JPH10323124A - 野菜の接木苗 - Google Patents

野菜の接木苗

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JPH10323124A
JPH10323124A JP9149946A JP14994697A JPH10323124A JP H10323124 A JPH10323124 A JP H10323124A JP 9149946 A JP9149946 A JP 9149946A JP 14994697 A JP14994697 A JP 14994697A JP H10323124 A JPH10323124 A JP H10323124A
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貞一 佐藤
Masayuki Kominato
正幸 小湊
Yasuo Kudo
安男 工藤
Eiji Ichihashi
映二 市橋
Eiji Takaoka
英治 高岡
Haruki Sayama
春樹 佐山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来公知の野菜の接木苗の製造法において、廃
棄を余儀なくされていた、本葉を有する茎葉残部の有効
利用を可能とし、またコストの低減を計る。 【解決手段】本葉(イ)を有する台木苗1の茎を切断し
て自根台木1aと、本葉を有する茎葉残部1bとに分
け、該自根台木1aに野菜の穂木5を接木して野菜の接
木苗Aを得、また本葉を有する茎葉残部1bを挿木して
第1の再生台木苗2を得、この茎を切断して第2の自根
台木2aと、本葉を有する第2の茎葉残部2bとに分
け、該第2の自根台木2aに前記とは別の野菜の穂木を
接木して野菜の接木苗Bを得、また他方本葉を有する第
2の茎葉残部2bを挿木して、第2の再生台木苗3を
得、この茎を切断して以下同様に接木と挿木を繰返し、
トマトなどの野菜の接木苗を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は本葉を有する台木苗
の茎を切断して自根台木と、本葉を有する茎葉残部とに
分け、該自根台木に野菜の穂木を接木して野菜の接木苗
を得る方法の改良に関し、廃棄を余儀なくされていた、
本葉を有する茎葉残部の有効利用を可能とし、またコス
トの低減が計れる野菜の接木苗に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、図1の(3)において本葉(イ)
を有する台木苗1の茎を切断して自根台木1aと、本葉
を有する茎葉残部1bとに分け、該自根台木1aに野菜
の穂木5を接木して野菜の接木苗Aを得る方法が知られ
ている。しかしながら、この方法は果実の品質や収量性
等が優れている穂木苗5と、耐病性を持つなどの利点を
備えた台木苗1をそれぞれ20日以上育苗管理した二本
の苗から一本の野菜の接木苗を作成しており、接木をす
ることなく育成した自根苗と比較してコストが嵩み、ま
た本葉を有する茎葉残部1bは有効利用することなく廃
棄を余儀なくされる欠点を有する。また、穂木苗5或い
は台木苗1の幼苗期にキュウリモザイクの弱毒ウイルス
を接種して高度耐病性を持つ野菜の接木苗(例えばトマ
トの接木苗)を得る技術が開発されたが、この野菜の接
木苗はキュウリモザイクの弱毒ウイルス接種を行なうの
で、従来の接木苗よりさらに製造コストが嵩む欠点を有
する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来公知の
野菜の接木苗の製造法において、廃棄を余儀なくされて
いた、本葉を有する茎葉残部の有効利用を可能とし、ま
たコストの低減を計ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、図1にお
いて、本葉(イ)を有する台木苗1の茎を切断して自根
台木1aと、本葉を有する茎葉残部1bとに分け、該自
根台木1aに野菜の穂木5を接木して野菜の接木苗Aを
得、また本葉を有する茎葉残部1bを挿木して第1の再
生台木苗2を得、この茎を切断して第2の自根台木2a
と、本葉を有する第2の茎葉残部2bとに分け、該第2
の自根台木2aに前記とは別の野菜の穂木を接木して野
菜の接木苗Bを得、また他方本葉を有する第2の茎葉残
部2bを挿木して、第2の再生台木苗3を得、この茎を
切断して以下同様に接木と挿木を繰返すときは、前記本
葉を有する茎葉残部も有効利用できる野菜の接木苗の製
造が可能となり、また製造コストも低減が計れることを
知った。また、図1において、本葉(イ)を有する台木
苗1の茎を少なくとも2箇所で切断して自根台木1a、
1つ以上の中段茎部(図面簡略のため図示せず)、及び
上段の本葉を有する茎葉残部1bとに分け、該自根台木
1aに野菜の穂木5を接木して野菜の接木苗Aを得ると
共に、該中段茎部の上端に穂木を接木すると共に下端を
挿木して別の野菜の接木苗(図面簡略のため図示せず)
を得、そしてまた前記上段の本葉を有する茎葉残部1b
を挿木して第1の再生台木苗2を得、この茎を少なくと
も1箇所で切断して第2の自根台木2aと、本葉を有す
る第2の茎葉残部2bを得、該第2の自根台木2aに前
記とは別の野菜の穂木を接木して別の野菜の接木苗Bを
得、また他方本葉を有する第2の茎葉残部2bを挿木し
て、第2の再生台木苗3を得、以下同様に接木と挿木を
繰返すときも、同様な効果が得られることを知った。本
発明は、これらの知見に基づいて完成したものであっ
て、即ち(1)本発明は、本葉を有する台木苗の茎を切
断して自根台木と本葉を有する茎葉残部とに分け、該自
根台木に野菜の穂木を接木して第1の野菜の接木苗を得
ると共に、前記本葉を有する茎葉残部を挿木して第1の
再生台木苗を得、この茎を切断して第2の自根台木と、
本葉を有する第2の茎葉残部とに分け、該第2の自根台
木に前記とは別の野菜の穂木を接木して前記とは別の野
菜の接木苗を得、また他方本葉を有する第2の茎葉残部
を挿木して、第2の再生台木苗を得、以下同様に接木と
挿木を繰返し得られる野菜の接木苗であり、また(2)
本発明は、本葉を有する台木苗の茎を少なくとも2箇所
で切断して自根台木、1つ以上の中段茎部、及び上段の
本葉を有する茎葉残部とに分け、該自根台木に野菜の穂
木を接木して野菜の接木苗を得ると共に、該中段茎部の
上端に別の穂木を接木すると共に下端を挿木して別の野
菜の接木苗を得、そしてまた前記上段の本葉を有する茎
葉残部を挿木して第1の再生台木苗を得、この茎を少な
くとも1箇所で切断して第2の自根台木と、本葉を有す
る第2の茎葉残部とを得、該第2の自根台木に前記とは
別の野菜の穂木を接木して野菜の接木苗を得、また他方
本葉を有する第2の茎葉残部を挿木して、第2の再生台
木苗を得、以下同様に接木と挿木を繰返し得られる野菜
の接木苗である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の野菜の接木苗につ
いて、添付の図1に基づいて具体的に説明する。
【0006】先ず、底の浅い箱型容器(例えば水稲育苗
箱など)に育苗用土を詰め、これに台木用植物の種を密
に播き(例えば条間約6cm、種子間隔約1cm)、所
定の大きさに育成した後、専用の育苗トレイに移植する
か、あるいは、専用の育苗トレイに育苗用土を詰め、こ
れに同様にして台木用植物の種を播き、所定の大きさに
育苗して本葉(イ)を有する台木苗1を得る。この台木
苗1は、図1の(3)に示すように、本葉(イ)を有す
るものであれば任意のものが採用できるが、特に本葉2
〜3枚が展開し、子葉上の茎径が1.5〜2.5mm
で、子葉(ロ)から第一本葉までの茎の長さ(第一節間
長)が1.0〜2.0cmの台木苗が好ましい。
【0007】なお、この台木苗の育成の途中、図1の
(1)に示すように子葉期〜本葉1枚期の台木苗に、公
知の方法により作出したキュウリモザイクの弱毒ウイル
ス(以下弱毒CMVという)を接種するときは、高度耐
病性を持つ野菜の接木苗が得られるので好ましい。ここ
に用いる弱毒CMVは、例えば特開平5−3789号の
方法により調製したものが挙げられる。また弱毒CMV
の接種は、該弱毒CMVの純化した粒子を50〜500
μg/mlになるように燐酸緩衝液に懸濁し、公知の方
法により接種すればよく、例えば噴霧ローラー法(特開
平4−330005号参照)で行うことが好ましい。台
木苗に弱毒CMVを接種すると、容易にこの弱毒CMV
が感染した台木苗が得られ、また、この台木苗に野菜の
穂木を接木すると、該穂木に弱毒CMVが移行し、高度
耐病性を有する野菜の接木苗が得られることが判明し
た。図1において、8は噴霧器、9は弱毒CMVを示
す。また、図1の(2)に示すように台木苗または接木
苗の黒塗りの部分は弱毒CMV感染を示す。
【0008】次に、図1の(3)に示すように本葉
(イ)及び子葉(ロ)を有する台木苗1の該子葉の真上
又は真下の茎を切断して、自根台木1aと、本葉を有す
る茎葉残部1bとに分ける。図1の(3)は子葉(ロ)
の真上を切断したことを示す。
【0009】図1の(4)に示すように、自根台木1a
の切断面に、野菜の穂木5の切断面を接合わせ、接木支
持具7(クリップ型、チュ−ブ型、接着剤、ピンなどの
接合手段があるが、これらに限定するものではない)に
より固定する常法通りの接木作業を行い、野菜の接木苗
Aを得る。そして、この野菜の接木苗Aは、この後直ち
に高温多湿密閉条件で数日養生した後順化することが好
ましい。この条件としては、温度25〜30℃、湿度9
0%以上、曇天程度の日照、無風で3〜4日間養生する
ことが最も好ましいことが判明した。
【0010】一方、上記の切断により分離された本葉を
有する茎葉残部1bの下端部を図1の(5)に示すよう
に、充分に潅水した培土に直立させて浅く挿木する。即
ち、通常の挿木の方法に準じて、例えば市販の培土を満
たした育苗トレイ(72穴〜128穴)の各セルに該本
葉を有する茎葉残部1bの下端部を0.5cm〜1.0
cmの深さに直立させて軽く挿すことにより行われる。
この場合、培土は通常市販されている育苗用培土、例え
ばタキイ種苗社製「たねまき培土」、サカタのタネ社製
「スーパーミックスA」、住友林業社製「土太郎」、T
&T社製「T&T育苗培土」、ホ−ネン社製「セルトッ
プミックス」などが好ましい。
【0011】こうして得られた挿木は、直ちに前記した
接木の養生条件と同一か、またはそれよりやや高温で養
生することが好ましい。即ち、温度25〜35℃、湿度
90%以上、密閉下、曇天程度の日照、無風の状態で5
〜7日間養生することが好ましい。
【0012】次いで、生育した再生台木苗を数本抜取
り、それらの下部先端の茎切断部から充分な発根を確認
した後、該再生台木苗2を外気(室温内)に馴らした
後、温度管理や、潅水作業など通常の育苗管理を数日間
行い、子葉上、或いは第1本葉の上、或いは第2本葉の
上の節間長が1〜4cm、茎径が1.5〜2.5mmに
なった第1の再生台木苗2を得る。
【0013】次いで、図1の(6)に示すように、この
第1の再生台木苗2の茎を切断して自根台木2aと、本
葉を有する茎葉残部2bとに分ける。
【0014】図1の(7)に示すように、自根台木2a
の切断面に、別の野菜の穂木6の切断面を接合わせ、接
木支持具7により固定する常法通りの接木作業を行う。
そして、この野菜の接木苗は、上記野菜の接木苗Aと同
じ要領で養生した後、順化し、本発明の野菜の接木苗B
を得る。
【0015】次いで、図1の(8)に示すように、そし
て上記第1の再生台木苗2の場合と同じ要領で、上記本
葉を有する茎葉残部2bを挿木し、次いで養生行う。こ
うして、第2の再生台木苗3を得る。
【0016】次いで、以下上記と同様にして、図1の
(10)示すように接木と、図1の(11)に示すよう
に挿木を繰り返し、本発明の野菜の接木苗C、同E(図
面簡略のため図示せず)、同F(同)…を順次得ること
ができる。
【0017】なお、上記野菜の接木苗の育成方法におい
て、本葉(イ)を有する台木苗1の茎を少なくとも2箇
所で切断して自根台木1a、1つ以上の中段茎部(図面
簡略のため図示せず)、及び上段の本葉を有する茎葉残
部1bとに分け、該自根台木1aに野菜の穂木5を接木
して野菜の接木苗を得ると共に、該中段茎部の上端に穂
木を接木すると共に下端を挿木して別の野菜の接木苗
(図面簡略のため図示せず)を得、そしてまた前記上段
の本葉を有する茎葉残部1bを挿木して第1の再生台木
苗2を得、この茎を少なくとも1箇所で切断して第2の
自根台木2aと、本葉を有する第2の茎葉残部2bを
得、該第2の自根台木2aに前記とは別の野菜の穂木を
接木して別の野菜の接木苗を得、また他方本葉を有する
第2の茎葉残部2bを挿木して、第2の再生台木苗3を
得、以下同様に接木と挿木を繰返すときも、同様な効果
が得られる。
【0018】本発明の適用が可能な野菜としては、任意
の野菜が挙げられ、特にナス科植物(トマト、ナス、ピ
ーマンなど)、ウリ科植物(キュウリ、メロン、スイカ
など)が好適な例として挙げられる。そして、トマトは
最も本発明の効果が良好に反映されるので好ましい。以
下実施例を示して本発明をより具体的に説明する。
【0019】
【実施例】
実施例1 トマトの接木苗の育成例 (1)キュウリモザイクの弱毒ウイルス感染苗の育成 先ず、タキイ種苗社製の育苗培土「たねまき培土」とホ
ーネン社製の同「セルトップミックス」を1:1に混合
して作成した育苗培土を専用の育苗トレイに充填し、台
木苗の種子(タキイ種苗社製の「影武者」)と穂木苗の
種子(日本デルモンテ社製の「サマーキッス」)を直播
きしたあと、バーミュキライトを種子の1.5倍程度の
厚さに覆土して、26〜30℃にセットした出芽器に入
れ、4日育苗管理し、発芽させたあと、温室内に出庫し
て適当な採光条件のもと、適当な温度管理と潅水操作を
行う通常の育苗管理を行い、本葉1.0枚期(播種15
日後)の台木苗を得た。この台木苗全体に弱毒CMV
(日本デルモンテ社製、「NDM−1」)を噴霧ローラ
ー法により接種し、以下前記と同様な条件で育苗管理を
行った。
【0020】弱毒CMVの感染確認は、接種8日後(本
葉2枚期)に台木苗の本葉片(0.2g程度)を採取し
て擂り潰し、液汁を作成した後、全核酸をフェノール抽
出し、ポリアクリルアミド電気泳動後、エチジウムブロ
マイドで染色し、NDM−1の2本鎖サテライトRNA
(約390塩基)のバンド位置を確認する分析方法(以
下「ウイルス核酸分析法」と称する)で行った。その結
果台木苗からの2本鎖サテライトRNAの検出率は10
0%であった。
【0021】(2)台木苗および穂木苗の育成 表1に播種25日を経過した弱毒CMV接種台木苗と穂
木苗のそれぞれの生育状況を示す。
【0022】
【表1】
【0023】表1の結果から、播種後25日を経過した
台木苗と穂木苗の茎径は、それぞれ1.7および1.9
mmで、また第一節間長それぞれ1cmとなり、接木に
適した苗であることが判る。従って、台木苗および穂木
苗の育成には、播種後少なくとも25日必要とすること
が判る。
【0024】(3)接木苗作成と弱毒CMV全身移行の
確認 次に、表1に記載の接木に適した、しかも弱毒CMVが
感染した台木苗1の子葉(ロ)真上の茎を切断して、自
根台木1aと、本葉を有する茎葉残部1bとに分け、該
自根台木1aの切断面に、表1に記載の穂木苗の子葉真
上の茎を切断して得た穂木5の切断面を接合して、スー
パーウイズ(ナスニック社製)で固定する通常の接木を
行い、直ちに高温(温度25〜30℃)多湿(湿度90
〜95%)で、密閉下、曇天程度の日照、無風で3日間
養生した後順化して野菜の接木苗Aを作成した。その接
木苗をさらに前記と同じ条件で約1か月育苗管理し、弱
毒CMVが自根台木から接木苗全身に移行する状況をウ
イルス核酸分析法により測定した。その接木苗の弱毒C
MV全身移行状況を表2に示す。
【0025】
【表2】
【0026】表2の結果から、弱毒CMVに感染した台
木苗を用いて接木することにより、弱毒CMVが接木苗
全身に移行することが判る。従って、穂木苗への弱毒C
MV接種を行うことなく弱毒CMV感染接木苗を作成で
きることが判る。
【0027】(4)本発明の再生台木苗の作成 前記本葉を有する茎葉残部(ウイルス核酸分析によりN
DM−1の2本鎖サテライトRNAを検出した本葉を有
する茎葉残部)1bを、潅水により充分に湿った表3に
記載の育苗用土が充填してある128穴トレイに挿木し
た。そのトレイを、底に湿ったペーパータオルが敷いて
ある扁平な光透過性プラスチック箱に入れて、箱の上部
をビニールで覆い密閉した。17〜33℃に温度制御が
可能な無色透明ガラス温室に設置した出芽器(啓分社製
作所社製、ダイヤグリンセンターH−8)の温度を28
℃にセットして、上記挿木苗の入ったプラスチック箱を
入庫し、さらにこの出芽器を半透明のカバーで覆い、高
温(28〜33℃)多湿(90〜95%)の密閉した、
薄曇り程度の日照条件のもと5日間静置した後、トレイ
の挿木苗を徐々に外気(ガラス温室内)に馴らす操作を
2日行い、第1の再生台木苗2を得た。その台木苗の茎
葉残部の挿木活着率を、種々の育苗用土ごとに表3に示
す。
【0028】
【表3】
【0029】表3より、いずれの育苗用土においても、
本葉を有する茎葉残部1bを挿木して高温多湿密閉条件
のもと5日間静置して順化すれば、容易に本発明の再生
台木苗2が得られることが判る。
【0030】(5)育苗用土(サカタのタネ社製の「ス
ーパーミックスA」)に挿木して得た本発明の再生台木
苗の生育試験 育苗用土(サカタのタネ社製の「スーパーミックス
A」)に挿木して得た本発明の再生台木苗の生育試験の
結果を表4に示す。
【0031】
【表4】
【0032】表4の結果から、挿木の茎径は、挿木後9
日目において1.9mmに、同16日目において2.5
mmになり、また茎の節間長は9日目において0.8m
mに、また16日目において3.9mmにそれぞれ生育
することが判る。一般に、幼苗期の接木用の台木苗とし
ては、茎径が1.5〜2.5mmで、切断する茎の節間
長が1cm以上が好ましいとされていることから、挿木
後9日程度には台木苗として好適なものとなるが、挿木
後16日では、茎径が使用限界に近い2.5mmに生育
することから、本葉を有する茎葉残部1bの挿木後の育
成期間は、季節による生育の変動もあるが、9〜16日
が好ましいことが判る。一般に播種した苗を接木に用い
る場合、少なくとも20日以上に渡る育苗管理を必要と
されているので、本発明の本葉を有する茎葉残部1bを
台木苗として使用する場合、その育苗管理期間は、半分
程度短縮されることが判る。
【0033】(6)本発明による接木苗の作成 表5に記載された再生台木の品種を用いて得られた、弱
毒CMVの感染した本葉を有する茎葉残部1bを、挿木
して10日養生し、それぞれ表5に記載の再生台木2を
育成した。この台木の本葉の上の茎を斜めに切断して、
第2の自根台木2aと第2の茎葉残部2bとに分け、第
2の自根台木2aの切断面に、播種後25日の穂木苗
(直播穂木)6の子葉真上を斜めに切断して得た本葉を
有する部分の切断面を接合して、接木支持具(ナスニッ
ク社製スーパーウイズ)7で固定する接木を行い、直ち
に高温(温度25〜30℃)多湿(湿度90〜95
%)、密閉下、曇天程度の日照、無風で3日間養生した
後順化して野菜の接木苗Bを作成した。この野菜の接木
苗の接木活着結果を表5に示す。
【0034】
【表5】
【0035】表5より、本葉を有する台木苗1の茎を切
断して自根台木1aと、本葉を有する茎葉残部1bとに
分け、該自根台木1aに野菜の穂木5を接木して第1の
野菜の接木苗を得ると共に、前記本葉を有する茎葉残部
1bを挿木して第1の再生台木苗2を得、この茎を切断
して得た第2の自根台木2aに、常法通りの接木支持具
を用いて、直播穂木を接木するときは、いずれの再生台
木品種を用いる場合においても、高い接木活着率が得ら
れることが判る。また、接木苗が生育するにしたがっ
て、弱毒CMVに感染した台木から接木した穂木に弱毒
CMVが移行したことを確認した。
【0036】(7)本発明と、常法との接木苗生産効率
の比較 本発明の再生台木苗を接木に用いる場合、接木までの日
数と接木回数などを常法と比較した。その結果を表6に
示す。
【0037】
【表6】
【0038】表6より、台木苗を播種して接木に用いる
大きさにまで育成するには、播種後約25日を要する
が、本葉を有する茎葉残部から育成した再生台木苗は1
0日程度で接木に使用できる。また、本発明では本葉を
有する茎葉残部を繰返し再生台木苗として利用すること
により、台木苗の播種は一回で済む。播種、覆土などの
作業や、温度、潅水などの発芽管理に要する労力を軽減
できる。さらに、弱毒CMVの接種も一回で済む。よっ
て、高価な弱毒CMVの使用量が大幅に減り、しかも少
量の弱毒CMVを接種することにより、大量の弱毒CM
Vの感染した接木苗の生産が可能となる。
【0039】
【本発明の効果】本発明は、常法の接木作業で不要にな
っていた台木苗の本葉を有する茎葉部分を挿木により再
生させ、接木に再利用できる効果がある。また、台木苗
を複数分割して利用できる効果も有する。また、本発明
は播種して台木苗を育成する場合と比較して、台木苗の
生育が早く進み、茎径や節間長が短期間に接木に適合す
る台木苗に生育し、台木苗を効率良く生産できる効果を
有する。そしてまた、播種して台木苗を育成する場合、
種子の品質、覆土の厚さや覆土の種類などにより発芽率
に微妙に影響が現われるので、播種から発芽までの管理
に細心の注意が必要であり、そのことによって精神的負
担を強いられるが、本発明の場合、本葉を有する茎葉部
分をそのまま挿木するので、発芽率が悪くなることなど
の懸念がない。また、弱毒CMVを接種した接木苗生産
において、該弱毒CMVの感染した台木苗の本葉を有す
る茎葉残部の挿木により繰返し接木に使用していくこと
により、弱毒CMV接種作業は、一回で、大量の弱毒C
MV接種接木苗生産が可能となる効果を有する。従っ
て、本発明は常法の接木作業のみならず、高度耐病性を
有する弱毒CMV接種接木作業においても、適用でき
る、即ち不要となった本葉を有する茎葉を利用し、育苗
用土を特に限定しないで挿木という簡単な操作で、台木
苗を短期間に効率良く生産できることに加え、種、覆
土、弱毒CMV等の育苗資材、さらに育苗管理労力も削
減でき、トマトの接木苗生産において、生産コストを低
減できる効果も合わせて奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の野菜の接木苗の作成過程を概略的に説
明する図。
【符号の説明】
1…台木苗 1a…自根台木 1b…茎葉残部 イ…本葉 ロ…子葉 2…第1の再生台木苗 2a…第2の自根台木 2b…第2の茎葉残部 3…第2の再生台木苗 5…野菜の穂木 6…野菜の穂木 7…接木支持具 A…野菜の接木苗 B…野菜の接木苗 C…野菜の接木苗
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 市橋 映二 東京都中央区日本橋小網町4番13号 日本 デルモンテ株式会社内 (72)発明者 高岡 英治 東京都中央区日本橋小網町4番13号 日本 デルモンテ株式会社内 (72)発明者 佐山 春樹 東京都中央区日本橋小網町4番13号 日本 デルモンテ株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】本葉を有する台木苗の茎を切断して自根台
    木と本葉を有する茎葉残部とに分け、該自根台木に野菜
    の穂木を接木して第1の野菜の接木苗を得ると共に、前
    記本葉を有する茎葉残部を挿木して第1の再生台木苗を
    得、この茎を切断して第2の自根台木と、本葉を有する
    第2の茎葉残部とに分け、該第2の自根台木に前記とは
    別の野菜の穂木を接木して前記とは別の野菜の接木苗を
    得、また他方本葉を有する第2の茎葉残部を挿木して、
    第2の再生台木苗を得、以下同様に接木と挿木を繰返し
    得られる野菜の接木苗。
  2. 【請求項2】本葉を有する台木苗の茎を少なくとも2箇
    所で切断して自根台木、1つ以上の中段茎部、及び上段
    の本葉を有する茎葉残部とに分け、該自根台木に野菜の
    穂木を接木して野菜の接木苗を得ると共に、該中段茎部
    の上端に別の穂木を接木すると共に下端を挿木して別の
    野菜の接木苗を得、そしてまた前記上段の本葉を有する
    茎葉残部を挿木して第1の再生台木苗を得、この茎を少
    なくとも1箇所で切断して第2の自根台木と、上段の本
    葉を有する第2の茎葉残部とを得、該第2の自根台木に
    前記とは別の野菜の穂木を接木して野菜の接木苗を得、
    また他方上段の本葉を有する第2の茎葉残部を挿木し
    て、第2の再生台木苗を得、以下同様に接木と挿木を繰
    返し得られる野菜の接木苗。
  3. 【請求項3】野菜がトマトである請求項1または2記載
    の野菜の接木苗。
  4. 【請求項4】台木苗がキュウリモザイクの弱毒ウイルス
    感染苗である請求項1、2または3記載の野菜の接木
    苗。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007267682A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Osaka Prefecture Univ 野菜の接ぎ木苗の育苗方法
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CN110603996A (zh) * 2018-10-18 2019-12-24 滨州学院 贝壳滩脊生境杠柳繁殖栽培方法

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