JPH10287467A - コーディエライトセラミックスの製造方法 - Google Patents

コーディエライトセラミックスの製造方法

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JPH10287467A
JPH10287467A JP9121414A JP12141497A JPH10287467A JP H10287467 A JPH10287467 A JP H10287467A JP 9121414 A JP9121414 A JP 9121414A JP 12141497 A JP12141497 A JP 12141497A JP H10287467 A JPH10287467 A JP H10287467A
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mixed
thermal expansion
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Etsuro Kato
悦朗 加藤
Yuichi Kobayashi
雄一 小林
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Abstract

(57)【要約】 【目的】カオリンを主原料として高性能のコーディエラ
イトセラミックスを製造する。 【構成】 カオリナイトまたはハロイサイトを主成分と
する微粒カオリンまたは粘土、及び800℃以下の温度
で熱分解してMgOとなる平均粒子径が2μm以下のマ
グネシウム化合物の微粒子を、化学組成比でAl
の1モルに対しMgOが0.8〜1.2モルの範囲内と
なる割合で含有し、かつ硼酸または硼珪酸ガラスなどの
硼酸化合物をBの含有量が0.1〜3.5wt%
となるように添加し分散混合した配合物、もしくはその
仮焼粉末を、適宜必要な各種一般的添加物と共に成形し
焼成することによって高性能な緻密質コーディエライト
セラミックスが製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、急熱急冷に耐える低熱
膨張性の各種耐熱セラミックス、あるいは低誘電率のセ
ラミック基板として使用できる、コーディエライトセラ
ミックスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】α−コーディエライトを主成分とするセ
ラミックスは熱膨張率が小さいので、各種の耐熱セラミ
ックス、例えば自動車用排気ガス浄化用ハニカム等に大
量に使用され、また食卓・調理用磁器やパネルヒーター
などとしても広く実用されている。しかしコーディエラ
イト結晶は高温で分解溶融する性質があり、焼結による
緻密化が極めて困難で、従来カオリン質天然原料を用い
て製造されるコーディエライトセラミックスは、殆どが
相対密度90%以下の多孔質セラミックス製品であっ
た。当然吸水性があり、強度もかなり低いもので、カオ
リン質を主成分とする原料からはコーディエライト結晶
を90%以上含み、吸水性のない緻密質セラミックスは
従来まだ生産されていない。
【0003】従って、緻密で比較的強度の高いコーディ
エライトセラミックスを製造するためには一般に各種添
加剤を混合し、1400℃付近の高温で且つ狭い温度範
囲で焼成する必要があり、このため、従来緻密なコーデ
ィエライトセラミックスと言われるものは総て添加成分
混在のために熱膨張率が3.0×10−6/℃程度より
更に大きくなり、多孔質のコーディエライトセラミック
スに比べると耐熱衝撃性もかなり劣るものであった。
【0004】一方、銀や銅の配線と同時焼成出来る低温
焼結多層配線基板の要求から、多量の低融ガラスを混合
し、低熱膨張性よりもむしろ低誘電率を目的とした、1
000℃程度の低温で緻密化させるコーディエライト質
のセラミックスが開発されておりこの場合はその熱膨張
係数はシリコンの熱膨張係数、約3.0×10−6/℃
と同程度であればよいが、低融ガラスを多量に使用する
ため電気絶縁性に劣るとともに、低誘電率の配線基板用
としては原料的に高価となる欠点があった。勿論、カオ
リン質の原料からはこのようなコーディエライト結晶を
主成分とする緻密なセラミック基板は全く製造されたこ
とはなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の目的
は、最も一般的に陶磁器原料として用いられているカオ
リンまたは粘土と水酸化マグネシウムまたは塩基性炭酸
マグネシウムなどのマグネシウム化合物を使用し、比較
的廉価でしかも通常の窯業的な手法によって、α−コー
ディエライトを主要結晶粒子とし、低熱膨張係数、低誘
電率でしかも見掛けの気孔率が殆どゼロの高性能の緻密
質コーディエライトセラミックスを、大量に工業的に提
供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記本発明の目的は、カ
オリナイトまたはハロイサイトを主成分とする微粒カオ
リンまたは粘土、及び800℃以下の温度で熱分解して
MgOとなる平均粒子径が2μm以下のマグネシウム化
合物の微粒子を、化学組成比でAlの1モルに対
しMgOが0.8〜1.2モルの範囲内となる割合で含
有し、かつ硼酸または硼珪酸ガラスなどの硼酸化合物を
の含有量が0.1〜3.5wt%となるように
添加し分散混合した配合物、もしくはその仮焼粉末を、
適宜必要な各種一般的添加物と共に成形し焼成すること
を特徴とするコーディエライトセラミックスの製造方法
によって達成される。
【0007】
【作用】本発明は、随伴鉱物を多く含まない比較的高品
位のカオリン質原料と、水酸化マグネシウムまたは塩基
性炭酸マグネシウムなどのマグネシウム化合物を基本原
料とする。木節粘土なども含め、天然のカオリン質原料
では水簸精製しても、Al含有量などに若干多少
はあるが、マグネシウム化合物の配合量が焼結体の熱膨
張性に直接影響し、焼結緻密化にも影響する。耐急熱急
冷性を向上させる目的のためには両者が反応してできる
だけ多くのα−コーディエライト結晶が生成するように
算定され配合される。実験の結果では、一般に焼結後の
化学組成が酸化物換算でAlに対するMgOのモ
ル比が0.8〜1.2の範囲内となることが必要であ
り、この範囲外のモル比では、得られる焼結体中のα−
コーディエライト結晶粒子の量が不十分となり、十分低
熱膨張性のセラミックスが得られなくなると共に、その
焼結緻密化も不十分となるのである。
【0008】本発明者らは、上記のような配合物からコ
ーディエライトセラミックスを製造する過程、特に低温
での反応過程を研究してきたが、通常の粉砕混合をした
成型物でも、焼成過程の850℃付近の極めて狭い温度
範囲で、カオリン及びマグネシウム化合物の熱分解生成
物相互間の固溶体化が、珪酸塩などの結晶析出前に、極
めて僅かではあるが局部的に生起することを見出した。
しかし、この固溶体化の速度は非常に遅いので、従来行
なわれていた程度の粉砕混合をした成型物では、焼成過
程の850℃程度ではまだ大半のMgO成分は固溶体化
せずに遊離のMgO結晶として残留しており、X線的に
も大量のMgO結晶ピークが観察され、従来カオリン質
原料を使用した場合には結晶ピークの少ない非晶質のま
までのMgOの固溶体化は全く観察されたことはない。
【0009】従って一般にカオリン質原料を使用する配
合物では通常固溶体化不十分のまま温度が上昇すること
となり、通常ムライト、スピネル、β−石英、サフィリ
ン、クリストバライトなどの結晶が析出し、それらが反
応して1300℃付近でやっとα−コーディエライトが
結晶化する過程を経過する。即ちこのような過程を経過
する従来の方法では、析出した各種結晶の存在のため焼
結緻密化が阻害され、このようにして得られるコーディ
エライト焼結体はすべて多孔質となっていたのである。
【0010】本発明者は、多数の実験研究を繰り返し、
水酸化マグネシウムまたは塩基性炭酸マグネシウムなど
のマグネシウム塩を十分に微粒子とし、しかも充分分散
させてカオリナイトまたはハロイサイトなどの粘土鉱物
と緊密な混合状態にすれば、900℃以下の低温度での
熱処理により配合物中のMgO成分の殆どをカオリナイ
トやハロイサイトの熱分解非晶質微粒子と固溶体化させ
得ることを見いだした。
【0011】特にマグネシウム塩水溶液中にアンモニア
を添加して生成する水酸化マグネシウムは通常0.1μ
m以下の超微結晶となるので、これを乾燥凝集させるこ
となく湿状態でカオリン質原料微粉末スラリーと混合、
もしくは直接スラリー中に水酸化マグネシウム超微細結
晶を析出させることによっても、両者の混合分散、従っ
てその固溶体化は最も効果的に達成することが可能であ
る。このようなマグネシウム化合物の超微粒子を使用す
れば、通常工業的に行われている昇温速度でこの固溶体
化は十分に完了させることが可能である。
【0012】即ち、カオリナイトやハロイサイトの熱分
解非晶質微粒子とMgO成分との固溶体化を進めるため
には、カオリンや粘土の微粒子と水酸化マグネシウムま
たは塩基性炭酸マグネシウムなどのマグネシウム塩とが
微細でかつ高度に分散した緊密な混合状態となっている
ことが最も必要なことであり、両者は微粒子であればあ
るほど、また分散混合状態が緊密なほど、一層効果的で
ある。この結果、焼成過程で、珪酸塩の結晶化前の状態
で残留するMgO結晶のX線回折ピークが大きく減少
し、ほぼ全体が非晶質固溶体となる状態を経過する。こ
れは焼成の初期段階で、例えば85O℃で試料を取り出
しそのX線回折ピークを測定すれば容易に判別可能であ
る。本発明はこの実験結果を応用発展させたものであ
る。
【0013】原料粒度と混合状態、及び昇温速度が適当
で、900℃以下で珪酸塩などの結晶が析出する前にカ
オリン質原料と水酸化マグネシウムなどの熱分解生成物
相互間に固溶体化が起こってMgO結晶の大半がX線的
に検出されなくなる段階の非晶質固溶体微粒子は極めて
焼結活性である。昇温過程で、この微粒子はコーディエ
ライトの結晶化を伴って1000℃前後で相対密度95
%前後にまで緻密化することができる。この易焼結性、
緻密化はMgOの固溶体化によって始めて発現されるも
のである。実験の結果では、MgOの固溶量がAl
に対するMgOのモル比で0.8に達しない場合には
非晶質微粒子の焼結性が著しく劣り、殆ど緻密化が進行
せず、MgOの固溶量の多いほど易焼結性は増大する。
カオリンを出発原料としたコーディエライトセラミック
スの製造では、このような過程を経過する焼結緻密化方
法は従来全く知られていないものである。
【0014】そしてこの緻密化したセラミックスは、緻
密化直後は通常主にμ−コーディエライト結晶から成
り、α−コーディエライト結晶から成るセラミックスよ
りも熱膨張がいくらか大きく、耐熱衝撃性に劣るが、μ
−コーディエライト結晶は準安定状態のため、一般に1
000〜1300℃の温度で次第にα−コーディエライ
トに結晶転移する。
【0015】本発明者らはさらに独自の研究実験によ
り、マグネシウム化合物の微粒子化によってもたらされ
る上記の諸現象、熱分解生成物間の固溶体化、焼結緻密
化及びコーディエライトの転移と結晶化などの現象が、
原料中に微量のBを共存させることにより更に促
進され、コーディエライトセラミックスの製造上極めて
効果的な方法であることが分かった。即ち、焼結緻密化
温度及びα−コーディエライト結晶への転移温度を更に
低下し、またマグネシウム化合物が幾らか粗くなっても
熱分解生成物間の固溶体化が起こり、緻密化が達成でき
るなど、カオリン分解物とMgOとの反応やコーディエ
ライトセラミックスの焼結緻密化に著しく効果的となる
のである。
【0016】原料中へのB成分の添加混合は、均
一に分散混合させることが極めて重要である。B
は水に対しかなり溶解度があり直接添加乾燥すると乾燥
時表面に偏析するので、噴霧乾燥などにより分散を高め
粉末状態で使用するか、そのような分散を図った後低温
仮焼することなどが必要である。硼珪酸ガラスなどの状
態で混合使用すればこの溶解問題は生じないが、アルカ
リ分など不要成分が増大する。原料中へのBの添
加混合量は、実施例からも分かるように、0.1〜3.
5wt%の範囲内の微量で十分である。実験の結果によ
れば、0.1wt%以下では殆ど効果が現れず、3.5
wt%以上では均一に混合することが極めて困難とな
り、一般にコーディエライトセラミックスの性能劣化を
招く。硼酸化合物の種類及び添加量は、コーディエライ
トセラミックスの使用目的、即ち焼結体の熱膨張係数や
焼結緻密化温度などの要求に従って加減される。
【0017】以下、実験室的な実施例に従って、本発明
の製造方法をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに
限定されるものではない。
【0018】
【実施例1】原料として市販のオーストラリアカオリ
ン、試薬1級塩基性炭酸マグネシウム及び試薬特級硼酸
を使用した。オーストラリアカオリンは、予め水簸によ
り1μm以上の粗粒子を除去したもので、その化学分析
結果は表1に示す。表1から原料カオリン中カオリナイ
トまたはハロイサイトの含有量は約97%と計算され比
較的高純度のカオリンである。また塩基性炭酸マグネシ
ウムの平均粒子径は約2μmであった。
【0019】
【0020】カオリンと塩基性炭酸マグネシウムは、焼
成後の化学組成比で、Alに対するMgOのモル
比がコーディエライト組成に最も近い丁度1.0となる
ように秤量配合し、ボールミルにより20時間湿式粉砕
混合した。この場合の化学組成は焼成後ではほぼ2Mg
O・2Al・4.04SiOに相当したもので
ある。
【0021】上記の粉砕混合スラリーに対し、B
の含有量が0.2wt%〜5wt%となるようにそれぞ
れ硼酸を加えて、硼酸の添加量の異なる種々の試料を調
製した。Bの偏在が生じないように各試料は撹拌
と混練を続けながら乾燥脱水してそれぞれ粉末とした。
乾燥粉末から、それぞれ1ton/cmの成形圧力で
直径約1.6cmの円盤状に1軸加圧成形したペレット
を作製し、電気炉で空気中1000℃、及び1300℃
に1時間焼成した。得られた各焼結体の嵩密度と見掛け
気孔率を図1に、またそのX線的な結晶組成を図2に示
した。
【0022】図から、塩基性炭酸マグネシウムの粒子径
が2μm程度では1300℃の焼成でもまだ完全には緻
密化せず、見掛け気孔率を残すが、硼酸の添加は極めて
顕著な焼結緻密化促進効果を示し、Bの3wt%
の添加では1000℃で既に見掛け気孔率がゼロで、相
対密度は95%以上に達し、しかも殆どα−コーディエ
ライト結晶に転移し、その熱膨張率は2.57×10
−6/℃と十分小さく極めて優れた緻密質コーディエラ
イトセラミックスとなった。また1300℃の焼成で
は、硼酸を添加しなくてもα−コーディエライト結晶へ
の転移はほぼ完了するが、焼結緻密化は十分進行せず見
掛け気孔率が15%ほど残存するのに対し、B
加は1wt%で見掛け気孔率が殆どゼロとなり、0.2
wt%の微量でも明瞭な効果が観察される。
【0023】
【実施例2】次いで上記と同様にして、カオリンと塩基
性炭酸マグネシウムを、焼成後の化学組成比でAl
に対するMgOのモル比が0.7〜1.4となるよう
に秤量配合し、ボールミルにより20時間湿式粉砕混合
したマグネシウム化合物の配合比の異なるスラリーに、
それぞれ1wt%のBを添加混合し、B
偏在が生じないように混練乾燥脱水して粉末とし、実施
例1と同様にしてペレットを作製し、電気炉で空気中1
300℃で1時間焼成した。焼成試料の見掛け気孔率及
び室温から800℃までの平均熱膨張係数の測定結果を
図3に示す。
【0024】図から、MgOの固溶量が多い方が非晶質
微粒子の焼結緻密化がより進行することが明らかであ
り、またMgO量がモル比で1.2を越えると、熱膨張
係数が増大してコーディエライトセラミックスの特性が
劣化することも明瞭である。即ち、十分な量のα−コー
ディエライトの結晶が析出し、充分低い熱膨張性を持
ち、且つ十分に緻密なコーディエライトセラミックスを
得るためには、Alに対するMgOのモル比が
0.8〜1.2の範囲内にあることが必要であることが
分かる。
【0025】
【実施例3】約1mol/Lの水溶液に、2Nのアンモ
ニア水を急速に添加混合して液中に水酸化マグネシウム
の超微粒子を析出させた。TEM観察によれば、この超
微粒子の平均径は約0.1μmであった。この上澄み液
中には約10%程度のマグネシウム錯体が溶解している
ので、遠心分離による水洗を繰り返して、水酸化マグネ
シウムのコロイド懸濁液を調製した。この懸濁液を、上
記と同様の水簸オーストラリアカオリンのスラリーに、
焼成後の化学組成比でAlに対するMgOのモル
比が丁度1.0となるような割合で添加混合して基本ス
ラリーとし、これを分取し、Bの含有量が0.5
wt%〜5wt%となるように硼酸を加え、B
偏在が生じないように攪拌と混練を続けながら乾燥脱水
して、Bの含有量の異なる種々の粉末試料を調製
し、実施例1と同様にしてそれぞれペレットを作製し、
電気炉中850℃〜1200℃に1時間焼成した。得ら
れた各焼結体の嵩密度と見掛け気孔率を図4に、またそ
のX線的な結晶組成を図5に示す。
【0026】水酸化マグネシウムの超微粒子を使用した
この場合にも、硼酸添加の影響は極めて顕著で、B
の含有量が2wt%では900℃の低温度で既に完全
に緻密化し、1wt%添加でも1000℃焼成で見掛け
気孔率が殆どゼロにまで緻密化し、しかも結晶成分は殆
どα−コーディエライトのみからなる焼結体となった。
この焼結体の室温から800℃までの平均熱膨張係数
は、2.7×10−6/℃と極めて小さく、優れた低熱
膨張性緻密質コーディエライトセラミックスとなってい
ることが分かる。
【0027】
【実施例4】実施例1と同様カオリンと塩基性炭酸マグ
ネシウムを、焼成後の化学組成比で、Alに対す
るMgOのモル比が丁度1.0となるように秤量配合
し、これにBとして0.25〜5%となるように
ホウ珪酸ガラス粉末を添加混合した。ホウ珪酸ガラス粉
末の添加は、化学分析値を表3に示すように、アルカリ
分及びSiOの含有量が増大し、熱膨張係数に若干の
影響があるが、硼酸と異なり溶解度が小さいので、乾燥
時Bの偏在を気に掛けずに使用できる利点があ
る。ホウ珪酸ガラスの添加量が5、10及び20wt%
について、それぞれボールミルにより24時間湿式粉砕
混合して、実施例1と同様にしてそれぞれペレットを作
製し、電気炉中1300℃でそれぞれ1時間焼成した。
得られた各焼結体の嵩密度、見掛け気孔率、X線的な結
晶組成及び800℃までの平均熱膨張係数を図6にまと
めて示す。
【0028】
【0029】図から、ホウ珪酸ガラス添加量が2wt%
(Bとして約0.25wt%)で既に見掛け気孔
率が殆どゼロにまで緻密化し、10wt%(B
して約1.3wt%)でα−コーディエライト結晶の生
成量が最大になることが分かる。また添加物は緻密であ
るにもかかわらず、800℃までの平均熱膨張係数がい
ずれも2.3×10−6/℃以下であり、極めて優れた
低熱膨張性緻密質コーディエライトセラミックスとなっ
ている。
【0030】
【発明の効果】従来のα−コーディエライトを主成分と
するセラミックスは焼結による緻密化が困難で、カオリ
ン質天然原料から製造されるコーディエライトセラミッ
クスは、殆どが相対密度90%以下の多孔質セラミック
ス製品で、当然強度の低いものであった。また緻密で比
較的強度の高いコーディエライトセラミックスは一般に
各種添加剤を含有し、1400℃付近の高温で焼成する
必要があり、一般に耐急熱急冷性に劣るものであった。
本発明は、最も一般的に陶磁器原料として用いられてい
る天然のカオリンと塩基性炭酸マグネシウムなど比較的
廉価な原料を使用し、α−コーディエライトを主要結晶
粒子とし、低熱膨張係数、低誘電率、高性能の緻密質コ
ーディエライトセラミックスを、大量に工業的に提供で
きるものである。また焼成温度も1000℃以下の極め
て低温度でも緻密焼結が可能となるので、各種の耐熱セ
ラミックスのみならず、銀や銅の配線と同時焼成出来る
低温焼結多層配線基板として極めて優れ、新しい用途も
さらに拡大される可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】塩基性炭酸マグネシウムを使用した本発明試料
に対するBの含有量と各焼結体の嵩密度と見掛け
気孔率の関係図。
【図2】塩基性炭酸マグネシウムを使用した本発明試料
に対するBの含有量と各焼結体の結晶組成の関係
図。
【図3】カオリンと塩基性炭酸マグネシウムの配合比と
得られた焼結体の見掛け気孔率及び熱膨張係数の関係図
である。
【図4】水酸化マグネシウムを使用した本発明試料に対
するBの含有量と各焼結体の嵩密度と見掛け気孔
率の関係図。
【図5】水酸化マグネシウムを使用した本発明試料に対
するBの含有量と各焼結体の結晶組成の関係図。
【図6】本発明試料に対するホウ珪酸ガラス添加量と1
300℃焼結体の嵩密度、見掛け気孔率、その結晶組成
及び室温から800℃までの平均熱膨張係数の関係図。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項】カオリナイトまたはハロイサイトを主成分と
    する微粒カオリンまたは粘土、及び800℃以下の温度
    で熱分解してMgOとなる平均粒子径が2μm以下のマ
    グネシウム化合物の微粒子を、化学組成比でAl
    の1モルに対しMgOが0.8〜1.2モルの範囲内と
    なる割合で含有し、かつ硼酸または硼珪酸ガラスなどの
    硼酸化合物をBの含有量が0.1〜3.5wt%
    となるように添加し分散混合した配合物、もしくはその
    仮焼粉末を、適宜必要な各種一般的添加物と共に成形し
    焼成することを特徴とするコーディエライトセラミック
    スの製造方法。
JP9121414A 1997-04-04 1997-04-04 コーディエライトセラミックスの製造方法 Pending JPH10287467A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009541187A (ja) * 2006-05-30 2009-11-26 コーニング インコーポレイテッド コージエライトの形成

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009541187A (ja) * 2006-05-30 2009-11-26 コーニング インコーポレイテッド コージエライトの形成

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