JPH10329214A - ポリプロピレン系フィルムのエンボス転写方法 - Google Patents

ポリプロピレン系フィルムのエンボス転写方法

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JPH10329214A
JPH10329214A JP8206298A JP8206298A JPH10329214A JP H10329214 A JPH10329214 A JP H10329214A JP 8206298 A JP8206298 A JP 8206298A JP 8206298 A JP8206298 A JP 8206298A JP H10329214 A JPH10329214 A JP H10329214A
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film
emboss
polypropylene
hardness
transfer
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JP8206298A
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Yuzo Sugita
裕三 杉田
Kazunori Shimada
一紀 島田
Yoji Inui
洋治 乾
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 折り曲げ、複雑な形状への張り付け等の二次
加工性が良好なポリプロピレン系フィルムに対して、フ
ィルム面の溶融による二次加工性の低下や外観不良がな
く、またエンボス転写性が良好なエンボス転写をおこな
う方法を提供する。 【達成手段】 ポリプロピレン系延伸フィルムよりなる
層が少なくとも一方の表層に存在し、フィルムの流れ方
向および該フィルムの流れ方向に対して直角となる方向
ともに引張弾性率が300〜2000MPaであるポリ
プロピレン系フィルムを、該ポリプロピレン系延伸フィ
ルムとなる層がエンボス面に接するように、表面硬度が
金属材料のショア硬さでHs10以上であるエンボス面
と表面硬度がデュロメーター硬さでD30以上であるニ
ップ面とを有するエンボス転写機を用い、エンボス転写
直後のフィルム表面温度が30〜150℃、エンボス転
写時の線圧が10〜60kg/cmとなるような加熱加
圧条件でエンボス転写することを特徴とするエンボス転
写方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、ポリプロピレン系
フィルムのエンボス転写方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、化粧シートは、インテリア建装部
材として数多く使用されている。これら化粧シートを構
成するフィルムには、ポリ塩化ビニルフィルムが主に使
用されてきた。しかし、近年、ポリ塩化ビニルフィルム
に含有される可塑剤などの各種有機物や、該フィルムを
焼却する際に発生する塩化水素ガスなどの物質が、環境
に悪影響を与えると指摘されている。そこで、特開平6
−16832号公報や特開平8−34105号公報に記
載されているように、ポリ塩化ビニルをオレフィン系熱
可塑性エラストマーやオレフィン系樹脂に代えた化粧シ
ートが提案されている。
【0003】しかしながら、上記公報で提案されている
オレフィン系熱可塑性エラストマーやオレフィン系樹脂
を使用した化粧シートは、折り曲げ、複雑な形状への張
り付け等の二次加工時に外観不良が生じやすいという問
題点を有していた。
【0004】本発明者らは、上記問題点を鑑み、折り曲
げ、複雑な形状への張り付け等の二次加工性が良好な、
ポリプロピレン系延伸フィルムを構成層として含む化粧
シートを提案した(特願平8−158534号)。
【0005】一方、化粧シートは、インテリア建装部材
として使用する際、エンボス転写をおこなうのが一般的
である。一般的な熱可塑性樹脂シートにエンボス転写を
おこなう方法として、特開昭56−166010号公報
にポリプロピレンシートのローラーエンボス転写方法
が、特開昭55−25397号公報に熱可塑性プラスチ
ックシートのエンボス転写方法が提案されている。
【0006】しかしながら、本発明者らが提案した化粧
シートに、上記公報に記載されているエンボス転写方法
を適用した場合、特開昭56−166010号公報に記
載されているエンボス転写方法では、フィルム面の溶融
により、該シートが有している二次加工性が損なわれる
といった問題があった。また、特開昭55−25397
号公報に記載のエンボス転写方法では、エンボス転写性
という点で、未だ改良の余地があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、折り曲げ、複雑な形状への張り付け等の二次加
工性が良好なポリプロピレン系フィルムに対して、フィ
ルム面の溶融による二次加工性の低下や外観不良がな
く、またエンボス転写性が良好なエンボス転写をおこな
う方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決するため鋭意研究を重ねた結果、折り曲げ、複
雑な形状への張り付け等の二次加工性が良好なポリプロ
ピレン系フィルムに対して、特定の表面硬度のエンボス
面とニップ面とを有するエンボス転写機を用い、さらに
特定の条件でエンボス転写をおこなうことにより、上記
課題が達成し得ることを見い出し、本発明を完成するに
至った。
【0009】すなわち、本発明は、ポリプロピレン系延
伸フィルムよりなる層が少なくとも一方の表層に存在
し、フィルムの流れ方向および該フィルムの流れ方向に
対して直角となる方向ともに引張弾性率が300〜20
00MPaであるポリプロピレン系フィルムを、該ポリ
プロピレン系延伸フィルムよりなる層がエンボス面に接
するように、表面硬度が金属材料のショア硬さでHs1
0以上であるエンボス面と表面硬度がデュロメーター硬
さでD30以上であるニップ面とを有するエンボス転写
機を用い、エンボス転写直後のフィルム表面温度が30
〜150℃、エンボス転写時の線圧が10〜60kg/
cmとなるような加熱加圧条件でエンボス転写すること
を特徴とするエンボス転写方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に使用されるポリプロピレ
ン系延伸フィルム原料のポリプロピレン系樹脂は、特に
制限されず、プロピレン単独重合体、プロピレンとプロ
ピレン以外のα−オレフィンとのランダム共重合体およ
びブロック共重合体の、1種または2種以上の混合物が
挙げられる。上記プロピレン以外のα−オレフィンとし
ては、炭素数2〜12のα−オレフィンが好ましく、エ
チレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4
−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜8のα−オレフ
ィンがより好ましい。これらポリプロピレン系樹脂のプ
ロピレンを由来とする単量体単位の含有量は、70モル
%以上であることが好ましく、80モル%以上であるこ
とがより好ましい。70モル%未満の場合は、得られる
フィルムの耐熱性が低下し、また熱収縮率が高くなるた
めに好ましくない。
【0011】また、上記ポリプロピレン系樹脂は、結晶
化度が5%以上のものが好ましく、結晶化度が20%以
上のものがより好ましく、結晶化度が30%以上のもの
がさらに好ましい。結晶化度が5%より低い場合は、フ
ィルムの耐熱性が低くなることにより該フィルムがエン
ボス面に粘着するため好ましくなく、さらに熱収縮率が
高くなることにより、他のポリプロピレンフィルムとの
積層体においてエンボス転写した場合に、カールが発生
し易くなるために好ましくない。
【0012】上記ポリプロピレン系樹脂の製造方法は、
公知の方法が何ら制限なく使用でき、例えば、TiC
l3、担持型TiCl3、メタロセン系触媒等の公知のポリ
プロピレン用重合触媒を用いて、上記した単量体を重合
する方法が挙げられる。また、上記触媒を用いて重合し
た後、過酸化物などで分解する方法をおこなってもよ
い。
【0013】また、上記ポリプロピレン系樹脂には、公
知の添加剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線
吸収剤、帯電防止剤、分散剤、塩素補足剤、難燃剤、結
晶化核剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤、離型剤、
顔料、有機物充填材、無機物充填材、中和剤、滑剤、分
解剤、金属不活性剤、汚染防止材、抗菌剤等を発明の効
果が損なわれない範囲で添加することができる。
【0014】また、本発明において、ポリプロピレン系
延伸フィルムは、単層フィルムであっても積層フィルム
であってもよい。
【0015】本発明において、上記ポリプロピレン系延
伸フィルムの製造方法は、上記特性を満足するような方
法を採用すればよいが、代表的な方法を例示すれば、ポ
リプロピレン系樹脂を溶融押出後さらに延伸する方法が
挙げられる。また、延伸方法としては、縦または横一軸
延伸方法、縦横逐次二軸延伸方法、同時二軸延伸方法、
圧延方法、カレンダー成形により成膜したシートを引き
続き少なくとも一方向に延伸する方法等が挙げられる
が、MD方向及びTD方向の物性のバランス、及び厚薄
精度を勘案すると、縦横逐次二軸延伸方法が好ましい。
【0016】また、上記ポリプロピレン系延伸フィルム
が積層フィルムの場合の製造方法は、各層を構成する樹
脂を共押出してその後、一軸あるいは二軸に延伸する方
法、または一層の樹脂を溶融押出して一軸延伸し、その
上に他層の樹脂を溶融押出して上記一軸延伸の方向とほ
ぼ直角方向に延伸する方法等が挙げられる。
【0017】上記延伸方法の延伸条件としては、面積延
伸倍率が2〜30倍であることが好ましい。特に、適度
な剛性と柔軟性及び伸度を付与するためには、面積延伸
倍率で4〜26倍での延伸がより好ましい。面積延伸倍
率が2より低いと、得られるフィルムの引張弾性率が低
く、ネッキングが生じたり、ネッキングが生じない場合
でも、フィルムが柔らかくなりすぎるために、二次加工
時にフィルムが局所だけ伸びるので好ましくない。面積
延伸倍率が30倍を越えると、得られるフィルムの引張
強度が高くなり、引張伸度が低くなるために、二次加工
する際に、フィルムが破れるなどの外観不良を生じやす
くなるため好ましくない。
【0018】また、MD方向、TD方向のそれぞれの延
伸倍率は、1.1〜8倍の範囲で適宜選択される。その
中でも、MD、TD方向の物性バランスを取り、柔軟
性、弾性を付与しさらに伸度を付与するためには、延伸
倍率が2〜6倍での延伸が好ましい。さらに、MD方
向、TD方向とも降伏点をもたなくなるようにするのが
好ましい。
【0019】本発明において使用されるポリプロピレン
系フィルムは、上記ポリプロピレン系延伸フィルムより
なる層が少なくとも一方の表層に存在するフィルムであ
れば、何ら制限はない。例示すれば、ポリプロピレン系
延伸フィルムのみのフィルム、または上記ポリプロピレ
ン系延伸フィルムが表層となるように積層した、ポリプ
ロピレン系延伸フィルムと無延伸ポリプロピレンとの積
層体が好適である。上記したポリプロピレン系延伸フィ
ルムと無延伸ポリプロピレンとの積層体の製造方法は、
特に制限されなく、押し出しラミネート法、ドライラミ
ネート法等の公知の方法が使用できる。
【0020】本発明において、上記ポリプロピレン系フ
ィルムの厚みは、二次加工性を勘案すると、30〜10
00μmであることが好ましく、50〜400μmであ
ることがより好ましい。また、上記したポリプロピレン
系延伸フィルムと無延伸ポリプロピレンとの積層体の場
合、二次加工性やエンボス転写性を勘案すると、ポリプ
ロピレン系延伸フィルムの厚みが、ポリプロピレン系フ
ィルム全体の厚みに対して、20%以上であることが好
ましく、30%以上であることがより好ましい。
【0021】本発明に使用されるポリプロピレン系フィ
ルムは、以下の物性によって特定される。即ちフィルム
の流れ方向(以下、MD方向と記す)および流れ方向に
対して直角となる方向(以下、TD方向と記す)ととも
に、引張弾性率が300〜2000MPaであることが
必要であり、350〜1800MPaであることが好ま
しい。引張弾性率が300MPaより小さい場合は、該
フィルムの延伸配向が低くなることにより耐熱性が低下
し、エンボス転写時にエンボス面に粘着を起こし易くな
るために好ましくない。一方、引張弾性率が2000M
Paより大きい場合は、エンボス転写性が低下するため
に好ましくない。
【0022】また、本発明のポリプロピレン系フィルム
は、以下の性質を有することが好ましい。すなわち、該
フィルムの120℃における、100%伸度時の引張応
力が、4〜100MPaであることが好ましく、5〜8
0MPaであることがより好ましい。該引張応力が4M
Paより小さい場合はエンボス転写性が低下し、該引張
応力が100MPaより大きい場合はエンボス戻りが発
生し易くなるために好ましくない。
【0023】本発明のエンボス転写方法は、ポリプロピ
レン系フィルムのポリプロピレン系延伸フィルムよりな
る層がエンボス面に接するように、本発明で規定する特
定の条件下で、特定の硬度を有するエンボス面およびニ
ップ面を有するエンボス転写機を使用すれば、公知の方
法が採用される。好ましくは、エンボス面およびニップ
面を加熱するエンボス転写機による方法が好適である。
具体的には、平板プレス機、ロールエンボス機等による
方法が挙げられ、生産性を勘案すると、ロールエンボス
機が好ましい。また、エンボス面およびニップ面の熱源
は、公知のものが特に制限されず使用できる。具体的に
は、蒸気、熱水、熱媒、電熱、誘電加熱等を挙げること
ができる。
【0024】本発明のエンボス転写方法は、下記の条件
によっておこなわれる。すなわち、本発明において、エ
ンボス転写直後のフィルムの表面温度は、30〜150
℃であることが必要であり、35〜100℃であること
が好ましい。該フィルムの表面温度が150℃より高い
場合は、該フィルムの表面が溶融し、外観不良がおきる
ために好ましくない。一方、該フィルムの表面温度が3
0℃より低い場合は、エンボス転写性が低下するために
好ましくない。なお、本発明において、エンボス転写直
後のフィルムの表面温度は、加熱されたエンボス面から
フィルムが離れた時から、特別な冷却を行わない状態
で、0.1〜2秒後のフィルムの表面温度であり、一般
的には該フィルムがエンボス面から30mm離れたとき
に測定されるフィルムの表面温度である。
【0025】また、本発明において、エンボス転写時の
線圧は、10〜60kg/cmであることが必要であ
り、20〜40kg/cmであることが好ましい。エン
ボス転写時の線圧が60kg/cmより高い場合は、フ
ィルムの表面が溶融し、外観不良がおきるために好まし
くない。一方、エンボス転写時の線圧が10kg/cm
より低い場合は、エンボス転写性が低下するだけでな
く、熱収縮が発生し易くなるために好ましくない。
【0026】本発明のエンボス転写方法において、エン
ボス面の表面硬度は特定の範囲であることが必要であ
る。すなわち、エンボス面の表面硬度は、金属材料のシ
ョア硬さでHs10であることが必要であり、Hs20
以上であることが好ましい。エンボス面の表面硬度がH
s10より柔らかい場合は、エンボス転写性が低下する
ために好ましくない。エンボス面の材質は、上記の表面
硬度を有するものであれば、特に制限されず、また20
0〜250℃での連続使用に耐えるものが好ましい。エ
ンボス面の材質を具体的に例示すると、鉄、銅、クロム
メッキ、テフロン等を挙げることができる。
【0027】本発明のエンボス転写方法において、ニッ
プ面の表面硬度は特定の範囲であることが必要である。
すなわち、ニップ面の表面硬度は、デュロメーター硬さ
でD30以上であることが必要であり、D40以上であ
ることがより好ましい。ニップ面の表面硬度がD30よ
り小さい場合は、エンボス転写性が低下するために好ま
しくない。ニップ面の材質は、上記の表面硬度を有する
ものであれば、特に制限されず、また150℃での連続
使用に耐えるものが好ましい。ニップ面の材質を具体的
に例示すると、ゴム、シリコン、テフロン等を挙げるこ
とができる。
【0028】以下にロールエンボス機による本発明のエ
ンボス転写方法の一例を説明する。第1図は、本発明を
実施するために適した装置の一例を示す概略図である。
ロール巻されたポリプロピレン系フィルム1は、ロール
エンボス機を構成する、所定の温度に加熱されたエンボ
スロール2とニップロール3の隙間に導入し、対ロール
の押圧力によりシートがエンボス転写される。フィルム
の走行速度(ロールの回転速度)は、ロールの表面温度
と、生産性、エンボス転写性等を勘案すると、1〜50
m/分であることが好ましく、3〜30m/分であるこ
とがより好ましい。また、該フィルムの走行速度範囲に
おいて、エンボスロールの表面温度は、140〜190
℃であることが好ましく、150〜180℃であること
がより好ましい。エンボスロール表面温度が190℃よ
り高い場合は、該フィルム表面が溶融し、外観不良を発
生し易くなるために好ましくない。一方、エンボスロー
ル表面温度が140℃より低い場合は、エンボス転写性
が低下するために好ましくない。ニップロールの表面温
度は、特に制限されないが、10〜150℃の範囲で、
適宜選択される。
【0029】上記方法において、ニップロールを平滑ロ
ールとした場合は、片面にエンボス転写することがで
き、該ニップロールをエンボスロール表面と同様な彫刻
を施すと両面にエンボス転写することができる。
【0030】エンボス転写されたフィルムは、複数の冷
却ロール4をへて冷却固定される。次にエンボス転写さ
れたフィルムは巻き取り装置5に導かれて巻き取られ
る。比較的厚いフィルムを使用する場合、ロールエンボ
ス機を構成するロールだけで均一な予熱が困難な場合
は、エンボスロールによるエンボス転写前に、予熱ロー
ルや赤外線ヒータ等による予熱を併用することが好まし
い。
【0031】エンボスロール上のエンボス模様は、いか
なる形状であってもよい。エンボス模様の深さは、フィ
ルムの厚みによって異なるが、片面エンボス転写を施す
場合、フィルムの厚みに対して、エンボス模様の深さが
10〜100%であることが好ましく、20〜80%で
あることがより好ましい。エンボス模様の深さが、フィ
ルムの厚みに対して、10%より低い場合は、立体感等
の外観が不充分となり易いために好ましくない。一方、
エンボス模様の深さが100%より高い場合は、エンボ
ス転写後のフィルムに反りが発生し易くなるために好ま
しくない。両面エンボス転写を施す場合は、エンボス模
様の深さが、フィルムの厚みに対して、5〜50%であ
ることが好ましく、10〜40%であることがより好ま
しい。エンボス模様の深さが、フィルムの厚みに対して
5%より低い場合は、立体感等の外観が不充分となり易
いために好ましくない。エンボス模様の深さが、40%
より高い場合は、エンボス転写後にフィルム切れが発生
し易くなるために好ましくない。
【0032】
【発明の効果】本発明のエンボス転写方法は、特定の硬
度のエンボス機およびニップ機を用い、特定の条件下で
おこなうことにより、折り曲げ、複雑な形状への張り付
け等の二次加工性が良好なポリプロピレン系フィルムに
対して、フィルム面の溶融による二次加工性の低下や外
観不良がなく、またエンボス転写性が良好なエンボス転
写をおこなうことができる。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例を掲げて説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。なお、以下の実施例及び比較例におけるフィル
ム物性、ロール表面硬度の測定、エンボス転写方法、及
びエンボス転写性評価については下記の方法により行っ
た。
【0034】(1)エンボスロールの表面硬度 エンボスロールの表面硬度は、金属材料のショアー硬さ
試験方法、JIS−Z2246に準じ以下の方法で測定
した。試料の試験面上に一定の高さから落下させたハン
マの跳ね上がり高さに比例する値を次式から求めた。
【0035】HS=140(h/h0) (h0:ハンマーの落下高さ、h:ハンマーの跳ね上が
り高さ) (2)ニップロールの表面硬度 ニップロールの表面硬度は、デュロメーター硬さAST
M−D2240に準じ以下の方法で測定した。試料の試
験面を加圧する加圧面、加圧面の中心に設けた孔からバ
ネによって突き出されている押針がゴム面によって押し
戻される距離を硬さとして求めた。
【0036】(3)引張弾性率 JIS−K7113に準じ、以下の方法で測定した。
【0037】フィルムから幅10mm、長さ100mm
のサンプルを切り出し、サンプルの両端を引張強度測定
機(オートグラフ;島津製作所製)のチャックで固定し
た。この場合、サンプルの長さ方向のチャック間隙が2
0mmになるように調整した。引張速度20mm/mi
nで引張試験を行い、引張応力−歪み曲線を作成した。
【0038】引張弾性率は引張応力−歪み曲線の初めの
直線部分を用いて、次の式によって計算した。なおサン
プルは、MD、TD両方向について測定した。
【0039】Em=Δδ/Δε Em:引張弾性率 Δδ:直線上の2点間の、サンプルの元の平均断面積に
よる応力の差 Δε:同じ2点間の歪みの差 (4)引張応力測定 JIS−K7113に準じ、以下の方法で測定した。
【0040】フィルムから幅10mm、長さ100mm
のサンプルを切り出し、120℃の雰囲気下でサンプル
の両端を引張強度測定機(オートグラフ;島津製作所
製)のチャックで固定した。この場合、サンプルの長さ
方向のチャック間隙が40mmになるように調整した。
雰囲気温度が120℃に達してから3分後に引張速度3
00mm/minで引張試験を行い、伸度100%(チ
ャック間距離が80mmの時点)のときの引張応力を求
めた。
【0041】(5)エンボス転写方法 第1図に示したようなエンボス転写装置を用いて、表3
に示す条件で行った。用いたエンボスロールは、直径1
50mmの木目調のエンボス模様のロールであり、エン
ボスロールの表面硬度は、金属材料のショア硬さでHs
25であった。また、ニップロールは、直径200mm
のものを用いた。エンボス転写直後のフィルム表面温度
は、第1図のAポイント(フィルムがエンボスロールよ
り離れてから30mmの地点)でエンボス転写面を接触
式表面温度計を用いて行った。
【0042】(6)エンボス転写率の測定 第1図のエンボス転写装置で、厚さ200μの紙にエン
ボス転写を行い、そのエンボス断面のエンボス深さを光
学顕微鏡を用いて測定し、その深さを標準形状1とし
た。一方、ポリプロピレン系フィルムのエンボス深さも
光学顕微鏡を用いて測定し、標準形状1に対するエンボ
ス転写率を測定し表1のように転写性を評価した。
【0043】
【表1】
【0044】実施例1〜5 表2、3に示したポリプロピレン系フィルム(積層体は
ドライラミネート法により積層した)を、表3に示した
条件でエンボス転写を行い、そのエンボス転写性及びエ
ンボス転写面の表面状態を評価し結果を表3に併せて示
した。
【0045】比較例1 実施例1に示したポリプロピレン系フィルムを、表面硬
度がA75であるニップロールを用い、エンボス転写直
後のフィルム表面温度を55℃となるような条件でエン
ボス転写を行った以外は、実施例1と同様にしてエンボ
ス転写を行い、そのエンボス転写性及びエンボス転写面
の表面状態を評価し結果を表3に示した。
【0046】比較例2 実施例2に示したポリプロピレン系フィルムをエンボス
転写直後のフィルム表面温度を25℃となるような条件
でエンボス転写を行った以外は、実施例2と同様にして
エンボス転写を行い、そのエンボス転写性及びエンボス
転写面の表面状態を評価し結果を表3に示した。
【0047】比較例3 実施例2に示したポリプロピレン系フィルムを表面硬度
がA75であるニップロールを用い、エンボス転写直後
のフィルム表面温度を45℃となるような条件でエンボ
ス転写を行った以外は、実施例2と同様にしてエンボス
転写を行い、そのエンボス転写性及びエンボス転写面の
表面状態を評価し結果を表3に示した。
【0048】比較例4 実施例2に示したポリプロピレン系フィルムをニップ線
圧を5kg/cmとする以外は、実施例2と同様にして
エンボス転写を行い、そのエンボス転写性及びエンボス
転写面の表面状態を評価し結果を表3に示した。
【0049】比較例5 表3に示した構成でポリプロピレン系フィルムをドライ
ラミネート法により積層し、表3に示した条件でエンボ
ス転写を行い、そのエンボス転写性及びエンボス転写面
の表面状態を評価し結果を表3に併せて示した。
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のエンボス転写方法の代表的な態様を
示す断面図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリプロピレン系延伸フィルムよりなる層
    が少なくとも一方の表層に存在し、フィルムの流れ方向
    および該フィルムの流れ方向に対して直角となる方向と
    もに引張弾性率が300〜2000MPaであるポリプ
    ロピレン系フィルムを、該ポリプロピレン系延伸フィル
    ムよりなる層がエンボス面と接するように、表面硬度が
    金属材料のショア硬さでHs10以上であるエンボス面
    と、表面硬度がデュロメーター硬さでD30以上である
    ニップ面とを有するエンボス転写機を用い、エンボス転
    写直後のフィルム表面温度が30〜150℃、エンボス
    転写時の線圧が10〜60kg/cmとなるような加熱
    加圧条件でエンボス転写することを特徴とするエンボス
    転写方法。
JP8206298A 1997-03-31 1998-03-27 ポリプロピレン系フィルムのエンボス転写方法 Pending JPH10329214A (ja)

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JP2007076059A (ja) * 2005-09-12 2007-03-29 Dainippon Printing Co Ltd エンボス加工装置およびエンボス加工方法

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