JPH10332666A - クロロベンゼンの高速分析装置および高速分析方法 - Google Patents

クロロベンゼンの高速分析装置および高速分析方法

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JPH10332666A
JPH10332666A JP9145180A JP14518097A JPH10332666A JP H10332666 A JPH10332666 A JP H10332666A JP 9145180 A JP9145180 A JP 9145180A JP 14518097 A JP14518097 A JP 14518097A JP H10332666 A JPH10332666 A JP H10332666A
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JP
Japan
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temperature
chlorobenzene
chlorobenzenes
gas
concentrator
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Application number
JP9145180A
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English (en)
Inventor
Kunio Miyazawa
邦夫 宮澤
Hideki Nagano
英樹 永野
Takaaki Kondo
隆明 近藤
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ダイオキシン類代替指標としてのクロロベン
ゼンの迅速な分析が可能な分析装置および分析方法を提
供する。 【解決手段】 吸着剤を充填した吸着器2と、吸着剤を
充填した濃縮器3と、再濃縮のためのコールドトラップ
インジェクタ4と、ガスクロマトグラフ装置5とを備
え、吸着器2と濃縮器3はそれぞれ独立に温度を制御す
るための機構を有しているクロロベンゼンの高速分析装
置。この高速分析装置を用いて、試料ガス中のクロロベ
ンゼン類を濃縮する際、吸着器2の温度を10〜80℃
とし、濃縮器3の温度を0〜10℃とするクロロベンゼ
ンの高速分析方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般廃棄物および
産業廃棄物を焼却した燃焼排ガス、あるいは金属精錬プ
ロセスから排出されるガスなどに含まれるクロロベンゼ
ンの高速分析装置および高速分析方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、各種の廃棄物を焼却する際に焼
却炉から極めて猛毒のダイオキシン類が発生することが
ある。これら排ガス中に含まれるダイオキシン類の濃度
は、ダイオキシンおよびその同族体、ならびにジベンゾ
フランおよびその同族体をすべて合わせても、1ng/
Nm3 程度以下であるため、現在の技術では直接測定す
ることは不可能である。
【0003】そこで、大気汚染学会誌第28巻第5号2
74頁(1993年)に記載されているように、クロロ
ベンゼン類はダイオキシン類と高度の相関があるため、
クロロベンゼン類を測定し、相関関係のあるダイオキシ
ン類の濃度を計算して求めるという方法がある。したが
って、排ガス中のクロロベンゼン類あるいはクロロフェ
ノール類を正確に求めることは極めて重要である。
【0004】排ガス中のクロロベンゼン類・クロロフェ
ノール類(以下クロロベンゼン類と総称する)の自動分
析技術としては、横浜国大環境研紀要第18巻1〜8頁
(1992年)、特開平5−312796号公報に記載
されているものがある。
【0005】これらの技術は、排ガス中に含まれている
水蒸気を除去するためのガラス製のトラップ、樹脂吸着
剤を充填した濃縮管とこれを加熱できるヒータ、および
ガスクロマトグラフ装置を基本とするものである。
【0006】これらの技術によると、まず、排ガスは濃
縮管の下流にあるポンプで引かれてガラス製トラップに
よって水蒸気を取り除かれ、濃縮管を通過する。このと
き、濃縮管はとくに昇温していないので、排ガス中のク
ロロベンゼン類は樹脂吸着剤に吸着する。
【0007】次に、濃縮管を270℃に昇温すると同時
にラインを切り替えて、ガスクロマトグラフ装置のキャ
リアガスを濃縮管に通すようにしてガスクロマトグラフ
装置に送り込むようにする。これにより、吸着したクロ
ロベンゼン類は脱着して、ガスクロマトグラフ装置によ
って定量される。
【0008】ちなみに、このときの排ガス中のクロロベ
ンゼン類の濃度は、クロロベンゼン(モノクロロベンゼ
ン)で4〜34μg/Nm3 、1,4−ジクロロベンゼ
ンで4〜65μg/Nm3 、ヘキサクロロベンゼンで3
〜10μg/Nm3 、2,4−ジクロロフェノールで2
7〜186μg/Nm3 、2,3,4,6−テトラクロ
ロフェノールで4〜45μg/Nm3 と報告されてい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】最近の新鋭のごみ焼却
炉排ガスは全体的にはクロロベンゼン類の濃度が少なく
なってきているため、測定装置に多量の排ガスを吸引し
て濃縮する必要がある。ここで、クロロベンゼン類の濃
縮は、濃縮管に吸着剤を充填して吸着させることにより
行う。
【0010】ごみ焼却炉の排ガスには、クロロベンゼン
類(クロロフェノール類も含む)の同族体・異性体は勿
論のこと、燃焼過程で生成する種々の化合物が含まれて
いる。排ガスはこれらの化合物の混合物であり、それぞ
れの化合物を分離して定量する必要があるため、一般に
クロロベンゼン類の計測にはガスクロマトグラフ装置が
用いられることが多い。
【0011】この分析においては、ガスクロマトグラフ
装置のカラムへの、排ガス中の各々の化合物の吸着性な
どの相互作用により化合物を分離しており、一種のバッ
チ処理である。ごみ焼却炉の排ガス中の種々の化合物を
総て分離しようとすると、通常少なくとも30分程度の
時間を要する。
【0012】さらに、吸着・濃縮、ガスクロマトグラフ
装置による分析(定量)、濃縮管に充填した吸着剤の再
生、ガスクロマトグラフ装置の降温(分析前の状態に戻
す操作)などを含めると、一般に1回あたりの測定に1
時間程度の時間を要する。このため、きめ細かな燃焼操
作を行うためには、クロロベンゼン類の計測値をこれよ
り速やかにフィードバックする必要があるが、実現され
ていなかった。
【0013】本発明は、これらの問題点を解決するため
になされたもので、ダイオキシン類代替指標としてのク
ロロベンゼンの迅速な分析が可能な分析装置および分析
方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、吸着剤を
充填した吸着器と、吸着剤を充填した濃縮器と、再濃縮
のためのコールドトラップインジェクタと、ガスクロマ
トグラフ装置とを備え、前記吸着器と濃縮器はそれぞれ
独立に温度を制御するための機構を有しているクロロベ
ンゼンの高速分析装置である。
【0015】この発明は、クロロベンゼン類の分析の高
速化について、鋭意検討する中でなされたものである。
クロロベンゼン類の大部分を占めるモノクロロベンゼン
に対して、これ以外の他のクロロベンゼン類の占める量
は1/100程度に過ぎない。そのため、ガスクロマト
グラフ装置により検出されるこれらの物質のピークの中
では、モノクロロベンゼンのピークが圧倒的に大きい。
これらの他のクロロベンゼン類は分析値の定量精度が低
く、むしろ、分析装置に残留すると次回の測定におい
て、誤差の原因となる。
【0016】そこで、モノクロロベンゼンをその他のク
ロロベンゼン類から分離して分析する方法について、さ
らに検討を行った。その過程で、樹脂吸着剤について
は、モノクロロベンゼンの吸着の挙動が他のクロロベン
ゼン類とは異なることを見いだした。それは、樹脂吸着
剤の温度が0℃程度であれば、モノクロロベンゼンは樹
脂吸着剤にほぼ完全に吸着するが、10℃を超えると破
過する、即ち吸着した物質が逃げるということである。
【0017】これに対して、他のクロロベンゼン類(モ
ノクロロベンゼン以外)については、樹脂吸着剤の温度
が10℃を超える程度では、破過が起こらないというこ
とも確認された。なお、モノクロロフェノールについて
も、この温度範囲では破過は起こらないことがわかっ
た。従って、モノクロロベンゼン以外の他のクロロベン
ゼン類は、樹脂吸着剤の温度をモノクロロベンゼンより
高くすることにより、モノクロロベンゼンを除いて吸着
することができる。
【0018】さらに濃縮器の上限温度についても検討し
た結果、80℃を超えるとジクロロベンゼン、トリクロ
ロベンゼン、およびモノクロロフェノール、ジクロロフ
ェノール、トリクロロフェノールが破過し始めることが
わかった。従って、これらのクロロベンゼン類を吸着さ
せるには、樹脂吸着剤の温度をこれ以下の温度とすれば
よいことがわかる。
【0019】これらの検討結果に基づき、この発明で
は、濃縮器の前(上流)に吸着器を設け、吸着器の温度
をモノクロロベンゼンが破過する温度に設定し、試料ガ
スからモノクロロベンゼン以外の他のクロロベンゼン類
を吸着・除去することを可能としている。その後、試料
ガスをモノクロロベンゼンが吸着する温度に設定した濃
縮器を通して、濃縮を行う。
【0020】このように、吸着剤を用いる吸着器を設け
ることにより、ジクロロベンゼンなどの置換基が2個付
加したクロロベンゼン(以下、2置換基付加クロロベン
ゼンと称する)、およびクロロフェノールを始めとする
高沸点のクロロベンゼン類が除去される。その結果、濃
縮器ではクロロベンゼン(モノクロロベンゼン)のみ濃
縮することができる。従って、クロロベンゼン類の大部
分を占める、モノクロロベンゼンのみを分析することが
可能となる。モノクロロベンゼンはクロロベンゼン類の
中では、最も短時間で検出されるので分析時間が短縮さ
れる。
【0021】分析時間を短縮しても、吸着器により高沸
点のクロロベンゼンなど高沸点化合物を除去しているの
で、分析装置内に高沸点化合物が残留しないため、ガス
クロマトグラムのベースラインの変動による測定精度の
低下は起こらない。また、モノクロロベンゼンはクロロ
ベンゼン類の大部分を占めており、ベースラインの変動
の影響を受けにくく、短時間でかつ測定精度の高い分析
が可能となる。
【0022】この発明の個々の機器については、まず、
吸着器は、吸着剤を充填したガラス製、または金属製の
管と、管を昇温する装置、および温度制御の機能を備え
ていればよい。
【0023】濃縮器は、吸着剤を充填したガラス製、ま
たは金属製の管(濃縮管)と、濃縮管を昇温する装置、
および温度制御の機能を備えていればよい。
【0024】コールドトラップインジェクタは、キャピ
ラリ管と、冷却機構と、急速加熱機構を有する。ここで
は、測定対象のクロロベンゼンを冷却して、管の内部に
凝縮・内面付着させて再濃縮を行う。
【0025】ガスクロマトグラフ装置は、通常の装置で
よく、昇温装置が付いたものを用いることができる。検
出器には、ガスクロマトグラフ装置等が備えている通常
の検出装置を用いればよい。
【0026】第2の発明は、第1の発明の高速分析装置
を用いて、試料ガス中のクロロベンゼン類を濃縮する
際、吸着器の温度を10〜80℃とし、濃縮器の温度を
0〜10℃とするクロロベンゼンの高速分析方法であ
る。
【0027】この発明では、吸着器の温度がモノクロロ
ベンゼンの破過する温度(10℃以上)であり、モノク
ロロベンゼンは吸着されず、その他のクロロベンゼン類
(モノクロロベンゼン以外)が吸着される。濃縮器は、
温度を10℃以下としているから、モノクロロベンゼン
を完全に吸着できる。
【0028】このようにして、モノクロロベンゼンのみ
を、その他のクロロベンゼン類を除去して、濃縮するこ
とができる。
【0029】
【発明の実施の形態】この発明の実施にあたっては、排
ガス中にダストやミストが含まれていると、測定阻害を
惹き起こしたり測定装置を汚したりするので、必要に応
じ除塵器を設けて測定装置に供給する排ガスからダスト
やミストを除去する。この除塵器には、一般的な除塵フ
ィルタを用いればよいが、クロロベンゼン類が吸着しな
いように温度管理する必要がある。つまり、除塵器全体
を恒温槽に入れる、あるいはヒータを巻くなどして10
0〜300℃、好ましくは120〜160℃になるよう
にする。
【0030】ただし、都市ごみ焼却プロセスのバグフィ
ルタの下流側の配管など、排ガス中のダスト・ミストが
非常に少ない、すなわち十分綺麗な排ガスの測定のとき
は除塵器を省略できる場合もある。
【0031】除湿器は必要に応じて用いるが、排ガス中
の水分が極めて少ないとき、あるいは排ガスの濃縮量が
極めて少ないときなど、ガスクロマトグラフ装置に導入
される水分が非常に少なくて、分離カラムを損傷するお
それがない場合は省くことができる。
【0032】除湿器を用いる場合、除湿器の本体(容
器)は、排ガス中の成分により損傷を受けるものでなけ
れば、いずれの材質のものでも構わない。例えば、ガラ
ス製容器(トラップ)、セラミック製容器、金属製容
器、あるいは炭素・グラファイト製容器などを用いるこ
とができる。また、冷却することにより一層除湿効率が
向上し、安定した除湿が図れるので、温度制御(冷却)
できることが望ましい。
【0033】吸着器は、樹脂吸着剤であるテナックス
(商品名)、活性炭、あるいは炭化リグナイトをはじめ
とする炭素質吸着剤などを充填したガラス製、または金
属製の管と、この管を300℃程度まで昇温可能なヒー
タなどの装置、および温度制御の機能を備えていればよ
い。使用の際は、充填する吸着剤の特性によって、適切
な温度制御を行う。例えば、吸着剤がテナックス(商品
名)の場合は、10〜80℃の温度範囲が好ましい。
【0034】なお、吸着剤は測定回数が重なると吸着能
力が低下するので、交換または再生を行う。例えば、新
品と交換してもよいし、あるいはパージ機構を設けて吸
着物質を追い出し再生させてもよい。パージは、1回な
いし数回の測定ごとに、加熱された状態(300℃程
度)で行う。
【0035】濃縮器は、樹脂吸着剤であるテナックス
(商品名)を充填したガラス製、または金属製の管(濃
縮管)と、濃縮管を300℃程度まで昇温可能なヒータ
などの装置、および温度制御の機能を備えていればよ
い。温度制御の機能は、とくに0〜10℃の温度範囲に
保持できることが必要であり、濃縮管に空気、炭酸ガス
などを吹き付ける機構を有することが好ましい。その
他、排ガスを吸引できるポンプとガス流量計、ならびに
ガスクロマトグラフ装置用のキャリアガスを、濃縮管を
通過させてガスクロマトグラフ装置に送り込める機構を
有していればよい。
【0036】濃縮器とガスクロマトグラフ装置の間に
は、コールドトラップインジェクタを設ける。この装置
は、0.5mm程度の径のキャピラリ管を有し、液化炭
酸ガスなどの吹き付けによる冷却機構と、大容量ヒータ
などによる300℃程度までの急速加熱機構を有する。
ここでは、測定対象のクロロベンゼン類を冷却して、管
の内部に凝縮・内面付着させて再濃縮を行う。
【0037】キャピラリ管の材質としては、パイレック
スガラス製、あるいはガスクロマトグラフ装置で使用さ
れているシリカキャピラリカラムと同等品を用いること
ができる。これは、溶融シリカ製のキャピラリ管の内面
に、100%ジメチル−ポリシロキサン、5%フェニル
−95%メチル−ポリシロキサン、7%シアノプロピル
−7%フェニル−86%ジメチル−ポリシロキサンなど
を、液相として付着させたものである。また、このキャ
ピラリ管の外面には、キャピラリ管の強度向上の観点か
ら、ポリイミドをコーティングすることが望ましい。
【0038】ガスクロマトグラフ装置は、通常のキャピ
ラリカラムを装着でき、300℃程度迄の昇温機能が付
いていればよい。検出器には、電子捕獲型検出器の他、
水素炎イオン化検出器、質量分析計などを用いることが
できる。
【0039】データ処理機能は必要に応じ設けるが、検
出器から出力された信号を受け取り、クロロベンゼン量
に変換することができればよい。排ガスの分析の際の排
ガス自動分析装置全体の制御は、シーケンサによっても
可能であるが、上述のデータ処理装置によって行うこと
ができる。
【0040】
【実施例】
(実施例)図1は、発明の一実施例として、排ガス中の
クロロベンゼンを自動的に分析するために用いた排ガス
自動分析装置を示す構成図である。この自動分析装置の
主な構成要素は、フィルタを内蔵する除塵器1、吸着剤
を充填したガラス管を加熱できるようにした吸着器2、
樹脂吸着剤を充填したガラス管を冷却・加熱できるよう
にした濃縮器3、コールドトラップインジェクタ4、電
子捕獲型検出器を備えたガスクロマトグラフ装置5、分
析装置全体を制御するシーケンサ7、および測定された
クロマトグラムからクロロベンゼン類を計算するための
データ処理装置8である。
【0041】除塵器1は、繊維フィルタを用い、全体を
恒温槽に入れて150℃に保時した。
【0042】吸着器2は、6mm径、長さ100mmの
ガラス管に樹脂吸着剤(商品名:テナックスTA)を詰
めたものを用い、ヒータを用いて室温〜300℃に温度
コントロールできるようにした。
【0043】濃縮器3は、3mm径、長さ150mmの
ガラス管に樹脂吸着剤(商品名:テナックスGC)を詰
めたものを用いた。これに、ヒータを巻くとともに、炭
酸ガスボンベ80から配管81を通して液化炭酸ガスを
吹き付けられるようにして、0〜300℃に温度コント
ロールできるようなものを試作した。
【0044】またヘリウムガスボンベ60からのヘリウ
ムガス、すなわちガスクロマトグラフ装置のキャリアガ
スを、ライン63、コールドトラップインジェクタ4を
通して、ガスクロマトグラフ装置5に送り込めるように
した。
【0045】コールドトラップインジェクタは、0.5
mm径の5%フェニル−95%メチル−ポリシロキサン
を付着させた溶融シリカのキャピラリ管を用い、液化炭
酸ガスの吹き付けによる冷却機構と、大容量ヒータなど
により、−70〜300℃までの急速加熱機構を有する
ものを試作した。
【0046】ガスクロマトグラフ装置5はHP5890
型、検出器は電子捕獲型のものを、またデータ処理装置
はパソコンを用いた。また、カラムはジーエルサイエン
ス(株)製の微極性カラムを用いた。
【0047】シーケンサ7は試作したものを、吸着器
2、濃縮器3を通して排ガスを吸引するためのポンプ1
0としてはダイアフラム式ポンプを、排ガス流量を計測
するための流量計11としては積算式のものを用いた。
さらに、とくに細かく表わしてはいないが各機器類を連
結する配管に適宜バルブを取り付け(通常のバルブ、三
方バルブ、六方バルブ)、以下の操作ができるようにし
た。
【0048】自動分析は次の手順(操作)によって行っ
た。ガスクロマトグラフ装置5は、ヘリウムボンベ60
からライン63を通してキャリアガスのヘリウムを供給
してスタンバイ状態とする。最新鋭のごみ焼却炉の排ガ
ス21を、ライン31、吸着器2、ライン32を通し
て、濃縮器3に、5分間で100ml(ミリリットル)
吸引した。このとき吸着器2は35℃、濃縮器3は0℃
に保ち、吸引はポンプ10によりライン33を通して行
った。
【0049】その後、コールドトラップインジェクタ4
を、炭酸ガスボンベ80からライン82を通しての炭酸
ガスの吹き付けにより、−40℃に制御すると同時に、
ヘリウムボンベ60からライン62を通して濃縮器3に
ヘリウムを送る。濃縮器3を、ヒータにより280℃ま
で昇温し始めると、吸着しているクロロベンゼン(モノ
クロロベンゼン)が脱着して、ライン35を通りコール
ドトラップインジェクタ4へ行き、凝縮・再濃縮する。
【0050】濃縮器3が280℃となった時点で、ライ
ン63を通してヘリウムをコールドトラップインジェク
タ4に送ると同時に、ライン62のヘリウムの供給停
止、およびコールドトラップインジェクタ4の昇温を行
った。昇温は280℃迄行い、これによりクロロベンゼ
ンがガスクロマトグラフ装置5に送られる。これらの脱
着・再濃縮の所要時間は2分間であった。
【0051】ガスクロマトグラフ装置5は、初期設定温
度(恒温槽温度)を60℃とし、10℃/minの昇温
速度で昇温した。昇温の最終温度は260℃とした。
【0052】図2に、ガスクロマトグラフ装置により測
定されたクロロベンゼン類(クロロベンゼン)の分析結
果(ガスクロマトグラム)を示す。クロロベンゼン(モ
ノクロロベンゼン)のピークP2以外の他のクロロベン
ゼン類のピークは見られない。これより、モノクロロベ
ンゼンより高沸点の2置換基付加クロロベンゼン類など
他のクロロベンゼン類は、吸着器2で完全に除去されて
いることがわかる。
【0053】また図2では、クロロベンゼン(モノクロ
ロベンゼン)のピークP2は、保持時間(分析時間)に
して10分以内で検出されている。従って、ガスクロマ
トグラフ装置による分析時間は10分以内で十分である
ことがわかる。これより、ガスクロマトグラフ装置の昇
温の最終温度は、クロロベンゼン(モノクロロベンゼ
ン)のみを測定する場合は、160℃以下で十分である
ことがわかる。
【0054】ガスクロマトグラフ装置5による測定と並
行して、濃縮器3の出側のライン35を、ライン36に
切替え、濃縮器3をさらに300℃まで昇温した。これ
により、残留物を完全に追い出し痕跡を除去し、次回の
測定に備えた。この作業は、ガスクロマトグラフ装置の
測定時間(10分以内)の間で、完了できた。
【0055】そこで次に、ガスクロマトグラフ装置5の
昇温の最終温度のみ160℃に変更して測定を行った。
測定後、ガスクロマトグラフ装置5の温度を160℃か
ら初期設定温度(60℃)まで降温するのに要する時間
は10分間であった。この時間は、吸着・濃縮および再
濃縮・インジェクションに要する時間とほぼ同じであ
る。従って、ガスクロマトグラフ装置5の降温と並行し
て、次の試料ガスの吸着・濃縮および再濃縮・インジェ
クションを行うことにより、1回あたりの測定時間を短
縮できる。
【0056】前述のように、吸着器2と濃縮器3とによ
る吸着・濃縮に要する時間は5分間、コールドトラップ
インジェクタ4による再濃縮・インジェクションに要す
る時間は2分間である。これは、ガスクロマトグラフ装
置5の降温に要する時間である10分間より短く、並行
して行うことは十分に可能である。1回あたりの測定時
間は、これにガスクロマトグラフ装置5による測定時間
である10分以内を加えて、20分以内で可能である。
【0057】ごみ焼却炉の運転を、一酸化炭素(CO)
のピークが見られない条件となるよう、またできる限り
炉温・酸素濃度の変動のない条件で行い、繰り返して測
定を行った。図3に、ガスクロマトグラフ装置の最終温
度を160℃として、10回の測定を行った結果を示
す。図3より、測定値の変動は少なく、増加または減少
する傾向も見られない。従って、吸着器2による2置換
基付加クロロベンゼンなど高沸点のクロロベンゼン類の
吸着・除去と、濃縮器3とによるクロロベンゼン(モノ
クロロベンゼン)の濃縮が、安定して行われていること
がわかる。(比較例)
【0058】濃縮器3の前段に吸着器2を取り付けない
以外は、実施例と同一の装置を用いて、図2の結果を得
たときと同一の試験を実施した。得られたガスクロマト
グラムを図4に示す。この場合、モノクロロベンゼンの
ピークP2以外のピークが見られ、モノクロロフェノー
ル(ピークP3)、ジクロロベンゼン(ピークP4)、
トリクロロベンゼン(ピークP5)、さらにはテトラク
ロロベンゼン(ピークP6)も見られる。
【0059】この場合、コールドトラップインジェクタ
4を通してガスクロマトグラフ装置5にはこれらの高沸
点化合物が送り込まれている。従って、分析時間を10
分間で打ち切るとこれらの化合物が装置内に残り、次回
以降の分析の際に悪影響を与える、即ちガスクロマトグ
ラムのベースラインの変動を起こすことが避けられな
い。
【0060】
【発明の効果】本発明によると、吸着剤を用いる吸着器
を設けることにより、2置換基付加クロロベンゼンなど
高沸点化合物が除去されるので、濃縮器ではクロロベン
ゼン(モノクロロベンゼン)のみ濃縮することができ
る。従って、クロロベンゼン類の大部分を占める、モノ
クロロベンゼンのみを分析することが可能となり、分析
時間が短縮される。分析時間を短縮しても、分析装置内
に高沸点化合物が残留しないため、ガスクロマトグラム
のベースラインの変動による測定精度の低下は起こらな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の一実施例として用いたクロロベンゼンの
自動分析装置を示す構成図である。
【図2】発明の一実施例として測定されたクロマトグラ
ムを示す図である。
【図3】実施例におけるクロロベンゼン(モノクロロベ
ンゼン)の分析値の変化を示す図である。
【図4】比較例として測定されたクロマトグラムを示す
図である。
【符号の説明】
1 除塵器 2 吸着器 3 濃縮器 4 コールドトラップインジェクタ 5 ガスクロマトグラフ装置 7 シーケンサ 8 データ処理装置 10 ポンプ 11 流量計 21 ガス(分析用) 22 ガス(排気) 31〜36 配管(分析ガス用) 60 ボンベ(ヘリウム) 62〜63 配管(ヘリウム用) 80 ボンベ(液化炭酸ガス) 81〜82 配管(液化炭酸ガス用) P1 窒素 P2 モノクロロベンゼン P3 モノクロロフェノール P4 ジクロロベンゼン P5 トリクロロベンゼン P6 テトラクロロベンゼン

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸着剤を充填した吸着器と、吸着剤を充
    填した濃縮器と、再濃縮のためのコールドトラップイン
    ジェクタと、ガスクロマトグラフ装置とを備え、前記吸
    着器と濃縮器はそれぞれ独立に温度を制御するための機
    構を有しているクロロベンゼンの高速分析装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の高速分析装置を用いて、
    試料ガス中のクロロベンゼン類を濃縮する際、吸着器の
    温度を10〜80℃とし、濃縮器の温度を0〜10℃と
    するクロロベンゼンの高速分析方法。
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