JPH10324752A - 繊維強化シートの製造方法及び製造装置 - Google Patents

繊維強化シートの製造方法及び製造装置

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JPH10324752A
JPH10324752A JP9125602A JP12560297A JPH10324752A JP H10324752 A JPH10324752 A JP H10324752A JP 9125602 A JP9125602 A JP 9125602A JP 12560297 A JP12560297 A JP 12560297A JP H10324752 A JPH10324752 A JP H10324752A
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JP
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composition
fiber
heating
mat
reinforced sheet
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JP9125602A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Sugawara
宏 菅原
Hitoshi Hayashi
仁司 林
Koji Fujimoto
浩司 藤本
Hisashi Eguchi
尚志 江口
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 繊維強化シートの熱可塑性樹脂が加熱中に加
熱手段に付着することを防止すること。 【解決手段】 補強繊維と熱可塑性樹脂との組成物を平
坦に形成したマット状組成物1を加熱溶融させ、この加
熱工程後に加圧処理及び冷却処理を行って、マット状組
成物1を繊維強化シート13に形成する繊維強化シート
の製造装置であって、マット状組成物1の熱可塑性樹脂
を溶融状態に加熱するための加熱領域HZ内において、
マット状組成物1はこの加熱領域内の加熱手段HMから
離間した位置を通過することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,繊維強化シートの
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、繊維強化シートの製造方法として
は、熱可塑性樹脂と強化繊維とからなるマット状組成物
の熱可塑性樹脂を、当該熱可塑性樹脂の溶融温度以上に
加熱し、当該熱可塑性樹脂が溶融状態にあるときに加圧
し、その後冷却することにより、シート化する方法があ
る。
【0003】この熱可塑性樹脂を加熱する方法として
は、マット状組成物を一対の無端ベルト間に挟んで保持
させ、この無端ベルトごと熱可塑性樹脂の融点温度以上
に加熱するといった方法が一般的に知られている。
【0004】なお、非連続成型法としては特公昭61−
130345号が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,従来の
マット状組成物の熱可塑性樹脂を連続的に加熱溶融する
方法において、無端ベルトを使用した場合、溶融した樹
脂がベルト表面に付着堆積したり、ベルト同士の位置ず
れを修正するために、これを防止する設備がかなり高価
なものになる。
【0006】さらに、樹脂が溶融する200度C〜30
0度Cの温度領域で、加圧圧力50Kg/cm2のレベル
に耐えるためには、加圧するベルト自身の材質が限定さ
れ、かなりの設備強度が必要となる。
【0007】他方、無端ベルトを使用せずに、マット状
組成物を連続的に加熱しようとすると、加熱炉内におい
て何らかの方法でマット状組成物を支えながら輸送する
必要があるが、炉内においてロール等を使用すると、加
熱溶融した樹脂が該ロールに付着堆積してしまうという
問題がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の請求項1の繊維強化シートの製造方法は、
補強繊維と熱可塑性樹脂との組成物を平坦に形成したマ
ット状組成物を加熱し、この加熱工程後に加圧冷却を行
って、前記マット状組成物を繊維強化シートに形成する
繊維強化シートの製造方法であって、少なくとも前記マ
ット状組成物を加熱する加熱手段の加熱領域内におい
て、前記マット状組成物は、この加熱領域内の前記加熱
手段から離間した位置を通過することを特徴とする。
【0009】本発明の請求項2の繊維強化シートの製造
方法は、請求項1の繊維強化シートの製造方法におい
て、少なくとも加熱領域を通過する行程にあっては、前
記マット状組成物を、鉛直方向に移送することを特徴と
する。
【0010】本発明の請求項3の繊維強化シートの製造
方法は、請求項1の繊維強化シートの製造方法におい
て、前記加熱領域において、前記マット状組成物の下方
からエアを吹き付けることにより、前記加熱手段から離
間させて加熱することを特徴とする。
【0011】本発明の請求項4の繊維強化シートの製造
方法は、補強繊維と熱可塑性樹脂との組成物を平坦に形
成したマット状組成物を加熱し、この加熱工程後に加圧
冷却を行って、前記マット状組成物を繊維強化シートに
形成する繊維強化シートの製造方法であって、前記加熱
炉内に下方から上方に流れる熱風を吹き出させ、この熱
風の吹き付けにより前記マット状組成物を加熱しつつ浮
上させることを特徴とする。
【0012】本発明の請求項5の繊維強化シートの製造
装置は、補強繊維と熱可塑性樹脂との組成物を平坦に形
成したマット状組成物を加熱溶融させ、この加熱工程後
に加圧処理及び冷却処理を行って、前記マット状組成物
を繊維強化シートに形成する繊維強化シートの製造装置
であって、前記マット状組成物の熱可塑性樹脂を溶融状
態に加熱するための加熱領域内において、前記マット状
組成物はこの加熱領域内の加熱手段から離間した位置を
通過することを特徴とする。
【0013】本発明の請求項6の繊維強化シートの製造
装置は、請求項5の繊維強化シートの製造装置におい
て、前記加熱領域内の前記加熱手段から離間した位置を
移動して前記マット状組成物を搬送すると共に、前記加
熱領域の加熱温度に熱的に安定した性質をもつ、少なく
とも一対の細長い搬送部材を配したことを特徴とする繊
維強化シートの製造装置。
【0014】本発明の請求項7の繊維強化シートの製造
装置は、請求項6の繊維強化シートの製造装置におい
て、前記一対の搬送部材は、搬送方向に平行にのび、且
つ、所望間隔で並列的に設けられる連続繊維であること
を特徴とする。
【0015】本発明の請求項8の繊維強化シートの製造
装置は、請求項7の繊維強化シートの製造装置におい
て、前記連続繊維は、ガラス繊維、カーボン繊維、セラ
ミック繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、金属
繊維のいずれか単体若しくは複合体からなり、引張弾性
率が10GPa以上であって、50μm〜2000μmの
外径を有するものであることを特徴とする。
【0016】本発明の請求項9の繊維強化シートの製造
装置は、請求項6〜請求項8のいずれかの繊維強化シー
トの製造装置において、前記一対の搬送部材を搬送方向
に引張若しくは弛緩させる引張力調整手段を備えている
ことを特徴とする。
【0017】本発明の請求項10の繊維強化シートの製
造装置は、請求項5の繊維強化シートの製造装置におい
て、少なくとも前記マット状組成物を加熱する加熱領域
は鉛直方向に配列され、前記マット状組成物はこの加熱
領域内の加熱手段から離間した位置を鉛直方向に通過す
ることを特徴とする。
【0018】本発明の請求項11の繊維強化シートの製
造装置は、請求項5の繊維強化シートの製造装置におい
て、前記加熱炉内に、前記マット状組成物にエアを吹き
付けて前記マット状組成物を浮上させるエア供給手段が
設けられていることを特徴とする。
【0019】本発明の請求項12の繊維強化シートの製
造装置は、補強繊維と熱可塑性樹脂との組成物を平坦に
形成したマット状組成物を加熱し、この加熱工程後に加
圧冷却を行って、前記マット状組成物を繊維強化シート
に形成する繊維強化シートの製造方法であって、前記加
熱炉内に下方から上方に流れる熱風を吹き出させ、この
熱風の吹き付けにより前記マット状組成物を加熱しつつ
浮上させる熱風供給手段を備えていることを特徴とす
る。
【0020】本発明の請求項1〜請求項12の繊維強化
シートの製造方法並びに製造装置によれば、少なくとも
加熱手段による加熱領域において、マット状組成物を加
熱手段から離間させて接触させないで加熱溶融させるの
で、連続して加熱成形でき、繊維強化シートの製造コス
トを低下させて生産量を増やすことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】次に,本発明の好ましい実施形態
にかかる繊維強化シートの製造方法を図面に基づいて説
明する。この実施の形態では、水平にマット状組成物を
搬送しつつ加熱溶融させる装置と、加熱溶融工程では鉛
直方向に搬送する装置との2つの形態を説明する。
【0022】図1は本発明の第1の実施の形態を示す。
この第1の実施の形態はマット状組成物を水平方向に移
動させる形式のものであり、図1において、符号1は熱
可塑性樹脂と強化繊維からなるマット状組成物である。
このマット状組成物1はロール状に巻かれており、その
中心軸が繰り出し機2に保持されている。
【0023】マット状組成物1の強化繊維は、熱可塑性
樹脂の溶融温度において熱的に安定な性質を有するもの
を用いる。例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、セラミ
ック繊維等の無機繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル
繊維などの有機繊維、又は、金属繊維等が挙げられ、引
張弾性率が10GPa以上の繊維であれば使用可能であ
る。
【0024】なお、この強化繊維のモノフィラメントの
直径は、1〜50μmが好ましく、2〜30μmが特に好
ましい。なお、直径が1μm未満の場合には、得られる
繊維強化熱可塑性シートの強度が十分ではない。逆に、
50μmを越える場合には、強度が発現できないため、
繊維間に樹脂を広げて繊維同士を樹脂にてつなぐことが
困難である。
【0025】また、熱可塑性樹脂は、繊維状又は粉体状
のものとして得られるものであれば使用可能である。繊
維状の素材としては、ポリエチレン、ポロプロピレン等
のオレフィン樹脂、ナイロン、アクリロニトリル、ポリ
エチレンテレフタレート等が挙げられる。粉体状の素材
としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィ
ン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、
ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリ
スルホン、ポリエーテルエーテルケトン、等のほか、熱
可塑性エラストマーが挙げられる。
【0026】これらの熱可塑性樹脂は、単独で使用され
ていても併用されていてもよく、熱安定剤、可塑剤、滑
剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、無機充填剤、補
強単繊維等の添加剤、充填材、加工助剤、改質剤等が添
加されていてもよい。
【0027】さらに、マット状組成物1中の熱可塑性樹
脂は繊維状又は粉体状でもよく、強化繊維中に分散され
ていればよい。マットの製造方法については特に限定さ
れない。例えば、熱可塑性樹脂を繊維状で用いる場合に
は、繊維状熱可塑性樹脂と強化繊維を切断後、混合し、
エアにて積層後、ニードルパンチング等でマット状にす
る方法や、熱可塑性樹脂が粉体状であれば、強化繊維の
みでマット状にし、マット状の素材に粉体樹脂を振りか
け含浸させる方法等が挙げられる。用いる強化繊維は熱
可塑性樹脂の溶融温度において熱的に安定であるものを
使用する。
【0028】マット状組成物1は繰り出し機2から加熱
炉3の加熱領域HZを通過して加熱溶融される。加熱炉
3には、多数の遠赤外線ヒータ3a及び反射板3bが多
数上下に略等間隔で配置されており、マット状組成物1
の加熱手段HMを構成している。この上下に対向するよ
うに配列されたヒータ3a及び反射板3bの間の領域
が、マット状組成物1の加熱領域HZとされている。こ
の加熱領域HZには、加熱炉3内部を通る連続繊維4が
マット状組成物1の搬送部材として配備されている。マ
ット状組成物1は連続繊維4の上に搭載されて加熱手段
HMである多数の遠赤外線ヒータ3a、3bから離間し
た位置を通過し、加熱ピンチロール5、冷却ピンチロー
ル6、引き取り機7に導かれて、巻き取り機8に巻き取
られる。
【0029】連続繊維4は、マット状組成物1を構成す
る強化繊維と同様の素材により構成されている。繊維と
してはフィラメント単体で強化繊維の条件を満たすも
の、或いは、フィラメントが複数本集めて束にしたもの
でも構わない。繊維或いは繊維束の外径としては50μ
m〜2000μmが好適であり、さらに好適な外径として
は500〜1000μmである。繊維束の太さである外
径が小さすぎると、取り扱いが難しくなると共に、破断
しやすくなる。外径が大きすぎると、加圧成形後のシー
トの厚みに影響する。
【0030】連続繊維4の供給方法は、特に限定されな
いが、マット状組成物1の搬送方向に平行に少なくとも
一対配列され、巻き出し機2側から巻き取り機8側に向
かって送られる。連続繊維4は、連続繊維4用の巻き出
しリール9からガイドロール10、11に案内されて巻
き取りリール12に巻き取られる。
【0031】連続繊維4はマット状組成物1の左右幅よ
り小さい間隔で少なくとも一対並列されるが、マット状
組成物1の左右幅中央部位を複数部位ささえて、マット
状組成物1の中央部が加熱溶融によって弛まないように
しても良い。並列に配列される連続繊維4の隣り合う連
続繊維4同士の離間間隔は10mm〜200mmであり、マ
ット状組成物1によって適宜設定される。なお、連続繊
維4の配列間隔が狭すぎると本数が多くなり取り扱いに
くくなる。広すぎるとマット状組成物1が幅方向に繊維
の間隔でゆるんでしまう。また、連続繊維4は加熱工程
後取り除かれてもよく、そのままマット状組成物と一緒
に加圧成形されて繊維強化シート13を構成してもよ
い。
【0032】加熱炉3のマット状組成物1中の熱可塑性
樹脂の加熱手段としては、この実施の形態では、ヒータ
3a、反射板3bで構成しているが、熱風、遠赤外線ヒ
ータ等の汎用加熱手段、又は、誘電加熱、誘導加熱装置
を用いても良い。加熱温度は熱可塑性樹脂の種類、加熱
時間に応じて適宜選択される。
【0033】加熱炉3にて加熱溶融されたマット状組成
物1は、上下一対の加熱ピンチロール5により加圧され
薄肉化される。このマット状組成物1中の熱可塑性樹脂
の加圧固化する加熱ピンチロール5は、熱可塑性樹脂の
溶融温度未満に温調され、マット状組成物1はこの加熱
ピンチロール5により加圧されることにより、厚み方向
に圧縮され繊維強化シート13となる。加熱ピンチロー
ル5にて加圧圧縮された状況で熱可塑性樹脂を冷却固化
するといった方法が好適である。
【0034】冷却ピンチロール6は加熱ピンチロール5
にて薄肉化された繊維強化シート13を冷却して安定さ
せて固化する。引き取り機7は、冷却ピンチロール6か
ら出てくる繊維強化シート13を、巻き取り機8のロー
ル18に巻き取らせるために、繊維強化シート13に引
き出すトルクを加える。巻き取り機8は引き取り機7か
ら引き出された繊維強化シート13をロール18に巻き
付ける。
【0035】[実験例1]次に、この第1の実施の形態の
繊維強化シートの製造装置及び製造方法の実験例を説明
する。
【0036】この実験例1において、熱可塑性樹脂と強
化繊維からなるマット状組成物1としては、直径10μ
m、平均長さ50mmのカーボン繊維(CF)と直径約2
0μm、平均長さ約50mmのポリエチレンテレフタレー
ト(PET)繊維の混合物により組成されている。この
ポリエチレンテレフタレート(PET)の溶融温度は2
55度C、目付量約450g/m2 とされている。カー
ボンファイバーCFとポリエチレンテレフタレート(P
ET)の重量比は、CF:PET=45:55(重量パ
ーセント)である。
【0037】加熱炉3は、上下に各6本、遠赤ヒータ3
aをヒータとして設置した。炉内の加熱領域HZである
マットが通過部位の雰囲気温度は285度Cに設定し
た。また、加熱炉3の入り口及び加熱ピンチロール5の
直前に連続繊維4のガイドロール10,11を設置し
た。
【0038】連続繊維及びその繰り出し、引き取りの工
程においては、連続繊維4は束の外径が外径500μm
のガラス繊維束とした。連続繊維4の並列する繊維間の
間隔は50mmとしている。連続繊維4に作用する繊維張
力は50kg/本である。連続繊維4を供給する速度は
マット状組成物1を送るラインスピードと等速とした。
【0039】加熱ピンチロール5は、ロール表面温度を
100度Cに設定し、マット状組成物1を加熱加圧する
際のピンチ圧力は20kg/cmとした。また、冷却ピ
ンチロール6は、ロール表面温度を30度Cに設定し、
繊維強化シート13を挟圧するときのピンチ圧力は20
kg/cmとした。
【0040】この実験例1では、マット状組成物1を繊
維強化シート13に形成するための、ラインスピードは
1.5m/分とした。
【0041】その結果、上述のマット状組成物1から5
00mmの繊維強化シート13を得ることができた。得ら
れた繊維強化シート13は巻き取り機8により巻き取っ
た。この繊維強化シート13は、繊維で保持した部分に
若干樹脂が剥離した痕が見られたが、安定して連続的に
成形することができた。
【0042】[ 比較例]図2は、第1の実施の形態の比
較例を示したものである。この比較例においては、加熱
炉3の加熱領域HZを通過する連続繊維4に換えて、加
熱炉3内に200mm間隔で直径50mmのロール14を設
けた以外は実験例と同じであるが、このロール14によ
りマット状組成物1を搬送すると、成形開始直度より加
熱炉3内の加熱温度により、ロール14の表面に樹脂が
付着し始めた。さらに、これを続けて搬送すると、開始
後6時間でマット状組成物1がロール14の表面に付着
し、マット状組成物1が破断してしまった。
【0043】以上述べたように、この第1の実施の形態
の繊維強化シートの製造装置並びに製造方法によれば、
少なくとも加熱手段による加熱領域において、マット状
組成物を加熱手段から離間させて接触させないで加熱溶
融させるので、連続して加熱成形でき、繊維強化シート
を低コストで量産できる。
【0044】次に、本発明の第2の実施の形態にかかる
繊維強化シートの製造装置を説明する。
【0045】図3は、この第2の実施の形態にかかる繊
維強化シートの製造装置の主要構成を模式的に示したも
のであり、この第2の実施の形態の製造装置では、第1
の実施の形態の製造装置を鉛直方向に縦型に配置した点
で、第1の実施の形態のものと大きく異なる。この第2
の実施の形態の製造装置は、第1の実施の形態の製造装
置を柱15により支持させたものであり、第1の実施の
形態の連続繊維4を備えておらず、マット状組成物1
は、自身の重力により巻き出し機2から加熱炉3に供給
され、加熱ピンチロール5により加熱される。マット状
組成物1は加熱ピンチロール5にて加圧された後に、冷
却ピンチロール6、引き取り機7に導かれて、巻き取り
機8に巻き取られる。
【0046】このように加熱炉3の加熱領域HZにマッ
ト状組成物1を鉛直方向に搬入するようにすれば、より
低コストに繊維強化シート13を量産できる。なお、こ
のマット状組成物1を加熱炉3内に鉛直方向に搬入する
構成は、少なくとも加熱炉3の加熱領域HZのみであれ
ば、製造装置の高さが高くならない。
【0047】図4は、第3の実施の形態にかかる繊維強
化シートの製造装置の主要構成を模式的に示したもので
ある。第3の実施の形態の製造装置では、加熱炉3内に
加熱領域HZが設けられている。加熱炉3の加熱手段
は、ブロア19と、ブロア19から延びるダクト20
と、ダクト20から遠い方の端部が拡大された仕切壁2
1と、ダクト20内に設けられたヒータ22と、通気孔
23aを多数開口した板23とで構成されている。ブロ
ア19から吹き出される空気は、ダクト20を通過する
間にヒータ22にて加熱され、板23の通気孔23aか
ら均一に吹き出されてマット状組成物1を加熱する。そ
のほかの構成は、図1に示す製造装置と同様であるの
で、その説明を援用する。
【0048】マット状組成物1を加熱する際に、上方の
マット状組成物1に向かってエアーを吹き付けることに
より、マット状組成物1が浮き上がり、板23に付着す
ることが防止される。板23の代わりに多孔板を用いて
も良いと共に、多孔板或いは板23は加熱炉3内でマッ
ト状組成物1を加熱する温度に熱的に安定なものであれ
ばよい。
【0049】図4に示す繊維強化シートの製造方法で
は、補強繊維と熱可塑性樹脂との組成物を平坦に形成し
たマット状組成物1を加熱炉3内の熱風により加熱し、
この加熱工程後に加熱ピンチロール5により、マット状
組成物1の熱可塑性樹脂の溶融温度以下で加圧する。加
熱後、マット状組成物1は加熱ピンチロール5にて加圧
された後に、冷却ピンチロール6、引き取り機7に導か
れて加圧冷却が行われ、繊維強化シート13となる。加
圧冷却の後に、繊維強化シート13は、巻き取り機8に
巻き取られる。
【0050】図4の製造方法では、加熱炉3にて加熱さ
れる場合、板23から熱風が吹き出されて、マット状組
成物1が加熱されると共に、浮き上がり、加熱領域HZ
内において加熱手段である板23から離間した位置を通
過する。
【0051】[実験例2]次に、図4に示す繊維強化シー
トの製造方法の実験例と比較例とを説明する。
【0052】この実験例2において、熱可塑性樹脂と強
化繊維からなるマット状組成物1としては、直径10μ
m、平均長さ50mmのカーボン繊維(CF)と直径約2
0μm、平均長さ約50mmのポリエチレンテレフタレー
ト(PET)繊維の混合物により組成されている。この
ポリエチレンテレフタレート(PET)の溶融温度は2
55度C、目付量約450g/m2 とされている。カー
ボンファイバーCFとポリエチレンテレフタレート(P
ET)の重量比は、CF:PET=45:55(重量パ
ーセント)である。
【0053】加熱炉3のマット状組成物1の通過領域の
下方に、ステンレス製の板23を配した。ステンレス板
23の厚みは20mmであり、30mm間隔で直径5m
mの通気孔23aを多数開口した。エアはブロア19か
ら供給され、ヒータ22にて加熱される。エアは3Kg
f/cm2の圧力で送風した。
【0054】加熱ピンチロール5は、ロール表面温度を
100度Cに設定し、マット状組成物1を加熱加圧する
際のピンチ圧力は20kg/cmとした。また、冷却ピ
ンチロール6は、ロール表面温度を30度Cに設定し、
繊維強化シート13を挟圧するときのピンチ圧力は20
kg/cmとした。
【0055】この実験例2では、マット状組成物1を繊
維強化シート13の状態に形成するための、ラインスピ
ードは1.5m/分とした。
【0056】この実験例2ではマット状組成物1から5
00mmの繊維強化シート13を得ることができた。得ら
れた繊維強化シート13は巻き取り機8により巻き取っ
た。この繊維強化シート13は、繊維で保持した部分に
若干樹脂が剥離した痕が見られたが、安定して連続的に
成形することができた。
【0057】[比較例2]実験例2に対する比較例2で
は、図5に示すように、加熱炉3の上下にマット状組成
物1を搬送するロール24を200mm間隔で6本それ
ぞれ配置した。ロール20の直径はφ50mmであっ
た。加熱炉3内の加熱手段として遠赤外線ヒータ3a及
び反射板3bを複数配置した。マット状組成物1が通過
する加熱領域HZの温度は285度Cとした。加熱手段
以外のそのほかの構成は、実験例2と同様とした。
【0058】その結果、成形開始直後より加熱炉3内の
ロール24に樹脂が付着し、強化繊維を伴って堆積して
ゆき、開始後6時間後にはマット状組成物1がロール2
4に付着して破断した。
【0059】尚、図4の繊維強化シートの製造方法並び
に製造装置では、熱風によりマット状組成物1を加熱し
ながら浮上させたが、加熱炉3内にヒータ3a及び反射
板3bを加熱手段として設けておいて、マット状組成物
1の下方からのエア供給により、マット状組成物1を浮
上させて加熱手段から離間させれば、熱風の温度制御や
供給速度制御も容易になる。
【0060】
【発明の効果】本発明の請求項1の繊維強化シートの製
造方法乃至請求項12の製造装置によれば、少なくとも
加熱手段による加熱領域において、マット状組成物を加
熱手段から離間させて接触させないで加熱溶融させるの
で、連続して加熱成形でき、繊維強化シートの製造コス
トを低下させて生産量を増やすことができる。
【0061】本発明の請求項2の繊維強化シートの製造
装置によれば、少なくとも一対の細長い搬送部材を配
し、この搬送部材によりマット状組成物を搬送するの
で、マット状組成物に十分な加熱が行われると共に、低
コストになるという効果が得られる。
【0062】さらに、本発明の請求項6,7,8,9の
繊維強化シートの製造装置によれば、一対の搬送部材
は、搬送方向に平行にのび、且つ、所望間隔で並列的に
設けられる連続繊維であるので、請求項2の効果に加え
てさらに、加熱溶融の際に、マット状組成物が搬送方向
に延びることに合わせて連続繊維を延ばすことができ、
マット状組成物が弛んで厚みが変化したりすることが防
止できる。
【0063】請求項2の繊維強化シートの製造方法びに
請求項10の製造装置によれば、少なくともマット状組
成物を加熱する加熱領域は鉛直方向に配列され、マット
状組成物はこの加熱領域内の加熱手段から離間した位置
を鉛直方向に通過するので、請求項1の製造装置と同様
に、連続して加熱成形でき、繊維強化シートを低コスト
で製造できる。
【0064】請求項3の繊維強化シートの製造方法及び
請求項11の製造装置によれば、エアを供給することに
よりマット状組成物を加熱手段から離間させることがで
きる。
【0065】請求項4の繊維強化シートの製造方法及び
請求項12の製造装置によれば、熱風供給手段から熱風
を供給することによりマット状組成物を加熱しつつ離間
させることができ、非接触状態で加熱を行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる繊維強化シ
ートの製造装置の構成を示す模式図。
【図2】本発明の第1の実施の形態の比較例の加熱炉近
傍の模式図。
【図3】本発明の第2の実施の形態にかかる繊維強化シ
ートの製造装置の模式図。
【図4】本発明の第3の実施の形態にかかる繊維強化シ
ートの製造装置の模式図。
【図5】本発明の第3の実施の形態の比較例の維強化シ
ートの製造装置の模式図。
【符号の説明】
1 マット状組成物 2 巻き出し機 3 加熱炉 3a ヒータ 3b 反射板 HM 加熱手段 HZ 加熱領域 4 連続繊維 5 加熱ピンチロール 6 冷却ピンチロール 7 引き取り機 8 巻き取り機 9 巻き出しリール 10 ガイドロール 11 ガイドロール 12 巻き取りリール 13 繊維強化シート 14 ロール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江口 尚志 埼玉県朝霞市根岸台3−15−1 積水化学 工業株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】補強繊維と熱可塑性樹脂との組成物を平坦
    に形成したマット状組成物を加熱し、この加熱工程後に
    加圧冷却を行って、前記マット状組成物を繊維強化シー
    トに形成する繊維強化シートの製造方法であって、 少なくとも前記マット状組成物を加熱する加熱手段の加
    熱領域内において、前記マット状組成物は、この加熱領
    域内の前記加熱手段から離間した位置を通過することを
    特徴とする繊維強化シートの製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1の繊維強化シートの製造方法にお
    いて、 少なくとも加熱領域を通過する行程にあっては、前記マ
    ット状組成物を、鉛直方向に移送することを特徴とする
    繊維強化シートの製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1の繊維強化シートの製造方法にお
    いて、 前記加熱領域において、前記マット状組成物の下方から
    エアを吹き付けることにより、前記加熱手段から離間さ
    せて加熱することを特徴とする繊維強化シートの製造方
    法。
  4. 【請求項4】補強繊維と熱可塑性樹脂との組成物を平坦
    に形成したマット状組成物を加熱し、この加熱工程後に
    加圧冷却を行って、前記マット状組成物を繊維強化シー
    トに形成する繊維強化シートの製造方法であって、 前記加熱炉内に下方から上方に流れる熱風を吹き出さ
    せ、この熱風の吹き付けにより前記マット状組成物を加
    熱しつつ浮上させることを特徴とする繊維強化シートの
    製造方法。
  5. 【請求項5】補強繊維と熱可塑性樹脂との組成物を平坦
    に形成したマット状組成物を加熱溶融させ、この加熱工
    程後に加圧処理及び冷却処理を行って、前記マット状組
    成物を繊維強化シートに形成する繊維強化シートの製造
    装置であって、 前記マット状組成物の熱可塑性樹脂を溶融状態に加熱す
    るための加熱領域内において、前記マット状組成物はこ
    の加熱領域内の加熱手段から離間した位置を通過するこ
    とを特徴とする繊維強化シートの製造装置。
  6. 【請求項6】請求項5の繊維強化シートの製造装置にお
    いて、前記加熱領域内の前記加熱手段から離間した位置
    を移動して前記マット状組成物を搬送すると共に、前記
    加熱領域の加熱温度に熱的に安定した性質をもつ、少な
    くとも一対の細長い搬送部材を配したことを特徴とする
    繊維強化シートの製造装置。
  7. 【請求項7】請求項6の繊維強化シートの製造装置にお
    いて、前記一対の搬送部材は、搬送方向に平行にのび、
    且つ、所望間隔で並列的に設けられる連続繊維であるこ
    とを特徴とする繊維強化シートの製造装置。
  8. 【請求項8】請求項7の繊維強化シートの製造装置にお
    いて、前記連続繊維は、ガラス繊維、カーボン繊維、セ
    ラミック繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、金
    属繊維のいずれか単体若しくは複合体からなり、引張弾
    性率が10GPa以上であって、50μm〜2000μm
    の外径を有するものであることを特徴とする繊維強化シ
    ートの製造装置。
  9. 【請求項9】請求項6〜請求項8のいずれかの繊維強化
    シートの製造装置において、 前記一対の搬送部材を搬送方向に引張若しくは弛緩させ
    る引張力調整手段を備えていることを特徴とする繊維強
    化シートの製造装置。
  10. 【請求項10】請求項5の繊維強化シートの製造装置に
    おいて、 少なくとも前記マット状組成物を加熱する加熱領域は鉛
    直方向に配列され、前記マット状組成物はこの加熱領域
    内の加熱手段から離間した位置を鉛直方向に通過するこ
    とを特徴とする繊維強化シートの製造装置。
  11. 【請求項11】請求項5の繊維強化シートの製造装置に
    おいて、 前記加熱炉内に、前記マット状組成物にエアを吹き付け
    て前記マット状組成物を浮上させるエア供給手段が設け
    られていることを特徴とする繊維強化シートの製造装
    置。
  12. 【請求項12】補強繊維と熱可塑性樹脂との組成物を平
    坦に形成したマット状組成物を加熱し、この加熱工程後
    に加圧冷却を行って、前記マット状組成物を繊維強化シ
    ートに形成する繊維強化シートの製造方法であって、 前記加熱炉内に下方から上方に流れる熱風を吹き出さ
    せ、この熱風の吹き付けにより前記マット状組成物を加
    熱しつつ浮上させる熱風供給手段を備えていることを特
    徴とする繊維強化シートの製造装置。
JP9125602A 1997-03-25 1997-05-15 繊維強化シートの製造方法及び製造装置 Pending JPH10324752A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004504502A (ja) * 2000-07-13 2004-02-12 ソシエテ アノニム シヤープ 複合材から作られた一方向性シート

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JP2004504502A (ja) * 2000-07-13 2004-02-12 ソシエテ アノニム シヤープ 複合材から作られた一方向性シート

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