JPH10331690A - 圧縮着火式エンジン - Google Patents

圧縮着火式エンジン

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JPH10331690A
JPH10331690A JP14021297A JP14021297A JPH10331690A JP H10331690 A JPH10331690 A JP H10331690A JP 14021297 A JP14021297 A JP 14021297A JP 14021297 A JP14021297 A JP 14021297A JP H10331690 A JPH10331690 A JP H10331690A
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cylinder
piston
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 希薄均一予混合燃焼を達成してスモーク、N
Ox、HCの発生を防止できる圧縮着火式エンジンを提
供する。 【解決手段】 燃料噴射ノズル3からシリンダ2内に噴
射された燃料と吸気とをピストン6によって圧縮して着
火させる圧縮着火式エンジンであって、直径0.1mm
以下の複数の小噴孔14を有する燃料噴射ノズル3と、
これら小噴孔14からの噴射時期をエンジンの吸気行程
中乃至は圧縮行程中とする制御手段11、13、56と
を有する。小噴孔14から噴射された燃料は、噴射の直
後から略蒸気化され、ピストン6が上死点に至るまでの
間に、シリンダ2内に希薄で均一な混合気を形成する。
その後、ピストン6が上死点の近傍に至ると、シリンダ
2内が高温高圧となるため、シリンダ2内の空間の略全
域で、上記混合気全体が略同時に着火燃焼し、希薄均一
予混合燃焼が達成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧縮着火式エンジ
ンに関する。
【0002】
【従来の技術】ディーゼルエンジン等に代表される通常
の圧縮着火式エンジンにおいては、シリンダ内が高温・
高圧となるピストンの圧縮上死点近傍で燃料を噴射して
燃焼を行う。噴射された燃料は、その後に液柱状態から
液滴へと分裂し、液滴の表面から蒸発して混合気とな
り、混合気が着火して火炎が形成され、火炎中に後続の
噴射燃料が供給されることにより、燃焼が継続される。
【0003】このような通常のディーゼルエンジンで
は、燃料の噴射直後、燃料(混合気)が未だシリンダ内
空間に偏在した状態で火炎が形成される。たとえば、5
噴孔ノズルであれば5つの燃料噴射領域にそれぞれ火炎
が形成される。このため、局所的な燃焼温度が高くなっ
てNOxが発生する。また、火炎中に供給される後続の
噴射燃料が空気不足の状態で燃焼されるためスモーク
(煤)が発生する。
【0004】他方、図6に示すように、針弁aの先端に
傘状の燃料衝突部bを備えた単噴孔ノズルcから、エン
ジンの吸気行程中乃至は圧縮行程中に比較的低い圧力で
燃料を噴射し、噴射時に形成された比較的粒径の大きな
燃料液滴dをピストンのほぼ圧縮上死点にて一斉に着火
・燃焼させる方式の圧縮着火式エンジンが知られている
(特開平7-317588号公報等)。
【0005】この圧縮着火式エンジンによれば、シリン
ダ内全域で燃焼を行うことができるため、局所的な燃焼
温度を低くすることができ、NOxの発生が抑制され、
また、燃料がシリンダ内に広く分散されること及び火炎
中に新たな燃料が供給されることがないことから、空気
不足状態での燃焼が回避され、スモークの発生も抑制で
きる、とされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記圧縮着火
式エンジンは、吸気行程中乃至は圧縮行程中に噴射され
た比較的粒径の大きな燃料液滴dを、圧縮上死点付近ま
で保ってそこで沸騰・蒸発(着火・燃焼)させるように
しているため、次のような問題が生じる。
【0007】すなわち、上記燃料液滴dは、その表面か
ら徐々に蒸発するが、粒径が大きいために燃焼開始まで
に全てが蒸発しきれず、液滴d中心部の燃料が火炎に包
まれてしまい、空気不足の燃焼となってスモークが発生
してしまう。
【0008】また、燃料液滴dの周りには、液滴d近傍
が過濃(リッチ)で液滴dから遠ざかるに従って希薄
(リーン)となる混合気が形成されるため、部分的には
最も燃焼温度が高くなる空気過剰率が1.1〜1.2程
度の混合気も形成されてしまい、局所的な燃焼温度は期
待するほど下げることができず、NOxが発生してしま
う。
【0009】さらに、粒径の大きな燃料液滴dは自重に
よりシリンダ内を落下してピストン頂面に付着しやす
く、ピストン頂面に液滴が付着して液膜が形成される
と、上記NOxおよびスモークの発生が増長されてしま
うばかりか、未燃HCの発生にも繋がってしまう。
【0010】以上の事情を考慮して創案された本発明の
目的は、スモーク、NOx、HCの発生を防止できる圧
縮着火式エンジンを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく第
1の発明は、燃料噴射ノズルからシリンダ内に噴射され
た燃料と吸気とをピストンによって圧縮して着火させる
圧縮着火式エンジンであって、直径0.1mm以下の複
数の小噴孔を有する燃料噴射ノズルと、これら小噴孔か
らの噴射時期をエンジンの吸気行程中乃至は圧縮行程中
とする制御手段とを有するものである。
【0012】この発明によれば、エンジンの吸気行程中
乃至は圧縮行程中に、直径0.1mm以下の複数の小噴
孔から噴射された燃料は、噴射時に形成される燃料液滴
の粒径が小さいため、噴射の直後から略蒸気化され、ピ
ストンが上死点に至るまでの間に、シリンダ内に希薄で
均一な混合気を形成する。その後、ピストンが上死点の
近傍に至ると、シリンダ内が高温高圧となるため、シリ
ンダ内の空間の略全域で、上記混合気全体が略同時に着
火燃焼(希薄均一予混合燃焼)する。
【0013】かかる希薄均一予混合燃焼により、局所的
な燃焼温度が下がってNOxの発生が抑制されると共
に、空気不足状態での燃焼が回避されるためスモークの
発生も抑制される。また、直径0.1mm以下の小噴孔
から噴射された燃料は、噴射の直後から略蒸気化される
ため、従来のように比較的大きな粒径の燃料液滴を圧縮
上死点付近で蒸発させることに起因するNOxおよびス
モークの問題や、燃料液滴がシリンダ内を落下してピス
トン頂面に付着することに起因する未燃HCの問題が生
じない。
【0014】ところで、このような希薄均一予混合気を
圧縮着火するエンジンでは、シリンダ内温度が高くなる
中〜高負荷運転時には、ピストンが上死点に至る前の圧
縮行程中に混合気が着火してしまい、着火時期にコント
ロールができず、効率のよい運転ができなくなる可能性
がある。そこで、本発明者は、中〜高負荷運転時には上
死点近傍で燃料を噴射する通常の圧縮着火燃焼(ディー
ゼル燃焼)を行い、低負荷運転時には前述の希薄均一予
混合燃焼を行うものを開発した。
【0015】すなわち、この圧縮着火式エンジンは、直
径0.1mm以下の複数の小噴孔および直径0.2mm
以上の複数の大噴孔を有する燃料噴射ノズルと、低負荷
運転時には上記小噴孔のみを開弁し高負荷時には上記大
噴孔を開弁する噴孔選択手段と、低負荷運転時には噴射
時期をエンジンの吸気行程中乃至は圧縮行程中とし高負
荷運転時には噴射時期をエンジンの圧縮上死点近傍とす
る噴射時期変更手段とを有する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を添付
図面に基づいて説明する。
【0017】図1に示すように、シリンダヘッド1に
は、シリンダ2内に燃料を噴射するための燃料噴射ノズ
ル3が取り付けられている。シリンダ2内には、クラン
ク軸4にコンロッド5を介して接続されたピストン6が
収容されている。ピストン6の頂部には、キャビティ7
が凹設されている。
【0018】図3に示すように、燃料噴射ノズル3のノ
ズルボデー8内には、軸方向に第1針弁収容穴9が形成
されている。第1針弁収容穴9の下方先端部は、円錐状
に形成された弁座10によって覆われている。弁座10
の最先端部には、半球状のホール部11が形成されてい
る。
【0019】第1針弁収容穴9の内部には、筒体状に形
成された第1針弁11が、軸方向にスライド自在に収容
されている。第1針弁11は、第1針弁収容穴9より僅
かに小径の大径部11aと、第1針弁収容穴9との間に
所定隙間を形成する小径部11bと、小径部11bと大
径部11aとをテーパ状に接続する受圧部11cとを有
する。受圧部11cは、ノズルボデー8に形成された燃
料通路12を通って第1針弁収容穴9と小径部11bと
の間に供給された燃料の圧力を受け、第1針弁11をリ
フトさせる。第1針弁11の先端部には、弁座10に着
座するテーパ状の第1シート面11dが形成されてい
る。
【0020】第1針弁11には、軸方向に沿って第2針
弁収容穴12が形成されている。第2針弁収容穴12に
は、円柱状に形成された第2針弁13が軸方向にスライ
ド自在に収容されている。第2針弁13は、第2針弁収
容穴12より僅かに小径の大径部13aと、第2針弁収
容穴12との間に所定隙間を形成する小径部13bと、
小径部13bと大径部13aとをテーパ状に接続する受
圧部13cとを有する。受圧部13cは、上記第1針弁
11がリフトした後に、燃料の圧力を受けて、第2針弁
13をリフトさせる。第2針弁13の先端部には、弁座
に着座するテーパ状の第2シート面13dが形成されて
いる。
【0021】弁座10には、第1シート面11dに対向
させて直径0.1mm以下の小噴孔14が周方向間隔を
隔てて複数穿たれていると共に、第2シート面13dに
対向させて直径0.2mm以上の大噴孔15が周方向間
隔を隔てて複数穿たれている。詳しくは、小噴孔14の
直径は、そこから噴射される燃料の微粒化と噴孔の加工
性とを考慮すると0.08〜0.05mm程度が好まし
い。また、大噴孔15の直径は、そこからの噴射特性
(通常の直噴エンジンと同様に燃料を液柱状に噴射す
る)を考慮して0.24mmに設定されている。
【0022】第1針弁11は、第1リターンスプリング
16によって弁閉方向に付勢されている。第1リターン
スプリング16は、一端が第1針弁11の頂部17に接
し、他端がノズルボデー8内に形成された第1スプリン
グホルダ18に接している。同様に、第2針弁13は、
第2リターンスプリング19によって弁閉方向に付勢さ
れている。第2リターンスプリング19は、一端が第2
針弁13の頂部20に接し、他端がノズルボデー8内に
形成された第2スプリングホルダ21に接している。
【0023】上記構成によれば、燃料通路12を通って
第1針弁11の受圧部11cに作用する燃料によるリフ
ト力が、第1リターンスプリング16のセット力を上回
ったとき、第1針弁11がリフトして小噴孔14が開口
される。そして、その後第2針弁13の受圧部13cに
作用する燃料によるリフト力が、第2リターンスプリン
グ19のセット力を上回ったとき、第2針弁13がリフ
トして大噴孔15が開口される。よって、上記第1針弁
11および第2針弁13が、特許請求の範囲の請求項2
の噴孔選択手段に相当する。
【0024】第1および第2スプリングホルダ18,2
1の内部には、プッシュロッド22が軸方向にスライド
自在に貫通されている。プッシュロッド22は、一端が
第2針弁13の頂部20に当接し、他端にはコマンドピ
ストン23が設けられている。コマンドピストン23
は、ノズルボデー8の上部に形成されたシリンダ24内
に収容されている。シリンダ24内には、コマンドピス
トン23を下方にごく弱い力で付勢する保持スプリング
25が収容されている。保持スプリング25は、コマン
ドピストン23が浮かないように保持するものである。
【0025】シリンダ24にはオイル通路26が接続さ
れている。オイル通路26は、切換弁27を介して、オ
イルギャラリ28とオイルパン29とに接続されてい
る。切換弁27は、コントローラ30からの指令によ
り、オイルギャラリ28とオイル通路26とを連通する
か、あるいはオイルパン29とオイル通路26とを連通
するかを選択する。コントローラ30には、エンジンの
負荷と回転数とが入力される。そしてコントローラ30
は、低負荷時(図2の領域A)にはオイルギャラリ28
とオイル通路26とを連通する指令を出し、高負荷時
(図2の領域B)にはオイルパン29とオイル通路26
とを連通する指令を切換弁27に出す。
【0026】低負荷時に、切換弁27によりオイルギャ
ラリ28とオイル通路26とが連通されると、コマンド
ピストン23がオイルギャラリ28からのオイル圧力に
よって下降し、第2針弁13に弁閉方向の付勢力が働
く。よって、このとき第2針弁13は、第1針弁11の
リフト後に第2針弁13の受圧部13cに作用する燃料
によるリフト力が第2リターンスプリング19のセット
力を上回っても、上記コマンドピストン23に作用する
オイル圧力をも含めたトータルの弁閉方向の力を上回ら
ない限り、リフトしない。よって、低負荷時には小噴孔
14からのみ燃料が噴射される。
【0027】他方、高負荷時に、切換弁27によりオイ
ルパン29とオイル通路26とが連通されると、コマン
ドピストン23に加わっていたオイルの圧力がオイルパ
ン29にリリーフされる。よって、このとき第2針弁1
3は、第1針弁11のリフト後に第2針弁13の受圧部
13cに作用する燃料によるリフト力が第2リターンス
プリング19のセット力(正確にはこれに加えて保持ス
プリング25のセット力)を上回ったとき、リフトす
る。よって、高負荷時には、小噴孔14に加えて大噴孔
15からも燃料が噴射される。
【0028】さて、上記燃料噴射ノズル3の燃料通路1
2には、図4に示す燃料噴射ポンプ31が接続されてい
る。この燃料噴射ポンプ31は、燃料タンクからの燃料
が、導入口32から供給される。導入口32から供給さ
れた燃料は、エンジンのクランク軸で回転されるドライ
ブ軸33に設けられたフィードポンプ34により加圧さ
れ、調圧弁35により所定圧以下に制御されて吐出口3
6からポンプ室37内に吐出される。
【0029】ドライブ軸33には、カムディスク38が
クロスカップリング39を介して軸方向に移動自在に取
り付けられている。カムディスク38は、プランジャス
プリング40によってローラ41に押し付けられてい
る。ローラ41は、ドライブ軸33から切り離されたロ
ーラホルダ42に取り付けられている。この構造によれ
ば、ドライブ33軸が回転すると、カムディスク38が
回転しつつローラ41に乗り上げスプリング40で押し
付けられて往復運動し、これに同期してカムディスク3
8に取り付けられたプランジャ43が回転しつつ往復運
動する。
【0030】プランジャ43には、吸入溝44、燃料通
路45、排出通路46、リーク通路47が形成されてお
り、プランジャバレル48には、吸入溝44に出合う吸
入口49、排出通路46に出合う排出口50が形成され
ている。この構成によれば、プランジャ43の吸入溝4
4がバレル48の吸入口49に出合ったとき、ポンプ室
37内の燃料が導入通路51を通って圧縮室52内に導
かれ、プランジャ43の排出通路46がバレル48の排
出口50と出合ったとき、プランジャ43によって高圧
にされた圧縮室52内の燃料がデリバリバルブ53を開
弁して図3に示す燃料噴射ノズル3の燃料通路12に向
かう。
【0031】プランジャ43には、そのリーク通路47
を覆うようにして、コントロールスリーブ54がスライ
ド自在に被嵌されている。コントロールスリーブ54
は、図示しない電子ガバナアクチュエータに接続された
コントロールロッド55により、プランジャ43の軸方
向(図7の左右方向)に移動される。コントロールスリ
ーブ54が左方(リーク側)に移動されるとプランジャ
43の有効ストロークが小さくなって噴射量が減り、コ
ントロールスリーブ54が右方(反リーク側)に移動さ
れるとプランジャ43の有効ストロークが大きくなって
噴射量が増える。
【0032】さて、上記ローラホルダ42には、タイマ
56を駆動するためのローラホルダピン57が取り付け
られている。タイマ56は、ローラホルダピン57が挿
入されるタイマピストン58と、タイマピストン58を
スライド自在に収容するシリンダ59とを有する。シリ
ンダ59内は、タイマピストン58によって、ポンプ室
37内の燃料が高圧導入路60を介して導かれる高圧室
61と、フィードポンプ34で加圧される前の燃料が低
圧導入路62を介して導かれる低圧室63とに仕切られ
ている。低圧室63には、ピストン58を高圧室61側
に付勢するタイマスプリング64が収容されている。
【0033】高圧室61と低圧室63とは、バイパス通
路65によって接続されている。バイパス通路65に
は、タイミングコントロールバルブ66が設けられてい
る。タイミングコントロールバルブ66が閉弁される
と、高圧室61内の燃料圧力が低圧室63内のスプリン
グ64の付勢力に打ち勝ち、ピストン58が図4におい
て左方に移動し、ローラホルダピン57を介してローラ
ホルダ42がドライブ軸33の回転方向と逆方向に回動
し、噴射時期が進角される。タイミングコントロールバ
ルブ66が開弁されると、高圧室61内の燃料がバイパ
ス通路65を通って低圧室63側へリークするため、ピ
ストン58が図4において右方に移動し、ローラホルダ
ピン57を介してローラホルダ42がドライブ軸33の
回転方向と同方向に回動し、噴射時期が遅角される。
【0034】タイミングコントロールバルブ66は、エ
ンジンの負荷と回転数が入力されるコントローラ67か
らの指令により、開閉される。詳しくは、タイミングコ
ントロールバルブ66は、短い周期で開閉制御され、擬
似的に全閉状態から全開状態まで連続的に制御できるよ
うになっている。すなわち、タイミングコントロールバ
ルブ66の開時間をON時間とし閉時間をOFF時間と
すると、OFF時間/(ON時間+OFF時間)をデュ
ーティー比といい、デューティー比を0%〜100%ま
で変化させることにより、タイミングコントロールバル
ブ66の開度が疑似的に全開状態(遅角)から全閉状態
(進角)まで連続的に制御される。
【0035】図5に示す一点鎖線68は、通常の直噴式
ディーゼルエンジンのタイマ特性を示すものである。図
示するように、デューティー比100%のときの最大進
角が上死点前20度となっている。すなわち、通常の直
噴式ディーゼルエンジンの噴射時期は、上死点前20度
から上死点までの間で、エンジンの運転状態(負荷・回
転数)に応じて調節される。これに対し、本実施形態の
エンジンのタイマ特性は、図5に実線69で示すよう
に、デューティー比100%のときの最大進角が上死点
前80度となっており、上死点前80度から上死点まで
の間で噴射時期の調節が可能である。
【0036】このタイマ特性は、タイマピストン58の
ストロークを大きく改変すると共に、タイミングコント
ロールバルブ66の制御デューティー比を変更すること
により得られる。具体的には、ピストン58の軸方向の
長さの短縮化、シリンダ59の軸方向の長さの大型化、
またはその両方を行うと共に、タイミングコントロール
バルブ66の制御デューティー比をポンプ室37内の燃
圧とタイマスプリング64の付勢力とに応じて図5に実
線に示すようにする。
【0037】上記コントローラ67は、エンジンが低負
荷運転(図2の領域A)のときにはデューティー比を7
5%〜100%として噴射時期を上死点前80度から6
0度の間で運転状態に応じて最適制御し、エンジンが高
負荷運転(図2の領域B)のときにはデューティー比を
0%〜25%として噴射時期を上死点前20度から上死
点の間で運転状態に応じて最適制御する。よって、上記
タイマ56が、特許請求の範囲の請求項2の噴射時期変
更手段に相当する。
【0038】この結果、図2の領域Aでは、図3の燃料
噴射ノズル3の小噴孔14からのみ燃料が噴射され、そ
の噴射時期は図5のAで示すように上死点前80度から
60度となり、図1(A) で示すような噴射となる。ま
た、図2の領域Bでは、図3の燃料噴射ノズル3の小噴
孔14および大噴孔15から燃料が噴射され、その噴射
時期は図5のBで示すように通常のエンジンと同様に上
死点前20度から上死点となり、図1(B) で示すような
噴射となる。よって、上記タイマ56、第1針弁11お
よび第2針弁13が、特許請求の範囲の請求項1の制御
手段に相当する。
【0039】以上の構成からなる本実施形態の作用を述
べる。
【0040】図2の領域Aに示すエンジンの低負荷運転
時には、図1(A) で示すように、燃料が燃料噴射ノズル
3の複数の小噴孔14から、上死点前80度から60度
の圧縮行程中にて、運転状態に応じて噴射される。な
お、噴射時期を更に早めて吸気行程中に噴射するように
してもよい。
【0041】すると、小噴孔14から噴射された燃料F
は、その噴孔径が小さいために噴射時に形成される燃料
液滴の粒径が小さくなり、噴射の直後から略蒸気化さ
れ、ピストン6が上死点に至るまでの間に、シリンダ2
内に希薄で均一な混合気を形成する。その後、ピストン
6が上死点の近傍に至ると、シリンダ2内が圧縮されて
高温高圧となるため、シリンダ2内の空間の略全域で、
上記混合気全体が略同時に着火燃焼する。
【0042】かかる希薄均一予混合燃焼により、局所的
な燃焼が回避されるために局所的な燃焼温度が下がって
NOxの発生が抑制されると共に、空気不足状態での燃
焼が回避されるためスモークの発生も抑制される。ま
た、直径0.1mm以下の小噴孔14から噴射された燃
料Fは、噴射の直後から略蒸気化されるため、従来のよ
うに燃料液滴を圧縮上死点付近で蒸発させることに起因
するNOxおよびスモークの問題や、燃料液滴がシリン
ダ2内を落下してピストン6頂面に付着することに起因
する未燃HCの問題が生じない。
【0043】なお、図2においてエンジンの回転数が高
くなって図3に示す燃料噴射ノズル3への燃料供給圧が
高まっても、第2針弁13のリフトをコマンドピストン
23によって強制的に押えることにより、大噴孔15が
開くことはなく、小噴孔14からのみ燃料が噴射され、
上述の希薄均一予混合燃焼を行うことができる。逆をい
えば、コマンドピストン23により強制的に第2針弁1
3のリフトを押えないと、燃料噴射ポンプ31の燃料供
給圧力が高まるエンジン高回転時には、燃料噴射ノズル
3への燃料供給圧によっては第2針弁13がリフトして
大噴孔15から燃料が噴射されしまい、希薄均一予混合
燃焼が実現できない可能性もあるが、本実施形態はこれ
を回避しているのである。
【0044】また、図2の領域Bに示すようにエンジン
の高負荷運転時には、図1(B) で示すように、燃料Fが
上記小噴孔14に加えて直径0.2mm以上の複数の大
噴孔15からも、上死点前20度から上死点の圧縮上死
点近傍にて、運転状態に応じて液柱状に噴射される。こ
れにより、通常の圧縮着火燃焼(ディーゼル燃焼)が行
われる。すなわち、図2の領域Aに示すエンジンの低負
荷運転時には希薄均一予混合燃焼がなされるものの、図
2の領域Bに示すエンジンの高負荷運転時には通常の圧
縮着火燃焼(ディーゼル燃焼)に切り換えられる。
【0045】このように燃焼を切り換える理由は、次の
通りである。すなわち、希薄均一予混合気を圧縮着火す
る場合には、シリンダ2内温度が高くなる中〜高負荷運
転時には、ピストン6が上死点に至る前の圧縮行程中に
混合気が着火してしまい、着火時期のコントロールが困
難であり、効率のよい運転ができなくなる可能性があ
る。このため、高負荷運転時には、着火時期のコントロ
ールが容易な通常の圧縮着火燃焼(ディーゼル燃焼)に
切り換えているのである。
【0046】なお、図3の燃料噴射ノズル3および図4
の燃料噴射ポンプ31の代わりに公知のコモンレール式
の燃料噴射システムを用い、コモンレールに接続された
小噴孔および大噴孔を有するインジェクタの噴孔の開閉
を電磁弁への通電等によって制御して、本発明を実現す
るようにしてもよい。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る圧縮着
火式エンジンよれば、希薄均一予混合燃焼を行うことが
できるので、スモーク、NOx、HCの発生を防止でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す圧縮着火式エンジン
の燃料噴射の様子を示す側断面図であり、(a) は低負荷
運転時(希薄均一予混合燃焼)、(b) は高負荷運転時
(圧縮着火燃焼)を示す。
【図2】回転数と負荷とによって、図1(a) の希薄均一
予混合燃焼と図1(b) の通常の圧縮着火燃焼とを切り換
えるマップを示す図である。
【図3】燃料噴射ノズルの側断面図である。
【図4】燃料噴射ポンプの側断面図である。
【図5】噴射時期特性を示す図である。
【図6】従来例を示す燃料噴射ノズルの先端部の側断面
図である。
【符号の説明】
2 シリンダ 3 燃料噴射ノズル 6 ピストン 11 第1針弁(噴孔選択手段、制御手段) 13 第2針弁(噴孔選択手段、制御手段) 14 小噴孔 15 大噴孔 56 タイマ(噴射時期変更手段、制御手段)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料噴射ノズルからシリンダ内に噴射さ
    れた燃料と吸気とをピストンによって圧縮して着火させ
    る圧縮着火式エンジンであって、直径0.1mm以下の
    複数の小噴孔を有する燃料噴射ノズルと、これら小噴孔
    からの噴射時期をエンジンの吸気行程中乃至は圧縮行程
    中とする制御手段とを有することを特徴とする圧縮着火
    式エンジン。
  2. 【請求項2】 上記燃料噴射ノズルが、上記小噴孔の他
    に直径0.2mm以上の複数の大噴孔を有し、上記制御
    手段が、低負荷運転時には上記小噴孔のみを開弁し高負
    荷時には上記大噴孔を開弁する噴孔選択手段と、低負荷
    運転時には噴射時期をエンジンの吸気行程中乃至は圧縮
    行程中とし高負荷運転時には噴射時期をエンジンの圧縮
    上死点近傍とする噴射時期変更手段とを有する請求項1
    記載の圧縮着火式エンジン。
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