JPH10328314A - 温熱治療用セメント材料及び温熱治療用インプラント材 - Google Patents

温熱治療用セメント材料及び温熱治療用インプラント材

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JPH10328314A
JPH10328314A JP9160400A JP16040097A JPH10328314A JP H10328314 A JPH10328314 A JP H10328314A JP 9160400 A JP9160400 A JP 9160400A JP 16040097 A JP16040097 A JP 16040097A JP H10328314 A JPH10328314 A JP H10328314A
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JP
Japan
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powder
crystal
alumina
thermotherapy
methacrylate
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Application number
JP9160400A
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English (en)
Inventor
Seiichi Morita
誠一 森田
Takehiro Shibuya
武宏 渋谷
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Nippon Electric Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Electric Glass Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 所望の形状への成型が容易であり、印加磁場
方向によらず安定な加温が可能で、サイズによらず十分
な発熱量を得ることができ、しかも生体内に埋入したと
きに自然骨と結合して長期使用に耐えることができる温
熱治療材料を提供する。 【解決手段】 少なくともδ−Al23 結晶、γ−A
23 結晶又は非結晶性アルミナを構成成分として含
むアルミナ粉末と、強磁性体粉末と、メタクリレート系
ポリマーとの複合体からなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、癌の治療に使用する温
熱治療用のセメント材料及びインプラント材に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】癌細胞の致死感受性は42℃以上で、正
常細胞の致死感受性は48℃以上である。この癌細胞と
正常細胞の温度感受性の差を利用して、腫瘍部を43〜
45℃に加温することによって癌細胞を壊死させる治療
法を温熱治療(ハイパーサーミア)という。
【0003】従来の加温方法で主流をなすものは電磁波
を用いるRF波誘電加温法やマイクロ波加温法で、生体
自身に熱を発生させるものである。これらの方法では、
RF波やマイクロ波の生体への侵入深さが高々数センチ
メートルであるため、生体深部の加温が困難である。ま
た生体組織のインピーダンスの不均一性等により、異常
高温領域(hot spot)が発生するという問題が
ある。したがって癌細胞のみを有効に加温することが困
難である。
【0004】このため、最近は腫瘍の選択的加温法の開
発が望まれ、腫瘍内に直接発熱体を刺入する試みがなさ
れている。この様な発熱体としては、Fe−Pt合金や
感温フェライトと呼ばれるような強磁性材料で針状のも
のが報告されている。また、生体活性を有するガラス中
にマグネタイトの結晶を析出させた生体活性強磁性結晶
化ガラスの報告もある。これらの発熱体は生体内に減衰
することなく侵入する磁力線を利用している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】針状の合金やフェライ
トは渦電流損によって発熱するため、発熱体と平行に磁
場を印加しなければならない。従って、材料の大きさや
形状が限られており、数本の発熱体を工夫して配置する
ようにして埋入しなければならない等の不都合がある。
生体活性強磁性結晶化ガラスは、所望の形状に加工する
手間がかかることと、析出させるマグネタイト結晶の量
に限界があり、サイズが小さい場合には発熱量が不十分
であるという問題点がある。
【0006】本発明の目的は、所望の形状への成型が容
易であり、印加磁場方向によらず安定な加温が可能で、
サイズによらず十分な発熱量を得ることができ、しかも
生体内に埋入したときに自然骨と結合して長期使用に耐
えることができる温熱治療材料を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は種々の検討
を行った結果、セメント材料やインプラント材中に特殊
なアルミナ粉末と強磁性体粉末を含有させることによ
り、上記目的が達成できることを見いだし、本発明とし
て提案するものである。
【0008】即ち、本発明の温熱治療用セメント材料
は、少なくともδ−Al23 結晶、γ−Al23
晶又は非結晶性アルミナを構成成分として含むアルミナ
粉末と、強磁性体粉末と、メタクリレート系モノマーを
含有してなることを特徴とする。
【0009】また本発明の温熱治療用インプラント材
は、少なくともδ−Al23 結晶、γ−Al23
晶又は非結晶性アルミナを構成成分として含むアルミナ
粉末と、強磁性体粉末と、メタクリレート系ポリマーの
複合体からなることを特徴とする。
【0010】
【作用】骨腫瘍の病巣を掻爬した部分に本発明の温熱治
療用セメント材料や温熱治療用インプラント材を充填・
埋入した後、患部を交流磁場内に置くと、強磁性体粉末
が磁気ヒステリシス損失により発熱して患部を温熱治療
することができる。
【0011】また材料中に含まれるアルミナ粉末は、自
然骨を誘導する能力があるため、本発明のセメント材料
やインプラント材は自然骨と結合することができる。し
かもこのアルミナ粉末は生体内でイオンを放出しないた
めに粉末の劣化が起こらず、強度が低下し難い。
【0012】以下、本発明の温熱治療用セメント材料に
ついて説明する。
【0013】セメント材料に使用するアルミナ粉末は、
従来より広く使用されている生体活性のないアルミナ粉
末とは異なるものである。即ち、従来のアルミナ粉末
は、安定なα−Al23 の結晶構造を有しているが、
本発明で使用するアルミナ粉末は少なくともδ−Al2
3 結晶、γ−Al23 結晶又は非結晶性アルミナが
存在する活性なアルミナである。なお生体活性の点か
ら、アルミナ粉末中のδ−Al23 結晶、γ−Al2
3 結晶及び非結晶性アルミナの占める割合が30重量
%以上であることが望ましい。またアルミナ粉末は、小
さいほど高強度のインプラント材が得られるので好まし
く、具体的には10μm以下のものが好ましい。またそ
の表面をシランカップリング処理しておくと、モノマー
との馴染みがよくなって硬化体の強度が大きくなるとと
もに、粉末表面が疎水基を持つために血液の阻害性がな
くなり、硬化し易くなる。
【0014】上記アルミナ粉末は次のようにして作製す
ることができる。まず結晶構造がα−Al23 である
通常のアルミナ粉末を用意する。このアルミナ粉末は平
均粒径D50が10μm以下のものを使用する。次いで、
アルミナ粉末を1500℃以上、好ましくは2000℃
以上に急加熱して溶融、ガラス化した後、急冷する。こ
のようにして少なくともδ−Al23 結晶、γ−Al
23 結晶又は非結晶性アルミナを含む化学的に不安定
な、即ち生体活性のあるアルミナ粉末を得ることができ
る。なおアルミナ粉末の粒径を10μm以下としたの
は、粒径が大きくなると急熱急冷が困難になって安定な
α−Al23 が析出し易くなり、10μmを超えると
α−Al23 結晶の析出量が30重量%以上を占め、
化学的に安定な、即ち生体活性の低いアルミナ粉末とな
ってしまうためである。
【0015】強磁性体粉末としては、生体材料分野で広
く研究されているマグネタイト(Fe34 )が好まし
いが、これに限定されるものではなく、生体に有害なイ
オンを含まない任意の強磁性フェライト、例えばリチウ
ムフェライト(LiFe58 )、マグネシウムフェラ
イト(MgFe24 )等を用いることもできる。また
強磁性体粉末は小さいほど高強度の硬化物が得られるの
で好ましいが、超常磁性となる50nm以下であっては
ならない。好適な範囲は1〜10μmである。さらに粉
末表面をシランカップリング処理しておくと、メタクリ
レート系モノマーとの馴染みが良くなって硬化物の強度
が大きくなるとともに、粉末表面が疎水性を持つために
血液の阻害性がなくなり、材料が硬化しやすくなる。
【0016】なおアルミナ粉末と強磁性体粉末の含有割
合は、重量比で15:85〜75:25であることが望
ましい。これはアルミナ粉末の含有量がこの範囲より多
くなると温熱治療材料としての十分な発熱量が得難くな
り、また強磁性体粉末がこの範囲より多くなると骨と結
合する能力が低下し易くなるためである。
【0017】メタクリレート系モノマーは、多官能性モ
ノマーであり、重合すると非常に機械的強度の高いポリ
マーとなる。メタクリレート系モノマーとしては、入手
が容易で、生体為害性が無く、しかも3次元的に重合し
て高強度のポリマーとなる2,2−ビス[4−(3メタ
クリロキシ−2−ハイドロキシプロポキシ)フェニル]
プロパン(Bis−GMA)や、ハンドリング性のよい
メチルメタクリレート(MMA)が好ましい。またこれ
以外にも、2,2−ビス(4−メタクリロキシフェニ
ル)プロパン(BPDMA)、2,2−ビス(4−メタ
クリロキシエトキシフェニル)プロパン(Bis−ME
PP)、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキ
シフェニル)プロパン(Bis−MPEPP)、ジウレ
タンジメタクリレート(UDMA)、トリメチロールプ
ロパントリメタクリレート(TMPT)、ネオペンチル
グリコールジメタクリレート(NPG)等を使用するこ
とができる。またモノマーの粘度が高すぎて取り扱いに
くい場合、粘度の低いモノマーとともに使用すればよ
い。この様なモノマーとしては、トリエチレングリコー
ルジメタクリレート(TEGDMA)が好ましいが、こ
れ以外にもジエチレングリコールジメタクリレート(D
EGDMA)、エチレングリコールジメタクリレート
(EGDMA)等の重合性モノマーを使用することが可
能である。なお材料中、モノマーの占める割合は10〜
40重量%であることが好ましい。
【0018】また上記成分の他、Ca含有無機材料粉末
を含有させておくことができる。Ca含有無機材料粉末
は、アルミナ粉末の生体活性を補うために添加する成分
であり、例えばCaを含有するガラスや結晶化ガラス、
燐酸カルシウム化合物、炭酸カルシウム等からなるもの
が使用できる。特にCaを含有するガラスや結晶化ガラ
スは、生体内でCaイオンを溶出して高い生体活性を示
す。このようなガラスとして、特に重量百分率でCaO
30〜70%、SiO2 30〜70%、P25
0〜40%、MgO 0〜20%、CaF2 0〜5
%、特にCaO40〜50%、SiO2 30〜40
%、P25 10〜20%、MgO 0〜10%、C
aF2 0〜2%の組成を有するガラス又は結晶化ガラ
スが好ましい。また燐酸カルシウム化合物としては、C
aHPO4 、Ca3 (PO42 、Ca5 (PO43
OH、CaP411、Ca(PO32 、Ca22
7 、Ca4 O(PO42 、Ca10(PO46 (O
H)2 、Ca(H2 PO42・H2 O等を主成分とす
るものである。なおCa含有無機材料粉末は球状である
ことが好ましい。
【0019】これ以外にも、操作性向上や物理的・化学
的特性向上のために、シリカ粉末、アルミナ粉末、ジル
コニア粉末、上記以外のガラス粉末や結晶化ガラス粉
末、コロイダルシリカ、薬剤、骨形成因子等種々の成分
を必要に応じて適宜添加することができる。
【0020】またモノマーにメチルメタクリレートを使
用する場合、容易に硬化させるためにポリメチルメタク
リレート(PMMA)粉末を10〜70重量%含有させ
ることが望ましい。
【0021】さらに重合方法に応じて種々の添加剤を添
加することができ、例えば光重合させる場合は重合開始
剤(光増感剤)を、化学重合させる場合は重合開始剤、
重合促進剤、重合抑制剤等を添加することができる。
【0022】重合開始剤としては,例えば有機過酸化物
を挙げることができ、ジアシルパーオキサイド類やパー
オキシエステル類が好ましく、ベンゾイルパーオキサイ
ド、2,4−ジクロルベンゾイルパーオキサイド、m−
トリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエ
ート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘ
キサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ[(o−ベンゾ
イル)ベンゾイルパーオキシ]ヘキサン、トリ−n−ブ
チルボラン等を使用することができる。光重合させる場
合には、光増感剤としてα−ジケトン類、例えばカンフ
ァーキノンを用いることができる。これらの重合開始剤
の添加量はモノマー100重量部に対して0.1〜5重
量部であることが望ましい。
【0023】重合促進剤としては、芳香環に直接アミノ
基が結合している第3級アミンが好ましく、N,N−ジ
メチル−p−トルイジン、N,N−ジメチルアニリン、
N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アニリン、
N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)アニリン、N,N
−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,
N−ジ(2−ヒドロキシプロピル)アニリン、N,N−
ジ(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン等を使
用することができ、その添加量はモノマー100重量部
に対して0.1〜5重量部であることが望ましい。
【0024】重合抑制剤としては、フェノチアジンやそ
の誘導体を添加することができる。フェノチアジンやそ
の誘導体は、生体に対する毒性が殆ど無く、また比較的
少量で目的とする硬化時間に調節でき、しかも硬化時間
を長くしても作業時間が長くなるのみで、ゲル化開始か
ら硬化終了までの時間には殆ど影響を与えないため重合
抑制剤としては好ましいものである。重合抑制剤を添加
する場合、その添加量はモノマー100重量部に対して
10ppm〜0.2重量部が適当である。
【0025】なお本発明の温熱治療用セメント材料の提
供形態には、1ペースト系(光重合型)、2ペースト系
(化学重合型)、粉末−液体系(化学重合型)等があ
り、ユーザーは光を照射したり、ペースト同士或いは粉
末と液体を混練して使用する。何れの形態を採用するか
は種々の条件を考慮して決定すればよい。例えばモノマ
ーにメチルメタクリレートを使用した場合は、2ペース
ト系では硬化し難いため、粉末−液体系を選択すればよ
い。
【0026】次に本発明の温熱治療用インプラント材料
について説明する。
【0027】本発明の温熱治療用インプラント材は、上
記したセメント材料と同組成の複合材料を硬化させたも
のであり、少なくともδ−Al23 結晶、γ−Al2
3結晶又は非結晶性アルミナを構成成分として含むア
ルミナ粉末と、強磁性体粉末と、メタクリレート系ポリ
マーの複合体からなるものである。
【0028】このようなインプラント材は次のようにし
て製造することができる。
【0029】まず強磁性体粉末とメタクリレート系モノ
マーを含有する複合材料を用意する。ここで生体活性を
高めるために種々のCa含有無機材料粉末を添加した
り、操作性向上や物理的・化学的特性向上のために、複
合材料中にシリカ粉末、アルミナ粉末、ジルコニア粉
末、上記以外のガラス粉末や結晶化ガラス粉末、コロイ
ダルシリカ、薬剤、骨形成因子等を添加することができ
る。またメタクリレート系モノマーにメチルメタクリレ
ートを使用する場合、容易に硬化させるためにポリメチ
ルメタクリレート(PMMA)粉末を添加することが望
ましい。
【0030】さらに重合方法に応じて種々の添加剤を添
加することができ、例えば光重合させる場合は重合開始
剤(光増感剤)を、化学重合させる場合は重合開始剤、
重合促進剤、重合抑制剤等を添加することができる。
【0031】次に複合材料を所望の使用形態に調製す
る。使用形態には、粉末−液体系、1ペースト系、2ペ
ースト系等があり、何れの形態を採用するかは種々の条
件を考慮して決定すればよい。
【0032】続いて複合材料を所望の形状に成形し、そ
の形状を保ったまま硬化を完了させる。ラジカル重合型
の場合、粉末と液体或いはペースト同士を混練すると硬
化が始まるため、硬化完了までに所望の形状に成形す
る。光重合型の場合は紫外線等を照射すると硬化し、熱
重合型の場合は60〜120℃程度の温度に加熱すると
硬化するため、これらのタイプでは予め成形してから光
を照射したり、加熱すればよい。なお硬化させる際に
は、求める寸法よりやや大きい型の中で硬化させること
が好ましい。型は、テフロン製のものが脱型し易く好ま
しい。
【0033】このようにして、少なくともδ−Al2
3 結晶、γ−Al23 結晶又は非結晶性アルミナを構
成成分として含むアルミナ粉末と、強磁性体粉末と、メ
タクリレート系ポリマー、或いはさらにCa含有無機材
料粉末等を含有する複合体からなる温熱治療用インプラ
ント材を得ることができる。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
する。
【0035】(実施例1)表1は本発明の温熱治療用セ
メント材料の実施例を示している。
【0036】
【表1】
【0037】[試料の調製]試料No.1〜3は次のよ
うにして調製した。
【0038】まず結晶構造がα−Al23 である通常
のアルミナ粉末(平均粒径3μm)を用意した。次いで
この粉末を2000℃以上の火炎中に供給して溶融しな
がら吹き飛ばした後、水中で急冷することによって、δ
−Al23 結晶、γ−Al23 結晶及び非結晶性ア
ルミナを構成成分として含むアルミナ粉末を得、2つに
等分した。このようにして得られたアルミナ粉末は、表
面張力により球状になっていた。またX線回折の結果、
粉末中にはさらにα−Al23 結晶が含まれていた
が、その含有量は5〜10重量%程度であった。
【0039】また平均粒径10μmのマグネタイト(F
34 )粉末を用意し、1重量%のγ−メタクリロキ
シプロピルトリメトキシシランを添加してタンブラーミ
キサーにて20分間混合した。その後、120℃で2時
間乾燥させることにより、表面にシラン処理を施したマ
グネタイト粉末を得た。
【0040】次に、メタクリレート系モノマーとしてB
is−GMAとTEGDMAを重量比で1:1の割合で
混合し、等分した。さらに一方の混合液にジメチル−p
−トルイジンとフェノチアジンを添加し、もう一方の混
合液にベンゾイルパーオキサイドを添加した。このよう
にして2ペースト系の試料を得た。
【0041】なお、試料中の各粉末及びモノマーの混合
量は表に示す割合(重量%)とした。またベンゾルパー
オキサイド、ジメチル−p−トルイジン、フェノチアジ
ンの添加量は、約7分で硬化するように、それぞれモノ
マーの総量100重量部に対して2重量部、1.4重量
部、300ppmとした。
【0042】試料No.4は次のようにして調製した。
【0043】まず上記と同様にしてアルミナ粉末及びマ
グネタイト粉末を用意した。さらに平均粒径30μmの
PMMA粉末を用意し、両粉末を混合するとともに、ベ
ンゾルパーオキサイドを添加した。
【0044】またモノマーとしてMMAを用意し、さら
にジメチル−p−トルイジンを添加した。このようにし
て粉末−液体系の試料を得た。
【0045】[評価]こうして得た各試料について、硬
化物の圧縮強度、生体骨との結合の有無、及び生体内で
の発熱について評価した。
【0046】硬化物の圧縮強度は、JIS T6602
(歯科用リン酸亜鉛セメント)に準じて測定したもので
あり、試料を混練して所定の型に流し込んで1時間放置
して硬化させ、次いで型から取りだし、疑似体液に24
時間浸漬した後、濡れ圧縮強度を測定した。生体骨との
結合の有無は次のようにして評価した。まず、日本白色
ウサギ(体重2.5kg)の脛骨に形成した直径4m
m、深さ30mmの欠損部に、混練した試料を充填埋入
し、硬化させた。さらに埋入12週後に屠殺し、セメン
トの周辺組織を摘出して生体骨との結合の有無を顕微鏡
で観察した。生体内での発熱については次のようにして
評価した。試料埋入1週後のウサギの患部に、種々の強
度の交流磁場(周波数100kHz)を印加し、15分
経過後の材料表面(図1の測定点A)温度を測定した。
またNo.1の試料については、さらに皮質骨と軟部組
織の界面における温度(図1の測定点B〜D)について
も測定し、交流磁場印加後の温度変化について測定し
た。(図2)
【0047】表から明らかなように、試料No.1〜4
の各試料は、圧縮強度が100MPa以上と高く、実用
上十分な強度を有しており、また全ての試料において生
体骨との結合が認められた。さらに何れの試料も材料表
面温度が45℃以上であり、温熱治療に十分な発熱温度
が得られた。しかも図2のグラフから、試料No.1
は、磁場印加約5分後に温度がほぼ平衡に達し,材料周
辺の骨の温度は全ての測定点(測定点B〜D)で43℃
以上に達することが明かとなった。なお本実施例では、
160〜250Oeの磁場強度で温熱治療に必要な発熱
量が得られたが,埋入する材料のサイズが小さい場合で
も強磁性体粉末の含有量を増加させたり、磁場強度を大
きくする等の方法で必要な発熱量を容易に得ることがで
きる。
【0048】(実施例2)試料No.5は、本発明のイ
ンプラント材の実施例を示すものである。
【0049】[試料の調製]試料No.5は次のように
して作製した。
【0050】まず実施例の試料No.1と同様にして、
2つのペーストを作製した。その後、両者を混練し、内
径4mm、深さ30mmのテフロン製型内に入れて硬化
させた後、脱型し、表面の未重合層を取り除き、120
℃でさらに加熱硬化後、ダイヤモンドカッター及びダイ
ヤモンドバーにより形状を整え、試料を得た。
【0051】[評価]こうして得た試料No.5につい
て、圧縮強度、生体骨との結合の有無、及び生体内での
発熱について評価した。
【0052】圧縮強度はJIS T6602(歯科用リ
ン酸亜鉛セメント)に準じて測定したものであり、直径
6mm、長さ12mmの大きさに成型した試料を疑似体
液に24時間浸漬した後、濡れ圧縮強度を測定した。生
体骨との結合の有無は次のようにして評価した。まず、
日本白色ウサギ(体重2.5kg)の脛骨に形成した直
径4mm、深さ30mmの欠損部に試料を刺入した。さ
らに埋入12週後に屠殺し、試料の周辺組織を摘出して
生体骨との結合の有無を顕微鏡で観察した。生体内での
発熱については実施例1と同様にして測定した。
【0053】その結果、試料No.5は、圧縮強度が2
20MPaと高く、また生体骨との結合が認められた。
さらに材料表面温度が45℃であり、温熱治療に十分な
発熱温度が得られた。
【0054】
【発明の効果】本発明の温熱治療用セメント材料は、手
術時に腫瘍掻爬部に合わせて自由に形状を変えることが
でき、また温熱治療用インプラント材は、金属、セラミ
ックス、結晶化ガラス等からなるインプラント材に比べ
て所望の形状への成型が容易である。
【0055】しかも本発明の材料は、印加磁場方向によ
ることなく安定な加温が可能であり、強磁性粉末の含有
量を調節したり、磁場強度を調節することによって十分
な発熱量を得ることができる。また機械的強度が高いた
め、荷重のかかる部位に使用することができる。さらに
は生体活性を有するアルミナ粉末を含有しているため
に、生体骨との化学的な結合が可能であり、長期使用に
も耐えることができる。さらに機械的強度が高く、強度
の低下も少ないため、荷重のかかる部位に使用すること
ができる。
【0056】それゆえ骨腫瘍のような深部癌の治療に適
用することが可能であり、また繰り返し治療や再発癌の
治療にも有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の材料をウサギの脛骨に充填埋入した状
態を示す断面図である。
【図2】各測定点における温度変化を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1 試料 2 皮質骨 3 軟部組織 A 測定点A B 測定点B C 測定点C D 測定点D

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともδ−Al23 結晶、γ−A
    23 結晶又は非結晶性アルミナを構成成分として含
    むアルミナ粉末と、強磁性体粉末と、メタクリレート系
    モノマーを含有してなることを特徴とする温熱治療用セ
    メント材料。
  2. 【請求項2】 強磁性体粉末が、マグネタイト(Fe3
    4 )粉末であることを特徴とする請求項1の温熱治療
    材用セメント材料。
  3. 【請求項3】 Ca含有無機材料粉末を含有してなるこ
    とを特徴とする請求項1の温熱治療用セメント材料。
  4. 【請求項4】 メタクリレート系モノマーが、2,2−
    ビス[4−(3メタクリロキシ−2−ハイドロキシプロ
    ポキシ)フェニル]プロパンとトリエチレングリコール
    ジメタクリレートであることを特徴とする請求項1の温
    熱治療用セメント材料。
  5. 【請求項5】 重合開始剤、重合促進剤及び重合抑制剤
    を含有してなることを特徴とする請求項4の温熱治療用
    セメント材料。
  6. 【請求項6】 メタクリレート系モノマーが、メチルメ
    タクリレートであることを特徴とする請求項1の温熱治
    療用セメント材料。
  7. 【請求項7】 ポリメチルメタクリレート粉末、重合開
    始剤及び重合促進剤を含有してなることを特徴とする請
    求項6の温熱治療材用セメント材料。
  8. 【請求項8】 少なくともδ−Al23 結晶、γ−A
    23 結晶又は非結晶性アルミナを構成成分として含
    むアルミナ粉末と、強磁性体粉末と、メタクリレート系
    ポリマーの複合体からなることを特徴とする温熱治療用
    インプラント材。
  9. 【請求項9】 強磁性体粉末が、マグネタイト(Fe3
    4 )粉末であることを特徴とする請求項8の温熱治療
    用インプラント材。
  10. 【請求項10】 Ca含有無機材料粉末を含有してなる
    ことを特徴とする請求項8の温熱治療用インプラント
    材。
  11. 【請求項11】 メタクリレート系ポリマーが、2,2
    −ビス[4−(3メタクリロキシ−2−ハイドロキシプ
    ロポキシ)フェニル]プロパンとトリエチレングリコー
    ルジメタクリレートの重合体であることを特徴とする請
    求項8の温熱治療用インプラント材。
  12. 【請求項12】 メタクリレート系ポリマーが、ポリメ
    チルメタクリレートであることを特徴とする請求項8の
    温熱治療用インプラント材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102009042036A1 (de) * 2009-09-17 2011-03-31 Verein zur Förderung von Innovationen durch Forschung, Entwicklung und Technologietransfer e.V. (Verein INNOVENT e.V.) Lichthärtende, biokompatible und biologisch abbaubare Polymermischung
JP2011511684A (ja) * 2008-02-11 2011-04-14 マグフォース ナノテクノロジーズ アーゲー ナノ粒子を含む移植可能な製品

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