JPH10295953A - 紙一枚切りカッター - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 重なっている紙の上一枚だけを切るカッター
において、カッターに加える力加減に注意を払わなくと
も下の紙を全く傷つけることなく、また自由自在な方向
に上の紙一枚だけを切っていけることを目的とする。 【解決の手段】 この発明の紙一枚切りカッターは、刃
物６を収納し保持するホルダ１と、ホルダ１の長さ方向
一端寄りの一側縁１ｃから他側縁１ｂに向けて形成した
紙案内用底縁２ａを有する切り欠き空部２と、を備え、
切り欠き空部２の紙案内用底縁２ａに刃物６の刃５を切
り欠き空部２の開口側に向かい鋭角に臨ませた状態で刃
物６をホルダ１に固定し、その刃５に紙案内用底縁２ａ
に載せた紙を当てて切るようにした、ことを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、重ねた紙の上一枚
のみを切る紙一枚切りカッターに関する。

【０００２】

【従来の技術】重なっている紙の上一枚のみを切るカッ
ターは市販のもの（オルファー社のウィング）がある
が、これは切っ先の先端カバーを調節し、紙一枚だけが
切れるように設定したものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記カッターは紙質に
より押える力を加減しなければならず、往々にして下の
紙まで傷つけることがある。例えば、新聞記事を切り取
ろうとして、このカッターを紙面に押し付けて切ってゆ
くと、その下の紙面まで切り込みが入るようなことがあ
る。この発明は上記に鑑み提案されたもので、押える力
加減に注意を払わなくとも下の紙を全く傷つけることな
く、また自由自在な方向に切っていける紙一枚切りカッ
ターを提供することを目的としている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達するた
め、請求項１に記載の発明は、重ねた紙の上一枚のみを
切る紙一枚切りカッターにおいて、刃物を収納し保持す
るホルダと、上記ホルダの長さ方向一端寄りの一側縁か
ら他側縁に向けて形成した紙案内用底縁を有する切り欠
き空部と、を備え、上記切り欠き空部の紙案内用底縁に
上記刃物の刃を切り欠き空部の開口側に向かい鋭角に臨
ませた状態で刃物をホルダに固定し、その刃に紙案内用
底縁に載せた紙を当てて切るようにした、ことを特徴と
している。

【０００５】また、請求項２に記載の発明は、上記請求
項１に記載の発明の構成に加えて、上記刃物を刃の切っ
先をホルダの長さ方向一端縁から突き出させた第２の状
態でもホルダに固定可能とした、ことを特徴としてい
る。

【０００６】さらに、請求項３に記載の発明は、上記請
求項１に記載の発明の構成に加えて、上記切り欠き空部
下方のホルダ一端部に第２の刃物を収納し固定するとと
もに、その第２の刃物を切っ先をホルダ一端部の周縁か
ら突き出させた状態でも固定可能とした、ことを特徴と
している。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下にこの発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。図１はこの発明の紙一枚切りカ
ッターの構成例を示す図、図２は紙を切っている様子を
示す斜視図である。これらの図において、この発明の紙
一枚切りカッターは、刃物６と、その刃物６を収納し保
持するホルダ１と、ホルダ１に形成した切り欠き空部２
と、を有している。

【０００８】刃物６は、細長く薄い鉄板状のもので、長
さ方向一端縁の斜辺に刃５が形成され、その刃５の先端
は切っ先５ａとなっている。また、長さ方向略中央にネ
ジ止め用の刃物側通孔６ｂが開けてある。

【０００９】ホルダ１は、例えば厚さ約０．８ｍｍの細
長い鉄板を、長さ方向に沿って二重に折り曲げてその間
に約０．４ｍｍの隙間を持たせ、幅約２ｃｍに形成し、
その折り曲げて形成した隙間に沿って刃物６を収納する
ようにしたものであり、長さ方向一端縁１ａは、峰部１
ｂに対して約６０度の角度となるように形成してある。
また、切り欠き空部２の上方には、上記の刃物側通孔６
ｂに対応するようにホルダ側通孔１ｄが開けてあり、こ
のホルダ側通孔１ｄには、ここでは図示されていない肉
盛り部分が形成され、その肉盛り部分にはネジが切って
ある。

【００１０】切り欠き空部２は、ホルダ１の一端縁１ａ
からそれぞれ約３ｍｍと約５ｍｍの各高さ位置で、腹部
１ｃ（一側縁）から峰部１ｂ（他側縁）に向けて、峰部
１ｂに約２ｍｍ程度を残して、一端縁１ａとは平行とな
るように切り込みを入れて形成したものであり、当該切
り欠き空部２の下端２ａは、後述するように、切断対象
の紙を刃５に向けて案内する紙案内用底縁２ａとして機
能する。また、一端縁１ａの腹部１ｃ側および峰部１ｂ
側の各コーナは、それぞれ丸みを持たせてある。

【００１１】刃物６をホルダ１に収納するには、収納時
に刃５が下方となり、またその刃５がホルダ１の腹部１
ｃ側（開口側）を向くような姿勢で刃物６をホルダ１に
入れ、刃物６の峰６ａをホルダ１の峰部１ｂにあてが
い、刃物側通孔６ｂとホルダ側通孔１ｄとを一致させ
て、ネジ止めする。このネジ止めで刃物６はホルダ１に
固定され、その状態での刃５は、紙案内用底縁２ａに対
して鋭角、例えば約３０度を成し、また切っ先５ａが紙
案内用底縁２ａより僅かに下方に沈み、紙案内用底縁２
ａ上において刃が約１ｍｍ開口部に向かい切り欠き空部
２に出ている状態となる。

【００１２】上記構成の紙一枚切りカッターにおいて、
例えば新聞紙の所望の記事を切り抜くときは、重なって
いる新聞紙から当該新聞紙一枚のみを少し上に上げて切
り欠き空部２の紙案内用底縁２ａに載せ、カッターの一
端縁１ａを下の新聞紙上に滑らせながら当該カッターを
紙面の所望記事に向けて進ませる。このとき、新聞紙は
紙案内用底縁２ａの奥に送り込まれ、紙案内用底縁２ａ
の両縁の間に出ている刃５が鋭角的に当たるので、紙案
内用底縁２ａ上に支えられた新聞紙には刃圧がかかり順
次切断されていく。そして、紙案内用底縁２ａ上で約１
ｍｍの刃が出ているカッターを、所望の記事の輪郭線に
沿って自在に送り込んでいくことができて、所望の記事
を簡単にかつ適切に切り取ることができる。押える力加
減に注意を払わなくとも下方の重なっている新聞紙を全
く傷つけないし、また、自由自在な方向に切っていけ
る。

【００１３】図３はこの発明の第２の実施形態を示す図
である。なお、上記第１の実施形態と同一の構成要素に
は、同一の符号を付してその説明を省略する。この第２
の実施形態では、刃物６をホルダ１１内で移動できるよ
うにしてある。

【００１４】すなわち、この実施形態でのホルダ１１
は、薄い鉄板をその幅方向中心で両側縁が一致するよう
に、図中手前側に二重に折り曲げるとともに、切り欠き
空部２上方の手前側折り曲げ面を幅方向の両側を残して
切り取って奥側の折り曲げ面１１ｄを露出させたもので
あり、その幅方向両側は、内側に向けて開口する断面コ
字状の細長い刃物摺動部１１ｂ，１１ｃとなり、刃物６
はその刃物摺動部１１ｂ，１１ｃに摺動自在に挟み込ま
れてホルダ１１に保持される。そして、刃物摺動部１１
ｂの縁辺には半円状の係止用凹部１１ｅ，１１ｆを形成
し、一方、刃物６の面には、刃物摺動部１１ｂ，１１ｃ
間に突状片１２，１２を所定間隔で固定し、その突状片
１２，１２には細長い板ばね材１３の両端を、ばね中央
が隆起するような状態にして固定する。

【００１５】上記構成の紙一枚切りカッターにおいて、
突状片１２を押して刃物６を摺動させ、ばね中央の隆起
部１３ａを係止用凹部１１ｅに係合させると、図３に示
すように、切っ先５ａがホルダ１１の一端縁１ａから紙
一枚分だけ突き出して刃物６がホルダ１１にセッティン
グされ、一方、ばね中央の隆起部１３ａを係止用凹部１
１ｆに係合させると、切っ先５ａが紙案内用底縁２ａの
下方に収まった状態で刃物６がホルダ１１にセッティン
グされる。なお、紙案内用底縁２ａ上では、刃５が約１
ｍｍ開口側に向かい、切り欠き空部２に出ている状態に
保持されている。

【００１６】このように、刃物６をホルダ１１内で移動
可能とし、切っ先５ａが紙一枚分だけ突き出した状態で
刃物６をセッティングできるようにしたので、例えば、
紙面の中央に切り取りたい記事があるときは、先ず、切
っ先５ａを突き出させてその記事周辺にその切っ先５ａ
で数ミリメートルの切り込みを入れ、次に、切っ先５ａ
を引っ込めて切り込み部分に紙案内用底縁２ａを挿し込
んで紙案内用底縁２ａ上に載せ、そこから刃５による切
断を行うようにする。したがって、紙面の端から所望の
記事に到達するまで切断する必要はなくなり、無駄なく
迅速に所望の記事のみの切り取りを行うことができる。

【００１７】図４および図５はこの発明の第３の実施形
態を示す図である。なお、上記第１の実施形態と同一の
構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略す
る。この第３の実施形態では、刃物６とは別に、第２の
刃物（小型刃物）６０をホルダ１１０の一端部１１０ａ
内に備えるようにした。

【００１８】すなわち、この実施形態でのホルダ１１０
は、第１の実施形態でのホルダ１に対して、一端部１１
０ａを比較的大きく船形状に形成してあり、また一端縁
１ａには２枚の板材を繋ぐように底部１１０ｂが形成し
てあり、その底部１１０ｂには、隆起状の段部１１０ｅ
が形成してある。

【００１９】ホルダ１１０の一端部１１０ａを成す２枚
の板材間の隙間には、上記の底部１１０ｂの上端面に、
切っ先６０ａを腹部１１０ｄ側に向けて、小型刃物６０
が配置されている。この小型刃物６０の下端には、上記
の段部１１０ｅに噛み合う段部６０ｂが設けてある。ま
た、小型刃物６０の中央下部に設けた通孔６０ｃには、
弾力性のある鋼線７が接続してあり、この鋼線７は、通
孔６０ｃから底部１１０ｂ、一端部１１０ａの曲線状の
峰部１１０ｃおよびホルダ１１０の峰部１ｂに沿って延
び、その一端は峰部１ｂに設けた鋼線可動部８に接続し
てある。鋼線７は、底部１１０ｂに当接した後通孔６０
ｃの位置まで上がっているので、小型刃物６０にはこの
鋼線７による付勢力が働き、常時底部１１０ｂ側に押し
付けられている。鋼線可動部８は、その一部が峰部１ｂ
から突き出しており、その突出部分８ａを手で動かすこ
とによって峰部１ｂに沿って所定長さだけ移動可能とな
っている。なお、通孔６０ｃと鋼線可動部８との間に
は、鋼線７が峰部１ｂ等から離れて浮き上がらないよう
に、抑止部（図示省略）が数カ所に設けてある。また、
一端部１１０ａには、底部１１０ｂに沿った小型刃物６
０の移動をガイドするガイド部（図示省略）が小型刃物
６０の上方に設けてある。

【００２０】上記構成の紙一枚切りカッターにおいて、
鋼線可動部８の突出部分８ａを手で押し下げると、鋼線
７が峰部１ｂ等に沿って移動し、それに応じて小型刃物
６０は底部１１０ｂに沿って図中右方向に移動し、その
後底部１１０ｂ側の段部１１０ｅと小型刃物６０側の段
部６０ｂとが係合することで、小型刃物６０は停止す
る。このとき、図５に示すように、切っ先６０ａが腹部
１１０ｄから紙一枚分だけ突き出した状態となり、その
状態で小型刃物６０がホルダ１１０にセッティングされ
る。一方、鋼線可動部８の突出部分８ａを手で押し上げ
ると、鋼線７が逆に移動し、それに応じて小型刃物６０
は底部１１０ｂに沿って図中左方向に移動し、図４に示
すように、切っ先６０ａが一端部１１０ａ内に収まった
状態で小型刃物６０がホルダ１１０にセッティングされ
る。したがって、上記第２の実施形態の場合と同様に、
紙面の中央に切り取りたい記事があるときは、先ず、切
っ先６０ａを突き出させてその記事周辺にその切っ先６
０ａで数ミリメートルの切り込みを入れ、次に、切っ先
６０ａを引っ込めて切り込み部分に紙案内用底縁２ａを
挿し込んで紙案内用底縁２ａ上に載せ、そこから刃５に
よる切断を行うことができ、紙面の端から所望の記事に
到達するまでの無駄な切断を行う必要がなくなり、迅速
に所望の記事のみの切り取りを行うことができる。

【００２１】以上、この発明を図面の実施の形態に基づ
いて説明したが、この発明は上記の各実施形態に限定さ
れるものではなく、特許請求の範囲に記載の構成を変更
しない限りどのようにでも実施することができる。例え
ば、上記の実施形態では、刃物６の長さ方向一端側にの
み刃５を形成するようにしたが、両端に刃を形成するよ
うにしてもよいし、あるいは側縁に沿って刃が形成して
ある刃物を紙案内用底縁２ａに対して鋭角となるように
取り付けるようにしてもよい。

【００２２】また、ホルダを薄い鉄板を折り曲げて形成
するようにしたが、刃物を収納できれば様々な態様のも
のを採用することができる。

【００２３】

【発明の効果】この発明は上記した構成からなるので、
以下に説明するような効果を奏することができる。請求
項１に記載の発明では、切り欠き空部の紙案内用底縁に
刃物の刃を切り欠き空部の開口側に向かい鋭角に臨ませ
た状態で刃物をホルダに固定するようにしたので、例え
ば新聞紙の所望の記事を切り抜くときは、重なっている
新聞紙から当該新聞紙一枚のみを少し上に上げて切り欠
き空部の紙案内用底縁に載せ、ホルダの一端縁を下の新
聞紙上に滑らせながら当該ホルダを紙面の所望記事に向
けて進ませる。このとき、新聞紙は紙案内用底縁の奥に
送り込まれて、紙案内用底縁に支えられながら刃が鋭角
的に当たるので、新聞紙には刃圧がかかり順次切断され
ていく。そして、所望記事の輪郭線に沿ってカッターを
送り込んでいくことで、所望の記事を、簡単にかつ適切
に切り取ることができる。押える力加減に注意を払わな
くとも下方の重なっている新聞紙を全く傷つけないし、
また、自由自在な方向に切っていける。

【００２４】また、請求項２および請求項３に記載の発
明では、刃物の切っ先をホルダから突出させてセッティ
ング可能としたので、例えば、紙面の中央に切り取りた
い記事があるときは、先ず、切っ先を突き出させてその
記事周辺にその切っ先で数ミリメートルの切り込みを入
れ、次に、切っ先を引っ込めて切り込み部分に紙案内用
底縁を挿し込んで紙案内用底縁上に載せ、そこから刃に
よる切断を行うことができ、したがって、紙面の端から
所望の記事に到達するまでの切断が不要となり、無駄な
く迅速に所望の記事のみの切り取りを行うことができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の紙一枚切りカッターの構成例を示す
図である。

【図２】紙を切っている様子を示す斜視図である。

【図３】この発明の第２の実施形態を示す図である。

【図４】この発明の第３の実施形態を示す図である。

【図５】図４の要部拡大図である。

【符合の説明】

１，１１，１１０ ホルダ １ｂ 峰部（他側縁） １ｃ 腹部（一側縁） ２ 切り欠き空部 ２ａ 紙案内用底縁 ５ 刃 ５ａ 切っ先 ６ 刃物 ６０ 小型刃物（第２の刃物） ６０ａ 切っ先 １１０ａ ホルダの一端部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 重ねた紙の上一枚のみを切る紙一枚切り
   カッターにおいて、 刃物を収納し保持するホルダと、 上記ホルダの長さ方向一端寄りの一側縁から他側縁に向
   けて形成した紙案内用底縁を有する切り欠き空部と、 を備え、 上記切り欠き空部の紙案内用底縁に上記刃物の刃を切り
   欠き空部の開口側に向かい鋭角に臨ませた状態で刃物を
   ホルダに固定し、その刃に紙案内用底縁に載せた紙を当
   てて切るようにした、 ことを特徴とする紙一枚切りカッター。
2. 【請求項２】 上記刃物を刃の切っ先をホルダの長さ方
   向一端縁から突き出させた第２の状態でもホルダに固定
   可能とした、 ことを特徴とする請求項１に記載の紙一枚切りカッタ
   ー。
3. 【請求項３】 上記切り欠き空部下方のホルダ一端部に
   第２の刃物を収納し固定するとともに、その第２の刃物
   を切っ先をホルダ一端部の周縁から突き出させた状態で
   も固定可能とした、 ことを特徴とする請求項１に記載の紙一枚切りカッタ
   ー。