JPH1030156A - 磁束密度が高く、鉄損の低い無方向性電磁鋼板およびその製造法 - Google Patents

磁束密度が高く、鉄損の低い無方向性電磁鋼板およびその製造法

Info

Publication number
JPH1030156A
JPH1030156A JP8186468A JP18646896A JPH1030156A JP H1030156 A JPH1030156 A JP H1030156A JP 8186468 A JP8186468 A JP 8186468A JP 18646896 A JP18646896 A JP 18646896A JP H1030156 A JPH1030156 A JP H1030156A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
annealing
hot
steel sheet
magnetic flux
flux density
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP8186468A
Other languages
English (en)
Inventor
Ryutaro Kawamata
竜太郎 川又
Takeshi Kubota
猛 久保田
Tomoyuki Abe
智之 阿部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP8186468A priority Critical patent/JPH1030156A/ja
Publication of JPH1030156A publication Critical patent/JPH1030156A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は磁束密度が高く鉄損の低い無方向性
電磁鋼板およびその製造法を提供することを目的とす
る。 【解決手段】 鋼中に重量%で1.9%<Si≦3.5
%、0.2%≦Ni≦2.2%、0.1%≦Mn≦1.
0%、C≦0.0030%、N≦0.0030%、S≦
0.0030%を満足し、残部がFeおよび不可避的不
純物からなる無方向性電磁鋼板および、同成分のスラブ
を用い、熱間圧延し熱延板とし、熱延板焼鈍1回の冷間
圧延工程を施し次いで仕上焼鈍を施すか、その後更にス
キンパス圧延工程を施す無方向性電磁鋼板の製造方法に
おいて、熱延板焼鈍をAc1 点以下700℃以上で30
分以上100時間箱焼鈍により施すか、Ac1 点以下8
00℃で30秒以上5分以下連続焼鈍により施し、更に
その熱延板焼鈍を90%以上の体積分率の水素を含有す
る雰囲気中で行う事を特徴とする無方向性電磁鋼板の製
造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気機器の鉄心材
料として用いられる、磁束密度が高く、鉄損が低い優れ
た磁気特性を有する無方向性電磁鋼板の製品および製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電気機器、特に無方向性電磁鋼板
がその鉄心材料として使用される回転機および中、小型
変圧器等の分野においては、世界的な電力、エネルギー
節減、更にはフロンガス規制等の地球環境保全の動きの
中で、高効率化の動きが急速に広まりつつある。このた
め、無方向性電磁鋼板に対しても、その特性向上、すな
わち、高磁束密度かつ低鉄損化への要請がますます強ま
ってきている。
【0003】ところで、無方向性電磁鋼板の低鉄損化を
目的に従来、電気抵抗増大による渦電流損低減の観点か
らSiあるいはAl等の含有量を高める方法がとられて
きた。しかし、この方法では鉄損の低下と同時に磁束密
度が著しく低下する問題があり、高Si系無方向性電磁
鋼板は低鉄損ながら低Si系のローグレード無方向性電
磁鋼板に磁束密度の点で及ばず、低鉄損かつ高磁束密度
の無方向性電磁鋼板の実現には限界があった。高Si系
無方向性電磁鋼板ではこのような問題点の克服のため
に、冷延前結晶組織を粗大化させて圧延・再結晶集合組
織の改善を図ることにより磁束密度の改善を図る方法が
行われてきた。
【0004】特公昭62−61644号公報には熱延終
了温度を1000℃以上とすることにより熱延結晶組織
の粗大化を図り仕上焼鈍を省略すると共に冷延前結晶組
織を粗大化する方法が開示されている。しかしながら実
際の仕上熱延機においては、噛み込み時の圧延速度と定
常圧延状態の圧延速度が異なることから、コイル長手方
向の温度分布を解消することが困難であり、コイル長手
方向で磁気特性が変動するという不利益があった。
【0005】一方、熱延板焼鈍工程追加によるコストア
ップ上昇を抑え、冷延前結晶組織の粗大化を図る手法と
して、700℃〜1000℃の高温で熱延板を巻取り、
これをコイルの保有熱で焼鈍する自焼鈍法が特開昭54
−76422号公報、特開昭58−136718号公報
に開示されている。しかしながらこれらの先願における
実施例においても同様の理由により自己焼鈍はすべてα
相域で行っており、冷延前結晶組織の粗大化には限度が
あった。
【0006】特公平8−32927号公報にはC<0.
01%、Si:0.5〜3.0%、Mn:0.1〜1.
5%、A:0.1〜1.0%、P:0.005〜0.0
16%、S<0.005%を含有する鋼からなる熱延板
酸洗後5〜20%の圧下率で冷間圧延し、これを850
〜1000℃で0.5〜10分あるいは750〜850
℃にて1〜10時間熱延板焼鈍を行い、次いで最終焼鈍
する技術が開示されている。この方法においては、従来
の熱延板焼鈍法に比べて磁束密度の向上が十分でなく、
昨今の需要家の無方向性電磁鋼板磁気特性向上に対する
要請にはこたえうるものではなかった。
【0007】一方で、成分制御による磁気特性向上の観
点からは、鉄損低減の為に、単にSiあるいはAl等の
含有量を高めるのみではなく、特公平6−80169号
公報に記載されているように、MnおよびSの低減によ
る高純度鋼化により析出物の無害化を図る方法が開示さ
れている。しかしながら鋼の高純化のみでは磁束密度の
改善は不十分であり、鉄損と磁束密度の両者の優れた無
方向性電磁鋼板の開発には限界があった。
【0008】また更に、一次再結晶集合組織を改善する
ことで無方向性電磁鋼板の磁気特性を改善する方法とし
て、特開昭55−158252号公報のごとくSn添
加、特開昭62−180014号公報のときSn,Cu
添加、もしくは特開昭59−100217号公報のごと
きSb添加による集合組織の改善による磁気特性の優れ
た無方向性電磁鋼板の製造法が開示されている。しかし
ながら、これらの集合組織制御元素であるSn,Cuも
しくはSb等の添加をもってしても昨今の需要家の高磁
束密度低鉄損無方向性電磁鋼板の要求には応えることが
出来なかった。
【0009】他にも、特開昭57−35626号公報に
記載されているような仕上焼鈍サイクルの工夫等の製造
プロセス上の処置もなされてきたが、いずれも低鉄損化
は図られても、磁束密度についてはそれほどの効果はな
かった。
【0010】このように、従来技術では、鉄損が低くか
つ磁束密度が高い無方向性電磁鋼板を製造できるには至
らず、無方向性電磁鋼板に対する前記の要請に応えるこ
とは出来なかった。
【0011】
【発明が解決しようとする技術】本発明は、従来技術に
おけるこのような問題点を解決し、高磁束密度かつ低鉄
損の無方向性電磁鋼板を提供することを目的とするもの
である。
【0012】
【問題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、以下の通りである。 (1)鋼中に重量%で、 1.9%≦Si≦3.5%、 0.2%≦Ni≦2.2%、 0.1%≦Mn≦1.0%、 C≦0.0030%、 N≦0.0030%、 S≦0.0030% を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる磁
束密度が高く、鉄損の低い無方向性電磁鋼板。 (2)鋼中に重量%で更に0.1%≦Al≦1.0%を
含有することを特徴とする磁束密度が高く、鉄損の低い
無方向性電磁鋼板。
【0013】(3)鋼中に重量%で 1.9%≦Si≦3.5%、 0.2%≦Ni≦2.2%、 0.1%≦Mn≦1.0%、 C≦0.0030%、 N≦0.0030%、 S≦0.0030% であるいは更に、0.1%≦Al≦1.0%を含有し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分のスラブ
を用い、熱間圧延し熱延板とし、熱延板焼鈍を施し一回
の冷間圧延工程を施し、次いで仕上焼鈍を施す無方向性
電磁鋼板の製造方法において、冷間圧延前に熱延板焼鈍
をAc1 点以下700℃以上の温度域で30分以上10
0時間以下の箱焼鈍か、もしくはAc1 点以下800℃
以上の温度域で30秒以上5分以下の連続焼鈍により実
施することを特徴とする磁束密度が高く、鉄損の低い無
方向性電磁鋼板の製造法。 (4)仕上圧延後の熱延コイルを700℃以上(Ar1
+Ar3 )/2以下の温度で巻取り、30分以上100
時間以下の熱延板焼鈍を熱延コイルの保有熱で行う自己
焼鈍を実施することを特徴とする前記(3)記載の無方
向性電磁鋼板の製造法。
【0014】(5)熱延板焼鈍あるいは自己焼鈍の雰囲
気中の水素含有率を体積率で90%以上とすることを特
徴とする前記(3),(4)記載の無方向性電磁鋼板の
製造方法。 (6)酸洗後、熱延板焼鈍前に圧下率2%以上20%以
下の圧延を実施することを特徴とする前記(3),
(4)あるいは(5)の何れかに記載の磁束密度が高
く、鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造法。
【0015】以下に、本発明を詳細に説明する。発明者
らは、低鉄損と高磁束密度を同時に達成すべく従来技術
における問題点を鋭意検討を重ねた結果、Si含有量の
高い成分系の無方向性電磁鋼板において、鋼のC,Sお
よびN含有量を低減すると共に、成分においてはNi含
有量の適切な制御を行い、熱延板焼鈍条件を適切に制御
することで、従来になく磁束密度が高く鉄損の低い無方
向性電磁鋼板を製造することが可能であることを見出し
た。
【0016】無方向性電磁鋼板の磁気特性は冷延前結晶
組織を粗大化することで改善することが可能である。こ
のため従来、高Si系無方向性電磁鋼板の製造法におい
ては熱延板焼鈍で結晶組織の粗大化を図り、製品の磁束
密度を高め、鉄損を低減させることが行われてきた。し
かしながら本発明のごときNiを含有する高Si系無方
向性電磁鋼板においては、従来の無方向性電磁鋼板の連
続焼鈍による熱延板焼鈍では結晶組織の粗大化を十分に
図ることが不可能であり、高磁束密度低鉄損の磁気特性
の両立は不可能であった。
【0017】発明者等は従来の高Si系無方向性電磁鋼
板の磁気特性向上に対する従来技術の限界を打破すべく
鋭意検討を進めた結果、Siを1.9%〜3.5%、N
iを0.2%〜2.2%、Alを0.1%〜1.0%、
Mnを0.10%〜1.0%含有する鋼のC,Sおよび
N含有量を低減し、これを適切な熱延板焼鈍温度で焼鈍
することにより、従来困難であったNi含有量0.5%
以上の鋼の熱延結晶組織を適切な方法で粗大化すること
により、仕上焼鈍後の製品における磁束密度が極めて高
く、鉄損が良好(鉄損値が低い)な高磁束密度低鉄損の
無方向性電磁鋼板を製造しうることを知見した。
【0018】まず、成分について説明すると、Siは鋼
板の固有抵抗を増大させ渦流損を低減させ、鉄損値を改
善するために添加される。Si含有量が1.9%未満で
あると固有抵抗が十分に得られず、本発明の目的とする
低鉄損を達成することが出来ないのでSiは1.9%以
上添加する必要がある。一方、Si含有量が3.5%を
超えると熱延時にシートバーの耳割れが激しくなるので
3.5%以下とする必要がある。
【0019】Alも、Siと同様に、鋼板の固有抵抗を
増大させ渦電流損を低減させる効果を有する。このため
には、0.1%以上添加する必要がある。一方、Al含
有量が1.0%を超えると、磁束密度が低下し、コスト
高ともなるので1.0%以下とする。また、Niが添加
されている場合は、鋼中のAl含有量が0.1%未満で
あっても本発明の効果はなんら損なわれるものではな
い。
【0020】Mnは、Al,Siと同様に鋼板の固有抵
抗を増大させ渦電流損を低減させる効果を有すると共
に、熱延中の耳割れを防止することが可能であり、この
ため0.10%以上を含羞させる。一方、Mn含有量が
1.0%を超えると熱延時の変形抵抗が増加し熱延が困
難となるので、Mn含有量は1.0%以下とする必要が
ある。
【0021】また、製品の機械的特性の向上、磁気的特
性、耐錆性の向上あるいはその他の目的のために、P,
B,Ni,Cr,Sb,Sn,Cuの1種または2種以
上を鋼中に含有させても本発明の効果は損なわれない。
【0022】C含有量の制御は本発明の成分規定の肝要
な点であり、0.0030%以下に制御することが必要
である。C含有量が0.0030%を超えると、磁気時
効が発生し使用中の鉄損が悪化するため0.0030%
以下とする必要がある。
【0023】S,Nは熱間圧延工程におけるスラブ加熱
中に一部再固溶し、熱間圧延中にMnS,AlNの微細
な析出物を再析出して仕上焼鈍時の結晶粒成長を抑制
し、鉄損が悪化する原因となる。このためその含有量は
共に0.0030%以下とする必要がある。
【0024】発明者らは鋭意検討を重ねた結果、Si含
有量が1.9%以上の無方向性電磁鋼板において、C,
N,Sを低減すると共に熱延板焼鈍条件を工夫すること
により、Niを含有する高Si鋼の熱延結晶組織を従来
の連続焼鈍では得られなかった以上に粗大化させ、成品
における磁束密度を著しく高めると共に、低鉄損を達成
する無方向性電磁鋼板を製造することが可能であること
を見出した。
【0025】このようなNi添加の高Si系無方向性電
磁鋼板磁気特性への影響を調査するため、以下のような
実験を行った。Si:2.1%、Mn:0.12%、To
talAl:0.2%、C:15ppm 、N:17ppm 、
S:16ppm 、Ni含有量が10ppm 〜2.3%の成分
の鋼を溶製し、仕上熱延を実施した。その後熱延板焼鈍
を800℃×20時間、水素100%雰囲気中で行っ
た。これを酸洗、冷延し、0.5mm厚として脱脂し、9
00℃×30秒焼鈍し、エプスタイン試料として磁気特
性を測定した。
【0026】Ni含有量に対する製品鉄損、製品磁束密
度をそれぞれ図1、図2に示した。Ni含有量を0.2
以上2.2%以下にすることにより、成品磁束密度が向
上し、低鉄損が得られることがわかる。図1からも明白
なように、Ni含有量が0.2%以下では磁束密度向上
の効果が得られず、2.2%以上では逆に磁束密度が低
下するので、Ni含有量は0.2%以上2.2%以下と
定める。
【0027】次にプロセス条件について説明する。前記
成分からなる鋼スラブは、転炉で溶製され連続鋳造ある
いは造塊−分塊圧延により製造される。鋼スラブは公知
の方法にて加熱される。このスラブに熱間圧延を施し所
定の厚みとする。
【0028】熱延板焼鈍温度はAc1 点以下とする。熱
延板焼鈍温度がAc1 点を上回ると、熱延結晶組織の成
長が不十分となり、優れた磁気特性を有する無方向性電
磁鋼板を得ることができない。このため箱焼鈍、連続焼
鈍ともに熱延板焼鈍温度はAc1 点以下であることが好
ましい。また、箱焼鈍では熱延板焼鈍温度が700℃未
満では結晶粒成長が不十分となるので、700℃以上と
する。連続焼鈍では箱焼鈍よりも短時間で結晶粒成長を
行わせるため、熱延板焼鈍温度が800℃未満ではその
効果が不十分である。従って、連続焼鈍では熱延板焼鈍
温度は800℃以上とする。
【0029】熱延板焼鈍時間は箱焼鈍では30分以上1
00時間以下であり、好ましくは1時間以上50時間以
下である。30分未満では焼鈍の効果は不十分であり、
100時間超では高温焼鈍中に生じるコイルの自重によ
る変形が激しくなり、歩留まりが著しく低下するため1
00時間以下とする。
【0030】熱延板焼鈍時間は連続焼鈍では30秒以上
5分以下である。30秒未満では焼鈍の効果は不十分で
あり、5分超では連続焼鈍の生産性が著しく低下し不経
済ともなるので5分以下とする。
【0031】本発明では、熱延板焼鈍を仕上焼鈍後のコ
イル自身の保有熱で行う自己焼鈍も有効である。その
際、熱延コイルの巻取温度が700℃未満であると自己
焼鈍中の結晶粒成長が不十分であるので700℃以上と
する。また、巻取温度が(Ar1 +Ar3 )/2を上回
ると自己焼鈍中の変態により結晶粒成長が阻害されるの
で巻取温度は(Ar1 +Ar3 )/2以下とする。自己
焼鈍時間は30分以上100時間以下であり、好ましく
は30分以上50時間以下である。30分未満では焼鈍
の効果は不十分であり、100時間超では高温焼鈍中に
生じるコイルの自重による変形が激しくなり、歩留まり
が著しく低下するため100時間以下とする。
【0032】本発明では熱延板焼鈍時もしくは自己焼鈍
時の結晶粒成長を促進するために、焼鈍中の雰囲気の水
素含有量を体積比率で90%以上としてもよい。その機
構については明らかでないが、焼鈍中の雰囲気の水素含
有量を高めることにより、同一時間でより結晶粒成長を
促進することが可能である。水素含有量が90%未満で
はその効果が不十分であるため、90%以上とする。焼
鈍中の露点は鋼板の酸化を防止するために低い方が好ま
しい。
【0033】このようにして得られた熱延板は一回の冷
間圧延と連続焼鈍により製品とする。また更にスキンパ
ス圧延工程を付加して製品としてもよい。スキンパス圧
延率は2%未満ではその効果が得られず、20%超では
磁気特性が悪化するため2%以上20%以下とする。
【0034】
【実施例】次に、本発明の実施例について述べる。 (実施例1)表1に示した成分および変態点を有する無
方向性電磁鋼用スラブを通常の方法にて加熱し、熱延に
より2.5mmに仕上げた。続いて熱延板焼鈍を箱焼鈍炉
にて施した。熱延板焼鈍はいずれの成分系においてもA
1 点以下である800℃で20時間、雰囲気は水素1
00%とした。その後、酸洗を施し、冷間圧延により
0.50mmに仕上げた。これを連続焼鈍炉にて950℃
で30秒間焼鈍した。その後、エプスタイン試料に切断
し、磁気特性を測定した。表1に本発明と比較例の成分
と磁気測定結果をあわせて示す。このように高Si鋼に
Niを添加し、適切な熱延板焼鈍条件で焼鈍を行うこと
により、磁束密度の値が高く、鉄損値の低い材料を得る
ことが可能である。
【0035】
【表1】
【0036】(実施例2)表2に示した成分および変態
点を有する無方向性電磁鋼用スラブを通常の方法にて加
熱し、熱延により2.5mmに仕上げた。続いてこの熱延
板焼鈍を箱焼鈍炉にて施した。熱延板焼鈍はいずれの成
分系においてもAc1 点以下である800℃で20時
間、雰囲気の水素体積率を変えて行った。なお、露点は
−10℃とした。その後、酸洗を施し、冷間圧延により
0.50mmに仕上げた。これを連続焼鈍炉にて950℃
で30秒間焼鈍した。その後、エプスタイン試料に切断
し、磁気特性を測定した。表2に本発明と比較例の成分
と磁気測定結果をあわせて示す。このように高Si鋼に
Niを添加し、その熱延板焼鈍中の雰囲気の水素含有量
を高めることにより、磁束密度の値が高く、鉄損値の低
い材料を得ることが可能である。
【0037】
【表2】
【0038】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、磁束密度
が高く鉄損の低い、磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板
を製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】Ni含有量と磁束密度の関係を示す図である。
【図2】Ni含有量と鉄損の関係を示す図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼中に重量%で、 1.9%≦Si≦3.5%、 0.2%≦Ni≦2.2%、 0.1%≦Mn≦1.0%、 C≦0.0030%、 N≦0.0030%、 S≦0.0030% を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる磁
    束密度が高く、鉄損の低い無方向性電磁鋼板。
  2. 【請求項2】 鋼中に重量%で更に、 0.1%≦Al≦1.0% を含有することを特徴とする磁束密度が高く、鉄損の低
    い無方向性電磁鋼板。
  3. 【請求項3】 鋼中に重量%で、 1.9%≦Si≦3.5%、 0.2%≦Ni≦2.2%、 0.1%≦Mn≦1.0%、 C≦0.0030%、 N≦0.0030%、 S≦0.0030% であるいは更に、 0.1%≦Al≦1.0% を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成
    分のスラブを用い、熱間圧延し熱延板とし、熱延板焼鈍
    を施し一回の冷間圧延工程を施し、次いで仕上焼鈍を施
    す無方向性電磁鋼板の製造方法において、冷間圧延前に
    熱延板焼鈍をAc1 点以下700℃以上の温度域で30
    分以上100時間以下の箱焼鈍か、もしくはAc1 点以
    下800℃以上の温度域で30秒以上5分以下の連続焼
    鈍により実施することを特徴とする磁束密度が高く、鉄
    損の低い無方向性電磁鋼板の製造法。
  4. 【請求項4】 仕上圧延後の熱延コイルを700℃以上
    (Ar1 +Ar3 )/2以下の温度で巻取り、30分以
    上100時間以下の熱延板焼鈍を熱延コイルの保有熱で
    行う自己焼鈍を実施することを特徴とする請求項3記載
    の無方向性電磁鋼板の製造法。
  5. 【請求項5】 熱延板焼鈍あるいは自己焼鈍の雰囲気中
    の水素含有率を体積率で90%以上とすることを特徴と
    する請求項3,4記載の無方向性電磁鋼板の製造法。
  6. 【請求項6】 酸洗後、熱延板焼鈍前に圧下率2%以上
    20%以下の圧延を実施することを特徴とする請求項
    3,4あるいは5の何れかに記載の磁束密度が高く、鉄
    損の低い無方向性電磁鋼板の製造法。
JP8186468A 1996-07-16 1996-07-16 磁束密度が高く、鉄損の低い無方向性電磁鋼板およびその製造法 Withdrawn JPH1030156A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8186468A JPH1030156A (ja) 1996-07-16 1996-07-16 磁束密度が高く、鉄損の低い無方向性電磁鋼板およびその製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8186468A JPH1030156A (ja) 1996-07-16 1996-07-16 磁束密度が高く、鉄損の低い無方向性電磁鋼板およびその製造法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1030156A true JPH1030156A (ja) 1998-02-03

Family

ID=16189007

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8186468A Withdrawn JPH1030156A (ja) 1996-07-16 1996-07-16 磁束密度が高く、鉄損の低い無方向性電磁鋼板およびその製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1030156A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2000219917A (ja) 磁束密度が高く鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造法
KR100779579B1 (ko) 철손이 낮고 자속밀도가 높은 무방향성 전기강판의제조방법
JP2509018B2 (ja) 磁束密度が高くかつ鉄損が低い無方向性電磁鋼板の製造方法
JP2951852B2 (ja) 磁気特性に優れる一方向性珪素鋼板の製造方法
JP4422220B2 (ja) 磁束密度が高く鉄損の低い無方向性電磁鋼板及びその製造方法
JPH055126A (ja) 無方向性電磁鋼板の製造方法
JP3348802B2 (ja) 磁束密度が高く、鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法
JPH032323A (ja) 磁束密度の高い無方向性電磁鋼板の製造方法
KR100192841B1 (ko) 자성이 우수한 무방향성 전기강판 및 그 제조방법
JP3348811B2 (ja) 磁束密度が高く、鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法
JPH08143960A (ja) 磁束密度が高くかつ鉄損が低い無方向性電磁鋼板の製造方法
JP4292805B2 (ja) 磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板の製造方法
JPH06192731A (ja) 磁束密度が高くかつ鉄損が低い無方向性電磁鋼板の製造方法
JPH1030156A (ja) 磁束密度が高く、鉄損の低い無方向性電磁鋼板およびその製造法
JP2784661B2 (ja) 高磁束密度薄手一方向性電磁鋼板の製造方法
JPH0629461B2 (ja) 磁気特性の良好な珪素鋼板の製造方法
KR100940719B1 (ko) 응력제거 소둔 후 자속밀도 특성이 우수한 무방향성전기강판의 제조방법
JPH0257125B2 (ja)
JP2515449B2 (ja) 磁気特性が極めて優れた無方向性電磁鋼板の製造方法
JP4277529B2 (ja) 下地被膜を有しない方向性電磁鋼板の製造方法
JP3379058B2 (ja) 磁束密度が高く、鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法
KR100256356B1 (ko) 철손이 낮은 무방향성 전기강판 및 그 제조방법
JPH07258736A (ja) 磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板の製造方法
JP2023508294A (ja) 無方向性電磁鋼板およびその製造方法
JP2000096196A (ja) 鉄損の低い無方向性電磁鋼板及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20031007