の懸濁液を混合し前記収容容器内で前
記微生物を培養する第2の洗浄工程とを有することを特
徴とする。
【0009】請求項3のハロゲン置換有機化合物収容容
器の洗浄方法は、請求項2において、前記有機溶媒が芳
香族炭化水素であり、且つ前記溶媒が前記微生物の芳香
族炭化水素酸化酵素を誘導する物質であることを特徴と
する。
【0010】請求項4のハロゲン置換有機化合物収容容
器の洗浄方法は、請求項3において、前記溶媒が、トル
エン・フェノール・キシレン等の芳香族炭化水素であ
り、且つ前記微生物がシュードモナス・セパシア等のシ
ュードモナス属、アルカリゲネス属、及びロドコッカス
属から選ばれることを特徴とする。
【0011】請求項5のハロゲン置換有機化合物収容容
器の洗浄方法は、請求項3において、前記溶媒が、ヘキ
サン・シクロヘキサン・オクタン・シクロオクタン等の
無極性溶媒であり、且つ前記微生物は、シュードモナス
・フルオレセンス,シュードモナス・プチダ(Pseudomon
as putted)等のビフェニル分解能を有するシュードモナ
ス属から選ばれることを特徴とする。
【0012】請求項6のハロゲン置換有機化合物収容容
器の洗浄方法は、請求項3において、前記溶媒が、アル
コール等の親水性有機溶媒であり、且つ前記微生物は、
デサルフォモニル(Desulfomonile) 属、デサルフィトバ
クテリウム(Desulfitobacterium)属から選ばれることを
特徴とする。
【0013】請求項7のハロゲン置換有機化合物収容容
器の洗浄方法は、請求項6において、前記アルコールが
嫌気条件下で前記微生物のエレクトロン・ドナーとなり
うるアルコールであることを特徴とする。
【0014】請求項8のハロゲン置換有機化合物収容容
器の洗浄方法は、請求項7において、前記アルコールが
メタノールであることを特徴とする。請求項9のハロゲ
ン置換有機化合物収容容器の洗浄方法は、請求項2にお
いて、前記微生物がYMCT-001株(工業技術院生命工学工
業技術研究所寄託 FERMBP−5282)であるこ
とを特徴とする。
【0015】特に、前記第1の洗浄工程後に分解菌培養
液を添加した時の水とハロゲン置換有機化合物と溶媒の
容積比が、水を1とした際、ハロゲン置換有機化合物及
び溶媒がそれぞれ0.003 〜0.05であることが望ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の方法は、第1の洗浄工程
としてPCB等のハロゲン置換有機化合物で汚染された
トランス等のハロゲン置換有機化合物収容容器を有機溶
媒を含む溶媒で洗浄することにより、トランスのコイル
等の微細な隙間に残存しているPCB等を洗浄溶媒に移
行させる。その後、第2の洗浄工程としてトランス内に
PCB等の分解能を有する微生物の懸濁液を添加・培養
することによってPCB等を分解・無害化することによ
り、トランスを洗浄・浄化することを骨子とする。
【0017】本発明では、第1の洗浄工程でハロゲン置
換有機化合物を従来のように有機溶剤で除去するのでは
なく、溶剤に溶かして微生物がハロゲン置換有機化合物
に接触しやすいようにする。また第2の洗浄工程におい
ては残ったハロゲン置換有機化合物と有機溶剤の混合物
は微生物の炭素源として活用される等して分解され且つ
微生物の移動により、従来のように単に有機溶剤で洗浄
する場合に比べて洗浄に使用する有機溶剤の量を大幅に
低減することができるだけではなく、洗浄だけでは除去
することができない収容容器内の隅々に残存するハロゲ
ン置換有機化合物まで除去できるので、少ない有機溶剤
の使用でハロゲン置換有機化合物の完全除去に近い洗浄
を行うことができる。
【0018】本発明で、問題としているハロゲン置換有
機化合物とは、PCBの他に、塩化ベンゼン,パークロ
ロエチレン,トリクロロエチレン,ジクロロエチレン,
塩化ビニル,ジクロロエタン,ペンタクロロエタン,フ
ロン113等のハロゲンを含む有機化合物で、特に環境
汚染への懸念がある化合物である。以下では、 PCB
を代表例として特に挙げて説明する。
【0019】図1に、トランスの洗浄装置及びこの洗浄
装置を用いたトランスの洗浄工程を示した。図1(a)
は第1の洗浄工程、図1(b)は第2の洗浄工程をしめ
している。
【0020】先ず、第1の洗浄行程では、トランス1に
溶媒槽2から送液ポンプ3を用いて溶媒を送り、噴霧口
4より有機溶媒を噴霧してトランス1の内部を洗浄す
る。これらの溶媒槽2、送液ポンプ3、噴霧口4が一体
となって洗浄手段を構成しているが、特に噴霧口4がな
く、有機溶媒を注ぐだけの構造であっても構わない。要
するに少なくともトランス等の容器内部に有機溶媒を注
ぐぎ、壁面などに付着しているPCBを洗い落とすこと
ができる手段を有するだけでよい。この第1の洗浄行程
で溶媒による内部洗浄を終えたトランスは、第2の洗浄
工程へ送られる。
【0021】つぎに、第2の洗浄工程ではまず、分解菌
培養槽5から分解菌培養液がトランス内に添加される。
そして、撹拌装置6によりPCBが溶け込んだ洗浄溶媒
と培養液を混ぜ合わせる。培養液には微生物の生育に必
要な無機成分や糖や有機酸やアミノ酸あるいはイースト
エキストラクト等微生物が資化出来る物質を含むことが
望ましい。また、上述の培養液と微生物あるいは、微生
物の凍結乾燥体,胞子,さらには、微生物を担持した微
生物製剤等を導入することにより、トランス内で微生物
の培養を開始することも可能である。しかし、処理効率
の観点からすると既に培養済みの分解菌培養液を導入す
ることが望ましい。微生物導入手段は、少なくとも微生
物の培養液をトランス等の容器内部に微生物が生きた状
態で導入する手段を少なくとも具備すればよい。
【0022】培養液添加後はそのまま培養することによ
り、トランス中のPCBを分解菌により分解させる。ま
た、より効率よくPCBを分解するために、センサー7
によりトランス内培養液の温度,pH,溶存酸素濃度等
をセンシングして、その値よりコンピュータプロセッサ
ー8等によりボイラー9からのスチームによる加温や気
体ポンプ10による酸素あるいは窒素ガス等の不活性ガ
スのバブリング、および、pH調整剤の添加によるpH
調整等を行い微生物が好適に生育可能な環境を創り出す
ことも可能である。ここで、環境保持手段は微生物を生
きた状態でPCB等を分解する環境に設定しておくに必
要な装置を具備すれば良く、微生物の種類によってその
構成は異なる。少なくとも微生物育成に必要な温度保持
手段を有する。この温度保持手段は単にトランス等の周
囲に保温材などを巻いたものでも良く、或いはトランス
を設置した室内のエアコンディショナーでトランスを積
極的に一定温度を保つようなものでも良い。その他、酸
素或いは窒素等の微生物の生存を助けるガス導入手段な
どが必要である。
【0023】ところで、適当な有機溶媒を含む溶媒によ
る洗浄は、本発明を行うに当たって必須の工程である。
すなわち、PCB等のハロゲン置換有機化合物は水溶液
に対する溶解度が小さい。そのため、単にトランス中に
PCB分解菌の懸濁液を添加・培養を行うだけではPC
Bはトランス中のコイルの隙間中に残存し、微生物との
接触が妨げられ、投入分解菌によるPCB分解は効率良
く行われない。しかし、本発明により適当な有機溶媒を
含む溶媒による洗浄を行うことにより、PCBは洗浄溶
媒に移行し微生物との効率良い接触が可能となり、投入
分解菌によるPCB分解反応を効率よく進行させること
が可能となる。
【0024】上記有機溶媒には、以下の条件が必要であ
る。 (1) ハロゲン置換有機化合物(PCB)を良く溶解
する溶媒であること。 (2) ハロゲン置換有機化合物(PCB)を分解する
微生物の活性に悪影響を与えない溶媒であること。 (3) 微生物が生存のために利用する炭素源となる溶
媒であると。
【0025】ここで言う利用するとは、微生物が生存す
るために必要な炭素源として用いることが挙げられる。
特により好ましくは、当該微生物のPCB分解能を活性
化する物質として用いる、あるいは、PCB分解を行う
場合のエレクトロン・ドナーとして用いる物質であるこ
とを意味する。いかなる溶媒を用いるかは、利用するP
CB分解菌の性質との組み合わせにより選択・使用する
ことが出来る。本発明では、 PCB分解菌に対するこ
の溶媒の選択性が特に重要である。この組み合わせを列
挙すると次のようになる。
【0026】第1に、ヘキサン・シクロヘキサン・オク
タン・シクロオクタン等の無極性溶媒はビフェニル分解
能を有する微生物を用いる場合に有効である。この様な
微生物の例としては、シュードモナス・フルオレセン
ス,シュードモナス・プチダ等シュードモナス属のPC
B分解能を有するものが挙げられる。その理由は上述の
細菌は、これらの炭化水素を酸化する酵素によりPCB
を分解しており、これら物質が存在することにより当該
酵素が誘導され、それに伴いPCB分解活性が向上する
からである。
【0027】第2に、トルエン・フェノール・キシレン
等の芳香族炭化水素に対しては、芳香族炭化水素酸化酵
素によりPCBを分解するシュードモナス・セパシア等
のシュードモナス属やアルカリゲネス属等の微生物が芳
香族炭化水素酸化酵素を誘導しPCB分解活性を活性化
するため、これらの微生物を用いる場合に有効である。
【0028】第3に、メタノール等のアルコールのよう
な親水性有機溶媒は、嫌気条件下でPCBの脱塩素化す
る微生物のエレクトロン・ドナーとなるため、PCBを
分解するためのエネルギーを獲得することが出来これら
の微生物を利用する場合に有効である。さらに、培養液
に界面活性剤を添加することも培養液とPCBの接触を
向上させるためには有効である。利用する界面活性剤と
しては、ノニオン性界面活性剤が有効であり、比較的高
分子のものが効果が高い。この様な界面活性剤の例とし
てはトライトンX−705(Rohm&Hass Inc.)等が挙げ
られる。
【0029】PCB分解菌による処理は特定の分解菌に
より行うことが出来るが、必要に応じて、複数の微生物
処理を組み合わせて行うことも可能である。すなわち、
嫌気性微生物による処理によりPCBを低塩素化物に変
換した後に好気性微生物による処理を行いPCBを分解
・無害化することにより、より効率良くトランスの洗浄
・浄化処理を行うことも可能となる。また、同様の理由
からトランスを有機溶媒を含む溶媒で洗浄後、微生物に
よる処理を行う前に物理化学的な処理を行い、微生物処
理の効率を高くすることも可能である。上記物理化学的
処理としては、紫外線による分解,超音波による分解等
が挙げられる。これらの物理化学的処理はその処理コス
トが許容出来る範囲内であれば実施することは可能であ
る。
【0030】また、本発明に用いる分解菌は本発明の溶
媒との組み合わせによりハロゲン置換有機化合物を分解
可能な微生物であればよく、いかなる微生物も本発明の
スコープ内に包含される。さらに、本発明に記載の微生
物の遺伝子組換え体に関しても同様に本発明のスコープ
内に包含される。
【0031】本発明の培養は、トランスに添加したPC
B分解菌懸濁液を分解菌の反応に好適な条件に保ち、P
CBと分解菌の反応を維持する性質が要求される。微生
物が生存する環境に保持する環境保持手段は、微生物が
生存し、PCB等を分解する為に必要な提供するもの
で、反応維持を制御する条件としては、温度・溶存酸素
濃度・pH等が挙げられる。各条件の制御範囲は使用す
る分解菌の特性に応じて設定することが出来る。例え
ば、好気性細菌を用いる場合には溶存酸素濃度を一定に
保つために、バブリンブ等の処理を行う。
【0032】また、嫌気性細菌を用いる場合には、温度
を室温より高めに、例えば40〜50℃に保持すること
により処理効率が向上する。更に、本発明ではトランス
以外の収容容器としてハロゲン置換有機化合物を内部に
有する電気機器、電力送電用機器等の外側容器であり、
トランス以外にコンデンサ等が挙げられる。
【0033】
【実施例】以下、図1で説明した洗浄装置を用いてトラ
ンスを洗浄した場合につての実施例を説明するが、これ
らによって本発明の範囲を何等限定するものではない。 (実施例1)PCB汚染トランス1の内壁にトルエンを
ノズル4から噴霧状にして照射し、トランス1側面に付
着したPCBを除去する。これによってトランス1内部
の底にはPCB含有のトルエン11が溜まる(図1
(a))。
【0034】この後、グルコースをTOCとして180
ppm含む無機塩培地にYMCT-001株(工業技術院生命工
学工業技術研究所寄託 FERM BP−5282)懸
濁液を形成し、このトランス1内部に添加する。これに
よって、水: PCB :トルエンが1 :0.003 :0.00
3 である水溶液をトランス1内部に形成した。
【0035】更に、トランス1本体を室温(25℃程
度)に保持するとともに、バブリングによる酸素供給を
行い培養した。この時の溶存酸素量は約12mg/Lであった
(図1(b))。
【0036】この溶媒中のトランス1内水溶液中のPC
B濃度の経時変化を図2に示す。この図中での縦軸は初
期濃度に対する百分率である相対濃度%であり、横軸は
経過した時間である。35時間後にはほぼ0%の0.0
02ppmになった。
【0037】(比較例1a)PCB汚染トランスをトル
エンで洗浄を行った。洗浄回数と、洗浄廃液中のPCB
濃度の関係を図3に示す。ここでは実施例1と同一のト
ランスを使用したが、10回の洗浄後においては実施例
1と比べて400倍のトルエン含有廃液を出したばかり
ではなく、1ppm以下に低減することができなかっ
た。
【0038】(比較例1b)トルエンによる洗浄を行わ
ず、YMCT-001株の懸濁液を添加した以外は実施例1と同
様の試験を行った。トランス内の水溶液中のPCB濃度
の経時変化を図4に示す。縦軸と横軸は図2と同様であ
る。40時間後においてもPCBの初期濃度の50%以
下に低減することができなかった。
【0039】実施例1と比較例1aを比較して明らかな
ように、本発明の方法を用いればPCB汚染廃液を排出
することなく、PCB汚染トランスを洗浄・浄化するこ
とが可能であることが容易に理解できる。また、実施例
1と比較例1bを比較することにより、本発明の方法を
用いて有機溶媒を含む溶媒で洗浄を行うことで、トラン
ス内のPCBを低濃度にまで効率よく分解・無害化出来
ることが容易に理解できる。
【0040】以上説明したように、本実施例1によれ
ば、 PCBで汚染されたトランスを有機溶媒を含む溶
媒で洗浄し、PCBを洗浄溶媒に移行させた後、トラン
ス内にPCB分解能を有する微生物の懸濁液を添加・培
養することによってPCBを分解・無害化することが可
能となるため、大量のPCB汚染2次廃液を排出するこ
となくPCB汚染トランスを洗浄・浄化出来る。
【0041】本実施例1を用いたPCB汚染トランス洗
浄・浄化法は、非常に経済性に優れその工業的価値は極
めて大である。 (実施例2)使用した分解菌がロドコッカス・エリスロ
ポリス(IFO 12320) である以外は実施例1と同様の試験
を行った。この溶媒中のトランス内水溶液中のPCB濃
度の経時変化を図5に示す。20時間経過後には18%
以下にすることができ、35時間後においてはほぼ0%
にできた。
【0042】また、以上の実施例2、比較例1a、及び
比較例1bから明らかなように、実施例1の場合と同様
に、ヘキサン含有の廃液を1/400程度に低減するこ
とができ、PCBを完全分解に近い程度に分解すること
ができた。
【0043】以上の実施例1、及び実施例2で使用した
トルエンの代わりとして、フェノール、キシレン等の他
の芳香族炭化水素を使用しても同様の効果を奏する傾向
が分かった。
【0044】また、この様な有機溶媒使用状況下のおい
て、 YMCT-001 株の分解菌の代わりにロドコッカス・エ
リスロポリス等のロドコッカス属、シュードモナス・セ
パシア等のシュードモナス属やアルカリゲネス属等の微
生物を使用しも同様の効果を奏する傾向が分かった。
【0045】(実施例3)洗浄に使用した溶媒がヘキサ
ンであり、使用した分解菌がシュードモナス・プチダ
(IFO3538)である以外は実施例1と同様であ
る。この溶媒中のトランス内水溶液中のPCB濃度の経
時変化を図6に示す。
【0046】(比較例3a)PCB汚染トランスをヘキ
サンで洗浄した。洗浄回数と、洗浄廃液中のPCB濃度
の関係を図7に示す。洗浄回数10回を経てもPCBの
濃度は0,1ppm残った。
【0047】(比較例3b)ヘキサンによる洗浄を行わ
なかった以外は、実施例3と同様の試験を行った。この
溶媒中のトランス内水溶液中のPCB濃度の経時変化を
図8に示す。40時間経てもPCB濃度が初期の濃度の
55%とPCBが残留した。
【0048】以上の実施例3と比較例3a乃至比較例3
bを比較した結果は、実施例1の場合と同様の結果を得
た。実施例3では有機溶剤にヘキサンを使用したが、ヘ
キサンの代わりにシクロヘキサン・オクタン・シクロオ
クタン等の無極性溶媒を使用しても同様の効果を呈する
傾向を認めた。また、これらの有機溶媒の使用条件下で
はシュードモナス・プチダの代わりに他のビフェニル分
解能を有するシュードモナス属例えばシュードモナス・
フルオレセンスでも同様の効果を有する傾向が分かっ
た。
【0049】(実施例4)この実施例が実施例1と異な
る点は、洗浄に使用した溶媒がエタノールであり、使用
した分解菌がデサルフォモニル・フィエディジェイであ
ること、及び第2の洗浄工程における水: PCB :
エタノールの比率、バブリングガスを窒素ガスを用いた
ことである。
【0050】分解菌は、グルコースをTOCとして18
0ppm含む無機塩培地にデサルフォモニル・フィエデ
ィジェイ(Desulfomonile fiedjei DCB-1 ATCC 49306)
懸濁液を形成し、このトランス内部に添加した。これに
よって、水: PCB :エタノールが1 :0.003 :0.
05である水溶液を形成した。
【0051】更に、トランス1本体を45℃程度に保持
するとともに、窒素のバブリングによる酸素供給を行い
窒素をパージした後密封して培養した。この溶媒中のト
ランス内水溶液中のPCB濃度の経時変化を図9中の黒
丸で示す。
【0052】(比較例4)エタノールによる洗浄を行わ
なかった以外は実施例4と同様の試験を行った。この培
養中のトランス内水溶液中のPCB濃度の経時変化を図
9中の−○―で示す。
【0053】図9から明らかな様に、実施例4のPCB
分解にエタノール洗浄を実施した場合にも、実施例1と
同様の効果を奏することが分かった。以上の実施例4で
は、エタノールの代わりにアルコール例えばメタノール
を使用しても、或いはアルコール以外の親水性有機溶媒
例えばアセトン,アセトニトリル等を使用しても同様の
効果があることが分かった。また、これらの親水性有機
溶媒使用状況下において用いたデサルフォモニル・フィ
エディジェイの代わりに他のデサルフォモニル属或いは
デサルフィトバクテリウム属を使用しても同様の効果を
示すことが分かった。
【0054】
【発明の効果】以上の構成によって、従来の有機溶剤に
よる洗浄による方法だけに比べて洗浄・浄化処理による
二次汚染廃液の発生をほとんど生じることなく、 PC
B等を分解するこちのできるの洗浄装置及び洗浄方法を
提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1を説明する装置の模式図
【図2】 本発明の実施例1の効果を説明する図
【図3】 本発明の比較例1aの効果を説明する図
【図4】 本発明の比較例1bの効果を説明する図
【図5】 本発明の実施例2の効果を説明する図
【図6】 本発明の実施例3の効果を説明する図
【図7】 本発明の比較例3aの効果を説明する図
【図8】 本発明の比較例3bの効果を説明する図
【図9】 本発明の実施例4及び比較例4の効果を説明
する図
【符号の説明】
1 トランス 2 溶媒槽 3 送液ポンプ 4 噴霧口 5 分解菌培養槽 6 撹拌装置 7 センサー 8 コンピュータプロセッサー 9 ボイラー 10 気体ポンプ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ハロゲン置換有機化合物が入った収容容器
    に有機溶剤を導入して前記ハロゲン置換有機化合物を溶
    解する洗浄手段と、前記ハロゲン置換有機化合物分解能
    を有する微生物の懸濁液を前記収容容器の内部に導入す
    る微生物導入手段と、前記収容容器を前記微生物が生存
    する環境に保持する環境保持手段とを具備することを特
    徴とするハロゲン置換有機化合物収容容器の洗浄装置。
  2. 【請求項2】ハロゲン置換有機化合物が入った収容容器
    に有機溶剤を導入して前記ハロゲン置換有機化合物を溶
    解する第1の洗浄工程と、前記ハロゲン置換有機化合物
    を溶解した溶媒と前記ハロゲン置換有機化合物分解能を
    有する微生物の懸濁液を混合し前記収容容器内で前記微
    生物を培養する第2の洗浄工程とを有することを特徴と
    するハロゲン置換有機化合物収容容器の洗浄方法。
  3. 【請求項3】前記有機溶媒が芳香族炭化水素であり、且
    つ前記溶媒が前記微生物の芳香族炭化水素酸化酵素を誘
    導する物質であることを特徴とする請求項2記載のハロ
    ゲン置換有機化合物収容容器の洗浄方法。
  4. 【請求項4】前記溶媒が、トルエン・フェノール・キシ
    レン等の芳香族炭化水素であり、且つ前記微生物がシュ
    ードモナス・セパシア等のシュードモナス属、アルカリ
    ゲネス属、及びロドコッカス属から選ばれることを特徴
    とする請求項3記載のハロゲン置換有機化合物収容容器
    の洗浄方法。
  5. 【請求項5】前記溶媒が、ヘキサン・シクロヘキサン・
    オクタン・シクロオクタン等の無極性溶媒であり、且つ
    前記微生物は、シュードモナス・フルオレセンス,シュ
    ードモナス・プチダ(Pseudomonas putted)等のビフェニ
    ル分解能を有するシュードモナス属から選ばれることを
    特徴とする請求項3記載のハロゲン置換有機化合物収容
    容器の洗浄方法。
  6. 【請求項6】前記溶媒が、アルコール等の親水性有機溶
    媒であり、且つ前記微生物は、デサルフォモニル(Desul
    fomonile) 属、デサルフィトバクテリウム(Desulfitoba
    cterium)属から選ばれることを特徴とする請求項3記載
    のハロゲン置換有機化合物収容容器の洗浄方法。
  7. 【請求項7】前記アルコールが嫌気条件下で前記微生物
    のエレクトロン・ドナーとなりうるアルコールであるこ
    とを特徴とする請求項6記載のハロゲン置換有機化合物
    収容容器の洗浄方法。
  8. 【請求項8】前記アルコールがメタノールであることを
    特徴とする請求項7記載のハロゲン置換有機化合物収容
    容器の洗浄方法。
  9. 【請求項9】前記微生物がYMCT-001株(工業技術院生命
    工学工業技術研究所寄託 FERMBP−5282)で
    あることを特徴とする請求項2記載のハロゲン置換有機
    化合物収容容器の洗浄方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009233654A (ja) * 2008-03-07 2009-10-15 Tokyo Electric Power Co Inc:The 汚染機器の洗浄方法および洗浄システム

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