JPH10334849A - メタルハライドランプ - Google Patents
メタルハライドランプInfo
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- JPH10334849A JPH10334849A JP15427797A JP15427797A JPH10334849A JP H10334849 A JPH10334849 A JP H10334849A JP 15427797 A JP15427797 A JP 15427797A JP 15427797 A JP15427797 A JP 15427797A JP H10334849 A JPH10334849 A JP H10334849A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 少なくともヨウ化ディスプロシウムとヨウ化
セシウムを封入したメタルハライドランプにおいて、経
時変化を低減して長寿命化を図ると共に、色特性及び効
率等のランプ特性の初期特性の向上を図る。 【解決手段】 両端に電極11を封着した発光管1内に、
ヨウ化ディスプロシウム対ヨウ化セシウムのモル比が
2:3となるような、ヨウ化ディスプロシウムとヨウ化
セシウムを 3.5mg封入すると共に、ヨウ化タリウムを
0.5mgと水銀10mgとアルゴンガスを 6.7×103 パスカル
封入し、発光管外表面には、 852nmと894nm を中心波長
とする 800〜900nm 領域の赤外線を60%反射する赤外線
反射膜13を設け、該発光管1をランプ外球2に配設して
メタルハライドランプを構成する。
セシウムを封入したメタルハライドランプにおいて、経
時変化を低減して長寿命化を図ると共に、色特性及び効
率等のランプ特性の初期特性の向上を図る。 【解決手段】 両端に電極11を封着した発光管1内に、
ヨウ化ディスプロシウム対ヨウ化セシウムのモル比が
2:3となるような、ヨウ化ディスプロシウムとヨウ化
セシウムを 3.5mg封入すると共に、ヨウ化タリウムを
0.5mgと水銀10mgとアルゴンガスを 6.7×103 パスカル
封入し、発光管外表面には、 852nmと894nm を中心波長
とする 800〜900nm 領域の赤外線を60%反射する赤外線
反射膜13を設け、該発光管1をランプ外球2に配設して
メタルハライドランプを構成する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、メタルハライド
ランプに関し、特に色特性及び寿命特性を改善したメタ
ルハライドランプに関する。
ランプに関し、特に色特性及び寿命特性を改善したメタ
ルハライドランプに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、メタルハライドランプの中で、デ
ィスプロシウム(Dy )などの希土類金属のヨウ化物と
必要に応じてヨウ化タリウムなどと共に、放電状態を安
定に保つために、ヨウ化セシウムを封入した、いわゆる
高演色形のメタルハライドランプが知られている。
ィスプロシウム(Dy )などの希土類金属のヨウ化物と
必要に応じてヨウ化タリウムなどと共に、放電状態を安
定に保つために、ヨウ化セシウムを封入した、いわゆる
高演色形のメタルハライドランプが知られている。
【0003】ところが、セシウムの発光が可視領域には
存在せず、 852nmと894nm に、強い赤外線放射があり、
それによりランプの発光効率を低下させる要因となるた
め、ヨウ化セシウムの封入量は、希土類金属のヨウ化物
量に対して、ある量以下にする必要がある。一般には、
希土類金属ヨウ化物に対して、ヨウ化セシウムは重量比
で0.35(モル比で0.73)以下の封入量としている。
存在せず、 852nmと894nm に、強い赤外線放射があり、
それによりランプの発光効率を低下させる要因となるた
め、ヨウ化セシウムの封入量は、希土類金属のヨウ化物
量に対して、ある量以下にする必要がある。一般には、
希土類金属ヨウ化物に対して、ヨウ化セシウムは重量比
で0.35(モル比で0.73)以下の封入量としている。
【0004】また、希土類金属のヨウ化物を含む放電
は、そのままでは放電アークの安定性が悪く、アーク揺
れやアーク曲がりなどの現象が起きやすく、短寿命とも
なるため、ヨウ化セシウムを適量以上封入し、アークの
安定化を図る必要がある。一般には、希土類金属ヨウ化
物に対して、ヨウ化セシウムは重量比で 0.1(モル比で
0.22)以上としている。したがって、ヨウ化セシウムの
最適量は、希土類金属のヨウ化物に対して、モル比で0.
22以上、0.73以下が適量とされている。
は、そのままでは放電アークの安定性が悪く、アーク揺
れやアーク曲がりなどの現象が起きやすく、短寿命とも
なるため、ヨウ化セシウムを適量以上封入し、アークの
安定化を図る必要がある。一般には、希土類金属ヨウ化
物に対して、ヨウ化セシウムは重量比で 0.1(モル比で
0.22)以上としている。したがって、ヨウ化セシウムの
最適量は、希土類金属のヨウ化物に対して、モル比で0.
22以上、0.73以下が適量とされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、 200W以下の
小形高演色メタルハライドランプの場合、上記のヨウ化
セシウムの封入範囲では、色温度の安定性及び寿命の点
で十分とはいえなかった。これは、例えば、図7のヨウ
化ディスプロシウムとヨウ化セシウムの2成分系状態図
からも判るように、ヨウ化ディスプロシウム対ヨウ化セ
シウムのモル比が2:3を越えてヨウ化ディスプロシウ
ムが多くなる領域では、発光管を構成する石英ガラスに
対して活性なヨウ化ディスプロシウムの単独成分が安定
に存在し、ランプ点灯中、ヨウ化ディスプロシウムと石
英ガラスとの熱化学反応が起きやすくなり、石英ガラス
の失透現象、色特性の変化、ランプ電圧の上昇、立ち消
え、石英ガラスの浸食によるリークなどが起こり、短寿
命となることがあったためと考えられる。
小形高演色メタルハライドランプの場合、上記のヨウ化
セシウムの封入範囲では、色温度の安定性及び寿命の点
で十分とはいえなかった。これは、例えば、図7のヨウ
化ディスプロシウムとヨウ化セシウムの2成分系状態図
からも判るように、ヨウ化ディスプロシウム対ヨウ化セ
シウムのモル比が2:3を越えてヨウ化ディスプロシウ
ムが多くなる領域では、発光管を構成する石英ガラスに
対して活性なヨウ化ディスプロシウムの単独成分が安定
に存在し、ランプ点灯中、ヨウ化ディスプロシウムと石
英ガラスとの熱化学反応が起きやすくなり、石英ガラス
の失透現象、色特性の変化、ランプ電圧の上昇、立ち消
え、石英ガラスの浸食によるリークなどが起こり、短寿
命となることがあったためと考えられる。
【0006】これは、添加物のヨウ化物組成が寿命に大
きく影響することを示すもので、小形メタルハライドラ
ンプにおいては、発光効率、色温度、演色性などのラン
プ特性を、一般照明(特に、商業施設照明)に適するレ
ベルに保ち、且つ長寿命を達成するためには、ヨウ化デ
ィスプロシウム対ヨウ化セシウムのモル比が2:3以下
になるように、ヨウ化セシウムの量を多くする必要があ
る。ところが、ヨウ化セシウムの増加は赤外放射の増加
となり、そのままではランプの発光効率を低下させるた
め実用的ではないという問題がある。
きく影響することを示すもので、小形メタルハライドラ
ンプにおいては、発光効率、色温度、演色性などのラン
プ特性を、一般照明(特に、商業施設照明)に適するレ
ベルに保ち、且つ長寿命を達成するためには、ヨウ化デ
ィスプロシウム対ヨウ化セシウムのモル比が2:3以下
になるように、ヨウ化セシウムの量を多くする必要があ
る。ところが、ヨウ化セシウムの増加は赤外放射の増加
となり、そのままではランプの発光効率を低下させるた
め実用的ではないという問題がある。
【0007】従来、特公平7−101604号公報にお
いて、発光管内部に、所定の吸収、反射特性をもつ金属
ハロゲン化物を封入し、発光管外表面に可視光を80%以
上透過しそれ以外を30%以上反射する選択反射膜を設
け、色温度を4500K以下としたメタルハライドランプに
ついて記載がなされているが、この手段では封入物質と
反射膜との関連は明確でなく、封入物質の化学的な封入
比率について考慮がなされていないので、上記従来技術
の問題点の改善について何も示唆するところがない。ま
た特開平2−256153号公報には、外管又は発光管
表面に多層干渉膜を形成した、色温度2000〜4000Kのメ
タルハライドランプについて開示がなされているが、こ
のランプにおいても、封入物質と反射膜について具体的
な関連については何も記載されておらず、したがって、
この公報開示の技術も、上記従来技術の改善に示唆を与
えるものではない。
いて、発光管内部に、所定の吸収、反射特性をもつ金属
ハロゲン化物を封入し、発光管外表面に可視光を80%以
上透過しそれ以外を30%以上反射する選択反射膜を設
け、色温度を4500K以下としたメタルハライドランプに
ついて記載がなされているが、この手段では封入物質と
反射膜との関連は明確でなく、封入物質の化学的な封入
比率について考慮がなされていないので、上記従来技術
の問題点の改善について何も示唆するところがない。ま
た特開平2−256153号公報には、外管又は発光管
表面に多層干渉膜を形成した、色温度2000〜4000Kのメ
タルハライドランプについて開示がなされているが、こ
のランプにおいても、封入物質と反射膜について具体的
な関連については何も記載されておらず、したがって、
この公報開示の技術も、上記従来技術の改善に示唆を与
えるものではない。
【0008】本発明は、少なくともヨウ化ディスプロシ
ウムとヨウ化セシウムを封入した従来のメタルハライド
ランプにおける上記問題点を解消するためになされたも
ので、長寿命で所望の色特性が得られるようにヨウ化セ
シウムを封入した場合でも、発光効率を低下させないよ
うにしたメタルハライドランプを提供することを目的と
する。
ウムとヨウ化セシウムを封入した従来のメタルハライド
ランプにおける上記問題点を解消するためになされたも
ので、長寿命で所望の色特性が得られるようにヨウ化セ
シウムを封入した場合でも、発光効率を低下させないよ
うにしたメタルハライドランプを提供することを目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め、本発明は、両端に電極を封着した発光管の内部に、
少なくともヨウ化ディスプロシウムとヨウ化セシウムを
封入したメタルハライドランプにおいて、封入されるヨ
ウ化ディスプロシウム対ヨウ化セシウムのモル比を2:
3から2:4の範囲とし、発光管外表面には、少なくと
も 852nm及び894nm を中心波長とする 800〜900nm 領域
の赤外線を40%〜80%反射する赤外線反射膜を形成して
メタルハライドランプを構成するものである。
め、本発明は、両端に電極を封着した発光管の内部に、
少なくともヨウ化ディスプロシウムとヨウ化セシウムを
封入したメタルハライドランプにおいて、封入されるヨ
ウ化ディスプロシウム対ヨウ化セシウムのモル比を2:
3から2:4の範囲とし、発光管外表面には、少なくと
も 852nm及び894nm を中心波長とする 800〜900nm 領域
の赤外線を40%〜80%反射する赤外線反射膜を形成して
メタルハライドランプを構成するものである。
【0010】このように構成したメタルハライドランプ
においては、増加したヨウ化セシウムにより増加した赤
外放射( 852nm及び 894nm)は、発光管表面に設けた赤
外線反射膜で反射させて、発光管内のヨウ化セシウムを
含む溶けた混晶体に吸収させることにより、有効に活用
し、効率の低下を防止することができる。これより発光
効率、色温度、演色性などのランプ特性を、屋内商業施
設照明に適するレベル(効率70lm/W以上、色温度3000
K〜6000K,平均演色評価数Ra 80以上)に保ち、且つ
6000時間以上の長寿命を達成させることができる。な
お、発光管外表面への赤外線反射膜の形成は、酸化チタ
ン(TiO2 )又は5酸化タンタル(Ta2 O5 )と2酸化
珪素(SiO2 )を所定の厚さに、真空蒸着法、スパッタ
ー法、金属アルコキシド液デップ法などで交互に積層す
ることにより、形成することができる。
においては、増加したヨウ化セシウムにより増加した赤
外放射( 852nm及び 894nm)は、発光管表面に設けた赤
外線反射膜で反射させて、発光管内のヨウ化セシウムを
含む溶けた混晶体に吸収させることにより、有効に活用
し、効率の低下を防止することができる。これより発光
効率、色温度、演色性などのランプ特性を、屋内商業施
設照明に適するレベル(効率70lm/W以上、色温度3000
K〜6000K,平均演色評価数Ra 80以上)に保ち、且つ
6000時間以上の長寿命を達成させることができる。な
お、発光管外表面への赤外線反射膜の形成は、酸化チタ
ン(TiO2 )又は5酸化タンタル(Ta2 O5 )と2酸化
珪素(SiO2 )を所定の厚さに、真空蒸着法、スパッタ
ー法、金属アルコキシド液デップ法などで交互に積層す
ることにより、形成することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、実施の形態について説明す
る。図1は本発明に係る 150Wのメタルハライドランプ
の実施の形態を示す一部断面で表す平面図である。図1
において、1は石英ガラス製発光管、2はランプ外球、
3は発光管破裂時のランプ破損を防止するための石英製
円筒体で、上下両端部をC型保持環4,4により支持線
5に保持されている。また6は口金で、7はゲッターで
ある。
る。図1は本発明に係る 150Wのメタルハライドランプ
の実施の形態を示す一部断面で表す平面図である。図1
において、1は石英ガラス製発光管、2はランプ外球、
3は発光管破裂時のランプ破損を防止するための石英製
円筒体で、上下両端部をC型保持環4,4により支持線
5に保持されている。また6は口金で、7はゲッターで
ある。
【0012】そして、発光管1は両端に電極11,11を備
え、内容積は2ccで、ヨウ化ディスプロシウム対ヨウ化
セシウムのモル比が2:3となるような 3.5mgのヨウ化
ディスプロシウム(DyI3 )とヨウ化セシウム(CsI)
とを封入し、更に 0.5mgのヨウ化タリウム(TlI)と10
mgの水銀と 6.7×103 パスカルのアルゴンガスが封入さ
れており、発光管外表面の両端部には保温膜12が設けら
れており、その他の発光部外表面には 852nm及び 894nm
を中心波長とする 800〜900nm 領域の赤外線を60%反射
する赤外線反射膜13が形成されている。なお、この赤外
線反射膜13は、TiO2 とSiO2 の7層の積層膜で構成さ
れている。
え、内容積は2ccで、ヨウ化ディスプロシウム対ヨウ化
セシウムのモル比が2:3となるような 3.5mgのヨウ化
ディスプロシウム(DyI3 )とヨウ化セシウム(CsI)
とを封入し、更に 0.5mgのヨウ化タリウム(TlI)と10
mgの水銀と 6.7×103 パスカルのアルゴンガスが封入さ
れており、発光管外表面の両端部には保温膜12が設けら
れており、その他の発光部外表面には 852nm及び 894nm
を中心波長とする 800〜900nm 領域の赤外線を60%反射
する赤外線反射膜13が形成されている。なお、この赤外
線反射膜13は、TiO2 とSiO2 の7層の積層膜で構成さ
れている。
【0013】このように構成されたメタルハライドラン
プは、全光束が 12100lmで、発光効率は81lm/Wであ
り、相関色温度は4500Kで、平均演色評価数Ra は96
で、6000時間の長寿命特性を備えている。
プは、全光束が 12100lmで、発光効率は81lm/Wであ
り、相関色温度は4500Kで、平均演色評価数Ra は96
で、6000時間の長寿命特性を備えている。
【0014】本発明に係るメタルハライドランプは、発
光管に封入されるヨウ化ディスプロシウム対ヨウ化セシ
ウムのモル比を2:3から2:4の範囲とし、発光管外
表面に形成する赤外線反射膜は、 852nm及び894nm を中
心波長とする 800〜900nm の赤外線を40%〜80%反射す
るものとするものであるが、次に、その設定に際して行
った実験について説明する。
光管に封入されるヨウ化ディスプロシウム対ヨウ化セシ
ウムのモル比を2:3から2:4の範囲とし、発光管外
表面に形成する赤外線反射膜は、 852nm及び894nm を中
心波長とする 800〜900nm の赤外線を40%〜80%反射す
るものとするものであるが、次に、その設定に際して行
った実験について説明する。
【0015】まず、上記実施の形態と同サイズの発光管
に、表1に示すようなモル比のDyI3 とCsI,及びTlI
を 0.5mg,水銀を10mg,アルゴンガスを 6.7×103 パス
カル封入し、発光管外表面には保温膜のみ設けた3種類
のランプを試作した。
に、表1に示すようなモル比のDyI3 とCsI,及びTlI
を 0.5mg,水銀を10mg,アルゴンガスを 6.7×103 パス
カル封入し、発光管外表面には保温膜のみ設けた3種類
のランプを試作した。
【0016】
【表1】
【0017】このようにして作成された試作ランプの初
期特性を測定したところ、表2に示すような結果が得ら
れ、また試作ランプの光束及び相関色温度の経時変化を
調べたところ、図2及び図3に示すような結果が得られ
た。なお、図2及び図3において、,及びで示す
曲線は、それぞれ試作ランプ,及びの測定結果を
示している。
期特性を測定したところ、表2に示すような結果が得ら
れ、また試作ランプの光束及び相関色温度の経時変化を
調べたところ、図2及び図3に示すような結果が得られ
た。なお、図2及び図3において、,及びで示す
曲線は、それぞれ試作ランプ,及びの測定結果を
示している。
【0018】
【表2】
【0019】上記表2に示す結果から、ヨウ化ディスプ
ロシウムに対するヨウ化セシウムの比率を高めていく
と、ランプ効率が下がり、相関色温度が上がっていくこ
とがわかる。しかし、図2及び図3からわかるように、
ヨウ化セシウムの比率の高いランプは、ランプ諸特性
(光束、相関色温度)の経時変化が小さい。ヨウ化ディ
スプロシウムに対するヨウ化セシウムの比率を高めてい
くと、ランプ効率が下がり、相関色温度が上がっていく
のは、次に述べる現象が起こっているためである。すな
わち、ヨウ化セシウムの比率が高くなると、放電アーク
中にセシウムの励起原子が増加するため、ランプからの
放出されるスペクトルが赤外域に移りランプ効率が下が
ると同時に、アーク温度が下がる。そのために、発光管
の温度が下がり、封入金属のうち、特に蒸気圧の低いデ
ィスプロシウムの発光が減少し、ランプの相関色温度は
高くなる。
ロシウムに対するヨウ化セシウムの比率を高めていく
と、ランプ効率が下がり、相関色温度が上がっていくこ
とがわかる。しかし、図2及び図3からわかるように、
ヨウ化セシウムの比率の高いランプは、ランプ諸特性
(光束、相関色温度)の経時変化が小さい。ヨウ化ディ
スプロシウムに対するヨウ化セシウムの比率を高めてい
くと、ランプ効率が下がり、相関色温度が上がっていく
のは、次に述べる現象が起こっているためである。すな
わち、ヨウ化セシウムの比率が高くなると、放電アーク
中にセシウムの励起原子が増加するため、ランプからの
放出されるスペクトルが赤外域に移りランプ効率が下が
ると同時に、アーク温度が下がる。そのために、発光管
の温度が下がり、封入金属のうち、特に蒸気圧の低いデ
ィスプロシウムの発光が減少し、ランプの相関色温度は
高くなる。
【0020】一方、メタルハライドランプにおける諸特
性の経時変化の主な原因の一つに、発光管内の失透現象
があげられる。この発光管内の失透現象は、封入された
金属ハロゲン化物と石英製発光管が、ランプ点灯中反応
するために起こるもので、特に可視域に広いスペクトル
をもつため、高演色系のメタルハライドランプに広く使
われているヨウ化ディスプロシウムは、非常に活性であ
り、そのため従来は、ヨウ化ディスプロシウムの発光管
への封入量は制限されていた。しかし、上記実験結果で
は、ディスプロシウムの封入量は同じであるにも関わら
ず、ランプ諸特性の経時変化すなわち発光管の失透現象
に大きな差が現れた。
性の経時変化の主な原因の一つに、発光管内の失透現象
があげられる。この発光管内の失透現象は、封入された
金属ハロゲン化物と石英製発光管が、ランプ点灯中反応
するために起こるもので、特に可視域に広いスペクトル
をもつため、高演色系のメタルハライドランプに広く使
われているヨウ化ディスプロシウムは、非常に活性であ
り、そのため従来は、ヨウ化ディスプロシウムの発光管
への封入量は制限されていた。しかし、上記実験結果で
は、ディスプロシウムの封入量は同じであるにも関わら
ず、ランプ諸特性の経時変化すなわち発光管の失透現象
に大きな差が現れた。
【0021】これは、図7に示すヨウ化ディスプロシウ
ムとヨウ化セシウムの状態図から明らかになる。すなわ
ち、ヨウ化ディスプロシウムとヨウ化セシウムが発光管
内のような高温状態で同時に存在する場合、これらは混
晶体を形成する。更に詳しく見ていくと、ヨウ化ディス
プロシウム対ヨウ化セシウムのモル比が2:3を越え
て、ヨウ化ディスプロシウムの比率が高くなっていく
と、それ以上は混晶体とはならずに、石英ガラスと反応
性の強いヨウ化ディスプロシウム単体で存在するように
なる。前述の実験において、ヨウ化ディスプロシウムの
ヨウ化セシウムに対する比率が高いランプについて、ラ
ンプ諸特性の経時変化が大きくなっているのは、この理
由によるものである。したがって、本発明においては、
ランプ特性の経時変化を低減し長寿命のランプを実現す
るため、ヨウ化ディスプロシウム対ヨウ化セシウムのモ
ル比を2:3以下に設定するものである。なお、本発明
において上記モル比の下限を2:4に設定している理由
は、上記モル比を2:4未満にすると、ヨウ化セシウム
の比率が高くなりすぎ、ランプ効率等のランプ特性の劣
化が大きくなり、次に述べる赤外線反射膜の形成だけで
は、その特性の劣化を補えなくなるため、上記モル比の
下限は2:4に設定するものである。
ムとヨウ化セシウムの状態図から明らかになる。すなわ
ち、ヨウ化ディスプロシウムとヨウ化セシウムが発光管
内のような高温状態で同時に存在する場合、これらは混
晶体を形成する。更に詳しく見ていくと、ヨウ化ディス
プロシウム対ヨウ化セシウムのモル比が2:3を越え
て、ヨウ化ディスプロシウムの比率が高くなっていく
と、それ以上は混晶体とはならずに、石英ガラスと反応
性の強いヨウ化ディスプロシウム単体で存在するように
なる。前述の実験において、ヨウ化ディスプロシウムの
ヨウ化セシウムに対する比率が高いランプについて、ラ
ンプ諸特性の経時変化が大きくなっているのは、この理
由によるものである。したがって、本発明においては、
ランプ特性の経時変化を低減し長寿命のランプを実現す
るため、ヨウ化ディスプロシウム対ヨウ化セシウムのモ
ル比を2:3以下に設定するものである。なお、本発明
において上記モル比の下限を2:4に設定している理由
は、上記モル比を2:4未満にすると、ヨウ化セシウム
の比率が高くなりすぎ、ランプ効率等のランプ特性の劣
化が大きくなり、次に述べる赤外線反射膜の形成だけで
は、その特性の劣化を補えなくなるため、上記モル比の
下限は2:4に設定するものである。
【0022】次に、上記実験においてヨウ化ディスプロ
シウムとヨウ化セシウムの封入比率を変えて作成した試
作ランプの中で、最も経時変化の小さい試作ランプに
おいて、その発光管の外表面に、チタニアとシリカより
なる赤外線反射膜をコーティングして発光管の保温性を
高め、ヨウ化セシウムの比率を高めたことにより得られ
なかった初期ランプ特性の改善を試みた実験について説
明する。赤外線反射膜の特性は、セシウムが強い発光を
もつ 852nm及び894nm を中心波長とする 800〜900nm 領
域の反射率を10,20,30,40,50,60,70,80,90%と
した赤外線反射膜を形成したランプを試作し、赤外線反
射膜の 800nm〜900nm 領域の各反射率に対する、相関色
温度、光束及びRa の変化を調べたところ、それぞれ図
4,図5及び図6に示すような結果が得られた。
シウムとヨウ化セシウムの封入比率を変えて作成した試
作ランプの中で、最も経時変化の小さい試作ランプに
おいて、その発光管の外表面に、チタニアとシリカより
なる赤外線反射膜をコーティングして発光管の保温性を
高め、ヨウ化セシウムの比率を高めたことにより得られ
なかった初期ランプ特性の改善を試みた実験について説
明する。赤外線反射膜の特性は、セシウムが強い発光を
もつ 852nm及び894nm を中心波長とする 800〜900nm 領
域の反射率を10,20,30,40,50,60,70,80,90%と
した赤外線反射膜を形成したランプを試作し、赤外線反
射膜の 800nm〜900nm 領域の各反射率に対する、相関色
温度、光束及びRa の変化を調べたところ、それぞれ図
4,図5及び図6に示すような結果が得られた。
【0023】これらの測定結果から、 852nm及び894nm
を中心波長とする 800〜900nm 領域の反射率を40%とす
ることにより、相関色温度、ランプ光束及び平均演色評
価数Ra などの諸特性が、先の赤外線反射膜を設けない
試作ランプの特性に近くなり、高演色で高効率のメタ
ルハライドランプとしての特性が得られることがわか
る。
を中心波長とする 800〜900nm 領域の反射率を40%とす
ることにより、相関色温度、ランプ光束及び平均演色評
価数Ra などの諸特性が、先の赤外線反射膜を設けない
試作ランプの特性に近くなり、高演色で高効率のメタ
ルハライドランプとしての特性が得られることがわか
る。
【0024】また、更に赤外線反射膜の反射率を上げて
いくと、反射率が80%までは、なだらかなランプ特性の
向上が見られるが、80%を超える反射率では、ランプ特
性に与える影響は小さくなる。これは、一般的なDy-T
l-Cs 系のメタルハライドランプにおけるランプへの入
力電力とランプ特性の変化と同じ傾向を示す。すなわ
ち、Dy-Tl-Cs 系メタルハライドランプにおいては、
ランプへの入力電力を高めていくと当然発光管の温度が
高まるため、ランプの相関色温度が低下していく。その
変化の傾きは、相関色温度が5000K近辺では比較的急激
であるが、4200〜4300K近辺になると飽和し緩やかにな
る。赤外線反射膜を発光管にコーティングした場合に
も、同じ現象が起こっているものと考えられる。以上の
測定結果から、本発明においては、 852nm及び894nm を
中心波長とする 800〜900nm 領域の反射率を40〜80%と
した赤外線反射膜を用いるものである。
いくと、反射率が80%までは、なだらかなランプ特性の
向上が見られるが、80%を超える反射率では、ランプ特
性に与える影響は小さくなる。これは、一般的なDy-T
l-Cs 系のメタルハライドランプにおけるランプへの入
力電力とランプ特性の変化と同じ傾向を示す。すなわ
ち、Dy-Tl-Cs 系メタルハライドランプにおいては、
ランプへの入力電力を高めていくと当然発光管の温度が
高まるため、ランプの相関色温度が低下していく。その
変化の傾きは、相関色温度が5000K近辺では比較的急激
であるが、4200〜4300K近辺になると飽和し緩やかにな
る。赤外線反射膜を発光管にコーティングした場合に
も、同じ現象が起こっているものと考えられる。以上の
測定結果から、本発明においては、 852nm及び894nm を
中心波長とする 800〜900nm 領域の反射率を40〜80%と
した赤外線反射膜を用いるものである。
【0025】
【発明の効果】以上実施の形態に基づいて説明したよう
に、本発明によれば、発光管に封入するヨウ化ディスプ
ロシウム対ヨウ化セシウムのモル比を2:3〜2:4と
しているので、ランプ特性の経時変化を低減して長寿命
化を図ることができ、また 852nm及び894nm を中心波長
とする 800〜900nm 領域の赤外線を40〜80%反射する赤
外線反射膜を設けているので、高演色で高効率の初期特
性を得ることの可能なメタルハライドランプを実現する
ことができる。
に、本発明によれば、発光管に封入するヨウ化ディスプ
ロシウム対ヨウ化セシウムのモル比を2:3〜2:4と
しているので、ランプ特性の経時変化を低減して長寿命
化を図ることができ、また 852nm及び894nm を中心波長
とする 800〜900nm 領域の赤外線を40〜80%反射する赤
外線反射膜を設けているので、高演色で高効率の初期特
性を得ることの可能なメタルハライドランプを実現する
ことができる。
【図1】本発明に係るメタルハライドランプの実施の形
態を示す一部断面で表した平面図である。
態を示す一部断面で表した平面図である。
【図2】赤外線反射膜を設けない試作ランプにおける光
束の経時変化を示す図である。
束の経時変化を示す図である。
【図3】同じく赤外線反射膜を設けない試作ランプにお
ける相関色温度の経時変化を示す図である。
ける相関色温度の経時変化を示す図である。
【図4】852nm及び894nm を中心波長とする 800〜900nm
領域の反射率を変化させた赤外線反射膜を形成した試
作ランプにおける相関色温度の変化を示す図である。
領域の反射率を変化させた赤外線反射膜を形成した試
作ランプにおける相関色温度の変化を示す図である。
【図5】同じく 852nm及び894nm を中心波長とする 800
〜900nm 領域の反射率を変化させた赤外線反射膜を形成
した試作ランプにおける光束の変化を示す図である。
〜900nm 領域の反射率を変化させた赤外線反射膜を形成
した試作ランプにおける光束の変化を示す図である。
【図6】同じく 852nm及び894nm を中心波長とする 800
〜900nm 領域の反射率を変化させた赤外線反射膜を形成
した試作ランプにおける平均演色評価数Ra の変化を示
す図である。
〜900nm 領域の反射率を変化させた赤外線反射膜を形成
した試作ランプにおける平均演色評価数Ra の変化を示
す図である。
【図7】ヨウ化ディスプロシウムとヨウ化セシウムの2
成分系状態図である。
成分系状態図である。
【符号の説明】 1 石英ガラス製発光管 2 ランプ外球 3 石英製円筒体 4 C型保持環 5 支持線 6 口金 7 ゲッタ− 11 電極 12 保温膜 13 赤外線反射膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堀越 創一郎 埼玉県行田市壱里山町1−1 岩崎電気株 式会社埼玉製作所内
Claims (1)
- 【請求項1】 両端に電極を封着した発光管の内部に、
少なくともヨウ化ディスプロシウムとヨウ化セシウムを
封入したメタルハライドランプにおいて、封入されるヨ
ウ化ディスプロシウム対ヨウ化セシウムのモル比を2:
3から2:4の範囲とし、発光管外表面には、少なくと
も 852nm及び894nm を中心波長とする800〜900nm 領域
の赤外線を40%〜80%反射する赤外線反射膜が形成され
ていることを特徴とするメタルハライドランプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15427797A JPH10334849A (ja) | 1997-05-29 | 1997-05-29 | メタルハライドランプ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15427797A JPH10334849A (ja) | 1997-05-29 | 1997-05-29 | メタルハライドランプ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10334849A true JPH10334849A (ja) | 1998-12-18 |
Family
ID=15580652
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15427797A Pending JPH10334849A (ja) | 1997-05-29 | 1997-05-29 | メタルハライドランプ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10334849A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002540049A (ja) * | 1999-03-23 | 2002-11-26 | カール−ツァイス−スティフツング | 赤外線を用いたガラス及び/又はガラスセラミックを均一に加熱するための方法及び装置 |
-
1997
- 1997-05-29 JP JP15427797A patent/JPH10334849A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002540049A (ja) * | 1999-03-23 | 2002-11-26 | カール−ツァイス−スティフツング | 赤外線を用いたガラス及び/又はガラスセラミックを均一に加熱するための方法及び装置 |
JP2011012954A (ja) * | 1999-03-23 | 2011-01-20 | Schott Ag | 赤外線を用いたガラス及び/又はガラスセラミックを均一に加熱するための方法及び装置 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20040524 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050525 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050607 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20051011 |