JPH10283957A - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置

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JPH10283957A
JPH10283957A JP9089897A JP9089897A JPH10283957A JP H10283957 A JPH10283957 A JP H10283957A JP 9089897 A JP9089897 A JP 9089897A JP 9089897 A JP9089897 A JP 9089897A JP H10283957 A JPH10283957 A JP H10283957A
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JP
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electron
image forming
support member
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forming apparatus
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JP9089897A
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Tomotake Suzuki
朝岳 鈴木
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  • Vessels, Lead-In Wires, Accessory Apparatuses For Cathode-Ray Tubes (AREA)
  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子ビームの起動のずれを適正に抑えること
で、高画質の画像を形成することが可能となる。 【解決手段】 画像形成装置は、複数の電子放出素子が
形成されたリア基板(11、15)と、画像形成部材が
形成されたフロント基板(17、18)と、リア基板と
フロント基板に介在し、当該2つの基板間隔を略一定に
するための支持部材(20)と、前記電子放出素子から
放出された電子を加速するための加速電極(19)とを
備える。支持部材20には、当該支持部材に近接する電
子放出素子の飛翔軌道を補正するための導電性板21が
当該支持部材に略直行する方向に固定される。そして、
この導電性板21上の、電子放出素子からの電子ビーム
の通過する位置に空孔を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子線を用いた表
示装置等の画像形成装置に係わり、特に、前記画像形成
装置の外囲器内部に支持部材(スペーサ)を備えた画像
形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子放出素子として、熱陰極
素子と冷陰極素子の2種類が知られている。このうち冷
陰極素子では、たとえば電界電子放出型素子(以下FE
型素子と称する)や、金属/絶縁層/金属型電子放出素
子(以下MIM型素子と称する)や、表面伝導型電子放
出素子などが知られている。
【0003】表面伝導型電子放出素子としては、たとえ
ば、M.I.Elinson, Radio Eng. Electron Phys.,10,129
0,(1965)や、後述する他の例が知られている。
【0004】表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成
された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことに
より電子放出が生ずる現象を利用するものである。この
表面伝導型電子放出素子としては、前記エリンソン等に
よるSn02 薄膜を用いたものの他に、Au薄膜による
ものや、In2O3 /SnO2 薄膜によるものや、カー
ボン薄膜によるものなどがあり、それぞれ、G.Dittme
r:"Thin Solid Films",9,317(1972),M.Hartwell and
C.G.Fonstad:"IEEE Trans.ED Conf.",519(1975),荒木
久 他:真空、第26巻、第1号、22(1983)により報告さ
れている。
【0005】これらの表面伝導型電子放出素子の素子構
成の典型的な例として、図25に上述したM.Hartwellら
による表面伝導型電子放出素子の平面図を示す。図25
において3001は基板、3004はスパッタで形成さ
れた金属酸化物よりなる導電性薄膜である。導電性薄膜
3004は図示のようにH字形の平面形状に形成されて
いる。該導電性薄膜3004に後述する通電フォーミン
グと呼ばれる通電処理を施すことにより、電子放出部3
005が形成される。図中の間隔Lは、0.5〜1m
m,幅Wは0.1mmに設定されている。尚、便宜上、
図25において電子放出部3005は導電性薄膜300
4のほぼ中央に矩形の形状により示したが、これは模式
的なものであり、実際の電子放出部3005の位置や形
状を忠実に表現しているわけではない。
【0006】M.Hartwellらによる素子をはじめとして、
上述した表面伝導型電子放出素子においては、電子放出
を行う前に導電性薄膜3004に通電フォーミングと呼
ばれる通電処理を施すことにより、電子放出部3005
を形成するのが一般的であった。即ち、通電フォーミン
グとは、前記導電性薄膜3004の両端に一定の直流電
圧、もしくは、例えば1V/分程度の非常にゆっくりと
したレートで昇圧する直流電圧を印加して通電し、導電
性薄膜3004を局所的に破壊もしくは変形もしくは変
質せしめ、電気的に高抵抗な状態の電子放出部3005
を形成することである。尚、局所的に破壊もしくは変形
もしくは変質した導電性薄膜3004の一部には、亀裂
が発生する。前記通電フォーミング後に導電性薄膜30
04に適宜の電圧を印加した場合には、前記亀裂付近に
おいて電子放出が行われる。
【0007】また、FE型素子の例は、たとえば、W.P.
Dyke & W.W.Dolan,"Field emission",Advance in Elect
ron Physics,8,89(1956) や、あるいは、C.A.Spindt,"P
ysical properties of thin-film field emmission cat
hodes with molybdemum cones",J. Appl. Phys.,47,524
8(1976)などが知られている。
【0008】FE型の素子構成の典型的な例(前述の
C.A.Spindtらの素子)の断面図を図26に示
す。同図において、3010は基板で、3011は導電
材料よりなるエミッタ配線、3012はエミッタコー
ン、3013は絶縁層、3014はゲート電極である。
本素子は、エミッタコーン3012とゲート電極301
4の間に適宜の電圧を印加することにより、エミッタコ
ーン3012の先端部より電界放出を起させるものであ
る。
【0009】また、FE型の他の素子構成として図26
のような積層構造ではなく、基板上に基板平面とほぼ並
行にエミッタとゲート電極を配置した例もある。
【0010】また、MIM型素子の例としては、例え
ば、C.A.Mead,"Operation of tunnel-emission Device
s",J. Appl. Phys.,32,646(1961)などが知られている。
MIM型の素子構成の典型的な例を図27に示す。同図
は断面図であり、図示において3020は基板で、30
21は金属よりなる下電極、3022は厚さ100オン
グストローム程度の薄い絶縁層、3023は厚さ80〜
300オングストローム程度の金属よりなる上電極であ
る。MIM型においては上電極3023と下電極302
1の間に適宜の電圧を印加することにより、上電極30
23の表面より電子放出を起させるものである。
【0011】上述の冷陰極素子は、熱陰極素子と比較し
て低温で電子放出を得ることができるため、加熱用ヒー
タを必要としない。したがって、熱陰極素子よりも構造
が簡単であり、微細な素子を作成可能である。また、基
板上に多数の素子を高い密度で配置しても、基板の熱溶
融などの問題が発生しにくい。また。熱陰極素子がヒー
タの加熱により動作するため応答速度が遅いのとは異な
り、冷陰極素子の場合には応答速度が早いという利点も
ある。
【0012】以上の理由により、冷陰極素子を応答する
ための研究が盛んに行われてきている。
【0013】例えば、表面伝導型放出素子は、冷陰極素
子のなかでも特に構造が簡単で製造も容易であることか
ら、大面積にわたり多数の素子を形成できる利点があ
る。そこで、例えば本出願人による特開昭64−313
32号において開示されているように、多数の素子を配
列して駆動するための方法が研究されている。
【0014】また、表面伝導型電子放出素子の応用につ
いては、たとえば、画像表示装置、画像記録装置などの
画像形成装置や、荷電ビーム源、等が研究されている。
【0015】特に、画像表示装置への応用としては、た
とえば本出願人によるUSP 5,066,883号や
特開平2−257551号や特開平4−28137号に
おいて開示されているように、表面伝導型電子放出素子
と電子ビームの照射により発光する蛍光体とを組み合わ
せて用いた画像表示装置が研究されている。表面伝導型
電子放出素子と蛍光体とを組み合わせて用いた画像表示
装置は、従来の他の方式の画像表示装置よりも優れた特
性が期待されている。たとえば、近年普及してきた液晶
表示装置と比較しても、自発光型であるためバックライ
トを必要としない点や視野角が広い点において優れてい
ると言える。
【0016】また、FE型を多数個ならべて駆動する方
法は、例えば本出願人によるUSP4,904,895
に開示されている。また、FE型を画像表示装置に応用
した例として、例えばR.Meyerらにより報告され
た平板型表示装置が知られている([R.Meyer:"Recent
Development on Microtips Display at LETI", Tech.Di
gest of 4th Int. Vacuum Microelectronics Conf.,Nag
ahama, pp.6〜9(1991)])。
【0017】また、MIM型を多数個並べて画像表示装
置に応用した例は、例えば本出願人による特開平3−5
5738号に開示されている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】発明者らは、上記従来
技術に記載したものをはじめとして、さまざまな材料、
製法、構造の冷陰極素子を試みてきた。さらに、多数の
冷陰極素子を配列したマルチ電子ビーム源、並びにこの
マルチ電子ビーム源を応用した画像表示装置について研
究を行ってきた。
【0019】発明者らは、例えば図28に示す電気的な
配線方法によるマルチ電子ビーム源を試みてきた。すな
わち、冷陰極素子を2次元的に多数個配列し、これらの
素子を図示のようにマトリクス状に配線したマルチ電子
ビーム源である。
【0020】図中、4001は冷陰極素子を模式的に示
したもの、4002は行方向配線、4003は列方向配
線である。行方向配線4002及び列方向配線4003
は、実際には有限の電気抵抗を有するものであるが、図
においては配線抵抗4004及び4005として示され
ている。上述のような配線方法を、単純マトリクス配線
と呼ぶ。
【0021】なお、図示の便宜上、6×6のマトリクス
で示しているが、マトリクスの規模は無論これに限った
わけではなく、例えば画像表意装置用のマルチ電子ビー
ム源の場合には、所望の画像表示を行うのに足りるだけ
の素子を配列し配線するものである。
【0022】冷陰極素子を単純マトリクス配線したマル
チ電子ビーム源においては、所望の電子ビームを出力さ
せるため、行方向配線4002及び列方向配線4003
に適宜の電気信号を印加する。例えば、マトリクスの中
の任意の1行の冷陰極素子を駆動するには、選択する行
の行方向配線4002には選択電圧Vsを印可し、同時
に非選択の行の行方向配線4002には非選択電圧Vn
sを印加する。これと同期して列方向配線4003に電
子ビームを出力するための駆動電圧Veを印加する。こ
の方法によれば、配線抵抗4004及び4005による
電圧降下を無視すれば、選択する行の冷陰極素子には、
Ve−Vsの電圧が印加され、また非選択行の冷陰極素
子にはVe−Vnsの電圧が印加される。Ve,Vs,
Vnsを適宜の大きさの電圧にすれば選択する行の冷陰
極素子だけから所望の強度の電子ビームが出力されるは
ずであり、また列方向配線の各々に異なる駆動電圧Ve
を印加すれば、選択する行の素子の各々から異なる強度
の電子ビームが出力されるはずである。また、駆動電圧
Veを印加する時間の長さを変えれば、電子ビームが出
力される時間の長さも変えることができるはずである。
【0023】従って、冷陰極素子を単純マトリクス配線
したマルチ電子ビーム源は色々な応用可能性があり、例
えば画像情報に応じた電気信号を適宜印加すれば、画像
表示装置用の電子源として好適に用いることができる。
【0024】上記の電子放出素子を用いた画像形成装置
のうちで、奥行きの薄い平面型装置は省スペース且つ軽
量であることから、ブラウン管型の表示装置に置き換わ
るものとして注目されている。
【0025】図29は、平面型の画像表示装置をなす表
示パネルの一例を示す斜視図であり、内部構造を示すた
めのパネルの一部を切り欠いて示している。
【0026】図中、3115はリアプレート、3166
は側壁、3117はフェースプレートであり、リアプレ
ート3115、側壁3116およびフェースプレート3
117により、表示パネルの内部を真空に維持するため
の外囲器(気密容器)を形成している。
【0027】リアプレート3115には、基板3111
が固定されているが、この基板3111上には例陰極素
子3112がN×M個形成されている。(N,Mは2以
上の正の整数であり、目的とする表示画素数に応じて適
宜設定される)。また、前記N×M個の冷陰極素子31
12は、図29に示す通り、M本の行方向配線3113
とN本の列方向配線3114により配線されている。こ
れら基板3111、冷陰極素子3112、行方向配線3
113及び列方向配線3114によって構成される部分
をマルチ電子ビーム源と呼ぶ。また、行方向配線311
3と列方向配線3114の少なくとも交叉する部分に
は、両配線間に絶縁層(不図示)が形成されており、電
気的な絶縁が保たれている。
【0028】また、フェースプレート3117の下面に
は、蛍光体からなる蛍光膜3118が形成されており、
赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色の蛍光体(不図
示)が塗り分けられている。また、蛍光膜3118をな
す上記各蛍光体間には黒色体(不図示)が設けてあり、
更に蛍光膜3118のリアプレート3115側の面に
は、Al等からなるメタルバック3119が形成されて
いる。
【0029】また、Dx1〜DxmおよびDy1〜Dynおよび
Hvは、当該表示パネルと不図示の電気回路とを電気的
に接続するために設けた気密構造の電気接続用端子であ
る。Dx1〜Dxmはマルチ電子ビーム源の行方向配線31
13と、Dy1〜Dynはマルチ電子ビーム源の列方向配線
3114と、Hvはメタルバック3119と各々電気的
に接続している。
【0030】また、上記気密容器の内部は10のマイナ
ス6乗Torr程度の真空に保持されており、マルチビ
ーム電子源が形成された基板3111と蛍光膜3118
が形成されたフェースプレート3116間はサブミリな
いし数ミリに保たれ、前述したように気密容器内部は高
真空に保持されている。
【0031】以上説明した表示パネルを用いた画像表示
装置は、容器外端子Dx1乃至Dxm、Dy1乃至Dy
nを通じて各冷陰極素子3112に電圧を印加すると、
各冷陰極素子3112から電子が放出される。それと同
時にメタルバック3119に容器外端子Hvを通じて数
百[V]乃至数[kV]の高圧を印加して、上記放出さ
れた電子を加速し、フェースプレート3117の内面に
衝突させる。これにより、蛍光膜3118をなす各色の
蛍光体が励起されて発光し、画像が表示される。
【0032】
【発明が解決しようとする課題】以上述べた、画像形成
装置等の電子線装置は、装置内部の真空雰囲気を維持す
るための外囲器、該外囲器内に配置された電子源、該電
子源から放出された電子線が照射されるターゲット、電
子線をターゲットに向けて加速するための加速電極等を
有するが、さらに、外囲器に加わる大気圧を外囲器内部
から支持するための支持部材(スペーサ)が外囲器内部
に配置されることがある。
【0033】スペーサを用いた例を図1に示すが、本図
で3120がスペーサを表しており、その他の構成部材
については前述の図29と同様である。スペーサは、外
囲器の機械的強度を保ち外囲器の厚みを薄くできる。特
に大型の装置においては、装置重量低減や原材料費低減
に有効である。これらの支持材としては、冷陰極素子の
駆動電位と加速電極を分離するため絶縁部材が用いられ
ている。
【0034】しかしながら、スペーサを有する冷陰極素
子を単純にマトリクス配線したマルチ電子源において
は、絶縁部材で構成される支持部材が容易に帯電してス
ペーサ近傍の電子軌道に影響を及ぼして発光位置ずれが
生じるという問題を有していた。これは例えば画像装置
の場合、スペーサ近傍がその発光輝度低下や色滲みなど
の画像劣化原因となる。
【0035】本発明はかかる点に鑑みなされたものであ
り、電子ビームの起動のずれを適正に抑えることで、高
画質の画像を形成できる画像形成装置を提供するもので
ある。
【0036】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するた
め、例えは本発明の画像形成装置は以下に示す構成を備
える。すなわち、複数の電子放出素子が形成されたリア
基板と、画像形成部材が形成されたフロント基板と、前
記リア基板と前記フロント基板に介在し、当該2つの基
板間隔を略一定にするための支持部材と、前記電子放出
素子から放出された電子を加速するための加速電極とを
備える画像形成装置であって、前記支持部材には、当該
支持部材に近接する電子放出素子の飛翔軌道を補正する
ための導電性板が当該支持部材に略直交する方向に固定
され、当該導電性板上の、前記電子放出素子からの電子
ビームの通過する位置に空孔を設けたことを特徴とす
る。
【0037】なお、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結
果、上記課題の現象は電子源から放出される電子が主な
誘因であることを見出した。
【0038】上記画像形成装置において電子源から放出
された電子は画像形成部材である蛍光体への衝突、及び
それ以外にも確率は低いが真空中の残留ガスへの衝突が
起こる。これらの衝突時にある確率で発生した散乱粒子
(イオン、2次電子、中性粒子など)の一部が、画像形
成装置内の絶縁材料の露出した部分に衝突し、上記露出
部が帯電していることが解った。この帯電により、上記
露出部の近傍では電場が変化して電子軌道のずれが生
じ、蛍光体の発光位置や発光形状の変化が引き起こされ
たと考えられる。また上記蛍光体の発光位置、形状の変
化の状況から上記露出部には主に正電荷が蓄積している
ことも解った。この原因としては、散乱粒子のうちの正
イオンが付着帯電する場合、あるいは散乱粒子が上記露
出部に衝突する時に発生する2次電子放出により、正の
帯電が起こる場合などが考えられる。
【0039】これによってビームが変化する様子を、図
1のA−A’断面である図2を用いて説明する。
【0040】図中、11は基板、15はリアプレート、
16は側壁、17はフェースプレートであって、15,
16,17をあわせて外囲器が形成される。20はスペ
ーサであり、18は蛍光体で19は導電性の部材(メタ
ルバック)、13は走査信号用配線である。111,1
12,113,114は基板11上に形成された素子
で、各素子より、電子線115〜120が放出され、蛍
光体18上に像を形成する。ここで115〜118は帯
電が無い場合の電子軌道、119から120は帯電によ
りずれを生じた電子軌道を示している。本図において
は、スペーサに最近接の素子112、113から放出さ
れる電子軌道のみが帯電の影響を受けてるが、スペーサ
と素子との位置関係、パネル内真空雰囲気、スペーサの
材料などにより帯電量に違いが起こるため、さらに多く
の素子の電子軌道に影響を受ける場合もある。この場合
のスペーサ近傍の等電位面を模式的に描くと121の点
線で示したように推測される。
【0041】Vaはアノード電圧、Vf’は駆動電圧を
示している。このようにスペーサ近傍においては電子ビ
ームが本来の到達位置からずれてしまうことが解る。
【0042】これらの要因解析から上記目的を以下の構
成を有する画像形成装置は、本願発明の好適な実施態様
に従えば以下の構成を備えることで達成されることが解
った。すなわち、複数の冷陰極型電子放出素子からなる
電子源を有する素子基板、前記素子基板に対向配置され
前記電子源より放出された電子を加速するための加速電
極、前記電子源から放出された電子線が照射されるター
ゲット(蛍光体)、前記素子基板と前記加速電極を真空
に維持するための密閉構造を有する外囲器と、前記外囲
器を支持するためのスペーサとを有する画像形成装置で
あって、前記スペーサ上の適宜な位置に立体構造を持つ
電極を設置する。
【0043】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に従って本発明に
係る実施形態の一例を詳細に説明する。
【0044】<画像表示装置の構成と製造方法>先ず、
本発明を適用した画像表示装置の表示パネルの構成と製
造方法について、具体的な例を示して説明する。
【0045】図3は、実施形態に用いた表示パネルの斜
視図であり、内部構造を示す為にパネルの一部を切り欠
いて示している。
【0046】図中、1005はリアプレート、1006
は側壁、1007はフェースプレートであり、1005
〜1007により表示パネルの内部を真空に維持するた
めの気密容器を形成している。1020は実施形態にお
けるスペーサであり、1021はスペーサ1020上に
設けられた立体構造を持った電極(以後、立体電極と呼
ぶ)である。本実施形態におけるスペーサ周辺の詳しい
構造については後述する。
【0047】ここで、気密容器を組み立てるにあたって
は、各部材の接合部に十分な強度と気密性を保持させる
ため封着する必要があるが、たとえばフリットガラスを
接合部に塗布し、大気中あるいは窒素雰囲気中で、摂氏
400〜500度で10分以上焼成することにより封着
を達成した。気密容器内部を真空に排気する方法につい
ては後述する。
【0048】リアプレート1005には、基板1001
が固定されているが、該基板上には冷陰極素子1002
がN×M個形成されている(N,Mは2以上の正の整数
であり、目的とする表示画素数に応じて適宜設定され
る。たとえば、高品位テレビジョンの表示を目的とした
表示装置においては、N=3000,M=1000以上
の数を設定することが望ましい。本実施形態において
は、N=3072,M=1024とした)。前記N×M
個の冷陰極素子は、M本の行方向配線1003とN本の
列方向配線1004により単純マトリクス配線されてい
る。前記1001〜1004によって構成される部分を
マルチ電子ビーム源と呼ぶ。尚、電子ビーム源の製造方
法や構造については後で詳しく説明する。
【0049】本実施形態においては気密容器のリアプレ
ート1005にマルチ電子ビーム源お基板1001を固
定する構成としたが、マルチ電子ビーム源の基板100
1が十分な強度を有するものである場合には、気密容器
のリアプレートとしてマルチ電子ビーム源の基板100
1自体を用いてもよい。
【0050】また、フェースプレート1007の下面に
は、蛍光膜1008が形成されている。本実施形態はカ
ラー表示装置であるため、蛍光膜1008の部分にはC
RTの分野で用いられる赤、緑、青の3原色の蛍光体が
塗り分けられている。各色の蛍光体は、たとえば図4に
示すようにストライプ状に塗り分けられ、蛍光体のスト
ライプの間には黒色の導電体1010が設けてある。黒
色の導電体1010を設ける目的は、電子ビームの照射
位置に多少のずれがあっても表示色にずれが生じないよ
うにする事や、外光の反射を防止して表示コントラスト
の低下を防ぐこと、電子ビームによる蛍光膜のチャージ
アップを防止することなどである。黒色の導電体101
0には、黒鉛を主成分として用いたが、上記の目的に適
するものであればこれ以外の材料を用いても良い。
【0051】また、3原色の蛍光体の塗り分け方は図4
に示したストライプ状の配列に限られるものではなく、
たとえば図5に示すようなデルタ状配列や、それ以外の
配列であってもよい。
【0052】なお、モノクロームの表示パネルを作成す
る場合には、単色の蛍光体材料を蛍光膜1008に用い
ればよく、また黒色導電材料は必ずしも用いなくともよ
い。
【0053】また、蛍光膜1008のリアプレート側の
面には、CRTの分野では公知のメタルバック1009
を設けてある。メタルバック1009を設けた目的は、
蛍光膜1008が発する光の一部を鏡面反射して光利用
率を向上させる事や、負イオンの衝突から蛍光膜100
8を保護する事や、電子ビーム加速電圧を印加するため
の電極として作用させる事や、蛍光膜1008を励起し
た電子の導電路として作用させることなどである。メタ
ルバック1009は、蛍光膜1008をフェースプレー
ト基板1007上に形成した後、蛍光膜表面を平滑化処
理し、その上にA1を真空蒸着する方法により形成し
た。なお、蛍光膜1008に低電圧用の蛍光体材料を用
いた場合には、メタルバック1009は用いない。
【0054】また、本実施形態では用いなかったが、加
速電圧の印加用や蛍光膜の導電性向上を目的として、フ
ェースプレート基板1007と蛍光膜1008との間
に、たとえばITOを材料とする透明電極を設けてもよ
い。
【0055】また、Dx1〜Dxm及びDy1〜Dyn
及びHvは、当該表示パネルと不図示の電気回路とを電
気的に接続するために設けた気密構造の電気接続用端子
である。Dx1〜Dxmはマルチ電子ビーム源の行方向
配線1003と、Dy1〜Dynはマルチ電子ビーム源
の列方向配線1004と、Hvはフェースプレートのメ
タルバック1019と電気的に接続している。
【0056】また、気密容器内部を真空に排気するに
は、気密容器を組立てた後、不図示の排気管と真空ポン
プとを接続し、気密容器内を10のマイナス7乗[To
rr]程度の真空度まで排気する。その後、排気管を封
止するが、気密容器内の真空度を維持するために、封止
の直前あるいは封止後に気密容器内の所定の位置にゲッ
ター膜(不図示)を形成する。ゲッター膜とは、例えば
Baを主成分とするゲッター材料をヒータもしくは高周
波加熱により加熱し蒸着して形成した膜であり、該ゲッ
ター膜の吸着作用により気密容器内は1×10マイナス
5乗ないしは1×10マイナス7乗[Torr]の真空
度に維持される。
【0057】以上説明した表示パネルを用いた画像表示
装置は、容器外端子Dx1ないしDxm、Dy1ないし
Dynを通じて各冷陰極素子1002に電圧を印加する
と、各冷陰極素子1002から電子が放出される。それ
と同時にメタルバック1009に容器外端子をHvを通
じて数百[V]ないし数[kV]の高圧を印加して、上
記放出された電子を加速し、フェースプレート1007
の内面に衝突させる。これにより、蛍光膜1008をな
す各色の蛍光体が励起されて発光し、画像が表示され
る。
【0058】通常、冷陰極素子である本発明の表面伝導
型放出素子への1002への印加電圧は12〜16
[V]程度、メタルバック1009と冷陰極素子100
2との距離dは0.1[mm]から8[mm]程度、メ
タルバック1009と冷陰極素子1012間の電圧0.
1[kV]から10[kV]程度である。
【0059】以上、本発明の実施形態の表示パネルの基
本構成と製法、及び画像表示装置の概要を説明した。
【0060】<マルチ電子ビーム源の製造方法>次に、
前記実施形態の表示パネルに用いたマルチ電子ビーム源
の製造方法について説明する。本発明の画像表示装置に
用いるマルチ電子ビーム源は、冷陰極素子を単純マトリ
クス配線した電子源であれば、冷陰極素子の材料や形状
あるいは製法に制限はない。したがって、たとえば表面
伝導型放出素子やFE型、あるいはMIM型などの冷陰
極素子を用いることができる。
【0061】ただし、表示画面が大きくてしかも安価な
表示装置が求められる状況のもとでは、これらの冷陰極
素子の中でも、表面伝導型放出素子が特に好ましい。す
なわち、FE型ではエミッタコーンとゲート電極の相対
位置や形状が電子放出特性を大きく左右するため、極め
て高精度の製造技術を必要とするが、これは大面積化や
製造コストの低減を達成するには不利な要因となる。ま
た、MIM型では、絶縁層と上電極の膜厚を薄くてしか
も均一にする必要があるが、これも大面積化や製造コス
トの低減を達成するには不利な要因となる。その点、表
面伝導型放出素子は、比較的製造方法が単純なため、大
面積化や製造コストの低減が容易である。また、発明者
らは、表面伝導型放出素子の中でも、電子放出部もしく
はその周辺部を微粒子膜から形成したものがとりわけ電
子放出特性に優れ、しかも製造が容易に行えることを見
いだしている。したがって、高輝度で大画面の画像表示
装置のマルチ電子ビーム源に用いるには、最も好適であ
ると言える。そこで、上記実施形態の表示パネルにおい
ては、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形
成した表面伝導型放出素子を用いた。そこで、まず好適
な表面伝導型放出素子について基本的な構成と製法およ
び特性を説明し、その後で多数の素子を単純マトリクス
配線したマルチ電子ビーム源の構造について述べる。
【0062】<表面伝導型放出素子の好適な素子構成と
製法>電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形
成する表面伝導型放出素子の代表的な構成には、平面型
と垂直型の2種類があげられる。
【0063】<平面型の表面伝導型放出素子>まず最初
に、平面型の表面伝導型放出素子の素子構成と製法につ
いて説明する。図6に示すのは、平面型の表面伝導型放
出素子の構成を説明するための平面図、図7はその断面
図である。図中、1101は基板、1102と1103
は素子電極、1104は導電性薄膜、1105は通電フ
ォーミング処理により形成した電子放出部、1113は
通電活性化処理により形成した薄膜である。
【0064】基板1101としては、たとえば、石英ガ
ラスや青板ガラスをはじめとする各種ガラス基板や、ア
ルミナをはじめとする各種セラミクス基板、あるいは上
述の各種基板上にたとえばSiO2 を材料とする絶縁層
を積層した基板、などを用いることができる。
【0065】また、基板1101上に基板面と平行に対
向して設けられた素子電極1102と1103は、導電
性を有する材料によって形成されている。たとえば、N
i,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,Cu,Pd,
Ag等をはじめとする金属、あるいはこれらの金属の合
金、あるいはIn2 O3 −SnO2 をはじめとする金属
酸化物、ポリシリコンなどの半導体、などの中から適宜
材料を選択して用いればよい。電極を形成するには、た
とえば真空蒸着などの製膜技術とフォトリソグラフィ
ー、エッチングなどのパターニング技術を組み合わせて
用いれば容易に形成できるが、それ以外の方法(たとえ
ば印刷技術)を用いて形成してもさしつかえない。
【0066】素子電極1102と1103の形状は、当
該電子放出素子の応用目的に合わせて適宜設計される。
一般的には、電極間隔Lは通常は数百オングストローム
から数百マイクロメーターの範囲から適当な数値を選ん
で設計されるが、なかでも表示装置に応用するために好
ましいのは数マイクロメーターより数十マイクロメータ
ーの範囲である。また、素子電極の厚さdについては、
通常は数百オングストロームから数マイクロメーターの
範囲から適当な数値が選ばれる。
【0067】また、導電性薄膜1104の部分には、微
粒子膜を用いる。ここで述べた微粒子膜とは、構成要素
として多数の微粒子を含んだ膜(島状の集合体も含む)
のことをさす。微粒子膜を微視的に調べれば、通常は、
個々の微粒子が離間して配置された構造か、あるいは微
粒子が互いに隣接した構造か、あるいは微粒子が互いに
重なり合った構造が観測される。
【0068】微粒子膜に用いた微粒子の粒径は、数オン
グストロームから数千オングストロームの範囲に含まれ
るものであるが、なかでも好ましいのは10オングスト
ロームから200オングストロームの範囲のものであ
る。また、微粒子膜の膜厚は、以下に述べるような諸条
件を考慮して適宜設定される。すなわち、素子電極11
02あるいは1103と電気的に良好に接続するのに必
要な条件、後述する通電フォーミングを良好に行うのに
必要な条件、微粒子膜自身の電気抵抗を後述する適宜の
値にするために必要な条件、などである。具体的には、
数オングストロームから数千オングストロームの範囲の
なかで設定するが、なかでも好ましいのは10オングス
トロームから500オングストロームの間である。
【0069】また、微粒子膜を形成するのに用いられう
る材料としては、たとえば、Pd,Pt,Ru,Ag,
Au,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,T
a,W,Pb,などをはじめとする金属や、PdO,S
nO2 ,In2 O3 ,PbO,Sb2 O3 ,などをはじ
めとする酸化物や、HfB2 ,ZrB2 ,LaB6 ,C
eB6 ,YB4 ,GdB4 ,などをはじめとする硼化物
や、TiC,ZrC,HfC,TaC,SiC,WC,
などをはじめとする炭化物や、TiN,ZrN,Hf
N,などをはじめとする窒化物や、Si,Ge,などを
はじめとする半導体や、カーボン、などがあげられ、こ
れらの中から適宜選択される。
【0070】以上述べたように、導電性薄膜1104を
微粒子膜で形成したが、そのシート抵抗値については、
10の3乗から10の7乗[オーム/sq]の範囲に含
まれるよう設定した。
【0071】なお、導電性薄膜1104と素子電極11
02および1103とは、電気的に良好に接続されるの
が望ましいため、互いの一部が重なりあうような構造を
とっている。その重なり方は、図7の例においては、下
から、基板、素子電極、導電性薄膜の順序で積層した
が、場合によっては下から基板、導電性薄膜、素子電
極、の順序で積層してもさしつかえない。
【0072】また、電子放出部1105は、導電性薄膜
1104の一部に形成された亀裂状の部分であり、電気
的には周囲の導電性薄膜よりも高抵抗な性質を有してい
る。亀裂は、導電性薄膜1104に対して、後述する通
電フォーミングの処理を行うことにより形成する。亀裂
内には、数オングストロームから数百オングストローム
の粒径の微粒子を配置する場合がある。なお、実際の電
子放出部の位置や形状を精密かつ正確に図示するのは困
難なため、図6、図7においては模式的に示してある。
【0073】また、薄膜1113は、炭素もしくは炭素
化合物よりなる薄膜で、電子放出部1105およびその
近傍を被覆している。薄膜1113は、通電フォーミン
グ処理後に、後述する通電活性化の処理を行うことによ
り形成する。
【0074】薄膜1113は、単結晶グラファイト、多
結晶グラファイト、非晶質カーボン、のいずれかか、も
しくはその混合物であり、膜厚は500[オングストロ
ーム]以下とするが、300[オングストローム]以下
とするのがさらに好ましい。なお、実際の薄膜1113
の位置や形状を精密に図示するのは困難なため、図6に
おいては模式的に示した。また、平面図(図6)におい
ては、薄膜1113の一部を除去した素子を図示した。
【0075】以上、好ましい素子の基本構成を述べた
が、実施形態においては以下のような素子を用いた。
【0076】すなわち、基板1101には青板ガラスを
用い、素子電極1102と1103にはNi薄膜を用い
た。素子電極の厚さdは1000[オングストロー
ム]、電極間隔Lは2[マイクロメーター]とした。
【0077】微粒子膜の主要材料としてPdもしくはP
dOを用い、微粒子膜の厚さは約100[オングストロ
ーム]、幅Wは100[マイクロメータ]とした。
【0078】次に、好適な平面型の表面伝導型放出素子
の製造方法について説明する。図8(a)〜(d)は、
表面伝導型放出素子の製造工程を説明するための断面図
で、各部材の表記は図6,図7と同一である。
【0079】1)まず、図8(a)に示すように、基板
1101上に素子電極1102および1103を形成す
る。
【0080】形成するにあたっては、あらかじめ基板1
101を洗剤、純水、有機溶剤を用いて十分に洗浄後、
素子電極の材料を堆積させる。(堆積する方法として
は、たとえば、蒸着法やスパッタ法などの真空成膜技術
を用ればよい。)その後、堆積した電極材料を、フォト
リソグラフィー・エッチング技術を用いてパターニング
し、同図(a)に示した一対の素子電極(1102と1
103)を形成する。
【0081】2)次に、同図(b)に示すように、導電
性薄膜1104を形成する。
【0082】形成するにあたっては、まず同図(a)の
基板に有機金属溶液を塗布して乾燥し、加熱焼成処理し
て微粒子膜を成膜した後、フォトリソグラフィー・エッ
チングにより所定の形状にパターニングする。ここで、
有機金属溶液とは、導電性薄膜に用いる微粒子の材料を
主要元素とする有機金属化合物の溶液である(具体的に
は、本実施形態では主要元素としてPdを用いた。ま
た、実施形態では塗布方法として、ディッピング法を用
いたが、それ以外のたとえばスピンナー法やスプレー法
を用いてもよい。)。
【0083】また、微粒子膜で作られる導電性薄膜の成
膜方法としては、本実施形態で用いた有機金属溶液の塗
布による方法以外の、たとえば真空蒸着法やスパッタ
法、あるいは化学的気相堆積法などを用いる場合もあ
る。
【0084】3)次に、同図(c)に示すように、フォ
ーミング用電源1110から素子電極1102と110
3の間に適宜の電圧を印加し、通電フォーミング処理を
行って、電子放出部1105を形成する。
【0085】通電フォーミング処理とは、微粒子膜で作
られた導電性薄膜1104に通電を行って、その一部を
適宜に破壊、変形、もしくは変質せしめ、電子放出を行
うのに好適な構造に変化させる処理のことである。微粒
子膜で作られた導電性薄膜のうち電子放出を行うのに好
適な構造に変化した部分(すなわち電子放出部110
5)においては、薄膜に適当な亀裂が形成されている。
なお、電子放出部1105が形成される前と比較する
と、形成された後は素子電極1102と1103の間で
計測される電気抵抗は大幅に増加する。
【0086】通電方法をより詳しく説明するために、図
9に、フォーミング用電源1110から印加する適宜の
電圧波形の一例を示す。微粒子膜で作られた導電性薄膜
をフォーミングする場合には、パルス状の電圧が好まし
く、本実施形態の場合には同図に示したようにパルス幅
T1の三角波パルスをパルス間隔T2で連続的に印加し
た。その際には、三角波パルスの波高値Vpfを、順次
昇圧した。また、電子放出部1105の形成状況をモニ
ターするためのモニターパルスPmを適宜の間隔で三角
波パルスの間に挿入し、その際に流れる電流を電流計1
111で計測した。
【0087】実施形態においては、たとえば10のマイ
ナス5乗[torr]程度の真空雰囲気下において、た
とえばパルス幅T1を1[ミリ秒]、パルス間隔T2を
10[ミリ秒]とし、波高値Vpfを1パルスごとに
0.1[V]ずつ昇圧した。そして、三角波を5パルス
印加するたびに1回の割りで、モニターパルスPmを挿
入した。フォーミング処理に悪影響を及ぼすことがない
ように、モニターパルスの電圧Vpmは0.1[V]に
設定した。そして、素子電極1102と1103の間の
電気抵抗が1x10の6乗[オーム]になった段階、す
なわちモニターパルス印加時に電流計1111で計測さ
れる電流が1×10のマイナス7乗[A]以下になった
段階で、フォーミング処理にかかわる通電を終了した。
【0088】なお、上記の方法は、本実施形態の表面伝
導型放出素子に関する好ましい方法であり、たとえば微
粒子膜の材料や膜厚、あるいは素子電極間隔Lなど表面
伝導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じ
て通電の条件を適宜変更するのが望ましい。
【0089】4)次に、図8(d)に示すように、活性
化用電源1112から素子電極1102と1103の間
に適宜の電圧を印加し、通電活性化処理を行って、先の
工程で形成された電子放出特性の改善を行う。
【0090】通電活性化処理とは、前記通電フォーミン
グ処理により形成された電子放出部1105に適宜の条
件で通電を行って、その近傍に炭素もしくは炭素化合物
を堆積せしめる処理のことである。(図においては、炭
素もしくは炭素化合物よりなる堆積物を部材1113と
して模式的に示した。)なお、通電活性化処理を行うこ
とにより、行う前と比較して、同じ印加電圧における放
出電流を典型的には100倍以上に増加させることがで
きる。
【0091】具体的には、10のマイナス4乗ないし1
0のマイナス5乗[torr]の範囲内の真空雰囲気中
で、電圧パルスを定期的に印加することにより、真空雰
囲気中に存在する有機化合物を起源とする炭素もしくは
炭素化合物を堆積させる。堆積物1113は、単結晶グ
ラファイト、多結晶グラファイト、非晶質カーボン、の
いずれかか、もしくはその混合物であり、膜厚は500
[オングストローム]以下、より好ましくは300[オ
ングストローム]以下である。
【0092】通電方法をより詳しく説明するために、図
10に、活性化用電源1112から印加する適宜の電圧
波形の一例を示す。本実施形態においては、一定電圧の
矩形波を定期的に印加して通電活性化処理を行ったが、
具体的には,矩形波の電圧Vacは14[V],パルス
幅T3は1[ミリ秒],パルス間隔T4は10[ミリ
秒]とした。なお、上述の通電条件は、本実施形態の表
面伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、表面伝
導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて
条件を適宜変更するのが望ましい。
【0093】図7(d)に示す1114は該表面伝導型
放出素子から放出される放出電流Ieを捕捉するための
アノード電極で、直流高電圧電源1115および電流計
1116が接続されている。(なお、基板1101を、
表示パネルの中に組み込んでから活性化処理を行う場合
には、表示パネルの蛍光面をアノード電極1114とし
て用いる。)活性化用電源1112から電圧を印加する
間、電流計1116で放出電流Ieを計測して通電活性
化処理の進行状況をモニターし、活性化用電源1112
の動作を制御する。電流計1116で計測された放出電
流Ieの一例を図11に示すが、活性化電源1112か
らパルス電圧を印加しはじめると、時間の経過とともに
放出電流Ieは増加するが、やがて飽和してほとんど増
加しなくなる。このように、放出電流Ieがほぼ飽和し
た時点で活性化用電源1112からの電圧印加を停止
し、通電活性化処理を終了する。
【0094】なお、上述の通電条件は、本実施形態の表
面伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、表面伝
導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて
条件を適宜変更するのが望ましい。
【0095】以上のようにして、図8(e)に示す平面
型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0096】<垂直型の表面伝導型放出素子>次に、電
子放出部もしくはその周辺を微粒子膜から形成した表面
伝導型放出素子のもうひとつの代表的な構成、すなわち
垂直型の表面伝導型放出素子の構成について説明する。
【0097】図12は、垂直型の基本構成を説明するた
めの模式的な断面図であり、図中の1201は基板、1
202と1203は素子電極、1206は段差形成部
材、1204は微粒子膜を用いた導電性薄膜、1205
は通電フォーミング処理により形成した電子放出部、1
213は通電活性化処理により形成した薄膜、である。
垂直型が先に説明した平面型と異なる点は、素子電極の
うちの片方(1202)が段差形成部材1206上に設
けられており、導電性薄膜1204が段差形成部材12
06の側面を被覆している点にある。したがって、図6
の平面型における素子電極間隔Lは、垂直型においては
段差形成部材1206の段差高Lsとして設定される。
なお、基板1201、素子電極1202および120
3、微粒子膜を用いた導電性薄膜1204、について
は、前記平面型の説明中に列挙した材料を同様に用いる
ことが可能である。また、段差形成部材1206には、
たとえばSiO2 のような電気的に絶縁性の材料を用い
る。
【0098】次に、垂直型の表面伝導型放出素子の製法
について説明する。図13(a)〜(f)は、製造工程
を説明するための断面図で、各部材の表記は図12と同
一である。
【0099】1)まず、図13(a)に示すように、基
板1201上に素子電極1203を形成する。
【0100】2)次に、同図(b)に示すように、段差
形成部材を形成するための絶縁層を積層する。絶縁層
は、たとえばSiO2 をスパッタ法で積層すればよい
が、たとえば真空蒸着法や印刷法などの他の成膜方法を
用いてもよい。
【0101】3)次に、同図(c)に示すように、絶縁
層の上に素子電極1202を形成する。
【0102】4)次に、同図(d)に示すように、絶縁
層の一部を、たとえばエッチング法を用いて除去し、素
子電極1203を露出させる。
【0103】5)次に、同図(e)に示すように、微粒
子膜を用いた導電性薄膜1204を形成する。形成する
には、前記平面型の場合と同じく、たとえば塗布法など
の成膜技術を用いればよい。
【0104】6)次に、前記平面型の場合と同じく、通
電フォーミング処理を行い、電子放出部を形成する。
(図8(c)を用いて説明した平面型の通電フォーミン
グ処理と同様の処理を行えばよい。)7)次に、前記平
面型の場合と同じく、通電活性化処理を行い、電子放出
部近傍に炭素もしくは炭素化合物を堆積させる(図8
(d)を用いて説明した平面型の通電活性化処理と同様
の処理を行えばよい)。
【0105】以上のようにして、図13(f)に示す垂
直型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0106】<表示装置に用いた表面伝導型放出素子の
特性>以上、平面型と垂直型の表面伝導型放出素子につ
いて素子構成と製法を説明したが、次に表示装置に用い
た素子の特性について述べる。
【0107】図14に、表示装置に用いた素子の、(放
出電流Ie)対(素子印加電圧Vf)特性、および(素
子電流If)対(素子印加電圧Vf)特性の典型的な例
を示す。なお、放出電流Ieは素子電流Ifに比べて著
しく小さく、同一尺度で図示するのが困難であるうえ、
これらの特性は素子の大きさや形状等の設計パラメータ
を変更することにより変化するものであるため、2本の
グラフは各々任意単位で図示した。
【0108】表示装置に用いた素子は、放出電流Ieに
関して以下に述べる3つの特性を有している。
【0109】第一に、ある電圧(これを閾値電圧Vth
と呼ぶ)以上の大きさの電圧を素子に印加すると急激に
放出電流Ieが増加するが、一方、閾値電圧Vth未満
の電圧では放出電流Ieはほとんど検出されない。
【0110】すなわち、放出電流Ieに関して、明確な
閾値電圧Vthを持った非線形素子である。
【0111】第二に、放出電流Ieは素子に印加する電
圧Vfに依存して変化するため、電圧Vfで放出電流I
eの大きさを制御できる。
【0112】第三に、素子に印加する電圧Vfに対して
素子から放出される電流Ieの応答速度が速いため、電
圧Vfを印加する時間の長さによって素子から放出され
る電子の電荷量を制御できる。
【0113】以上のような特性を有するため、表面伝導
型放出素子を表示装置に好適に用いることができた。た
とえば多数の素子を表示画面の画素に対応して設けた表
示装置において、第一の特性を利用すれば、表示画面を
順次走査して表示を行うことが可能である。すなわち、
駆動中の素子には所望の発光輝度に応じて閾値電圧Vt
h以上の電圧を適宜印加し、非選択状態の素子には閾値
電圧Vth未満の電圧を印加する。駆動する素子を順次
切り替えてゆくことにより、表示画面を順次走査して表
示を行うことが可能である。
【0114】また、第二の特性かまたは第三の特性を利
用することにより、発光輝度を制御することができるた
め、諧調表示を行うことが可能である。
【0115】<多数素子を単純マトリクス配線したマル
チ電子ビーム源の構造>次に、上述の表面伝導型放出素
子を基板上に配列して単純マトリクス配線したマルチ電
子ビーム源の構造について述べる。
【0116】図15に示すのは、図3の表示パネルに用
いたマルチ電子ビーム源の平面図である。基板上には、
図6で示したものと同様な表面伝導型放出素子が配列さ
れ、これらの素子は行方向配線電極1003と列方向配
線電極1004により単純マトリクス状に配線されてい
る。行方向配線電極1003と列方向配線電極1004
の交差する部分には、電極間に絶縁層(不図示)が形成
されており、電気的な絶縁が保たれている。
【0117】図15のB−B’に沿った断面を図16に
示す。
【0118】なお、このような構造のマルチ電子源は、
あらかじめ基板上に行方向配線電極1003、列方向配
線電極1004、電極間絶縁層(不図示)、および表面
伝導型放出素子の素子電極と導電性薄膜を形成した後、
行方向配線電極1003および列方向配線電極1004
を介して各素子に給電して通電フォーミング処理と通電
活性化処理を行うことにより製造した。
【0119】<スペーサの構造>図3の断面A−A’か
ら見た断面図を図17に示し、以下、第1の実施形態に
おける立体電極について説明する。
【0120】図中、11は基板、15はリアプレート、
16は側壁、17はフェースプレートであって、15,
16,17をあわせて外囲器が形成される。20はスペ
ーサであり、18は蛍光体、19は導電性の部材(メタ
ルバック)、13は走査信号用配線である。21が本実
施形態における特徴であるスペーサ上の立体電極であ
り、電位を規定するためにスペーサ表面の高抵抗膜22
に導電性接着剤、導電性フリットなどを介して電気的に
も機械的にも接続されている。
【0121】尚、このスペーサ20を構成する高抵抗膜
22には、高電位側のフェースプレート17(メタルバ
ック19等)に印加される加速電圧Vaを帯電防止膜で
ある高抵抗膜22の抵抗値Rsで除した電流が流され
る。そこで、スペーサの抵抗値Rsは帯電防止及び消費
電力からその望ましい範囲に設定される。帯電防止の観
点から表面抵抗R/□は10の12乗Ω以下であること
が好ましい。十分な帯電防止効果を得るためには10の
11乗Ω以下がさらに好ましい。表面抵抗の下限はスペ
ーサ形状とスペーサ間に印加される電圧により左右され
るが、10の5乗Ω以上であることが好ましい。
【0122】絶縁材料上に形成された高抵抗膜の厚みt
は10nm〜1μmの範囲が望ましい。材料の表面エネ
ルギー及び基板との密着性や基板温度によっても異なる
が、一般的に10nm以下の薄膜は島状に形成され、抵
抗が不安定で再現性に乏しい。一方、膜厚tが1μm以
上では膜応力が大きくなって膜剥がれの危険性が高ま
り、かつ成膜時間が長くなるため生産性が悪い。従っ
て、膜厚は50〜500nmであることが望ましい。表
面抵抗R/□はρ/tであり、以上に述べたR/□とt
の好ましい範囲から、高抵抗膜の比抵抗ρは0.1[Ω
cm]乃至10の8乗[Ωcm]が好ましい。さらに表
面抵抗と膜厚のより好ましい範囲を実現するためには、
ρは10の2乗乃至10の6乗Ωcmとするのが良い。
【0123】スペーサは上述したようにその上に形成し
た高抵抗膜を電流が流れることにより、あるいはディス
プレイ全体が動作中に発熱することによりその温度が上
昇する。高抵抗膜の抵抗温度係数が大きな負の値である
と温度が上昇した時に抵抗値が減少し、スペーサに流れ
る電流が増加し、さらに温度上昇をもたらす。そして電
流は電源の限界を越えるまで増加し続ける。このような
電流の暴走が発生する抵抗温度係数の値は経験的に負の
値で絶対値が1%以上である。すなわち、高抵抗膜の抵
抗温度係数は−1%未満であることが望ましい。
【0124】帯電防止特性を有する高抵抗膜22の材料
としては、例えば金属酸化物を用いることができる。金
属酸化物の中でも、クロム、ニッケル、銅の酸化物が好
ましい材料である。その理由はこれらの酸化物は二次電
子放出効率が比較的小さく、冷陰極素子112から放出
された電子がスペーサ20に当たった場合においても帯
電しにくいためと考えられる。金属酸化物以外にも炭素
は二次電子放出効率が小さく好ましい材料である。特
に、非晶質カーボンは高抵抗であるため、スペーサ抵抗
を所望の値に制御しやすい。
【0125】帯電防止特性を有する高抵抗膜22の他の
材料として、アルミと遷移金属合金の窒化物は遷移金属
の組成を調整することにより、良伝導体から絶縁体まで
広い範囲に抵抗値を制御できるので好適な材料である。
さらには後述する表示装置の作製工程において抵抗値の
変化が少なく安定な材料である。かつ、その抵抗温度係
数が−1%未満で有り、実用的に使いやすい材料であ
る。遷移金属元素としてはTi,Cr,Ta等があげら
れる。
【0126】合金窒化膜はスパッタ、窒素ガス雰囲気中
での反応性スパッタ、電子ビーム蒸着、イオンプレーテ
ィング、イオンアシスト蒸着法等の薄膜形成手段により
絶縁性部材上に形成される。金属酸化膜も同様の薄膜形
成法で作製することができるが、この場合窒素ガスに代
えて酸素ガスを使用する。その他、CVD法、アルコキ
シド塗布法でも金属酸化膜を形成できる。カーボン膜は
蒸着法、スパッタ法、CVD法、プラズマCVD法で作
製され、特に非晶質カーボンを作製する場合には、成膜
中の雰囲気に水素が含まれるようにするか、成膜ガスに
炭化水素ガスを使用する。
【0127】本実施形態におけるスペーサ20は、図示
の如く、スペーサ20上に立体電極21を設け、当該立
体電極21によってその近傍の等電位線を、図示の如く
フラットにさせた。
【0128】立体電極21の材料としては、SUS30
4を使用したが、導電性と機械的強度、パネル形成時の
プロセス温度に耐える耐熱性がある程度あればよくその
他の金属でも問題ない。また高抵抗膜22は同様の目的
のために導電性フリット、導電性接着剤等を介してメタ
ルバック19及び走査信号用配線13に接続されてい
る。
【0129】図18に当該立体電極を上方から見た形状
を示すが、電子線の通過する位置にあわせて空孔があけ
られている。本構成により従来、スペーサ上の正帯電の
ため影響を受けて電位分布が、立体電極部分で基板に対
して平行に補正され(推測される等電位面に模式的に1
21の点線で表す)、ずれを生じていた電子起動が改善
され、基板11上に形成された素子111,112,1
13,114により、放出される電子線は図17に示す
115〜118に示すように蛍光体18上の正規の位置
に到達する。Vaはアノード電圧、Vf’は駆動電圧を
示している。
【0130】尚,空孔の形状は、電子ビームの通過する
部分の断面形状にあわせて、図示の如く楕円形をなして
いる。
【0131】また、本第1の実施形態では、立体電極2
1を設けなくても、素子111、114については、そ
の電子ビームの軌道に影響がないことが確かめられてい
る場合である。換言すれば、第1の実施形態では、素子
112、113に対してのみ立体電極21を作用させる
ようにした。
【0132】以上の結果、実施形態の画像形成装置にお
いては、スペーサ近傍の輝度低下、滲み、色ずれなどの
問題がなくなり高品位な画像が実現される。
【0133】<第2の実施形態>第2の実施形態におけ
る表示パネル全体構成、製造法については第1の実施形
態と同様であるので省略する。
【0134】本第2の実施形態におけるスペーサは、そ
の正帯電が第1の実施形態の場合と比較して大きい場合
に有効であり、元々電子軌道のずれが最近接素子(図2
の112及び113の素子)のみでなく、第2近接素子
(111,114)にも生じている場合である。このと
き、本発明実施前の電子軌道のずれ及び推測される等電
位面を表しているのが図23である。
【0135】これに対し、本第2の実施形態における立
体電極を設けた例を図19に示す。同図は図3の断面A
−A’から見た場合に相当する。図中、11は基板、1
5はリアプレート、16は側壁、17はフェースプレー
トであって、15,16,17をあわせて外囲器が形成
される。20はスペーサであり、18は蛍光体、19は
導電性の部材(メタルバック)、13は走査信号用配線
である。21が本第2の実施形態における特徴であるス
ペーサ20上の立体電極であるが、第1の実施形態と同
様に電位を規定するためにスペーサ表面の高抵抗膜22
に導電性接着剤、導電性フリットなどを介して電気的に
も機械的にも接続されている。
【0136】立体電極の材料としては、第1の実施形態
と同様にSUS304を使用したが、導電性と機械的強
度、パネル形成時のプロセス温度に耐える耐熱性がある
程度あればよくその他の金属でも問題ない。また高抵抗
膜22は同様の目的のために導電性フリット、導電性接
着剤等を介してメタルバック19及び走査信号用配線1
3に接続されている。但し、本第2の実施形態において
は前述のように最近接素子のみならず第2近接素子の補
正を必要としている場合を想定しているため、立体電極
も該素子上にも置かれている。
【0137】図20は当該立体電極を上から見た形状を
示すが、やはり電子線の通過する位置にあわせて空孔が
あけられている。注目する点は、各空孔の近傍において
は、等電位線がフェースプレートと並行になっているこ
とである。
【0138】これにより従来スペーサ上の正帯電のため
乱れていた電位分布が立体電極部分で基板に対して平行
に補正され(推測される等電位面を模式的に示したのが
123の点線である)、ずれを生じていた電子起動が改
善され、基板11上に形成された素子111,112,
113,114により、放出される電子線は115〜1
18に示すように蛍光体18上の正規の位置に到達す
る。Vaはアノード電圧、Vf’は駆動電圧を示してい
る。
【0139】これにより作成された画像形成装置におい
て、スペーサ近傍の輝度低下、滲み、色ずれなどの問題
がなくなり高品位な画像が実現された。
【0140】<第3の実施形態>第3の実施形態におけ
る表示パネル全体構成、製造法については第1の実施形
態と同様であるので省略する。
【0141】本第3の実施形態におけるスペーサの正帯
電は第1の実施形態の場合と比較してさらに大きい場合
に有効である。特に最近接素子(スペーサに一番近い位
置にある素子で、図2における素子112や113が該
当する)におおきな電子軌道のずれが生じている場合で
ある。この時、本実施形態を実施する前の電子軌道のず
れと推測される等電位面を模式的に表したのが図24で
ある。図23との違いは、スペーサ20に、より大きな
正帯電が生じて、電子ビームの軌道が大きく曲げられて
いる点である。
【0142】この場合に対応する本第3の実施形態にお
ける立体電極の例を図21に示す。本図も前述の図3の
断面A−A’から見た場合に相当するものであり、11
は基板、15はリアプレート、16は側壁、17はフェ
ースプレートであって、15,16,17をあわせて外
囲器が形成される。20はスペーサであり、18は蛍光
体で19は導電性の部材(メタルバック)、13は走査
信号用配線である。
【0143】21が本第3の実施形態における特徴であ
るスペーサ上の立体電極であるが、第1の実施形態と同
様に電位を規定するためにスペーサ表面の高抵抗膜22
に導電性接着剤、導電性フリットなどを介して電気的に
も機械的にも接続されている。また導電膜22は同様の
目的のために導電性フリット、導電性接着剤等を介して
メタルバック19及び走査信号用配線13に接続されて
いる。立体電極の材料としては、第1、第2の実施形態
と同様にSUS304を使用したが、導電性と機械的強
度、パネル形成時のプロセス温度に耐える耐熱性がある
程度あればよくその他の金属でも問題ない。
【0144】本第3の実施形態における立体電極21
は、前述のように最近接素子の補正を大きくする必要が
あるため、該素子上の立体電極は、スペーサから離れる
に従って下方向に傾斜するようにして構成されている。
【0145】図22に当該立体電極を上から見た形状を
示すが、やはり電子線の通過する位置にあわせて空孔が
あけられている。これにより従来スペーサ上の正帯電の
ため乱れていた電位分布が立体電極部分で第一近接素子
については素子起動がさらにスペーサに遠ざかる方向
に、第二近接素子については基板に対して平行に補正さ
れ(推測される等電位面を模式的に示したのが123の
点線である)、基板11上に形成された素子111,1
12,113,114により、放出される電子線は11
5〜118に示すように蛍光体18上の正規の位置に到
達する。Vaはアノード電圧、Vf’は駆動電圧を示し
ている。
【0146】これにより作成された画像形成装置におい
て、スペーサ近傍の輝度低下、滲み、色ずれなどの問題
がなくなり高品位な画像が実現された。
【0147】以上3つの実施形態についてその構成を述
べたが、本発明の本質上は、これらの形態に限定される
ものではなく、立体電極の形態は、電子源の配置(スペ
ーサとの位置関係を含む)、パネル内の真空度、フェー
スプレートとリアプレートの距離、加速電圧(Va)等
種類の条件により最適なものが考えられる。また立体電
極の材料としては、金属に限るものではなく表面に伝導
性を持たせたガラス、セラミック等の材料を用いてもよ
い。
【0148】また本発明の画像表示装置は、テレビジョ
ン装置や、計算機、画像メモリ通信ネットワークなど種
々の画像信号源と直接に接続する表示装置に広く用いる
ことが可能であり、とりわけ大容量の画像を表示する大
画面の表示に好適である。
【0149】また人間が直視する用途だけに限られるも
のではなく、例えばいわゆる光プリンタのように構造を
記録する装置の光源に応用しても差し支えない。
【0150】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、スペーサ上に立体的な構造を持つ電極を設けること
で電子ビームの軌道のずれを抑えて、スペーサ近傍の発
光輝度低下や色にじみなどの画像劣化原因を改善して高
品位な画像形成装置が実現できた。
【0151】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、電
子ビームの起動のずれを適正に抑えることで、高画質の
画像を形成することが可能となる。
【0152】
【図面の簡単な説明】
【図1】スペーサを用いた表示パネル構造を示す図であ
る。
【図2】スペーサ近傍の電子線の曲がりを説明する図で
ある。
【図3】実施形態における表示パネルの構造を示す図で
ある。
【図4】蛍光体のパターンを示す図である。
【図5】蛍光体のパターンの他の例を示す図である。
【図6】実施形態における表面伝導型放出素子の平面図
である。
【図7】実施形態における表面伝導型放出素子の断面図
である。
【図8】実施形態における平面型の表面伝導型放出素子
の製造工程を示す図である。
【図9】表面伝導型放出素子のフォーミングパルスを説
明する図である。
【図10】表面伝導型放出素子の活性化プロセスにおけ
る印加電圧パルスを示す図である。
【図11】表面伝導型放出素子の活性化プロセスにおけ
る放出電流の推移を示す図である。
【図12】実施形態における垂直型表面伝導型放出素子
の構造を表す断面図である。
【図13】垂直型表面伝導型放出素子の製造工程を示す
図である。
【図14】実施形態における表面伝導型放出素子の電気
的特性を示す図である。
【図15】実施形態における表面伝導型放出素子のマト
リクス構造を表す図である。
【図16】図15におけるB−B’断面構造を示す図で
ある。
【図17】第1の実施形態におけるスペーサ近傍の構造
と電子ビーム軌道の関係を示す図である。
【図18】第1の実施形態におけるスペーサの上方向か
ら見た構造図である。
【図19】第2の実施形態におけるスペーサ近傍の構造
と電子ビーム軌道の関係を示す図である。
【図20】第2の実施形態におけるスペーサの上方向か
ら見た構造図である。
【図21】第3の実施形態におけるスペーサ近傍の構造
と電子ビーム軌道の関係を示す図である。
【図22】第3の実施形態におけるスペーサの上方向か
ら見た構造図である。
【図23】第2の実施形態を実施する前の電子軌道のず
れを説明する図である。
【図24】第3の実施形態を実施する前の電子軌道のず
れを説明する図である。
【図25】表面伝導型放出素子の構造を示す平面図であ
る。
【図26】FE型放出素子の構造を示す図である。
【図27】MIN型放出素子の構造を示す図である。
【図28】単純マトリクス配線されたマルチ電子源の等
価回路を示す図である。
【図29】冷陰極型放出素子を用いた表示パネルの一例
を示す図である。
【符号の説明】
15 リアプレート 16 側壁、 17 フェースプレート 18 蛍光体 19 メタルバック 20 スペーサ 21 立体電極 22 高抵抗膜 111〜114 放出素子 115〜118 電子ビームの軌道 121 等電位線

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の電子放出素子が形成されたリア基
    板と、画像形成部材が形成されたフロント基板と、前記
    リア基板と前記フロント基板に介在し、当該2つの基板
    間隔を略一定にするための支持部材と、前記電子放出素
    子から放出された電子を加速するための加速電極とを備
    える画像形成装置であって、 前記支持部材には、当該支持部材に近接する電子放出素
    子の飛翔軌道を補正するための導電性板が当該支持部材
    に略直交する方向に固定され、 当該導電性板上の、前記電子放出素子からの電子ビーム
    の通過する位置に空孔を設けたことを特徴とする画像形
    成装置。
  2. 【請求項2】 前記電子放出素子は、当該電子放出素子
    を形成している基板平面状に負極、電子放出部、正極が
    併設された素子であることを特徴とする請求項第1項に
    記載の画像形成装置。
  3. 【請求項3】 前記電子放出素子は表面伝導型放出素子
    であることを特徴とする請求項第1項に記載の画像形成
    装置。
  4. 【請求項4】 前記支持部材の表面には、高抵抗膜が施
    されていることを特徴とする請求項第1項に記載の画像
    形成装置。
  5. 【請求項5】 前記導電性板は、前記支持部材の正帯電
    の度合に応じた幅を有することを特徴とする請求項第1
    項に記載の画像形成装置。
  6. 【請求項6】 前記導電性板の空孔を形成する面は、前
    記支持部材近傍にあっては当該支持部材から離れるにし
    たがって前記リア基板に向けて傾斜していることを特徴
    とする請求項第1項に記載の画像形成装置。
  7. 【請求項7】 複数の電子放出素子が形成されたリア基
    板と、画像形成部材が形成されたフロント基板と、前記
    リア基板と前記フロント基板との間に介在し、当該2つ
    の基板間隔を略一定にするための支持部材と、前記電子
    放出素子から放出された電子を加速するための加速電極
    とを備える画像形成装置であって、 前記支持部材上には、前記加速電極による等電位線が前
    記リア基板或いは前記フロント基板に並行、もしくは、
    支持部材から離れるに従って前記リア基板側に傾斜させ
    る電位分布形成部が設けられていることを特徴とする画
    像形成装置。
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