JPH10327859A - 真核生物細胞における翻訳開始の制御 - Google Patents

真核生物細胞における翻訳開始の制御

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JPH10327859A
JPH10327859A JP10127313A JP12731398A JPH10327859A JP H10327859 A JPH10327859 A JP H10327859A JP 10127313 A JP10127313 A JP 10127313A JP 12731398 A JP12731398 A JP 12731398A JP H10327859 A JPH10327859 A JP H10327859A
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JP10127313A
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Christoph Dr Huels
クリストフ・ヒュルス
Gallert Dr Karl-Christian
カルル−クリスティアン・ガレルト
Kiy Dr Thomas
トマス・キイ
Steinbrueck Dr Guenther
ギュンター・シュタインブリュック
Korah Jacob Dr Naduparambil
ナドゥパラムビル・コラー・ヤコブ
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    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、真核生物細胞における蛋白質の発現に影響を
及ぼす方法であって、翻訳開始を調節するためのRNA
配列要素を変え、それらの相互作用に影響を及ぼす方法
に関し、ここで該RNA配列要素は、 −リボソーム小サブユニットのrRNA3’末端の第一
ループ中に含まれ、及び/または −これらの要素に部分的に相補的であり、mRNAのリ
ーダー配列領域に含まれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般に真核生物細
胞における蛋白質合成の速度に影響を及ぼす方法に関す
る。特に、本方法は真核生物の発現系における翻訳開始
に影響を及ぼすことに関する。
【0002】
【従来の技術】翻訳が、転写後の遺伝子発現過程の第二
の部分を構成することは知られている。翻訳によって、
mRNAの形で複写されたヌクレオチド配列が蛋白質の
アミノ酸配列に翻訳される。翻訳は一般に更に4つの段
階に分けられる:1.アミノ酸の活性化;2.導入段階
あるいは開始;3.伸長段階あるいは延長;4.終結段
階あるいは終止。原理的には、全ての段階が翻訳に影響
を及ぼすために適している。
【0003】開始段階の間、開始tRNA、mRNA及
びリボソーム小サブユニット(真核生物では40S、原
核生物では30S)が、数種の特殊な蛋白質(開始因
子)の触媒効果の下で結合して、開始複合体を形成す
る。
【0004】mRNAは、通常5’末端の近傍に位置
し、ほとんど常に配列AUGを有する開始コドンでtR
NAに結合する。mRNAのリボソーム小サブユニット
への結合は、原核生物と真核生物で違いがある。この違
いの一つは、原核生物では、翻訳が正しく開始するため
には16SrRNAの3’末端とmRNA上のシャイン
・ダルガノ配列との塩基対形成が必要とされることであ
る。シャイン・ダルガノ配列は、その中心がAUG開始
コドンの5’末端からおよそ8から13ヌクレオチドの
距離に位置する、プリンに富む(3−9個のプリンヌク
レオチド)配列である。
【0005】真核生物の場合には、有効な開始のための
重要な必要条件として、それぞれのmRNAの5’−末
端のキャップ構造への近づきやすさ、すなわちmRNA
のリーダー配列(5’側の非翻訳領域、あるいは5’U
TR)の二次構造が、キャップ結合蛋白質の結合を可能
とする程度がある。この近づきやすさはmRNAのリー
ダー配列領域の二次構造によって制御されているが、こ
の構造はまた、リボソームの40Sサブユニットの結
合、及び、開始コドンに向かっての走査のためにも非常
に重要である。すなわち、mRNAの5’末端の最も近
くに位置するAUGコドンを開始コドンとして同定し、
従って、メチオニンをコードする他の内部のAUGコド
ンと開始コドンAUGを識別する。
【0006】この、いわゆるリボソームの走査段階を別
にすると、原核生物におけるシャイン・ダルガノ配列の
ような、リボソームとmRNAとの間の直接な配列特異
的相互作用について、真核生物においては事実上何も知
られていない。ただ一例、哺乳動物細胞において、重鎖
(heavy chain)結合蛋白質(BiP)をコードするm
RNAのリーダー配列領域の5’末端がリボソームとの
内部結合メカニズムに関与しており、このメカニズムが
翻訳の正しい開始における役割を担っている、という報
告がある(Macejak,D.G., P.Sarnow(1991); 細胞内mR
NAの5’−リーダーによる翻訳の内部開始(Internal
initiation of translation by the 5'-leader of a ce
llular mRNA))。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、真核
生物の発現系における翻訳開始の効率、従って特定の蛋
白質が合成される速度に特異的な影響を及ぼすために用
いることができるような、方法を利用可能にし、ならび
に、構造及び配列のモチーフを見いだすという目的に基
づいていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】方法に関しては、請求項
1の特徴を持たせることによってこの目的を達成した。
下位の請求項及び使用に関する請求項は有利な具体例及
び応用に関する。
【0009】本発明の出発点は、リボソームRNA分子
の二次構造は原核生物及び真核生物の進化の過程で非常
に良く保存されてきたという既知の事実であった。これ
らの二次構造の安定性は、本質的にワトソン−クリック
塩基対及び分子の折りたたみによって形成されるダブル
ヘリックス領域に基づいている。これらヘリックス領域
の安定性が分子の機能のために重要であることは、ヘリ
ックス領域でしばしば補正的な変異が見られるという事
実から知ることができる。このことは、ヘリックスを不
安定化させる変異が起こる場合には、潜在的な相補部位
での第二の補正的な塩基置換によってこの不安定化が修
正されることを意味する。選択によって、長期の分子の
安定性が減少せず、この安定性に基づく機能が最適な方
法で保存される。
【0010】図1は、リボソーム小サブユニットのrR
NAにおけるヘリックス50の補正的変異の例を示す
(Neefs, J-M., Y. Van de Peer, P. De Rijk, S. Chap
elle,R. De Wachter (1993):リボソーム小サブユニッ
トのRNA構造の編集(Compilation of small ribosoma
l subunit RNA structures); Nucl. Acids Res. 21 (1
3) 4171-4184のモデルに従う)。(16SrRNAの
3’末端に隣接して位置する)ヘリックス50の対にな
った配列間の短い非−ヘリックス配列セグメントは、実
質的な配列の保存を示している。ここに含まれる4連配
列UGAAは、図1に挙げた全ての繊毛虫の種、ならび
にヒトを含む密接な相関性のない多くの真核生物の種に
見いだすことができる。図1の下2列からわかるよう
に、高度に保存された4連配列は1個の塩基置換によっ
て対応する真核生物の配列と異なっているが、対応する
配列セグメントは細菌及びミトコンドリアのrRNAと
すら類似している。
【0011】保存されたループはrRNA分子の3’末
端の先端に位置するため、その重要性は(例えばリボソ
ーム蛋白質の結合のための)コンフォーメーションのみ
にあるわけではないことが考えられた。これらの配列要
素が重要な機能を有しているという事実は、真核生物m
RNAの対応するリーダー配列領域との比較から知るこ
とができる。図2は、3種の繊毛虫遺伝子から転写され
るmRNAの5’リーダー配列を示す。開始コドンAU
Gをイタリック体で示す。リボソーム小サブユニットの
リボソームRNAの3’末端にある4連配列UGAAに
相補的なUUCA配列に下線を引いた。α−2−チュー
ブリン及びβ−1−チューブリンをコードするヒポトリ
ッチ(hypotrich)繊毛虫スチロニシア レムナ(Stylo
nychia lemnae)のmRNA、及びカルモジュリンをコ
ードするヒメノストマル(hymenostomal)繊毛虫テトラ
ヒメナ ピリフォルミス(Tetrahymena pyriformis)の
mRNAの5’リーダー配列において、リボソーム小サ
ブユニットの高度に保存された4連配列UGAAに相補
的なこの配列UUCAが、それぞれのmRNAのAUG
開始コドンから5’方向に2から17ヌクレオチドの距
離に見いだされる。リボソームRNAにおける記載のル
ープ構造は、mRNA分子のリーダー領域と塩基対を形
成することによって翻訳の開始における役割を担ってい
ることが示される。このことは、mRNAの5’リーダ
ー領域に二次構造要素を導入すると翻訳が阻害されると
いう事実と一致する(Sagliocco, F.A., M.R.Vega Las
o, D.Zhu, M. F Tuite, J.E.G.McCarthy, A.J.Brown(19
93):酵母における翻訳でのリボソームのmRNAへの
結合に対する5’二次構造の影響(The influence of 5'
secondary structures upon ribosome binding to mRN
A during translation inyeast.) J. Biol. Chem. 268
(35), 26522-25630)。こうした阻害の程度は構造の安
定性に依存する。
【0012】この配列要素の位置、相補性及び進化過程
での安定性が全て原核生物におけるシャイン・ダルガノ
配列の対応する性質に非常に類似していることは印象的
である。
【0013】本発明の基礎になるものは、mRNAのリ
ボソーム小サブユニットへの結合の原因であり、rRN
Aの3’末端のループに位置する配列要素に対する、m
RNAのリーダー配列領域の相補性、従って親和性を変
えることは、mRNAのリーダー配列領域のセグメント
における塩基配列を変えることによって達成できるとい
う認識である。ここから発して、問題のリーダー配列セ
グメント中の配列を適当に選択することによって、開始
速度、従って蛋白質が生合成される速度にも影響を及ぼ
すことが可能である。
【0014】先に記載した配列要素を基礎として、翻訳
開始の効率に特異的に影響を及ぼす他の可能性として、
16SRNAの3’末端にある第一のループにおけるr
RNAの配列、従ってまたmRNAのリーダー配列への
結合のためのその相補性及び親和性を特異的に変えるこ
とがある。
【0015】塩基配列を変えるために適した配列要素
は、上記の高度に保存された(rRNA上の)4連配列
UGAA及び(mRNAのリーダー配列中の)UUCA
の周辺に位置し、いずれの場合も5’及び3’の双方向
に8から15ヌクレオチドにわたって延ばすことができ
る(mRNAの場合、開始コドンAUGが4連配列UU
CAから十分離れている場合は3’方向のみ)。その場
合、本発明に係る配列要素は、4(高度に保存された4
連配列のみ)から34(5’及び3’の双方向に15ヌ
クレオチドずつ延ばした4連配列)ヌクレオチドにわた
ることができるが、常に高度に保存された4連配列を示
す。
【0016】それぞれの配列要素における塩基配列はそ
れぞれ高度に保存された4連配列領域の外側にある塩基
で、またこの領域内にある塩基で、別々に、また同時に
変えることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】それぞれの制御RNA配列要素の
塩基配列の実際の特異的な変更は、それ自体が既知のオ
リゴヌクレオチド指向性のインビトロの突然変異誘発の
ための方法を用い、それぞれの遺伝子配列に対してDN
Aレベルで行う。
【0018】対応するrRNAまたはmRNA転写産物
が真核生物細胞における翻訳開始のための目的の機能を
果たすことができるために、適当な様式で特異的に”変
異した”遺伝子配列を真核生物細胞中に導入するための
組み換え方法を用いなければならない。
【0019】この目的のために適当なクローニング戦略
の個々の段階は当技術分野で既知のものである。それぞ
れのrRNAまたはmRNA配列要素をコードするDN
Aの断片化、またその結果挿入されうる遺伝子の断片化
は、特異的な制限消化の手段により、適当なmRNA鋳
型上でcDNA合成を行うことにより、あるいは(比較
的短い配列要素の場合、または高レベルのインビトロ突
然変異誘発が必要とされる場合には)直接的な化学合成
により行うことができる。
【0020】平滑または接着末端のライゲーションによ
るDNAとベクターの結合、リンカー分子の使用及びホ
モポリマー尾部のカップリングは当技術分野で既知であ
る。
【0021】好適な宿主/ベクター系の選択は、特にク
ローニングを実施する目的に依存する。
【0022】好適な真核生物宿主細胞は、原理的には当
技術分野において本目的のために知られる全ての植物及
び動物細胞、また真菌類、原虫類、微藻類(microalga
e)のような真核微生物である。本発明においては繊毛
虫が好適に用いられる。
【0023】繊毛虫は、原核生物のように培養すること
ができ、それによって比較的短い世代時間で、自動的複
製の手段で個々の細胞から同一のクローンが成長できる
単細胞の動物真核生物である。この過程の間に、いくつ
かの種の場合には連続的またはバッチ培養で非常に高い
細胞密度を達成することができる。さまざまに分化した
2種の細胞核がほとんど全ての繊毛虫細胞で見いだされ
る:すなわち、転写段階で不活性な通常は二倍体の小さ
な微小核と、通常は非常に大きくDNAに富む大核であ
る。微小核は、原理的には生殖における機能を有してい
る:すなわち、接合の間、これらは減数分裂によって半
数体の生殖核をつくる。ゲノムが永久的に転写されてい
ることと関連して、大核は細胞内の全ての体細胞過程を
調節する。これに加えて、ほとんど全ての繊毛虫の大核
の遺伝子は、大なり小なり増幅されており、これが正常
条件下でさえも高い発現率につながる。考慮中の遺伝子
及び繊毛虫の種に依存して、そのコピー数は数百万まで
高くなりうる。いくつかの遺伝子が増幅される程度は、
適当な方法で更に増加させることができる。
【0024】繊毛虫種は、特にDNA複製、転写とプロ
セシング、翻訳とその制御、エンドサイトーシスとエキ
ソサイトーシスの過程等において、真核生物に典型的な
ほとんど全ての性質を示すため、その独特のゲノム構成
から、制御効果を有するゲノム成分を調べ、特に単離す
るために特に好適である。
【0025】考慮しうるベクターは、当技術分野で真菌
類、植物及び動物細胞に適したベクターである。酵母細
胞に適した多数の酵母プラスミドは、これらの細胞を宿
主として使用する場合に用いることができる。エピソー
ム型(YEps)及び組み込み型酵母プラスミド(YI
ps)を別として、クロモソームに組み込まれず、自発
的にクロモソーム外で複製することから、複製酵母プラ
スミド(YRps)が特に好ましい。植物細胞に好適な
ベクターの例は、Tiプラスミドのようなプラスミド、
あるいはカリフラワーモザイクウイルスのようなウイル
スである。ウイルス(例えば昆虫の場合のバキュロウイ
ルス、パピローマウイルス及びSV40)及びプラスミ
ド(SV40ゲノムの一部を含有するハイブリッドベク
ターが好ましい)はまた、動物細胞にも好適である。
【0026】好ましい具体例において、本発明の宿主と
して好適に用いられる繊毛虫に対するベクターとして、
プラスミドpRT103gusを使用する。このプラスミドはア
ンピシリン耐性、カリフラワーモザイクウイルス35S
プロモーター、大腸菌β−グルクロニダーゼ遺伝子のコ
ード領域及びポリアデニル化のシグナルを有している。
【0027】DNAを宿主細胞中に導入するために好適
な方法の選択は、宿主細胞とベクターの組み合わせに依
存する。DNAを細胞中に挿入するためのベクターとし
てウイルスまたは他の感染性病原体のような生物的系を
使用することができるが、あるいはクローン化したベク
ターを直接宿主細胞中に導入することもできる。動物細
胞は比較的弱く、従って容易に形質転換させることがで
きるが、植物細胞は単純なDNAの導入を妨害する固い
細胞壁を有している。しかしながら、酵素的に細胞壁を
除くと、例えばエレクトロポレーションによって形質転
換することができるプロトプラストになる。この技術で
は、電気刺激により細胞膜が一時的に透過性のものにな
り、DNAが膜を通過することができる;この後、プロ
トプラストがもう一度再生する。もう一つの形質転換の
方法では、DNAを細胞中に機械的に挿入する。非常に
微細な針を用い、DNAを細胞または核内に直接挿入す
るためにマイクロインジェクション法が用いられる。
【0028】真核生物の形質転換に習慣的に用いられる
方法を使用すると、本発明で好適に用いられる繊毛虫/
pRT103gusの宿主/ベクター系では、形質転換の率は低
いか、起こらないことが示された。更に、当技術分野で
これまで首尾よく用いられてきたいくつかの選択マーカ
ーが繊毛虫では利用できないことがわかった。この理由
は、繊毛虫細胞は複合的で安定な外皮構造に囲まれてい
るという事実と明らかに関連している。
【0029】当技術分野で最近知られるようになり、固
くて堅固な細胞壁によって囲まれた植物細胞の形質転換
にうまく用いられた方法(Sandford, J.C., F.D. Smit
h, J.A.Russel(1993): Methods in Enzymology 217, 48
3-509)、すなわち、いわゆる遺伝子銃を用いたマイク
ロキャリアー衝撃法(microcarrier bombardment)がD
NA導入を好結果に達成するために好適であることが見
いだされた。この方法では、細胞はDNAを被覆したマ
イクロ運搬体(microcarriers)またはマイクロ発射体
(microprojectiles)により衝撃される。このために、
マイクロ発射体(一般に重金属粒子)に導入されるべき
DNAを被覆する。次いでマイクロ発射体をマクロ発射
体に装填し、これが火薬または推進ガスによってピスト
ルから発射され、砲口の先端で穴の開いた隔壁に当た
る。この隔壁がマクロ発射体を止め、ミクロ発射体が開
口を通過できるようにさせ、その後これが細胞に衝突
し、DNAを細胞内部に挿入する。
【0030】本発明においては、マイクロ発射体として
金粒子を使用する。繊毛虫を形質転換するためのこの方
法の使用は、ドイツ特許出願第196 26 564.9号に記載さ
れている。
【0031】本発明に従い、遺伝子を発現ベクターに組
み込んで、制御配列要素のための遺伝子で真核生物細胞
を一旦形質転換すると、形質転換された細胞は広範囲の
影響を受けうる。
【0032】もし翻訳開始を望みの程度に、従って蛋白
質合成を望みの速度になるように適合させたこうした配
列要素遺伝子が、発現ベクター中の特定の蛋白質のため
の構造遺伝子の上流に形質転換されると、この蛋白質
は、強力なプロモーターの影響下で転写の誘導が増加し
た後、mRNAが転写物である場合、高頻度で翻訳が開
始され、これが収量の増加につながる。
【0033】蛋白質合成を望みの速度になるように適当
に調節した上記のリボソームRNA配列要素を生物内に
導入すると、リボソーム上で翻訳される全ての蛋白質の
合成速度に影響を及ぼすことができる。
【0034】一方、形質転換は、その発現産物が特定の
発酵過程における特定の基質を分解または再生する酵素
を構成する数種の構造遺伝子を挿入するために利用する
ことができる。当技術分野で既に知られている蛋白質デ
ザインの可能性を用い、部位指向性のインビトロの突然
変異誘発の手段で、最終的にはそれぞれの酵素の触媒活
性を決定する構造遺伝子のための特定の配列を得ること
ができる。本発明は、それぞれの場合に実際の構造遺伝
子の上流に位置する配列要素を含むリーダー配列遺伝子
の配列を特異的に選択することによって、それぞれの酵
素の転写速度、従って他の酵素に対するその濃度比率を
特定する更なる可能性を提供する。このことから、特定
の発酵過程のために、最大の収量を達成する目的で、触
媒活性及びその濃度比率の双方において最適にこの過程
に関与する酵素を適合させることが可能になる。
【0035】しかしながら、反対に、発現した場合に、
リーダー配列中に存在する制御配列要素に対してアンチ
センスRNAのように親和性を有し、この要素を妨害す
る短い転写物を供給するDNAセグメントを形質転換す
る発現ベクターを用いて蛋白質の発現を阻害することも
でき、それによってリボソーム小サブユニットの3’末
端のループに位置する高度に保存された配列セグメント
UGAAへのmRNAの結合が阻害される。
【0036】逆の過程、すなわち形質転換されたDNA
セグメントの転写物が、その配列がリボソームサブユニ
ットの3’末端のループ上の高度に保存された結合部位
を妨害することができ、従って4連配列UUCAを含有
することが好ましいmRNAのリーダー配列領域からの
短い配列を産する過程によって、同様の効果を達成する
ことができる。
【0037】原理的には、リボソームRNA小サブユニ
ットの3’末端で4連配列UGAAを有する第一のルー
プに、あるいは4連配列UUCAを有し、開始コドンA
UGの近傍に位置するリーダー配列要素に高い結合親和
性を示すいずれの化合物を用いても、真核生物細胞にお
ける翻訳開始、従って蛋白質生合成の選択的な阻害を達
成することが可能である。このことは、細菌の調節にお
ける抗生物質に類似する、選択的に働く試薬が当技術分
野で知られていない病原性の真核微生物及び寄生虫の調
節において、特に重要である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はリボソーム小サブユニットのrRNAに
おけるヘリックス50の補正的突然変異の例を示す。
【図2】図2は3種の繊毛虫遺伝子から転写されたmR
NAの5’リーダー配列を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 598036735 D−65926 Frankfurt am Main,Germany (72)発明者 カルル−クリスティアン・ガレルト ドイツ連邦共和国61184 カルベン,レン デラー・シュトラーセ 91 (72)発明者 トマス・キイ ドイツ連邦共和国65929 フランクフルト, ローレライシュトラーセ 14 (72)発明者 ギュンター・シュタインブリュック ドイツ連邦共和国72108 ロッテンブルク, クロップストックヴェーク 5 (72)発明者 ナドゥパラムビル・コラー・ヤコブ ドイツ連邦共和国72076 チュービンゲン, フィッヒテンヴェーク 18

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真核生物細胞における蛋白質の発現に影
    響を及ぼすための方法であって、 − リボソーム小サブユニットのrRNAの3’末端の
    第一ループに含まれるRNA配列要素及び/または、 − これらの要素に部分的に相補的であり、かつ、mR
    NAのリーダー配列領域に含まれるRNA配列要素を翻
    訳の開始を制御するために変更し、そして、それらの相
    互作用に影響を及ぼすことを含む方法。
  2. 【請求項2】 制御配列要素をコードするDNAセグメ
    ントを含有する組み換えDNAが、適当な発現ベクター
    を使用して真核生物細胞に転移される、請求項1に記載
    の方法。
  3. 【請求項3】 翻訳開始の効率を、それぞれの場合に蛋
    白質合成の所望の速度に特に適合させたDNAセグメン
    トの塩基配列を使用して調節する、請求項1または2に
    記載の方法。
  4. 【請求項4】 組み換えDNAが、高度に保存された配
    列UGAAを含有する制御rRNA配列要素をコードす
    るDNAセグメントを含有する、請求項1から3のいず
    れかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 組み換えDNAが、高度に保存された配
    列UGAAにおいて少なくとも1個の塩基置換を含有す
    る制御rRNA配列要素をコードするDNAセグメント
    を含有する、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】 組み換えDNAが、高度に保存された配
    列UUCAを含有する制御mRNA配列要素をコードす
    るDNAセグメントを含有する、請求項1から3のいず
    れかに記載の方法。
  7. 【請求項7】 組み換えDNAが、配列UUCAにおい
    て少なくとも1個の塩基置換を含有する制御mRNA配
    列要素をコードするDNAセグメントを含有する、請求
    項1から3のいずれかに記載の方法。
  8. 【請求項8】 組み換え蛋白質の調製のための組み換え
    DNAが、これらの蛋白質のための構造遺伝子、及び、
    発現産物が高収量になるように適合させた塩基配列を含
    有するDNAセグメントを含有する、請求項1から3及
    び6のいずれかに記載の方法。
  9. 【請求項9】 組み換え蛋白質が酵素である、請求項8
    に記載の方法。
  10. 【請求項10】 DNAセグメントの配列が、適当なリ
    ボソーム上で翻訳される宿主系の全ての蛋白質の高速の
    合成に適合している、請求項1から4のいずれかに記載
    の方法。
  11. 【請求項11】 制御mRNA配列要素に相補的なアン
    チセンスRNAを転写物として提供するDNAセグメン
    トを、宿主細胞における翻訳を阻害するために使用す
    る、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  12. 【請求項12】 mRNAのリーダー配列領域に位置
    し、かつ、4連配列UUCAを含有する、短いRNAフ
    ラグメントを転写物として提供するDNAセグメント
    を、宿主細胞における翻訳の開始を阻害するために使用
    する、請求項1から3及び6のいずれかに記載の方法。
  13. 【請求項13】 真核生物細胞が形質転換した繊毛虫細
    胞を含む、請求項1−12のいずれかに記載の方法。
  14. 【請求項14】 リボソーム小サブユニットにおけるr
    RNAの3’末端の第一ループに位置する少なくとも一
    個の制御真核生物RNA配列要素を転写物として提供す
    るDNAセグメントが挿入された、真核生物宿主細胞を
    形質転換することが可能なベクター。
  15. 【請求項15】 mRNAのリーダー配列領域に位置
    し、かつ、リボソーム小サブユニットのrRNAの3’
    末端の第一ループの制御rRNA配列要素に部分的に相
    補的な少なくとも一個の制御真核生物RNA配列要素を
    転写物として提供するDNAセグメントが挿入された、
    真核生物宿主細胞中に形質転換されることが可能なベク
    ター。
  16. 【請求項16】 リボソームRNA小サブユニットの
    3’末端に4連配列UGAAを含有する第一のループに
    高い結合親和性を示す、真核生物細胞における翻訳の開
    始を選択的に阻害するために適当な化合物。
  17. 【請求項17】 4連配列UUCAを含有し、開始コド
    ンAUGの近傍に位置するリーダー配列要素に高い結合
    親和性を示す、真核生物細胞における翻訳の開始を選択
    的に阻害するために適当な化合物。
  18. 【請求項18】− リボソーム小サブユニットのrRN
    Aの3’末端の第一ループに含まれる制御RNA配列要
    素及び/または − これらの配列要素に部分的に相補的であり、かつ、
    mRNAのリーダー配列領域に含まれる制御RNA配列
    要素の、真核生物細胞における蛋白質の発現に影響を及
    ぼすための使用。
  19. 【請求項19】 該配列要素が、それぞれの場合に蛋白
    質合成の所望の速度に適合した塩基配列の変更を含有す
    る、請求項18に記載の制御RNA配列要素の使用。
  20. 【請求項20】 mRNAのリーダー配列領域に含ま
    れ、かつ、リボソーム小サブユニットの3’末端の第一
    ループ中のrRNAに部分的に相補的である制御配列要
    素に相補的なアンチセンスRNAの、真核生物細胞にお
    ける蛋白質の翻訳を阻害するための使用。
  21. 【請求項21】 リボソーム小サブユニットのrRNA
    の3’末端の第一ループに含まれるrRNAに相補的な
    RNAセグメントの、真核生物細胞における翻訳を阻害
    するための使用。
  22. 【請求項22】− リボソーム小サブユニットのrRN
    Aの3’末端の第一ループに含まれる制御RNA配列要
    素及び/または、 − これらの配列要素に部分的に相補的であり、かつ、
    mRNAのリーダー配列領域に含まれる制御RNA配列
    要素をコードするDNAセグメントを含有する組み換え
    DNAを含む発現ベクターの、真核生物細胞を形質転換
    するための使用。
  23. 【請求項23】 リボソームRNA小サブユニットの
    3’末端に4連配列UGAAを含有する第一のループに
    高い結合親和性を示す化合物の、真核生物細胞における
    翻訳の開始を選択的に阻害するための使用。
  24. 【請求項24】 4連配列UUCAを含有し、開始コド
    ンAUGの近傍に位置するリーダー配列要素に高い結合
    親和性を示す化合物の、真核生物細胞における翻訳の開
    始を選択的に阻害するための使用。
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