JPH10291853A - 自己修復型高温用部材及びその製造方法 - Google Patents
自己修復型高温用部材及びその製造方法Info
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- JPH10291853A JPH10291853A JP9100228A JP10022897A JPH10291853A JP H10291853 A JPH10291853 A JP H10291853A JP 9100228 A JP9100228 A JP 9100228A JP 10022897 A JP10022897 A JP 10022897A JP H10291853 A JPH10291853 A JP H10291853A
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Abstract
ング層に割れを生じ、基材を露出させたときでも、Al
系酸化物にて割れを修復する自己修復機能を備え、機械
強度と耐酸化性との両立を図る。 【解決手段】 少なくともセラミックス又はカーボンを
主成分に含有し、且つAl又はAl化合物を含有する基
材(3)を備えた自己修復型高温用部材であって、基材
は、高温酸化雰囲気にて使用されるとき、高温酸化雰囲
気との反応によりAl系酸化物層(10)を表面に形成
し、Al系酸化物層に割れ(11)を生じたとき、高温
酸化雰囲気との反応によりAl系酸化物(12)を割れ
による露出部に形成して割れを修復する自己修復機能を
有する自己修復型高温用部材及びその製造方法。
Description
ェットエンジンなど、高温酸化雰囲気中で使用される自
己修復型高温用部材およびその製造方法に関する。
などの原動機においては、熱効率の向上を図るための開
発研究が精力的に継続されている。熱効率の向上のため
の最も有効な技術の一つは、燃焼ガスの温度を高温化さ
せることである。
翼、静翼、燃焼器及びシュラウド等の高温用部材の基材
は、より過酷な高温環境での使用にも耐え得るような改
良が要請される。
ン/カーボン繊維複合体を含む)、非酸化物セラミック
を高温の酸化雰囲気で使用すると、その酸化雰囲気に晒
された表面が酸化される問題がある。
減可能であると同時に、耐熱性に優れ、かつ化学的にも
安定である利点をもつが、じん性に劣る問題があるた
め、信頼性に欠ける問題がある。
(A),(B)の点から改良が試みられている。 (A)合金化による耐酸化性を向上させる試みである。 (B)機械強度やじん性に優れた金属、セラミック、カ
ーボンを基材として用い、その表面に耐酸化性に優れた
材料をコーティングし、機能を分離することで機械特性
と耐環境性を両立させる試みである。なお、金属表面に
セラミックをコーティングした例は、特願平4−214
422号公報などに開示されている。窒化珪素セラミッ
ク表面に酸化物セラミックをコーティングした例は、特
公平5−8152号公報などに開示されている。また、
カーボンにセラミックをコーティングした例は、特開昭
58−12567号公報などに開示されている。
うな基材からなる高温用部材では、ガスタービンやジェ
ットエンジン等の如き高温の酸化雰囲気で使用されると
き、次の(Ap),(Bp)に述べるように、機械強度
と耐酸化性とが不十分である問題がある。 (Ap)合金化による方法は、耐酸化性を向上させるも
のの、当然、同時に機械強度を低下させる欠点をもつ。
また、セラミックは化学的に安定なものが多いため、多
くの合金元素の使用が制限されるという欠点もある。ま
とめると、合金化による方法は、機械強度と耐酸化性の
両立が困難である問題がある。 (Bp)一方、基材表面に耐酸化性材料をコーティング
する方法では、耐酸化性のセラミックコーティング層が
一般的には脆いため、急激な温度変化に伴う熱衝撃や基
材との熱膨張差による熱応力などにより、容易に割れを
生じる問題がある。
物セラミック、カーボン基材を露出させて高温の酸化雰
囲気に晒し、基材に著しく酸化を進行させ、基材の強度
低下を招く問題がある。また、係る問題は、使用に支障
をきたすトラブルを発生させる可能性がある。
で、基材表面に形成した酸化層や耐酸化コーティング層
に割れを生じ、基材を露出させたときでも、Al系酸化
物にて割れを修復する自己修復機能を備え、機械強度と
耐酸化性を両立し得る自己修復型高温用部材及びその製
造方法を提供することを目的とする。
は、少なくともセラミックス又はカーボンを主成分に含
有し、且つAl又はAl化合物を含有する基材を備えた
自己修復型高温用部材であって、前記基材としては、高
温酸化雰囲気にて使用されるとき、前記高温酸化雰囲気
との反応によりAl系酸化物層を表面に形成し、前記A
l系酸化物層に割れを生じたとき、高温酸化雰囲気との
反応によりAl系酸化物を前記割れによる露出部に形成
して前記割れを修復する自己修復機能を有する自己修復
型高温用部材である。
1に対応する自己修復型高温用部材において、前記基材
としては、少なくともセラミックス又はカーボンを主成
分に含有する複数の繊維からなる繊維部材と、前記繊維
部材中に保持され、少なくともセラミックス又はカーボ
ンを主成分に含有し、且つAl又はAl化合物を含有す
るマトリクス部材とを備えた自己修復型高温用部材であ
る。
項1又は請求項2に対応する自己修復型高温用部材にお
いて、前記基材の表面に予め形成された耐酸化性コーテ
ィング層を備えた自己修復型高温用部材である。
1乃至請求項3のいずれかに対応する自己修復型高温用
部材において、前記基材としては、内部のAlの含有率
よりも表面のAlの含有率の方が高いことにより、前記
内部にて高い高温強度を維持し、前記表面にて高い耐酸
化性を備えた自己修復型高温用部材である。
項2又は請求項3に対応する自己修復型高温用部材にお
いて、前記繊維部材及び前記マトリクス部材としては、
両者ともSiCを主成分とする自己修復型高温用部材で
ある。
3に対応する自己修復型高温用部材において、前記耐酸
化性コーティング層としては、Al2 O3 、BeO、C
eO、Cr2 O3 、HfO2 、La2 O3 、MgO、T
hO2 、UO2 、Y2 O3 、及びZrO2 よりなる群か
ら選ばれた1種類以上の酸化物から形成され、2000
℃以上の融点を有する自己修復型高温用部材である。
くともセラミックス又はカーボンを主成分に含有する複
数の繊維を編み込んで繊維部材を形成する繊維部材形成
工程と、前記繊維部材に、少なくともセラミックス又は
カーボンを主成分に含有するスラリーを含浸させる含浸
工程と、前記スラリーの含浸された繊維部材にAlを固
溶又はAl化合物を分散させ、これらスラリーとAlと
を繊維部材ごと焼結してこの繊維部材中にマトリクス部
材を形成するマトリクス部材形成工程とを含んでいる自
己修復型高温用部材の製造方法である。
7に対応する自己修復型高温用部材の製造方法におい
て、前記繊維部材及び前記マトリクス部材としては、両
者ともSiCを主成分とする自己修復型高温用部材の製
造方法である。
項7又は請求項8に対応する自己修復型高温用部材の製
造方法において、前記マトリクス部材の形成後、機械加
工により、前記繊維部材及び前記マトリクス部材からな
る基材を所定の寸法に成形する成形工程と、前記成形さ
れた基材の表面に、CVD法により、耐酸化性コーティ
ング層を形成するコーティング層形成工程とを含んでい
る自己修復型高温用部材の製造方法である。
項9に対応する自己修復型高温用部材の製造方法におい
て、前記CVD法としては、Al塩化物を原料ガスに用
いており、前記耐酸化性コーティング層としては、Al
2 O3 である自己修復型高温用部材の製造方法である。 (用語)ここで、以上のような本発明の技術内容につい
て補足的に説明する。
独あるいはその両者の合計を0.1〜99.9重量%の
範囲内で含有するものである。なお、他の副成分として
は、W,Mo,Ta,Nbなどの高融点金属、NiA
l,NbAl,MoSi,TiAlなどの金属間化合物
などの融点が1200℃以上の金属系材料等が適宜使用
可能となっている。
iCに代表される炭化物系セラミック、Si3 N4 に代
表される窒化物系セラミック、Al2 O3 ,MgO,S
iO2 ,Y2 O3 ,ZrO2 などの酸化物系セラミック
等が適用可能となっており、繊維部材及びマトリクス部
材でも同様である。
iAlなどの金属間化合物、AlCなどの炭化物系セラ
ミック、AlNなどの窒化物系セラミック等が適用可能
となっている。
30重量%の範囲内にあり、自己修復機能を迅速に発現
させる観点から10〜30重量%の範囲内にあることが
好ましい。なお、基材は、内部でのAlの含有率が0.
1〜30重量%の範囲内にあり、表面でのAlの含有率
が10〜30重量%の範囲内にあることが、内部にて高
い高温強度を維持し、前記表面にて高い耐酸化性を備え
る観点から好ましい。
2 O3 ・SiO2 ,Al2 O3 ・MgO,Al2 O3 ・
ZrO2 などの複合酸化物系セラミック等がある。繊維
部材は、セラミックス単独又はカーボン単独あるいはそ
の両者の合計を0.1〜99.9重量%の範囲内で含有
するものである。
カーボン単独あるいはその両者の合計を0.1〜99.
9重量%の範囲内で含有するものである。また、マトリ
クス部材のAlの含有率は、0.1〜30重量%の範囲
内にあり、自己修復機能を迅速に発現させる観点から1
0〜30重量%の範囲内にあることが好ましい。
のセラミックス等の含有率に対し、各部材の重量を重み
とした重みつき平均を施した値が前述した基材における
セラミックス等の含有率となることは言うまでもない。 (作用)従って、請求項1に対応する発明は以上のよう
な手段を講じたことにより、基材がAl又はAl化合物
を含有するため、高温酸化雰囲気にて、酸化物の生成自
由エネルギーが小さい(酸素と結合し易い)Alが優先
的に酸素と反応し、表面にAl系酸化物が形成される。
このAl系酸化物は、その中の酸素の拡散速度が遅いた
めに、酸化物の生成速度を遅くできる。すなわち、表面
にAl系酸化物を形成させ、酸化速度を低減している。
基材表面が露出しても、基材中のAlが優先的に酸素と
反応し、表面にAl系酸化物が形成される。よって、こ
のAl系酸化物により、割れによる露出部からの急激な
酸化を防止している。
化物に割れを生じ、基材を露出させたときでも、Al系
酸化物を再形成して割れを修復する自己修復機能を備え
ているので、機械強度と耐酸化性を両立させることがで
きる。
しては、繊維部材中にマトリクス部材を保持させた構成
のため、請求項1に対応する作用に加え、機械的強度や
じん性の向上を期待することができる。
表面に耐酸化性コーティング層を形成したので、請求項
1又は請求項2に対応する作用に加え、基材への酸素の
侵入を抑制し、酸化速度を低減させることができる。
が生じ、基材が露出した場合にも、前述同様に、基材中
のAlが優先的に酸素と反応してAl系酸化物を形成す
るので、割れによる基材露出部からの急激な酸化を防止
することができる。
1乃至請求項3のいずれかに対応する作用に加え、基材
としては、内部のAlの含有率よりも表面のAlの含有
率の方が高いことにより、内部にて高い高温強度を維持
し、表面にて高い耐酸化性を備えた構造であるため、基
材の酸化を抑制することにより、酸化減肉に伴う応力上
昇による破壊を低減させることができる。
部材及びマトリクス部材としては、両者ともSiCを主
成分とするので、請求項2又は請求項3に対応する作用
を容易かつ確実に奏することができる。
性コーティング層としては、Al2O3 、BeO、Ce
O、Cr2 O3 、HfO2 、La2 O3 、MgO、Th
O2、UO2 、Y2 O3 、及びZrO2 よりなる群から
選ばれた1種類以上の酸化物から形成され、2000℃
以上の融点を有するので、請求項3に対応する作用を容
易かつ確実に奏することができる。
項2と同様に機械的強度やじん性の向上を期待し得る繊
維部材やマトリクス部材からなる自己修復型高温用部材
を容易かつ確実に製造することができる。
材及びマトリクス部材としては両者ともSiCを主成分
とするので、請求項7の基材の作用を容易かつ確実に奏
することができる。
項7又は請求項8に対応する作用に加え、基材表面に耐
酸化性コーティング層を形成するので、請求項3に対応
する作用と同様に、基材への酸素の侵入を抑制し、酸化
速度を低減できる自己修復型高温用部材を製造すること
ができる。
表面の耐酸化性コーティング層をAl2 O3 としたの
で、請求項9に対応する作用を容易かつ確実に奏するこ
とができる。
いて図面を参照して説明する。 (第1の実施の形態)図1は本発明の第1の実施の形態
に係る自己修復型高温用部材の構成を模式的に示す模式
図である。この自己修復型高温用部材は、SiC系繊維
1と、SiC系繊維1中に保持されたSiC−Al−C
系マトリクス2とからなるSiC繊維強化複合材料3で
ある。
ボンを主成分に含有するものであり、予め平織りされた
複数のSiC系平織りクロスが互いに重ねられ、各Si
C系平織りクロスがSiC系長繊維で編込まれて形成さ
れている。
iC系繊維1中に保持され、セラミックス及びカーボン
を主成分に含有し、かつAlを含有する焼結体である。
なお、SiC−Al−C系マトリックス2は、内部のA
lの含有率よりも表面のAlの含有率の方が高い構造
が、内部にて高い高温強度を維持し、表面にて後述する
高い耐酸化性を備える観点から好ましい。
SiC系繊維1とSiC−Al−C系マトリックス2が
一体形成されたものである。次に、以上のように構成さ
れた自己修復型高温用部材の製造方法及び作用等を説明
する。 (製造方法)図2に示すように、始めに、SiC系平織
りクロス4をSiC系長繊維5で編込むことにより、所
望の形状のSiC系繊維1(以下プリフォーム6ともい
う)を形成する(ST1;プリフォーム工程)。
ォーム6の隙間を、水、又は有機溶媒中にSiCとCの
微粉末を混合したSiC−C系スラリー7で埋める(S
T2;含浸工程)。
たCIP(冷間等方性加圧)8法を用い、圧力を196
MPa程度とすれば、プリフォーム7内部の隙間にまで
SiC−C系スラリー7を含浸させることができる。
させたプリフォーム6に、溶融したSi−Al溶液9を
充填させながら全体を焼結してSi−AlーC系マトリ
クス2を形成させる(ST3;反応焼結工程)。
−C系マトリクス2からなるSiC繊維強化複合材料3
が完成される。なお、反応焼結工程は、49MPa以上
のArなどの不活性ガス加圧雰囲気で行われることが、
高い蒸気圧をもつAlの蒸発防止という観点から望まし
い。
3は、動翼、静翼、燃焼機及びシュラウド等の基材に適
用するため、所定の寸法に機械仕上げされる(ST4;
機械加工工程)。 (作用)SiC繊維強化複合材料3は、高温酸化雰囲気
に晒されると、図3(a)に示すように、Si−Alー
C系マトリクス2中のAlが酸化物の生成自由エネルギ
ーの小さいことから優先的に酸化されるので、表面にA
l2 O3 等のAl系酸化物10が形成される。
り、また、その中の酸素の拡散速度が遅いために酸化速
度が小さくできる。但し、Al系酸化物10は、ぜい性
であるために、加熱冷却時の熱衝撃やSiC繊維強化複
合材料3とAl系酸化物10の線膨張差による熱応力な
どにより割れ11が生じやすい。
系酸化物10に割れ11が生じ、SiC繊維強化複合材
料3が露出したとする。このとき、図3(c)に示すよ
うに、Si−AlーC系マトリクス2中のAlと雰囲気
の酸素とが反応してAl2 O3 のAl系酸化物(修復)
12を形成し、割れ11を塞ぐという自己修復作用によ
り、SiC繊維強化複合材料3の表面は、再びAl系酸
化物12で修復される。 (評価)図4は本実施形態におけるSiC繊維強化複合
材料3の1300℃、大気圧下での酸化増量を従来材料
に比較して示す図である。なお、従来材料とは、SiC
−C系(Alを含まない)マトリクスである。
強化複合材料3では、SiC−Al−C系マトリクス2
中にAlを含有させ、高温酸化雰囲気での使用時、表面
にAl系酸化物10を形成させることにより、従来材料
と比べ、酸化増量を著しく低減させることができた。す
なわち、本実施形態に係るSiC繊維強化複合材料3
は、耐酸化性を著しく向上させることができる。
複合材料3の高温酸化雰囲気への暴露時間に対する曲げ
強度の変化を従来材料に比較して示す図である。図示す
るように、本実施形態のSiC繊維強化複合材料3は、
暴露時間が経過しても曲げ強度がほとんど低下せず、経
時的な強度特性を明らかに向上させることができた。一
方、従来構造は暴露時間と共に曲げ強度を低下させてい
た。
ば、SiC繊維強化複合材料3表面に形成したAl系酸
化物10に割れ11を生じ、SiC繊維強化複合材料3
を露出させたときでも、Al系酸化物11を再形成して
割れ11を修復する自己修復機能を備えているので、機
械強度と耐酸化性を両立させることができる。
繊維強化複合材料3における酸化の抑制により、酸化減
肉に伴う応力上昇による破壊を低減させることができ
る。なお、この酸化減肉の抑制効果は、SiC−Al−
C系マトリックス2において、内部のAlの含有率より
も表面のAlの含有率の方が高い構造の方がより一層顕
著となる。
C繊維1中にSiC−Al−C系マトリクス2を保持さ
せた構成のため、機械的強度やじん性の向上を期待する
ことができる。
航空機、又は発電用ガスタービンにおける動翼、静翼、
燃焼器、シュラウド等の高温部品の基材を構成すること
で、これら高温用部材の信頼性を向上させることができ
る。 (第2の実施の形態)図6は本発明の第2の実施の形態
に係る自己修復型高温用部材の構成を模式的に示す模式
図であり、図1と同一部分には同一符号を付してその詳
しい説明は省略し、ここでは異なる部分についてのみ述
べる。
化複合材料3の表面にコーティングを施した変形例であ
り、具体的には図6に示すように、SiC系繊維1とS
iC−Al−C系マトリクス2からなるSiC繊維強化
複合材料3の表面に、耐酸化性に優れたAl2 O3 コー
ティング層13が形成されている。
は、2000℃以上の融点を有し、かつ化学的にも安定
なものである。なお、この表面のコーティング層13と
しては、Al2 O3 に限らず他に、BeO、CeO、C
r2 O3 、HfO2 、La2 O3 、MgO、ThO2 、
UO2 、Y2 O3 、及びZrO2 よりなる群から選ばれ
た1種類以上の酸化物から形成され、2000℃以上の
融点を有する材料が適宜使用可能である。
製造方法及び作用を説明する。 (製造方法)図7に示すように、機械加工工程ST4ま
では、第1の実施形態におけるSiC繊維強化複合材料
3の製造方法と同様である。
より、SiC繊維強化複合材料3の表面にAl2 O3 コ
ーティング層13が形成される(ST5;CVDコーテ
ィング工程)。具体的には、Al2 O3 層コーティング
層13は、CVD法による成長中、Al2 O3 (g)、
H2 O(g)の供給により形成される。ガスの反応式
は、以下の(1)式乃至(3)式の通りである。 2Al(s)+6HCl(g) →2AlCl3 (g)+3H2 (g)…(1) 3H2 (g)+CO2 (g) →3H2 O(g)+3CO(g) …(2) 2AlCl3 (g)+3H2 O(g) →Al2 O3 (s)+6HCl(g)…(3) (作用)Al2 O3 コーティング層13が表面に形成さ
れたSiC繊維強化複合材料3は、Al2 O3 中の酸素
の拡散速度が遅いために、耐酸化性に優れるとともに、
Al2 O3 コーティング層13に割れが生じSiC繊維
強化複合材料3が露出した場合も、前述同様に、自己修
復作用により再びAl系酸化物で修復される。
iC−Al−C系マトリクス2中のAlと雰囲気の酸素
が反応してAl系酸化物(Al2 O3 )が形成され、速
やかに割れが塞がれる。
ば、SiC繊維強化複合材料3表面に、耐酸化性のAl
2 O3 コーティング層13を形成したので、第1の実施
形態の効果に加え、SiC繊維強化複合材料3への酸素
の侵入を抑制し、酸化速度を低減させることができる。
に割れが生じ、SiC繊維強化複合材料3が露出した場
合にも、前述同様に、SiC繊維強化複合材料3中のA
lが優先的に酸素と反応してAl系酸化物を形成するの
で、割れによるSiC繊維強化複合材料3の露出部から
の急激な酸化を防止することができる。
の耐酸化性コーティング層をAl2O3 としたので、こ
れらの効果を容易かつ確実に奏することができる。 (他の実施の形態)なお、上記第1の実施の形態では、
SiC−C系スラリーの含浸・Si−Al溶液の充填・
焼結という製造方法について説明したが、これに限ら
ず、少なくともセラミック又はカーボンを主成分に含有
する粉末と、Al、又はAl化合物を少なくとも1つ含
む粉末とをメカニカルアロイ法により固相反応、又は微
細分散させた後、その粉末を成形焼結する方法により、
マトリクス2中にAlを固溶、又はAl化合物を形成さ
せる製造方法としても、本発明を同様に実施して同様の
効果を得ることができる。
着法、気相合成法、プラズマ溶射法、ディッピング法、
電気メッキ法、イオン注入法、または、これらの方法の
組合せにより、マトリクス2中にAlを固溶、又はAl
化合物を形成させる製造方法としても、本発明を同様に
実施して同様の効果を得ることができる。
トリクス部材の両方が、セラミックス及びカーボンを主
成分にする構造であったが、これに限らず、少なくとも
セラミックス又はカーボンを主成分に含有していればよ
い。
溶させる製造工程を含む製造方法について説明したが、
これに限らず、Al化合物を分散させる製造工程を含む
製造方法であっても、基材中にAl元素を含有させるた
めの製造方法として置換可能なため、本発明の概念に包
含される。その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲
で種々変形して実施できる。
材表面に形成した酸化層や耐酸化コーティング層に割れ
を生じ、基材を露出させたときでも、Al系酸化物にて
割れを修復する自己修復機能を備え、機械強度と耐酸化
性を両立し得る自己修復型高温用部材及びその製造方法
を提供できる。
用部材の構成を模式的に示す模式図
ための模式図
の高温、大気圧下での酸化増量を従来材料に比較して示
す図
の高温酸化雰囲気への暴露時間に対する曲げ強度の変化
を従来材料に比較して示す図
用部材の構成を模式的に示す模式図
Claims (10)
- 【請求項1】 少なくともセラミックス又はカーボンを
主成分に含有し、且つAl又はAl化合物を含有する基
材を備えた自己修復型高温用部材であって、 前記基材は、高温酸化雰囲気にて使用されるとき、前記
高温酸化雰囲気との反応によりAl系酸化物層を表面に
形成し、前記Al系酸化物層に割れを生じたとき、高温
酸化雰囲気との反応によりAl系酸化物を前記割れによ
る露出部に形成して前記割れを修復する自己修復機能を
有することを特徴とする自己修復型高温用部材。 - 【請求項2】 請求項1に記載の自己修復型高温用部材
において、 前記基材は、 少なくともセラミックス又はカーボンを主成分に含有す
る複数の繊維からなる繊維部材と、 前記繊維部材中に保持され、少なくともセラミックス又
はカーボンを主成分に含有し、且つAl又はAl化合物
を含有するマトリクス部材とを備えたことを特徴とする
自己修復型高温用部材。 - 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の自己修復
型高温用部材において、 前記基材の表面に予め形成された耐酸化性コーティング
層を備えたことを特徴とする自己修復型高温用部材。 - 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に
記載の自己修復型高温用部材において、 前記基材は、内部のAlの含有率よりも表面のAlの含
有率の方が高いことにより、前記内部にて高い高温強度
を維持し、前記表面にて高い耐酸化性を備えたことを特
徴とする自己修復型高温用部材。 - 【請求項5】 請求項2又は請求項3に記載の自己修復
型高温用部材において、 前記繊維部材及び前記マトリクス部材は、両者ともSi
Cを主成分とすることを特徴とする自己修復型高温用部
材。 - 【請求項6】 請求項3に記載の自己修復型高温用部材
において、 前記耐酸化性コーティング層は、Al2 O3 、BeO、
CeO、Cr2 O3 、HfO2 、La2 O3 、MgO、
ThO2 、UO2 、Y2 O3 、及びZrO2 よりなる群
から選ばれた1種類以上の酸化物から形成され、200
0℃以上の融点を有することを特徴とした自己修復型高
温用部材。 - 【請求項7】少なくともセラミックス又はカーボンを主
成分に含有する複数の繊維を編み込んで繊維部材を形成
する繊維部材形成工程と、 前記繊維部材に、少なくともセラミックス又はカーボン
を主成分に含有するスラリーを含浸させる含浸工程と、 前記スラリーの含浸された繊維部材にAlを固溶又はA
l化合物を分散させ、これらスラリーとAlとを繊維部
材ごと焼結してこの繊維部材中にマトリクス部材を形成
するマトリクス部材形成工程とを含んでいることを特徴
とする自己修復型高温用部材の製造方法。 - 【請求項8】 請求項7に記載の自己修復型高温用部材
の製造方法において、 前記繊維部材及び前記マトリクス部材は、両者ともSi
Cを主成分とすることを特徴とする自己修復型高温用部
材の製造方法。 - 【請求項9】 請求項7又は請求項8に記載の自己修復
型高温用部材の製造方法において、 前記マトリクス部材の形成後、機械加工により、前記繊
維部材及び前記マトリクス部材からなる基材を所定の寸
法に成形する成形工程と、 前記成形された基材の表面に、CVD法により、耐酸化
性コーティング層を形成するコーティング層形成工程と
を含んでいることを特徴とする自己修復型高温用部材の
製造方法。 - 【請求項10】 請求項9に記載の自己修復型高温用部
材の製造方法において、 前記CVD法は、Al塩化物を原料ガスに用いており、 前記耐酸化性コーティング層は、Al2 O3 であること
を特徴とした自己修復型高温用部材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10022897A JP4109732B2 (ja) | 1997-04-17 | 1997-04-17 | 自己修復型高温用部材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP10022897A JP4109732B2 (ja) | 1997-04-17 | 1997-04-17 | 自己修復型高温用部材の製造方法 |
Publications (2)
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