JPH1030733A - 磁性流体シール機構 - Google Patents

磁性流体シール機構

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JPH1030733A
JPH1030733A JP8206565A JP20656596A JPH1030733A JP H1030733 A JPH1030733 A JP H1030733A JP 8206565 A JP8206565 A JP 8206565A JP 20656596 A JP20656596 A JP 20656596A JP H1030733 A JPH1030733 A JP H1030733A
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JP
Japan
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magnetic
sealing
magnetic fluid
magnet
sealing magnet
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Application number
JP8206565A
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English (en)
Inventor
Manabu Sakamoto
学 坂本
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Nidec Instruments Corp
Original Assignee
Sankyo Seiki Manufacturing Co Ltd
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Publication date
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  • Sealing Using Fluids, Sealing Without Contact, And Removal Of Oil (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 シール用磁石からの磁束の短絡を防止しシー
ル用磁石と対向部材との間に介在する磁性流体の外部開
放側への漏出を防止すると共に、磁性流体の流体溜り部
を設けて当該磁性流体の揮発に起因する焼き付き等を防
止する。 【解決手段】 回転部材6または固定部材5の何れか一
方の外部開放側の面上に配設されるシール用磁石23
を、該一方の部材5の外部開放側の面に対して所定の間
隔hを空けて配設し、前記シール用磁石23と前記一方
の部材5との間に形成される非磁性領域14,15によ
って前記シール用磁石23からの磁束の短絡を防止して
該シール用磁石23とこのシール用磁石23に対向する
他方の部材6との間の磁束を増加すると共に、前記非磁
性領域15により画成される流体溜り部に揮発による損
失を補填する量の磁性流体8を溜めて該磁性流体8の揮
発による減少が問題とならないように構成してなるも
の。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁性流体シール機
構に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、モータ等の各種装置において、特
に高速回転に対応するために潤滑流体の動圧を利用した
動圧軸受装置が広く用いられつつある。例えば特開平7
−310734号公報等に記載の動圧軸受装置では、潤
滑流体として磁性流体を用い、この磁性流体の動圧を利
用して回転部材としての例えば回転軸を回転自在に支承
する構成になされていると共に、該磁性流体の外部への
漏出を防止するための磁性流体シール機構が付設されて
いる。
【0003】この特開平7−310734号公報等に記
載の磁性流体シール機構を有する例えばHDDスピンド
ルモータの一例を表したのが図4である。図4に示され
る軸回転型のHDDスピンドルモータは、フレーム1側
に組み付けられたステータ組と、このステータ組に対し
て軸方向に組み付けられたロータ組とから構成されてい
る。
【0004】上記フレーム1には、磁性材よりなる円筒
状の軸受ホルダー2が立設されており、この円筒状の軸
受ホルダー2の外周部に、巻線3が巻回されたステータ
コア4が装着されている。上記軸受ホルダー2の内周側
には、固定部材としての円筒状のラジアル軸受5が装着
されており、このラジアル軸受5内に回転部材としての
回転軸6が挿入配置されている。これら回転軸6及びラ
ジアル軸受5はそれぞれ磁性材よりなる。
【0005】この回転軸6とラジアル軸受5との周状対
向部位には、一対の動圧軸受部7,7が軸方向に並設さ
れており、これらの両動圧軸受部7,7を含む円筒状空
間内には磁性流体8が充填されている。上記各動圧軸受
部7における回転軸6の外周面及びラジアル軸受5の内
周面は、対向動圧面として構成されており、ラジアル軸
受5側の各動圧面及び回転軸6側の動圧面の少なくとも
一方に、動圧発生用のラジアルグルーブが形成されてい
る。そして、該ラジアルグルーブのポンピング作用によ
って発生される磁性流体8の動圧力により、ラジアル軸
受5に対して回転軸6が回転自在に支承されるように構
成されている。
【0006】上記回転軸6の図示上端部分には、ハブ9
が固着されている。このハブ9は、磁気ディスク等のメ
ディアを外周部に装着する中空円筒状の胴部9aを有し
ていると共に、この胴部9aの内周壁面に環状のバック
ヨーク11を介して環状の駆動マグネット12が装着さ
れている。そして、この駆動マグネット12は、前述し
たステータコア4の外周面に環状に対向するように配置
されている。
【0007】上記フレーム1の上記回転軸6に対向する
部分は、スラスト板18によって閉塞されている。この
スラスト板18と回転軸6との間には、上述した動圧軸
受部7内の磁性流体8が連続して一連に充填されてお
り、スラスト板18の図示上面及び回転軸6の図示下端
面の少なくとも一方に、動圧発生用のスラストグルーブ
が形成されている。そして、該スラストグルーブのポン
ピング作用によって発生される磁性流体8の動圧力によ
り、スラスト板18に対して回転軸6が浮上支持される
ように構成されている。
【0008】上記ラジアル軸受5における図示上端面
(外部開放側の面)上には、上記磁性流体8の外部漏出
を防止する中空円筒状のシール用磁石13が配置されて
いる。このシール用磁石13の外周壁面は、上記軸受ホ
ルダー2の内周壁面に装着されたリング状の磁性ヨーク
19に固着されており、内周壁面13aは、図4及び図
5に示されるように、回転軸6の外周壁面に対する半径
方向の距離が外部開放側(図示上方)に向かって連続的
に拡大するテーパ状の傾斜壁面に形成されて、当該シー
ル用磁石13の傾斜壁面13aの軸方向の所定位置ま
で、上述した動圧軸受部7内の磁性流体8が連続して一
連に充填されている。このシール用磁石13は、磁性材
料から形成されていると共にラジアル方向(半径方向)
にN、S着磁が施されている。
【0009】すなわち、このシール用磁石13からの磁
束は、図5に示されるように、磁性材からなる回転軸
6、ラジアル軸受5、磁性ヨーク19を通る磁気回路を
形成して、回転軸6とシール用磁石13との間の磁性流
体8に対して作用すると共に、外方へ向かって拡大する
傾斜壁面13aによる隙間距離の変化に従って、回転軸
6とシール用磁石13との間に形成される磁束の密度
が、外部開放側に向かって徐々に粗となり、その結果、
磁性流体8が回転軸6とシール用磁石13との間に磁気
的に良好に保持されて外部開放側への漏出が防止される
構成になされている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記磁性流
体シール機構においては、シール用磁石13が、磁性材
よりなるラジアル軸受5の外部開放側の面(図示上端
面)上に配設されているため、図5に示されるように、
シール用磁石13からの磁束の一部Pが短絡して該シー
ル用磁石13と回転軸6との間の磁束が減少し、保持力
が低下して磁性流体8が漏出する畏れがあった。
【0011】また、上記磁性流体8の量は微量であるた
め、揮発等により減少し、長期的に見て焼き付き等が生
じるといった畏れもある。
【0012】そこで本発明は、シール用磁石からの磁束
の短絡を防止できシール用磁石と対向部材との間に介在
する磁性流体の外部開放側への漏出を防止できると共
に、磁性流体の流体溜り部を設けて当該磁性流体の揮発
に起因する焼き付き等を防止できる磁性流体シール機構
を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の磁性流体シール機構は、磁性材よりなる
回転部材に形成された軸受面と磁性材よりなる固定部材
に形成された軸受面とを対向配置し当該軸受面間に介在
する磁性流体によって前記回転部材を回転自在に支承す
る軸受装置に用いられる磁性流体シール機構であって、
前記回転部材または前記固定部材の何れか一方の外部開
放側の面上にシール用磁石を配設し、このシール用磁石
に対向する他方の部材と該シール用磁石と前記一方の部
材との間で形成される磁気回路によって、前記シール用
磁石と前記他方の部材との間に介在する磁性流体の外部
開放側への漏出を防止するようにした磁性流体シール機
構において、前記シール用磁石を、前記一方の部材の外
部開放側の面に対して所定の間隔を空けて設けたことを
特徴としている。
【0014】上記目的を達成するために、請求項2の磁
性流体シール機構は、請求項1に加えて、シール用磁石
は、対向する他方の部材の対向面に対して外部開放側に
向かって隙間が拡大する傾斜面を有し、このシール用磁
石を、磁性粉末と耐磁性流体性を有するバインダー樹脂
とを備えたボンド磁石として射出成形により構成したこ
とを特徴としている。
【0015】上記目的を達成するために、請求項3の磁
性流体シール機構は、請求項1または2に加えて、シー
ル用磁石を、一方の部材の外部開放側の面に対して非磁
性のスペーサを介して設けて所定の間隔を確保すると共
に、該スペーサと前記シール用磁石と一方の部材とで磁
性流体の流体溜り部を画成したことを特徴としている。
【0016】上記目的を達成するために、請求項4の磁
性流体シール機構は、請求項1または2に加えて、シー
ル用磁石を、一方の部材の外部開放側の面に突設された
突部を介して設けて所定の間隔を確保すると共に、該突
部と前記シール用磁石と一方の部材とで磁性流体の流体
溜り部を画成したことを特徴としている。
【0017】このような構成を有する本発明の磁性流体
シール機構によれば、回転部材または固定部材の何れか
一方の外部開放側の面上に配設されるシール用磁石が、
該一方の部材の外部開放側の面に対して所定の間隔を空
けて配設され、例えば請求項3のように、前記シール用
磁石が、前記一方の部材の外部開放側の面に対して非磁
性のスペーサを介して設けられて前記所定の間隔が確保
されると共に、該スペーサと前記シール用磁石と前記一
方の部材とで磁性流体の流体溜り部が画成される場合に
は、前記非磁性のスペーサにより前記シール用磁石と前
記一方の部材との間に形成される非磁性領域によって前
記シール用磁石からの磁束の短絡が防止されて該シール
用磁石とこのシール用磁石に対向する他方の部材との間
の磁束が増加されると共に、前記流体溜り部に揮発によ
る損失を補填する量の磁性流体が溜められて該磁性流体
の揮発による減少が問題なくされるようになる。また、
例えば請求項4のように、シール用磁石が、前記一方の
部材の外部開放側の面に突設された突部を介して設けら
れて前記所定の間隔が確保されると共に、該突部と前記
シール用磁石と前記一方の部材とで磁性流体の流体溜り
部が画成される場合には、前記突部により前記シール用
磁石と前記一方の部材との間に形成される非磁性領域に
よって前記シール用磁石からの磁束の短絡が防止されて
該シール用磁石とこのシール用磁石に対向する他方の部
材との間の磁束が増加されると共に、前記流体溜り部に
揮発による損失を補填する量の磁性流体が溜められて該
磁性流体の揮発による減少が問題なくされるようにな
る。
【0018】この時、シール用磁石が、請求項2のよう
に、対向する他方の部材の対向面に対して外部開放側に
向かって隙間が拡大する傾斜面を有する構成になされる
と、この傾斜面を有するシール用磁石によって、シール
用磁石の傾斜面とこの傾斜面に対向する他方の部材の対
向面との間に形成される磁束の密度が、外部開放側に向
かって徐々に粗にされ、磁性流体が傾斜面と対向面との
間に磁気的に良好に保持されると共に、外部開放側に向
かって徐々に拡大される傾斜面と対向面との間の隙間変
化によって、磁性流体の液面の曲率が徐々に小さくなろ
うとしてこれが抵抗となる毛細管力が生じて、磁性流体
が傾斜面と対向面との間にさらに良好に保持されるよう
になる。この時また、シール用磁石が、請求項2のよう
に、磁性粉末と耐磁性流体性を有するバインダー樹脂と
を備えたボンド磁石にされて射出成形により構成される
と、このような射出成形ボンド磁石は、例えば圧縮成形
ボンド磁石に比して磁気特性が低く、上記短絡による磁
性流体の外部漏出の畏れが特にあるため、上述のよう
に、シール用磁石からの磁束の短絡を防止して該シール
用磁石とこのシール用磁石に対向する他方の部材との間
の磁束を増加するのが、特に有効である。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて詳細に説明する。本発明の適用形態としては図
4に示したHDDスピンドルモータがあるが、当該モー
タの全体構造は従来技術の欄で既に説明したので省略す
ることとし、以下、該モータに適用された磁性流体シー
ル機構に関する実施形態を説明する。
【0020】図1に示されている磁性流体シール機構で
は、図4及び図5に示したシール用磁石と略同様な形状
のシール用磁石23が、ラジアル軸受5の外部開放側の
面(図示上端面)に対して所定の間隔hを空けて設けら
れている。すなわち、シール用磁石23とラジアル軸受
5の外部開放側の面との間には隙間が形成されており、
この隙間に非磁性のスペーサ14が配設されて、上記間
隔hが確保されている。
【0021】上記スペーサ14の内径は、シール用磁石
23のラジアル軸受側の内径(図示下端面の内径)及び
ラジアル軸受5の軸受面の径より大径にされており、該
スペーサ14の内周面とシール用磁石23のラジアル軸
受側の面とラジアル軸受5の外部開放側の面とで流体溜
り部15が画成されて当該流体溜り部15に前述した磁
性流体8が溜められるように構成されている。
【0022】すなわち、上記非磁性のスペーサ14によ
って、シール用磁石23とラジアル軸受5の外部開放側
の面との間に非磁性領域14,15が形成され、この非
磁性領域14,15によって、シール用磁石23からの
磁束の短絡を防止でき、該シール用磁石23と回転軸6
との間の磁束を増加できるようになっている。従って、
シール用磁石23と回転軸6との間の磁束が増加され
て、磁性材からなる回転軸6、ラジアル軸受5、磁性ヨ
ーク19を通る磁気回路が良好に形成されて、回転軸6
とシール用磁石23との間の磁性流体8に対して充分に
作用すると共に、外方へ向かって拡大する傾斜壁面23
aによる隙間距離の変化に従って、回転軸6とシール用
磁石23との間に形成される磁束の密度が、外部開放側
に向かって良好に徐々に粗となるため、磁性流体8が回
転軸6とシール用磁石23との間に磁気的に良好に保持
されて外部開放側への漏出が防止されるようになってい
る。
【0023】加えて、磁性流体8が外部開放側(図示上
方)へ移動しようとするに伴って、外方へ向かって拡大
する傾斜壁面23aにより液面曲率が徐々に小さくなる
ため、この曲率変化が液面移動の抵抗となって、磁性流
体8の外部開放側への漏出がさらに防止されるようにな
っている。
【0024】また、上記流体溜り部15に、揮発による
損失を補填する量の磁性流体8を溜めることができるよ
うになっており、該磁性流体8の揮発による減少が問題
とならないようになっている。従って、磁性流体8の揮
発に起因する焼き付き等を防止できるようになってい
る。
【0025】ところで、上記磁性流体シール機構のシー
ル用磁石23としては、所定の磁性粉末に結合材として
の例えばエポキシ樹脂等のバインダー樹脂を混合し圧縮
成形して固めた所謂圧縮成形ボンド磁石が採用されつつ
ある。これは、圧縮成形により磁気特性を所望に高め得
るからである。
【0026】しかしながら、このような圧縮成形ボンド
磁石にあっては、当該シール用磁石が圧縮成形により
多孔質となるため、多数の空孔に上記磁性流体8が吸い
込まれてしまい、軸受部での磁性流体8が減少して焼き
付き等を起こすといった問題、上記磁性流体8には、
磁性体である超微粒子を分散させるための所定の分散剤
が混入されているが、この分散剤に、上記シール用磁石
を圧縮成形するために必要なバインダー樹脂からの溶出
物または劣化物が反応し、磁性流体8がゲル化して磁性
流体8の粘度が上がり回転軸6の回転抵抗が増大すると
いった問題があり、そのため、シール用磁石の表面に、
図5に示されるように、所定の耐磁性流体性を有する被
膜(樹脂被膜等)10を形成し、この被膜10により、
該磁性流体8とシール用磁石とを分離して当該シール用
磁石による磁性流体8の吸い込みを防止すると共に、磁
性流体8のゲル化を抑止して磁性流体8の粘度上昇を防
止するといった提案がなされているが、このような耐磁
性流体性被膜10を設けると高コスト化するといった問
題、上記シール用磁石のテーパ状の傾斜壁面13は、
上記圧縮成形だと寸法精度が出し難く、作り難いといっ
た問題、上記シール用磁石を得る場合には、先ず磁性
粉末にバインダー樹脂を混合してコンパウンド(混合
粉)を生成し、次いでこのコンパウンドを圧縮成形して
磁石素材を得、次いで削り加工を行い、次いで上述した
耐磁性流体性被膜10の塗装(モールド)を行い、次い
で精度を出すための削り出し加工を行い、次いで洗浄を
行うという製造工程となり、工程数が多いと共に耐磁性
流体性被膜10の形成後に精度を出すための削り出し加
工が必ず必要となるため、製造コストが高くなるといっ
た問題がある。
【0027】そこで、本実施形態の磁性流体シール機構
では、上記シール用磁石23が、磁性粉末と耐磁性流体
性を有するバインダー樹脂とを備えたボンド磁石として
射出成形により構成されている。
【0028】このようなシール用磁石23は、以下の手
順にて得られる。すなわち、先ず磁性粉末と耐磁性流体
性を有するバインダー樹脂とを含有したペレットを用意
する。このペレットとしては、本実施形態においては、
例えばMQI社製の商品名MQP−B磁性粉末と所定の
耐磁性流体性を有するバインダー樹脂とを含有した住友
金属鉱山製の商品名N6Hが用いられている。上記MQ
P−B磁性粉末とは、Nd(ネオジ)−Fe(鉄)−B
(ボロン)系希土類ボンド磁石用の磁性粉末のことであ
り、このNd−Fe−B磁粉充填量は、85重量%〜9
5重量%となっている。
【0029】また、上記軸受部に充填される磁性流体8
としては、例えばタイホウ工業株式会社製の商品名PA
35(ベースオイルがポリアルファオレフィン)または
(株)フェローテック製の商品名CFF100A(ベー
スオイルがエステル)等が用いられているため、これら
に対しての耐磁性流体性を有するバインダー樹脂とし
て、低温用途(約120°Cまで)には例えばナイロン
12をベースとしたものを用いるのが好ましく、高温用
途(約200°Cまで)には例えばPPS(ポリフェニ
レンサルファイド)をベースとしたものを用いるのが好
ましい。
【0030】そして、上記N6Hを射出成形してシール
用磁石素材を得る。そうしたら、エッジ部のバリ取りや
表面形状を整えるためのバレル処理を行い、次いでバレ
ル時の異物を除去するための洗浄を行い、ラジアル方向
(半径方向)にN、S着磁を施せば、図1に示したシー
ル用磁石23が得られることになる。
【0031】このように、本実施形態のシール用磁石2
3は、射出成形にて成形されているため、粉体の粒径が
200μm以下と小さく且つ空孔がバインダー樹脂で埋
められ、空孔が殆どない状態となっている。従って、シ
ール用磁石23による磁性流体8の吸い込みはなく、軸
受部での磁性流体8の減少による焼き付き等が防止され
るようになっている。因に、圧縮成形ボンド磁石では、
粉体の粒径が500μm以下で空孔が多数存在すること
になる。
【0032】また、混合されるバインダー樹脂として上
述したような耐磁性流体性を有しているものを用いてい
るため、ゲル化を防止できて、磁性流体8の粘度上昇に
よる回転軸6の回転抵抗の増大を防止できるようになっ
ている。
【0033】すなわち、図5で説明したような耐磁性流
体性を有する被膜10を設けなくても、シール用磁石2
3による磁性流体8の吸い込み及びゲル化を防止できる
ようになっている。
【0034】また、上述のように、射出成形によりシー
ル用磁石23を成形するようにしているため、その傾斜
面23aの寸法精度を出しやすく、作りやすくなってお
り、該シール用磁石23を精度良く容易に成形できるよ
うになっている。また、射出成形の工法上、多数個を一
度に生産でき、生産性を向上できるようにもなってい
る。
【0035】また、上述したような製造工程によりシー
ル用磁石23を製造し得るため、該シール用磁石を圧縮
成形により得る場合に比して、工程数を減少できると共
に削り出し加工を不要でき、安価に製造できるようにな
っている。
【0036】また、Nd−Fe−B磁粉充填量を、上述
のように、85重量%〜95重量%にしているため、磁
気特性を最大化できるようになっている。因に、磁粉充
填量を85重量%未満にすると磁気特性が悪化し、95
重量%より多くすると成形ができなくなる。
【0037】なお、シール用磁石23を射出成形ボンド
磁石とすると、上述したように、圧縮成形ボンド磁石に
比して磁気特性が低く、従来技術で説明したような、該
シール用磁石をラジアル軸受5の外部開放側の面上に配
設する構成では、上述した磁束の短絡により磁性流体8
が外部開放側へ漏出する畏れが特に強い(圧縮成形ボン
ド磁石では磁気特性が高いためその畏れはより小さい)
ため、本実施形態のように、非磁性のスペーサ14によ
って、シール用磁石23とラジアル軸受5の外部開放側
の面との間に非磁性領域14,15を形成して、この非
磁性領域14,15によって、シール用磁石23からの
磁束の短絡を防止し、シール用磁石23と回転軸6との
間の磁束密度を増大するのが特に有効であり、これによ
って磁性流体8の外部漏出を防止することができる。
【0038】因に、シール用磁石23とラジアル軸受5
の外部開放側の面との間の隙間h、すなわちスペーサ1
4の厚さhは、約0.05mm〜0.5mmの範囲とす
るのが望ましい。この理由を図2を参照しながら説明す
る。図2は、シール用磁石23を射出成形ボンド磁石と
し、上記スペーサ14の厚さhを横軸とし、磁気特性に
対応するフラックス(磁束線の数)を縦軸として、これ
らの関係を表したものである。
【0039】図より明らかなように、スペーサ14の厚
さhが、約0.05mm〜0.5mmの範囲では、シー
ル用磁石23からの磁束の短絡が防止されて磁束増加状
態となってシール用磁石23と回転軸6との間に所望の
フラックスが得られることになり、上述した磁性流体8
の外部漏出を防止できるようになる。一方、スペーサ1
4の厚さを約0.5mmより大きくすると、所望のフラ
ックスは得られるが、厚みが厚くなって薄型化が図れな
くなるため、好ましくない。
【0040】なお、上記射出成形ボンド磁石では、磁性
粉末をNd−Fe−Bとしバインダー樹脂を上述した耐
磁性流体性を有するものとして射出成形したものとして
いるが、これに代えて、磁性粉末を交換スプリング磁性
粉末としバインダー樹脂を上述した耐磁性流体性を有す
るものとして射出成形したものとすることも可能であ
る。しかしながら、このように構成すると、磁性粉末を
Nd−Fe−Bとしたものに比して、その磁気特性が多
少落ちることになる。
【0041】図3は本発明の他の実施例における磁性流
体シール機構を表した横断面図である。この実施形態に
おいては、ラジアル軸受5の外周部側に、シール用磁石
23側に突出すると共に高さh(先の実施形態で説明し
た間隔hと同様な高さ)を有する環状の突部5aが形成
されており、この突部5a上に先の実施形態で説明した
のと同様なシール用磁石23が配設されている。
【0042】そして、該突部5aの内周面とシール用磁
石23のラジアル軸受側の面とラジアル軸受5の外部開
放側の面とで流体溜り部16が画成されて当該流体溜り
部16に前述した磁性流体8が溜められるように構成さ
れている。
【0043】すなわち、上記突部5aによって、シール
用磁石23とラジアル軸受5の外部開放側の面との間に
非磁性領域16が形成され、この非磁性領域16によっ
て、シール用磁石23からの磁束の短絡を防止できるよ
うになっていると共に、この非磁性領域16が流体溜り
部を兼用し、該流体溜り部16に揮発による損失を補填
する量の磁性流体8を溜めることができるようになって
いる。従って、このように構成しても、先の実施形態と
同様な効果を得ることができる。
【0044】以上本発明者によってなされた発明を実施
形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形
態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範
囲で種々変形可能であるというのはいうまでもなく、例
えば、上記実施形態においては、磁性ヨーク19とラジ
アル軸受5とを別体としているが、一体ものとしても良
い。
【0045】また、上記実施形態においては、非磁性の
スペーサ14により磁束の短絡を防止するようにしてい
るが、該スペーサ14の内周面の径をラジアル軸受5の
内周面の径と同径としたスペーサに代えても、上記磁束
の短絡を防止できる。しかしながら、このように構成し
た場合には、磁性流体8の流体溜り部15を画成できな
いため、磁性流体8の揮発による軸受の焼き付き等の畏
れはある。
【0046】また、上記実施形態においては、シール用
磁石23を射出成形ボンド磁石としているが、磁束の短
絡防止及び磁性流体8の揮発防止を行うという効果を得
るという観点からは、圧縮成形ボンド磁石としても勿論
差し支えない。
【0047】また、上記実施形態においては、軸受を固
定として軸が回転する所謂軸回転型のモータに対する適
用形態が述べられているが、軸を固定として軸受が回転
する所謂軸固定型のモータに対しても適用可能である。
【0048】また、上記実施形態の磁性流体シール機構
を、潤滑流体として磁性流体を用いた磁性流体シール機
構として、動圧軸受装置以外の軸受装置、ディスク以外
の例えばポリゴンミラー等の各種回転板を回転駆動する
ためのモータ、さらにはモータ以外の装置に対しても適
用することができる。
【0049】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の磁性流体シ
ール機構は、回転部材または固定部材の何れか一方の外
部開放側の面上に配設されるシール用磁石を、該一方の
部材の外部開放側の面に対して所定の間隔を空けて配設
し、例えば請求項3では、前記シール用磁石を、前記一
方の部材の外部開放側の面に対して非磁性のスペーサを
介して設けて前記所定の間隔を確保すると共に、該スペ
ーサと前記シール用磁石と前記一方の部材とで磁性流体
の流体溜り部を画成し、前記非磁性のスペーサにより前
記シール用磁石と前記一方の部材との間に形成される非
磁性領域によって前記シール用磁石からの磁束の短絡を
防止して該シール用磁石とこのシール用磁石に対向する
他方の部材との間の磁束を増加すると共に、前記流体溜
り部に揮発による損失を補填する量の磁性流体を溜めて
該磁性流体の揮発による減少が問題とならないように構
成したものであるから、シール用磁石と対向部材との間
に介在する磁性流体の外部開放側への漏出を防止するこ
とが可能となると共に、磁性流体の揮発に起因する焼き
付き等を防止することが可能となる。また、例えば請求
項4では、シール用磁石を、前記一方の部材の外部開放
側の面に突設された突部を介して設けて前記所定の間隔
を確保すると共に、該突部と前記シール用磁石と前記一
方の部材とで磁性流体の流体溜り部を画成し、前記突部
により前記シール用磁石と前記一方の部材との間に形成
される非磁性領域によって前記シール用磁石からの磁束
の短絡を防止して該シール用磁石とこのシール用磁石に
対向する他方の部材との間の磁束を増加すると共に、前
記流体溜り部に揮発による損失を補填する量の磁性流体
を溜めて該磁性流体の揮発による減少を問題とならない
ように構成したものであるから、シール用磁石と対向部
材との間に介在する磁性流体の外部開放側への漏出を防
止することが可能となると共に、磁性流体の揮発に起因
する焼き付き等を防止することが可能となる。
【0050】この時、請求項2では、シール用磁石を、
対向する他方の部材の対向面に対して外部開放側に向か
って隙間が拡大する傾斜面を有する構成とし、この傾斜
面を有するシール用磁石によって、シール用磁石の傾斜
面とこの傾斜面に対向する他方の部材の対向面との間に
形成される磁束の密度を、外部開放側に向かって徐々に
粗にして、磁性流体を傾斜面と対向面との間に磁気的に
良好に保持すると共に、外部開放側に向かって徐々に拡
大される傾斜面と対向面との間の隙間変化によって、磁
性流体の液面の曲率が徐々に小さくなろうとしてこれが
抵抗となる毛細管力を生ぜしめて、磁性流体を傾斜面と
対向面との間にさらに良好に保持するように構成したも
のであるから、上述した効果を一層高めることが可能と
なる。この時また、請求項2では、シール用磁石を、磁
性粉末と耐磁性流体性を有するバインダー樹脂とを備え
たボンド磁石として射出成形により構成しているため、
このような射出成形ボンド磁石では、例えば圧縮成形ボ
ンド磁石に比して磁気特性が低く、上記短絡による磁性
流体の外部漏出の畏れが特にあるが、上述のように、シ
ール用磁石からの磁束の短絡を防止して該シール用磁石
とこのシール用磁石に対向する他方の部材との間の磁束
を増加するようにすると、射出成形ボンド磁石でも充分
な保持力となってシール用磁石と対向部材との間に介在
する磁性流体の外部開放側への漏出を防止できるため、
該射出成形ボンド磁石に本発明を適用すると特に有効と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における磁性流体シール機
構を表した横断面図である。
【図2】同上磁性流体シール機構に用いられるスペーサ
の厚さとシール用磁石のフラックスとの関係を表した線
図である。
【図3】本発明の他の実施形態における磁性流体シール
機構を表した横断面図である。
【図4】従来技術における磁性流体シール機構を有する
HDDスピンドルモータを表した半横断面図である。
【図5】図4中の磁性流体シール機構を表した半横断面
図である。
【符号の説明】
5 一方の部材(固定部材) 5a 突部 6 シール用磁石に対向する他方の部材(回転部材) 7 軸受部 8 磁性流体 14 スペーサ 15,16 流体溜り部 23 シール用磁石 23a シール用磁石の傾斜面 h 所定の間隔

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性材よりなる回転部材に形成された軸
    受面と磁性材よりなる固定部材に形成された軸受面とを
    対向配置し当該軸受面間に介在する磁性流体によって前
    記回転部材を回転自在に支承する軸受装置に用いられる
    磁性流体シール機構であって、前記回転部材または前記
    固定部材の何れか一方の外部開放側の面上にシール用磁
    石を配設し、このシール用磁石に対向する他方の部材と
    該シール用磁石と前記一方の部材との間で形成される磁
    気回路によって、前記シール用磁石と前記他方の部材と
    の間に介在する磁性流体の外部開放側への漏出を防止す
    るようにした磁性流体シール機構において、 前記シール用磁石を、前記一方の部材の外部開放側の面
    に対して所定の間隔を空けて設けたことを特徴とする磁
    性流体シール機構。
  2. 【請求項2】 シール用磁石は、対向する他方の部材の
    対向面に対して外部開放側に向かって隙間が拡大する傾
    斜面を有し、 このシール用磁石を、磁性粉末と耐磁性流体性を有する
    バインダー樹脂とを備えたボンド磁石として射出成形に
    より構成したことを特徴とする請求項1記載の磁性流体
    シール機構。
  3. 【請求項3】 シール用磁石を、一方の部材の外部開放
    側の面に対して非磁性のスペーサを介して設けて所定の
    間隔を確保すると共に、該スペーサと前記シール用磁石
    と一方の部材とで磁性流体の流体溜り部を画成したこと
    を特徴とする請求項1または2記載の磁性流体シール機
    構。
  4. 【請求項4】 シール用磁石を、一方の部材の外部開放
    側の面に突設された突部を介して設けて所定の間隔を確
    保すると共に、該突部と前記シール用磁石と一方の部材
    とで磁性流体の流体溜り部を画成したことを特徴とする
    請求項1または2記載の磁性流体シール機構。
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