JPH10298084A - イムノグロブリンe抗体産生抑制剤 - Google Patents
イムノグロブリンe抗体産生抑制剤Info
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- JPH10298084A JPH10298084A JP9120212A JP12021297A JPH10298084A JP H10298084 A JPH10298084 A JP H10298084A JP 9120212 A JP9120212 A JP 9120212A JP 12021297 A JP12021297 A JP 12021297A JP H10298084 A JPH10298084 A JP H10298084A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 IgE抗体産生を抑制できる薬剤を提供する
こと。 【解決手段】 アゾトバクター・ベイジェリンキィーの
莢膜成分またはこれを酸、塩基もしくは還元剤で処埋す
ることにより得ることのできる成分を含有することを特
徴とする、IgE抗体産生抑制剤。
こと。 【解決手段】 アゾトバクター・ベイジェリンキィーの
莢膜成分またはこれを酸、塩基もしくは還元剤で処埋す
ることにより得ることのできる成分を含有することを特
徴とする、IgE抗体産生抑制剤。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アゾトバクター属
細菌、特にアゾトバクター・ベイジェリンキィー(Az
otobacter beijerinckii)の莢
膜より得られるイムノグロブリンE(IgE)抗体産生
抑制作用に、従ってI型アレルギーの予防または治療剤
に関する。
細菌、特にアゾトバクター・ベイジェリンキィー(Az
otobacter beijerinckii)の莢
膜より得られるイムノグロブリンE(IgE)抗体産生
抑制作用に、従ってI型アレルギーの予防または治療剤
に関する。
【0002】
【従来の技術】アレルギーはI型ないしIV型に分類さ
れ、そのうち最も一般的にみられるのは、気管支喘息、
一部の蕁麻疹、アレルギー性鼻炎、アナフィラキシーな
どをもたらすI型アレルギーである。I型アレルギーは
IgE抗体が関与する生体反応であるが、この型のアレ
ルギーにおける機序は、(1) 生体が抗原に感作され
ることによりIgE抗体が産生され、(2) そのIg
E抗体がIgEレセプターを介して肥満細胞及び好塩基
球に結合し、(3) 抗原が再度侵入したとき、肥満細
胞及び好塩基球表面上に結合している先のIgE抗体と
結合し、それによりこれらの細胞のIgEレセプター間
に架橋が形成され、(4) Caイオン流入等の種々の
反応を経て、ヒスタミン、ロイコトリエン、好酸球遊定
因子(ECF−A)、血小板活性化因子(PAF)等の
化学伝達物質が放出される、ことにより症伏が発現する
というものである。
れ、そのうち最も一般的にみられるのは、気管支喘息、
一部の蕁麻疹、アレルギー性鼻炎、アナフィラキシーな
どをもたらすI型アレルギーである。I型アレルギーは
IgE抗体が関与する生体反応であるが、この型のアレ
ルギーにおける機序は、(1) 生体が抗原に感作され
ることによりIgE抗体が産生され、(2) そのIg
E抗体がIgEレセプターを介して肥満細胞及び好塩基
球に結合し、(3) 抗原が再度侵入したとき、肥満細
胞及び好塩基球表面上に結合している先のIgE抗体と
結合し、それによりこれらの細胞のIgEレセプター間
に架橋が形成され、(4) Caイオン流入等の種々の
反応を経て、ヒスタミン、ロイコトリエン、好酸球遊定
因子(ECF−A)、血小板活性化因子(PAF)等の
化学伝達物質が放出される、ことにより症伏が発現する
というものである。
【0003】アレルギーに対して従来より知られている
抗アレルギー剤のほとんどは、抗ヒスタミン薬や化学伝
達物質遊離抑制薬である。I型アレルギーの発生機序の
最も初期の段階であるIgE抗体の産生の抑制に基づく
タイプの薬物は、この型のアレルギーに対する優れた薬
剤をもたらし得ると考えられるが、そのようなタイプの
薬物として十分な薬効のあるものは知られていない。I
gE抗体の産生抑制能をいくらか有する抗アレルギー剤
としては、唯一アイピーディー〔IPD−1151T、
スプラタストトシレート)が知られているが〔バイオイ
ンダストリー(BIO INDUSTRY)第13巻第12号第42−50ペ
ージ(1996年)〕、この化合物は極めて弱いIgE抗体
産生抑制作用を有するに過ぎない。
抗アレルギー剤のほとんどは、抗ヒスタミン薬や化学伝
達物質遊離抑制薬である。I型アレルギーの発生機序の
最も初期の段階であるIgE抗体の産生の抑制に基づく
タイプの薬物は、この型のアレルギーに対する優れた薬
剤をもたらし得ると考えられるが、そのようなタイプの
薬物として十分な薬効のあるものは知られていない。I
gE抗体の産生抑制能をいくらか有する抗アレルギー剤
としては、唯一アイピーディー〔IPD−1151T、
スプラタストトシレート)が知られているが〔バイオイ
ンダストリー(BIO INDUSTRY)第13巻第12号第42−50ペ
ージ(1996年)〕、この化合物は極めて弱いIgE抗体
産生抑制作用を有するに過ぎない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような状況におい
て、本発明の目的は、IgE抗体産生を抑制する作用の
ある薬剤を提供することである。この目的の下に本発明
者らは、種々の物質につき検討した結果、アゾトバクタ
ー属細菌の莢膜より得られる成分が優れたIgE抗体産
生抑制作用を有することを見出し、さらに検討を加えて
本発明に到達した。
て、本発明の目的は、IgE抗体産生を抑制する作用の
ある薬剤を提供することである。この目的の下に本発明
者らは、種々の物質につき検討した結果、アゾトバクタ
ー属細菌の莢膜より得られる成分が優れたIgE抗体産
生抑制作用を有することを見出し、さらに検討を加えて
本発明に到達した。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、アゾ
トバクター・ベイジェリンキィーの莢膜成分またはこれ
を酸、塩基もしくは還元剤で処埋することにより得るこ
とのできる成分を含有することを特徴とするIgE抗体
産生抑制剤を提供する。
トバクター・ベイジェリンキィーの莢膜成分またはこれ
を酸、塩基もしくは還元剤で処埋することにより得るこ
とのできる成分を含有することを特徴とするIgE抗体
産生抑制剤を提供する。
【0006】ここに、アゾトバクター・ベイジェリンキ
ィー(Azotobacter beijerinck
ii)として特に好ましいのは、アゾトバクター・ベイ
ジェリンキィーTNM1株(受託番号FERM BP−
4194:通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究
所)またはその変異株である。変異株は、アゾトバクタ
ー・ベイジェリンキィーTNM1株を、紫外線、X線な
どの放射線に暴露し、または、エチルメタンスルホン酸
(EMS)、N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソ
グアニジン(MNNG)等の化学的突然変異誘発物質の
ような公知の突然変異誘発手段と接触させることにより
発生させることができる。
ィー(Azotobacter beijerinck
ii)として特に好ましいのは、アゾトバクター・ベイ
ジェリンキィーTNM1株(受託番号FERM BP−
4194:通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究
所)またはその変異株である。変異株は、アゾトバクタ
ー・ベイジェリンキィーTNM1株を、紫外線、X線な
どの放射線に暴露し、または、エチルメタンスルホン酸
(EMS)、N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソ
グアニジン(MNNG)等の化学的突然変異誘発物質の
ような公知の突然変異誘発手段と接触させることにより
発生させることができる。
【0007】これらの細菌の莢膜成分またはこれを酸、
塩基もしくは還元剤で処理することにより得ることので
きる成分のIgE抗体産生抑制作用の有無および強さ
は、後述の方法により容易に測定することができる。
塩基もしくは還元剤で処理することにより得ることので
きる成分のIgE抗体産生抑制作用の有無および強さ
は、後述の方法により容易に測定することができる。
【0008】アゾトバクター・ベイジェリンキィーTN
M1株は、構成糖としてD−ガラクツロン酸、L−ラム
ノース、D−グルコースの3種からなり、その構成モル
比が、D−ガラクツロン酸:L−ラムノース:D−グル
コース=0.6〜1.0:0.8〜1.2:0.8〜
1.2である多糖類を主要成分とする莢膜多糖類を産生
する。
M1株は、構成糖としてD−ガラクツロン酸、L−ラム
ノース、D−グルコースの3種からなり、その構成モル
比が、D−ガラクツロン酸:L−ラムノース:D−グル
コース=0.6〜1.0:0.8〜1.2:0.8〜
1.2である多糖類を主要成分とする莢膜多糖類を産生
する。
【0009】上記莢膜多糖類は、各構成糖の一部の水酸
基がO−アセチル基で置換されており、その数は、平均
して通常構成糖1残基に対して1以下である。
基がO−アセチル基で置換されており、その数は、平均
して通常構成糖1残基に対して1以下である。
【0010】本発明は、従って、アゾトバクター・ベイ
ジェリンキィーの莢膜多糖類またはこれを酸、塩基もし
くは還元剤で処理することにより得ることのできるフラ
グメントを含有することを特徴とするIgE抗体産生抑
制剤をも提供する。該莢膜多糖類は、たとえば湿熱滅菌
処理または超音波処理等によって莢膜を菌体から遊離さ
せ、菌体をたとえば遠心により除去した培養上清を限外
濾過(例えぱミリポア社製限外濾過膜:分画分子量1×
105 )して高分子量側に残存する成分として得ること
ができる。また莢膜成分のフラグメント化による生成物
は、莢膜成分の酸、塩基または還元剤による処理によっ
て行うことができる。また還元剤による処理は、培地に
たとえば硫酸鉄およびEDTAを加えることにより、培
養しつつ行うこともできる。
ジェリンキィーの莢膜多糖類またはこれを酸、塩基もし
くは還元剤で処理することにより得ることのできるフラ
グメントを含有することを特徴とするIgE抗体産生抑
制剤をも提供する。該莢膜多糖類は、たとえば湿熱滅菌
処理または超音波処理等によって莢膜を菌体から遊離さ
せ、菌体をたとえば遠心により除去した培養上清を限外
濾過(例えぱミリポア社製限外濾過膜:分画分子量1×
105 )して高分子量側に残存する成分として得ること
ができる。また莢膜成分のフラグメント化による生成物
は、莢膜成分の酸、塩基または還元剤による処理によっ
て行うことができる。また還元剤による処理は、培地に
たとえば硫酸鉄およびEDTAを加えることにより、培
養しつつ行うこともできる。
【0011】これらの細菌のうち、本発明においてとり
わけ好ましいのは、アゾトバクター・ベイジェリンキィ
ーTNM1株細菌である。
わけ好ましいのは、アゾトバクター・ベイジェリンキィ
ーTNM1株細菌である。
【0012】本発明の莢膜成分を得るためのアゾトバク
ター属細菌の培養は、一般的に次の方法に準じて行うこ
とができる。すなわち、培養のための培地としては、ア
ゾトバクター属細菌が生育でき、かつ、目的とする莢膜
成分を産生するに必要な炭素源および窒素源、無機塩
類、ならびに微量栄養源を含有する培地であればよく、
それ以外には特に限定されない。
ター属細菌の培養は、一般的に次の方法に準じて行うこ
とができる。すなわち、培養のための培地としては、ア
ゾトバクター属細菌が生育でき、かつ、目的とする莢膜
成分を産生するに必要な炭素源および窒素源、無機塩
類、ならびに微量栄養源を含有する培地であればよく、
それ以外には特に限定されない。
【0013】炭素源としては、たとえばグルコース、ラ
クトース、マルトース、キシロース、マンニトール、サ
ッカロース、ラムノース、アラビノース、トレハロー
ス、ラフィノース等が使用できる。窒素源としては、た
とえば硝酸塩、アンモニウム塩、尿素等の合成化合物、
ポリペプトン、コーンスティープリカー、酵母エキス、
肉エキス、脱脂大豆抽出物、ペプチド、アミノ酸等の天
然有機物が使用できる。無機塩類としては、たとえばリ
ン酸塩、カリウム塩、硫酸塩、マグネシウム塩等が使用
できる。微量栄養源としては、例えぱ酵母エキス、各種
ビタミン類等が使用できる。また、培地にはさらに必要
に応じ、カルシウム塩、マンガン塩等を添加してもよ
い。
クトース、マルトース、キシロース、マンニトール、サ
ッカロース、ラムノース、アラビノース、トレハロー
ス、ラフィノース等が使用できる。窒素源としては、た
とえば硝酸塩、アンモニウム塩、尿素等の合成化合物、
ポリペプトン、コーンスティープリカー、酵母エキス、
肉エキス、脱脂大豆抽出物、ペプチド、アミノ酸等の天
然有機物が使用できる。無機塩類としては、たとえばリ
ン酸塩、カリウム塩、硫酸塩、マグネシウム塩等が使用
できる。微量栄養源としては、例えぱ酵母エキス、各種
ビタミン類等が使用できる。また、培地にはさらに必要
に応じ、カルシウム塩、マンガン塩等を添加してもよ
い。
【0014】使用する培地は、固形培地でも液体培地で
もよい。液体培地を使用する場合には、静置培養でもよ
いが、目的とする莢膜成分を高収率で得るためには、振
とう培養または通気撹拌培養の方がより好ましい。培養
時の培地pHは、当該微生物の生育に適しかつ目的とす
る莢膜成分の産生を妨げないpHである限り、特に限定
されないが、通常適切なpHは4〜8である。培養温度
については、特に制限されないが、通常20〜35℃が
好ましい。培養時間は、目的とする莢膜成分の産生が最
大になるように適宣設定されるが、通常好ましいのは1
〜7日間である。
もよい。液体培地を使用する場合には、静置培養でもよ
いが、目的とする莢膜成分を高収率で得るためには、振
とう培養または通気撹拌培養の方がより好ましい。培養
時の培地pHは、当該微生物の生育に適しかつ目的とす
る莢膜成分の産生を妨げないpHである限り、特に限定
されないが、通常適切なpHは4〜8である。培養温度
については、特に制限されないが、通常20〜35℃が
好ましい。培養時間は、目的とする莢膜成分の産生が最
大になるように適宣設定されるが、通常好ましいのは1
〜7日間である。
【0015】上記培養によって得られる培養物は、滅菌
後、精製せずにそのままIgE抗体産生抑制剤として使
用することが可能である。しかしながら、菌体を除去し
さらには目的とする莢膜成分を精製して使用するのが一
層好ましい。菌体の除去は、たとえば湿熱滅菌により莢
膜を菌体から遊離させた後、遠心分離や濾過を用いて常
法に従って行うことができる。また菌体除去後の培養液
に、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセ
トン等の水混和性有機溶媒を加えて沈殿を生じさせ、次
いで該沈殿物を水に溶解させた後、水に対して透析を行
い、その後、通風乾燥、熱風乾燥、噴霧乾燥、ドラム乾
燥、減圧乾燥、凍結乾燥などの方法により透析内液を乾
燥させる等の精製処理を行ってもよい。精製処理のため
には、これらの方法の他、限外濾過(たとえばミリポア
社製の分画分子量1×105 のものを濃縮に使用でき
る。)を行い、得られる濃縮液を乾燥工程に付す方法
や、さらに、必要に応じ、イオン交換、ゲル濾過、アフ
ィニティーなどの各種のカラムクロマトグラフィー、第
4級アンモニウム塩による沈殿または塩析、有機溶媒に
よる沈殿等が用いられる。
後、精製せずにそのままIgE抗体産生抑制剤として使
用することが可能である。しかしながら、菌体を除去し
さらには目的とする莢膜成分を精製して使用するのが一
層好ましい。菌体の除去は、たとえば湿熱滅菌により莢
膜を菌体から遊離させた後、遠心分離や濾過を用いて常
法に従って行うことができる。また菌体除去後の培養液
に、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセ
トン等の水混和性有機溶媒を加えて沈殿を生じさせ、次
いで該沈殿物を水に溶解させた後、水に対して透析を行
い、その後、通風乾燥、熱風乾燥、噴霧乾燥、ドラム乾
燥、減圧乾燥、凍結乾燥などの方法により透析内液を乾
燥させる等の精製処理を行ってもよい。精製処理のため
には、これらの方法の他、限外濾過(たとえばミリポア
社製の分画分子量1×105 のものを濃縮に使用でき
る。)を行い、得られる濃縮液を乾燥工程に付す方法
や、さらに、必要に応じ、イオン交換、ゲル濾過、アフ
ィニティーなどの各種のカラムクロマトグラフィー、第
4級アンモニウム塩による沈殿または塩析、有機溶媒に
よる沈殿等が用いられる。
【0016】培養物自体または上記で精製した莢膜成分
に対し、所望により還元剤の添加や酸・塩基加水分解、
加圧下での加温や超音波処理など各種の処理を施しても
よい。酸・塩基加水分解については、培養操作完了後の
培養物にまたは上記で精製した莢膜成分に、硫酸、塩酸
等の酸やアルカリなどを添加しかつ条件を調節するのが
好ましい。
に対し、所望により還元剤の添加や酸・塩基加水分解、
加圧下での加温や超音波処理など各種の処理を施しても
よい。酸・塩基加水分解については、培養操作完了後の
培養物にまたは上記で精製した莢膜成分に、硫酸、塩酸
等の酸やアルカリなどを添加しかつ条件を調節するのが
好ましい。
【0017】また、培養に際し、培養物中の莢膜成分産
生量が減少しない程度に培地に還元剤を添加してもよ
い。この場合に使用する還元剤としては、たとえば硫酸
第一鉄および/または塩化第一鉄と、エチレンジアミン
四酢酸との組み合わせが好ましい。
生量が減少しない程度に培地に還元剤を添加してもよ
い。この場合に使用する還元剤としては、たとえば硫酸
第一鉄および/または塩化第一鉄と、エチレンジアミン
四酢酸との組み合わせが好ましい。
【0018】なお、培養により得られる上記莢膜多糖類
において、各構成糖の一部の水酸基がO−アセチル基で
置換されている場合には、脱アセチル化処理を行っても
よい。
において、各構成糖の一部の水酸基がO−アセチル基で
置換されている場合には、脱アセチル化処理を行っても
よい。
【0019】このようにして得られる莢膜成分である多
糖類およびその酸、塩基もしくは還元剤による処理によ
り得られるフラグメントは、後述の各試験例に記述した
ように、IgE抗体産生抑制作用を有している。従っ
て、それらはIgE抗体産生抑制剤として、従ってまた
I型アレルギーの予防または治療剤として使用すること
ができる。これらの成分について行ったラット経口での
急性毒性試験により、5g/kgの投与によっても死亡
例がなく、体重増加も対称群と同等であり、しかも、外
観や剖検上も全く異常は認められないことが明らかにさ
れた。従ってこれらの成分の経口投与における安全性は
高いと考えられる。
糖類およびその酸、塩基もしくは還元剤による処理によ
り得られるフラグメントは、後述の各試験例に記述した
ように、IgE抗体産生抑制作用を有している。従っ
て、それらはIgE抗体産生抑制剤として、従ってまた
I型アレルギーの予防または治療剤として使用すること
ができる。これらの成分について行ったラット経口での
急性毒性試験により、5g/kgの投与によっても死亡
例がなく、体重増加も対称群と同等であり、しかも、外
観や剖検上も全く異常は認められないことが明らかにさ
れた。従ってこれらの成分の経口投与における安全性は
高いと考えられる。
【0020】
【実施例】以下、本発明を幾つかの典型的な実施例およ
び試験例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、こ
れらの実施例に限定されることを意図するものではな
い。
び試験例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、こ
れらの実施例に限定されることを意図するものではな
い。
【0021】〔実施例1〕 アゾトバクター属細菌の培
養および莢膜成分の回収 500mL容の坂口フラスコに、表1に示す組成の培地
を100mL入れ、121℃で20分間湿熱滅菌後、表
1に示す組成の培地を使用して試験管にて3日間液体振
とう培養していたアゾトバクター・ベイジェリンキィー
TNM1株(FERM BP−4194)を、一白金耳
分植菌し、振とう数毎分110ストロークで28℃にて
1日の間レシプロ振とう培養を行った。
養および莢膜成分の回収 500mL容の坂口フラスコに、表1に示す組成の培地
を100mL入れ、121℃で20分間湿熱滅菌後、表
1に示す組成の培地を使用して試験管にて3日間液体振
とう培養していたアゾトバクター・ベイジェリンキィー
TNM1株(FERM BP−4194)を、一白金耳
分植菌し、振とう数毎分110ストロークで28℃にて
1日の間レシプロ振とう培養を行った。
【0022】
【表1】 〔培地組成(重量%)〕 スクロース 3% 硝酸ナトリウム 0.3% リン酸一水素カリウム 0.15% 硫酸マグネシウム・7水和物 0.05% 硫酸鉄・7水和物 0.001% 塩化カルシウム・2水和物 0.1% ─────────────────────────── pH 6.5
【0023】次に、表1に示す組成と同様の組成の培地
6Lを入れて前記と同様の滅菌を行った10L容のジャ
ーファーメンターに、上記で得られた培養液300mL
を接種し、温度28℃、通気量6L/分の条件下に、5
M水酸化ナトリウム水溶液を用いて系中のpHを7に保
ちながら、70時間通気撹件培養を行った。なお回転数
は、培養24時間目までは400rpm、それ以降70
時間目までは700rpmとした。
6Lを入れて前記と同様の滅菌を行った10L容のジャ
ーファーメンターに、上記で得られた培養液300mL
を接種し、温度28℃、通気量6L/分の条件下に、5
M水酸化ナトリウム水溶液を用いて系中のpHを7に保
ちながら、70時間通気撹件培養を行った。なお回転数
は、培養24時間目までは400rpm、それ以降70
時間目までは700rpmとした。
【0024】得られた培養物のpHを、10%の硫酸で
4.5に調整し、121℃にて60分間湿熱滅菌して莢
膜成分を菌体から遊離させた後、遠心分離により菌体を
除去した。得られた培養上清分について、残留培地成分
などの多糖類以外の成分が除去されるまでクロスフロー
方式の限外ろ過を繰り返した。限外ろ過には、ミリポア
社製の限外濾過膜(分画分子量:100,000)を使
用した。限外ろ過膜を通過しなかった濃縮液を凍結乾燥
し、培地1L当たり、莢膜多糖類を主体とする抽出物約
12gを得た。
4.5に調整し、121℃にて60分間湿熱滅菌して莢
膜成分を菌体から遊離させた後、遠心分離により菌体を
除去した。得られた培養上清分について、残留培地成分
などの多糖類以外の成分が除去されるまでクロスフロー
方式の限外ろ過を繰り返した。限外ろ過には、ミリポア
社製の限外濾過膜(分画分子量:100,000)を使
用した。限外ろ過膜を通過しなかった濃縮液を凍結乾燥
し、培地1L当たり、莢膜多糖類を主体とする抽出物約
12gを得た。
【0025】なお、多糖類の単一性の確認は、GPCモ
ードの高速液体クロマトグラフィーを使用して行った。
旭化成社製「Asahipak GFA−7MF」をカ
ラムとし、0.1M硝酸ナトリウム水溶液を移動相とし
た高速液体クロマトグラフィーを使用し、上記多糖類の
分子量を測定した結果、多糖類のクロマトグラフのピー
クトップの保持時間は、分子量既知のプルランを標準サ
ンプルとして作成した分子量−保持時間標準曲線におい
て、分子量約500,000に相当する値を示した。ま
た、上記多糖類について各構成糖まで加水分解を行い、
アルジトールアセテートに誘導した後、ガスクロマトグ
ラフィー分析を行った。あらかじめ作成した検量線と各
構成糖のピーク面積から求めた各構成糖のモル比、およ
び、m−フェニルフェノール法により求めたガラクツロ
ン酸含有量から、各構成糖のモル比は、ガラクツロン
酸:ラムノース:グルコース=0.9:l:lであっ
た。
ードの高速液体クロマトグラフィーを使用して行った。
旭化成社製「Asahipak GFA−7MF」をカ
ラムとし、0.1M硝酸ナトリウム水溶液を移動相とし
た高速液体クロマトグラフィーを使用し、上記多糖類の
分子量を測定した結果、多糖類のクロマトグラフのピー
クトップの保持時間は、分子量既知のプルランを標準サ
ンプルとして作成した分子量−保持時間標準曲線におい
て、分子量約500,000に相当する値を示した。ま
た、上記多糖類について各構成糖まで加水分解を行い、
アルジトールアセテートに誘導した後、ガスクロマトグ
ラフィー分析を行った。あらかじめ作成した検量線と各
構成糖のピーク面積から求めた各構成糖のモル比、およ
び、m−フェニルフェノール法により求めたガラクツロ
ン酸含有量から、各構成糖のモル比は、ガラクツロン
酸:ラムノース:グルコース=0.9:l:lであっ
た。
【0026】また、上記多糖類の比旋光度は、 [α]25 D =+120° (c=0.5、水溶液) であり、各構成糖の結合様式は実質的に、 〔→3)α-D-GalUA(1→3)β-L-Rha(1→3)α-D
-Glc(1→〕n (ただし、α-D-GalUAは、α−D−ガラクツロン酸、β
-L-Rhaはβ−L−ラムノース、α-D-Glcは、α−D−グ
ルコースをそれぞれ示し、(1→3)は、結合様式が
1、3結合であることを示す)であった。
-Glc(1→〕n (ただし、α-D-GalUAは、α−D−ガラクツロン酸、β
-L-Rhaはβ−L−ラムノース、α-D-Glcは、α−D−グ
ルコースをそれぞれ示し、(1→3)は、結合様式が
1、3結合であることを示す)であった。
【0027】〔実施例2〕 アゾトバクター属細菌の莢
膜多糖類の脱アセチル化 実施例1と同様に処理して得た多糖類を、濃度1重量%
の水溶液とし、そのpHを10M水酸化ナトリウムにて
12に調整した後、室温下で5時間撹拌した。その後、
10M塩酸で中和し、限外ろ過による脱塩後、凍結乾燥
することにより、脱アセチル化された多糖類を得た。
膜多糖類の脱アセチル化 実施例1と同様に処理して得た多糖類を、濃度1重量%
の水溶液とし、そのpHを10M水酸化ナトリウムにて
12に調整した後、室温下で5時間撹拌した。その後、
10M塩酸で中和し、限外ろ過による脱塩後、凍結乾燥
することにより、脱アセチル化された多糖類を得た。
【0028】〔実施例3〕 アゾトバクター属細菌の莢
膜多糖類の培養中フラグメント化、脱アセチル化および
フラグメント化生成物の回収 レシプロ振とう培養処理までは実施例1と同様に操作を
行った後、表2に示す組成の培地6Lを入れて実施例1
に記載したのと同様な滅菌処理を行った10L容のジャ
ーファーメンターに、レシプロ振とうで得られた培養
液、300mLを接種し、28℃にて、76時間通気攪
拌培養を行った。なお、回転数は、培養48時間までは
250rpm、それ以降76時間までは700rpmと
した。またさらに、通気攪拌培養開始後48時間目に、
全体の系に対し、硫酸鉄・7水和物が0.01重量%、
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・2水和物が0.
05重量%となるように、上記化合物を溶解させた水溶
液を、無菌的にジャーファーメンターに添加した。
膜多糖類の培養中フラグメント化、脱アセチル化および
フラグメント化生成物の回収 レシプロ振とう培養処理までは実施例1と同様に操作を
行った後、表2に示す組成の培地6Lを入れて実施例1
に記載したのと同様な滅菌処理を行った10L容のジャ
ーファーメンターに、レシプロ振とうで得られた培養
液、300mLを接種し、28℃にて、76時間通気攪
拌培養を行った。なお、回転数は、培養48時間までは
250rpm、それ以降76時間までは700rpmと
した。またさらに、通気攪拌培養開始後48時間目に、
全体の系に対し、硫酸鉄・7水和物が0.01重量%、
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・2水和物が0.
05重量%となるように、上記化合物を溶解させた水溶
液を、無菌的にジャーファーメンターに添加した。
【0029】
【表2】 〔培地組成(重量%)〕 グルコース 4% 硝酸ナトリウム 0.3% リン酸一水素カリウム 0.15% 硫酸マグネシウム・7水和物 0.05% 硫酸鉄・7水和物 0.001% ビタミンBl 0.0001% ニコチンアミド 0.0001% パントテン酸カルシウム 0.0002% ビオチン 0.0000012% ───────────────────────────── pH 6.5
【0030】得られた培養液を121℃で1分間湿熱滅
菌した後、遠心分離および加圧珪藻土慮過により、菌体
を除去した。以降、実施例1と同様に操作して分子量約
300,000の単一な多糖類を得た。さらに得られた
多糖類に対し実施例2と同様の操作を行い、脱アセチル
化された分子量250,000の多糖類を得た。収量は
培地1L当たり10gであった。
菌した後、遠心分離および加圧珪藻土慮過により、菌体
を除去した。以降、実施例1と同様に操作して分子量約
300,000の単一な多糖類を得た。さらに得られた
多糖類に対し実施例2と同様の操作を行い、脱アセチル
化された分子量250,000の多糖類を得た。収量は
培地1L当たり10gであった。
【0031】〔抗原特異的抗体産生の抑制作用の測定〕 サンプルの調製 上記実施例で得られた各多糖類を濃度1重量%の水溶液
とし、その水溶液に各々陽イオン交換樹脂を添加して、
培養物中に含まれる酸性基の対イオンを水素イオンとし
た後、樹脂を濾去し、濾液を水酸化ナトリウムで中和し
て対イオンをナトリウムイオンに置換した。その後、ポ
アサイズ0.2μmのメンブランフィルターで濾過した
後、凍結乾燥し、得られた各サンプルを以下の実験に供
した。
とし、その水溶液に各々陽イオン交換樹脂を添加して、
培養物中に含まれる酸性基の対イオンを水素イオンとし
た後、樹脂を濾去し、濾液を水酸化ナトリウムで中和し
て対イオンをナトリウムイオンに置換した。その後、ポ
アサイズ0.2μmのメンブランフィルターで濾過した
後、凍結乾燥し、得られた各サンプルを以下の実験に供
した。
【0032】〔試験例1〕 抗原特異的抗体産生抑制作
用の測定 8週齢の雄性マウス(BDF1、5〜6匹/群)を用
い、抗原としてキーホルリンペットヘモシアニンをトリ
ニトロベンゼンスルフォン酸ナトリウムと反応させて調
製したTNP−KLHの10μgと、アジュバントとし
ての水酸化アルミニウム2mgとの混合物を含有する生
理食塩水0.2mLを腹腔内に注射して感作した。
用の測定 8週齢の雄性マウス(BDF1、5〜6匹/群)を用
い、抗原としてキーホルリンペットヘモシアニンをトリ
ニトロベンゼンスルフォン酸ナトリウムと反応させて調
製したTNP−KLHの10μgと、アジュバントとし
ての水酸化アルミニウム2mgとの混合物を含有する生
理食塩水0.2mLを腹腔内に注射して感作した。
【0033】また、実施例1で得た莢膜多糖類を主体と
する抽出物を生理食塩水に溶解させて、上記BDF1マ
ウスに対して投与量がl00mg/kgになるように調
製した溶液150μLを、感作の前日から感作の3日後
まで、計5回背部皮下に投与した。対照群には上記多糖
類溶液の代わりに生理食塩水を用いた。10日後に全採
血して、抗TNP−IgE抗体産生量を測定した。
する抽出物を生理食塩水に溶解させて、上記BDF1マ
ウスに対して投与量がl00mg/kgになるように調
製した溶液150μLを、感作の前日から感作の3日後
まで、計5回背部皮下に投与した。対照群には上記多糖
類溶液の代わりに生理食塩水を用いた。10日後に全採
血して、抗TNP−IgE抗体産生量を測定した。
【0034】抗TNP−IgE抗体産生量の測定は、0h
omori, H., Immunol. Lett., 23: 251-256(1990)に報
告されているELISA法に従い次の通りに行った。
omori, H., Immunol. Lett., 23: 251-256(1990)に報
告されているELISA法に従い次の通りに行った。
【0035】1.ラット由来抗マウスIgE抗体コーテ
ィングプレートの調製:6HD5(商品名:ヤマサ社
製、ラット由来抗マウスIgE抗体)を20μg/mL
の濃度になるように下記のAl緩衝液で希釈し、96穴
のプレートに50μLずつ添加した後、4℃にて12時
間放置してコーティングした。上清を取り除き、0.2
重量%の濃度になるようにAl緩衝液で希釈したBSA
液(牛血清アルブミン)を、それぞれ250μLずつ添
加した後、さらに4℃にて12時間放置しブロッキング
した。上清を取り除き、試験に用いた。
ィングプレートの調製:6HD5(商品名:ヤマサ社
製、ラット由来抗マウスIgE抗体)を20μg/mL
の濃度になるように下記のAl緩衝液で希釈し、96穴
のプレートに50μLずつ添加した後、4℃にて12時
間放置してコーティングした。上清を取り除き、0.2
重量%の濃度になるようにAl緩衝液で希釈したBSA
液(牛血清アルブミン)を、それぞれ250μLずつ添
加した後、さらに4℃にて12時間放置しブロッキング
した。上清を取り除き、試験に用いた。
【0036】
【表3】 〔A1緩衝液〕 リン酸二ナトリウム・12水和物 2.1g リン酸一ナトリウム・2水和物 0.59g アジ化ナトリウム 0.96g 塩化マグネシウム・6水和物 0.195g 塩化ナトリウム 5.6g 蒸留水 960mL
【0037】2.サンプル処理:0.1重量%の濃度に
なるように下記のA2緩衝液で希釈したBSA液を用い
て、あらかじめサンプルを後述の蛍光度測定が可能とな
る適切な範囲内の濃度に希釈しておき、これを上述のプ
レートに50μLずつ添加した後、4℃にて12時間放
置し反応させた。上清を取り除き、0.01重量%の濃
度になるようA2緩衝液で希釈したBSA液で2回洗浄
した後、あらかじめ0.1重量%濃度になるようA2緩
衝液で希釈したBSA液を用いて適切な濃度(およそ数
μg/mL)に調製しておいたTNP−β−ガラクトシ
ダーゼ液を、50μLずつ添加した後、4℃にて4時間
放置し反応させた。上清を取り除き、0.02容量%の
濃度になるようA2緩衝液で希釈しておいたTween
20液で3回洗浄した。
なるように下記のA2緩衝液で希釈したBSA液を用い
て、あらかじめサンプルを後述の蛍光度測定が可能とな
る適切な範囲内の濃度に希釈しておき、これを上述のプ
レートに50μLずつ添加した後、4℃にて12時間放
置し反応させた。上清を取り除き、0.01重量%の濃
度になるようA2緩衝液で希釈したBSA液で2回洗浄
した後、あらかじめ0.1重量%濃度になるようA2緩
衝液で希釈したBSA液を用いて適切な濃度(およそ数
μg/mL)に調製しておいたTNP−β−ガラクトシ
ダーゼ液を、50μLずつ添加した後、4℃にて4時間
放置し反応させた。上清を取り除き、0.02容量%の
濃度になるようA2緩衝液で希釈しておいたTween
20液で3回洗浄した。
【0038】
【表4】 〔A2緩衝液〕 Al緩衝液 100mL 塩化ナトリウム 1.25g
【0039】これに、あらかじめDMF(ジメチルホル
ムアミド)原液10mg/mLの濃度に調製しておいた
4−MUG(メチルウンベリフェリル−β−D−ガラク
トシド)を、0.1重量%の濃度になるようにA1緩衝
液で希釈したBSA液で100倍に希釈したものを10
0mLずつ添加した。37℃にて45分間反応させた
後、0.1Mのグリシン緩衝液(pHl0.3)を10
0μLずつ添加し反応を停止させた後、蛍光度測定(励
起波長365nm、蛍光波長450nm)を行った。な
お、上記において特に温度を記載していない操作につい
ては、すべて氷冷下でおこなった。
ムアミド)原液10mg/mLの濃度に調製しておいた
4−MUG(メチルウンベリフェリル−β−D−ガラク
トシド)を、0.1重量%の濃度になるようにA1緩衝
液で希釈したBSA液で100倍に希釈したものを10
0mLずつ添加した。37℃にて45分間反応させた
後、0.1Mのグリシン緩衝液(pHl0.3)を10
0μLずつ添加し反応を停止させた後、蛍光度測定(励
起波長365nm、蛍光波長450nm)を行った。な
お、上記において特に温度を記載していない操作につい
ては、すべて氷冷下でおこなった。
【0040】また、検量線を作るため、既知濃度の抗T
NP−IgE抗体を用いて同様の操作を行った。そし
て、IgE抗体産生抑制率は、次の式により算出した。
結果は表5に示す。 IgE抗体産生抑制率(%)=〔(C−S)/C〕×1
00 〔ここに、C:対照における抗TNP−IgE抗体産生
量、S:被検試料投与群における抗TNP−IgE抗体
産生量〕
NP−IgE抗体を用いて同様の操作を行った。そし
て、IgE抗体産生抑制率は、次の式により算出した。
結果は表5に示す。 IgE抗体産生抑制率(%)=〔(C−S)/C〕×1
00 〔ここに、C:対照における抗TNP−IgE抗体産生
量、S:被検試料投与群における抗TNP−IgE抗体
産生量〕
【0041】〔試験例2〕実施例2で得た莢膜多糖類を
主体とする抽出物を用いた以外は、試験例lと同様の操
作を行い、抗TNP−IgE抗体産生抑制率を測定し
た。結果は表5に示す。
主体とする抽出物を用いた以外は、試験例lと同様の操
作を行い、抗TNP−IgE抗体産生抑制率を測定し
た。結果は表5に示す。
【0042】〔試験例3〕投与期間を感作の前日から2
日後までとし感作9日後に全採血を行った以外は、試験
例2と同様の操作を行い、抗TNP−IgE抗体産生抑
制率を測定した。結果は表5に示す。
日後までとし感作9日後に全採血を行った以外は、試験
例2と同様の操作を行い、抗TNP−IgE抗体産生抑
制率を測定した。結果は表5に示す。
【0043】〔試験例4〕実施例3で得た莢膜成分のフ
ラグメント化による生成物を用い、感作9日後に全採血
を行った以外は、試験例lと同様の操作を行い、抗TN
P−IgE抗体産生抑制率を測定した。結果は表5に示
す。
ラグメント化による生成物を用い、感作9日後に全採血
を行った以外は、試験例lと同様の操作を行い、抗TN
P−IgE抗体産生抑制率を測定した。結果は表5に示
す。
【0044】〔試験例5〕実施例3で得た莢膜成分のフ
ラグメント化による生成物を用い、被検試料および生理
食塩水(対照)の投与を、感作後1〜4日にかけて計4
回投与し、感作9日後に全採血を行った以外は、実施例
lと同様の操作を行い、抗TNP−IgE抗体産生抑制
率を測定した。結果は表5に示す。
ラグメント化による生成物を用い、被検試料および生理
食塩水(対照)の投与を、感作後1〜4日にかけて計4
回投与し、感作9日後に全採血を行った以外は、実施例
lと同様の操作を行い、抗TNP−IgE抗体産生抑制
率を測定した。結果は表5に示す。
【0045】〔試験例6〕実施例3で得た莢膜成分のフ
ラグメント化による生成物を生理食塩水に溶解させて、
BDF1マウスに対し投与長が50mg/kgになるよ
うに調製した溶液150μLを、マウスに感作前日から
感作後2日まで計4回皮下投与し、感作9日後に全採血
を行った以外は、実施例1と同様の操作を行い、抗TN
P−IgE抗体産生抑制率を測定した。結果は表5に示
す。
ラグメント化による生成物を生理食塩水に溶解させて、
BDF1マウスに対し投与長が50mg/kgになるよ
うに調製した溶液150μLを、マウスに感作前日から
感作後2日まで計4回皮下投与し、感作9日後に全採血
を行った以外は、実施例1と同様の操作を行い、抗TN
P−IgE抗体産生抑制率を測定した。結果は表5に示
す。
【0046】〔試験例1〜6の結果)上記の試験例1〜
6について得られた、被検試料および対照についての抗
TNP−IgE抗体産生量平均値〔μg/mL〕、およ
び抗体産生抑制率を以下の表5にまとめて示す。
6について得られた、被検試料および対照についての抗
TNP−IgE抗体産生量平均値〔μg/mL〕、およ
び抗体産生抑制率を以下の表5にまとめて示す。
【0047】
【表5】
【0048】試験例1〜4の結果が示すように、アゾト
バクター属細菌の莢膜成分またはそのフラグメント化生
成物の皮下投与により、抗TNP−IgE抗体の産生が
高い抑制率を以て抑えられている。また試験例1〜4と
試験例5との比較から、これらの成分によるIgE抗体
産生抑制効果は、これらの成分の投与が抗原による感作
の後に開始されても、感作の前に開始された場合と同等
であることが分かる。このことは、これらの成分をIg
E抗体産生抑制剤として使用する上で極めて有利であ
り、I型アレルギー予防または治療剤として使用し得る
ことを示している。
バクター属細菌の莢膜成分またはそのフラグメント化生
成物の皮下投与により、抗TNP−IgE抗体の産生が
高い抑制率を以て抑えられている。また試験例1〜4と
試験例5との比較から、これらの成分によるIgE抗体
産生抑制効果は、これらの成分の投与が抗原による感作
の後に開始されても、感作の前に開始された場合と同等
であることが分かる。このことは、これらの成分をIg
E抗体産生抑制剤として使用する上で極めて有利であ
り、I型アレルギー予防または治療剤として使用し得る
ことを示している。
【0049】〔試験例7〕 抗原性試験 試験例2で使用したBDF1マウスの1群(5〜6匹)
から得た血清を等量混合した。この血清の抗原性を、免
疫学実験入門(学会出版センター)125〜126頁に
記載されている Passive Hemaggulutination法(タンニ
ン酸法)を用いて調べた。陽性対照として、8週齢の雄
性BDF1マウスに、100μgの卵白アルブミンをア
ジュバントとしての水酸化アルミニウム2mgと混合し
て腹腔内注射して感作し、9日後に採血した血清を用い
た。また陰性対照については、卵白アルブミンの代わり
にリン酸緩衝食塩水を用いて同様に操作して得た血清を
用いた。次の表に結果を示す。
から得た血清を等量混合した。この血清の抗原性を、免
疫学実験入門(学会出版センター)125〜126頁に
記載されている Passive Hemaggulutination法(タンニ
ン酸法)を用いて調べた。陽性対照として、8週齢の雄
性BDF1マウスに、100μgの卵白アルブミンをア
ジュバントとしての水酸化アルミニウム2mgと混合し
て腹腔内注射して感作し、9日後に採血した血清を用い
た。また陰性対照については、卵白アルブミンの代わり
にリン酸緩衝食塩水を用いて同様に操作して得た血清を
用いた。次の表に結果を示す。
【0050】
【表6】
【0051】表6に示す通り、上記アゾトバクター属細
菌の莢膜成分およびそのフラグメント化生成物には抗原
性は認められなかった。従ってこの面においても本発明
のIgE産生抑制剤は安全性が高いと考えられる。
菌の莢膜成分およびそのフラグメント化生成物には抗原
性は認められなかった。従ってこの面においても本発明
のIgE産生抑制剤は安全性が高いと考えられる。
【0052】
【発明の効果】以上の通り、本発明の、アゾトバクター
属細菌の莢膜成分またはそのフラグメント化による生成
物は、ヒトを含む哺乳類におけるIgE抗体産生を抑制
するために使用することができる。また本発明は、これ
らの成分を含有するIgE抗体産生抑制剤を、従って、
I型アレルギーの予防・治療剤を提供することができ
る。
属細菌の莢膜成分またはそのフラグメント化による生成
物は、ヒトを含む哺乳類におけるIgE抗体産生を抑制
するために使用することができる。また本発明は、これ
らの成分を含有するIgE抗体産生抑制剤を、従って、
I型アレルギーの予防・治療剤を提供することができ
る。
Claims (7)
- 【請求項1】 アゾトバクター・ベイジェリンキィーの
莢膜成分またはこれを酸、塩基もしくは還元剤で処埋す
ることにより得ることのできる成分を含有することを特
徴とする、IgE抗体産生抑制剤。 - 【請求項2】 アゾトバクター・ベイジェリンキィーの
莢膜多糖類またはこれを酸、塩基もしくは還元剤で処理
することにより得ることのできるフラグメントを含有す
ることを特徴とする、IgE抗体産生抑制剤。 - 【請求項3】 該多糖類が、構成糖としてD−ガラクツ
ロン酸、L−ラムノース、D−グルコースの3種からな
り、その構成モル比が、D−ガラクツロン酸:L−ラム
ノース:D−グルコース=0.6〜1.0:0.8〜
1.2:0.8〜1.2である多糖類を主要成分とす
る、請求項2のIgE抗体産生抑制剤。 - 【請求項4】 請求項1ないし3の何れかのIgE抗体
産生抑制剤よりなる、I型アレルギー予防または治療
剤。 - 【請求項5】 哺乳動物におけるIgE抗体産生を抑制
するための、アゾトバクター・ベイジェリンキィーの莢
膜成分またはこれを酸、塩基もしくは還元剤で処理する
ことにより得ることのできる成分の使用。 - 【請求項6】 哺乳動物におけるIgE抗体産生を抑制
するための、アゾトバクター・ベイジェリンキィーの莢
膜多糖類またはこれを酸、塩基もしくは還元剤で処理す
ることにより得ることのできるフラグメントの使用。 - 【請求項7】 該多糖類が、構成糖としてD−ガラクツ
ロン酸、L−ラムノース、D−グルコースの3種からな
り、その構成モル比が、D−ガラクツロン酸:L−ラム
ノース:D−グルコース=0.6〜1.0:0.8〜
1.2:0.8〜1.2である多糖類を主要成分とす
る、請求項6の使用。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9120212A JPH10298084A (ja) | 1997-04-22 | 1997-04-22 | イムノグロブリンe抗体産生抑制剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9120212A JPH10298084A (ja) | 1997-04-22 | 1997-04-22 | イムノグロブリンe抗体産生抑制剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10298084A true JPH10298084A (ja) | 1998-11-10 |
Family
ID=14780681
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9120212A Pending JPH10298084A (ja) | 1997-04-22 | 1997-04-22 | イムノグロブリンe抗体産生抑制剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10298084A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113136354A (zh) * | 2021-06-07 | 2021-07-20 | 阳煤丰喜肥业(集团)有限责任公司闻喜复肥分公司 | 一种促进小麦生长的微生物菌剂及其制备方法 |
-
1997
- 1997-04-22 JP JP9120212A patent/JPH10298084A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113136354A (zh) * | 2021-06-07 | 2021-07-20 | 阳煤丰喜肥业(集团)有限责任公司闻喜复肥分公司 | 一种促进小麦生长的微生物菌剂及其制备方法 |
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