JPH10330933A - スパッタリング装置およびサーマルプリントヘッドの製造方法 - Google Patents

スパッタリング装置およびサーマルプリントヘッドの製造方法

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JPH10330933A
JPH10330933A JP9140354A JP14035497A JPH10330933A JP H10330933 A JPH10330933 A JP H10330933A JP 9140354 A JP9140354 A JP 9140354A JP 14035497 A JP14035497 A JP 14035497A JP H10330933 A JPH10330933 A JP H10330933A
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JP
Japan
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target
shield
substrate
electrode
thin film
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JP9140354A
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Tomoko Nakagi
智子 中木
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ターゲットより飛散する2次粒子の量や運動
エネルギー等を電極に対して任意に調節することができ
るスパッタリング装置および発熱抵抗体層における比抵
抗、膜厚および抵抗値の分布がほぼ均一化され、高い画
質の画像を長期にわたり印刷できるサーマルプリントヘ
ッドの製造方法を提供すること。 【解決手段】 電極に対しターゲットより飛散する2次
粒子を制御するシールドを備えたスパッタリング装置お
よびターゲットより飛散する2次粒子を基板に対して制
御したサーマルプリントヘッドの製造方法による。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜形成に用いら
れるスパッタリング装置および孔版印刷やカラープリン
タ等の各種OA機器に用いられるサーマルプリントヘッ
ドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】サーマルプリントヘッドは、低騒音、低
メンテナンスコストおよび低ランニングコスト等の利点
があることから、基板上に形成された発熱抵抗体に電圧
を印加して製版フィルムに穴をあける孔版印刷や、カラ
ーフィルムを溶融・昇華して転写するカラー印刷等に用
いられている。
【0003】一般に、サーマルプリントヘッドは、次の
ような構成からなっている。すなわち、図6に示すよう
に、アルミナセラミックス製支持基板14上に蓄熱層と
してグレーズガラス層15を形成し、グレーズガラス層
15上に発熱抵抗体層およびアルミニウム等からなる導
電層を形成した後、フォトエングレービングプロセスに
より発熱部16を有する発熱抵抗体17、個別電極18
および共通電極19を形成する。さらに、発熱抵抗体1
7、個別電極18および共通電極19を保護する為の保
護層20を形成した構成である。通常、発熱抵抗体層、
アルミニウム等からなる導電層および保護層等の薄膜の
積層体はスパッタリング装置等を用いて形成されてい
る。
【0004】ところで、サーマルプリントヘッドの製造
工程において、発熱抵抗体層をスパッタリングにより形
成する場合、薄膜の形成速度の向上を実現できるマグネ
トロンスパッタリングを好適に用いて形成する電極層や
保護層とは異なり、直流スパッタリングや高周波スパッ
タリング等のコンベンショナルなスパッタリングが以下
の理由から採用されている。すなわち、 (1)マグネトロンスパッタリングでは、厳密な抵抗値
の制御が困難である。
【0005】(2)発熱抵抗体層は、通常、電極層や保
護層に比べて膜厚が格段に薄いため、薄膜の形成速度に
固執する必要がない。
【0006】直流スパッタリングや高周波スパッタリン
グ等のコンベンショナルなスパッタリングを実行するス
パッタリング装置は、1Pa程度の常温の真空装置内でタ
ーゲットの表面にアルゴン等の陽イオンを衝突させてス
パッタ原子を叩きだし、該スパッタ原子をターゲットの
表面に対向するように設けられた基板に薄膜として積層
させる装置である。該スパッタリング装置には、スパッ
タ原子がターゲットの裏面(基板と対向する面の反対側
の面)に回り込むのを防止するとともに、ターゲット以
外の不純物がスパッタリングされないようターゲットお
よび支持台の背面を覆う陰極シールドが形成されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のコン
ベンショナルなスパッタリング装置においては、いわゆ
るエッジ効果により、ターゲットのエロージョンが該タ
ーゲットの端部に集中し、陰極シールドがターゲットの
表面を覆うように突出していたとしても該エロージョン
を完全に防ぐことは困難である。したがって、上記のコ
ンベンショナルなスパッタリング装置を用いて発熱抵抗
体層を形成した場合には、発熱抵抗体層の抵抗値の分布
にバラツキが生じるという問題があった。
【0008】また、ターゲットのエロージョンが集中す
る領域の近傍に対向するよう配置された基板とターゲッ
トのエロージョンが集中する領域より遠位に対向するよ
う配置された基板とでは、該基板の表面における2次電
子の衝撃、2次電子の衝撃よりもたらされる基板の温度
の上昇およびターゲットから基板へ伝達される輻射熱等
に差が生じるため、発熱抵抗体層の比抵抗および膜厚の
分布が不均一となり発熱抵抗体層の抵抗値の分布にバラ
ツキが生じるという問題があった。
【0009】したがって、該発熱抵抗体層を備えたサー
マルプリントヘッドにより画像を印刷した場合には、得
られた画像の画質が低く、また、サーマルプリントヘッ
ドの寿命も低いという問題があった。
【0010】本発明は、上記従来の問題を解決すべくな
されたもので、ターゲットより飛散する2次粒子の量や
運動エネルギー等を電極に対して任意に調節することが
でき、例えば、どの領域においても、ほぼ同一の特性を
示す薄膜を形成することが可能なスパッタリング装置を
提供することを目的とする。
【0011】また、発熱抵抗体層における比抵抗、膜厚
および抵抗値の分布がほぼ均一化され、高い画質の画像
を長期にわたり印刷できるサーマルプリントヘッドの製
造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係るスパッタリ
ング装置は、ターゲットを保持する支持台と、前記支持
台と対向する電極と、前記電極に対し前記ターゲットよ
り飛散する2次粒子を制御するシールドとを具備したこ
とを特徴としている。
【0013】本発明に係るスパッタリング装置によれ
ば、シールドにより、ターゲットより飛散する2次粒子
を電極に対して制御するので、電極に対する2次粒子の
動態、すなわち、2次粒子の量や運動エネルギー等を電
極に対して任意に調節することが可能となる。したがっ
て、スパッタリングに際して電極上に配置される基板等
に対する2次粒子の作用を任意に調節することが可能と
なる。例えば、支持台と対向する電極面に対し、ターゲ
ットより飛散する2次粒子の量や運動エネルギー等が均
一となるように制御することができるので、基板上に積
層した薄膜の厚さや特性を基板面内でほぼ一定とするこ
とができる。なお、2次粒子とは、イオンの衝撃の結
果、ターゲットから飛散する粒子のことであり、スパッ
タ原子、散乱反射イオン、高エネルギー中性原子、2次
イオン(正、負)および2次電子等を挙げることができ
る。
【0014】一般に、スパッタリング装置において、例
えば、スパッタリングが実行されるターゲット面が平面
である平面ターゲットの外周辺には、ターゲット面に対
して垂直から傾いた電界が生じやすいため、ターゲット
面に対しイオンが斜めに入射することになる。そして、
ターゲット面に対して垂直に入射するイオンのスパッタ
率よりターゲット面に対して斜めに入射するイオンのス
パッタ率が大きい場合には、ターゲットは、中心部より
も外周部の方が早く消耗することになる。したがって、
基板面に対する膜厚分布が変動を起こし、均一な厚さの
薄膜を得ることが困難となる。また、ターゲットより生
じる輻射熱の分布にも差を生じることになり、形成され
た薄膜に対する輻射熱の分布も異なることになる。さら
に、スパッタリング装置では、電極に保持する基板に対
してターゲットに負の電位を与えて正イオンの加速衝撃
を行うが、この電界により2次粒子の中で正の2次イオ
ンと散乱イオンは再びターゲット側に加速され、一方、
2次電子と負の2次イオンは電極側(基板側)に加速さ
れる。また、スパッタ原子と電荷を失って反射された元
の1次イオンの2種類の中性微子は電界の影響をうけず
に基板に向かって飛散する。基板に対して飛散する2次
粒子の中で、スパッタ原子以外の2次粒子、特に、2次
電子の基板への衝撃による影響は大きく、基板の温度の
上昇をもたらす。また、高速中性微子および負の2次イ
オンの基板への衝撃は、イントリンシック・リスパッタ
リングや再スパッタリングをもたらし、薄膜の形成の阻
害と特性の変化をもたらすことになる。本発明に係るス
パッタリング装置は、上述したように、シールドによ
り、電極に対しターゲットより飛散する2次粒子を制御
することにより、基板へ形成される薄膜の膜厚分布や比
抵抗等の特性の分布を任意に調節するものである。
【0015】本発明に係るスパッタリング装置におい
て、電極に対しターゲットより飛散する2次粒子の制御
は目的に応じて任意に実行することが可能である。すな
わち、電極に対して2次粒子の量や運動エネルギー等の
分布がほぼ均一となるように制御してもよいし、電極上
の特定の領域に多くの2次粒子が到達するようにしても
よい。電極に対して2次粒子の量や運動エネルギー等の
分布がほぼ均一となるように制御した場合には、基板へ
形成される薄膜の膜厚分布や比抵抗等の特性の分布がほ
ぼ均一となる。また、電極上の特定の領域に多くの2次
粒子が到達するようにした場合には、基板へ形成される
薄膜の膜厚分布や比抵抗等の特性の分布に部域性が生じ
ることになる。
【0016】さらに、電極に対しターゲットより飛散す
る2次粒子の制御は任意の形態で実行することができる
が、例えば、ターゲットと電極との間に、ターゲットと
接触することなく、電極側から見てその一部を覆うよう
なシールドを配置すれば、ターゲットより飛散する2次
粒子の一部を電極に対して物理的に遮蔽できるので、2
次粒子の制御を容易に実行することができる。すなわ
ち、本発明のスパッタリング装置において、上記シール
ド板を配置することによって、ターゲットから放出され
た2次電子等の2次粒子を吸収することができる。ま
た、このシールドを用いた場合には、ターゲットの放出
する輻射熱を2次粒子とともに制御することができる。
上述したように、ターゲットより飛散、放出される2次
粒子や輻射熱の量は、エロージョンの発生分布からもわ
かるように、イオンのターゲットに対する入射角度の差
によってターゲットの端部と中央とで異なっている。具
体的には、ターゲットの端部(辺縁部)に集中し、ター
ゲットの中央部ではそれほど集中しない。したがって、
ターゲットのエロージョンの集中部と非集中部におい
て、シールドにより、電極側から見てその一部を覆う面
積に差を設けることによって、基板面に対する2次電子
等の2次粒子の衝撃やターゲットからの輻射熱を、例え
ば、電極に保持された基板面に対して均一となるように
制御することができる。基板へ形成される薄膜の膜厚分
布や比抵抗等の特性の分布をほぼ均一とする場合には、
シールドの形状は、電極に対しターゲットのエロージョ
ンの集中部に対向する部分ほど面積を大きくし、ターゲ
ットの中央、すなわち、エロージョンの非集中部に対向
する部分ほど面積を小さくすればよい。このとき、シー
ルドは、電極に対するターゲット面の18%〜31%を
覆うようにすることが望ましい。上述した通り、基板へ
形成される薄膜の膜厚分布や比抵抗等の特性の分布をほ
ぼ均一とする場合には、シールドの形状は、電極に対し
ターゲットのエロージョンの集中部に対向する部分ほど
面積を大きくし、ターゲットの中央、すなわち、エロー
ジョンの非集中部に対向する部分ほど面積を小さくす
る。しかしながら、電極に対するターゲット面を覆う面
積の合計が31%を超えると、シールドに着膜するスパ
ッタ原子の量が大きくなることから、ターゲットのエロ
ージョンの集中部に対向する基板に形成される薄膜の膜
厚が、ターゲットのエロージョンの非集中部に対向する
基板に形成される薄膜の膜厚に比べて顕著に薄くなり、
また、薄膜の比抵抗も上昇する。薄膜の膜厚が薄くなる
とともに比抵抗が上昇すれば薄膜の抵抗値が上昇するの
で、薄膜の抵抗値のバラツキが増大してしまう。また、
電極に対するターゲット面を覆う面積の合計が18%未
満であると、基板に対し、シールドによる2次電子等の
2次粒子の衝撃やターゲットから放出される輻射熱を緩
和する効果がほどんどなくなる。したがって、ターゲッ
トのエロージョンの集中部に対向する基板に形成される
薄膜の膜厚が、ターゲットのエロージョンの非集中部に
対向する基板に形成される薄膜の膜厚に比べて薄くな
り、また、薄膜の比抵抗も低下するので、薄膜の抵抗値
のバラツキが増大してしまう。但し、シールドにより電
極に対するターゲット面を覆う面積の合計が18%未満
の場合には、形成された薄膜の膜厚分布の差は、シール
ドにより電極に対するターゲット面を覆う面積の合計が
31%の場合と比べて小さい。
【0017】また、本発明に係るスパッタリング装置に
おいて、シールドは、スパッタ原子が基板とは異なるス
パッタリング装置の他の領域に付着するのを防ぐために
通常設けられる防着板に取り付けることができる。この
とき、シールドを取り付けた防着板を接地すれば、形成
された薄膜の抵抗値のバラツキを低減する効果が高ま
る。さらに、シールドは、2次粒子によりもたらされる
衝撃により、他の素粒子を放出することがない物質によ
り構成されることが望ましいが、上記防着板と同じ材料
を好適に用いることができ、例えば、ステンレス等を使
用することができる。さらに、スパッタリング時の真空
度は、通常のスパッタリング装置と同様、10-4Pa程度
の真空度を達成することができればよい。
【0018】さらに、ターゲットを保持する支持台とし
ては、従来のスパッタリング装置に用いられるものであ
れば特に限定はされず、ターゲットを保持するとともに
ターゲットを水冷可能な水冷配管を持つ支持台を好適に
用いることができる。なお、水冷配管には、テフロン等
の絶縁物を用いるとともに電気抵抗の高い冷却水を用い
るとよい。また、支持台と対向する電極は、基板等を保
持できるものであればよい。さらに、ターゲットは、従
来、スパッタリング装置に適用された材料を使用するこ
とができる。例えば、サーマルプリントヘッドの発熱抵
抗体を形成する場合には、Τa−Si−O、Nb−Si
−OおよびTi−Si−N等からなるターゲットを使用
することができる。また、本発明に係るスパッタリング
装置においては、サーマルプリントヘッドの電極や保護
膜を形成することもでき、この場合には、例えば、Si
−O−N系のターゲット等の適切なターゲットを適宜選
択すればよい。
【0019】また、本発明に係るサーマルプリントヘッ
ドの製造方法は、スパッタリングを用いて基板上に発熱
抵抗体層を形成するサーマルプリントヘッドの製造方法
において、前記スパッタリングに際しターゲットより飛
散する2次粒子を前記基板に対して制御したことを特徴
としている。
【0020】本発明に係るサーマルプリントヘッドの製
造方法によれば、発熱抵抗体層を形成する際にターゲッ
トより飛散する2次粒子を基板に対して制御することに
より、例えば、発熱抵抗体の膜厚や特性等の分布をほぼ
均一にできるので、高い画質の画像を長期にわたり印刷
できるサーマルプリントヘッドの製造が可能となる。
【0021】発熱抵抗体層を形成する際にターゲットよ
り飛散する2次粒子を基板に対して制御する方法として
は、例えば、発熱抵抗体層の形成に用いるターゲットと
電極との間に、ターゲットと接触することなく、基板側
から見てその一部を覆うようなシールドを配置したスパ
ッタリング装置、好ましくは、本発明に係るスパッタリ
ング装置を適用すれば、ターゲットより飛散する2次粒
子の一部を基板に対して物理的に遮蔽できるので、基板
に対する2次粒子の制御を容易に実行することができ
る。また、このシールドを用いた場合には、ターゲット
の放出する輻射熱を2次粒子とともに制御することがで
きるので、発熱抵抗体の膜厚や特性等の分布をより均一
化することが可能となる。なお、本発明に係るサーマル
プリントヘッドの製造方法において、発熱抵抗体と接続
される電極や該発熱抵抗体および電極を被覆する保護膜
をスパッタリングにより形成する場合に、スパッタリン
グに際しターゲットより飛散する2次粒子を基板に対し
て制御するようにできることはいうまでもない。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に、本発明のスパッタリング
装置およびサーマルヘッドの製造方法の一実施形態を図
面を用いて詳細に説明する。
【0023】図1および図2は、スパッタリング装置の
断面図およびターゲットに対するシールドの形状を示す
よう基板側より概観した図である。
【0024】図1に示したように、真空容器1内の支持
台2上にはターゲット3が保持され、ターゲット3に対
向するように電極4に保持された基板5が配置されてい
る。また、陰極シールド6がターゲット3の表面より突
出するように設けられている。なお、基板5において、
ターゲット3におけるエロージョンの集中部と対向する
領域を5−Aおよび5−Eとし、ターゲット3における
エロージョンの非集中部と対向する領域を5−Cとし
た。
【0025】さらに、シールド7は、真空容器1内にス
パッタ原子が被着するのを防ぐ目的で設けられた防着板
8に取り付けられ、ターゲット3と基板5との間に配置
された。このとき、シールド7は接地された。また、シ
ールド7の形状は、図2に示した通りであり、ターゲッ
ト3におけるエロージョンの集中部と対向する領域の面
積を大きく、ターゲット3の中央部におけるエロージョ
ンの非集中部と対向する領域の面積を小さくするように
構成されている。ここでは、シールド7により、電極に
対するターゲット面の28%を覆うように構成した。
【0026】また、真空容器1の外部には、RF電源2
1、真空容器1内より排気を行う排気機構と接続された
排気口9および真空容器1内にスパッタガスを供給する
ガス導入機構と接続された導入口10が設けられてい
る。支持台2は銅(Cu)からなるとともに、内部にタ
ーゲット3を冷却するための冷却水を流通する水路11
が設けられており、ターゲット3の温度を制御できるよ
うにした。なお、支持台3は高周波が印加されるように
なっているが、ターゲット3の導電率によっては直流を
印加してもよく、特に高周波に限定されることはない。
また、真空容器1は、支持基板の仕込室とは独立してお
り、常に10-4Pa以下の高真空を維持するようになって
いる。
【0027】次に、図1および図2に示したスパッタリ
ング装置を用いて、基板上に薄膜を形成した(シールド
有)。なお、基板5はアルミナセラミックにグレーズガ
ラスが形成されたグレーズド基板とし、ターゲット3と
してΤaとSiO2 との焼結体を使用した。また、グレ
ーズガラスのガラス転移点は750℃、軟化点は950
℃である。
【0028】はじめに、排気口9を通じて真空容器1の
内部を10-5Pa以下に減圧するように排気した後、1Pa
程度のアルゴンガス(Αr)を導入口10を介して、流
量50sccmで導入した。次いで、ターゲット3に印加パ
ワー3〜5kWの条件で13.56MHzの高周波電力を供給
し、基板5を保持した電極4を搬送して行った。なお、
スパッタリングに要した時間は約3分である。一方、シ
ールド7を取り外した以外は、全ての条件を同一にし
て、基板5上に薄膜を形成した(シールド無)。次に、
基板5に形成された薄膜の膜厚、比抵抗および抵抗値
を、上記5−A〜5−Eの領域に対してそれぞれ測定し
た。
【0029】ここで、図3〜図5に測定結果を示す。図
3〜図5において、横軸は上記した基板の位置を表し、
縦軸は理論値とのずれを表したものである。なお、負の
値は理論値より減少したことを表し、正の値は理論値よ
り増加したことを表している。 図3〜図5より明らか
なように、図1および図2に示したスパッタリング装置
を用いて、基板上に薄膜を形成した(シールド有)場合
には、シールド7を取り外した場合(シールド無)と比
較して、薄膜の抵抗値のバラツキを約30%の範囲から
9%の範囲に低減することができた。また、薄膜の比抵
抗のバラツキを約59%の範囲から10%の範囲へ、膜
厚のバラツキを約22%の範囲から13%の範囲へ低減
することができた。
【0030】続いて、発熱抵抗体層となる薄膜上にAl
−Siからなる電極層を形成し、フォトエングレービン
グプロセスにより、発熱抵抗体層となる薄膜上に発熱部
を形成するようにAl−Siからなる個別電極5および
共通電極6を形成した。そして、発熱部、個別電極およ
び共通電極を被覆するSi−O−N系の保護層7を形成
して、図6に示した構成を備え、発熱抵抗体寸法が35
×60μmの製版機用サーマルプリントヘッドを製造し
た。
【0031】こうして製造したサーマルプリントヘッド
に、パルス幅0.4ms、繰り返し周期2.6msとし
て、連続的に0.30W/dotの電力のパルス印加を
行い、寿命特性試験を行った。その結果、図1および図
2に示したスパッタリング装置を用いて、基板上に薄膜
を形成した(シールド有)サーマルプリントヘッドの場
合には、3×107 回のパルス印加時においても、抵抗
値変化率は基板5の5A〜5Eの領域で最大+6.0%
に留まり、安定した特性を示した。一方、シールド7を
取り外して基板上に薄膜を形成した(シールド無)サー
マルプリントヘッドの場合には、3×107 回のパルス
印加時において、抵抗値変化率は基板5の5A〜5Eの
領域で最大+15%となり、大きな変動を示した。ま
た、これらのサーマルプリントヘッドにより、画像を印
刷したところ、上記(シールド有)サーマルプリントヘ
ッドの場合には、(シールド無)サーマルプリントヘッ
ドと比較して鮮明な画像を長時間にわたって印刷するこ
とができた。
【0032】このように、上記実施形態によれば、基板
上に形成された薄膜の膜厚や特性のバラツキを低減する
スパッタリング装置が得られ、さらに、該スパッタリン
グ装置を用いて製造されたサーマルプリントヘッドにお
いては、発熱抵抗体層の膜厚、比抵抗および抵抗値のバ
ラツキを大幅に低減することができた。
【0033】すなわち、スパッタリングによってターゲ
ットの表面に起こるエロージョンの集中により、基板面
に対する2次電子等の2次粒子の衝撃とターゲットより
放射される輻射熱が大きくなり、基板面に対する部域性
に差を生じることになるが、シールドによって、基板の
表面における2次電子等の2次粒子の衝撃や輻射熱が制
御されるため、ターゲットに対向して配置された基板に
おいて、膜厚、比抵抗および抵抗値のバラツキが小さく
なった。
【0034】また、サーマルプリントヘッドの発熱抵抗
体層の膜厚、比抵抗および抵抗値のバラツキによって生
じる寿命特性の差がなくなるとともに、抵抗値のバラツ
キが小さくなることから、従来、同じロットで製造され
たサーマルプリントヘッドにおいて、サーマルプリント
ヘッドの抵抗値に合わせて決定していた、サーマルプリ
ントヘッドを駆動するための駆動電圧もほぼ一定にでき
るようになった。
【0035】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明によるス
パッタリング装置によれば、ターゲットのエロージョン
が起こる場合でも、シールドにより、ターゲットより飛
散する2次粒子を電極に対して制御するので、電極に対
する2次粒子の動態、すなわち、2次粒子の量や運動エ
ネルギー等を電極に対して任意に調節することができ、
スパッタリングに際して電極上に配置される基板等に対
する2次粒子の作用を任意に調節することが可能なスパ
ッタリング装置を提供することができる。また、シール
ドにより、ターゲットの放出する輻射熱を2次粒子とと
もに制御することが可能なスパッタリング装置を提供す
ることができる。したがって、電極のどの領域において
も、ターゲットより飛散する2次粒子の量や運動エネル
ギー等が均一となるように制御することができるので、
ほぼ同一の特性を示す薄膜を形成できるスパッタリング
装置を提供することができる。
【0036】また、本発明によるサーマルプリントヘッ
ドの製造方法によれば、発熱抵抗体の膜厚や特性等の分
布をほぼ均一に制御するので、発熱抵抗体層における比
抵抗、膜厚および抵抗値の分布がほぼ均一化され、高い
画質の画像を長期にわたり印刷できるサーマルプリント
ヘッドの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スパッタリング装置の断面を示した図である。
【図2】ターゲットに対するシールドの形状を示すよう
基板側より概観した図である。
【図3】薄膜の抵抗値のバラツキを示した図である。
【図4】薄膜の比抵抗のバラツキを示した図である。
【図5】薄膜の膜厚のバラツキを示した図である。
【図6】サーマルプリントヘッドの構成を示した図であ
る。
【符号の説明】
1……真空容器 2……支持台 3……ターゲット 4……電極 5……基板 6……陰極シールド
7……シールド 8……防着板 9……排気口 10……導入口
11……水路 12……マッチング回路 13……マッチング箱 14……アルミナセラミックス製支持基板 15……
グレーズガラス層 16……発熱部 17……発熱抵抗体 18……個
別電極 19……共通電極 20……保護層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ターゲットを保持する支持台と、 前記支持台と対向する電極と、 前記電極に対し前記ターゲットより飛散する2次粒子を
    制御するシールドと、を具備したことを特徴とするスパ
    ッタリング装置。
  2. 【請求項2】 前記シールドは、前記ターゲットの放出
    する輻射熱をさらに制御することを特徴とする請求項1
    に記載のスパッタリング装置。
  3. 【請求項3】 前記シールドは、前記電極に対する前記
    ターゲット面の18%〜31%を覆うことを特徴とする
    請求項1または請求項2に記載のスパッタリング装置。
  4. 【請求項4】 スパッタリングを用いて基板上に発熱抵
    抗体層を形成するサーマルプリントヘッドの製造方法に
    おいて、 前記スパッタリングに際しターゲットより飛散する2次
    粒子を前記基板に対して制御したことを特徴とするサー
    マルプリントヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記スパッタリングに際し前記ターゲッ
    トの放出する輻射熱をさらに制御したことを特徴とする
    請求項4に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1320156C (zh) * 2002-12-25 2007-06-06 株式会社新柯隆 薄膜的制造方法及溅射装置
CN100406612C (zh) * 2004-03-19 2008-07-30 株式会社新柯隆 溅射装置及形成薄膜的方法
JP2009046735A (ja) * 2007-08-21 2009-03-05 Ulvac Japan Ltd スパッタ装置およびプラズマ処理装置

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