JPH10331602A - ガスタービン - Google Patents

ガスタービン

Info

Publication number
JPH10331602A
JPH10331602A JP14063397A JP14063397A JPH10331602A JP H10331602 A JPH10331602 A JP H10331602A JP 14063397 A JP14063397 A JP 14063397A JP 14063397 A JP14063397 A JP 14063397A JP H10331602 A JPH10331602 A JP H10331602A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat
gas turbine
insulating structure
ceramic
heat insulating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP14063397A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsuneo Hijikata
常夫 土方
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP14063397A priority Critical patent/JPH10331602A/ja
Publication of JPH10331602A publication Critical patent/JPH10331602A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Turbine Rotor Nozzle Sealing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】冷却空気の供給量をより大幅に減少させること
ができ、それによりガスタービン効率の向上が図れると
ともに、防熱構造体およびその周辺構造部等についての
強度向上も図れ、高信頼性が得られるガスタービンを提
供する。 【解決手段】燃焼ガスが流れる主流ガス通路側から、そ
の外周側を覆うケーシング側に対する遮熱を行うため、
主流ガス通路の外周部位に板状の防熱構造体7を設け
る。防熱構造体7を、セラミックスのマトリックスにセ
ラミックスの長繊維を複合させたセラミックス基長繊維
複合材料によって形成し、この複合材料となるセラミッ
クスの長繊維28a,28bを防熱構造体の肉厚方向に
積層させる。セラミックスの長繊維の切断面28d,2
8eを防熱構造体の肉厚端面30または内部に配置する
ことにより、セラミックスの長繊維の切断面を直接燃焼
ガスに晒されない繊維配向とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば発電用プラ
ント等に適用されるガスタービンに係り、特に燃焼ガス
が流れる主流ガス通路の静止部に設けられる防熱構造体
に、高耐熱素材であるセラミックス基長繊維複合材料を
適用したガスタービンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図17は、発電用として適用されるガス
タービンの一般的な構成例を示している。即ち、タービ
ン部1と同軸に圧縮機2が設けられており、この圧縮機
2の駆動により圧縮された高圧空気が燃焼器3に導か
れ、ここで燃料が加えられて燃焼ガスが作り出されるよ
うになっている。
【0003】燃焼ガスは、トランジションピース4およ
び静翼5を経て動翼6に案内され、その熱エネルギーが
回転トルクに替えられて図示しない発電機が駆動され、
これにより電力が発生するものである。
【0004】このようなガスタービンにおいては、燃焼
ガスのタービン入口温度が高ければ高いほど、サイクル
効率が増加することが知られており、このサイクル効率
向上のため、タービン入口温度は上昇の一途を辿ってい
る。そして、ガスタービンのタービン入口温度の上昇に
伴い、燃焼ガスの高温領域が広がっている。
【0005】このような高温化の実現に関しては、高温
強度に優れたNi系やCo系耐熱合金の進歩、およびこ
れらの耐熱合金を制限温度以下に保つための冷却技術の
開発が貢献してきている。
【0006】例えばタービン入口温度1400℃級の産
業用ガスタービンでは、タービン段落数が3段とする
と、初段落の入口温度が1400℃、第2段の入口温度
が1000℃を越えている。したがって図17に示すよ
うに、第1段落に位置するガスタービンの動翼6の先端
外周の静止部でも、主流ガス温度が金属材料の耐熱温度
をはるかに上回るので、強制的に冷却するようにしてい
る。
【0007】このような強制的な冷却が適用される重要
な部材として、ガスタービンの燃焼ガスaが流れる主流
ガス通路3aの静止部に相当する動翼6の先端外周静止
部を防熱する防熱構造体7が挙げられる。防熱構造体7
の役割は、ケーシング8側と高温の主流ガス通路3a側
との遮熱を行い、これにより主流ガスaが直接ケーシン
グ8に当たることを防止し、熱的強度の低下や酸化を防
止することにある。
【0008】図18は、このような防熱構造体を高耐熱
金属によって構成した従来例について、軸方向断面とし
て拡大して示したものであり、図19は同部位を軸直角
方向断面として示したものである。
【0009】これらの図に示すように、防熱構造体7は
主流ガス通路3aとケーシング8との間に支持体9を介
して支持されており、防熱構造体7の支持として、熱変
形分の間隙を設けたフック形状部10、11による嵌合
構造が採用されている。つまり、防熱構造体7には主流
ガス通路3aの上下流側の両端部にそれぞれフック形状
部10、11が形成されており、これらのフック形状部
10、11が支持体9の主流ガス通路3a側端部に掛止
されている。
【0010】また、防熱構造体7を効率よく冷却するた
めに、高冷却効率のインピンジメント冷却が採用され、
金属平均温度が約800℃を保持する条件で冷却されて
いる。これにより、防熱構造体7が耐熱合金であって、
ここに大きな温度勾配が生じても、熱変形が吸収できる
ようになっている。
【0011】即ち、図18および図19に示すように、
通気孔12,13によって形成される冷却空気bの流路
の最終位置、つまり防熱構造体7の直前位置に、インピ
ンジメント冷却板14が配置されている。このインピン
ジメント冷却板14には多数の孔16が穿設されてお
り、冷却空気bはインピンジメント冷却板14の孔16
を通過して防熱構造体7に衝突し、この衝突流によって
防熱構造体7の強制冷却を効率良く行うようになってい
る。
【0012】また、主流ガスaよりも防熱構造体7の冷
却空気供給室の圧力が容易に高められるように、その周
方向の隣接面では、シール板17によって隣接部と嵌合
し、冷却空気の気密性を保持している。冷却空気bは、
圧縮機吐出を源にして、第1段静翼5の外環側の空間、
防熱構造体の支持体9、インピンジメント冷却板14の
孔16、そして最後に防熱構造体7に明けられた孔18
またはシール板17の嵌合部間隙を通過し、主流ガス通
路3aに放出されるものである。
【0013】ここで、冷却空気bの燃焼ガス(主流ガ
ス)aに対する作用を考察すると、次の2点でガスター
ビンの性能と深く関わつている。
【0014】第1に、防熱構造体7から冷却空気bが主
流ガスa側に放出されて混合する時に、冷却空気bが吹
き出される速度に対して、主流ガスaの流速がはるかに
大きいため、冷却空気bは主に動翼6の先端部で回転軸
の中心方向に向いていたものが、ロータ軸流の下流方向
に防熱構造体7の表面近傍で流れの方向が変えられる。
この部位には動翼6と防熱構造体7の間隙があるだけな
ので、動翼6で仕事をしないで下流段落に流れて行くこ
とになる。
【0015】第2に、防熱構造体7から主流ガス側に吹
き出される冷却空気bの方向は、主流ガスaに対して平
行でないため、混入時に主流ガスaに損失を及ぼすこと
になる。
【0016】図20は、以上の2点の評価として、防熱
構造体7に供給される冷却空気bの流量減少分に対する
ガスタービンの性能の関係を調べた結果を示している。
この図20では、縦軸にガスタービン効率の向上比率
(%)を示し、横軸に被冠構造物への冷却空気供給量減
少比率(%)を示しており、同図の特性線Qにより、冷
却空気流量を減らすと、ガスタービンの性能は顕著に向
上することがわかる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した耐
熱金属製の防熱構造体7においては、要求される材料強
度を確保するために冷却空気bが不可欠であり、必要と
される冷却空気流量を下回ると、防熱構造体7および構
造体支持体9の高温化が生じて材料強度上に支障をきた
す。このため、冷却空気を大量に供給せざるを得ない点
で、ガスタービンの性能が制約を受けるという問題を残
している。
【0018】そこで近年、金属に比較して極めて高い耐
熱特性を有するセラミックスを利用して、防熱構造体7
を構成することが提案されている。特に発明者等におい
ては、防熱構造体を、セラミックスのマトリックスにセ
ラミックスの長繊維を複合させたセラミックス基長繊維
複合材料によって形成する技術を開発している。
【0019】本発明はこのような開発の結果なされたも
のであり、従来の金属材料の防熱構造体を適用する場合
に比較して、冷却空気の供給量をより大幅に減少させる
ことができ、それによりガスタービン効率の向上が図れ
るとともに、防熱構造体およびその周辺構造部等につい
ての強度向上も図れ、高信頼性が得られるガスタービン
を提供することを目的としている。
【0020】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、請求項1の発明は、燃焼ガスが流れる主流ガス通
路側から、その外周側を覆うケーシング側に対する遮熱
を行うため、前記主流ガス通路の外周部位に板状の防熱
構造体を設けたガスタービンにおいて、前記防熱構造体
を、セラミックスのマトリックスにセラミックスの長繊
維を複合させたセラミックス基長繊維複合材料によって
形成し、この複合材料となるセラミックスの長繊維を前
記防熱構造体の肉厚方向に積層させるとともに、前記セ
ラミックスの長繊維の切断面を前記防熱構造体の肉厚端
面または内部に配置することにより、前記セラミックス
の長繊維の切断面を直接燃焼ガスに晒されない繊維配向
としたことを特徴とする。
【0021】本発明によれば、高耐熱素材であるセラミ
ックスのマトリックスおよびセラミックスの長繊維から
成るセラミックス基長繊維複合材料を、ガスタービン静
止部の防熱構造体の肉厚方向に積層させて適用させた構
成となっている。例えばガスタービン動翼の先端外周静
止部に、防熱構造体として高温強度および耐酸化性に優
れたセラミックス基長繊維複合材料を適用すると、従来
の金属製の防熱構造体の冷却に必要とされていた圧縮機
吐出からの冷却空気流量を約4割以下まで削減すること
ができ、これによりガスタービン熱効率の向上が図られ
る。また、セラミックス基長繊維複合材料は高靭性材料
であり、異物の衝突または応力が原因で割れが発生して
も、セラミックスの長繊維が割れの進展を止める働きを
するので、セラミックスの長繊維を含まないモノリシッ
クセラミック材料で頻繁に生じるような構造体の分割破
壊等はほとんど発生せず、構造体として信頼性の向上が
確保される。
【0022】また本発明においては、セラミックスの長
繊維を防熱構造体の肉厚方向に積層し、この積層材料で
特に強度上弱いとされる長繊維の切断面を防熱構造体の
肉厚端面または防熱構造体の内部に現れる配向構造にし
ている。防熱構造体の肉厚端面では、ここが主流ガス面
に晒されないように冷却空気を表面に流すか、金属部と
の取り合い構造にしている。よって仮に肉厚端面に割れ
が生じても、この部位から主流ガスがセラミックス基繊
維複合材料の内部に進入してくることはなく、耐酸化性
の向上が図れるものとなる。
【0023】請求項2の発明は、請求項1記載のガスタ
ービンにおいて、防熱構造体はガスタービンロータの軸
心周りで複数に分割され、全体で環状構造を成すことを
特徴とする。
【0024】本発明によると、分割構造体の基準長さが
小さくできるため、防熱構造体が高温になって熱変形が
出る場合に、個々の防熱構造体の熱変形量を抑制するこ
とができる。よって防熱構造体を支持する支持体との嵌
合部の間隙を小さくできるため、その間隙部からの漏洩
空気を減少させることができる。
【0025】請求項3の発明は、請求項2記載のガスタ
ービンにおいて、防熱構造体はその分割面両端の肉厚方
向に段差部を有し、かつ組立ての際に互いに隣接する防
熱構造体の各段差部間に間隙を形成したことを特徴とす
る。
【0026】本発明によれば、防熱構造体の分割面の両
端が肉厚方向に段差を成し、組立の際に互いに隣接する
防熱構造体の各段差間に間隙を形成したことにより、そ
の間隙を微小に設定することで、この間隙から流出する
シール空気の流速を高めることができる。したがって、
冷却空気側の圧力を高められることになり、主流ガスか
ら高温ガスの混入を妨げられるため、防熱構造体の冷却
空気流量を減少することができる。
【0027】請求項4の発明は、請求項2または3記載
のガスタービンにおいて、防熱構造体は、ケーシングに
嵌合された支持体に対し、前記防熱構造体に設けられた
フックを介して支持されていることを特徴とする。
【0028】本発明によれば、防熱構造体がケーシング
に直接支持されるのでなく、冷却空気流路の確保及び防
熱構造体を支持する目的で設けられる金属製等の支持体
に保持される。防熱構造体のフックの向きについては、
支持体の外側に向ける構造、その逆に内側に向ける構造
等、様々な組み合わせが可能である。防熱構造体のフッ
クの向きを支持体の内側に向けた場合には、防熱構造体
の主流ガス接触表面を軸方向で増大させることができ
る。その結果、タービン軸方向で隣接する静翼の環状部
の壁面を取り除くことができる。静翼が金属の空気冷却
翼の場合、金属の防熱構造体と同等の冷却空気がここに
供給されているのでその分の冷却空気流量を減少でき
る。
【0029】請求項5の発明は、請求項2から4までの
いずれかに記載のガスタービンにおいて、防熱構造体
は、その上流側および下流側の静翼の環状部に対し、前
記防熱構造体に設けられたフックを介して支持されてい
ることを特徴とする。
【0030】本発明によれば、防熱構造体の支持がその
上流側および下流側の静翼の環状部で行われるので、支
持体の上流側冷却空気の吹き出し流および下流側冷却空
気の吹き出し流を、防熱構造体のシール空気流に合流さ
せることで、本シール部の圧力を高め、主流ガスが混入
しにくくなる構造とすることができる。
【0031】請求項6の発明は、請求項1から5までの
いずれかに記載のガスタービンにおいて、防熱構造体の
ケーシング側に遮熱用の薄板を配設したことを特徴とす
る。
【0032】本発明によれば、ガスタービン動翼の先端
外周静止部へ供給される冷却空気の減少に伴い、防熱構
造体が高温になる場合、その外周側に遮熱板を設けるこ
とにより金属製の支持体等への輻射による伝熱を防止す
ることが可能となる。これにより、金属製の支持体等の
高温化が防止されるので、材料強度ランクの低い材料を
支持体に適用できる等の利点が得られるようになる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るガスタービン
の実施形態について、図1〜図16を参照して説明す
る。なお、ガスタービンの全体構成等、従来と同様の部
分については図17〜図20と同一の符号を使用し、重
複する説明は省略する。
【0034】第1実施形態(図1〜図6) 図1は、本発明の第1実施形態による防熱構造体の構成
を示す説明図であり、図2は図1に示す防熱構造体を使
用したガスタービン動翼の先端外周静止部の組立構成を
示す周方向断面図である。
【0035】図1に示すように、本実施形態の防熱構造
体7はセラミックス基長繊維複合材料によって構成され
ており、ガスタービン動翼6の外周側を覆っている。こ
の防熱構造体7は、主流ガスaの流れ方向の上下流側の
各端部に、上流側フック21および下流側フック22を
それぞれ有している。そして、防熱構造体7はこれらの
フック21、22を介し、金属製の支持体9に嵌合支持
されている。なお、防熱構造体7の上流側フック21に
は、周方向にずれないように回り止めピン23が入る切
り欠き溝24が形成されている。
【0036】図3は、図1のA−A断面を示し、図4は
図1のB−B断面を示している。これらの図3および図
4に示すように、本実施形態の防熱構造体7はセラミッ
クスの長繊維28aと、それと異なる方向のセラミック
スの長繊維28bとを、厚さ方向に交差させて重合し、
それにより積層構造物として構成されている。
【0037】図5は、図4のC部を詳細に示したもので
ある。この図5に示すように、セラミックスの長繊維2
8aとセラミックスの長繊維28bとの間には、含浸さ
れたセラミックスのマトリックス29が充填されてい
る。すなわち、セラミックスの一方の長繊維28aは図
3の断面で連続し、他方のセラミックスの長繊維28b
は図4の断面内で連続している。図5では、防熱構造体
7の肉厚端面30に現れるセラミックスの長繊維の切断
面28dが現れている。また、防熱構造体7の内部に現
れるセラミックスの長繊維の切断面28eも現れてい
る。防熱構造体7の内部に現れるセラミックスの長繊維
の折り返し部は、28cで示している。
【0038】また、図4に示した間隙δ1は、防熱構造
体7の周方向の間隙である。防熱構造体7はガスタービ
ンの起動前の室温状態から出力が定格の状態になると、
高温になって熱伸びが生じるので、隣接面が互いに当た
らないように間隙δ1が設けられている。防熱構造体7
の上流側と下流側とは、上流側フック21および下流側
フック22によりそれぞれ防熱構造体7の支持体9に接
触して嵌合支持されているので、ここでの間隙はほとん
ど無い。
【0039】次に作用を説明する。冷却空気bは図2に
示すように、冷却空気通路12を通過後、3つに分岐さ
れる。一つは上流側冷却空気吹き出し流25であり、二
つめは下流側冷却空気吹き出し流26であり、残りは冷
却空気通路27を通過して防熱構造体7に供給される流
れである。
【0040】図4に示すように、防熱構造体7に供給さ
れる冷却空気bは、その大部分が間隙δ1を通って主流
ガスaに流出される。このような防熱構造体7では、セ
ラミックスの長繊維28a、28bの切断面28dの表
面に低温の冷却空気bが流れているため、主流ガスaが
直接当たることは無くなる。セラミックスの長繊維の積
層構造は積層間の剥離強度が小さい特徴があるが、仮に
上記の防熱構造体7の端面30が割れても、ここからセ
ラミックス基長繊維複合材料の内部に高温の主流ガスが
直接進入することはないため、高温酸化されることはな
い。
【0041】図6は、ガスタービン動翼の先端外周静止
部での組立状況を、ガスタービンロータ1の周方向矢視
から見た図である。ガスタービン動翼の先端外周静止部
の防熱構造体7の外周側一周全体を覆う薄板30が設け
られ、この薄板30が防熱構造体の支持体9に設けられ
た溝32に嵌合されている。薄板30には冷却空気bを
流す為の冷却空気通過孔31が設けられている。この薄
板30は防熱構造体7が高温になり、ここから防熱構造
体7の支持体9への輻射を遮断する。
【0042】例えばタービン入口温度が1300℃級の
ガスタービンの場合、防熱構造体7への冷却空気を空気
冷却方式の金属製の防熱構造体7の半分に減少させる
と、防熱構造体7の温度は1200℃強になる。ここで
薄板30が無い場合の防熱構造体の支持体9の内環33
の温度は約900℃になるが、薄板30が有る場合の本
支持体9の内環33の温度は約540℃に低下すること
が伝熱計算より算出され、遮熱効果があることが判明し
ている。
【0043】第2実施形態(図7〜図12) 図7は本発明の第2実施形態を説明するための防熱構造
体7の構成を示す斜視図であり、図8はその防熱構造体
7を使用したガスタービン動翼先端外周静止部の組立構
成を示す図である。
【0044】防熱構造体7は、セラミックス基長繊維複
合材料によって構成され、ガスタービン動翼6の外周側
を覆っている。そして図7および図8に示すように、防
熱構造体7の両端部に主流ガスの流れ方向に沿う上流側
フック21と下流側フック22とが設けられ、これらの
フック21、22を介して防熱構造体7が金属製の支持
体9に嵌合支持されている。上流側フック21には、周
方向にずれないように回り止めピン23が入る切り欠き
溝24が設けられている。
【0045】図9は図7におけるA1−A1断面を示し
ており、図10は図7のB1−B1断面を示している。
図11は図10のD矢視図であり、防熱構造体7の組立
時の状態を示している。これらの図に示すように、防熱
構造体7はセラミックスの長繊維28aとそれと異なる
方向のセラミックスの長繊維28bとを厚さ方向に重ね
て構成され、これにより積層構造物として成り立ってい
る。
【0046】図10に示すように、本実施形態において
もセラミックスの長繊維の切断面は防熱構造体7の肉厚
端面または防熱構造体7の内部に現れる構造となってい
る。そして、防熱構造体7は一方の周方向端部34は反
対側の周方向端部35と肉厚方向(タービンの半径方
向)に段差を有した構造であり、これにより組立時に半
径向で間隙δ2を設けることができるようになってい
る。
【0047】この半径方向の間隙δ2は、前記第1実施
形態の図4で示した周方向の防熱構造体7の切り欠き2
4を支点として考慮される間隙δ1とは異なっている。
すなわち、間隙δ2は上流側フック21と下流側フック
22を支点とした熱伸び差および加工公差を考慮して設
定されるもので、熱伸びの基準となる長さが最も短いの
で、間隙δ2は間隙δ1に対して遥かに小さくできる。
【0048】本実施形態においても、冷却空気bは図8
の冷却空気通路12を通過後、3つに分岐される。一つ
は上流側冷却空気吹き出し流25であり、二つめは下流
側冷却空気吹き出し流26であり、残りは冷却空気通路
27を通過して防熱構造体7に供給される流れである。
【0049】図2の説明と同様に、冷却空気bの吹き出
し流の大部分は防熱構造体7の半径方向の間隙δ2から
主流ガスに出ていくことになるが、本実施形態の間隙δ
2は、間隙δ1より小さくできるので、防熱構造体7の
冷却空気b側の圧力が上がるため、主流ガスaは容易に
混入しにくい利点を有する。
【0050】以上のような防熱構造体7ではセラミック
ス基長繊維28a、28bの切断面の表面には低温の冷
却空気bが流れているため主流ガスaが直接当たること
は無く、上記と同様に高温酸化は防止できる。
【0051】図12はガスタービン動翼の先端外周静止
部での組立状況を、ガスタービンロータ1の周方向から
見た状態で示す図である。同図の例では、ガスタービン
動翼の先端外周静止部の防熱構造体7の外周側一周全体
を覆う薄板30が設けられている。この薄板30は、防
熱構造体の支持体9に設けられた溝32に嵌合され、こ
の薄板30には冷却空気bを流す為の冷却空気通過孔3
1が設けられている。そして、薄板30は防熱構造体7
が高温になった場合、ここから構造体支持体9への輻射
を遮断することができる。
【0052】第3実施形態(図13) 図13はガスタービン動翼の先端外周静止部構造の組立
状況を示し、ガスタービンロータ1の周方向矢視図であ
る。
【0053】防熱構造体7の上流側フック21と下流側
フック22とは、その上流側と下流側の静翼の一部であ
る外環壁面に設けられた段差36、37に嵌合して、保
持される。冷却空気の低減および遮熱効果は、前記実施
例と同様である。この構造では、上流側冷却空気吹き出
し流25および下流側冷却空気吹き出し流26が、直接
に主流ガスaに放出されず、防熱構造体7のシール空気
として合流されるようになっている。したがって、本実
施形態ではシール部の圧力を高めることができ、その結
果主流ガスaが混入しにくい利点を有するものとなる。
【0054】第4実施形態(図14〜図16) 図14はガスタービン動翼の先端外周静止部での組立状
況をガスタービンロータ1の周方向矢視図である。本実
施形態では、防熱構造体7に、主流ガスの上流側では下
流方向に伸びた上流側フック21が設けられ、また下流
側では上流方向に伸びた下流側フック22が設けられて
いる。そして、これらのフック21、22を介して防熱
構造体7が防熱構造体の支持体9に嵌合支持されてい
る。
【0055】このような構成の図14に示した防熱構造
体7のB2−B2断面を図15に示している。また、図
15のA2−A2断面を図16に示している。
【0056】これらの各断面図に示すように、セラミッ
クスの長繊維28a、28bの積層方法およびセラミッ
クスのマトリックス29の充填要領は前述と同様であ
る。このような構造においても、半径方向の間隙δ2
は、図15に示すように形成することができる。また、
図16で示すように、防熱構造体7のフック21、22
の方向が内側に向けられている。その結果、図14の組
み立て状態で判るように、防熱構造体7の軸方向の全長
で主流ガスを覆うことができる。
【0057】即ち、静翼5側の主流ガスに晒されている
外環壁面部を小さくすることができる。そもそも静翼5
の外環壁面部も、空気冷却されている訳であるから、本
部位を少量の冷却空気流量でまかなえる防熱構造体7に
置き換えることになる。その結果、ガスタービン全体で
は冷却空気を低減させることになり、ガスタービンの性
能の向上が一層見込まれることになる。
【0058】以上の各実施形態によれば、信頼性が確保
できるセラミックス基長繊維複合材料を防熱構造体へ適
用し、周辺の構造体および組立構造とすることで、冷却
空気を安全に低減でき、かも高性能なガスタービンを提
供できるようになる。
【0059】また、防熱構造体が高温になっても、ここ
からの輻射で外環側の防熱構造体の支持体が高温になら
ないようにし、冷却空気の減少によりガスタービン性能
の向上を図ることができる。
【0060】ガスタービンの燃焼ガスが流れる主流ガス
通路の静止部にセラミックス基長繊維複合材料を適用
し、セラミックスの長繊維を積層配向にして防熱構造体
をなすと共に、セラミックスの長繊維の切断面は防熱構
造体の冷却空気側の肉厚端面に露出するか、または防熱
構造体の内部に現れるものとし、これにより主流ガス部
に晒されない配向構造とすることができる。さらに耐熱
強度に優れるセラミックス基複合材料を適用することに
より、冷却空気を減少させ、ガスタービン効率の向上を
図るとともに、防熱構造体が高温になってもここからの
輻射で外環側の防熱構造体の支持体が高温にならないよ
うにし、防熱構造体の支持方法において種々の提案を行
い、冷却空気の減少によりガスタービン性能の向上を図
ることができる。
【0061】
【発明の効果】以上の様に、本発明に係るガスタービン
によれば、防熱構造体の材料にセラミックス基長繊維複
合材料を使用することで、冷却空気流量の低減による高
効率化が可能になると同時に、セラミックスの長繊維の
複合効果によりモノリシックセラミックとは異なり、割
れに対する損傷に関して信頼性の向上が確保できる。
【0062】また、防熱構造体の周方向隣接部で半径方
向に微小な間隙のシール構造の設定を行い、セラミック
ス長繊維の配向においても繊維断面を主流ガスに晒され
ない構造にすることができる。さらに防熱構造体の外周
側に遮熱効果のある薄板を設けるとともに、防熱構造体
のフックの向き変化によって冷却空気流量を低減させる
こと等により、ガスタービンの性能向上を図ることがで
きる等の多大な効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るガスタービンの第1実施形態を示
すもので、防熱構造体を示す斜視図。
【図2】図1に示した防熱構造体をケーシングの動翼先
端外周の静止部に取付けた状態を示す断面図。
【図3】図1のA−A断面図。
【図4】図1のB−B断面図。
【図5】図4C部の詳細図。
【図6】図2の変形例で、防熱構造体の外周側に薄板を
配置した構成を示す断面図。
【図7】本発明に係るガスタービンの第2実施形態を示
すもので、防熱構造体を示す斜視図。
【図8】図7に示した防熱構造体をケーシングの動翼先
端外周の静止部に取付けた状態を示す断面図。
【図9】図7のA1−A1断面図。
【図10】図7のB1−B1断面図。
【図11】図10のD矢視図で、防熱構造体の組立時状
況を示す図。
【図12】図8の変形例で、防熱構造体の外周側に薄板
を配置した構成を示す断面図。
【図13】本発明の第3実施形態を示す断面図。
【図14】本発明の第4実施形態を示す断面図。
【図15】図14のB2−B2断面図。
【図16】図15のA2−A2断面図。
【図17】ガスタービン全体の主構成要素を示す断面
図。
【図18】従来の金属製防熱構造体を示す断面図。
【図19】図18のF−F断面図。
【図20】防熱構造体に供給される冷却空気に対するガ
スタービンの性能の関係を示す特性図。
【符号の説明】
1 タービン部 2 圧縮機 3 燃焼器 3a 主流ガス通路 4 トランジションピース 5 静翼 6 動翼 7 防熱構造体 8 ケーシング 9 支持体 10,11 フック形状部 12,13 通気孔 14 インピンジメント冷却板 16 孔 17 シール板 18 孔 21 上流側フック 22 下流側フック 23 回り止めピン 24 切り欠き溝 25 上流側冷却空気吹き出し流 26 下流側冷却空気吹き出し流 27 冷却空気通路 28a,28b 長繊維 28c 折り返し部 28d,28e 切断面 29 マトリックス 30 肉厚端面 31 冷却空気通過孔 32 溝 33 内環 34 周方向端部 35 周方向端部 36,37 段差
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F02C 7/24 F02C 7/24 7/28 7/28 A

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃焼ガスが流れる主流ガス通路側から、
    その外周側を覆うケーシング側に対する遮熱を行うた
    め、前記主流ガス通路の外周部位に板状の防熱構造体を
    設けたガスタービンにおいて、前記防熱構造体を、セラ
    ミックスのマトリックスにセラミックスの長繊維を複合
    させたセラミックス基長繊維複合材料によって形成し、
    この複合材料となるセラミックスの長繊維を前記防熱構
    造体の肉厚方向に積層させるとともに、前記セラミック
    スの長繊維の切断面を前記防熱構造体の肉厚端面または
    内部に配置することにより、前記セラミックスの長繊維
    の切断面を直接燃焼ガスに晒されない繊維配向としたこ
    とを特徴とするガスタービン。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のガスタービンにおいて、
    防熱構造体はガスタービンロータの軸心周りで複数に分
    割され、全体で環状構造を成すことを特徴とするガスタ
    ービン。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のガスタービンにおいて、
    防熱構造体はその分割面両端の肉厚方向に段差部を有
    し、かつ組立ての際に互いに隣接する防熱構造体の各段
    差部間に間隙を形成したことを特徴とするガスタービ
    ン。
  4. 【請求項4】 請求項2または3記載のガスタービンに
    おいて、防熱構造体は、ケーシングに嵌合された支持体
    に対し、前記防熱構造体に設けられたフックを介して支
    持されていることを特徴とするガスタービン。
  5. 【請求項5】 請求項2から4までのいずれかに記載の
    ガスタービンにおいて、防熱構造体は、その上流側およ
    び下流側の静翼の環状部に対し、前記防熱構造体に設け
    られたフックを介して支持されていることを特徴とする
    ガスタービン。
  6. 【請求項6】 請求項1から5までのいずれかに記載の
    ガスタービンにおいて、防熱構造体のケーシング側に遮
    熱用の薄板を配設したことを特徴とするガスタービン。
JP14063397A 1997-05-29 1997-05-29 ガスタービン Pending JPH10331602A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14063397A JPH10331602A (ja) 1997-05-29 1997-05-29 ガスタービン

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14063397A JPH10331602A (ja) 1997-05-29 1997-05-29 ガスタービン

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10331602A true JPH10331602A (ja) 1998-12-15

Family

ID=15273234

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14063397A Pending JPH10331602A (ja) 1997-05-29 1997-05-29 ガスタービン

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10331602A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002213207A (ja) * 2001-01-15 2002-07-31 Mitsubishi Heavy Ind Ltd ガスタービン分割環
JP2004003477A (ja) * 2002-05-15 2004-01-08 General Electric Co <Ge> セラミック製タービンシュラウド
JP2007085346A (ja) * 2005-09-23 2007-04-05 Snecma ガスタービン内の間隔調整装置
JP2008138659A (ja) * 2006-11-30 2008-06-19 General Electric Co <Ge> 一体形タービンノズル及びシュラウド組立体を冷却するための方法及びシステム
JP2009156261A (ja) * 2007-12-27 2009-07-16 General Electric Co <Ge> マルチソース型ガスタービン冷却
JP2011241805A (ja) * 2010-05-21 2011-12-01 Mitsubishi Heavy Ind Ltd タービン分割環、これを備えたガスタービンおよびこれを備えた発電プラント
GB2484188A (en) * 2010-09-30 2012-04-04 Gen Electric Low ductility open channel turbine shroud
JP2013194737A (ja) * 2012-03-20 2013-09-30 General Electric Co <Ge> 熱分離装置
JP2015227661A (ja) * 2014-06-02 2015-12-17 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ タービン構成要素

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002213207A (ja) * 2001-01-15 2002-07-31 Mitsubishi Heavy Ind Ltd ガスタービン分割環
JP2004003477A (ja) * 2002-05-15 2004-01-08 General Electric Co <Ge> セラミック製タービンシュラウド
JP2007085346A (ja) * 2005-09-23 2007-04-05 Snecma ガスタービン内の間隔調整装置
JP2008138659A (ja) * 2006-11-30 2008-06-19 General Electric Co <Ge> 一体形タービンノズル及びシュラウド組立体を冷却するための方法及びシステム
JP2009156261A (ja) * 2007-12-27 2009-07-16 General Electric Co <Ge> マルチソース型ガスタービン冷却
JP2011241805A (ja) * 2010-05-21 2011-12-01 Mitsubishi Heavy Ind Ltd タービン分割環、これを備えたガスタービンおよびこれを備えた発電プラント
GB2484188A (en) * 2010-09-30 2012-04-04 Gen Electric Low ductility open channel turbine shroud
JP2012077743A (ja) * 2010-09-30 2012-04-19 General Electric Co <Ge> 低延性の開チャネル型タービンシュラウド
US8905709B2 (en) 2010-09-30 2014-12-09 General Electric Company Low-ductility open channel turbine shroud
GB2484188B (en) * 2010-09-30 2017-05-10 Gen Electric Low-ductility open channel turbine shroud
JP2013194737A (ja) * 2012-03-20 2013-09-30 General Electric Co <Ge> 熱分離装置
JP2015227661A (ja) * 2014-06-02 2015-12-17 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ タービン構成要素

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5947524B2 (ja) ターボ機械静翼、及びターボ機械静翼を冷却する方法
US7775768B2 (en) Turbine component with axially spaced radially flowing microcircuit cooling channels
JP4641916B2 (ja) 隅部が冷却されるタービンノズル
US7600973B2 (en) Blades for gas turbine engines
JP4856306B2 (ja) ガスタービンエンジンの流れ通路の静止構成要素
US6902371B2 (en) Internal low pressure turbine case cooling
JP4698847B2 (ja) ガスタービン分割環
US7798775B2 (en) Cantilevered nozzle with crowned flange to improve outer band low cycle fatigue
US8092163B2 (en) Turbine stator mount
JP5156362B2 (ja) 弓形要素を支持するための冠状レール
US8172522B2 (en) Method and system for supporting stator components
JP2002540336A (ja) 流体機械の案内羽根及び案内羽根リング
CN110199090B (zh) 用于旋转涡轮框架的隔热结构
US20120076660A1 (en) Conduction pedestals for a gas turbine engine airfoil
US20100111670A1 (en) Shroud hanger with diffused cooling passage
JP6329657B2 (ja) タービンシュラウドの密封冷却
CA2660179A1 (en) A system and method for supporting stator components
JPH10331602A (ja) ガスタービン
US20170268345A1 (en) Radial cmc wall thickness variation for stress response
US5706647A (en) Airfoil structure
JPS58182034A (ja) ガスタ−ビン燃焼器尾筒
EP2948634A1 (en) Gas turbine engine component with angled aperture impingement
JP2006506575A (ja) ガスタービン用のシュラウド冷却組立体
JPH1113410A (ja) 薄膜冷却スロットを備えたタービンブレードの外部エアシール
JPS6027816B2 (ja) 燃焼タ−ビンの中間ダクト