JP2004524031A - 合成遺伝子、およびCpGを欠く細菌プラスミド - Google Patents

合成遺伝子、およびCpGを欠く細菌プラスミド Download PDF

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Abstract

本発明は、CpGを完全に欠き、CpGを含まない合成遺伝子を細菌大腸菌内で発現しうる新規な一連の細菌プラスミドベクターに関する。

Description

【技術分野】
【0001】
発明の分野
本出願は、合成遺伝子、およびCpGを完全に欠くプラスミドに関する。
【背景技術】
【0002】
技術背景
プラスミドは基本的に細菌に見出される遺伝子成分で、デオキシリボ核酸分子から構成され、通常は環状でありその複製は自律的でゲノムDNAの複製からは独立している。非常に多様な細菌から単離された天然のプラスミドは、様々な細胞機能を果たす能力を有する。まず第一にすべてのプラスミドに極めて重要なことは、ゲノムDNAの複製および細胞分裂と通常は同調する方法で行われる自己の複製を担うことである。天然のプラスミドはすべて、プラスミドの複製に必須の領域に加え、タンパク質をコードする遺伝子を有するが、これら遺伝子についての科学的研究の不足によりその機能は依然として不明であることがほとんどである。プラスミド上に存在する遺伝子の数によりそのプラスミドの大きさが決まり、最も小さな天然のプラスミドはたった2、3個の遺伝子しか含まない。研究者は早くからプラスミドの性質に引きつけられ、その性質からプラスミドは原核細胞および真核細胞において遺伝子を輸送し発現する媒体とされた。核酸およびタンパク質の分子生物学分野に見られるこの20年間にわたる飛躍的な進歩は、一つには、プラスミドを起源とする天然DNAまたは他の細胞DNAの断片、および化学的に合成された断片から構築された組換えプラスミドの開発のおかげであると考えられる。
【0003】
デオキシリボ核酸を構成する4つの塩基、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、およびチミン(T)は、16個のジヌクレオチド構造、すなわちCG、GC、TA、AT、CC、GG、TT、AA、TG、CA、AG、CT、AC、GT、GA、およびTCに分配される。配列が既知である多数のプラスミドについてDNAのジヌクレオチド分布を定性分析すると、天然のプラスミドまたは実験室で構築されたプラスミドすべてにおいてこの16個のジヌクレオチドが常に存在することが示される。しかし、プラスミドのジヌクレオチド分布を定量分析したところ、DNAに存在する4つの塩基それぞれの比率にある程度ではあるが依存して大きな格差があることが示された。具体的には、あるプラスミドについて、ジヌクレオチドそれぞれについて見られる頻度を2塩基間のランダムなつながりに基づいて計算された頻度と比較すると、過剰出現(over representation)、逆に過少出現(under representation)(Campbell A.、Mrazek J.、およびKarlin S. (1999) Proc Natl Acad Sci USA 96, 9184-9)という形でいくつかのジヌクレオチドにおいて大きな相違があることが実証されうる。常に同じとは限らないが系統的に遠い種の細菌から単離された天然プラスミド間で、特定のジヌクレオチドの分布において見られる相違は、細胞のDNAに作用する修復、組換え、および複製の機構における特異性の相違によって説明されてきた。
【0004】
培養細胞へのインビトロでの遺伝子導入および様々な動物へのインビボでの遺伝子導入は、一方では細胞機能のよりよい理解を得る目的で、他方では細胞および遺伝子治療にこれらの手法を応用する目的で大きな発展を経た一般的な方法である。ウイルスベクターおよびプラスミドベクターはそれぞれ一長一短があるため、動物においての遺伝子導入に利用可能な数々のベクターの中で、他よりも決定的な利点を有するベクターは存在しない。しかし、裸のプラスミドDNAまたは核へのDNA輸送を容易にする様々な物質と複合させたプラスミドDNAが熱心な研究活動の対象となる、すなわち免疫DNAの対象となる応用が存在する。免疫DNAの原理は、筋肉内注射もしくは皮内注射または吸入により抗原ペプチドをコードするプラスミドDNAを投与された実験動物に見られる免疫応答に基づく。実験動物の体に静脈内注射および筋肉内注射により細菌である大腸菌由来のプラスミドDNAを導入すると、免疫系の保護細胞により様々なサイトカインが迅速に産生される(Krieg A. M.およびKline J. N. (2000) Immunopharmacology 48, 303-305)という結果が最初に得られることが、現在では確立している。動物細胞から抽出されたDNAは同様の条件下でそのようなサイトカインの誘導を引き起こさないため、この反応は細菌のDNAに非常に特異的である。この免疫応答に関連する細胞の機構は、十分に理解されているとは決して言えない。しかし、その分子における特定シトシンのメチル化に関する構造上の違いのレベルでは、細菌DNAと動物起源のDNAとを識別する認識が生じることが知られている。具体的には、いくつかのプロモーターの機能的な領域に存在するCpG島と呼ばれるCpGが高密度の短い領域を除いて、哺乳類DNAのCGジヌクレオチド(以下、CpGと記す)はすべてそのシトシンが自然にメチル化されている。大腸菌は細菌内でこの修飾を行いうる酵素活性をもたないため、大腸菌から抽出されたDNAはこの種のメチル化を示さない。しかし、大腸菌から抽出したプラスミドDNAのCpGを適当な酵素を用いて試験管内でメチル化することは可能である。これらの条件下において、インビトロでメチル化されたDNAは、対照の非メチル化DNAと比較して免疫賦活活性の多くを失う。プラスミドDNAの産生に用いられる変異株すべてを事実上派生させた起源となる大腸菌株K12は、核酸配列CC(A/T)GGにおいてシトシンのメチル化を行う酵素活性(DNAメチラーゼdcm(Palmer B. R.およびMarinus M. G. (1994) Gene 143, 1-12))を有する。遺伝子導入に用いられるプラスミドベクターはすべて多かれ少なかれこの配列を含み、その結果、これらのDNA分子は哺乳類DNAには見られないメチル化シトシンを含む。よって、大腸菌に特異的なこの種類のメチル化により、細菌DNAと哺乳類DNAとの間でシトシンのメチル化に別の相違が持ち込まれ、このメチル化がプラスミドDNAの免疫賦活能力に寄与する可能性がある。
【0005】
霊長類およびげっ歯類DNAにおけるCpG頻度は、概して、シトシンおよびグアニンの頻度に基づいて期待される頻度より非常に低い。あるDNA断片についてCpGの欠如はこの断片の生物学的役割に依存し、エクソンではそれほど顕著ではない程度の欠如が見られるのに対して、遺伝子間領域は期待頻度のたった1/5しか含まず、これとはまったく正反対に、大きなCpG島を含むいくつかのプロモーターは期待される比率に近いCpGの比率を示す。しかしながら、ヒトのcDNAおよび染色体をシークエンシングしたデータを解析すると、プロモーター領域およびcDNAのCpG頻度において広範な不均一性が示される。この知見はインターロイキン2をコードするヒト遺伝子のcDNAにより説明され、このcDNAはたった1つのCpGしかもたない。同様に、TATAボックスを含むこの遺伝子のプロモーターの一部はCpGを1つも含まないが、これに反して転写調節因子認識部位に富んだ上流部分はCpGを含む。3'UTR(非翻訳領域)、ならびにポリアデニル化および転写終結の配列によって形成される遺伝子の3'側に位置する領域では、CpGはかなり少ない。ヒトでは、遺伝子のすぐ下流にCpGを欠く領域が見出されることは珍しいことではない。しかし、2000年末に利用可能となったヒトのシークエンシングデータによって、転写プロモーター領域、イントロンをもつかもたない遺伝子、およびポリアデニル化領域で構成され、CpGを完全に欠く1つの転写単位を明らかにすることはまだできていない。大腸菌におけるCpGの状況は、この細菌のゲノムDNAのCpG頻度が計算で得られた頻度と比較してわずかに高いことから、動物細胞の状況とはかなり異なる。大腸菌の院内株(hospital strain)から単離された天然プラスミドのCpGについても同様である。遺伝子操作によって構築され遺伝子導入に用いられる組換えプラスミドでは、CpG数に関し、そのベクターに挿入された断片の起源に依存した差異がみられる。GenBankデータバンクからランダムに取得した数十の組換え大腸菌プラスミドの配列を解析したところ、最もCpGを欠くプラスミドでも、CpG数の欠如はせいぜい50%であることが示される。
【発明の開示】
【0006】
本発明に関して、本発明は、CpGを完全に欠き、CC(A/T)GGの配列に位置するシトシンがメチル化されない大腸菌のプラスミドDNAを合成する方法およびその産物を提供する。出願人の知る限りでは、そのような構造を示すと同時にその機能を保存している産物についての記述はこれが初めてである。
【0007】
発明の説明
本発明は、大腸菌等の原核生物において機能的であるが、それにもかかわらずCpGを完全に欠くプラスミドを作製する手段を提供する。より詳細には、CpGを完全に欠き、核酸配列CC(A/T)GGにおいてメチル化されたシトシンも存在しないプラスミドを作製する手段を提供する。
【0008】
よって本出願はそのようなプラスミドを作製する方法に関し、またこれらのプラスミドを構成する成分、すなわちCpGを欠き大腸菌で発現されうる遺伝子、CpGを欠き該遺伝子の発現に適したプロモーター、およびCpGを欠き細菌への該プラスミドの形質転換に適した複製起点に関する。本出願はまた、これらの生産物の生物工学的および医学的応用を意図する。これらの生産物はそれぞれ、CpGを完全に欠くと同時に大腸菌等の原核生物でその機能性を保存するという特定の特徴を有する。本出願はまた、本発明によるプラスミドの作製に特に適した大腸菌株を提供し、この菌株はこれらのプラスミドおよびこれらのプラスミドが輸送する遺伝物質の機能を損なうことなく、しかしCC(A/T)GG部位におけるメチル化が誘導されずに、安定に複製させるといった特定の特徴を有する(菌株は不活性化されたdcm遺伝子を含む)。したがって、本発明の様々な局面に関連する共通概念の一つは、CpGを完全に欠くが、それでも大腸菌等の原核生物において機能的な特性を保存するプラスミドの作製を可能にすることである。出願人の知る限りでは、このような手法についての記述はこれが初めてである。
【0009】
よって本出願は、少なくとも1つの遺伝子のベクターとなるプラスミドであって、プラスミドの複製起点に相当しCpGを完全に欠くDNA断片と、少なくとも1つの該遺伝子の転写単位を構成する成分に相当しCpGを完全に欠くDNA断片とをライゲーション酵素によりアセンブルして構築されることを特徴とし、およびプラスミドの複製に必要なpiタンパク質を発現する大腸菌株に導入されることを特徴する、CpGを完全に欠いたプラスミドの作製方法を意図する。
【0010】
通常、野生型細菌株から単離したプラスミドは、複製に関する3つの機能、すなわちDNA複製の開始、複製の制御、および連続的な分裂時におけるプラスミドの安定的維持を行う。実験室で構築されたプラスミドは、これらの機能を常に示すわけではない。例えばプラスミドのコピー数は親プラスミドに比べ増加していることが非常に多く、これは複製の調節要素が改変されたことを示す。プラスミドR6Kは、同じDNA断片上で関連した3つの複製起点、α、γ、およびβを含む(FilutowiczM.およびRakowski S. A. (1998) Gene 223, 195-204)。それぞれの起点は、R6K pir遺伝子にコードされるR6K特異的pi開始タンパク質により活性化される。3つの起点が機能を発揮するためには、「コア」として当業者に周知でありこの3つの起点を有する断片の中心に位置する277 bpの配列と同時に、シスに位置する、すなわち同じDNA分子上に存在する別のもう一つの断片を必要とする。αおよびβ起点の配列を除去すると、pir遺伝子がプラスミド上でシスに存在する、または細菌の染色体上でトランスに存在するという条件で、残りのγ起点によりプラスミドの自立的な複製が可能になる。本発明者らは、3つの起点の中で最も小さい起点、すなわちγ起点にさらに詳細に着目することにした。γ起点は、プラスミドの制御された複製に必要な領域、すなわちコアおよび隣接した活性化配列をすべて含むといった利点を有する。コアは、7回繰り返しのpiタンパク質結合配列と、ATに富んだ配列とによって構成される。活性化領域は、プラスミドの安定的な維持に必要とされる細菌の様々な細胞内タンパク質に対する結合部位を含む。γ起点のみを含むプラスミドのコピー数は、piタンパク質に依存する。piタンパク質については、コピー数を大きく増加させるpiの突然変異型が既に単離され、その特徴が調べられている。以下の実施例にさらに詳しく示すように、本発明者らは、いかなるCpGも示さないがそれと同時にその機能性は元のまま保存する複製起点を、プラスミドR6Kのγ複製起点から構築することに成功した。pUC系列のプラスミド等の他のプラスミドを出発材料とした場合、機能性を残しCpGを含まないプラスミドがうまく得られない限りにおいて、出発材料としてR6Kγを特定して選択したこと、すなわち少数のCpGのみを示す小さなレプリコンを選択したことは、特に適した選択であることが注目されよう。本発明者らはCpGのシトシンをグアニンまたはアデニンで置換することにより最小限のpUC配列を化学的に再構成しようと試みたが、どの試みもDNA断片が機能的な複製活性をすべて失うという結果に終わった。本発明によるCpGのない複製起点を含んだプラスミドに関して、このプラスミドは大腸菌等の原核細胞内で安定して複製する能力を保存し、特に大腸菌K12株は複製の活性化に必要なpiタンパク質(シスもしくはトランスにある野生型pirまたはpir116等の変異型pir)をこのプラスミドに与えるということを当然ながら提供した。本発明によるプラスミドの複製起点は、その配列がR6Kγ複製起点の配列に相当し、その配列内でコアの反復領域のCpGの各GがA、CもしくはTで置換されるか、またはCpGの各CがG、A、もしくはTで置換されることを特徴とする。このようにしてCpGのない様々な複製起点が得られているが、意外にも大腸菌内でプラスミドの複製起点としての機能を果たすことが依然として可能であり、その上それ自体がCpGを欠く遺伝子および転写単位に対してこれらの機能を果たすことも可能である。以下の実施例により、その説明をいくつか示す(実施例7〜10のR6KγM2A起点、R6KγM2C起点、R6KγM2T起点を参照のこと)。より詳細には、本出願は、その配列が配列番号:12または配列番号:13の配列(図12および図14)を含むいかなる複製起点をも意図する。piタンパク質結合配列はCpGを有する標準のR6Kγ起点で見られるように7回繰り返されなくてもよいが、その数は複製起点の機能を損なわずに5回または6回に限定されうることも明らかとなった。よって本出願は、piタンパク質結合配列の5回または6回の反復のみを含む、先に定義したような本発明のいかなる複製起点をも意図する。本発明者らは、これら、CpGのない機能的な複製起点により、特にトランスフェクションベクターの機能を保存する様々なプラスミドの構築を成しえた。
【0011】
CpGを欠く大腸菌プラスミドの作製には、いかなるCpGも含まない機能的な遺伝子(大腸菌等の原核生物で発現されうる)を得ることが必然的に要求される。よって、組換えプラスミドDNAで形質転換される細菌の選択は、そのタンパク質が細菌に優位性を与える遺伝子と関連する。通常、大腸菌で活性を示す抗生物質に対する耐性遺伝子によって選択マーカーが導入される。大腸菌で利用される種々様々な耐性遺伝子を解析してみると、例外なくそれらはすべてCpGを含み、選択用の抗生物質を産生するストレプトマイセス属を起源とする耐性遺伝子では非常に多数の耐性遺伝子において極めて頻繁にCpGが含まれる。同様に、CpGをもたないと同時にその機能を維持するレポーター遺伝子を得る必要がある。特徴のよく調べられた配列がいくつかのデータバンクで入手可能な大腸菌の染色体およびプラスミドの遺伝子を数百個解析したところ、250 bpを超える大きさの遺伝子のすべてが例外なく16個のジヌクレオチドからなることが示されている。
【0012】
本発明は、それでも大腸菌内で機能的でありかつCpGを欠く遺伝子の構築が可能であることを実証する。本発明者らは、CpGを欠くと同時に大腸菌で発現されうる遺伝子を取得する方法を実際に開発した。この方法は、大腸菌で発現されうるタンパク質のアミノ酸鎖に従ったポリヌクレオチド鎖の合成であり、遺伝暗号に基づきおよびこのコードの縮重を考慮し、そのアミノ酸に相当するヌクレオチドコドンから選択されるコドンを各アミノ酸に割り当てることによるポリヌクレオチド鎖の合成に基づくが、この選択から下記のコドンは除外される:
i. 配列にCpGを含むすべてのコドン。これは、コドンACG (Thr)、CCG (Pro)、GCG (Ala)、TCG (Ser)、CGA (Arg)、CGC (Arg)、CGG (Arg)、およびCGT (Arg)にかかわる。
ii. 次に続くコドンがちょうどGで始まる場合の、Cで終わるコドン。このようにして得られた遺伝子の例には、NeoΔCpG遺伝子(配列番号:316;実施例11を参照のこと)が含まれる。
【0013】
本発明を実施する一つの別形により、ヒト由来のタンパク質において頻度の低いコドンも選択から除外されよう。これは、コドンATA (Ile)、 CTA (Leu)、GTA (Val)、およびTTA (Leu)にかかわる。したがって、この別形によると、可能なコドンのセットは以下のセットに相当する。
Figure 2004524031
これにはもちろん上記のルールiiが適用されるべきである。この実施別形に基づいて得られた遺伝子の例には、特にLacZΔCpG遺伝子(配列番号:9の3〜3056位;実施例5を参照のこと)が含まれる。
【0014】
好ましくは、コドンの選択はまた、スプライシング配列、直接または逆方向反復配列、ステムループ構造、またはポリアデニル化シグナルの存在等のメッセンジャーRNAに不利な構造を避けるように行われるであろう。この方法によって合成される遺伝子の数および大きさの多様性については以下の実施例で説明するが、これによりCpGを完全に欠くがそれにもかかわらず大腸菌において機能性を保持する遺伝子の合成をこのように想定しうることが示される。参照されるタンパク質としては、大腸菌によって発現されうるいかなるタンパク質も選択可能であり、例えばzeocin(登録商標)(フレオマイシン)、ハイグロマイシン、ブラストサイジン、もしくはピューロマイシン等の抗生物質に対する耐性遺伝子によりコードされるタンパク質、またはlacZ等のレポーター遺伝子によりコードされるタンパク質が選択可能である。
【0015】
本出願はまた、CpGを欠き大腸菌で発現されうる遺伝子を取得するような方法、およびこの方法を利用して取得されうる少なくとも250 bpのいかなる遺伝子をも意図する。より詳細には、本出願は、
‐その配列が、配列番号:1の3〜374位に位置する配列(図1)、配列番号:3の3〜1025位に位置する配列(図3)、配列番号:5の3〜422位に位置する配列(図5)、配列番号:7の3〜599位に位置する配列(図7)を含むいかなる遺伝子、およびまた選択マーカーとしてのこれらの遺伝子のいかなる使用、ならびに
‐その配列が配列番号:9の3〜3056位に位置する配列(図9を参照のこと)を含むいかなる遺伝子、およびその配列が配列番号:316の配列(図18で示されるDNA配列(配列番号:317をコードする)の3〜797位)を含むいかなる遺伝子、およびまたレポーター遺伝子としてのこのような遺伝子のいかなる使用、
を意図する。
【0016】
プラスミド遺伝子の発現には、そのプラスミドを保有する細胞に適したプロモーターを有することも必要とされる。大腸菌ゲノムが何年かの間に完全に既知となったことにより、特異的な機能を示す様々な非翻訳領域の研究が容易になった。大腸菌プロモーターの性質に関する研究の結果は、インターネットによって利用できるPromECサイト上で継続的に更新され公表されている(http://bioinfo.md.huji.ac.il/marg/promec)。転写開始点を+1とした塩基-75〜+25の明確なプロモーターを471個解析したところ、それらのうち6個のプロモーターのみがCpGをもたないことが示される。化学的に合成した6個のプロモーターをそれぞれ大腸菌β-ガラクトシダーゼをコードするlacZ遺伝子の上流に付加した結果、このレポーター遺伝子の活性が検出されないことが判明した。-10および-35正準ボックスのコンセンサス配列との強い相同性が欠如することから、これらのプロモーターが弱いプロモーターであること、またはプロモーターがそれぞれに対して既に明らかとされている誘導条件により制御されるかもしれないことが示唆される。特徴がよく調べられている大腸菌のプロモーターについて解析したところ、約10個のプロモーターのみがRNAポリメラーゼによる認識に特異的なボックスにおいて、いかなるCpGも含まないことが明らかとなった。これらのプロモーターはすべて様々な刺激により誘導可能であるが、その刺激は時には望ましいもののほとんどの場合は自然状態での構成的な発現には断念される状況であることも、文献検索により明らかとなった。本発明者らに関しては、いくつもの強力なプロモーターから得たCpGを欠く短いコンセンサス配列を示す断片をランダムPCRによってアセンブルし、大腸菌内でCpGをもたない遺伝子の発現に適した新規なプロモーターを開発することに成功したが、このプロモーターは非常に強力な構成的プロモーターでありCpGを完全に欠くという特定の利点を有する。以下の実施例6で、この技術を利用した新規プロモーターEM2Kの構築について説明する。本出願は、より詳細には、その配列が配列番号:11(図11を参照のこと)の配列を含むいかなるプロモーターをも意図している。
【0017】
特性を明らかにされた大腸菌の転写ターミネーターは短い配列でできており、その内のいくつかはいかなるCpGももたない。本発明者らは、そのようなターミネーターは大腸菌内でCpGのないプロモーターおよび本発明による遺伝子と結合された場合に、その機能を効果的に果たすということを実証できた。
【0018】
よって本出願は、本発明によるCpGをもたない少なくとも1つの遺伝子、および本発明によるCpGをもたない少なくとも1つのプロモーターを含むいかなる転写単位をも意図する。そのような転写単位はまた、CpGをもたない少なくとも1つのターミネーターを含んでもよい。したがって本発明は、CpGを完全に欠くがそれにもかかわらず大腸菌内で発現され得てその正常な機能を行うヌクレオチド群を初めて提供する。
【0019】
よって本出願は、本発明による複製起点を含むいかなるプラスミドをも意図する。そのようなプラスミドはまた、本発明によるCpGのない遺伝子、および/または本発明によるCpGのないプロモーター、および/またはCpGのない転写ターミネーター、または本発明による転写単位を含んでもよい。したがって本発明によるプラスミドは、その構造内にいかなるCpGも示さないことが可能であると同時に依然として発現ベクターの機能を果たすことができるという利点を有する。そのようなプラスミドの例を、以下の実施例で示す。
【0020】
本出願は、より詳細には、配列番号:14(図15)のいかなるプラスミドをも意図する。
【0021】
本発明によるCpGのない遺伝子、本発明によるCpGのないプロモーター、本発明によるCpGのない複製起点、および本発明によるCpGのないプラスミドからなる群より選択される少なくとも一つの成分を形質転換されたいかなる細胞もまた、本出願の分野の範囲に含まれる。本発明によるそのような細胞は、野生型pirまたは変異型pir、pir116等のpiタンパク質をコードする遺伝子を含んでもよい。有利には、本発明により形質転換される細胞は大腸菌細胞である、
【0022】
本発明によるプラスミドの機能的なコピーを十分な数に複製するため、当業者は、例えばプラスミド複製の目的で従来から使用されている大腸菌K12株のような細菌を数多く保有し、それらを自由に使用する。起源の大腸菌K12株は、細菌のゲノムおよびプラスミドDNAのCC(A/T)GG配列に位置するすべてのシトシンにメチル基を導入するDNAメチラーゼを有する。K12系統の様々な菌株はすべて、dcm遺伝子によってコードされるメチラーゼによりこの活性を有する(Palmer B. R.およびMarinus M. G. (1994) Gene 143, 1-12)。大腸菌のdcm+株から調製されたプラスミドDNAのメチル化は真核細胞への遺伝子導入に望ましくないDNA分子の修飾をもたらすため、本発明者らは、本発明によるCpGのないR6Kγ起点を有したプラスミドを機能させ、かつdcm部位上のメチル化を欠くプラスミドDNAを得ることができる菌株を開発した。このため、pir116株のdcm遺伝子においてATG後の+3の位置からTGA前の-14の位置までdcm遺伝子を除去することにより、本発明者らは新規の遺伝子を構築した(以下の実施例10を参照のこと)。
【0023】
dcm遺伝子は、その配列がGenBankよりアクセッション番号D90835(cloneKohara #344: 43.5-46.9 min)で取得可能な染色体領域に位置する。
【0024】
遺伝子における欠失(-)は、野生型への遺伝子復帰を避けるというさらなる利点をもたらす。よって、本発明者らはdcm-変異株を作製した。この変異株は、細菌の増殖を低下させたりまたはプラスミドDNAの質および量を変化させてしまうような負の影響をもたらす表現型を示さない。より詳細には、変異型piタンパク質を発現する親株を用いて、CpGのないプラスミドのコピー数を増加させるように導く位置でdcm遺伝子を標的不活性化することにより大腸菌の最適化菌株を構築した。この最適化菌株により、本発明の対象であり、CpGを欠きdcm部位のシトシンにおけるメチル化を示さないプラスミドDNAの質および大量生産が可能となる。したがって本出願は、piタンパク質をコードする遺伝子を含み本発明による欠失したdcm遺伝子で形質転換されるいかなる細胞をも意図し、ならびに、そのような細胞をプラスミドで形質転換する段階、およびこのプラスミドの複製に適した条件下で形質転換細胞を培養する段階を含むプラスミド複製のいかなる方法をも意図する。
【0025】
したがって本出願は、CpGを完全に欠き、かつ核酸配列CC(A/T)GGにおいてシトシンにメチル化を示さないプラスミドを作製する方法を意図し、本発明によるプラスミドが、dcmメチル化系の欠損したpiタンパク質発現大腸菌株において、複製により作製されることを特徴とする。
【0026】
本発明による少なくとも1つの細胞を含むプラスミドのいかなる作製キットもまた、本出願の分野の範囲に含まれる。CpGを欠く構造をしたこれらのプラスミドが、さらにその複製中にCC(A/T)GG上でメチル化されることを避ける目的で、これらのキットは本発明によるプラスミドの複製に特に適している。
【0027】
したがって本発明は、CpGを欠く形質転換手段の完全なセット、すなわちCpGのない遺伝子、CpGのないプロモーター、CpGのない転写単位、CpGのないプラスミド複製起点、CpGのないプラスミド、シトシンのメチル化を示さないプラスミドの複製に特に適した細胞を提供する。この新規の手段により、生物工学的または医学的な目的で細胞を形質転換するという直接的な用途が見出される。このような生産物は実際に、ヒトまたは動物を対象としたDNAワクチン成分の生産に非常によく適している。
【0028】
本発明を以下の実施例により説明し、その中での参照は図にそって行う。
【0029】
実施例 1:CpGを欠くゼオシン耐性Sh ble遺伝子の構築
図1に配列が示されるSh ble ΔCpG遺伝子(配列番号:1の3〜377位)は、図2に配列が示される重複したオリゴヌクレオチド(20〜40 bpの大きさ)をアセンブルすることにより合成した。アセンブリの方法は3段階で行う;第1段階はコード鎖のオリゴヌクレオチドのリン酸化からなり、第2段階では両鎖の全オリゴヌクレオチドをハイブリダイゼーションおよびライゲーションにより組み合わせ、そして最後の段階でPCRによりその遺伝子を増幅する。この方法をうまく用いて、実施例1、2、3、4、および5に記載したすべての合成遺伝子を合成した。Sh ble ΔCpG遺伝子について、この方法の詳細を示す:
以下の手順に従い、コード鎖に相当するOL26199〜OL27099の10個のオリゴヌクレオチド(図2)をリン酸化する:水に溶解して250μMとしたオリゴヌクレオチドそれぞれ1μlを水15μlを含むマイクロチューブ内で混合し、最終溶液がマイクロリットル当たり100ピコモルの濃度になるようにする。次にこの溶液5μlを10倍濃度のポリヌクレオチドキナーゼ緩衝液10μl、50 mM ATP溶液0.4μl、水85μl、および酵素(10μ/μl)1μlと混合し、全混合液を37℃で4時間インキュベートする(溶液A)。
【0030】
非コード鎖のオリゴヌクレオチド溶液は、それぞれのオリゴヌクレオチド(OL27199〜OL28199;図2を参照のこと)1μlとオリゴヌクレオチドOL26099(図2)1μlを混合して作製し、これに水43μlを添加してμl 当たり54ピコモルの最終溶液(溶液B)を得る。
【0031】
遺伝子のアセンブリは、まず溶液A 10μl、溶液B 1μl、100 mM KCl溶液6μl、0.5% NP-40溶液3μl、50 mM MgCl2溶液4μl、10 mM ATP溶液3μl、およびPfuリガーゼ7.5μl(30ユニット)と混合して行い、次にこの混合液をプログラム可能なサーモサイクラーで、95℃で3分、次に80℃で3分加熱し、その後95℃で1分、95℃から70℃に変えて1分、70℃から55℃に変えて1時間の加熱を3サイクル行い、最後に55℃で2時間加熱する。次にプライマーOL26099およびOL27199を用いて、アセンブルしたオリゴヌクレオチドの混合液を増幅する。増幅産物はプロメガ(promega)カラムにて精製後、NcoIおよびNheI制限酵素で切断し、NcoIおよびNheIで線状化したプラスミドpMOD1LacZ(wt)にクローニングする。ベクター断片とPCR断片とのライゲーション混合液で大腸菌株GT100(インビボジェン社(Invivogen)から入手可能)を形質転換した後に出現した2つのゼオシン耐性クローンのプラスミドDNAの配列は、図1に示す所望の配列と一致することがわかった。細菌のEM7プロモーターの制御下に置かれたこの合成遺伝子(ベクターpMOD1Sh ΔCpG)は、天然のSh ble遺伝子を含む同じベクターによって提供されるゼオシン耐性と同一の耐性を受容大腸菌株GT100に与える。
【0032】
実施例 2:CpGを欠くハイグロマイシン耐性Hph遺伝子の構築
実施例1に記載の方法に従い、合成Hph ΔCpG(図3に示す配列番号:3の配列)を構築した。2本の鎖は、30塩基の重複領域を有する60塩基のオリゴヌクレオチド複数と30塩基のオリゴヌクレオチド2つを用いて合成した。前述の実施例に記載の実験条件に従い、センスオリゴヌクレオチド
Figure 2004524031
およびリバースオリゴヌクレオチド
Figure 2004524031
を用いて最終的にPCRを行い、図4に示す様々なオリゴヌクレオチドをアセンブルした。
【0033】
次に増幅し精製した断片(1068 bp)をBspHIおよびNheI制限酵素で切断し、pMOD1のNcoI部位をBspHI部位に置換したベクターpMOD2 LacZ(wt)にクローニングした。この組換えベクターを含む大腸菌クローンは、FastMedia(商標)Hydro寒天培地(セーラ社(Cayla))上で選択した。ハイグロマイシン耐性クローン2個のプラスミドDNAの両鎖をシークエンシングし、図3の配列番号:3の配列を確認した。細菌のEM7プロモーターの制御下に置かれたこの合成遺伝子(ベクターpMOD2 Hph ΔCpG)は、天然のHph遺伝子を含む同じベクターによって提供されるハイグロマイシンB耐性と少なくとも同等の耐性を受容大腸菌株GT100に与える。
【0034】
実施例 3:CpGを欠くブラストサイジン耐性Bsr遺伝子の構築
実施例1に記載の方法に従い、図6に示すオリゴヌクレオチドを用いて図5に配列が示されるBsr ΔCpG遺伝子(配列番号:5)を構築した。アセンブルしたオリゴヌクレオチドの混合液は、プライマーOL64およびOL76(図6を参照のこと)を用いて増幅した。次に増幅し精製した断片をBspHIおよびNheI制限酵素で切断し、ベクターpMOD2 LacZ(wt)にクローニングした。この組換えベクターを含む大腸菌クローンは、FastMedia(商標)Blasti寒天培地(セーラ社)上で選択した。ブラストサイジン耐性クローン2個のプラスミドDNAの両鎖をシークエンシングし、図5の配列番号:5の配列を確認した。細菌のEM7プロモーターの制御下に置かれたこの合成遺伝子(ベクターpMOD2 Bsr ΔCpG)は、天然のBsr遺伝子を含む同じベクターによって提供されるブラストサイジン耐性と同一の耐性を受容大腸菌株GT100に与える。
【0035】
実施例 4:CpGを欠くピューロマイシン耐性Pac遺伝子の構築
図8に示すオリゴヌクレオチドをアセンブルすることにより、図7に配列が示されるBspHI-NheI断片(Pac ΔCpG遺伝子;配列番号:7)を合成した。
【0036】
アセンブルしたオリゴヌクレオチドの混合液は、センスプライマーpur24
Figure 2004524031
およびリバースプライマーpur25
Figure 2004524031
を用いて増幅した。精製したBspHI-NheI断片は、プラスミドpMOD2LacZ (wt)のBspHI部位とNheI部位との間にクローニングした。ベクター断片とPCR断片とのライゲーション産物で形質転換した後にFastMedia(商標)puro寒天培地(セーラ社)上に出現した2つのピューロマイシン耐性クローンのプラスミドDNAの配列は、図7に示す所望の配列と一致することがわかった。細菌のEM7プロモーターの制御下に置かれた合成Pac ΔCpG遺伝子(ベクターpMOD2 Pac ΔCpG)は、天然のpac遺伝子を含む同じベクターによって提供されるピューロマイシン耐性よりもわずかに高い耐性を受容大腸菌株GT100に与える。
【0037】
実施例 5:大腸菌のβ-ガラクトシダーゼをコードしCpGを欠くLacZ遺伝子の構築
前述の実施例に記載の方法に従い、合成LacZ ΔCpG遺伝子(図9に示す配列番号:9)を構築した。作製する遺伝子の大きさ(3000 bpを超える)を考え、LacZ遺伝子の天然の配列に存在する部位と同じ部位においてEcoRVおよびSacI制限酵素切断部位を保存し、3部分に分けて構築した。それぞれの部分について、20塩基の重複領域を有する40塩基のオリゴヌクレオチド複数と20塩基のオリゴヌクレオチド2つを用いて2本の鎖を合成した。
【0038】
第1の領域はNcoI-EcoRV断片に相当し(部分I)、第2の領域はEcoRV-SacI断片に相当し(部分II)、そして第3の領域はSacI-NheI断片に相当する(部分III)。前述の実施例に記載した実験条件と同じ条件に基づいて、図10A(部分Iをアセンブルするのに用いたオリゴヌクレオチド)、図10B(部分IIをアセンブルするのに用いたオリゴヌクレオチド)、および図10C(部分IIIをアセンブルするのに用いたオリゴヌクレオチド)に示す様々なオリゴヌクレオチドのアセンブルをPCRにより行った。3つの部分の合成遺伝子は、ベクターpMOD1 LacZ(wt)に段階的にクローニングした。MC1061ΔLac株で得られた組換えクローンのβ-ガラクトシダーゼ活性をFastMedia(商標)Amp Xgal寒天培地(セーラ社)上で明らかにすることにより、ベクターpMOD1 LacZ上に存在するクローニングしたそれぞれの部分の機能性および完全な合成遺伝子の機能性を実証した。EM7プロモーターの制御下に置かれた完全な合成LacZ ΔCpG遺伝子は、同じプラスミド環境にある天然のLacZ遺伝子の発現と比較して30%少ないβ-ガラクトシダーゼ活性(培養液から抽出したタンパク質の発光測定アッセイ法)を示す。
【0039】
実施例 6: CpGを欠き、強力で構成的な大腸菌プロモーターの構築
pMOD1タイプのベクター上に存在する細菌のEM7プロモーターは、大腸菌の構成的で強力な合成プロモーターである。CpGを欠く細菌プロモーターを作製する参照用として、3つのCpGを含むこのプロモーターの配列(図11の配列番号:297)を用いた。本発明者らは、4ヶ所(図11の配列番号:298の配列上のW、D、W、およびHで示す)で縮重し、AseIおよびNcoI制限酵素切断部位に適合する「リンカー」オリゴヌクレオチドを作製した。これらの様々なオリゴをハイブリダイズし、pMOD1 ShΔCpGのEM7プロモーターのAseI制限酵素切断部位とNcoI制限酵素切断部位との間にクローニングした。FastMedia(商標)Zeo寒天培地で組換えクローンを選択し、ほとんどのゼオシン耐性クローンのプロモーター配列を決定した後、CpGを欠く細菌プロモーターとして本発明者らはEM2Kプロモーター(図11の配列番号:11の配列)を選択した。
【0040】
実施例 7: CpGを欠くR6Kγ起点の合成
図13に示すオリゴヌクレオチドをアセンブルしてPCRを行うことにより、R6KγM2A起点を含むPacI DNA断片(図12の配列番号:12)を合成した。プライマーRK15
Figure 2004524031
およびRK16
Figure 2004524031
を用いてR6KγM2A断片のアセンブリを増幅し、その断片をPacI制限酵素で切断後、2つのPacI部位で囲まれたカナマイシン耐性遺伝子およびpUC複製起点を含むプラスミド(pGTCMVneo)にクローニングした。GT97株(piタンパク質を発現する)の多くの形質転換体を解析し、カナマイシン非存在下で継代培養を数回した後に保存された高コピーのプラスミドを含むクローンのみを選択した。シークエンシングの結果、これらのプラスミドのほとんどのori断片が、R6Kプラスミドの天然の起点では7であるところがそれよりも少ない数(5〜6)の反復配列をもちうることが明らかとなった。図14の配列番号:13に、CpGを欠く合成R6Kγ起点のこれら新規の配列の一つを示す。
【0041】
同様の方法により、反復配列(piタンパク質結合領域で数回反復する22 bpの領域)に存在するそれぞれのCpGのGをCに置換して起点(R6KγM2C)を示す、またはTに置換して起点(R6KγM2T)を示すR6Kγ起点の別の2種類を合成した。反復配列のCpGのGがAに置換される図13の起点の例に加え、GがCまたはTに置換されるこれらの新規R6Kγ起点の機能性から、これらの反復配列のCpGは起点の機能性においてその役割を果たさないことが明らかとなる。
【0042】
実施例 8:大腸菌内で耐性の遺伝子を発現し、完全にCpGを欠くプラスミドベクターのアセンブリ
まず、細菌のEM2KプロモーターおよびSh ΔCpGゼオシン耐性遺伝子を含むPacI-PacIカセットを調製し、続いて、CpGのない細菌ターミネーターを調製した。このため、大腸菌の遺伝子間領域rpsO-pnpのt1ターミネーターの配列を含む「リンカー」オリゴヌクレオチドをハイブリダイズし、ベクターpMOD1 EM2K Sh ΔCpGのNheI部位とPacI部位との間にクローニングした。「リンカー」オリゴヌクレオチドの配列を以下に示す。
Figure 2004524031
【0043】
天然ではいかなるCpGも含まないターミネーター配列の領域をシークエンシングすることにより、得られた組換えベクター(pMOD1 EM2K sH ΔCpG Term)を確認した。次にこのベクターに含まれるEM2K-Sh ΔCpG-Termカセットを以下のプライマーを用いてPCRにより増幅し、2つの末端にPacI部位を付加した。
Figure 2004524031
【0044】
続いてこの増幅断片は、精製してPacIで切断した後、実施例7に記載のR6KγΔCpG起点を含むPacI断片とアセンブルした。このライゲーション混合液をGT97株(piタンパク質を発現する)に形質転換し、FastMedia(商標)Zeo培地上で選択した後、得られた組換えクローンを解析したところ、R6KγΔCpG起点を含むPacI-PacI断片は2つの方向が可能であることが示された。図16に、pSh ΔCpGで選択した方向を示す。
【0045】
実施例 9:大腸菌内でゼオシン耐性遺伝子およびβ-ガラクトシダーゼ遺伝子を発現し、完全にCpGを欠くプラスミドベクターのアセンブリ
実施例8に記載のpSh ΔCpGベクター(図16)を用いて、CpGを欠く合成LacZ遺伝子をEcoRI部位とNheI部位との間に挿入した。このため、大腸菌由来のリボソーム結合部位コンセンサス配列を含みEcoRIおよびNcoIに適合する「リンカー」オリゴヌクレオチドをハイブリダイズし、pMOD1 LacZΔCpGのNcoI-NheI LacZΔCpG断片とともにベクターpMOD1 EM2K ShΔCpGのEcoRI部位とNheI部位との間にクローニングした。
【0046】
用いた「リンカー」オリゴヌクレオチドを以下に示す。
Figure 2004524031
【0047】
このライゲーション混合液をGT97株(piタンパク質を発現する)に形質転換し、FastMedia(商標)Zeo Xgal培地上で選択することにより、ベクターpSh-LacZΔCpG(図15および図17)を含む組換えクローンが得られた。このベクターは、人工的なオペロン系において、細菌のEM2Kプロモーターの制御下で、ShΔCpG遺伝子およびLacZΔCpG遺伝子を共発現する。
【0048】
実施例 10:変異タンパク質pi116を発現し、dcm遺伝子に欠失を有する大腸菌株の作製
R6Kγ起点の複製を開始するのに必須のpiタンパク質をコードするpir遺伝子およびまたR6Kγプラスミドのコピー数に増加をもたらす変異型遺伝子pir116は、諸グループによって様々な大腸菌K12株に機能的な形態で既に導入されている。このタイプの菌株は、大腸菌遺伝子保存センター(E.coli Genetic Stock Center)(http://cgsc.biology.yale.edu)から取得可能であり、また研究用生体物質の供給を専門にする企業から市販もされている。例えばpir1(pir116)株およびpir2(野生型pir)株の例を挙げると、全ヨーロッパの国々でその製品が購入可能なインビトロジェン社(Invitrogen)により提供される。いくつかの遺伝子について特徴的な遺伝子型を示す様々なK12 pir株の中から、単純性、R6KγプラスミドDNA調製品の一貫性、および高水準の適格性を考慮し、Δlac169 hsdR514 endA1 recA1 codBa uidA(ΔMlul)::pir116の遺伝子型を有するK12系統のGT97株(インビボジェン社(InvivoGen)から入手可能)を選択した。GT97株のdcm遺伝子への欠失の導入は、以下の方法により実施した。
dcm遺伝子のATG開始コドン(断片A)およびTGA終止コドン(断片B)にそれぞれ隣接する1.8 kbおよび1.5kbの2つのDNA領域を、PCRにより増幅した。次に、一対のプライマーOLdcmAF
Figure 2004524031
およびOLdcmAR
Figure 2004524031
を用いて断片Aを増幅し、一対のプライマーOLdcmBF
Figure 2004524031
およびOLdcmBR
Figure 2004524031
を用いて断片Bを増幅した。断片Aと断片Bとを互いに結合させるため、NotI(GCGGCCGC)、BamHI(GGATCC)、およびXhoI(CTCGAG)の制限酵素切断部位をプライマーに導入し、NotIおよびXhoI部位を末端に有する遺伝子成分を形成した。このようにしてdcm遺伝子のこの領域を再構成し、ATG後の+3の位置からTGA前の-14の位置までに生じる欠失を作成した。温度感受性の複製により大腸菌内で対立遺伝子を置換するように開発されたベクターpKO3(Link A. J.、 Phillips D.、およびChurch G. M. (1997) J Bacteriol 179, 6228-37)のNotI部位とSalI部位との間にこの遺伝子成分をクローニングし、pKO3Δdcmと名付けたプラスミドを得た。このプラスミドおよびRecAタンパク質を発現するプラスミド(pFL352)を、GT97株に同時に形質転換した。2つのプラスミドを含む形質転換体をクロラムフェニコール存在下で非許容温度(42℃)にて培養し、相同組換えにより細菌の染色体にpKO3Δdcmが組み込まれたクローンを選択した。次に、42℃でクロラムフェニコール耐性を示すサブクローンを高濃度のショ糖(5%)を含む培地上で30℃にて培養し、2回目の相同組換え後にdcm遺伝子の染色体領域がプラスミドにクローニングされた相同的な断片に置換された菌株を対抗選択した。選択したクローン(GT106)に導入された欠失は、一対のプライマーOldcmAFおよびOldcmBRを用いてPCRを行い、親株で得られる断片よりも小さい断片を生じることにより、ならびにプライマーOldcmBRおよび置換された領域の外側に位置するプライマー
Figure 2004524031
を用いてPCRを行うことにより確認した。
【0049】
GT106株のdcm-遺伝子型は、dcmメチル化の対象であるSexAI制限酵素切断部位を含むプラスミドを該菌株およびGT106に導入することにより確認した。プラスミドをGT97から精製した場合には酵素に抵抗性を示すのに対し、GT106から精製したプラスミドはSexAIにより切断された。
【0050】
GT106と名付けた後者の菌株は、親菌株GT97と同様の増殖特性を示し、予想通りR6KγプラスミドDNAの量に負の変化は見られず、dcm部位のシトシンのメチル化の欠如によって判断されるDNAの質のみが改善されていた。本特許出願を提出した日より、GT116株はインビボジェン社から入手可能となるであろう。
【0051】
実施例 11:CpGを欠くネオマイシン耐性Neo遺伝子の作製
図18に配列が示されるNeo ΔCpG遺伝子(図18に示されるDNA配列の3〜797位=配列番号:316;タンパク質配列=配列番号:317)は、図19に配列が示される重複したオリゴヌクレオチド(20〜40 bpの大きさ)をアセンブルすることにより合成した。アセンブリの方法は3段階で行う;第1段階はコード鎖のオリゴヌクレオチドのリン酸化からなり、第2段階では両鎖の全オリゴヌクレオチドをハイブリダイゼーションおよびライゲーションにより組み合わせ、そして最後の段階でPCRによりその遺伝子を増幅する。
【0052】
以下の手順に従い、コード鎖に相当する配列番号:319〜配列番号:338の20個のオリゴヌクレオチド(図19)をリン酸化する:水に溶解して250μMとしたオリゴヌクレオチドそれぞれ1μlを水50μlを含むマイクロチューブ内で混合し、最終溶液がマイクロリットル当たり100ピコモルの濃度になるようにする。次にこの溶液5μlを10倍濃度のポリヌクレオチドキナーゼ緩衝液10μl、50 mM ATP溶液0.4μl、水85μl、および酵素(10μ/μl)1μlと混合し、全混合液を37℃で4時間、続いて95℃で5分インキュベートする(溶液A)。
【0053】
非コード鎖のオリゴヌクレオチド溶液は、それぞれのオリゴヌクレオチド(配列番号:339〜配列番号:360;図19)1μlと配列番号:318のオリゴヌクレオチド(図19)1μlとを混合して作製し、これに水160μlを添加して54ピコモル/μlの最終溶液(溶液B)を得る。
【0054】
遺伝子のアセンブリは、まず溶液A 10μl、溶液B 1μl、100 mM KCl溶液6μl、界面活性剤 NP-40の0.5%溶液3μl、50 mM MgCl2溶液4μl、10 mM ATP溶液3μl、およびPfuリガーゼ7.5μl(30ユニット)と混合して行い、次にこの混合液をプログラム可能なサーモサイクラーで、95℃で3分、次に80℃で3分加熱し、その後95℃で1分、95℃から70℃に変えて1分、70℃から55℃に変えて1時間の加熱を3サイクル行い、最後に55℃で2時間加熱する。次にプライマー番号1およびプライマー番号22を用いて、アセンブルしたオリゴヌクレオチドの混合液を増幅する。増幅産物はプロメガ(Promega)カラムにて精製後、BspHIおよびNheI制限酵素で切断し、BspHIおよびNheIで線状化したプラスミドpMOD2LacZ(wt)にクローニングする。ベクター断片とPCR断片とのライゲーション混合液で大腸菌株GT100(インビボジェン社から入手可能)を形質転換した後に出現した2つのカナマイシン耐性クローンのプラスミドDNAの配列は、図18に示す配列と一致することがわかった。細菌のEM7プロモーターの制御下に置かれたこの合成遺伝子(ベクターpMOD2 Neo ΔCpG)は、天然のneo遺伝子を含む同じベクターによって提供されるカナマイシン耐性と同一の耐性を受容大腸菌株GT100に与える。次に、プラスミドpMOD2Neo ΔCpGのBspHI-NheI neo断片をNcoI-NheIで線状化した図16のプラスミドpSh ΔCpGに導入し、ライゲーションして大腸菌へ形質転換した後、プラスミドpNeoΔCpGを得た。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】Sh ble ΔCpG遺伝子(CpGなし)の配列
【図2】Sh ble ΔCpG遺伝子をアセンブルするのに用いたオリゴヌクレオチドのリスト
【図3】Hph ΔCpG遺伝子の配列
【図4】Hph ΔCpG遺伝子をアセンブルするのに用いたオリゴヌクレオチドのリスト
【図5】Bsr ΔCpG遺伝子の配列
【図6】Bsr ΔCpG遺伝子をアセンブルするのに用いたオリゴヌクレオチドのリスト
【図7】Pac ΔCpG遺伝子の配列
【図8】Pac ΔCpG遺伝子をアセンブルするのに用いたオリゴヌクレオチドのリスト
【図9】LacZ ΔCpG遺伝子の配列
【図10A】LacZ ΔCpG遺伝子の3分の1の1番目をアセンブルするのに用いたオリゴヌクレオチドのリスト
【図10B】LacZ ΔCpG遺伝子の3分の1の2番目をアセンブルするのに用いたオリゴヌクレオチドのリスト
【図10C】LacZ ΔCpG遺伝子の3分の1の3番目をアセンブルするのに用いたオリゴヌクレオチドのリスト
【図11】EM7プロモーター(1-)、およびCpGを欠くEM2Kプロモーター(3-)を構築するのに用いた縮重オリゴヌクレオチド(2-)の配列
【図12】R6KγM2A複製起点の配列
【図13】R6KγM2A複製起点の配列をアセンブルするのに用いたオリゴヌクレオチドのリスト
【図14】PacI部位により範囲を定めたプラスミドpGTR6Kneoc9のR6Kγの配列
【図15】プラスミドpSh-LacZΔCpG遺伝子の配列
【図16】プラスミドpShΔCpGのマップ
【図17】プラスミドpSh-LacZΔCpGのマップ
【図18】NeoΔCpG遺伝子(CpGなし)の配列(DNA配列の3〜797位=配列番号:316;タンパク質配列=配列番号:317)
【図19】NeoΔCpG遺伝子をアセンブルするのに用いた配列番号:318〜配列番号:Xのオリゴヌクレオチドの配列

Claims (27)

  1. 少なくとも1つの遺伝子のベクターとなるプラスミドであって、プラスミドの複製起点に相当しCpGを完全に欠くDNA断片と、該少なくとも1つの遺伝子の転写単位を構成する成分に相当しCpGを完全に欠くDNA断片とをライゲーション酵素によりアセンブルして構築されることを特徴とし、およびプラスミドの複製に必要なpiタンパク質を発現する大腸菌株に導入されることを特徴とする、CpGを完全に欠いたプラスミドの作製方法。
  2. プラスミドの複製起点が、CpGの除去により改変されたR6Kγ複製起点である請求項1記載の方法。
  3. プラスミドの複製起点において、その配列がR6Kγ複製起点の配列に相当し、その配列内でコアの反復領域のCpGの各GがA、CもしくはTで置換されるか、またはCpGの各CがG、A、もしくはTで置換されることを特徴とするプラスミドの複製起点。
  4. 配列に、配列番号:12または配列番号:13の配列を含むことを特徴とする、請求項3記載の複製起点。
  5. piタンパク質結合配列が5回もしくは6回繰り返される、請求項3または4記載の複製起点。
  6. 転写単位に、CpGを欠く細菌プロモーターを含むことを特徴とする、請求項1記載の方法。
  7. 配列に、配列番号:11の配列を含むことを特徴とするプロモーター。
  8. 転写単位に、CpGを欠く細菌の転写ターミネーターを含むことを特徴とする、請求項1記載の方法。
  9. 転写単位に、CpGを欠く耐性遺伝子を含むことを特徴とする、請求項1記載の方法。
  10. 転写単位に、CpGを欠くレポーター遺伝子を含むことを特徴とする、請求項1記載の方法。
  11. CpGを欠くと同時に大腸菌で発現しうる遺伝子の作製方法であって、
    大腸菌で発現しうるタンパク質のアミノ酸鎖に従ってポリヌクレオチド鎖を合成することを特徴とし、ならびに遺伝暗号に基づきおよび遺伝暗号の縮重を考慮して、各アミノ酸に相当するヌクレオチドコドンのなかから選択されたヌクレオチドコドンを各アミノ酸に割り当て、それと同時に下記のコドン:
    ‐CpGを含むコドンACG (Thr)、CCG (Pro)、GCG (Ala)、TCG (Ser)、CGA (Arg)、CGC (Arg)、CGG (Arg)、CGT (Arg)、および
    ‐直後に続くコドンがGで始まる場合の、Cで終わるコドン
    を該選択から除外してポリヌクレオチド鎖を合成することを特徴とする、遺伝子の作製方法。
  12. コドンATA (Ile)、 CTA (Leu)、GTA (Val)、およびTTA (Leu)もまた選択から除外することを特徴とする、請求項11記載の方法。
  13. 請求項11および請求項12のいずれか一項記載の方法を用いて得られうる、少なくとも250 bpの遺伝子。
  14. 配列に、配列番号:1の3〜374位に位置する配列、配列番号:3の3〜1025位に位置する配列、配列番号:5の3〜422位に位置する配列、配列番号:7の3〜599位に位置する配列を含む遺伝子。
  15. 配列に、配列番号:9の3〜3056位に位置する配列を含む遺伝子。
  16. 配列に、配列番号:316の配列を含む遺伝子。
  17. 請求項3〜5のいずれか一項記載の複製起点を含むプラスミド。
  18. 請求項13〜16のいずれか一項記載の遺伝子をも含むことを特徴とする、請求項17記載のプラスミド。
  19. 請求項7記載のプロモーターをも含むことを特徴とする、請求項17または18記載のプラスミド。
  20. CpGのない転写ターミネーターをも含むことを特徴とする、請求項17〜19のいずれか一項記載のプラスミド。
  21. CpGを完全に欠くことを特徴とする、請求項17〜20のいずれか一項記載のプラスミド。
  22. 配列番号:14のプラスミド。
  23. dcmメチル化系の欠損した、piタンパク質発現大腸菌株において、請求項17〜22のいずれか一項記載のプラスミドが複製されて作製されることを特徴とする、CpGを完全に欠き、かつ核酸配列CC(A/T)GGにおけるシトシンにメチル化を示さないプラスミドの作製方法。
  24. 請求項17〜22のいずれか一項記載のプラスミドのうち少なくとも1つにより形質転換された大腸菌細胞。
  25. piタンパク質をコードする遺伝子を発現することを特徴とする、請求項24記載の形質転換された大腸菌細胞。
  26. 不活性化されたdcm遺伝子をも含むことを特徴とする、請求項25記載の形質転換された大腸菌細胞。
  27. 請求項24〜26のいずれか一項記載の細胞を少なくとも1つ含むことを特徴とし、請求項17〜22のいずれか一項で定義のプラスミドを作製するキット。
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