JPH1029270A - ポリエステル樹脂−金属積層体及び電子部品用外装容器 - Google Patents

ポリエステル樹脂−金属積層体及び電子部品用外装容器

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JPH1029270A
JPH1029270A JP18640896A JP18640896A JPH1029270A JP H1029270 A JPH1029270 A JP H1029270A JP 18640896 A JP18640896 A JP 18640896A JP 18640896 A JP18640896 A JP 18640896A JP H1029270 A JPH1029270 A JP H1029270A
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JP
Japan
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polyester resin
metal
laminate
heat
spectrum
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JP18640896A
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Inventor
Norio Yoshiga
法夫 吉賀
Yoshio Wakayama
芳男 若山
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Mitsubishi Plastics Inc
Original Assignee
Mitsubishi Plastics Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリエステル系樹脂が金属体表面に極めて強
固に接合したポリエステル樹脂金属積層体及び当該金属
積層体を絞り加工してなる電子部品用外装容器を提供す
る。 【解決手段】 X線光電子分光法(ESCA法)により
測定した表面分析スペクトル値が下記(a)、(b)の
各要件、 (a)炭素元素(C1sスペクトル部)の相対元素存在
比が、50%以上 (b)C1sスペクトルのC=O,C−O,C=C−C
=C,C−H,及びC−Cの官能基につき、各波形解析
により求めた相対存在比において、C=O基が4.0%
以上でかつC−O基が25原子%以下を満足するように
熱処理したエポキシ樹脂塗膜を有する金属素材表面にポ
リエステル系樹脂を積層したことを特徴とするポリエス
テル樹脂−金属積層体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル系樹
脂が金属体表面に極めて強固に接合したポリエステル樹
脂金属積層体及び当該金属積層体を絞り加工してなる電
子部品用外装容器に関する。
【0002】
【従来技術及びその課題】鋼板やアルミニウム板等の金
属素材にポリエステル系樹脂を被覆した金属積層体がポ
リエステル樹脂の優れた電気絶縁性、耐溶剤性等の特性
を生かして種々の分野で使用されている。このような金
属積層体では層間の接着力が悪いため金属素材とポリエ
ステル系樹脂積層間に接着剤を介在させて被覆すること
がなされ、接着剤として通常、アクリル樹脂系接着剤、
エポキシ樹脂系接着剤、ポリエステル系接着剤等が使用
されている。
【0003】上記接着剤では硬化剤を使用し、熱硬化さ
せるために接着層の剛性が大きくなり、絞り加工性や曲
げ加工等の二次加工性に劣るという問題があった。例え
ば金属素材として板状体のものを使用し、有底状の電子
部品用外装容器を製造する場合、積層体を多段絞り加工
やしごき加工を施すことがなされ、加工時の接着層に圧
縮力、引張力及び剪断力等が作用するため、層間剥離が
生じやすいという問題があった。
【0004】本発明は層間の接着性に優れ、各種の二次
加工によっても、層間剥離しにくいポリエステル樹脂一
金属積層体及び電子部品用外装容器を提供することを目
的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記の目的は以下の手段
によって達成される。すなわち、本発明はX線光電子分
光法 (ESCA法)により測定した表面分析スペクト
ル値が 下記(a)、(b)の各要件、 (a)炭素元素(C1sスペクトル部)の相対元素存在
比が、50%以上 (b)C1sスペクトルのC=O,C−O,C=C−C
=C,C−H,及びC−Cの官能基につき、各波形解析
により求めた相対存在比において、C=O基が4.0%
以上でかつC−O基が25原子%以下を満足するように
熱処理したエポキシ樹脂塗膜を有する金属素材表面にポ
リエステル系樹脂を積層したことを特徴とするポリエス
テル樹脂−金属積層体を提案するものである。
【0006】また、本発明はエポキシ樹脂、脂肪酸また
はヒドロキシメチル置換フェノ一ルを塗布した塗膜を3
50℃以上の加熱温度で熱処理した熱変性被膜を有する
金属素材表面にポリエステル系樹脂を積層したことを特
徴とするポリエステル樹脂−金属積層体、さらには、こ
のポリエステル樹脂を積層したポリエステル樹脂−金属
積層体をポリエステル樹脂層が外面となるように絞り加
工してなる電子部品用外装容器を提案するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用する金属素材としては、鋼板、銅板、ステ
ンレス板、アルミニウム板等の板状体や棒状、円柱等各
種形状のものが使用できる。さらに表面をリン酸−クロ
ム酸等による化成処理や電解エッチング処理を施した金
属素材も使用できる。
【0008】請求項1の発明において、上記金属素材表
面には、X線光電子分光法(ESCA法)による測定し
た表面分析スペクトル値が特定範囲の熱処理したエポキ
シ樹脂塗膜を設ける必要がある。
【0009】ここでX線光電子分光法(ESCA法)と
は軟質X線の照射により試料表面の原子からたたき出さ
れた光電子の分光スペクトルから試料の表面近傍の元素
の種類及び化学結合状態を分析する方法である。熱処理
したエポキシ樹脂塗膜のESCA法分析値は下記の
(a)、(b)を満足する必要がある。
【0010】(a)炭素元素(C1sスペクトル部)の
相対元素存在比が、50%以上 (b)C1sスペクトルのC=O,C−O,C=C−C
=C,C−H,及びC−Cの官能基につき、各波形解析
により求めた相対存在比において、C=O基が4.0%
以上でかつC−O基が25原子%以下 ここで上記ESCA法の測定条件は、通常の測定条件で
よく、例えばX線MgKαで出力15kv×33mA、
真空度が5×10-8torrにおいてC1sスペクトル
強度分布から測定したものである。上記のエポキシ樹脂
塗膜がポリエステル系樹脂と極めて強固に接着する理由
は明確にはできないが、エポキシ系樹脂中のエポキシ基
の開環によるC−0基がC=O基に変性し、金属及びポ
リエステル系樹脂と極めて強力な相互作用を生じること
により、強固な接着力が得られるもの推察される。
【0011】エポキシ樹脂としては、ビスフェノ一ル型
エポキシ樹脂、具体的にはビスフェノ一ルAモノグリジ
シルエーテル、ビスフェノールAジグリジシルエーテル
が挙げられる。この他にはビスフェノ一ルF型、レゾル
シル型エポキシ樹脂等が使用できる。上記エポキシ樹脂
の分子量は300〜3,000程度、エポキシ当量は1
50〜3,200のものが好適に使用できる。
【0012】上記エポキシ樹脂は金属素材表面に塗布し
熱処理する必要がある。塗布する方法としては、金属素
材表面の形状等により異なるが、例えば板状体の場合、
上記エポキシ樹脂を単独またはメチルエチルケトン、ア
セトン、トルエン、トリクレン等の溶剤で希釈した後、
グラビアロール方法、リバースロール方法、キスロール
方法、エアーナイフコート方法、ディップ方法等の通常
のコーティング方法により、所定量を塗布する。
【0013】塗布量は使用する金属板の種類等によって
異なるが、乾燥固化後の厚みが0.01μm〜10μ
m、好ましくは0.02μm〜7μmとなるように塗布
する。厚みが0.01μm未満では、接着力が得られ
ず、二次加工時に層間剥離が生じ易く、同様に、10μ
mを越すものでも剥離強度の低下がみられ、不都合であ
る。
【0014】塗布されたエポキシ樹脂を熱処理すること
により、上記ESCA法のスペクトル範囲を満足するこ
とができる。熱処理条件はエポキシ樹脂塗布後の金属素
材を250℃以上の処理温度、さらに好ましくは350
℃〜500℃の範囲で焼き付ければよく、スペクトル値
が上記範囲内になるように適宜条件を決めればよい。
【0015】本発明の金属積層体に使用するポリエステ
ル系樹脂しては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポ
リエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレンイソフタレ
ート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂あるいはそ
れらの共重合体が挙げられる。また、これらの樹脂から
なる層を積層した複合フィルムも使用できる。なお、ポ
リエステル系樹脂表面にはコロナ処理やその他の化学的
処理を施したものであってもよい。
【0016】次に、エポキシ樹脂塗布面に、上記ポリエ
ステル系樹脂を積層する。積層方法としては金属素材表
面の形状等により異なるが、板状体の場合、コートハン
ガーダイ、Tダイ、Iダイ等の口金を取付けた押出機に
より、フィルムを押出しながら被覆する、いわゆる押出
しラミネート方法や、あらかじめ製膜されたフィルムを
用いて、フィルムの軟化温度以上に加熱された金属板上
にニップロールで熱圧着する方法等がある。
【0017】上記熱圧着した後、冷却することで所望の
積層体が得られるが、さらにポリエステル系樹脂の軟化
温度以上の温度で熱処理することにより剥離強度の向上
が図れる。
【0018】次に請求項2に記載した発明を説明する。
請求項2の発明においては、金属素材表面に特定成分か
らなる塗膜を350℃以上の加熱温度で熱処理した熱変
性被膜を設ける必要があり、塗膜にはエポキシ樹脂、脂
肪酸またはヒドロキシメチル置換フェノ一ルを塗布す
る。エポキシ樹脂は請求項1の発明で説明したものと同
一であり、脂肪酸としては、一般にRCOOH(Rは飽
和または不飽和の炭化水素)で示される化合物であり、
低級脂肪酸および高級脂肪酸を含んでいる。低級のもの
は合成法により、Rの炭素数が6以上のものは天然油脂
類の加水分解によって得られるものであり、例えばパル
チミン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ミ
リスチン酸、ベヘニン酸等が挙げられるがこれに限定さ
れるものではない。
【0019】さらに、ヒドロキシメチル置換フェノ一ル
としては例えばサリチルアルコール、O−ヒドロキシメ
チル−P−クレゾール等が好適に使用できる。上記成分
からなる塗膜の塗布方法や熱処理方法等については、請
求項1で説明した同一内容で行なえばよい。つぎに、上
記熱変性被膜にポリエステル系樹脂を積層するが、使用
するポリエステル系樹脂及び、積層方法は上述した請求
項1と同一内容で行なえばよい。
【0020】さらに請求項3の発明は、上記請求項2の
ポリエステル樹脂−金属積層体を用いてポリエステル樹
脂層が外面となるように絞り加工してなる電子部品用外
装容器に関するものであり、絞り加工は通常の冷間加工
法によればよく、必要に応じてしごき加工を施してもよ
い。また、成形加工した後に、260℃以上の温度で容
器を熱処理することが、フィルム密着性の回復という点
から好ましい。加熱手段としては、熱風炉によるもの、
赤外線加熱炉によるもの、高周波加熱によるもの等が考
えられるがこれらに限定されるものではない。
【0021】以下、本発明を実施例により説明する。
【0022】
【実施例】
[ 実施例1]金属素材として、リン酸−クロム酸塩処
理液で化成処理した、厚みが0.3mmのアルミニウム
板(1100−H18材)を用いた。この化成処理した
アルミニウム板の片面に分子量が380で、エポキシ当
量が180〜200のビスフェノール型エポキシ樹脂を
メチルエチルケトンに溶解した後、リバースロールコー
タで塗布、乾燥した。
【0023】ついで、このエポキシ樹脂塗膜を有するア
ルミニウム板を400℃の熱処理条件で、表1のスペク
トル値を示すように処理した後、エチレンテレフタレー
トとエチレンイソフタレートからなる共重合体フィルム
(ヒートシール層)と延伸ポリエチレンテレフタレート
フィルムを積層してなる複合フィルム(15μm)をヒ
ートシール層がアルミニウム板に接するように320℃
に加熱した上記アルミニウム板上に積層した。
【0024】得られた積層体を用いて、『常態剥離強
度』及び『変形後剥離強度』について、評価した結果を
表2に示した。なお、各項目の評価方法は次の方法で実
施した。 『常態剥離強度』 アルミニウム積層体(総厚みが0.
315mmの積層体)から、20mm幅の試料を切り出
し、アルミニウム層にノッチを入れ、180゜折り返し
て剥離面を作った後、50mm/分の剥離速度で180
゜方向剥離試験を行い剥離した時の荷重を測定した。剥
離できなかったものは剥離不能とした。
【0025】『変形後剥離強度』 上記積層体を、積層
方向に10%圧延(積層体厚み=0.284mm)、2
0%圧延(積層体厚み=0.252mm)、30%圧延
(積層体厚み=0.22mm)、40%圧延(積層体厚
み=0.198mm)した後、試料を切り出し、上記と
同様な剥離試験を行い剥離したときの荷重を測定した。
【0026】[ 実施例2]複合フィルムのアルミニウ
ム板に接する面が延伸ポリエチレンテレフタレートフィ
ルム側である以外は実施例1と同一内容で積層体を得、
表1に熱処理表面のスペクトル値、表2に評価結果を示
した。
【0027】[ 比較例1]実施例1のエポキシ樹脂塗
膜を使用せずに複合フィルム(15μm)をヒートシー
ル層がアルミニウム板に接するように320℃に加熱し
た上記アルミニウム板上に直接積層した以外は実施例1
と同一内容で積層体を得、表1に熱処理表面のスペクト
ル値、表2に評価結果を示した。
【0028】[ 比較例2]実施例1のエポキシ樹脂塗
膜を使用せずに複合フィルム(15μm)を延伸ポリエ
チレンテレフタレートフィルム側がアルミニウム板に接
するように320℃に加熱した上記アルミニウム板上に
直接積層した以外は実施例1と同一内容で積層体を得、
表1に熱処理表面のスペクトル値、表2に評価結果を示
した。
【0029】
【表1】
【表2】
【0030】表1、2から、本発明のポリエステル樹脂
−金属積層体である実施例1、2については層間の接着
強度が極めて良好であることが判る。これに対してスペ
クトル強度が範囲外である比較例1、2は変形後剥離強
度に劣ることが判る。
【0031】[ 実施例3]実施例1により得られたア
ルミニウム積層体を用いて、樹脂層が外側になるように
10mm径×20mm高の有底円筒状の電子部品用外装
容器を絞り加工(しごき率=20%)した。得られた容
器の樹脂層に剥離は見られず、また容器を回転させなが
ら容器上部に円錐状のコマを2mm押し込んでも樹脂層
の剥離は見られず良好であった。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば層間接着性が極めて優れ
ており、各種の2次加工によっても層間剥離しにくいポ
リエステル樹脂金属積層体及び電子部品用外装容器を提
供することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線光電子分光法(ESCA法)により
    測定した表面分析スペクトル値が下記(a)、(b)の
    各要件、 (a)炭素元素(C1sスペクトル部)の相対元素存在
    比が、50%以上 (b)C1sスペクトルのC=O,C−O,C=C−C
    =C,C−H,及びC−Cの官能基につき、各波形解析
    により求めた相対存在比において、C=O基が4.0%
    以上でかつC−O基が25原子%以下を満足するように
    熱処理したエポキシ樹脂塗膜を有する金属素材表面にポ
    リエステル系樹脂を積層したことを特徴とするポリエス
    テル樹脂−金属積層体。
  2. 【請求項2】 エポキシ樹脂、脂肪酸またはヒドロキシ
    メチル置換フェノ一ルを塗布した塗膜を350℃以上の
    加熱温度で熱処理した熱変性被膜を有する金属素材表面
    にポリエステル樹脂を積層したことを特徴とするポリエ
    ステル樹脂−金属積層体。
  3. 【請求項3】 エポキシ樹脂、脂肪酸またはヒドロキシ
    メチル置換フェノ一ルを塗布した塗膜を350℃以上の
    加熱温度で熱処理した熱変性被膜を有する金属素材表面
    に、ポリエステル樹脂を積層したポリエステル樹脂−金
    属積層体をポリエステル樹脂層が外面となるように絞り
    加工してなる電子部品用外装容器。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007016318A (ja) * 2000-07-31 2007-01-25 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 熱可塑性樹脂被覆アルミニウム板の製造方法、及びこの製造方法で製造される熱可塑性樹脂被覆アルミニウム板からなる成形体

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007016318A (ja) * 2000-07-31 2007-01-25 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 熱可塑性樹脂被覆アルミニウム板の製造方法、及びこの製造方法で製造される熱可塑性樹脂被覆アルミニウム板からなる成形体

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