JPH10295380A - 塩ストレスにより誘導される新規チオニン遺伝子 - Google Patents
塩ストレスにより誘導される新規チオニン遺伝子Info
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- JPH10295380A JPH10295380A JP9120179A JP12017997A JPH10295380A JP H10295380 A JPH10295380 A JP H10295380A JP 9120179 A JP9120179 A JP 9120179A JP 12017997 A JP12017997 A JP 12017997A JP H10295380 A JPH10295380 A JP H10295380A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 植物の塩ストレスに対する耐性を向上させる
効果を有する新規遺伝子を提供すること。 【解決手段】 配列表の配列番号1、2又は3に示され
るアミノ酸配列をコードする遺伝子又は該遺伝子とアミ
ノ酸基準で70%以上の相同性を有し、植物体の塩スト
レス耐性を向上させる効果を有する遺伝子を提供した。
効果を有する新規遺伝子を提供すること。 【解決手段】 配列表の配列番号1、2又は3に示され
るアミノ酸配列をコードする遺伝子又は該遺伝子とアミ
ノ酸基準で70%以上の相同性を有し、植物体の塩スト
レス耐性を向上させる効果を有する遺伝子を提供した。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩ストレスにより
誘導される新規チオニン遺伝子に関する。本発明の遺伝
子は、植物の塩ストレス耐性を向上させるのに有用であ
る。
誘導される新規チオニン遺伝子に関する。本発明の遺伝
子は、植物の塩ストレス耐性を向上させるのに有用であ
る。
【0002】
【従来の技術】植物は通常の育成環境下においても、常
にストレスを受けている。このようなストレスには、
塩、乾燥、高温、低温、強光、空気汚染等のさまざまな
ものが含まれるが、農業生産の観点から最も問題となっ
ているのは、塩害及び乾燥である。塩害は元々塩分の高
い地域のみならず、潅漑を行なうことによりそれまで問
題のなかった農地においても発生し問題となっている。
現在、全耕地の10%以上が何らかの塩害を受けている
といわれている。また人口増加に追い付くための食料生
産増加を行なうには、現在では塩害などによる耕作不適
当土壌とされている土地での農業生産が必要になるとの
見方もある。従って、このような塩害に耐性を有する植
物を見出すことは、将来起り得ると考えられる食料危機
などを考慮すると非常に重要なことである。
にストレスを受けている。このようなストレスには、
塩、乾燥、高温、低温、強光、空気汚染等のさまざまな
ものが含まれるが、農業生産の観点から最も問題となっ
ているのは、塩害及び乾燥である。塩害は元々塩分の高
い地域のみならず、潅漑を行なうことによりそれまで問
題のなかった農地においても発生し問題となっている。
現在、全耕地の10%以上が何らかの塩害を受けている
といわれている。また人口増加に追い付くための食料生
産増加を行なうには、現在では塩害などによる耕作不適
当土壌とされている土地での農業生産が必要になるとの
見方もある。従って、このような塩害に耐性を有する植
物を見出すことは、将来起り得ると考えられる食料危機
などを考慮すると非常に重要なことである。
【0003】一方、チオニン遺伝子は、トマト、オオム
ギ、コムギ、バレイショ、トウガラシなどの種々の植物
において単離されている。また、ニコチアナ(Nicotian
a)属に属する植物であるNicotiana tabacum L. W38の花
特異的チオニン遺伝子も単離されている(Molecular & G
eneral Genetics (1992), 234, 89-96) 及びNicotiana
sylvestris; Plant Science (1996), 118, 185-194) 。
しかしながら、塩ストレスにより誘導されるチオニン遺
伝子は知られていない。
ギ、コムギ、バレイショ、トウガラシなどの種々の植物
において単離されている。また、ニコチアナ(Nicotian
a)属に属する植物であるNicotiana tabacum L. W38の花
特異的チオニン遺伝子も単離されている(Molecular & G
eneral Genetics (1992), 234, 89-96) 及びNicotiana
sylvestris; Plant Science (1996), 118, 185-194) 。
しかしながら、塩ストレスにより誘導されるチオニン遺
伝子は知られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、植物の塩ストレスに対する耐性を向上させる効果を
有する新規遺伝子を提供することである。
は、植物の塩ストレスに対する耐性を向上させる効果を
有する新規遺伝子を提供することである。
【0005】本願発明者らは、鋭意研究の結果、耐塩性
のNicotiana excelsior 及びNicotiana paniculataか
ら、塩ストレスにより誘導される新規なチオニン遺伝子
を見出し、本発明を完成した。
のNicotiana excelsior 及びNicotiana paniculataか
ら、塩ストレスにより誘導される新規なチオニン遺伝子
を見出し、本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は、配列表の配列番号
1、2又は3に示されるアミノ酸配列をコードする遺伝
子又は該遺伝子とアミノ酸基準で70%以上の相同性を
有し、植物体の塩ストレス耐性を向上させる効果を有す
る遺伝子を提供する。
1、2又は3に示されるアミノ酸配列をコードする遺伝
子又は該遺伝子とアミノ酸基準で70%以上の相同性を
有し、植物体の塩ストレス耐性を向上させる効果を有す
る遺伝子を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】本願発明者らは、Nicotiana 属の
植物について、塩および乾燥ストレス耐性のスクリーニ
ングを行い (Plant Physiology (1995), 108, 106)、 N
icotiana excelsiorおよびNicotiana paniculataを塩ス
トレス耐性種として選抜した(育種学雑誌、第46巻、
別冊2号、188ページ)。その耐性程度は、海水の約
半分の塩濃度(250mM NaCl)溶液を潅水しても生育が可
能な程である。
植物について、塩および乾燥ストレス耐性のスクリーニ
ングを行い (Plant Physiology (1995), 108, 106)、 N
icotiana excelsiorおよびNicotiana paniculataを塩ス
トレス耐性種として選抜した(育種学雑誌、第46巻、
別冊2号、188ページ)。その耐性程度は、海水の約
半分の塩濃度(250mM NaCl)溶液を潅水しても生育が可
能な程である。
【0008】そして、これらの耐塩性Nicotiana 属植物
に対し、塩ストレスを加えた状態と、加えない状態のそ
れぞれにおけるcDNAライブラリーを作製し、これら
をいわゆるディファレンシャルスクリーニング法により
スクリーニングして塩ストレスにより誘導されるチオニ
ンcDNAを単離することに成功した。Nicotiana exce
lsior 由来の2種類のチオニンcDNAの塩基配列及び
その対応アミノ酸配列を配列表の配列番号1及び2に、
Nicotiana paniculata由来のチオニンcDNAの塩基配
列及びその対応アミノ酸配列を配列表の配列番号3に示
す。
に対し、塩ストレスを加えた状態と、加えない状態のそ
れぞれにおけるcDNAライブラリーを作製し、これら
をいわゆるディファレンシャルスクリーニング法により
スクリーニングして塩ストレスにより誘導されるチオニ
ンcDNAを単離することに成功した。Nicotiana exce
lsior 由来の2種類のチオニンcDNAの塩基配列及び
その対応アミノ酸配列を配列表の配列番号1及び2に、
Nicotiana paniculata由来のチオニンcDNAの塩基配
列及びその対応アミノ酸配列を配列表の配列番号3に示
す。
【0009】配列番号1〜3に示されるアミノ酸配列を
コードする遺伝子は、本発明の範囲に含まれる。すなわ
ち、これらのアミノ酸をコードしているコード領域であ
る1nt〜237nt(配列番号1)(「nt」は第何
番目のヌクレオチドという意味である)、33nt〜3
47nt(配列番号2)及び48nt〜365nt(配
列番号3)の領域の塩基配列を有する遺伝子は本発明の
範囲内に含まれる。なお、1つのアミノ酸をコードする
コドンは複数存在するので、配列番号1〜3に記載され
た塩基配列とは異なる塩基配列を有する遺伝子であって
も、配列番号1〜3に示されるアミノ酸配列をコードす
る遺伝子は当然本発明の範囲内に含まれる。
コードする遺伝子は、本発明の範囲に含まれる。すなわ
ち、これらのアミノ酸をコードしているコード領域であ
る1nt〜237nt(配列番号1)(「nt」は第何
番目のヌクレオチドという意味である)、33nt〜3
47nt(配列番号2)及び48nt〜365nt(配
列番号3)の領域の塩基配列を有する遺伝子は本発明の
範囲内に含まれる。なお、1つのアミノ酸をコードする
コドンは複数存在するので、配列番号1〜3に記載され
た塩基配列とは異なる塩基配列を有する遺伝子であって
も、配列番号1〜3に示されるアミノ酸配列をコードす
る遺伝子は当然本発明の範囲内に含まれる。
【0010】さらに、一般に生理活性を有するポリペプ
チドにおいて、少数のアミノ酸が置換され、欠失され、
挿入され又は付加されても、そのポリペプチドの生理活
性が維持される場合があることは当業者にとって周知で
ある。従って、配列番号1〜3に示されるアミノ酸配列
であって、少数のアミノ酸が置換され、欠失され、挿入
され又は付加されたものであって、配列番号1〜3に示
されるそれぞれのアミノ酸配列と70%以上の相同性を
有するポリペプチドをコードする遺伝子であって、植物
の塩ストレス耐性を向上させる効果を有する遺伝子も本
発明の範囲に含まれる。上記70%以上の相同性は、好
ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さ
らに好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以
上である。なお、このような、相同な遺伝子は、例えば
周知の部位特異的突然変異法(Nucleic Acid Research,
Vol. 10, No. 20, p6487-6500, 1982) 等により容易に
作製することができる。なお、ここで「塩ストレス耐性
を向上させる」とは、該遺伝子を導入しない場合に比べ
て、より高い塩濃度下において生育が可能になることを
意味する。
チドにおいて、少数のアミノ酸が置換され、欠失され、
挿入され又は付加されても、そのポリペプチドの生理活
性が維持される場合があることは当業者にとって周知で
ある。従って、配列番号1〜3に示されるアミノ酸配列
であって、少数のアミノ酸が置換され、欠失され、挿入
され又は付加されたものであって、配列番号1〜3に示
されるそれぞれのアミノ酸配列と70%以上の相同性を
有するポリペプチドをコードする遺伝子であって、植物
の塩ストレス耐性を向上させる効果を有する遺伝子も本
発明の範囲に含まれる。上記70%以上の相同性は、好
ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さ
らに好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以
上である。なお、このような、相同な遺伝子は、例えば
周知の部位特異的突然変異法(Nucleic Acid Research,
Vol. 10, No. 20, p6487-6500, 1982) 等により容易に
作製することができる。なお、ここで「塩ストレス耐性
を向上させる」とは、該遺伝子を導入しない場合に比べ
て、より高い塩濃度下において生育が可能になることを
意味する。
【0011】本発明の遺伝子は、本発明により塩基配列
が特定されたので、耐塩性を示すNicotiana excelsior
又はNicotiana paniculataの緑葉組織からのmRNAか
らcDNAライブラリーを作製し、このcDNAライブ
ラリーを鋳型として用いる、周知のRT−PCR法によ
り容易に調製することができる。
が特定されたので、耐塩性を示すNicotiana excelsior
又はNicotiana paniculataの緑葉組織からのmRNAか
らcDNAライブラリーを作製し、このcDNAライブ
ラリーを鋳型として用いる、周知のRT−PCR法によ
り容易に調製することができる。
【0012】これまでに国内外で行われてきた、いわゆ
る耐塩性植物についての研究から、耐塩性植物を、非ス
トレス条件から塩ストレス条件に移すと新たな遺伝子の
発現が誘発され、これらの遺伝子の産物が塩ストレス耐
性に役立っていることが知られている。これらの事実か
ら、今回得られた遺伝子がコードするチオニンタンパク
質は、植物に水分ストレス耐性を付与する機能があると
考えられる。そこで、この遺伝子の発現を制御すること
により、植物の塩ストレス耐性を改良する事ができる。
る耐塩性植物についての研究から、耐塩性植物を、非ス
トレス条件から塩ストレス条件に移すと新たな遺伝子の
発現が誘発され、これらの遺伝子の産物が塩ストレス耐
性に役立っていることが知られている。これらの事実か
ら、今回得られた遺伝子がコードするチオニンタンパク
質は、植物に水分ストレス耐性を付与する機能があると
考えられる。そこで、この遺伝子の発現を制御すること
により、植物の塩ストレス耐性を改良する事ができる。
【0013】植物に遺伝子を導入して形質転換を行なう
方法は既に確立されており、植物の形質転換用の発現ベ
クターも市販されている。従って、本発明の遺伝子は、
これらの公知の発現ベクターのクローニング部位に挿入
後、周知の方法により植物に導入することができる。好
ましい方法として、アグロバクテリウム属細菌を用いた
方法を挙げることができ、この方法により双子葉植物も
単子葉植物も形質転換が可能である。アグロバクテリウ
ム属細菌を用いた双子葉植物の形質転換法としては、リ
ーフディスク法及びプロトプラスト法(大野哮司(1986)
ベクターの開発−Tiプラスミド、現代化学増刊5「植
物バイオテクノロジー」、山田康之、岡田吉美編、p.19
7-213)の第207〜212頁、及び参考文献2(内宮博
文(1989)トランスジェニック植物、「植物遺伝情報の交
換」、秀潤社、岡田吉美ら編p261-276)が周知であり、
また、アグロバクテリウム属細菌を用いた単子葉植物の
形質転換方法は例えばWO94/00977号公報に記
載されている。
方法は既に確立されており、植物の形質転換用の発現ベ
クターも市販されている。従って、本発明の遺伝子は、
これらの公知の発現ベクターのクローニング部位に挿入
後、周知の方法により植物に導入することができる。好
ましい方法として、アグロバクテリウム属細菌を用いた
方法を挙げることができ、この方法により双子葉植物も
単子葉植物も形質転換が可能である。アグロバクテリウ
ム属細菌を用いた双子葉植物の形質転換法としては、リ
ーフディスク法及びプロトプラスト法(大野哮司(1986)
ベクターの開発−Tiプラスミド、現代化学増刊5「植
物バイオテクノロジー」、山田康之、岡田吉美編、p.19
7-213)の第207〜212頁、及び参考文献2(内宮博
文(1989)トランスジェニック植物、「植物遺伝情報の交
換」、秀潤社、岡田吉美ら編p261-276)が周知であり、
また、アグロバクテリウム属細菌を用いた単子葉植物の
形質転換方法は例えばWO94/00977号公報に記
載されている。
【0014】本発明の遺伝子により形質転換される植物
は、特に限定されるものではないが、好ましい植物の例
としてダイズ、トウモロコシ、ジャガイモ、トマト及び
タバコを挙げることができ、なかでも、ダイズ、トウモ
ロコシが好ましい。
は、特に限定されるものではないが、好ましい植物の例
としてダイズ、トウモロコシ、ジャガイモ、トマト及び
タバコを挙げることができ、なかでも、ダイズ、トウモ
ロコシが好ましい。
【0015】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づきより具体的に
説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定される
ものではない。
説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定される
ものではない。
【0016】実施例1 <植物材料の生育> Nicotiana excelsiorおよびNicotiana paniculataは、
温室内で培養土に播種し発芽させた。本葉4枚程度まで
生育した時点で、バーミキュライトとハイドロボールの
混合物(体積比1:1)を詰めた、直径約10cmの黒
色ビニールポットに移植した。その後は、人工気象機内
に移し(12時間日長、摂氏23℃、相対湿度70
%)、1日あたり100mLの1/4希釈ホーグランド
溶液を潅水した。塩ストレス処理区植物には、250m
M塩化ナトリウムを含む1/4希釈ホーグランド溶液を
1日100mL潅水した。
温室内で培養土に播種し発芽させた。本葉4枚程度まで
生育した時点で、バーミキュライトとハイドロボールの
混合物(体積比1:1)を詰めた、直径約10cmの黒
色ビニールポットに移植した。その後は、人工気象機内
に移し(12時間日長、摂氏23℃、相対湿度70
%)、1日あたり100mLの1/4希釈ホーグランド
溶液を潅水した。塩ストレス処理区植物には、250m
M塩化ナトリウムを含む1/4希釈ホーグランド溶液を
1日100mL潅水した。
【0017】実施例2 <mRNAの抽出> Nicotiana excelsior およびNicotiana paniculata緑葉
組織からの全RNA 抽出はOstremらの方法(Ostrem et a
l., Plant Physiology 84,1270-1275(1987))に従って
行ったが、実施にあたり以下の点を改良した。
組織からの全RNA 抽出はOstremらの方法(Ostrem et a
l., Plant Physiology 84,1270-1275(1987))に従って
行ったが、実施にあたり以下の点を改良した。
【0018】1)磨砕した植物体を抽出用緩衝液とフェ
ノールと共に行なう振盪を氷上で1時間行った。
ノールと共に行なう振盪を氷上で1時間行った。
【0019】2)遠心後の上清をクロロホルムと共に行
う振盪を氷上で行った。poly(A)+-RNAの精製はQuickPre
p mRNA purification Kit (Pharmacia 社製)を使用
し、製造者の手引き書に従って行った。
う振盪を氷上で行った。poly(A)+-RNAの精製はQuickPre
p mRNA purification Kit (Pharmacia 社製)を使用
し、製造者の手引き書に従って行った。
【0020】実施例3 <Nicotiana excelsior チオニ
ンcDNAの単離> 塩ストレスをかけたN. excelsior緑葉cDNAライブラリー
の作製は、実施例2でストレス処理をした植物から抽
出、精製したpoly(A)+RNA を鋳型として、TimeSaver cD
NA Synthesis Kit(Pharmacia 社製)、クローニングベ
クターにはλZAPII (Stratagene)を使用して行った。
宿主細胞として XLI-Blue を使用した。
ンcDNAの単離> 塩ストレスをかけたN. excelsior緑葉cDNAライブラリー
の作製は、実施例2でストレス処理をした植物から抽
出、精製したpoly(A)+RNA を鋳型として、TimeSaver cD
NA Synthesis Kit(Pharmacia 社製)、クローニングベ
クターにはλZAPII (Stratagene)を使用して行った。
宿主細胞として XLI-Blue を使用した。
【0021】cDNAライブラリーのスクリーニングは、デ
ィファレンシャルスクリーニング法により行った。以下
にその詳細な手順を述べる。
ィファレンシャルスクリーニング法により行った。以下
にその詳細な手順を述べる。
【0022】スクリーニングを行うための溶菌プラーク
は、Stratagene社の手引き書に従って行った。プラーク
が出現した寒天培地からのプラークリフトはナイロン膜
のHybond N+(Amersham社製)を用いた。一枚の寒天培地
から2回ずつプラークリフトを行った。こうして作製し
たスクリーニング用ナイロン膜の変性は、 Amersham社
の手引き書に従って行った。スクリーニングに用いた32
P 標識プローブは以下のようにして作製した。実施例2
で得たpoly(A)+-RNA 50-100ng を30μlの滅菌水に溶解
して、プライマー(宝酒造)1 μlを加え、65℃で10
分間置いた。その後室温まで冷却し、そこにRNse阻害剤
を1 μl、MMLV逆転写酵素添付の5X緩衝液(宝酒造)
を5 μl、dATP・dGTP・dTTP溶液(各10mM)を5 μl、
32P-dCTP(Amersham社)を1 μl(10 mCi)、蒸留水を
6 μl加え、よく混合した後に、MMLV 逆転写酵素(宝
酒造)を1 μl加えた。この反応液を37℃で1時間反
応させた後にスピンカラムを用いて、遊離の32P-dCTPを
除いた。プローブは、ストレス処理した植物と、ストレ
ス処理していないコントロール植物から調製したpoly
(A)+-RNAについて、それぞれ作製した。2組作製したナ
イロン膜のうち1組をコントロールプローブで、もう1
組をストレスプローブを用いてハイブリダイゼーション
を行った。ハイブリダイゼーションは製造者の手引き書
に記載されている標準的な条件で16時間行なった。洗浄
は、300 mM NaCl 、30 mM trisodium citrate 、0.1% S
DSを用いて65℃で20分間2 回行い、続いて75 mM NaCl、
7.5 mM trisodium citrate、0.1% SDSを用いて65℃で20
分間 2回行った。コントロール区とストレス処理区の結
果を比較し、ストレス処理区で強いシグナルを示す陽性
クローンを得た。得られたクローンに含まれる挿入cDNA
断片は、Stratagene社の手引き書に従って行って、pBlu
escript プラスミドにサブクローニングした。
は、Stratagene社の手引き書に従って行った。プラーク
が出現した寒天培地からのプラークリフトはナイロン膜
のHybond N+(Amersham社製)を用いた。一枚の寒天培地
から2回ずつプラークリフトを行った。こうして作製し
たスクリーニング用ナイロン膜の変性は、 Amersham社
の手引き書に従って行った。スクリーニングに用いた32
P 標識プローブは以下のようにして作製した。実施例2
で得たpoly(A)+-RNA 50-100ng を30μlの滅菌水に溶解
して、プライマー(宝酒造)1 μlを加え、65℃で10
分間置いた。その後室温まで冷却し、そこにRNse阻害剤
を1 μl、MMLV逆転写酵素添付の5X緩衝液(宝酒造)
を5 μl、dATP・dGTP・dTTP溶液(各10mM)を5 μl、
32P-dCTP(Amersham社)を1 μl(10 mCi)、蒸留水を
6 μl加え、よく混合した後に、MMLV 逆転写酵素(宝
酒造)を1 μl加えた。この反応液を37℃で1時間反
応させた後にスピンカラムを用いて、遊離の32P-dCTPを
除いた。プローブは、ストレス処理した植物と、ストレ
ス処理していないコントロール植物から調製したpoly
(A)+-RNAについて、それぞれ作製した。2組作製したナ
イロン膜のうち1組をコントロールプローブで、もう1
組をストレスプローブを用いてハイブリダイゼーション
を行った。ハイブリダイゼーションは製造者の手引き書
に記載されている標準的な条件で16時間行なった。洗浄
は、300 mM NaCl 、30 mM trisodium citrate 、0.1% S
DSを用いて65℃で20分間2 回行い、続いて75 mM NaCl、
7.5 mM trisodium citrate、0.1% SDSを用いて65℃で20
分間 2回行った。コントロール区とストレス処理区の結
果を比較し、ストレス処理区で強いシグナルを示す陽性
クローンを得た。得られたクローンに含まれる挿入cDNA
断片は、Stratagene社の手引き書に従って行って、pBlu
escript プラスミドにサブクローニングした。
【0023】得られた陽性クローンの塩基配列決定は、
DNA シーケンサーModel 373A(アプライドバイオシステ
ムズ社製)を用いて、反応にはTaq Dye Terminator Cyc
le Sequencing Kit (アプライドバイオシステムズ社
製)を使い、製造者の手引き書に従って行った。
DNA シーケンサーModel 373A(アプライドバイオシステ
ムズ社製)を用いて、反応にはTaq Dye Terminator Cyc
le Sequencing Kit (アプライドバイオシステムズ社
製)を使い、製造者の手引き書に従って行った。
【0024】得られた塩基配列の解析は、GENETYX-MAC
ver.8 (ソフトウェア開発)により行った。その結果、
配列表1および2に示す2種のcDNA、NeTHI1、NeTHI2を
得た。
ver.8 (ソフトウェア開発)により行った。その結果、
配列表1および2に示す2種のcDNA、NeTHI1、NeTHI2を
得た。
【0025】実施例4 <Nicotiana paniculataチオニ
ンcDNAの単離> Nicotiana paniculata からのチオニンcDNAの単離は実
施例3と同様に行ったが、ライブラリー作製にはZAP cD
NA synthesis kit(Stratagene社製)をもちいて行っ
た。ライブラリー作製およびプローブ作製には実施例2
で N. paniculataから得たpoly(A)+-RNAを用いて行っ
た。その結果、配列表3に示すcDNA、NpTHI1を得た。
ンcDNAの単離> Nicotiana paniculata からのチオニンcDNAの単離は実
施例3と同様に行ったが、ライブラリー作製にはZAP cD
NA synthesis kit(Stratagene社製)をもちいて行っ
た。ライブラリー作製およびプローブ作製には実施例2
で N. paniculataから得たpoly(A)+-RNAを用いて行っ
た。その結果、配列表3に示すcDNA、NpTHI1を得た。
【0026】
【発明の効果】本発明により、植物の塩ストレスに対す
る耐性を向上させることができる新規な遺伝子が提供さ
れ、その塩基配列も決定された。従って、本発明は各種
植物の耐塩性向上に有効であり、ひいては農業生産に貢
献するものである。
る耐性を向上させることができる新規な遺伝子が提供さ
れ、その塩基配列も決定された。従って、本発明は各種
植物の耐塩性向上に有効であり、ひいては農業生産に貢
献するものである。
【0027】
配列番号:1 配列の長さ:456 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 起源 生物名:Nicotiana excelsior 性質:チオニンのcDNA (NeTHI1) 配列の特徴 1..240 CDS 配列 CTC TTT GTT GCC TAT GAG GTG CAA GCT AGA GAA TGC GCA AGA GAA ATT 48 Leu Phe Val Ala Tyr Glu Val Gln Ala Arg Glu Cys Ala Arg Glu Ile 1 5 10 15 TTC ACT GGA CTA TGC ATT ACC AAT CCA CAA TGC AGA AAA GCT TGT ATC 96 Phe Thr Gly Leu Cys Ile Thr Asn Pro Gln Cys Arg Lys Ala Cys Ile 20 25 30 AAA GAG AAA TTT ACT GAT GGT CAT TGT AGC AAA ATC CTC AGA AGG TGT 144 Lys Glu Lys Phe Thr Asp Gly His Cys Ser Lys Ile Leu Arg Arg Cys 35 40 45 CTA TGC ACT AAG CCA TGC ACA GGA GCT GAA ACT TTA GCT GAG GAA GCA 192 Leu Cys Thr Lys Pro Cys Thr Gly Ala Glu Thr Leu Ala Glu Glu Ala 50 55 60 ACA ACT TTG GCT GCA GCT TTG CTT GAA GAA GAG ATA ATG GAT AAC 237 Thr Thr Leu Ala Ala Ala Leu Leu Glu Glu Glu Ile Met Asp Asn 65 70 75 TAATTAGAGA TTAGAATAAA TTAAGGATGG AGAGTCACAC ATAATAAAGT TTCTACCTTT 297 CTTAAAAGTG TAGCTAATGT TGTGTTTTAA TTGGCTTTTA GTAGCCTTTT ATTACACTTT 357 AAATAAGTGT GGCACTTCAA CCCTTTGTGC AATCTTGCAC TAAGTTTATT CGTGTACTTT 417 TAATGAAAAT CACCTTCTAT GGTTTTTGTT TAAAAAAAA 456
【0028】配列番号:2 配列の長さ:566 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 起源 生物名:Nicotiana excelsior 性質:チオニンのcDNA (NeTHI2) 配列の特徴 33..350 CDS 配列 TTCCTATCCT TTTTTACTCA TTCAAAGTAA CT ATG GCT CGC TCC GTG TGC TTC 53 Met Ala Arg Ser Val Cys Phe 1 5 ATG GCA TTT GCT ATC TTG GCA GTG ATG CTC TTT GTT GCC TAT GAT GTG 101 Met Ala Phe Ala Ile Leu Ala Val Met Leu Phe Val Ala Tyr Asp Val 10 15 20 GAA GCT AAA GAT TGC AAA ACA GAA AGC AAT ACA TTC CCT GGA ATA TGC 149 Glu Ala Lys Asp Cys Lys Thr Glu Ser Asn Thr Phe Pro Gly Ile Cys 25 30 35 ATT ACC AAA CCA CCA TGC AGA AAA GCT TGT ATC AAA GAG AAA TTT ACT 197 Ile Thr Lys Pro Pro Cys Arg Lys Ala Cys Ile Lys Glu Lys Phe Thr 40 45 50 55 GAT GGT CAT TGT AGC AAA ATC CTC AGA AGG TGT CTA TGC ACT AAG CCA 245 Asp Gly His Cys Ser Lys Ile Leu Arg Arg Cys Leu Cys Thr Lys Pro 60 65 70 TGT GTG TTT GAT GAG AAG ATG ATC AAA ACA GGA GCT GAA ACT TTA GCT 293 Cys Val Phe Asp Glu Lys Met Ile Lys Thr Gly Ala Glu Thr Leu Ala 75 80 85 GAG GAA GCA ACA ACT TTG GCT GCA GCT TTG CTT GAA GAA GAG ATA ATG 341 Glu Glu Ala Thr Thr Leu Ala Ala Ala Leu Leu Glu Glu Glu Ile Met 90 95 100 GAT AAC TAATTAGAGA TTAGAATAAA TTAAGGATGG AGAGTCACAC ATAATAAAGT 397 Asp Asn 105 TTCTACCTTT CTTAAAAGTG TAGCTAATGT TGTGTTTTAA TTGGCTTTTA GTAGCCTTTT 457 ATTACACTTT AAATAAGTGT GGCACTTCAA CCCTTTGTGC AATCTTGCAC TAAGTTTATT 517 CGTGTACTTT TAATGAAAAT CACCTTCTAT GGTTTTTGTT TAAAAAAAA 566
【0029】配列番号:3 配列の長さ:558 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 起源 生物名:Nicotiana paniculata 性質:チオニンのcDNA (NpTHI1) 配列の特徴 48..368 CDS 配列 GTTTTATTAT TATTAATTCT TATCTTTTTT ACTCATTCAA AGAAACT ATG GCT CGC 56 Met Ala Arg 1 TCC TTG TGC TTC ATG GCA TTT GCA GTC TTG GCA ATG ATG CTT TTT GTT 104 Ser Leu Cys Phe Met Ala Phe Ala Val Leu Ala Met Met Leu Phe Val 5 10 15 GCC TAT GAG GTG CAA GCT AAG AGT ACT TGC AAA GCA GAA AGC AAT ACA 152 Ala Tyr Glu Val Gln Ala Lys Ser Thr Cys Lys Ala Glu Ser Asn Thr 20 25 30 35 TTC CCT GGA TTA TGC ATT ACC AAA CCA CCA TGC AGA AAA GCT TGT CTC 200 Phe Pro Gly Leu Cys Ile Thr Lys Pro Pro Cys Arg Lys Ala Cys Leu 40 45 50 AGT GAG AAA TTT ACT GAT GGA AAA TGT AGC AAA ATC CTC AGA AGG TGC 248 Ser Glu Lys Phe Thr Asp Gly Lys Cys Ser Lys Ile Leu Arg Arg Cys 55 60 65 ATT TGC TAC AAG CCA TGT GTA TTT GAT GGA AAG ATG ATC CAA ACA GGA 296 Ile Cys Tyr Lys Pro Cys Val Phe Asp Gly Lys Met Ile Gln Thr Gly 70 75 80 GCT GAA AAT TTG GCC GAG GAA GCA GAA ACT TTG GCT GCA GCT TTG CTT 344 Ala Glu Asn Leu Ala Glu Glu Ala Glu Thr Leu Ala Ala Ala Leu Leu 85 90 95 GAA GAA GAG ATG ATG GAT AAC TAATTAGAGA TTATAAGAAA TTAAGGATGA 395 Glu Glu Glu Met Met Asp Asn 100 105 AGTGTCACAC ATAATAAAGT GCTGCCTTTC TTAAAAGTGT AGCTAATGTT GTGTTCTTAT 455 TGGCTTTTAG TAGCCGTTTG TTACACTTTA AATAAGTGTG GCACATCAAT CCTTTGTTAC 515 TTTTAATGAA AATGATCTTC TATGGTCTTT GTTTAAAAAA AAA 558
Claims (6)
- 【請求項1】 配列表の配列番号1に示されるアミノ酸
配列をコードする遺伝子又は該遺伝子とアミノ酸基準で
70%以上の相同性を有し、植物の塩ストレス耐性を向
上させる効果を有する遺伝子。 - 【請求項2】 配列表の配列番号1に示される塩基配列
のうち、1nt〜237ntの領域の塩基配列を有する
請求項1記載の遺伝子。 - 【請求項3】 配列表の配列番号2に示されるアミノ酸
配列をコードする遺伝子又は該遺伝子とアミノ酸基準で
70%以上の相同性を有し、植物の塩ストレス耐性を向
上させる効果を有する遺伝子。 - 【請求項4】 配列表の配列番号2に示される塩基配列
のうち、33nt〜347ntの領域の塩基配列を有す
る請求項3記載の遺伝子。 - 【請求項5】 配列表の配列番号3に示されるアミノ酸
配列をコードする遺伝子又は該遺伝子とアミノ酸基準で
70%以上の相同性を有し、植物の塩ストレス耐性を向
上させる効果を有する遺伝子。 - 【請求項6】 配列表の配列番号3に示される塩基配列
のうち、48nt〜365ntの領域の塩基配列を有す
る請求項5記載の遺伝子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9120179A JPH10295380A (ja) | 1997-04-23 | 1997-04-23 | 塩ストレスにより誘導される新規チオニン遺伝子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9120179A JPH10295380A (ja) | 1997-04-23 | 1997-04-23 | 塩ストレスにより誘導される新規チオニン遺伝子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10295380A true JPH10295380A (ja) | 1998-11-10 |
Family
ID=14779882
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9120179A Pending JPH10295380A (ja) | 1997-04-23 | 1997-04-23 | 塩ストレスにより誘導される新規チオニン遺伝子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10295380A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002014515A1 (fr) * | 2000-08-11 | 2002-02-21 | Sapporo Breweries Limited | Acides nucleiques et proteines dont le niveau d'expression augmente sous l'effet du stress provoque par le sel |
US7151202B1 (en) | 1999-07-19 | 2006-12-19 | Japan Science And Technology Agency | Environmental stress resistance gene |
WO2012106759A1 (en) * | 2011-02-07 | 2012-08-16 | Hexima Limited | Modified plant defensins useful as anti-pathogenic agents |
-
1997
- 1997-04-23 JP JP9120179A patent/JPH10295380A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7183398B2 (en) | 2000-08-11 | 2007-02-27 | Sapporo Breweries Limited | Nucleic acids and proteins showing increased expression dose under salt stress |
US7452972B2 (en) | 2000-08-11 | 2008-11-18 | Sapporo Breweries Limited | Nucleic acids and proteins showing increased expression dose under salt stress |
JP4789395B2 (ja) * | 2000-08-11 | 2011-10-12 | サッポロビール株式会社 | 塩ストレス下で発現量が増加する核酸及びタンパク質 |
WO2012106759A1 (en) * | 2011-02-07 | 2012-08-16 | Hexima Limited | Modified plant defensins useful as anti-pathogenic agents |
AU2012214102B2 (en) * | 2011-02-07 | 2014-08-07 | Hexima Limited | Modified plant defensins useful as anti-pathogenic agents |
US9497908B2 (en) | 2011-02-07 | 2016-11-22 | Hexima Limited | Modified plant defensins useful as anti-pathogenic agents |
US10174339B2 (en) | 2011-02-07 | 2019-01-08 | Hexima Limited | Modified plant defensins useful as anti-pathogenic agents |
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