JPH10332463A - 水晶発振子を用いた塗膜評価装置及び塗膜の消耗性の評価方法 - Google Patents
水晶発振子を用いた塗膜評価装置及び塗膜の消耗性の評価方法Info
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- JPH10332463A JPH10332463A JP10556798A JP10556798A JPH10332463A JP H10332463 A JPH10332463 A JP H10332463A JP 10556798 A JP10556798 A JP 10556798A JP 10556798 A JP10556798 A JP 10556798A JP H10332463 A JPH10332463 A JP H10332463A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】 複数の測定間の誤差を解消することができ、
また、同時に複数の事象を観測することができる水晶発
振子を用いた塗膜評価装置、及び、短時間で正確に液中
における塗膜の消耗性を評価することができる簡便な塗
膜の消耗性の評価方法を提供する。 【解決手段】 複数の水晶発振子1a,1bと、上記複
数の水晶発振子の各々の、発振振動数を測定する手段3
a,3bと、上記複数の水晶発振子が設置される1つ又
は複数の測定槽9とからなり、上記複数の水晶発振子の
うち少なくとも1つは、その表面に試料塗膜を形成する
ことができるものである水晶発振子を用いた塗膜評価装
置、及び、水晶発振子の表面に塗膜を形成させ、上記水
晶発振子を液中に浸漬させて上記塗膜の液中における消
耗を、上記水晶発振子の発振振動数の変化から検出する
塗膜の消耗性の評価方法。
また、同時に複数の事象を観測することができる水晶発
振子を用いた塗膜評価装置、及び、短時間で正確に液中
における塗膜の消耗性を評価することができる簡便な塗
膜の消耗性の評価方法を提供する。 【解決手段】 複数の水晶発振子1a,1bと、上記複
数の水晶発振子の各々の、発振振動数を測定する手段3
a,3bと、上記複数の水晶発振子が設置される1つ又
は複数の測定槽9とからなり、上記複数の水晶発振子の
うち少なくとも1つは、その表面に試料塗膜を形成する
ことができるものである水晶発振子を用いた塗膜評価装
置、及び、水晶発振子の表面に塗膜を形成させ、上記水
晶発振子を液中に浸漬させて上記塗膜の液中における消
耗を、上記水晶発振子の発振振動数の変化から検出する
塗膜の消耗性の評価方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水晶発振子を用い
た塗膜評価装置及び液中における塗膜の消耗性の評価方
法に関する。
た塗膜評価装置及び液中における塗膜の消耗性の評価方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】水晶発振子は、電極上に何らかの物質が
付着した場合には、その重量に比例して同調周波数が減
少する特性を有しているので、マイクロバランスとして
汎用されている。この水晶発振子を用いた重量変化の測
定は、非常に感度が高く、精度も高いために、微量の重
量変化、例えば、ngオーダーの重量変化であっても検
知することができる。
付着した場合には、その重量に比例して同調周波数が減
少する特性を有しているので、マイクロバランスとして
汎用されている。この水晶発振子を用いた重量変化の測
定は、非常に感度が高く、精度も高いために、微量の重
量変化、例えば、ngオーダーの重量変化であっても検
知することができる。
【0003】水晶発振子を用いた重量変化の測定におい
ては、水晶発振子の発振振動数を周波数カウンターによ
って測定し、コンピュータに記録することにより解析し
ている。このような水晶発振子を用いた測定装置の用途
が開拓されるのに伴い、膜への物質の吸着を測定する場
合のように、添加される試料による影響を観測するよう
な比較的単純な測定系から、水晶発振子の表面に形成さ
れた被膜の酵素による分解等のように、水晶発振子を浸
漬する溶液の影響も関与するような比較的複雑な測定系
へと用途が拡大されてきている。
ては、水晶発振子の発振振動数を周波数カウンターによ
って測定し、コンピュータに記録することにより解析し
ている。このような水晶発振子を用いた測定装置の用途
が開拓されるのに伴い、膜への物質の吸着を測定する場
合のように、添加される試料による影響を観測するよう
な比較的単純な測定系から、水晶発振子の表面に形成さ
れた被膜の酵素による分解等のように、水晶発振子を浸
漬する溶液の影響も関与するような比較的複雑な測定系
へと用途が拡大されてきている。
【0004】ところで、海水に接する構造物、例えば、
船舶、海洋構築物、養殖用漁網、浮標等や、工業用水系
設備等への有害生物の付着を防止する方法として、従来
より、防汚塗料を塗装する方法が採られている。このよ
うな防汚塗料としては、塗膜が加水分解して、防汚成分
が溶出することにより防汚効果を得ることができるもの
が汎用されている。このように、塗膜樹脂の加水分解に
より、一定量の防汚剤を長期間にわたって放出すること
ができる防汚塗料を、一般に、加水分解型防汚塗料と称
する。また、加水分解性樹脂のうち酵素等を含有する生
分解性バインダーは、薬剤等の目的物質の徐放性基材と
しての開発が可能である。
船舶、海洋構築物、養殖用漁網、浮標等や、工業用水系
設備等への有害生物の付着を防止する方法として、従来
より、防汚塗料を塗装する方法が採られている。このよ
うな防汚塗料としては、塗膜が加水分解して、防汚成分
が溶出することにより防汚効果を得ることができるもの
が汎用されている。このように、塗膜樹脂の加水分解に
より、一定量の防汚剤を長期間にわたって放出すること
ができる防汚塗料を、一般に、加水分解型防汚塗料と称
する。また、加水分解性樹脂のうち酵素等を含有する生
分解性バインダーは、薬剤等の目的物質の徐放性基材と
しての開発が可能である。
【0005】一方、バインダー成分の加水分解を伴うこ
となく自己研磨性を有する塗膜も実用化されている。例
えば、比較的親水性が高く、水中で水和しやすい樹脂
と、必要に応じて、ロジン樹脂等の低分子微水溶性物質
とを混合することにより得られるバインダー成分は、塗
膜化され、海水と接触すると、塗膜表面が水和され、徐
々にバインダー成分が溶出することで自己研磨性を発揮
するものである。
となく自己研磨性を有する塗膜も実用化されている。例
えば、比較的親水性が高く、水中で水和しやすい樹脂
と、必要に応じて、ロジン樹脂等の低分子微水溶性物質
とを混合することにより得られるバインダー成分は、塗
膜化され、海水と接触すると、塗膜表面が水和され、徐
々にバインダー成分が溶出することで自己研磨性を発揮
するものである。
【0006】このように、加水分解性、自己研磨性を有
する塗膜は、防汚塗膜として非常に好適であり、膜厚に
応じて、防汚効果の持続期間を制御することができる。
しかしながら、バインダー成分の加水分解速度、水和速
度、溶出速度によっては防汚効果を長期間にわたって持
続させることが困難である場合がある。これは、一定の
膜厚においては、バインダー成分の加水分解速度、水和
速度、溶出速度に応じて、防汚効果の持続期間が決定さ
れるためである。従って、塗膜の消耗性を評価すること
ができれば、必要とされる膜厚を容易に決定することが
可能となり、逆に、膜厚が規定されている場合には、加
水分解速度、水和速度や溶出速度の異なる樹脂を配合し
たり、規定された膜厚で充分に防汚効果を持続すること
ができる樹脂を選択したりすることが可能となる。従っ
て、このような自己研磨型の防汚塗料や生分解性バイン
ダー等の開発においては、塗膜の溶解・消耗性及び防汚
剤、可塑剤、ロジン等の低分子樹脂等の低分子量物質の
溶出度が重要であり、これらを評価・測定する必要があ
る。
する塗膜は、防汚塗膜として非常に好適であり、膜厚に
応じて、防汚効果の持続期間を制御することができる。
しかしながら、バインダー成分の加水分解速度、水和速
度、溶出速度によっては防汚効果を長期間にわたって持
続させることが困難である場合がある。これは、一定の
膜厚においては、バインダー成分の加水分解速度、水和
速度、溶出速度に応じて、防汚効果の持続期間が決定さ
れるためである。従って、塗膜の消耗性を評価すること
ができれば、必要とされる膜厚を容易に決定することが
可能となり、逆に、膜厚が規定されている場合には、加
水分解速度、水和速度や溶出速度の異なる樹脂を配合し
たり、規定された膜厚で充分に防汚効果を持続すること
ができる樹脂を選択したりすることが可能となる。従っ
て、このような自己研磨型の防汚塗料や生分解性バイン
ダー等の開発においては、塗膜の溶解・消耗性及び防汚
剤、可塑剤、ロジン等の低分子樹脂等の低分子量物質の
溶出度が重要であり、これらを評価・測定する必要があ
る。
【0007】塗膜の溶解・消耗性の評価は、従来より、
塗膜を形成したドラムやディスクを海水中で数カ月間に
わたって回転させたときの塗膜の摩耗の度合(消耗膜
厚)を測定することにより行われている。また、防汚剤
等の低分子量物質の溶出度の測定は、塗膜を実際に海水
に浸漬させて、単位面積・単位時間当たりの溶出量を測
定することにより行われている。しかしながら、これら
の方法では、結果を得るまでに非常に長時間、例えば、
2〜6ヵ月を要し、また、塗膜の溶解・消耗性の評価と
低分子量物質の溶出度の測定とを別々の方法により行わ
なければならず、多数の塗料のなかから好適な自己研磨
型の防汚塗料や生分解性バインダーを選別するには、莫
大な時間と労力とを必要としていた。
塗膜を形成したドラムやディスクを海水中で数カ月間に
わたって回転させたときの塗膜の摩耗の度合(消耗膜
厚)を測定することにより行われている。また、防汚剤
等の低分子量物質の溶出度の測定は、塗膜を実際に海水
に浸漬させて、単位面積・単位時間当たりの溶出量を測
定することにより行われている。しかしながら、これら
の方法では、結果を得るまでに非常に長時間、例えば、
2〜6ヵ月を要し、また、塗膜の溶解・消耗性の評価と
低分子量物質の溶出度の測定とを別々の方法により行わ
なければならず、多数の塗料のなかから好適な自己研磨
型の防汚塗料や生分解性バインダーを選別するには、莫
大な時間と労力とを必要としていた。
【0008】そこで、塗膜の溶解・消耗性については、
上述したような水晶発振子を用いた重量測定装置の新た
な利用方法として、塗膜の消耗膜厚を測定する代わりに
塗膜の減少量から塗膜の溶解・消耗性を評価することも
考えられている。しかしながら、従来用いられている単
一の水晶発振子を備えた装置により塗膜の溶解・消耗性
を評価する場合には、測定中における測定系の変化、例
えば、水晶発振子を浸漬させている水溶液の濃度変化等
によって、測定値に誤差が生じるおそれがある。従っ
て、同じ評価基準で複数の測定を行う場合には、測定誤
差を考慮して測定値を補正する必要があるが、測定誤差
は、測定のたびごとに変化する値であるので、従来の装
置では、正確な補正値を得ることは困難である。
上述したような水晶発振子を用いた重量測定装置の新た
な利用方法として、塗膜の消耗膜厚を測定する代わりに
塗膜の減少量から塗膜の溶解・消耗性を評価することも
考えられている。しかしながら、従来用いられている単
一の水晶発振子を備えた装置により塗膜の溶解・消耗性
を評価する場合には、測定中における測定系の変化、例
えば、水晶発振子を浸漬させている水溶液の濃度変化等
によって、測定値に誤差が生じるおそれがある。従っ
て、同じ評価基準で複数の測定を行う場合には、測定誤
差を考慮して測定値を補正する必要があるが、測定誤差
は、測定のたびごとに変化する値であるので、従来の装
置では、正確な補正値を得ることは困難である。
【0009】また、このような単一の水晶発振子を備え
た装置では、同時に複数の事象を観察することは不可能
であって、例えば、塗膜の溶解・消耗と、低分子量物質
の溶出とが同時に起こる場合に、これらの2つの事象を
独立に観測することは不可能である。従って、このよう
な複数の異なった事象を分離して測定・評価を行うこと
ができる装置の開発が望まれている。
た装置では、同時に複数の事象を観察することは不可能
であって、例えば、塗膜の溶解・消耗と、低分子量物質
の溶出とが同時に起こる場合に、これらの2つの事象を
独立に観測することは不可能である。従って、このよう
な複数の異なった事象を分離して測定・評価を行うこと
ができる装置の開発が望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、複数の測定間の誤差を解消することができ、また、
同時に複数の事象を観測することができる水晶発振子を
用いた塗膜評価装置、及び、短時間で正確に、液中にお
ける塗膜の消耗性を評価することができる簡便な塗膜の
消耗性の評価方法を提供することを目的とする。
み、複数の測定間の誤差を解消することができ、また、
同時に複数の事象を観測することができる水晶発振子を
用いた塗膜評価装置、及び、短時間で正確に、液中にお
ける塗膜の消耗性を評価することができる簡便な塗膜の
消耗性の評価方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、複数の水晶発
振子と、上記複数の水晶発振子の各々の、発振振動数を
測定する手段と、上記複数の水晶発振子が設置される1
つ又は複数の測定槽とからなり、上記複数の水晶発振子
のうち少なくとも1つは、その表面に試料塗膜を形成す
ることができるものである水晶発振子を用いた塗膜評価
装置である。
振子と、上記複数の水晶発振子の各々の、発振振動数を
測定する手段と、上記複数の水晶発振子が設置される1
つ又は複数の測定槽とからなり、上記複数の水晶発振子
のうち少なくとも1つは、その表面に試料塗膜を形成す
ることができるものである水晶発振子を用いた塗膜評価
装置である。
【0012】本発明の好ましい一態様においては、上記
塗膜評価装置は、更に、一つの時間間隔において一つの
水晶発振子のみが発振するように、複数の水晶発振子の
発振時期を制御することができる手段を有する。
塗膜評価装置は、更に、一つの時間間隔において一つの
水晶発振子のみが発振するように、複数の水晶発振子の
発振時期を制御することができる手段を有する。
【0013】本発明の好ましい他の態様においては、上
記複数の水晶発振子の発振時期を制御することができる
手段は、パーソナルコンピュータの制御によって、上記
複数の水晶発振子の発振駆動電流のオン/オフを司るこ
とができるものであり、上記パーソナルコンピュータ
は、一つの時間間隔において、その時間間隔において発
振している一つの水晶発振子の発振振動数の測定データ
をシリアル伝送路を介して受け取り、かつ、上記複数の
水晶発振子の全てについて、順次、それらの発振振動数
の測定データを受け取り、しかも、上記複数の水晶発振
子の全てについて、順次、それらの発振振動数の測定デ
ータを受け取る一連の過程を、所望の回数、繰り返し実
行することができるようにプログラムされているもので
ある。
記複数の水晶発振子の発振時期を制御することができる
手段は、パーソナルコンピュータの制御によって、上記
複数の水晶発振子の発振駆動電流のオン/オフを司るこ
とができるものであり、上記パーソナルコンピュータ
は、一つの時間間隔において、その時間間隔において発
振している一つの水晶発振子の発振振動数の測定データ
をシリアル伝送路を介して受け取り、かつ、上記複数の
水晶発振子の全てについて、順次、それらの発振振動数
の測定データを受け取り、しかも、上記複数の水晶発振
子の全てについて、順次、それらの発振振動数の測定デ
ータを受け取る一連の過程を、所望の回数、繰り返し実
行することができるようにプログラムされているもので
ある。
【0014】本発明はまた、液中における塗膜の消耗性
の評価方法であって、水晶発振子の表面に試料塗膜を形
成し、上記水晶発振子を液中に浸漬させて、上記塗膜の
液中における消耗を上記水晶発振子の発振振動数の変化
から検出する塗膜の消耗性の評価方法である。
の評価方法であって、水晶発振子の表面に試料塗膜を形
成し、上記水晶発振子を液中に浸漬させて、上記塗膜の
液中における消耗を上記水晶発振子の発振振動数の変化
から検出する塗膜の消耗性の評価方法である。
【0015】上記評価方法は、特に、複数の水晶発振子
と、上記複数の水晶発振子の各々の、発振振動数を測定
する手段と、上記複数の水晶発振子が設置される1つ又
は複数の測定槽とからなる水晶発振子を用いた塗膜評価
装置の、上記複数の水晶発振子のうち、少なくとも一つ
の水晶発振子の表面には、塗膜から放出される成分を含
有する試料塗膜を形成し、かつ、上記複数の水晶発振子
のうち、上記試料塗膜を形成した水晶発振子以外の少な
くとも一つの水晶発振子の表面には、上記塗膜から放出
される成分を受容する塗膜を形成し、上記塗膜評価装置
により、上記試料塗膜の液中における消耗を検出すると
ともに、上記試料塗膜から放出される成分を受容する塗
膜の重量変化を検出する評価方法である。以下に本発明
を詳述する。
と、上記複数の水晶発振子の各々の、発振振動数を測定
する手段と、上記複数の水晶発振子が設置される1つ又
は複数の測定槽とからなる水晶発振子を用いた塗膜評価
装置の、上記複数の水晶発振子のうち、少なくとも一つ
の水晶発振子の表面には、塗膜から放出される成分を含
有する試料塗膜を形成し、かつ、上記複数の水晶発振子
のうち、上記試料塗膜を形成した水晶発振子以外の少な
くとも一つの水晶発振子の表面には、上記塗膜から放出
される成分を受容する塗膜を形成し、上記塗膜評価装置
により、上記試料塗膜の液中における消耗を検出すると
ともに、上記試料塗膜から放出される成分を受容する塗
膜の重量変化を検出する評価方法である。以下に本発明
を詳述する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、必要により図面
を参照しながら更に詳細に説明するが、本発明はこれら
に限定されるものではない。
を参照しながら更に詳細に説明するが、本発明はこれら
に限定されるものではない。
【0017】本発明で使用される水晶発振子は、薄い水
晶板の両面に金、銀、アルミニウム等の金属の電極を蒸
着したデバイスである。上記水晶発振子としては特に限
定されず、例えば、9MHz、27MHzのATカット
の金電極水晶発振子等を挙げることができる。
晶板の両面に金、銀、アルミニウム等の金属の電極を蒸
着したデバイスである。上記水晶発振子としては特に限
定されず、例えば、9MHz、27MHzのATカット
の金電極水晶発振子等を挙げることができる。
【0018】本発明において、上記水晶発振子は、水中
で正常に発振させるために、一方の電極及びすべての結
線部について、防水処理を施すことが好ましい。
で正常に発振させるために、一方の電極及びすべての結
線部について、防水処理を施すことが好ましい。
【0019】上記9MHzの水晶発振子は、通常、1n
gの重量変化に対して、約1Hzの発振振動数変化が生
じるので、上記水晶発振子の露出した電極面に塗布され
た塗膜の極めて微量の質量変化を高感度かつ高精度に測
定することができる。
gの重量変化に対して、約1Hzの発振振動数変化が生
じるので、上記水晶発振子の露出した電極面に塗布され
た塗膜の極めて微量の質量変化を高感度かつ高精度に測
定することができる。
【0020】本発明の塗膜評価装置においては、上記水
晶発振子は、複数使用され、そのうちの少なくとも一つ
は、表面に試料塗膜を形成させることができるものであ
る。このような水晶発振子は、例えば、水晶発振子の露
出した電極面を有し、液中に浸すことができる構造をも
つもの等であって、その電極面に適当な方法で試料塗膜
を形成することができるものであればよい。
晶発振子は、複数使用され、そのうちの少なくとも一つ
は、表面に試料塗膜を形成させることができるものであ
る。このような水晶発振子は、例えば、水晶発振子の露
出した電極面を有し、液中に浸すことができる構造をも
つもの等であって、その電極面に適当な方法で試料塗膜
を形成することができるものであればよい。
【0021】本発明において、上記少なくとも二つの水
晶発振子のうち、表面に試料塗膜を形成させることがで
きるもの以外のものについては、本発明の塗膜評価装置
の使用目的に応じて、適宜選択することができ、例え
ば、一切表面に触れることなく、必要に応じて、防水カ
バーを設置したものであってもよく、又は、水晶発振子
の露出した電極面を有し、液中に浸すことができる構造
をもつもの等であってもよい。また、その使用形態も適
宜選択することができ、例えば、表面に脂質二分子膜を
形成させて吸着物質を測定することができ、また、表面
に塗膜を形成させずに測定系のブランクとすることや、
比較対象となる既知の塗膜を形成させて未知の塗膜に対
する評価基準とすることも可能である。更に、使用目的
の異なった複数の試料塗膜を、各々の水晶発振子の表面
に形成させることもできる。この場合には、本発明の塗
膜評価装置は、複数の測定を同時に行うことができる。
晶発振子のうち、表面に試料塗膜を形成させることがで
きるもの以外のものについては、本発明の塗膜評価装置
の使用目的に応じて、適宜選択することができ、例え
ば、一切表面に触れることなく、必要に応じて、防水カ
バーを設置したものであってもよく、又は、水晶発振子
の露出した電極面を有し、液中に浸すことができる構造
をもつもの等であってもよい。また、その使用形態も適
宜選択することができ、例えば、表面に脂質二分子膜を
形成させて吸着物質を測定することができ、また、表面
に塗膜を形成させずに測定系のブランクとすることや、
比較対象となる既知の塗膜を形成させて未知の塗膜に対
する評価基準とすることも可能である。更に、使用目的
の異なった複数の試料塗膜を、各々の水晶発振子の表面
に形成させることもできる。この場合には、本発明の塗
膜評価装置は、複数の測定を同時に行うことができる。
【0022】上記水晶発振子の発振振動数を測定する手
段としては、発振子振動数を正確に測定できるものであ
れば特に限定されない。通常は、周波数カウンターが使
用される。
段としては、発振子振動数を正確に測定できるものであ
れば特に限定されない。通常は、周波数カウンターが使
用される。
【0023】上記水晶発振子を設置する測定槽として
は、温度調整が可能であり、また、液相及び気相での測
定を考慮して、密閉することができるものを使用するこ
とが好ましい。上記測定槽は、一つ又は複数であってよ
く、例えば、一つの測定槽に複数の水晶発振子を設置し
てもよく、又は、複数の測定槽にそれぞれ一つ又は複数
の水晶発振子を設置してもよい。
は、温度調整が可能であり、また、液相及び気相での測
定を考慮して、密閉することができるものを使用するこ
とが好ましい。上記測定槽は、一つ又は複数であってよ
く、例えば、一つの測定槽に複数の水晶発振子を設置し
てもよく、又は、複数の測定槽にそれぞれ一つ又は複数
の水晶発振子を設置してもよい。
【0024】本発明の塗膜評価装置の一実施形態の概略
構成を図1に示す。図1の塗膜評価装置は、溶液中での
測定に使用した場合のものである。図1の塗膜評価装置
において、1対の水晶発振子1a、1bは、それぞれ電
源4a、4bに接続された発振回路2a、2bによって
駆動される。このとき生じる水晶発振子1a、1bの発
振振動数の値をそれぞれ周波数カウンター3a、3bで
測定し、パーソナルコンピュータ5に記録する。
構成を図1に示す。図1の塗膜評価装置は、溶液中での
測定に使用した場合のものである。図1の塗膜評価装置
において、1対の水晶発振子1a、1bは、それぞれ電
源4a、4bに接続された発振回路2a、2bによって
駆動される。このとき生じる水晶発振子1a、1bの発
振振動数の値をそれぞれ周波数カウンター3a、3bで
測定し、パーソナルコンピュータ5に記録する。
【0025】水晶発振子1a、1bが設置された測定槽
9の溶液は、マグネチックスターラー8によって攪拌さ
れる。また、測定槽9には、温度センサー6及びpHメ
ーター7が設置されており、水晶発振子1a、1bを浸
漬させて測定を開始したことによる溶液の液性の変化を
監視し、制御する。
9の溶液は、マグネチックスターラー8によって攪拌さ
れる。また、測定槽9には、温度センサー6及びpHメ
ーター7が設置されており、水晶発振子1a、1bを浸
漬させて測定を開始したことによる溶液の液性の変化を
監視し、制御する。
【0026】本実施形態においては、水晶発振子1aの
表面には、試料塗膜が形成されている。水晶発振子1b
は、本発明の塗膜評価装置の使用目的に応じて、塗膜を
形成させずにブランクとしてもよく、塗膜や脂質二分子
膜を形成させていてもよい。
表面には、試料塗膜が形成されている。水晶発振子1b
は、本発明の塗膜評価装置の使用目的に応じて、塗膜を
形成させずにブランクとしてもよく、塗膜や脂質二分子
膜を形成させていてもよい。
【0027】図1の塗膜評価装置を駆動させると、水晶
発振子1a、1bのそれぞれについて、発振振動数が周
波数カウンター3a、3bで測定される。上記周波数カ
ウンターとして、多チャンネル型周波数カウンターを用
いる場合には、1台で複数の水晶発振子の発振振動数の
測定が可能である。
発振子1a、1bのそれぞれについて、発振振動数が周
波数カウンター3a、3bで測定される。上記周波数カ
ウンターとして、多チャンネル型周波数カウンターを用
いる場合には、1台で複数の水晶発振子の発振振動数の
測定が可能である。
【0028】このとき、試料塗膜を形成した水晶発振子
1aの発振振動数の変化から、水晶発振子1bの発振振
動数の変化を差し引くことによって、水晶発振子1aの
発振振動数の正味の変化として補正値を得る。この補正
は、パーソナルコンピュータ5で行われる。
1aの発振振動数の変化から、水晶発振子1bの発振振
動数の変化を差し引くことによって、水晶発振子1aの
発振振動数の正味の変化として補正値を得る。この補正
は、パーソナルコンピュータ5で行われる。
【0029】図1の塗膜評価装置においては、水晶発振
子1a、1bにそれぞれ異なった塗膜を形成させてもよ
い。この場合には、例えば、加水分解性樹脂をバインダ
ー成分とする防汚塗料からなる塗膜の溶解・消耗性の評
価及び低分子量物質の溶出度の測定を同時に行うことが
できる。
子1a、1bにそれぞれ異なった塗膜を形成させてもよ
い。この場合には、例えば、加水分解性樹脂をバインダ
ー成分とする防汚塗料からなる塗膜の溶解・消耗性の評
価及び低分子量物質の溶出度の測定を同時に行うことが
できる。
【0030】ところで、このように、一つの測定槽に複
数の水晶発振子を設置する等の場合、水晶発振子の相互
干渉による異常発振やビートが発生するおそれがある。
従って、本発明の塗膜評価装置は、更に、一つの時間間
隔において一つの水晶発振子のみが発振するように、複
数の水晶発振子の発振時期を制御することができる手段
を有するものであることが好ましい。上記手段は、好ま
しくは、パーソナルコンピュータ又は制御用マイクロコ
ンピュータ等の制御手段によって、上記複数の水晶発振
子の発振駆動電流のオン/オフを司ることができるもの
である。このような機能は、例えば、パーソナルコンピ
ュータからの制御信号によって上記複数の水晶発振子の
発振駆動電流のオン/オフを司ることができるスイッチ
ング素子や、制御用マイクロコンピュータを内蔵したス
イッチング装置等により発揮される。
数の水晶発振子を設置する等の場合、水晶発振子の相互
干渉による異常発振やビートが発生するおそれがある。
従って、本発明の塗膜評価装置は、更に、一つの時間間
隔において一つの水晶発振子のみが発振するように、複
数の水晶発振子の発振時期を制御することができる手段
を有するものであることが好ましい。上記手段は、好ま
しくは、パーソナルコンピュータ又は制御用マイクロコ
ンピュータ等の制御手段によって、上記複数の水晶発振
子の発振駆動電流のオン/オフを司ることができるもの
である。このような機能は、例えば、パーソナルコンピ
ュータからの制御信号によって上記複数の水晶発振子の
発振駆動電流のオン/オフを司ることができるスイッチ
ング素子や、制御用マイクロコンピュータを内蔵したス
イッチング装置等により発揮される。
【0031】また、このように、一つの時間間隔におい
て一つの水晶発振子のみが発振するように複数の水晶発
振子が制御される場合、一つの時間間隔において、その
時間間隔において発振している一つの水晶発振子の発振
振動数の測定データが収集され、次の水晶発振子が発振
する時間間隔においては、その水晶発振子の測定データ
が収集され、以下、このようにして、順次、全ての水晶
発振子の測定データを収集することが好ましい。この目
的のために、本発明においては、一つの時間間隔におい
ては一つの水晶発振子の測定データのみを収集しつつ、
測定データをシリアル伝送路を介して受信し、かつ、上
記複数の水晶発振子の全てについて、順次、それらの発
振振動数の測定データを受け取り、しかも、上記複数の
水晶発振子の全てについて、順次、それらの発振振動数
の測定データを受け取るために必要な一連の過程を、所
望の回数、繰り返し実行することができるようにプログ
ラムされたコンピュータを使用することが好ましい。上
記コンピュータは、上述の複数の水晶発振子の発振時期
の制御に使用されるパーソナルコンピュータであっても
よい。上記シリアル伝送路は、例えば、RS−232C
規格やRS−485規格に基づくもの等であってよい。
て一つの水晶発振子のみが発振するように複数の水晶発
振子が制御される場合、一つの時間間隔において、その
時間間隔において発振している一つの水晶発振子の発振
振動数の測定データが収集され、次の水晶発振子が発振
する時間間隔においては、その水晶発振子の測定データ
が収集され、以下、このようにして、順次、全ての水晶
発振子の測定データを収集することが好ましい。この目
的のために、本発明においては、一つの時間間隔におい
ては一つの水晶発振子の測定データのみを収集しつつ、
測定データをシリアル伝送路を介して受信し、かつ、上
記複数の水晶発振子の全てについて、順次、それらの発
振振動数の測定データを受け取り、しかも、上記複数の
水晶発振子の全てについて、順次、それらの発振振動数
の測定データを受け取るために必要な一連の過程を、所
望の回数、繰り返し実行することができるようにプログ
ラムされたコンピュータを使用することが好ましい。上
記コンピュータは、上述の複数の水晶発振子の発振時期
の制御に使用されるパーソナルコンピュータであっても
よい。上記シリアル伝送路は、例えば、RS−232C
規格やRS−485規格に基づくもの等であってよい。
【0032】上記構成の典型例の一つを図3によりRS
−232C規格に基づいて説明する。図中、1a、1b
は、水晶発振子である。これらの発振振動数は、それぞ
れ対応するユルバーサルカウンター(UC)3で測定さ
れ、RS−232C規格伝送路を経由し、遠隔して設置
されたパーソナルコンピュータ5に送信する場合には、
必要なら一旦RS−485規格伝送路に送り込み、上記
パーソナルコンピュータのRS−232Cポートからデ
ータが受け取られる。また、必要に応じて、温度計6、
pH計7等を設置してもよい。温度計からの信号は、デ
ジタルコンバーター(D.C.)から、例えば、RS−
485規格伝送路に送り込まれ、上記パーソナルコンピ
ュータのRS−232Cポートから受け取られる。pH
計からの信号は、アナログデジタルコンバーター(AD
/C)から、同様にして上記パーソナルコンピュータの
RS−232Cポートに送られる。こうしてパーソナル
コンピュータに送られた測定データは、一旦、ハードデ
ィスク10等の記憶装置に格納してもよく、表示には、
例えば、汎用プリンター11やXYプロッター12等に
出力される。
−232C規格に基づいて説明する。図中、1a、1b
は、水晶発振子である。これらの発振振動数は、それぞ
れ対応するユルバーサルカウンター(UC)3で測定さ
れ、RS−232C規格伝送路を経由し、遠隔して設置
されたパーソナルコンピュータ5に送信する場合には、
必要なら一旦RS−485規格伝送路に送り込み、上記
パーソナルコンピュータのRS−232Cポートからデ
ータが受け取られる。また、必要に応じて、温度計6、
pH計7等を設置してもよい。温度計からの信号は、デ
ジタルコンバーター(D.C.)から、例えば、RS−
485規格伝送路に送り込まれ、上記パーソナルコンピ
ュータのRS−232Cポートから受け取られる。pH
計からの信号は、アナログデジタルコンバーター(AD
/C)から、同様にして上記パーソナルコンピュータの
RS−232Cポートに送られる。こうしてパーソナル
コンピュータに送られた測定データは、一旦、ハードデ
ィスク10等の記憶装置に格納してもよく、表示には、
例えば、汎用プリンター11やXYプロッター12等に
出力される。
【0033】上記1a、1b等の水晶発振子の発振時期
の切替え制御を行う場合の構成の典型例の一つを図4に
より説明する。図中、水晶発振子1a、1b等は、スイ
ッチング装置13により、駆動電流がオン/オフされ
る。上記スイッチング装置13には、駆動電流のオン/
オフを制御するための制御用マイクロコンピュータが内
蔵されており、パーソナルコンピュータ5からの信号に
より駆動電流のオン/オフの時期を制御することができ
る。従って、例えば、水晶発振子1aの発振時には、そ
の発振振動数が、ユニバーサルカウンター3で測定さ
れ、測定データは、RS−232C規格伝送路を経由し
てRS−485規格伝送路に送り込まれ、上記パーソナ
ルコンピュータ5のRS−232Cポートから受け取ら
れる。次に、例えば、水晶発振子1bが発振され、同様
にしてデータが上記パーソナルコンピュータ5に送られ
る。更に、必要に応じて、温度計やpH計からの測定デ
ータも、同様にして、それぞれに対応する時間間隔の内
に測定されて上記パーソナルコンピュータ5に送られ
る。また、このような各種測定素子に対する一連の測定
を、所定の回数、又は、所定の時間の間、繰り返して実
行するように、上記パーソナルコンピュータ5のデータ
測定プログラムを設定することができる。
の切替え制御を行う場合の構成の典型例の一つを図4に
より説明する。図中、水晶発振子1a、1b等は、スイ
ッチング装置13により、駆動電流がオン/オフされ
る。上記スイッチング装置13には、駆動電流のオン/
オフを制御するための制御用マイクロコンピュータが内
蔵されており、パーソナルコンピュータ5からの信号に
より駆動電流のオン/オフの時期を制御することができ
る。従って、例えば、水晶発振子1aの発振時には、そ
の発振振動数が、ユニバーサルカウンター3で測定さ
れ、測定データは、RS−232C規格伝送路を経由し
てRS−485規格伝送路に送り込まれ、上記パーソナ
ルコンピュータ5のRS−232Cポートから受け取ら
れる。次に、例えば、水晶発振子1bが発振され、同様
にしてデータが上記パーソナルコンピュータ5に送られ
る。更に、必要に応じて、温度計やpH計からの測定デ
ータも、同様にして、それぞれに対応する時間間隔の内
に測定されて上記パーソナルコンピュータ5に送られ
る。また、このような各種測定素子に対する一連の測定
を、所定の回数、又は、所定の時間の間、繰り返して実
行するように、上記パーソナルコンピュータ5のデータ
測定プログラムを設定することができる。
【0034】以下、本発明の塗膜の消耗性の評価方法に
ついて説明する。上記方法に使用する塗膜評価装置は、
図2に示すような単独の水晶発振子を有するものであっ
てもよいが、本発明においては、上述した本発明の塗膜
評価装置を使用することが好ましい。本発明の評価方法
においては、上記発振振動数の変化量から得られる塗膜
重量の減少量は、塗膜の消耗、すなわち、加水分解、溶
解・溶出等の作用によるものであると考えてよい。本発
明の塗膜評価装置を使用して塗膜の消耗性の評価を行う
方法について、塗膜の溶解・消耗性の評価及び低分子量
物質の溶出度の測定を同時に行う場合を典型例として、
以下、詳細に説明する。
ついて説明する。上記方法に使用する塗膜評価装置は、
図2に示すような単独の水晶発振子を有するものであっ
てもよいが、本発明においては、上述した本発明の塗膜
評価装置を使用することが好ましい。本発明の評価方法
においては、上記発振振動数の変化量から得られる塗膜
重量の減少量は、塗膜の消耗、すなわち、加水分解、溶
解・溶出等の作用によるものであると考えてよい。本発
明の塗膜評価装置を使用して塗膜の消耗性の評価を行う
方法について、塗膜の溶解・消耗性の評価及び低分子量
物質の溶出度の測定を同時に行う場合を典型例として、
以下、詳細に説明する。
【0035】水晶発振子1aの表面に、塗膜の溶解・消
耗性の評価及び防汚剤等の低分子量物質の溶出度の測定
を行うべき防汚塗料を塗布して塗膜を形成させる。上記
塗料の塗布量は、水晶発振子の種類により異なるが、上
記9MHz、ATカット金電極水晶発振子の場合には、
1μg〜10mgが好ましい。これは、5μg〜50m
g/cm2 の塗布量に相当する。1μg未満であると、
水晶発振子の表面に塗膜を形成することが困難であり、
10mgを超えると、塗膜の膜厚が大きくなりすぎて、
水晶発振子に保持させることができない。より好ましく
は、1〜100μgである。一方の水晶発振子1bの表
面には、低分子量物質を吸着させるための塗膜、例え
ば、ジオクタデシルジメチルアンモニウム塩とポリスチ
レンスルホン酸とのイオン複合体型合成脂質二分子膜を
形成させる。
耗性の評価及び防汚剤等の低分子量物質の溶出度の測定
を行うべき防汚塗料を塗布して塗膜を形成させる。上記
塗料の塗布量は、水晶発振子の種類により異なるが、上
記9MHz、ATカット金電極水晶発振子の場合には、
1μg〜10mgが好ましい。これは、5μg〜50m
g/cm2 の塗布量に相当する。1μg未満であると、
水晶発振子の表面に塗膜を形成することが困難であり、
10mgを超えると、塗膜の膜厚が大きくなりすぎて、
水晶発振子に保持させることができない。より好ましく
は、1〜100μgである。一方の水晶発振子1bの表
面には、低分子量物質を吸着させるための塗膜、例え
ば、ジオクタデシルジメチルアンモニウム塩とポリスチ
レンスルホン酸とのイオン複合体型合成脂質二分子膜を
形成させる。
【0036】水晶発振子1a、1bを、測定槽9の液中
に浸漬させ、マグネチックスターラー8で攪拌を行いな
がら、それぞれの発振振動数の変化を測定する。
に浸漬させ、マグネチックスターラー8で攪拌を行いな
がら、それぞれの発振振動数の変化を測定する。
【0037】上記水晶発振子を浸漬させる液は、必要に
応じて有機又は無機の液体を適宜選定すればよく、特に
限定されるものではない。典型的には、例えば、水等を
使用することができる。上記水としては特に限定され
ず、例えば、蒸留水、脱イオン水、超純水;海水;加水
分解反応を促進させることができるイオン等を含んだ水
溶液等を挙げることができる。上記加水分解反応を促進
させることができるイオンとしては、例えば、アルカリ
金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイ
オン等を挙げることができる。上記水晶発振子に形成さ
せる塗膜が、海洋防汚塗料からなるものである場合に
は、上記水としては、海水を使用することが好ましい。
応じて有機又は無機の液体を適宜選定すればよく、特に
限定されるものではない。典型的には、例えば、水等を
使用することができる。上記水としては特に限定され
ず、例えば、蒸留水、脱イオン水、超純水;海水;加水
分解反応を促進させることができるイオン等を含んだ水
溶液等を挙げることができる。上記加水分解反応を促進
させることができるイオンとしては、例えば、アルカリ
金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイ
オン等を挙げることができる。上記水晶発振子に形成さ
せる塗膜が、海洋防汚塗料からなるものである場合に
は、上記水としては、海水を使用することが好ましい。
【0038】また、上記水としては、塗膜の消耗により
溶出する化合物による影響を少なくするために、緩衝作
用を有する水溶液が好ましい。上記緩衝作用を有する水
溶液としては特に限定されず、例えば、りん酸緩衝液、
トリス緩衝液、炭酸塩緩衝液等の一般に緩衝液として使
用されているもの等を挙げることができる。これらは、
発振振動数の測定に使用するpH領域に応じて、適宜選
択されるが、なかでも、炭酸塩緩衝液が好ましい。
溶出する化合物による影響を少なくするために、緩衝作
用を有する水溶液が好ましい。上記緩衝作用を有する水
溶液としては特に限定されず、例えば、りん酸緩衝液、
トリス緩衝液、炭酸塩緩衝液等の一般に緩衝液として使
用されているもの等を挙げることができる。これらは、
発振振動数の測定に使用するpH領域に応じて、適宜選
択されるが、なかでも、炭酸塩緩衝液が好ましい。
【0039】上記水溶液のpHは、特に限定されるもの
ではないが、評価対象の樹脂が防汚塗料のバインダー成
分である場合には、海水中での使用を考慮して、pH
7.5〜14のアルカリ性水溶液を使用することが好ま
しい。
ではないが、評価対象の樹脂が防汚塗料のバインダー成
分である場合には、海水中での使用を考慮して、pH
7.5〜14のアルカリ性水溶液を使用することが好ま
しい。
【0040】上記水の温度は、0〜60℃が好ましい。
0℃未満であると、塗膜の加水分解、溶解・溶出等が起
こりにくいため、消耗性の評価に長時間を要し、60℃
を超えると、本来起こるべき加水分解や溶解作用以外で
の塗膜の崩壊が起こる。より好ましくは、5〜40℃で
ある。
0℃未満であると、塗膜の加水分解、溶解・溶出等が起
こりにくいため、消耗性の評価に長時間を要し、60℃
を超えると、本来起こるべき加水分解や溶解作用以外で
の塗膜の崩壊が起こる。より好ましくは、5〜40℃で
ある。
【0041】上記水晶発振子を上記水に浸漬する時間
は、分子内に銅を含むアクリル樹脂等の公知の自己研磨
型のバインダー成分から得られる塗膜を測定したときの
上記水晶発振子の発振振動数の変化が現れる時間及び塗
膜の塗布量に基づいて適宜設定される。例えば、海水を
使用する場合には、0.5〜24時間が好ましい。ま
た、海水やpH7.5〜14のアルカリ性水溶液を使用
する場合には、0.25〜10時間が好ましい。
は、分子内に銅を含むアクリル樹脂等の公知の自己研磨
型のバインダー成分から得られる塗膜を測定したときの
上記水晶発振子の発振振動数の変化が現れる時間及び塗
膜の塗布量に基づいて適宜設定される。例えば、海水を
使用する場合には、0.5〜24時間が好ましい。ま
た、海水やpH7.5〜14のアルカリ性水溶液を使用
する場合には、0.25〜10時間が好ましい。
【0042】本発明においては、このときの水晶発振子
1aの発振振動数の変化から、経時的な塗膜重量の減少
量が算出されるので、塗膜の溶出速度を求めることがで
きる。この溶出速度から、防汚塗料の溶解・消耗性を評
価する。また、水晶発振子1bの発振振動数の変化か
ら、経時的に脂質二分子膜に吸着された防汚剤等の低分
子量物質の重量が算出されるので、このような低分子量
物質の溶出度を求めることができる。これらの一連の計
算は、パーソナルコンピュータ5の解析プログラムによ
って、容易に行うことができる。
1aの発振振動数の変化から、経時的な塗膜重量の減少
量が算出されるので、塗膜の溶出速度を求めることがで
きる。この溶出速度から、防汚塗料の溶解・消耗性を評
価する。また、水晶発振子1bの発振振動数の変化か
ら、経時的に脂質二分子膜に吸着された防汚剤等の低分
子量物質の重量が算出されるので、このような低分子量
物質の溶出度を求めることができる。これらの一連の計
算は、パーソナルコンピュータ5の解析プログラムによ
って、容易に行うことができる。
【0043】本発明の塗膜評価装置を用いて加水分解性
や自己研磨性を有する塗膜が形成された水晶発振子1a
の発振振動数の変化を測定すると、図5に示すようなチ
ャートが得られる。塗膜が形成された水晶発振子1aを
水中に浸漬して、発振振動数を測定すると、消耗が開始
された時点t1 において発振振動数の増加が開始され
る。
や自己研磨性を有する塗膜が形成された水晶発振子1a
の発振振動数の変化を測定すると、図5に示すようなチ
ャートが得られる。塗膜が形成された水晶発振子1aを
水中に浸漬して、発振振動数を測定すると、消耗が開始
された時点t1 において発振振動数の増加が開始され
る。
【0044】本発明の塗膜評価装置は、上述の構成とす
ることができるので、複数の水晶発振子を使用するにも
かかわらず、相互干渉を回避しつつ、データ収集に必要
なときにのみ、その水晶発振子を駆動するように駆動電
流を制御することにより、見かけ上、一つの水晶発振子
を用いてデータを収集する場合と同様になり、相互干渉
による不都合を克服することができる。また、データ収
集を、RS−232C規格伝送路を介して行うことがで
きるので、デジタル入出力ボード等を増設する必要がな
く、汎用のパーソナルコンピュータに装備されているR
S−232Cポートを利用することができる。
ることができるので、複数の水晶発振子を使用するにも
かかわらず、相互干渉を回避しつつ、データ収集に必要
なときにのみ、その水晶発振子を駆動するように駆動電
流を制御することにより、見かけ上、一つの水晶発振子
を用いてデータを収集する場合と同様になり、相互干渉
による不都合を克服することができる。また、データ収
集を、RS−232C規格伝送路を介して行うことがで
きるので、デジタル入出力ボード等を増設する必要がな
く、汎用のパーソナルコンピュータに装備されているR
S−232Cポートを利用することができる。
【0045】本発明の塗膜評価装置は、複数の事象を同
時に観測するような塗膜評価にも好適に使用することが
できる。例えば、1対の水晶発振子のうち、一方の表面
に加水分解型ポリマーをバインダー成分として用いた防
汚塗料からなる塗膜を形成し、他の水晶発振子の表面に
脂質二分子膜を形成させることにより、塗膜の溶解・消
耗性性の評価及び低分子量物質、例えば、防汚剤、可塑
剤、ロジン等の塗膜中に配合された低分子量物質やバイ
ンダー成分から生じる加水分解生成物等の溶出度の測定
を同時に行うことができる。上記塗膜の溶解・消耗性の
評価は、塗膜の重量の減少を測定することにより評価す
ることができ、上記溶出度は、塗膜から放出された低分
子量物質が水晶発振子の表面に形成された脂質二分子膜
に吸着するときの速度を測定することにより求めること
ができる。この場合、塗膜樹脂の溶出量と上記低分子量
物質の吸着量とを同時に測定することができるので、防
汚塗料の性能について極めて信頼性の高い測定・評価が
可能となる。
時に観測するような塗膜評価にも好適に使用することが
できる。例えば、1対の水晶発振子のうち、一方の表面
に加水分解型ポリマーをバインダー成分として用いた防
汚塗料からなる塗膜を形成し、他の水晶発振子の表面に
脂質二分子膜を形成させることにより、塗膜の溶解・消
耗性性の評価及び低分子量物質、例えば、防汚剤、可塑
剤、ロジン等の塗膜中に配合された低分子量物質やバイ
ンダー成分から生じる加水分解生成物等の溶出度の測定
を同時に行うことができる。上記塗膜の溶解・消耗性の
評価は、塗膜の重量の減少を測定することにより評価す
ることができ、上記溶出度は、塗膜から放出された低分
子量物質が水晶発振子の表面に形成された脂質二分子膜
に吸着するときの速度を測定することにより求めること
ができる。この場合、塗膜樹脂の溶出量と上記低分子量
物質の吸着量とを同時に測定することができるので、防
汚塗料の性能について極めて信頼性の高い測定・評価が
可能となる。
【0046】また、本発明の塗膜評価装置は、測定間の
誤差を解消しなければならないような測定において好適
に使用することができる。このような測定に使用する場
合、例えば、水晶発振子を測定系に対するブランクとし
て使用すると、容易に測定間の誤差を解消して補正値を
得ることができ、複数回に分けて測定した測定結果を同
一の条件で評価することが可能となる。また、水晶発振
子のうち少なくとも1つに評価対象の試料塗膜を形成さ
せ、他の水晶発振子のうち1つの表面には比較対象とな
る塗膜を形成させると、比較対象を基準値とすることで
基準値を一定にすることができ、複数の評価対象を複数
回に分けて測定した場合であっても同一基準での評価が
可能となる。従って、本発明の塗膜評価装置は、従来の
単一の水晶発振子を備えた装置と比較して、塗膜評価の
精度を高めることができる。
誤差を解消しなければならないような測定において好適
に使用することができる。このような測定に使用する場
合、例えば、水晶発振子を測定系に対するブランクとし
て使用すると、容易に測定間の誤差を解消して補正値を
得ることができ、複数回に分けて測定した測定結果を同
一の条件で評価することが可能となる。また、水晶発振
子のうち少なくとも1つに評価対象の試料塗膜を形成さ
せ、他の水晶発振子のうち1つの表面には比較対象とな
る塗膜を形成させると、比較対象を基準値とすることで
基準値を一定にすることができ、複数の評価対象を複数
回に分けて測定した場合であっても同一基準での評価が
可能となる。従って、本発明の塗膜評価装置は、従来の
単一の水晶発振子を備えた装置と比較して、塗膜評価の
精度を高めることができる。
【0047】更に、本発明の塗膜評価装置は、水晶発振
子の表面に形成する試料塗膜の種類及び測定条件を適宜
選択することによって、さまざまな分野における塗膜評
価に使用することができる。例えば、水晶発振子の表面
に形成する塗膜として脂質膜を選択した場合には、薬物
の脂質膜への吸着を評価することができ、この場合の測
定は、蒸留水、脱イオン水等の溶液中や、気相中で行う
ことができる。また、上記試料塗膜として加水分解性の
塗膜を選択した場合には、塗膜の自己研磨性を評価する
ことができる。
子の表面に形成する試料塗膜の種類及び測定条件を適宜
選択することによって、さまざまな分野における塗膜評
価に使用することができる。例えば、水晶発振子の表面
に形成する塗膜として脂質膜を選択した場合には、薬物
の脂質膜への吸着を評価することができ、この場合の測
定は、蒸留水、脱イオン水等の溶液中や、気相中で行う
ことができる。また、上記試料塗膜として加水分解性の
塗膜を選択した場合には、塗膜の自己研磨性を評価する
ことができる。
【0048】本発明の評価方法は、液中における実際の
消耗膜厚を評価する場合と同じ現象を評価することがで
き、更に、短時間で行える利点を有している。また、本
発明の塗膜の消耗性の評価方法は、ドラムやディスクを
使用する評価方法と比較して、使用する電力量が少な
く、安価に評価を実施することが可能である。また、本
発明の塗膜の評価装置を使用することにより、上述の各
利点を、液中における塗膜の消耗性の評価に導入するこ
とができる。
消耗膜厚を評価する場合と同じ現象を評価することがで
き、更に、短時間で行える利点を有している。また、本
発明の塗膜の消耗性の評価方法は、ドラムやディスクを
使用する評価方法と比較して、使用する電力量が少な
く、安価に評価を実施することが可能である。また、本
発明の塗膜の評価装置を使用することにより、上述の各
利点を、液中における塗膜の消耗性の評価に導入するこ
とができる。
【0049】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0050】実施例1 下記一般式(I)で表される分子内に銅を含むアクリル
樹脂を合成した。このものは、水中で加水分解し、銅イ
オンを放出するとともに、アクリル主鎖部分も親水化し
て水溶性ポリマーとして水中に溶出することにより、塗
膜の溶解・消耗が徐々に進むことが知られている。
樹脂を合成した。このものは、水中で加水分解し、銅イ
オンを放出するとともに、アクリル主鎖部分も親水化し
て水溶性ポリマーとして水中に溶出することにより、塗
膜の溶解・消耗が徐々に進むことが知られている。
【0051】
【化1】
【0052】式中、R1 は、水素原子又はメチル基を表
す。R2 は、C10〜C20の環状構造を含む炭化水素基を
表す。図1に示した装置を用いて、上記一般式(I)の
分子内に銅を含むアクリル樹脂からなる塗膜の海水中で
の溶解・消耗による減少量を表1に示した。また、同時
に加水分解の結果生成し溶出する有機酸(R2 −COO
H)の脂質二分子膜への吸着量を示した。なお、測定
は、図3、4に示す構成の装置により、水晶発振子の発
振時期の制御を行った。スイッチング装置としては、デ
ジタルパネルメーター(K3TX、オムロン社製)、周
波数カウンターとしては、ユニバーサルカウンター(H
P5313A、ヒューレットパッカード社製)を使用し
た。その結果、水晶発振子の相互干渉は生じなかった。
す。R2 は、C10〜C20の環状構造を含む炭化水素基を
表す。図1に示した装置を用いて、上記一般式(I)の
分子内に銅を含むアクリル樹脂からなる塗膜の海水中で
の溶解・消耗による減少量を表1に示した。また、同時
に加水分解の結果生成し溶出する有機酸(R2 −COO
H)の脂質二分子膜への吸着量を示した。なお、測定
は、図3、4に示す構成の装置により、水晶発振子の発
振時期の制御を行った。スイッチング装置としては、デ
ジタルパネルメーター(K3TX、オムロン社製)、周
波数カウンターとしては、ユニバーサルカウンター(H
P5313A、ヒューレットパッカード社製)を使用し
た。その結果、水晶発振子の相互干渉は生じなかった。
【0053】なお、脂質二分子膜としては、ジオクタデ
シルジメチルアンモニウムのポリ(スチレンスルホン
酸)塩の多層二分子膜を用い、塗布量12μgで形成さ
せたものを用いた。この脂質二分子膜の比重は、0.8
9であった。また、図1の測定槽内の液量は10ml、
有機酸の脂質二分子膜への分配係数5×103 であっ
た。
シルジメチルアンモニウムのポリ(スチレンスルホン
酸)塩の多層二分子膜を用い、塗布量12μgで形成さ
せたものを用いた。この脂質二分子膜の比重は、0.8
9であった。また、図1の測定槽内の液量は10ml、
有機酸の脂質二分子膜への分配係数5×103 であっ
た。
【0054】
【表1】
【0055】表1中、溶出量は、脂質二分子膜に吸着さ
れた有機酸の吸着量から算出されたものであり、下記式
より求めたものである。
れた有機酸の吸着量から算出されたものであり、下記式
より求めたものである。
【0056】
【数1】
【0057】以上の結果から、有機酸の溶出量は、塗膜
減少量の約29%であることが判った。上記塗膜中の上
記有機酸の含有量は、樹脂合成時の配合量から30%で
あるので、溶出した上記銅を含むアクリル樹脂中に存在
する有機酸の大部分が、脂質二分子膜で捕捉された量か
ら算出することができることが確認された。
減少量の約29%であることが判った。上記塗膜中の上
記有機酸の含有量は、樹脂合成時の配合量から30%で
あるので、溶出した上記銅を含むアクリル樹脂中に存在
する有機酸の大部分が、脂質二分子膜で捕捉された量か
ら算出することができることが確認された。
【0058】実施例2 上記一般式(I)で表される分子内に銅を含むアクリル
樹脂において、繰り返し単位m:nの比率が異なる樹脂
1〜樹脂4について、図1に示した発振振動数測定装置
を用い、海水中での水晶発振子の発振振動数の変化を測
定した。使用した水晶発振子は、9MHz、ATカット
の金電極水晶発振子であった。この水晶発振子は、1.
05ngの減少量で、1.0Hzの増加を示すものであ
った。水晶発振子に塗布した銅を含むアクリル樹脂の量
は、約15μgであった。得られた発振振動数の変化量
から塗膜の減少量を求めた。結果を表2に示した。ま
た、上記樹脂1〜樹脂4について、ドラム法により6か
月の消耗膜厚を測定した。結果を表2に示した。得られ
た塗膜の重量の減少量と消耗膜厚との関係を図6に示し
た。
樹脂において、繰り返し単位m:nの比率が異なる樹脂
1〜樹脂4について、図1に示した発振振動数測定装置
を用い、海水中での水晶発振子の発振振動数の変化を測
定した。使用した水晶発振子は、9MHz、ATカット
の金電極水晶発振子であった。この水晶発振子は、1.
05ngの減少量で、1.0Hzの増加を示すものであ
った。水晶発振子に塗布した銅を含むアクリル樹脂の量
は、約15μgであった。得られた発振振動数の変化量
から塗膜の減少量を求めた。結果を表2に示した。ま
た、上記樹脂1〜樹脂4について、ドラム法により6か
月の消耗膜厚を測定した。結果を表2に示した。得られ
た塗膜の重量の減少量と消耗膜厚との関係を図6に示し
た。
【0059】
【表2】
【0060】図6から、水晶発振子を用いて測定した塗
膜の減少量とドラム法により測定した消耗膜厚との間に
は、良好な相関があることが判った。
膜の減少量とドラム法により測定した消耗膜厚との間に
は、良好な相関があることが判った。
【0061】
【発明の効果】本発明の塗膜評価装置は、上述の構成よ
りなるので、複数の測定間の誤差を解消することがで
き、より精度の高い測定・評価を行うことができる。ま
た、複数の水晶発振子を用いることによって、複数の異
なった事象を独立して、同時に観測することも可能とな
るので、例えば、防汚塗膜の溶解・消耗性及び低分子量
物質の溶出度を測定する場合に使用する塗膜評価装置と
して非常に好適である。このように、本発明の塗膜評価
装置は、単一の事象を観測する場合にも複数の事象を観
測する場合にも使用することが可能であり、使用用途を
拡大することができる。
りなるので、複数の測定間の誤差を解消することがで
き、より精度の高い測定・評価を行うことができる。ま
た、複数の水晶発振子を用いることによって、複数の異
なった事象を独立して、同時に観測することも可能とな
るので、例えば、防汚塗膜の溶解・消耗性及び低分子量
物質の溶出度を測定する場合に使用する塗膜評価装置と
して非常に好適である。このように、本発明の塗膜評価
装置は、単一の事象を観測する場合にも複数の事象を観
測する場合にも使用することが可能であり、使用用途を
拡大することができる。
【0062】本発明の塗膜の消耗性の評価方法は、上述
の構成よりなるので、数か月間かけて塗膜の消耗膜厚を
測定する塗膜の消耗性の評価方法と比較して、非常に短
い期間で、簡便かつ正確に塗膜の消耗性を評価すること
ができる。
の構成よりなるので、数か月間かけて塗膜の消耗膜厚を
測定する塗膜の消耗性の評価方法と比較して、非常に短
い期間で、簡便かつ正確に塗膜の消耗性を評価すること
ができる。
【図1】本発明の塗膜評価装置の一実施形態を表す概念
図である。
図である。
【図2】水晶発振子を一つ用いた塗膜評価装置であっ
て、本発明の塗膜の消耗性の評価方法に使用することが
できるものの一実施形態を表す概略図である。
て、本発明の塗膜の消耗性の評価方法に使用することが
できるものの一実施形態を表す概略図である。
【図3】測定センサーからのデータをRS−232C規
格伝送路を介して収集するための構成の概略図である。
格伝送路を介して収集するための構成の概略図である。
【図4】水晶発振子の発振時期の切替え制御を行うため
の構成の概略図である。
の構成の概略図である。
【図5】水晶発振子の発振振動数の測定チャートの模式
図である。
図である。
【図6】銅を含んだアクリル樹脂の塗膜の重量の減少量
と消耗膜厚との関係を表すグラフである。縦軸は、消耗
膜厚(μm)であり、横軸は、塗膜の重量変化(ng)
である。
と消耗膜厚との関係を表すグラフである。縦軸は、消耗
膜厚(μm)であり、横軸は、塗膜の重量変化(ng)
である。
1a,1b 水晶発振子 2a,2b 発振回路 3a,3b 周波数カウンター 6 温度センサー 7 pHメーター 10 ハードディスクドライブ 11 汎用プリンター 12 XYプロッター 13 スイッチング装置
Claims (8)
- 【請求項1】 複数の水晶発振子と、前記複数の水晶発
振子の各々の、発振振動数を測定する手段と、前記複数
の水晶発振子が設置される1つ又は複数の測定槽とから
なり、前記複数の水晶発振子のうち少なくとも1つは、
その表面に試料塗膜を形成することができるものである
ことを特徴とする水晶発振子を用いた塗膜評価装置。 - 【請求項2】 塗膜評価装置は、更に、一つの時間間隔
において一つの水晶発振子のみが発振するように、複数
の水晶発振子の発振時期を制御することができる手段を
有するものである請求項1記載の塗膜評価装置。 - 【請求項3】 複数の水晶発振子の発振時期を制御する
ことができる手段は、パーソナルコンピュータの制御に
よって、前記複数の水晶発振子の発振駆動電流のオン/
オフを司ることができるものであり、前記パーソナルコ
ンピュータは、一つの時間間隔において、その時間間隔
において発振している一つの水晶発振子の発振振動数の
測定データをシリアル伝送路を介して受け取り、かつ、
前記複数の水晶発振子の全てについて、順次、それらの
発振振動数の測定データを受け取り、しかも、前記複数
の水晶発振子の全てについて、順次、それらの発振振動
数の測定データを受け取る一連の過程を、所望の回数、
繰り返し実行することができるようにプログラムされて
いるものである請求項2記載の塗膜評価装置。 - 【請求項4】 液中における塗膜の消耗性の評価方法で
あって、水晶発振子の表面に試料塗膜を形成し、前記水
晶発振子を液中に浸漬させて、前記塗膜の液中における
消耗を前記水晶発振子の発振振動数の変化から検出する
ことを特徴とする塗膜の消耗性の評価方法。 - 【請求項5】 複数の水晶発振子と、前記複数の水晶発
振子の各々の、発振振動数を測定する手段と、前記複数
の水晶発振子が設置される1つ又は複数の測定槽とから
なる水晶発振子を用いた塗膜評価装置の、前記複数の水
晶発振子のうち、少なくとも一つの水晶発振子の表面に
は、塗膜から放出される成分を含有する試料塗膜を形成
し、かつ、前記複数の水晶発振子のうち、前記試料塗膜
を形成した水晶発振子以外の少なくとも一つの水晶発振
子の表面には、前記塗膜から放出される成分を受容する
塗膜を形成し、前記塗膜評価装置により、前記試料塗膜
の液中における消耗を検出するとともに、前記試料塗膜
から放出される成分を受容する塗膜の重量変化を検出す
る請求項4記載の評価方法。 - 【請求項6】 水晶発振子を用いた塗膜評価装置は、水
晶発振子の発振駆動電流のオン/オフを司る手段を有し
ており、前記手段により、一つの時間間隔において一つ
の水晶発振子のみが発振するように、複数の水晶発振子
の発振時期が制御されるものである請求項5記載の塗膜
の消耗性の評価方法。 - 【請求項7】 水晶発振子は、緩衝作用を有する水中に
浸漬される請求項4〜6記載の塗膜の消耗性の評価方
法。 - 【請求項8】 水晶発振子の表面に、海洋防汚塗料から
なる試料塗膜を形成させ、前記水晶発振子を、海水中に
浸漬させる請求項4〜7記載の塗膜の消耗性の評価方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10556798A JPH10332463A (ja) | 1997-03-31 | 1998-03-31 | 水晶発振子を用いた塗膜評価装置及び塗膜の消耗性の評価方法 |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9825397 | 1997-03-31 | ||
JP9-98254 | 1997-03-31 | ||
JP9-98253 | 1997-03-31 | ||
JP9825497 | 1997-03-31 | ||
JP10556798A JPH10332463A (ja) | 1997-03-31 | 1998-03-31 | 水晶発振子を用いた塗膜評価装置及び塗膜の消耗性の評価方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10332463A true JPH10332463A (ja) | 1998-12-18 |
Family
ID=27308614
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10556798A Pending JPH10332463A (ja) | 1997-03-31 | 1998-03-31 | 水晶発振子を用いた塗膜評価装置及び塗膜の消耗性の評価方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10332463A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002310872A (ja) * | 2001-04-06 | 2002-10-23 | Ulvac Japan Ltd | 測定方法及び測定装置 |
WO2006070940A1 (ja) * | 2004-12-28 | 2006-07-06 | Nihon Dempa Kogyo Co., Ltd. | 感知装置 |
US7552639B2 (en) | 2004-12-15 | 2009-06-30 | Nihon Dempa Kogyo Co., Ltd. | Quartz sensor and sensing device |
US7554247B2 (en) | 2004-12-15 | 2009-06-30 | Nihon Dempa Kogyo Co., Ltd | Component measuring device |
US7677087B2 (en) | 2004-12-15 | 2010-03-16 | Nihon Dempa Kogyo Co., Ltd. | Quartz sensor and sensing device |
US7845230B2 (en) | 2005-08-03 | 2010-12-07 | Nihon Dempa Kogyo Co., Ltd. | Concentration sensor and concentration detector |
-
1998
- 1998-03-31 JP JP10556798A patent/JPH10332463A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002310872A (ja) * | 2001-04-06 | 2002-10-23 | Ulvac Japan Ltd | 測定方法及び測定装置 |
US7552639B2 (en) | 2004-12-15 | 2009-06-30 | Nihon Dempa Kogyo Co., Ltd. | Quartz sensor and sensing device |
US7554247B2 (en) | 2004-12-15 | 2009-06-30 | Nihon Dempa Kogyo Co., Ltd | Component measuring device |
US7677087B2 (en) | 2004-12-15 | 2010-03-16 | Nihon Dempa Kogyo Co., Ltd. | Quartz sensor and sensing device |
WO2006070940A1 (ja) * | 2004-12-28 | 2006-07-06 | Nihon Dempa Kogyo Co., Ltd. | 感知装置 |
US7555952B2 (en) | 2004-12-28 | 2009-07-07 | Nihon Dempa Kogyo Co., Ltd. | Sensing device |
US7845230B2 (en) | 2005-08-03 | 2010-12-07 | Nihon Dempa Kogyo Co., Ltd. | Concentration sensor and concentration detector |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
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