JPH10331327A - 構造材及びその接合方法 - Google Patents

構造材及びその接合方法

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JPH10331327A
JPH10331327A JP14191897A JP14191897A JPH10331327A JP H10331327 A JPH10331327 A JP H10331327A JP 14191897 A JP14191897 A JP 14191897A JP 14191897 A JP14191897 A JP 14191897A JP H10331327 A JPH10331327 A JP H10331327A
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structural
structural material
joining
bag
filler
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Takeshige Shimonohara
武茂 下ノ原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 技能労働者でなくてもコンクリート製品等の
梁と梁、梁と柱などの接合が簡単にでき、さらには格調
の高い建造物も可能とした構造材を提供し、併せてその
接合方法も提供する。 【解決手段】 コンクリート又はこれに類する素材で作
製された中空管からなり、その内面に凹凸を設けると共
に排気路3を設けてなる2本の構造材11,12を向か
い合わせた後、その構造材11,12の中空部に充填材
Aを注入して固化させることで構造材の接合を行う。構
造材11,12の中空部には必要に応じて補強材15を
入れる。また、仕口材を介して2本以上の構造材を接合
することも可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建造物の柱や梁を
構成する構造材に係り、詳しくはコンクリート、セラミ
ックス、樹脂、鉄管やこれに類する素材からなる構造材
を接合する技術分野に関するものである。この構造材の
用途としては、一般の建築物を始めとして、橋梁、土留
構造物、杭、電柱等の構造材が挙げられる。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】一般に土木、建築の分
野における建造物は、主に木材、鉄筋コンクリート、鉄
骨等の材料で作られているが、築造に際しては現場での
手作業によるところが少なくない。特に、梁と梁、梁と
柱のような接合箇所は構造が複雑であり、また最も応力
が作用することから、充分な品質で仕上げようとすると
どうしても手作業が多くなる。中でも現場打ちコンクリ
ートの場合、この接合箇所の施工に際しては人手と技能
労働者を必要とする。しかしながら、最近では人手不足
と技能労働者の高齢化、さらには安価に仕上げるコスト
意識が原因して、粗雑に施工された建造物が多く見られ
る。一方、1995年1月の阪神大震災で報じられてい
るように、一昔前に作られた建物は当時は充分な技能労
働者がいたにもかかわらず、例えば神戸市では3〜4割
の建造物が施工ミスが一因で崩壊している。しかして、
現在作られている建造物は、その当時のレベル以下の技
能労働者によって作られているので質の低下は明らかで
ある。
【0003】また、上記のような質の低下に加え、最近
では建造物自体のデザインが簡素化されている。このた
め、中世のヨーロッパ建築に見られるような格調の高い
建造物が見られず、都市空間が殺風景になってきてい
る。このように建造物のデザインがよくないと、人々の
心に潤いと安らぎがなくなり、文化レベルが低下し、都
市の荒廃化が進むことは否めない。
【0004】本発明の目的とするところは、技能労働者
でなくてもコンクリート製等の梁と梁、梁と柱などの接
合が簡単にでき、さらには格調の高い建造物も可能とし
た構造材を提供し、併せてその接合方法をも提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る構造材は、柱や梁などの部材に使用す
る構造材であって、コンクリート又はこれに類する素材
で作製された中空管からなり、その内面に凹凸を設ける
と共に排気路を設けたことを特徴としている。そして、
内面の凹凸がらせん状に形成されていてもよく、さらに
は内面に中型枠が埋殺されてなる形態であってもよい。
また、外面に付帯物を取り付けるための取付け部分が設
けられたりデザイン上の凹凸が設けられていてもよい。
さらには、複数の中空管が束ねた状態に一体化されてい
るものや中空管の一部又は全部が切り欠かれた形態の構
造材を使用してもよい。また、内面に補強板が付設され
ていてもよい。さらに、構造材の表面に化粧材又は構造
用補強材を一部分又は全面に使用することもある。ま
た、中空管の凹凸部分に排気孔を設けた構成にしてもよ
い。
【0006】上記の構造材とは異なるが、例えば内面に
凹凸のみのある中空管の場合、これを使用して柱や梁な
どとして組積みし、その中に充填材を充填すると、中空
管の内面の凹凸形状によっては、その中空管の内面の凹
凸部分に空気が溜まり、充填材が凹凸部分の中に入り込
めなくなり、その部分が空洞になることがある。したが
って、梁と梁、柱と梁の接合が不十分となり、その部分
に応力が作用した場合に破壊することが考えられる。本
発明ではこのような事態を防ぐため、中空管の内面に凹
凸を設けると共に排気路を設けるようにしたものであ
る。
【0007】本発明に係る接合方法は、前記の如き構成
の構造材を接合する方法であって、2本以上の前記構造
材の端部を向かい合わせた後、構造材の接合すべき中空
部に充填材を注入して固化させることを特徴とする。ま
たは、端部付近に蓋部材を固定状態で取り付け、この蓋
部材を取り付けた少なくとも2本以上の前記構造材の端
部を向かい合わせた後、蓋部材で区画される空間内に充
填材を注入して固化させることで前記構造材同士の接合
を行うことを特徴とする。後者の接合方法では、周囲に
弾性体を取り付けた構成の蓋材を使用するとよい。
【0008】また、本発明に係る別の接合方法は、前記
の如き構成の構造材を接合する方法であって、一方の構
造材の接合すべき端部付近に袋体を取り付けておき、こ
の構造材と他方の構造材の端部を向かい合わせた後、袋
体に充填材を注入して膨張させることにより前記構造材
同士の接合を行うことを特徴とする。また、この袋体の
設置の仕方として補強材の他方端又は蓋部材に袋体を固
着したり、膨張する袋体の先端を所定の位置で止めるた
めに蓋部材、補強材又は拘束材を介して袋体の延びを拘
束するのが好ましい。また、袋体の他方端に仕口枠を設
けるようにしてもよい。また、仕口材と接合すべき構造
材を接合する場合、この構造材と仕口材を突き合わせた
後、前記の接合方法のいずれかを利用して、充填材を充
填して接合するようにすればよい。また、中空管内面の
凹凸部分に排気路とこれに繋がる排気孔を設けてなる構
造材を使用し、構造材の中に充填材を注入する際に、構
造材内部の空気を排気路より排気孔を介して排気するの
が好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係る構造材の一例
を示す斜視図である。この構造材1は、コンクリート又
はこれに類する材料(セラミックス、樹脂、鉄管等)で
作製された中空管からなり、図示の如くその内面に凹凸
2が設けられている。この構造材1は工場にて次のよう
して製造する。すなわち、伸び縮みするゴム製の中型枠
を型枠の中に設置し、空気孔から空気を入れて膨張させ
た状態とし、構造材1の表面形状に対応する外型枠を中
型枠の外側に間隔を置いて設置した後、両型枠の間にコ
ンクリートを流し込み、そのコンクリートが硬化した後
で、空気を抜いて中型枠を抜き取るとともに外型枠を脱
型する。これにより、中型枠のひだに対応した形状の凹
凸2を内面に有する構造材1が作製される。なお、コン
クリートを流し込む際に、鉄筋、非鉄金属、有機質又は
無機質の繊維(例えば、ナイロン、アラミド、ガラス、
炭素等の繊維)を入れて構造材1を補強するのが好まし
い。また、構造材1の外側面には使用目的に応じてデザ
イン上の凹凸を施すようにしてもよい。
【0010】図2は図1の構造材1を斜め下方から見た
状態で示す一部破断斜視図であり、同図から分かるよう
に、この構造材1にはその頂部に凹凸を切除した形状で
一本の排気路3が設けられている。この排気路3の数
は、構造材1の外形と内面形状、さらには凹凸の形状に
よって1本又は2本以上が構造材1の長手方向に設けら
れる。
【0011】図3に示される構造材5は、中空管の内面
に設ける凹凸6がらせん状になったものである。この構
造材5は工場にて次のようにして製造する。すなわち、
構造材5の表面形状に対応する外型枠を設置し、その外
型枠の中に所定の間隔を置いてらせん状のパイプを入
れ、両型枠の間にコンクリートを流し込んだ後、そのコ
ンクリートが硬化する前の適当な時期に、排気路3の型
枠を操作してからパイプを回して抜き取ることで作製さ
れる。この構造材5にも内面の凹凸を切除した形状の排
気路3が設けられている。
【0012】構造材の内面に設けられる凹凸と排気路
は、適宜形状の中型枠を使用して任意形状に形成するこ
とができる。図4〜図6にその例を示す。図4に示され
る構造材51では凹凸61が連続する台形のらせんねじ
溝になっており、図5に示される構造材52の凹凸62
は不連続の台形の溝になっている。図6に示される構造
材53の凹凸63はベローの外形に相当するような断面
が半円形の溝と突条を組み合わせた形状になっている。
なお、構造材を柱のように縦向きに設置して使用する場
合、凹凸の形状によっては排気路が必要ない場合もあ
る。
【0013】なお、本発明の構造材は、上記のようなゴ
ム製の中型枠を使用する他に、機械的な方法で伸び縮み
する凸部を外側に備えた中型枠を使用しても製造が可能
である。或いは、焼却や腐蝕が可能な材料で形成した中
型枠を使用し、コンクリートが硬化した後で取り除くこ
とで作製することも可能であるし、場合によっては中型
枠を埋め殺して、その内面を凹凸として利用することも
できる。
【0014】中型枠を埋め殺した構造材の一例を図7に
示す。この構造材531は台形状の凹凸を持った中型枠
631を中空管の内面に埋殺している。中型枠の形状は
図示のものに限らず、図3〜6に示す凹凸の如き波形の
形状でもよい。この構造材にも内面の凹凸を切除した形
状の排気路3が設けられている。さらに、構造材の使用
目的によっては中型枠631の外側に凹凸を設けてもよ
い。この場合、中型枠631の外側に凹凸部材を設けて
波形形状にして凹凸を設ける方法と、中空枠をプレスす
ることで波形形状にて凹凸を設ける方法とがある。この
ような中型枠の材料には、鉄、非鉄金属、樹脂、セメン
ト、木質材、セラミックス等の材質のものが使用でき、
或いは炭素、ガラス、ナイロン等の無機質又は有機質の
繊維を板状にしたりセメント等に混入したものを利用し
てもよい。そして、中型枠に鉄等の強度のある材料を用
いれば構造材の強度が向上する。また、構造材531の
表側にタイル等の化粧材或いは構造用の補強材として表
面材632を付設してもよい。この表面材632は中型
枠631と同じ材質の材料でも別材質の材料でもよく、
部分的又は全面に張ったり、外型枠として利用して埋殺
したりしてもよい。このような表面材は図1〜図13に
示す構造材に利用できる。
【0015】また、構造材の凹凸は中空管の全体に設け
てもよいし、図8に示す構造材54のように、接合部位
となる端部付近にのみ凹凸64を設けてもよい。全体に
凹凸を設けた構造材は、適宜の長さに切断して使用する
ことができる。
【0016】また、本発明の構造材は、工場で製造する
際に、その外側に壁材、ドア、サッシ等の付帯物を取り
付けるための溝などの取り付け部分を形成した形態にす
ることができる。例えば、図9に示される構造材55で
は、その外面に取り付け部分としてのアリ溝65が1つ
又は2つ以上設けられていて、パネル66などを嵌入で
きるようになっている。また、反対側には突起65aが
設けられている。このように縦方向又は横方向(図示せ
ず)に必要に応じて、適宜の凹凸を構造材の表面に設け
ることができる。さらに、構造材の外面に彫刻や模様な
どの格調の高い形状を始めとして、種々の外観形状を備
えたものにすることができる。
【0017】また、図10及び図11に示される構造材
56,57のように、中空管を複数束ねた状態に一体化
したものも利用することができる。このタイプの構造材
では、全ての内面に凹凸2を設ける必要はなく、使用目
的に応じて凹凸のない中空部があってもよい。さらに、
一部の中空部が中空ではなく、工場にてコンクリートを
打設した中実構造であってもよい。
【0018】本発明の中空管からなる構造材は、両端以
外で完全に閉鎖された中空形状にのみ限定されるもので
はない。図12(a)〜(d)に例示されるように、建
造材の一部又は全長に渡って1ヶ所又は2ヶ所以上に形
成された切除部581を有する構造材58a,58b,
58c,58dも含まれるものである。中空部には適宜
の凹凸2と排気路3が適宜な位置に適宜な数だけ設けら
れている。なお、切除部581の巾と内空巾582のサ
イズは構造材の使用目的と凹凸2の形状によって左右さ
れるが、好ましくは内空巾582より切除部581の巾
の小さい方が隣接する構造材との接合状態が確実にな
る。
【0019】以上に種々のタイプの構造材を例に挙げた
が、これら構造材はその形状や使用目的によっては補強
する必要がある。図13にこのような補強を施した構造
材の一例を示す。この構造材591では中空管の内部の
適宜の位置に補強部591aを設けてある。そして、補
強部591aはその腹部に1つ又は複数の開口591b
を有していてもよい。この補強部591aは中空管と一
体でもよいし、同質又は別材質のものを嵌め込んで形成
してもよい。2つの補強部591aの間の空間には型枠
691を埋殺してもよい。或いは、焼却や腐蝕が可能な
材料で形成した中型枠を使用し、コンクリートが硬化し
た後で取り除くようにしてもよい。或いは、前述した如
き空気で膨らましたゴム製の中型枠を使用し、コンクリ
ートが硬化した後で開口591bから取り出すようにし
てもよい。なお、このような補強部は前記した何れのタ
イプの構造材でも設けることができる。そして、排気路
3は適宜な位置に適宜な数だけ設けられる。
【0020】本発明の構造材は、構築物に使用する場合
に、現場の状況に応じた対応が必要となる。図14は図
1〜図13で説明した構造材の多様性の一例を示すもの
で、図14(a)に示す構造材150は、中空管の一部
に切欠151を形成したものであり、この切欠151は
短く断続的に形成しても長尺状に形成してもよい。全長
に渡って切り欠くと図12に示した構造材のようにな
る。また、図14(b)に示す構造材152は、図12
に示すタイプの構造材を接着剤又はボルト等で連結した
ものである。
【0021】以下、上記の如き構造材の接合方法につい
て説明する。
【0022】図15に示される実施例では、2つの構造
材11,12の接合すべき端面同士を合わせた後、充填
孔12aから充填材Aを注入する。この場合、充填材A
は各構造材11,12の中空部全体に充填する。また、
必要により仮止め部材13を用いて仮止めする。この充
填材としては、コンクリート、モルタル、樹脂、セラミ
ックス、ゴム等が使用されるが、その他に、亜鉛、アル
ミニウム等の非鉄金属又は鉄の熔融物も使用できる。更
にこれらの充填材に、前記構造材1の補強材として混入
した鉄、非鉄金属、有機質又は無機質の繊維等を必要に
応じて混入させてもよい。どの充填材を使用するかは構
造材の用途に応じて決めればよい。
【0023】図16に示される実施例では、各構造材1
1,12の接合すべき端部付近に蓋部材14をその周囲
の弾性部材14aを介してそれぞれ取り付け、さらに一
方の構造材12にフープ筋を有する補強材15を挿入し
てスペーサー16等により固定しておき、端面同士を合
わせてから、蓋部材14で区画される空間内に充填孔1
2aから充填材Aを注入する。なお、補強材15は後述
する鉄骨等の型材を単独で用いてもよいし、鉄筋と併せ
て用いてもよい。なお、弾性部材14aとしてはゴム、
樹脂、織布又は不織布等が利用されるが、その他に硬化
性又は膨張性のいずれか又は両方の性質を持つ材料も利
用される。例えば、弾性部材14aの中にセメントを入
れておき、構造材の端面、充填孔12a、排気孔12b
又は注入孔14b等より水を注入し、セメントを膨張硬
化させることにより、弾性部材14aと凹凸2との隙間
を埋めることができる。
【0024】蓋部材の別タイプとして、図17に示すよ
うな把手付きの蓋部材18を利用して、構造材11の凹
凸2に嵌着するものでもよい。すなわち、凹凸2の谷と
谷の幅に略相当する蓋部材18を、その把手18aによ
りネジ状の凹部に沿わせて回転させて取り付けるもので
ある。或いは、凹凸がネジ状でない場合は、把手18a
の作用で開閉が可能な蓋部材18を利用してもよい。こ
のタイプの蓋部材でも必要に応じて前述のような弾性部
材を取り付けてもよい。
【0025】図18は本発明に係る構造材を利用した施
工方法をさらに詳細に説明するための図で、使用する構
造材の頂部付近を分かりやすいように反転状態で図示し
た一部切欠斜視図である。
【0026】図18(a)に示す例では、図1に示した
タイプの構造材1が梁303に使用されている。そし
て、構造材1の頂部中央付近に凹凸2を切除して略直線
状の排気路3が設けてあり、これに繋がって蓋部材14
の手前に排気孔12bが設けてある。この構造材1の中
空部に充填材を注入するに伴って中空部の空気は頂部に
集まるが、凹凸2の形状によっては充填材の硬化後も空
気が溜まる場合がある。そこで、充填材の注入中に頂部
に集まった空気は排気路3を通って排気孔12bより自
然に或いは強制的に排出されるようにしてある。これで
も不足するときは、例えば図示のような小孔123bを
有する排気管122bを排気路3に設置し、充填材の投
入口や排気孔12bから排気する。その後、排気管を抜
き取るか或いは埋設するかは現場の状況による。構造材
1の内面の凹凸2に空気を滞留させないためには、構造
材1の外形が例えば矩形状であっても、中空部は円形、
楕円形等にして空気が排気路3に集まるようにするとよ
い。なお、凹凸2の中の排気をよくするために、充填材
に膨張材を入れて膨張力で排気させたり、逆に充填材を
注入した後、充填孔12a又は排気孔12bより再度充
填材を注入するようにしてもよい。
【0027】図16に示したように梁と梁が当接された
箇所に充填材を充填した場合、充填孔12aより注入さ
れた充填材は梁の底より堆積されながら上昇するが、梁
の内面の凹凸形状によっては、梁の中腹で空気を排気し
た方がよい場合もある。このような場合は、排気路3を
中腹に設け、片方又は両方のいずれかに設けられた排気
孔12bより排気し、充填材が梁の頂部に達しかかった
時に中腹の排気と同様の方法で空気を排気する。排気管
122bが設置しやすいように、必要に応じて排気管止
め121cを凹凸2の適宜の場所に埋設する。
【0028】図18(b)に示す例では、凹凸2の山部
分を貫通して適宜形状の排気路3が設けてある。排気路
3を大きくとる場合、その欠損断面を小さくするため
に、凹凸2の形状によってはこのような貫通孔形式の排
気路3を設ける。この排気路3に排気管122bを前述
のように設けてもよい。
【0029】図19は2つの構造材11,12を当接状
態で示す斜視図である。一方の構造材11には端部に余
裕を残した排気孔12cを設けてあり、他方の構造材1
2には端部に余裕を残さない排気孔12dを設けてあ
る。このように本発明の構造材における排気孔は円形や
楕円形などに限定されるものではなく、長方形等の任意
の形状であってよい。また、構造材の内面の凹凸形状に
よって内部の空気が抜けにくい場合は、構造材の腹部又
は頂部等に長方形を有する適宜形状の排気孔を設ける。
この場合、円形状の排気孔12bと混用してもよい。
【0030】図16〜図18において充填材を注入する
空間の空気が接合の隙間から逃げない場合は、蓋部材1
4,18に適宜の大きさの排気孔を設けるようにし、さ
らにその排気孔には充填材が漏れないように逆止弁を設
けるか後述のフィルター85或いは図示のような網86
又は打抜板を設けるようにするとよい。
【0031】上記した接合方法を用いて、この発明の構
造材で仕口を構築する例を、図20に基づいて順を追っ
て説明する。
【0032】まず、ベースプレート21を基礎コンクリ
ート中に埋設されたアンカー22に固定する。必要に応
じて補強材15をベースプレート21に溶接したのち、
構造材からなる下柱23を所定の位置に建て込み仮止め
する。その後、下柱23に充填孔24が設けられている
時はその孔から、充填孔が設けられていない場合は下柱
23の上部開口部から、所定量の充填材Aを注入して下
柱23をベースプレート21に固定する。また別の方法
として、ベースプレート21及びアンカー22を設けな
いで、補強材15を直接基礎コンクリートに埋設しても
よい。次いで、下柱23の上部開口部から、補助棒25
の一端に取り付けられた蓋部材26を内部に嵌入する。
この例では、蓋部材26の周囲にばね27等が付設され
ていて凹凸6との隙間が狭くなっており、その弾性で蓋
部材26を支えるようになっているが、充填材Aの重み
により蓋部材26が下降する恐れのある時は、補助棒2
5の上端を適宜の方法で保持すればよい。
【0033】次に、構造材からなる梁30を、必要に応
じて仮止め材31などを用いて、下柱23上の両側に設
置する。この時、連結棒32の両端にそれぞれ配置され
た蓋部材33を両側の梁30,30の内部に挿入する必
要があるが、反対側の梁30の設置の際に邪魔にならな
いように、一方の側の梁30の内部に奥深く挿入した
後、反対側の梁30を設置し、蓋部材33をそれぞれ所
定の位置に戻すようにするとよい。また、図16又は図
17で説明したように蓋部材33を工場又は現場にて設
置し、必要に応じ図16で説明したように補強材15を
取り付けてもよい。最後に、上柱35を設置した後、蓋
部材26,33,33で区画された空間内に、充填孔3
6から充填材Aを注入して、図16〜図19で説明した
空気抜きを行いながら固化させ、構造材からなる各柱2
3,35及び各梁30,30を接合する。なお、梁30
は必要に応じて三方若しくは四方以上に設置してもよい
し、斜め方向に設置してもよい。また、充填材Aの注入
時に柱23,35の内面の凹凸に空気が溜まることは少
ないので、凹凸6の形状によっては排気路を設けなくて
もよい。
【0034】上記の例では上柱35に蓋部材を使用して
いない。これは、充填孔36が所定の充填範囲の上部に
設けられているので、重力により充填材Aが充満される
ためである。しかし、充填孔36の上方に蓋部材を固定
状態で取り付け、所定の圧力で充填材Aを注入すると、
固化後の充填材Aの強度を高めることができるので好ま
しい方法である。また、梁30を設置する前に下柱23
の上部空間に充填材Aを充填しておいてもよい。
【0035】以上に説明した実施例において、蓋部材を
構造材に固定状態で取り付ける方法として、蓋部材の周
囲に取り付けられる弾性部材を、内部を中空とした車両
のタイヤ状とし、蓋部材を所定の位置に設置した後、タ
イヤ内部に圧縮空気を送って膨張させ、弾性部材を構造
材の凹凸に密着させてもよい。
【0036】図21は、蓋部材を構造材内部に固定状態
で取り付ける別の方法を説明する断面図である。この例
では蓋部材40は板材41の周囲に設けられたリム枠4
2にリング状の袋体43が取り付けられていて、そのリ
ム枠42には注入パイプ44が繋がっている。補助棒1
7を使って構造材1内の所定位置にまで蓋部材40を挿
入したのち、注入パイプ44から袋体43内に充填材B
を注入すると、袋体43が膨張して構造材1の凹凸6と
係合する。そして充填材Bが固化すると蓋部材40は固
定状態となる。この方法は凹凸6が複雑な形状であって
も、蓋部材40を構造材1内部に密着させ固定すること
ができる。このとき充填材Bを、補助棒17及び板材4
1の内部を通って、リム枠42から袋体43に注入する
方法も採用可能である。なお、構造材1の端部より注入
パイプ44を延ばして注入するようにしてもよい。
【0037】このようにして、蓋部材40を構造材1内
に固定状態で取り付け、前記の方法で2本以上の構造材
の端部同士を突き合わせたのち、蓋部材40で区画され
た空間に充填材Aを注入固化させることで構造材同士を
接合する。
【0038】袋体43はゴム、セラミックス、ナイロ
ン、アラミド、炭素、ガラス繊維等の有機質又は無機質
の材料から形成された織布又は不織布であり、有機高分
子材料でコーティングされている場合もある。この袋体
43は例えば図22,図23に示されるようにしてリム
枠42に取り付けられる。リム枠42の先端は、図22
に示したように二つに開くことができ、さらに中空にな
っており、図23に示す如く袋体43の端部で芯材46
を包むように合わせて、リム枠42の中空部45の中に
挿入し、ビス47で両者を固着させる。芯材46を中空
部45に挿入するとき、リム枠42の材質によって中空
部45の弾性的な開きが悪い場合は、そのリム枠に切込
を入れたり又はリム枠を42aの点線のように細くした
りすればよい。このようなリム枠42を隣接して設ける
場合は、リム枠42にあり溝、ありほぞを備えた角材部
分を付加すればよく、さらに必要に応じて角材部分のみ
を複数個組み合わせたり、単独でフレーム状にして利用
することができる。リム枠42の材質は鉄、非鉄金属、
樹脂、セラミックス等の材料、炭素繊維、アラミド繊維
等の無機質及び有機質繊維を固めて作ったもの等が利用
される。
【0039】以上説明した実施例の蓋部材を使用する構
造材同士の接合方法では、蓋部材をそれぞれの構造材内
部に固定状態で取り付ける必要があったが、次に片側に
のみ蓋部材を取り付ける実施例について述べる。
【0040】図24は、接合すべき端部付近に袋体73
を収縮状態で取り付けた構造材71を示す断面図であ
る。袋体73は前後から板材74,75で挟まれて係止
部材83,84又は接着テープ83aにより収縮状態が
保たれており、この袋体73の中には板材74,75に
取り付けられた、チェーン、ワイヤ、ロープ等の屈曲可
能な紐材等の拘束材77が縮んだ状態で収納されてい
る。袋体73の中部は後側の板材75に固定された注入
パイプ78に繋がっている。注入パイプ78にはもう一
本の注入パイプ79が並設されており、この注入パイプ
79は板材75の周囲に設けられたリング状の袋体80
に繋がっている。そして、前側の板材74及び後側の板
材75の数カ所に設けられたスペーサー81,82によ
り袋体73が中空部の中央に保持されている。
【0041】図25は、この構造材71ともう一方の構
造材72の接合状態を示す断面図である。接合するに
は、両方の構造材71,72の端部同士を突き合わせた
後、注入パイプ79からリング状の袋体80に充填材B
を注入して膨張させ、後側の板材75を固定状態とし、
次いで注入パイプ78から袋体73に充填材Aを注入し
て膨張させる。これにより、袋体73は向かい合う構造
材72の中に延びていくのと同時に中空部内面の凹凸に
係合し、袋体73内に充填された充填材Aが固化して図
示の如く接合状態となる。そして、前側の板材74に
は、空気は通過するが充填材Aは通さないフィルター8
5が設けられており、袋体73内に充填材Aを圧入する
とき、袋体73中に残存する空気を放出させ、空洞が生
じるのを防いでいる。また、充填材Aの注入時に充填圧
によって係止部材83,84又は接着テープ83aは外
れる。なお、構造材71の内面の凹凸の形状は任意であ
る。したがって、凹凸の形状によっては、板材74部分
を厚めにしてあれば、板材74及び拘束材77は必要な
い場合もある。板材74を厚めにしなくても前記の図1
6,図17の蓋部材14,18等を併せて使用すると構
造材の延長方向に袋体が延びるのを拘束できる。なお、
この場合においても図18と図19で説明した排気作用
は自然に又は人為的に行われる。
【0042】また、補強材の形状は矩形、円形及びL字
形を使用したり、さらにその材料に凹凸が必要により設
けられていてもよい。材質は鉄に限らず、非鉄金属、コ
ンクリート、セラミックス及び炭素、ナイロン等の無機
質、有機質の繊維を束ねた形状にしてもよい。
【0043】構造材を使用する場所が構造的に応力の作
用する場所である場合や、或いは図14(a)で示した
切欠151を設けた構造材を使用したくない場合は図2
6に示す構造を採用するとよい。図26は仕口部分の仕
口枠が柱と梁の交点位置にある場合の斜視図を示す。図
26においては、図22で説明したリム枠42に袋体が
取り付けられてフレーム化した仕口枠100を鉄骨99
の仕口の位置に適宜の方法で固着し設置している。袋体
115、125は折り畳んで仕口枠100に収納され接
着テープ83aにて仮止めされている。蓋部材135に
は図24で説明したように拘束材77がボルト106a
で固定されている。反対側は仕口枠100に取り付けら
れた板材75にボルト106a等で固着されているか、
直接仕口枠100に取り付けられたり、又は直接鉄骨9
9にボルト106a等で固着されたりしている。
【0044】図20に示した仕口の場合にも図26の接
合方法を利用することができる。下柱23の適宜の位置
に蓋部材26等を設置した後、鉄骨99を下柱23の中
空部に建て込み、必要に応じて充填材を充填する。次い
で、仕口枠100の位置に梁30等を設置した後、上柱
35を設置する。充填孔36より充填パイプが袋体及び
枠体を貫いて配設されており、ここから充填材Aを注入
する。上柱35には必要に応じて蓋部材が設けてあり、
充填圧によって接着テープ83aが剥がれ袋体が開いて
充填される。梁に蓋部材が設けてあるときは、袋体の蓋
部材135と拘束材77は不要となる。下柱23が図2
7のように通し柱となった場合、この結合方法を利用す
ると図14(a)の切欠151等は不要となる。
【0045】図27は別の仕口部分の取付け斜視図を示
す。同図では下柱101aの梁接合位置に梁と対応する
形状の切欠15bが付いており、その下端に張出板15
aが必要に応じて設けてある。この張出板15aは梁に
作用する荷重を支えるとともに、図14(a)の切欠1
51が梁150にも設けてある場合はその型枠代わりと
なるもので、柱と同質又は異質の材料で作られる。図2
7では鉄筋による補強材15が設けてあるが鉄骨であっ
てもよい。即ち、鉄骨のウェブ面に鉄筋が貫通できる径
の孔を適宜の間隔で所定数だけ開けてあり、鉄骨を建て
込んだ後、その孔に鉄筋を挿入するものである。鉄骨の
フランジ面には図26の仕口枠100が適宜の方法で取
り付けられている。したがって、梁の仕口においても鉄
筋と袋体を併せて使用することができる。梁150と梁
150aを各々設置して仮止めした後、下柱101aに
上柱の構造材を載せて仮止めし、充填材を充填孔より注
入する。この接合方法では柱の切欠15bに梁150等
を嵌入させると強固な仕口が形成できる。なお、張出板
15aがない場合は、図14(a)に示すような型枠1
51aを設ける必要がある。
【0046】図28と図29に示される仕口は、中世ヨ
ーロッパ風の格調の高い建造物を構築するために用いら
れるものである。図28(a)は仕口外観の斜視図であ
り、図28(b)は上柱162と3本の梁163を取り
除いた状態で示す仕口の斜視図、図29は図28(b)
の垂直断面図である。
【0047】仕口材160は以下に示す仕口材と同様
に、コンクリート、陶器、セラミック、鉄、非鉄金属及
び炭素又はアラミド等の無機質や有機質の繊維を固めた
ものから作られたり、或いは自然石を加工して作られ
る。仕口材160には、その上下面に下柱の構造材16
1及び上柱の構造材162の縁端を受け入れる溝168
が、その側面に梁の構造材163を受け入れる溝165
が必要に応じて設けられ、さらに梁の数に応じて所定位
置に設けられている。また仕口材160の上下方向には
柱主筋166が突出した状態で埋設されており、左右方
向に埋設された梁主筋169の縁端面には図26に示す
ような枠体167が適宜の方法で埋め込まれている。
【0048】この仕口を形成するに際しては、まず仕口
材160の溝168部分を下柱の構造材161の上端に
嵌入設置し、この構造材161の中空部に充填口161
aより充填材を圧入して両者を連結する。次に梁の構造
材163をそれぞれの溝165に挿入し、袋体171内
部に注入口163aより充填材Aを圧入して固化させ
る。最後に仕口材160の上部の溝168に上柱の構造
材162を嵌入し、構造材162の中空部の下部に充填
材Aを注入し、固化させると仕口が完成する。なお、枠
体167の代わりに、図27に示すような補強材15と
切欠156を利用してもよい。
【0049】図30は別の仕口ブロックによる構造材の
接合を示すもので、仕口材の垂直断面図である。
【0050】前述した図28の仕口材が中実であるのに
対し、図30の仕口材200は中空であり、その接合方
法は前述の図27と類似している。仕口材200には上
下方向に貫通する縦孔206が設けられ、その内面には
必要に応じて凹凸が設けられている。また、梁の数だけ
横孔205が設けられ、横孔205の内面には必要に応
じて凹凸が設けられ、この横孔205は縦孔206と連
通している。
【0051】施工方法としては、前述と同様に建て込ま
れた下柱201に仕口材200が載置される。仕口材2
00の下面と下柱201の上端面が接していてもよい
が、図では下柱201を受入れ溝207に嵌入してい
る。次に梁203を横孔205に載置する。その後、上
柱202を受入れ溝204に建て込み設置後、充填孔2
09より充填材を注入する。前述のように、補強材16
6等を入れるか、仕口枠100等を設けるか、又は蓋部
材14等を設けるかは構造材の使用目的に応じて適宜選
択すればよい。なお、梁を仕口に建て込むときの処理の
仕方は図20、図27の接合方法を利用したり、図28
の溝165を設けたりして利用することもできる。
【0052】本発明で使用される仕口材は図28と図3
0を折衷した形態の仕口材をも含まれるものである。図
31(a)はそのような仕口材の垂直断面図、図31
(b)は別の仕口材の垂直断面図である。
【0053】図31(a)に示される仕口材210は、
その中央に必要に応じて凹凸を有する上下方向に貫通し
た縦孔218が設けられている。仕口材210の下方向
の設置孔215を下柱211の柱頭に建て込み、必要に
応じて仮止めする。仕口材210には梁の仕口枠216
が各々に埋め込まれ、前記図28と同様に受入れ溝21
7が各々設けられており、この仕口材210に梁213
を必要な数だけ設置した後、縦孔218に設けられた充
填孔218aより各々充填材を注入する。その後、必要
に応じて設けられた柱の設置孔214に上柱212を建
て込み、上柱の充填孔より充填材を注入する。
【0054】図31(b)に示される仕口材220は図
31(a)のものと異なり、横方向に貫通した横孔22
8が設けられている。また、上下に各々鉄筋227が埋
め込まれている。まず下柱221の柱頭に仕口材220
の設置孔225を載置し、充填孔225aより充填材を
注入する。次に仕口材220の梁設置台226に梁22
3を各々設置し、上柱222の設置孔224に設けられ
た充填孔226aより充填材Aを注入する。最後に上柱
222の設置孔224に上柱222を設置し充填材Aを
注入する。
【0055】図32は図28〜図31に示す仕口材の応
用例を示す断面図である。
【0056】図32(a)に示す仕口材210は、縦孔
218が貫通しておらず、下面から受入れ溝217付近
まで形成されており、下柱211と充填材で連結され
る。図32(b)に示す仕口材210では、縦孔218
が上面から受入れ溝217付近まで形成されており、上
柱212と充填材で連結される。
【0057】図32(c)に示す仕口材220は、下側
の設置孔225が横孔228に連通しており、下柱22
1と充填材で連結される。図32(d)に示す仕口材2
20は、上側の設置孔224が横孔228に連通してお
り、上柱222と充填材で連結される。
【0058】図33〜図35は各々別の仕口材を示す断
面図であり、図36は図35の斜視図である。
【0059】図33に示す仕口材250は、内面が梁2
51,252の外形に合った1本の筒状の形態をしてお
り、この仕口材250を介して2本の梁251,252
を充填材Aによって連結するようになっている。図34
に示す仕口材260は、T字型の筒状をしており、この
一つの仕口材260を介して2本の梁261,262と
柱263を充填材Aで連結するようになっている。図3
5及び図36に示す仕口材270は、上下方向と横に4
方向の開口を有した形態をしており、この仕口材270
を介して下柱271、上柱273及び4本の梁272を
充填材Aで連結するようになっている。
【0060】このように、一体化された1つの仕口材を
介して、梁と柱、柱と柱、複数本の梁と梁、複数本の柱
と柱、複数本の梁と1本又は2本以上の柱を充填材によ
って連結することができる。このような仕口材を用いた
連結構造は、柱と梁に限定するものではなく、パイプ等
の連結や図12に示す構造材にも適用できることは勿論
である。
【0061】このような仕口材を用いて連結構造を形成
する場合、充填材の注入、構造材内部からの排気、蓋部
材253,264や補強材の使用等は先に説明した施工
方法と同様であるが、立設された柱に梁を建て込むとき
は、図38のように梁と梁の当接端部307を設ければ
容易にできる。なお、仕口材と柱、梁の形状も、前述の
ように適宜の形状を採用でき、また当接端部307を図
27〜図32に利用すれば、図27の切欠156が不用
となる。
【0062】図37及び図38は梁と柱の仕口に於ける
別の接合方法を示すもので、図37は梁と柱の仕口部分
を説明するための組立途中の斜視図、図38(a)は梁
と柱の仕口部分の斜視図、図38(b)は図38(a)
のA−A断面図である。
【0063】図27に示した仕口部分では下柱101a
に切欠15bを設けたが、図37の仕口部分では梁30
3に切欠303a〜303d(303c,303dはそ
れぞれ303b,303aの反対側)を設ける。すなわ
ち、梁303における柱301,302と梁304,3
05の交差部分に、接合する柱と梁の中空部に対応する
形状の切欠をその接合する部材数だけ設ける。施工方法
は次のようである。すなわち、切欠230aを中央付近
に有する平板状の仕口材230を柱301の頭部に載置
し、梁303の切欠303dと仕口材230の切欠23
0aを合わせて設置した後、梁303の切欠303c,
303b,303aにそれぞれ梁304、梁305、柱
302の中空部を合わせながら設置する。そして、必要
に応じて仮止めした後、充填口310より充填材を注入
する。
【0064】図38の仕口部分においても、前述したよ
うに蓋部材14、補強材15及び袋体等の設置と施工方
法は同様の方法でなされる。仕口材230は必要に応じ
て設けるものであり、その設置場所も柱301の頭部に
限定されず、柱302の底部に設けてもよいしさらには
両方に設けてもよい。また仕口材の形状は図27〜図3
2のように変化をもたせてもよい。なお、梁303を延
長する場合は、図示のように梁303の端部307に別
の梁306を当接し、前述と同様の方法で充填材を注入
して連結するとよい。
【0065】図39は梁と柱の仕口部分に於ける別の接
合方法を説明するための斜視図である。この接合方法は
図20〜図38で説明した接合方法を適宜採用したもの
である。施工方法は、まず柱311の上部に仕口材23
0を設置した後、梁313〜316の端面を合わせて仕
口開口317を形成してから柱312を設置する。この
施工時においても図37と同様に図20等で説明した仮
止め材31を用いてもよい。また、仕口材230を柱3
12の最下端と梁313〜316の上側の境に設置して
もよいし、上下両方に仕口材を設置してもよい。また、
仕口材230を省いた構造にしてもよい。
【0066】以上、図1〜図39により構造材の種類と
その接合方法について実施例を詳述したが、本発明は上
述の実施例のみに限定されるものではなく、説明した具
体的構成を適宜組み合わせたり、特許請求の範囲に記載
の事項の範囲内で種々のその細部の具体的構成を変更し
たりして実施可能であることは言うまでもない。
【0067】例えば、図27の張出板15a、補強材1
5、仕口枠100、柱の切欠15bや図28の梁の溝1
65、柱の溝168を斜めにすると傾斜のある梁及び柱
の建造物を作ることができる。
【0068】
【発明の効果】本発明の構造材は、コンクリート又はこ
れに類する素材で作製された中空管からなり、その内面
に凹凸と排気路を有しているので、構造材の端部同士を
突き合わせた状態で固化性の充填材を充填することによ
り、この構造材の凹凸を利用して接合することができ
る。また、膨張性の充填材を適宜その目的に応じて採用
することにより、確実に構造材を接合することができ
る。しかして、現場での作業が簡単で単純なため、技能
を有しない労働者でも容易に作業することができる。ま
た、任意形状の構造材を使用できるので築造物の経済性
とデザインの多様化を図ることができる。
【0069】構造材が築造された場合、その接合部分に
応力が作用する。この時、構造材の凹凸部と充填材の凹
凸部に縁端応力が発生するが、その縁端応力の程度に応
じて、構造材の内面に凹凸を有する中型枠を埋め込んだ
り、構造材の接合部分に補強材を入れたり、袋体を入れ
たり、また充填材にガラス、炭素、アラミド等の繊維を
入れたりすることで対処できるので、目的に応じて、構
造材の表面に表面材を張ったり又補強処理を行うことが
できる。従って、複雑な仕口の構造にも対応できる。さ
らに、構造物の目的に応じて普通の仕口材を使ったり、
格調高い仕口材を使用したりできるので、施工が簡単で
豊富なデザインが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る構造材の第1実施例を示す斜視図
である。
【図2】図1の構造材を斜め下方から見た状態で示す一
部破断斜視図である。
【図3】第1実施例の構造材の第1変形例を示す断面図
である。
【図4】第1実施例の構造材の第2変形例を示す断面図
である。
【図5】第1実施例の構造材の第3変形例を示す断面図
である。
【図6】第1実施例の構造材の第4変形例を示す断面図
である。
【図7】第2実施例であって中型枠を埋め殺した構造材
の一例を示す断面図である。
【図8】構造材の第3実施例を示す断面図である。
【図9】第4実施例であって構造材の外側に付帯物を取
り付けるための取付け部材が設けられている一例を示す
斜視図である。
【図10】第5実施例であって中空管を複数束ねた構造
材の一例を示す斜視図である。
【図11】中空管を複数束ねた構造材の他の例を示す断
面図である。
【図12】構造材の第6実施例を示す断面図である。
【図13】第7実施例であって補強を施した構造材の一
例を示す断面図である。
【図14】第8実施例であって図1〜図13で説明した
構造材の応用例を示す斜視図である。
【図15】構造材の接合方法の一例を説明するための断
面図である。
【図16】構造材の接合方法の他の例を説明するための
断面図である。
【図17】構造材における蓋部材の他の例を説明するた
めの断面図である。
【図18】構造材の頂部付近を分かりやすいように反転
状態で図示した一部切欠斜視図である。
【図19】2つの構造材を当接状態で示す斜視図であ
る。
【図20】仕口における構造材の接合方法を説明するた
めの断面図である。
【図21】蓋部材の一例を示す断面図である。
【図22】袋体を取り付けるリム枠の一例を示す断面図
である。
【図23】リム枠に取り付ける袋体と芯棒を示す斜視図
である。
【図24】袋体を取り付けた構造材を示す断面図であ
る。
【図25】図24の構造材を使用した接合状態を示す断
面図である。
【図26】仕口部分における補強材を示す斜視図であ
る。
【図27】別の仕口部分を説明するための組立斜視図で
ある。
【図28】仕口材の例をそれぞれ示す斜視図である。
【図29】図28(b)の垂直断面図である。
【図30】仕口材の別の例を示す垂直断面図である。
【図31】仕口材の別の例をそれぞれ示す垂直断面図で
ある。
【図32】仕口材の別の例をそれぞれ示す垂直断面図で
ある。
【図33】仕口材の別の例を示す垂直断面図である。
【図34】仕口材の別の例を示す垂直断面図である。
【図35】仕口材の別の例を示す垂直断面図である。
【図36】図35の斜視図である。
【図37】別の仕口部分を説明するための組立途中の斜
視図である。
【図38】図37から組み立てた仕口部分を示す斜視図
とそのA−A断面図である。
【図39】別の仕口部分を説明するための斜視図であ
る。
【符号の説明】
1 構造材 2 凹凸 3 排気路 11,12 構造材 12a 充填孔 12b 排気孔 14 蓋部材 14a 弾性部材 15 補強材 18 蓋部材 18a 把手 23 構造材 26 蓋部材 30,35 構造材 33 蓋部材 40 蓋部材 43 袋体 5,51,52,53,531,532,533,5
4,55,56,57,571,572,58a,58
b,58c,58d,59,591 構造材 6,61,62,63,64 凹凸 65 アリ溝 66 パネル 631,632,633,69,691 中型枠 632,633b 表面材 71,72 構造材 73 袋体 80 袋体 101,101a,102 構造材 105,106 袋体 111,112 構造材 115,116 袋体 121,122 構造材 125 袋体 135 蓋部材 150,150a 構造材 152 構造材 160 仕口材 161,162,163 構造材 200 仕口材 201,202,203 構造材 210 仕口材 211,212,213 構造材 220 仕口材 221,222,223 構造材 230 仕口材 301,302 柱 303,304,305 梁 311,312 柱 313,314,315,316 梁 A 充填材 B 充填材

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 柱や梁などの部材に使用する構造材であ
    って、コンクリート又はこれに類する素材で作製された
    中空管からなり、その内面に凹凸を設けると共に排気路
    を設けたことを特徴とする構造材。
  2. 【請求項2】 内面の凹凸がらせん状である請求項1に
    記載の構造材。
  3. 【請求項3】 内面に中型枠が埋殺されてなる請求項1
    又は2に記載の構造材。
  4. 【請求項4】 外側に付帯物を取り付けるための取付け
    部分又はデザイン上の凹凸が設けられている請求項1〜
    3のいずれかに記載の構造材。
  5. 【請求項5】 複数の中空管が束ねた状態に一体化され
    ている請求項1〜4のいずれかに記載の構造材。
  6. 【請求項6】 中空管の一部又は全部が切り欠かれてい
    る請求項1〜5のいずれかに記載の構造材。
  7. 【請求項7】 内面に補強板が付設されている請求項1
    〜6のいずれかに記載の構造材。
  8. 【請求項8】 中空管の表面の一部又は全部に表面材が
    付設されている請求項1〜7のいずれかに記載の構造
    材。
  9. 【請求項9】 中空管内面の凹凸部分に排気孔を設けた
    請求項1〜8のいずれかに記載の構造材。
  10. 【請求項10】 コンクリート又はこれに類する素材で
    作製された中空管からなり、その内面に凹凸を設けると
    共に排気路を設けてなる構造材を接合する方法であっ
    て、2本以上の前記構造材の端部を向かい合わせた後、
    構造材の中に充填材を注入して固化させることで前記構
    造材同士の接合を行うことを特徴とする構造材の接合方
    法。
  11. 【請求項11】 コンクリート又はこれに類する素材で
    作製された中空管からなり、その内面に凹凸を設けると
    共に排気路を設けてなる構造材を接合する方法であっ
    て、構造材の接合すべき端部付近に蓋部材を固定状態で
    取り付け、この蓋部材を取り付けた少なくとも2本以上
    の前記構造材の端部を向かい合わせた後、蓋部材で区画
    される空間内に充填材を注入して固化させることで前記
    構造材同士の接合を行うことを特徴とする構造材の接合
    方法。
  12. 【請求項12】 コンクリート又はこれに類する素材で
    作製された中空管からなり、その内面に凹凸を設けると
    共に排気路を設けてなる構造材を接合する方法であっ
    て、一方の構造材の接合すべき端部付近に袋体を取り付
    けておき、この構造材と他方の構造材の端部を向かい合
    わせた後、袋体に充填材を注入して膨張させることによ
    り前記構造材同士の接合を行うことを特徴とする構造材
    の接合方法。
  13. 【請求項13】 構造材の接合部分の中に補強材を入れ
    たことを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載
    の構造材の接合方法。
  14. 【請求項14】 袋体の他方端を補強材又は蓋部材に固
    着させたことを特徴とする請求項11〜13のいずれか
    に記載の構造材の接合方法。
  15. 【請求項15】 一方の構造材の接合すべき端部付近に
    袋体を取り付けておき、この構造材と他方の構造材を端
    部で突き合わせた後、袋体に充填材を注入して膨張させ
    る際、袋体の先端が一定以上構造材の延長方向に延びな
    いように、蓋部材、補強材又は拘束材を介して、袋体の
    延びを拘束したことを特徴とする請求項11〜14のい
    ずれかに記載の構造材の接合方法。
  16. 【請求項16】 一方の構造材の接合すべき端部付近に
    袋体を取り付ける際、袋体の一方の端部が仕口枠に固着
    されていることを特徴とする請求項11〜15のいずれ
    かに記載の構造材の接合方法。
  17. 【請求項17】 仕口材と接合すべき構造材を接合する
    に際して、請求項10〜16のいずれかの方法により形
    成される接合部分を介して接合することを特徴とする構
    造材の接合方法。
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