JPH10323386A - 抗凝血性、抗菌性カテーテル - Google Patents

抗凝血性、抗菌性カテーテル

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JPH10323386A
JPH10323386A JP10071585A JP7158598A JPH10323386A JP H10323386 A JPH10323386 A JP H10323386A JP 10071585 A JP10071585 A JP 10071585A JP 7158598 A JP7158598 A JP 7158598A JP H10323386 A JPH10323386 A JP H10323386A
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antibacterial
anticoagulant
treatment
catheter
blood vessel
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JP10071585A
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Yosuke Okada
陽介 岡田
Masanori Daicho
正典 大長
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Nippon Covidien Ltd
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Nippon Covidien Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 人体留置されるカテーテルの生体部位に応じ
て抗凝血性及び抗菌性を単独又は併用付与し、付与した
特性の境目が目視により容易に判別又は推定でき常に適
切な位置に留置できる抗凝血性、抗菌性カテーテルを提
供する。 【解決手段】 開口された先端部2aと連通する内腔1
aを有し、基端部2bに内腔1aと連通するルアーアダ
プター3を備えたカテーテル本体2の外表面で、人体に
留置されたときの血管内留置部分Aに抗凝血性処理また
は抗凝血性処理と抗菌性処理とをあわせて施すととも
に、残りの部分である血管内に留置されない部分Bに抗
菌性処理を施したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血管内留置用カテ
ーテルに係り、さらに詳しくは、抗凝血性および抗菌性
を有する血液浄化用カテーテル、中心静脈カテーテルあ
るいは末梢静脈カテーテルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】薬液や輸液の投与、輸血あるいは血圧等
血行動態のモニター、血液浄化等の血管、血液に関わる
治療、診断は、医療用カテーテル(以下、カテーテルと
記す)を経皮的に血管に留置して行われる。このカテー
テルの経皮的血管留置に伴う大きな問題としては、血管
内における血栓の形成と外部から血管内への細菌の侵入
がある。特に留置期間が長期に渡る場合これらの問題が
重篤な合併症として顕在化する可能性が高くなる。
【0003】生体にとって異物であるカテーテルが血液
に接触することにより血液の凝固反応が始まる。血栓は
血管壁に形成される壁在血栓、カテーテルの表面に薄く
付着するフィブリンシース、カテーテル内腔の閉塞をき
たすカテーテル内血栓に大別される。壁在血栓は血管内
腔の狭窄さらに進めば血管の閉塞をももたらすおそれが
ある。フィブリンシースや凝血塊は細菌の温床となり重
篤な合併症である敗血症の原因となる。カテーテル内腔
の閉塞も治療の中断、カテーテルの入れ替えを余儀なく
される厄介な問題である。
【0004】このため、カテーテルの経皮的血管留置に
おける血栓形成を抑制する抗凝血性処理の方法が、抗凝
固剤であるへパリンのコーティングを中心に数多く提案
されまた実用化されている。中でも四級アンモニウム塩
をバインダーとしてへパリンを結合させるテドマック
(TDMACと略す)ヘパリン処理は古典的な処方とし
て広く知られているところである。例えば特開昭48−
66187号公報には、三級アミンビニル化合物をグラ
フト重合したポリマーを四級化し、これにヘパリンを結
合させる処方が開示されている。また、特公昭59−3
1532号公報には、繊維素溶解活性物質をシリコーン
樹脂に固定化して、繊維素溶解活性を付与する方法が開
示されている。
【0005】経皮的にカテーテルを留置する場合のもう
一つの大きい問題は、危険な合併症である敗血症発生の
重要な因子となる感染である。細菌の血管内への侵入経
路としては、輸液の細菌汚染や輸液ルートの接続部から
の侵入もあるが、カテーテル刺入部からカテーテル表面
を伝って侵入する、いわゆる皮下トンネル逆行感染がも
っとも厄介な問題である。日常的なケヤーとして皮膚刺
入部を通気性のドレッシングで覆い定期的に消毒を行う
方法が採られているものの、必ずしも十分ではない。
【0006】この逆行感染に対処すべく各種の抗菌処理
を施したカテーテルが提案されている。例えば特開昭5
9−228856号公報には、エラストマーに難水溶性
のビグアニド化合物またはその塩を添加して抗菌剤の徐
放性を付与した抗菌剤徐放性導尿カテーテルが開示され
ている。また、特開昭64−15056号公報には、抗
菌能のある金属イオンを担持したゼオライトを付着もし
くは混入せしめた体内留置チューブが開示されている。
【0007】上記の如く、カテーテルに抗凝血性処理や
抗菌性処理をそれぞれ単独で施す例は数多く開示されて
いる。しかしながら、抗凝血性と抗菌性とを兼ね備えた
カテーテルのほうが好ましいのは自明であり、これら二
つの処理をあわせて施したものについても検討されてい
る。例えば特公平5−23790号公報および特公平7
−57236号公報には、クロルヘキシジン等の抗感染
剤を混錬したポリマーの表面を第四級アンモニウム塩で
被覆し、抗血栓形成薬と反応させる方法等が開示されて
いる。また、特開平8−117326号公報には、抗感
染剤としてビグアニド化合物を含有せしめ、抗血栓薬剤
としてウロキナーゼ等線溶活性物質またはヘパリン等凝
固抑制物質を表面に固定化したカテーテルが開示されて
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、経皮的
に血管内に留置されるカテーテルにおいて、血管内留置
部分では、血栓形成を抑えるために特に抗凝血性が必要
とされ、また血管内での細菌の増殖を抑えるために抗菌
性を有することが好ましい。一方、残りの部分である血
管内に留置されない部分(血管刺入口から皮膚刺入口に
いたる皮下トンネルおよび体外部分)では、逆行感染を
阻止するために特に抗菌性が要求されるが、抗凝血性は
付与されると皮下トンネル部で出血傾向が助長され、刺
入口からいつまでも血液が滲み出すという困難な問題が
あった。
【0009】本発明は、上記のような課題を解決するた
めになされたもので、人体に留置されるカテーテルの生
体の部位に応じて、その部位毎にカテーテルに必要とさ
れる抗凝血性および抗菌性を単独または併用付与すると
ともに、カテーテル上において付与した特性の異なる境
目が目視により容易に判別あるいは推定でき常に適切な
位置に留置することのできる抗凝血性、抗菌性カテーテ
ルを提供することを目的としたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る抗凝血性、
抗菌性カテーテルは、先端部または先端部付近に設けら
れた液体流出入口と、この液体流出入口と連通する内腔
とを有し、基端部に直接または延長チューブを介して内
腔と連通するルアーアダプターを備えたカテーテル本体
の外表面で、人体に留置されたときの血管内留置部分に
抗凝血性処理または抗凝血性処理と抗菌性処理とをあわ
せて施すとともに、残りの部分である血管内に留置され
ない部分に抗菌性処理を施したものである。
【0011】本発明に係る抗凝血性、抗菌性カテーテル
は、先端部または先端部付近に設けられた液体流出入口
と、液体流出入口と連通する内腔とを有し、基端部に直
接または延長チューブを介して内腔と連通するルアーア
ダプターを備えたカテーテル本体の外表面で、人体に留
置されたときの血管内留置部分および残りの部分である
血管内に留置されない部分のうちの皮下トンネルのほぼ
中央部から先端部側に相当する部分に、抗凝血性処理ま
たは抗凝血性処理と抗菌性処理とをあわせて施すととも
に、血管内に留置されない部分の他の部分に抗菌性処理
を施したものである。
【0012】また、本発明に係る抗凝血性、抗菌性カテ
ーテルは、カテーテル本体の外表面の抗凝血性処理また
は抗凝血性処理と抗菌性処理とをあわせて施した部分
と、抗菌性処理を施した部分との間で、人体に留置され
たときに皮下トンネルに位置する部分に、いずれの処理
も施されていない無処理部分を設けたものである。
【0013】さらに、本発明に係る抗凝血性、抗菌性カ
テーテルは、カテーテル本体の外表面の抗菌性処理を施
した部分に用いる抗菌剤の濃度を、抗凝血性処理または
抗凝血性処理と抗菌性処理とをあわせて施した部分に用
いる抗菌剤の濃度より高濃度としたものである。
【0014】本発明に係る抗凝血性、抗菌性カテーテル
は、カテーテル本体の内腔表面の全体または一部に抗凝
血性処理または抗凝血性処理と抗菌性処理とをあわせて
施したものである。
【0015】また、本発明に係る抗凝血性、抗菌性カテ
ーテルは、カテーテル本体の外表面の抗凝血性処理また
は抗凝血性処理と抗菌性処理とをあわせて施した部分
と、抗菌性処理を施した部分との境目、または、抗菌性
処理を施した部分の先端部の位置に、基点となる深度マ
ークを付すとともに、この深度マークからカテーテル本
体の基端部に向けてカテーテル本体の挿入目盛となる深
度マークを付したものである。
【0016】さらに、本発明に係る抗凝血性、抗菌性カ
テーテルは、カテーテル本体の外表面の抗凝血性処理ま
たは抗凝血性処理と抗菌性処理とをあわせて施した部分
と抗菌性処理を施した部分とを、カテーテル本体または
少なくともその外表面で、互いに異なる色調としたもの
である。
【0017】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.図1は本発明の実施の形態1の模式図お
よびその作用説明図である。図において、1は例えば高
カロリー輸液中心静脈用カテーテルで、内腔1aを有し
先端部2aが開口され先端部に向かうにしたがって縮径
され滑らかに仕上げられた本体2と、この本体2の基端
部2bに直接または延長チューブを介して接続されたル
アーアダプター3とからなり、本体2は例えば軟質のポ
リウレタンによって構成され、ルアーアダプター3は例
えば硬質のポリウレタンによって構成されている。ま
た、本体2を構成するポリウレタンには本体2の成形時
において無機系抗菌剤、例えば銀リン酸ジルコニウム系
抗菌剤(商品名:ノバロン、東亞合成社製)が1.0w
t%程度練り込まれており、本体2の全域に渡って抗菌
性を有するように形成されている。なお、銀リン酸ジル
コニウム系抗菌剤は熱、光、酸アルカリに強い性質を有
するので、カテーテルの成形時において抗菌性を損なう
ことがなく抗菌剤に適したものである。また、抗菌剤は
プラスチック(ポリウレタン)に対して0.5wt%以
上加えることによりその抗菌性が発揮される。
【0018】4は本体2の外表面に印刷された深度マー
クで、本体2の基端部2bから先端部2aに向かって例
えば5cmの部分を基点4aとして、この基点4aの部
分に例えば2mm幅の太線でマーキングした深度マーク
4が設けられ、基点4aから先端部2aに向かって1c
m毎の等間隔で設けられた目盛4bの部分に例えば0.
8mm幅の細線でマーキングした深度マーク、血管内深
度マーク4Aが設けられている。また、基点4aから基
端部2bに向かって2.5cm毎の等間隔で設けられた
目盛4cの部分に例えば1mm幅の線でマーキングした
深度マーク、皮下深度マーク4Bが設けられ、さらに
0.5mm毎の等間隔で設けられた目盛4dの部分に例
えば0.8mm幅の細線でマーキングした深度マーク、
皮下深度マーク4Bが設けられている。そして、基点4
aおよび目盛4b,4c,4dの深度マーク4,4A,
4Bのマーキングはパッド印刷法によって行われる。
【0019】また、本体2の基点4aは、カテーテル1
を人体に留置した場合の血管K内に挿入されている本体
2の基点4aから先端部2aまでの血管内留置部分A
と、基点4aから基端部2bまでの血管K内に留置され
ていない部分Bとの境目部分に設けられたものであり、
この基点4aおよび目盛4b,4c,4dの深度マーク
4,4A,4Bを目印にカテーテル1が挿入される。
【0020】さらに、本体2の基点4aから先端部2a
までの血管内留置部分Aの内腔1a表面および本体2外
表面には、徐放性抗凝血剤、例えばTDMAC化ヘパリ
ン(ヘパリンを四級アンモニウム塩処理したもの)を
2.0wt%溶解した石油エーテル溶液を用いた浸漬法
により塗布しており、抗凝血性を有するように形成され
ている、つまり抗菌性および抗凝血性の両者を有するよ
うに形成されている。また、基点4aから基端部2bま
での血管K内に留置されていない部分Bの内腔1a表面
および本体2外表面には抗菌性のみ有するように形成さ
れている。
【0021】なお、TDMAC化ヘパリンとは、ヘパリ
ンナトリウムのヘパリン部分がイオン的に(−)に荷電
し、TDMAC(トリドデシルメチルアンモニウムクロ
リド)のトリドデシルメチルアンモニウム(TDMA)
部分が(+)に荷電していることを利用し、これらをイ
オン的に結合させたものであり、TDMA部分が親油性
であるために本体2の構成材料(ポリウレタンなど)で
あるプラスチックへの親和性がよく、従来からヘパリン
を医療用具にコーティングする場合に用いられる。
【0022】このように構成したこの実施の形態におい
ては、輸液を行う場合、例えばセルジンガー法を用い
て、図1に示すように、経皮的に血管K内に挿入されて
いるガイトワイヤー(図示せず)をカテーテル1の本体
2の内腔1aに先端部2aから挿通させ、このガイドワ
イヤーを用いてカテーテル1を血管K内に挿入し、留置
する。この時、本体2に設けられた基点4aおよび目盛
4b,4c,4dの深度マーク4,4A,4Bを目印に
しながら挿入し、基点4aが血管Kと皮下トンネルTの
境に位置するように留置する。なお、臨床医は血管Kの
どの位置からカテーテル1が血管K内に入り込んでいる
かを、あらかじめ穿刺針やシースで血管Kを刺したとき
に把握することができるため、カテーテル1の本体2の
基点4aを血管内留置部分Aの開始位置に位置決めする
ことはほぼ可能である。ついで、ガイドワイヤーを本体
2の内腔1aから抜き、ルアーアダプター3を輸液用の
シリンジ等に接続して輸液を開始する。
【0023】輸液は長期間に渡って行われ、その間カテ
ーテル1は血管K内に挿入された状態のまま留置され
る。この時、カテーテル1の本体2はその成形時に抗菌
剤が練り込まれて形成され抗菌成分が本体2の外表面に
露出しているため、カテーテル1を伝って血管K内に侵
入する体外部分からの有害菌、またはカテーテル1の血
管K内の挿入部分にできた血栓スリーブに付着する有害
菌等の生育を抑制し増殖を妨げることができ、感染症や
敗血症の発生を防ぐことができる。また、カテーテル1
の本体2の血管内留置部分Aの内腔1a表面および本体
2外表面において、徐放性抗凝血剤のヘパリンが塗布さ
れており徐放されるので抗凝血性を有しており、フィブ
リンスリーブの生成や凝血塊を抑えて血流の低下や血管
Kおよびカテーテル1の内腔1aの閉塞を防ぐことがで
きる。そして、本体2の血管K内に留置されない部分B
の内腔1a表面および本体2外表面においては、徐放性
抗凝血剤が塗布されていないので、皮下トンネルT部分
ではタンパク凝固または血液凝固が生じて傷口が固定さ
れ、刺入部からの出血は止められる。
【0024】このように、カテーテル1の本体2にマー
キングされた深度マーク4つまり基点4aを境目にし
て、本体2の基点4aから先端部2aまでの血管内留置
部分Aに抗菌性および抗凝血性を付与させるとともに、
基点4aから基端部2bまでの残りの部分である血管K
内に留置されない部分Bに抗菌性のみを付与させるよう
にしたので、感染症、敗血症または血流の低下や血管K
およびカテーテル1の内腔1aの閉塞を防ぐことができ
るとともに、皮下トンネルTの出血傾向を抑えて刺入部
での止血を確実に行うことができるカテーテル1を得る
ことができる。
【0025】実施の形態2.図2は本発明の実施の形態
2の模式図である。図において、6は血液浄化(ブラッ
ドアクセス)用ダブルルーメンカテーテルで、側孔を有
し先端が閉塞された脱血用内腔6aと側孔を有し先端が
開口された送血用内腔6bとを備え、先端部7aが先端
に向かうにしたがって縮径された本体7と、本体7の基
端部7bに直接または延長チューブを介して接続された
ルアーアダプター8a(脱血用),8b(送血用)とか
らなり、本体7は例えばポリウレタンによって構成さ
れ、ルアーアダプター8a,8b8は例えばポリ塩化ビ
ニルによって構成されている。また、本体7を構成する
ポリウレタンには本体7の成形時に徐放性抗菌剤、例え
ばジンクピリチオンが2.0wt%程度練り込まれてお
り、本体7の全域に渡って抗菌性を有するように形成さ
れている。
【0026】9は本体7の外表面に印刷された深度マー
クで、本体7の基端部7bから先端部7aに向かって例
えば5cmの部分を基点9aとして、この基点9aの部
分に実施の形態1と同様にマーキングされた深度マーク
9が設けられ、基点9aを境として、基点9aから先端
部7aまでの血管内留置部分Cには実施の形態1と同様
に目盛9bが設けられ、この部分に実施の形態1と同様
にマーキングされた深度マーク、血管内深度マーク9A
が設けられている。また、基点9aから基端部7bまで
の血管K内に留置されない部分Dには、実施の形態1と
同様に目盛9c,9dが設けられ、これらの部分に実施
の形態1と同様にマーキングされた深度マーク、皮下深
度マーク9Bが設けられていて、基点9aおよび目盛9
b,9c,9dの深度マーク9,9A,9Bを目印にカ
テーテル6が挿入される。
【0027】さらに、本体7の基点9aから先端部7a
までの血管内留置部分Cの脱送血内腔6a,6b表面お
よび本体7外表面には、徐放性抗凝血剤、TDMAC化
ヘパリンを5.0wt%溶解した石油エーテル溶液を用
いて浸漬法により塗布しており、抗凝血性を有するよう
に形成されている、つまり抗菌性および抗凝血性の両者
を有するように形成されている。また、基点9aから基
端部7bまでの血管K内に留置されない部分Dの内腔6
a,6b表面および本体7外表面には抗菌性のみ有する
ように形成されている。
【0028】このように構成したこの実施の形態におい
ては、血液の脱送血を行う場合、実施の形態1で説明し
た場合と同様に、セルジンガー法を用いてカテーテル6
を経皮的に血管K内に挿入して留置する。この時、本体
7に設けられた基点9aおよび目盛9b,9c,9dの
深度マーク9,9A,9Bを目印にしながら挿入し、基
点9aが血管Kと皮下トンネルTとの境に位置するよう
に留置する。そして、ルアーアダプター8a,8bを血
液浄化用循環回路に接続して脱送血を開始し、血液浄化
を行う。
【0029】血液浄化は長期間に渡って行われ、その間
カテーテル6は血管K内に挿入された状態のまま留置さ
れる。この時、実施の様態1と同様に、カテーテル6の
本体7は徐放性抗菌剤が練り込まれているため抗菌性を
有しており、また、本体7の血管内留置部分Cの内腔6
a,6b表面および本体7外表面は徐放性抗凝血剤が塗
布されているので抗凝血性を有している。したがって、
本体7の抗菌性により体外部分からの有害菌や血栓スリ
ーブに付着増殖する有害菌等を抑えて感染症や敗血症の
発生を防ぐことができる。また、本体7の血管内留置部
分Cの抗凝血性により、フィブリンスリーブの生成や凝
血塊を抑えて血流の低下や血管Kおよびカテーテル6の
内腔6a,6bの閉塞を防ぎ、徐放性抗凝血剤が塗布さ
れていない血管K内に留置されない部分Dでは、タンパ
ク凝固または血液凝固が生じて傷口が固定され、皮下ト
ンネルTの出血傾向を抑えて刺入部は確実に止血され
る。これにより、実施の形態1と同様の効果を有する血
液浄化用カテーテル6を得ることができる。
【0030】ところで、上述の実施の形態1,2に係る
カテーテル1,6に用いられている無機系抗菌剤である
銀リン酸ジルコニウム系抗菌剤および徐放性抗菌剤であ
るジンクピリチオンを含む各種の抗菌剤においては、抗
菌機能の他に血液の凝固を促進するような副次的性質を
持つものがあり、これらをカテーテル1,6等に用いる
場合は、使用する抗菌剤の濃度およびカテーテルへの適
応部位の選択を考慮する必要がある。
【0031】例えば副次的性質を持つ抗菌剤の1つで、
銀イオン(Ag+ )が抗菌作用の主成分である銀リン酸
ジルコニウム系抗菌剤は、高濃度で使用すると抗菌性能
が増長してくると同時に、相反して血液凝固の性質も増
す。このような副次的な凝固性は実験的に確かめられて
いる。
【0032】そこで、血液の凝固促進作用を示す抗菌剤
を例えばプラスチック中に50.0wt%程度と極めて
高濃度で含有させると、カテーテルの適応部位として
は、血管内に留置される部位に使用することは望ましく
なく、血管内に留置されない部位に使用することは望ま
しい。また、血管外の部位である皮下トンネルでは強い
凝固促進作用が働いて血液が容易に固化するため、刺入
部からの血管の滲みが十分抑制されるというメリットも
ある。よって、抗菌剤のカテーテルへの適応部位の選択
は重要である。
【0033】また、血液の凝固促進作用を示す例えば銀
系の抗菌剤であっても、抗菌剤によって多少の違いはあ
るが、少なくとも数wt%以下の低濃度で使用する場
合、例えば実施の形態1等の場合には、何等問題を有し
ない。つまり、実施の形態1等の場合は抗菌剤が低濃度
であるため凝固促進作用が強く働かず、カテーテルの血
管内留置部分での使用も差し支えがなくなり、カテーテ
ルの全長に渡っての適応が可能である。なお、抗菌剤に
特筆すべき副次的性質を持たない抗菌剤にあっては、血
管内留置部分、皮下トンネル、体外部分のいずれの使用
も可能である。
【0034】以上のように、特に凝固を促進するような
副次的性質を有する抗菌剤のカテーテルへの使用にあた
っては、その濃度と適応部位との選択をそれぞれ適した
ものとしなければならない。次に、このような副次的性
質を有する抗菌剤をカテーテルに用いた場合の実施の形
態3,4について以下に説明する。
【0035】実施の形態3.図3は本発明の実施の形態
3の模式図およびその作用説明図である。この実施の形
態3は、実施の形態1に係るカテーテル1において、そ
の本体2が軟質のポリウレタンに造影剤として例えば硫
酸バリウムを40.0wt%加えた混合物によって白色
状チューブに形成され、カテーテル1を人体に留置した
ときに皮下トンネルTのほぼ中央部に位置する部分を基
点4aとし、この基点4aから先端部2aまでの外表面
および本体2の内腔1aの表面全部に、徐放性抗凝血
剤、例えばTDMAC化ヘパリンと軟質ポリウレタンと
の1:1混合溶液を浸漬法により塗布して抗凝血性を有
するように形成し、基点4aから基端部2bまでの外表
面に、無機系抗菌剤、例えば銀リン酸ジルコニウム系抗
菌剤を50.0wt%と高濃度に混入した軟質ポリウレ
タンのテトラハイドロフラン溶液を浸漬法により塗布し
て高い抗菌性を有するように形成したものである。
【0036】そして、本体2の基点4a部分の外表面に
は深度マーク4が印刷され、この深度マーク4を境にし
て、本体2の外表面では、抗凝血性が付与された部分E
と、高い抗菌性が付与された部分Fとに分けられる。ま
た、抗凝血性が付与された部分Eの基点4aから先端部
2aに向かって設けられた目盛4b部分および高い抗菌
性が付与された部分Fの基点4aから基端部2bに向か
って設けられた目盛4c,4d部分の外表面には、それ
ぞれ深度マーク4A,4Bが印刷されている。
【0037】このように構成したこの実施の形態におい
ても、実施の形態1で説明した場合と同様にセルジンガ
ー法を用い、本体2に設けられた基点4aおよび目盛4
b,4c,4dの深度マーク4,4A,4Bを目印にし
ながらカテーテル1を経皮的に血管K内に挿入して留置
する。この時、図3に示すように、基点4aである深度
マーク4は皮下トンネルTのほぼ中央部に位置される。
そして、ルアーアダプター3に輸液用のシリンジ等を接
続して輸液を行う。
【0038】長期間に渡って人体に留置されているカテ
ーテル1においては、その本体2の基点4aから基端部
2bまでの外表面で高い抗菌性を有するため、強力な抗
菌力を発揮し、経皮的な外部からの細菌感染を強く抑制
するとともに、抗凝血性を有していないため、皮下トン
ネルT部分でのタンパク凝固または血液凝固が生じて傷
口が固定され、刺入部からの出血が止められる。また、
本体2の内腔1a表面全部および基点4aから先端部2
aまでの外表面で抗凝血性を有するため、フィブリンス
リーブの生成や凝血塊を抑えて血流の低下や血管Kおよ
びカテーテル1の内腔1aの閉塞を防ぐ。
【0039】この時、本体2の基点4aから基端部2b
までの外表面に塗布された高濃度の抗菌剤は強い凝血作
用を示すが、抗凝血性が付与された部分Eと高い抗菌性
が付与された部分Fとの境目となる深度マーク、つまり
基点4aが皮下トンネルTのほぼ中央部に位置している
ため、高い抗菌性が付与された部分Fが血管K内に留置
されず、その強い凝血作用による血栓形成を防止する。
また、抗凝血性が付与された部分Eが血管K壁を越えて
皮下トンネルTに留置されるが、皮下トンネルTにおけ
る高い抗菌性が付与された部分Fの強い凝血作用によっ
て血液を凝固させ、刺入部からの血液の滲み出しを抑制
する。
【0040】このように、カテーテル1を人体に留置し
たときに皮下トンネルTのほぼ中央部に位置する本体2
の部分を基点4aとし、これを境に本体2の外表面が抗
凝血性が付与された部分Eと高い抗菌性が付与された部
分Fとに分けられるように構成したので、感染症、敗血
症または血流の低下や血管Kおよびカテーテル1の内腔
1aの閉塞を防ぐことができるとともに、皮下トンネル
Tの出血傾向を抑えて刺入部での止血を確実に行うこと
ができるカテーテル1を得ることができる。また、高い
抗菌性が付与された部分Fは高濃度の抗菌剤が用いられ
ているため、強力な抗菌力を発揮し、逆行感染を強く抑
制することができる。そして、高濃度の抗菌剤によりそ
の副次的性質である強い凝血作用を示すが、基点4aが
皮下トンネルTのほぼ中央部に位置しているため、高い
抗菌性が付与された部分Fが血管K内に留置されるのを
防ぐことができ、強い凝血作用による血管K内での血栓
形成を防止することができるとともに、血管K壁を越え
て皮下トンネルTまで達した抗凝血性が付与された部分
Eによる出血傾向を、皮下トンネルTに位置している高
い抗菌性が付与された部分Fの強い凝血作用によって皮
下トンネルTで抑制することでき、刺入部での止血を確
実に行うことができるカテーテル1を得ることができ
る。
【0041】実施の形態4.図4は本発明の実施の形態
4の模式図およびその作用説明図である。この実施の形
態4は、実施の形態3に係るカテーテル1において、そ
の本体2の外表面の基点4aから先端部2aに向かって
例えば3cmまでの部分を、抗菌剤および抗凝血剤が塗
布されず抗菌性および抗凝血性のいずれも有しない無処
理部分であるブランク10としたものである。なお、本
体2の基点4aから先端部2aまでのブランク10を除
く外表面および内腔1a表面全部には実施の形態3の場
合と同様に抗凝血剤が塗布され、抗凝血性を有してお
り、ブランク10を境にして、本体2の外表面では、抗
凝血性が付与された部分Eと高い抗菌性が付与された部
分Fとに分けられる。また、カテーテル1の留置時にお
ける基点4aは、皮下トンネルTのほぼ中央部より若干
基端部2b側に位置される。
【0042】このように構成したことにより、実施の形
態3とほぼ同じ作用および効果が得られるとともに、ブ
ランク10を設けたことによって、本体2の外表面で抗
凝血性が付与された部分Eと高い抗菌性が付与された部
分Fとを間隔を隔てて確実に分けることができ、高い抗
菌性が付与された部分Fが血管K内に留置されるのを防
いで、強い凝血作用による血管K内での血栓形成を防止
でき、皮下トンネルTでの血液凝固が生じて刺入部での
止血を確実に行うことができる。また、皮下トンネルT
内に留置される抗凝血性が付与された部分Eを短くする
ことができるため、皮下トンネルTの出血傾向を抑えて
刺入部からの血液の滲み出しを防止することができる。
【0043】なお、上述の実施の形態3,4では実施の
形態1に本発明を実施した場合を示したが、実施の形態
2にもこの発明を実施することができ、この場合も同様
の効果を奏する。
【0044】実施の形態5.本発明の実施の形態5は、
実施の形態1のカテーテル1の本体2において、その基
点4aから先端部2aまでの血管内留置部分Aを、ポリ
ウレタンに造影剤として例えば硫酸バリウムを20.0
wt%加えた混合物で白色状チューブ(白色状本体)に
成形し、一方、基点4aから基端部2bまでの血管K内
に留置されない部分Bを、造影剤を入れないポリウレタ
ンで透明状チューブ(透明状本体)に成形して、これら
を別々に成形したうえで、カテーテル1の内腔1aとな
るチューブ状成形物の内側に一本の金属棒を通して嵌合
させ、嵌合させた部分を熱溶融着法で一体化する。そし
て、得られたカテーテル1の本体2の接着部分が基点4
aとなるように、その基点4aに実施の形態1と同様に
パッド印刷法によって太線でマーキングした深度マーク
4を設け、他の部分へも実施の様態1と同様にマーキン
グした深度マーク4A,4Bを設ける。
【0045】さらに、側鎖に第三級アミノ基を有するポ
リアミノエーテルとポリテトラメチレングリコールとの
1:1混合物にジフェニルメタンイソシアナートを反応
させて得られたプレポリマーをジアミンで鎖延長しポリ
アミノエーテルウレタン尿素としたポリウレタンを得
て、このポリウレタンに対して徐放性抗菌剤、例えばジ
ンクピリチオンが0.5wt%混入したシクロヘキサノ
ン溶液を浸漬法により、内腔1a表面および本体2外表
面にコーティングした後、十分に真空乾燥することでシ
クロヘキサノンを除去し、抗菌剤が均一に混入したポリ
ウレタン皮膜がコーティングされ抗菌性を有する本体2
を形成する。これらの工程を経た後、血管内留置部分A
の内腔1a表面および本体2外表面を、塩化ベンジルで
四級化し、1.0w%ヘパリン水溶液への浸漬法で徐放
性抗凝血剤ヘパリンをイオン結合させて、抗凝血性を有
するように形成する。
【0046】このように構成したことにより、実施の形
態1とほぼ同じ作用および効果が得られ、感染症、敗血
症または血流の低下や閉塞を防ぐとともに、刺入部での
止血を確実に行うことができる。また、本体2はその基
点4aを境にして白色の血管内留置部分Aと残りの部分
である透明な血管K内に留置されない部分Bとに色分け
されているので、深度マーク4,4A,4Bとともにカ
テーテル1の挿入時の目印になり、それぞれに付与され
た抗凝血性および抗菌性を目視により明確に判別するこ
とができて、取り扱いの便利なカテーテル1を得ること
ができる。
【0047】なお、上述の実施の形態5では実施の形態
1に本発明を実施した場合を示したが、実施の形態2,
3または4にもこの発明を実施することができ、これら
の場合も同様の効果を奏する。
【0048】以上のように、本発明の実施の形態につい
て説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、
例えば以下のように適宜変更することができる。 (1)上述の実施の形態1乃至5ではカテーテルを構成
する主材料にポリウレタンを用いた場合を示したが、例
えばポリ塩化ビニル、シリコーン、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリアミド、あるいはPFA(テトラフル
オロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共
重合体)またはPTFE(ポリテトラフルオロエチレ
ン)などのフッソ樹脂等を用いてもよく、安全性が認め
られる材料であれば新規のものを用いてもよい。
【0049】(2)抗菌剤として銀リン酸ジルコニウム
系抗菌剤あるいはジンクピリチオンを用いた場合を示し
たが、例えばアレキシジン、塩化ベンザルコニウム、塩
化セチルピリジウム、オクテニジン、銀(セラミック系
に担持)、クロロヘキシジン、酢酸ニトロフェニル、ス
ルファジン銀、トリフェニルビスマチン、ピスピリジナ
ミン類、プロピルパラベン、フェノール類、メチルパラ
ベン等を用いてもよく、これらのうちの複数種を組み合
わせて使用してもよい。2種類以上を組み合わせて使用
した場合は抗菌作用を多くの菌に対して有効となるた
め、より好ましい。また、抗菌剤の本体2への固定化は
本体2の構成材料に練り込んでもよく、本体2の表面に
コーティングさせてもよい。
【0050】(3)抗凝血剤として例えばTDMAC化
ヘパリンなどの四級アミノ化によるヘパリンをイオン結
合により固定する方法を用いた場合を示したが、例えば
ウロキナーゼ等を用いてもよい。また、抗凝血剤の本体
2への固定化はTDMAC法だけでなく、化学的なイオ
ン結合または共有結合(抗凝血剤と材料とをスペーサー
となる化合物を用いて結合させてもよい)などを用いて
もよい。
【0051】(4)深度マーク4,4A,4B,9,9
A,9Bの印刷方法にパッド印刷法を用いた場合を示し
たが、シルクスクリーン、オフセット法などの印刷法を
用いてもよい。
【0052】(5)上述の実施の形態5では、ポリウレ
タンに造影剤である硫酸バリウムを混合させた混合物で
成形した白色の血管内留置部分Aと、ポリウレタンのみ
で成形した残り部分である透明な血管K内に留置されな
い部分Bとにより実施の形態1に係る本体2を形成し、
その異なる色調によって血管内留置部分Aと血管K内に
留置されない部分Bを目視により区別できるようにした
場合を示したが、造影剤はこれに限定するものではな
く、例えば金属タングステンまたはビスマス等を用いて
もよい。また、造影剤に代えて着色剤をあらかじめ成形
する前のポリウレタンに練り込み、着色された血管内留
置部分Aを成形するようにしてもよい。さらに、本体2
の内層に反応性染料を用い色素を吸着させた後に発色さ
せることで着色するようにしてもよい。
【0053】
【発明の効果】以上のように本発明に係る抗凝血性、抗
菌性カテーテルは、先端部または先端部付近に設けられ
た液体流出入口と、この液体流出入口と連通する内腔と
を有し、基端部に直接または延長チューブを介して内腔
と連通するルアーアダプターを備えたカテーテル本体の
外表面で、人体に留置されたときの血管内留置部分に抗
凝血性処理または抗凝血性処理と抗菌性処理とをあわせ
て施すとともに、残りの部分である血管内に留置されな
い部分に抗菌性処理を施したので、人体に長期間留置し
た場合でも感染症、敗血症または血流の低下や血管の閉
塞を防ぐことができるとともに、刺入部での止血を確実
に行うことができるカテーテルを得ることができる。
【0054】本発明に係る抗凝血性、抗菌性カテーテル
は、先端部または先端部付近に設けられた液体流出入口
と、液体流出入口と連通する内腔とを有し、基端部に直
接または延長チューブを介して内腔と連通するルアーア
ダプターを備えたカテーテル本体の外表面で、人体に留
置されたときの血管内留置部分および残りの部分である
血管内に留置されない部分のうちの皮下トンネルのほぼ
中央部から先端部側に相当する部分に、抗凝血性処理ま
たは抗凝血性処理と抗菌性処理とをあわせて施すととも
に、血管内に留置されない部分の他の部分に抗菌性処理
を施したので、抗菌性処理を施した部分により経皮的な
外部からの細菌汚染を抑制して感染症や敗血症の発生を
防ぐとともに、刺入部での止血を確実に行うことができ
る。
【0055】また、カテーテル本体の外表面の皮下トン
ネルのほぼ中央部に位置する部分において抗菌性処理を
施した部分と抗凝血性処理を施した部分とに分けられる
ため、各処理を施した部分に付与された特性、抗凝血性
および抗菌性をそれぞれ有効かつ確実に活かすことがで
きる。さらに、血液の凝固を促進するような副次的性質
を有する抗菌剤を用いて抗菌性処理を施した場合でも、
抗凝血性処理を施した部分が血管内に留置されて血栓を
形成するのを防ぐことができるとともに、血管壁を越え
て皮下トンネルまで達した抗凝血性処理を施した部分に
よる出血傾向を皮下トンネル内の抗菌性処理を施した部
分の抗菌剤の副次的性質によって皮下トンネルで抑制す
ることができ、刺入部からの血液の滲み出しを防止する
ことができる。
【0056】本発明に係る抗凝血性、抗菌性カテーテル
は、カテーテル本体の外表面の抗凝血性処理または抗凝
血性処理と抗菌性処理とをあわせて施した部分と、抗菌
性処理を施した部分との間で、人体に留置されたときに
皮下トンネルに位置する部分に、いずれの処理も施され
ていない無処理部分を設けたので、皮下トンネル内にお
いていずれの処理の影響も受けず、各部分に付与されて
いる抗凝血性および抗菌性を有効に活かすことができる
ため、感染症、敗血症または血流の低下や血管の閉塞を
防ぐことができるとともに、刺入部での止血を確実に行
うことができるカテーテルを得ることができる。
【0057】また、本発明に係る抗凝血性、抗菌性カテ
ーテルは、カテーテル本体の外表面の抗菌性処理を施し
た部分に用いる抗菌剤の濃度を、抗凝血性処理または抗
凝血性処理と抗菌性処理とをあわせて施した部分に用い
る抗菌剤の濃度より高濃度としたので、強力な抗菌力を
発揮して逆行感染を強く抑制することがでるとともに、
高濃度によって生じる抗菌剤の血液の凝固を促進するよ
うな副次的性質により刺入部での止血を確実に行うこと
ができる。
【0058】本発明に係る抗凝血性、抗菌性カテーテル
は、カテーテル本体の内腔表面の全体または一部に抗凝
血性処理または抗凝血性処理と抗菌性処理とをあわせて
施したので、カテーテルの内腔の閉塞を防ぐことができ
る。
【0059】また、本発明に係る抗凝血性、抗菌性カテ
ーテルは、カテーテル本体の外表面の抗凝血性処理また
は抗凝血性処理と抗菌性処理とをあわせて施した部分
と、抗菌性処理を施した部分との境目、または、抗菌性
処理を施した部分の先端部の位置に、基点となる深度マ
ークを付すとともに、この深度マークからカテーテル本
体の基端部に向けてカテーテル本体の挿入目盛となる深
度マークを付したので、カテーテル本体の挿入時の目印
になり、抗凝血性処理または抗凝血性処理と抗菌性処理
とをあわせて施した部分と抗菌性処理を施した部分とを
それぞれ所定の位置に確実に留置させることができ、各
部分に付与されている抗凝血性および抗菌性を有効に活
かすことができる。
【0060】さらに、本発明に係る抗凝血性、抗菌性カ
テーテルは、カテーテル本体の外表面の抗凝血性処理ま
たは抗凝血性処理と抗菌性処理とをあわせて施した部分
と抗菌性処理を施した部分とを、カテーテル本体または
少なくともその外表面で、互いに異なる色調としたの
で、深度マークとともにカテーテルの挿入時の目印にな
るとともに、各部分に付与された抗凝血および性抗菌性
を目視により容易にかつ明確に判別することができて、
取り扱いの便利なカテーテルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の模式図およびその作用
説明図である。
【図2】本発明の実施の形態2の模式図である。
【図3】本発明の実施の形態3の模式図およびその作用
説明図である。
【図4】本発明の実施の形態4の模式図およびその作用
説明図である。
【符号の説明】
1,6 カテーテル 1a,6a,6b 内腔 2,7 本体 2a,7a 先端部 2b,7b 基端部 3,8a,8b ルアーアダプター 4,9 深度マーク 4A,9A 血管内深度マーク 4B,9B 皮下深度マーク 4a,9a 基点 4b,4c,4d,9b,9c,9d 目盛 10 ブランク A,C 血管内留置部分 B,D 血管内に留置されない部分 E 抗凝血性が付与された部分 F 抗菌性が付与された部分 K 血管 T 皮下トンネル

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 先端部または先端部付近に設けられた液
    体流出入口と、該液体流出入口と連通する内腔とを有
    し、基端部に直接または延長チューブを介して前記内腔
    と連通するルアーアダプターを備えたカテーテル本体の
    外表面で、人体に留置されたときの血管内留置部分に抗
    凝血性処理または抗凝血性処理と抗菌性処理とをあわせ
    て施すとともに、残りの部分である血管内に留置されな
    い部分に抗菌性処理を施したことを特徴とする抗凝血
    性、抗菌性カテーテル。
  2. 【請求項2】 先端部または先端部付近に設けられた液
    体流出入口と、該液体流出入口と連通する内腔とを有
    し、基端部に直接または延長チューブを介して前記内腔
    と連通するルアーアダプターを備えたカテーテル本体の
    外表面で、人体に留置されたときの血管内留置部分およ
    び残りの部分である血管内に留置されない部分のうちの
    皮下トンネルのほぼ中央部から前記先端部側に相当する
    部分に、抗凝血性処理または抗凝血性処理と抗菌性処理
    とをあわせて施すとともに、前記血管内に留置されない
    部分の他の部分に抗菌性処理を施したことを特徴とする
    抗凝血性、抗菌性カテーテル。
  3. 【請求項3】 カテーテル本体の外表面の抗凝血性処理
    または抗凝血性処理と抗菌性処理とをあわせて施した部
    分と、抗菌性処理を施した部分との間で、人体に留置さ
    れたときに皮下トンネルに位置する部分に、いずれの処
    理も施されていない無処理部分を設けたことを特徴とす
    る請求項2記載の抗凝血性、抗菌性カテーテル。
  4. 【請求項4】 カテーテル本体の外表面の抗菌性処理を
    施した部分に用いる抗菌剤の濃度を、抗凝血性処理また
    は抗凝血性処理と抗菌性処理とをあわせて施した部分に
    用いる抗菌剤の濃度より高濃度としたことを特徴とする
    請求項2または3記載の抗凝血性、抗菌性カテーテル。
  5. 【請求項5】 カテーテル本体の内腔表面の全体または
    一部に抗凝血性処理または抗凝血性処理と抗菌性処理と
    をあわせて施したことを特徴とする請求項1乃至4のい
    ずれか記載の抗凝血性、抗菌性カテーテル。
  6. 【請求項6】 カテーテル本体の外表面の抗凝血性処理
    または抗凝血性処理と抗菌性処理とをあわせて施した部
    分と、抗菌性処理を施した部分との境目、または、抗菌
    性処理を施した部分の先端部の位置に、基点となる深度
    マークを付すとともに、該深度マークから前記カテーテ
    ル本体の基端部に向けて前記カテーテル本体の挿入目盛
    となる深度マークを付したことを特徴とする請求項1乃
    至5のいずれか記載の抗凝血性、抗菌性カテーテル。
  7. 【請求項7】 カテーテル本体の外表面の抗凝血性処理
    または抗凝血性処理と抗菌性処理とをあわせて施した部
    分と抗菌性処理を施した部分とを、前記カテーテル本体
    または少なくともその外表面で、互いに異なる色調とし
    たことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか記載の抗
    凝血性、抗菌性カテーテル。
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