JPH10277065A - 歯科補綴物の３次元形状測定方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 計測時間が短く、ＣＡＤ操作が不要であり、
処理ソフトウエアが簡素であり、さらには歯科補綴物単
品の形状が容易に算出できるような歯科補綴物の３次元
形状測定方法を提供する。 【解決手段】 歯科補綴物のワックスパターン３を回転
させる手段と、ワックスパターン３と光学式変位計６と
を相対的に位置決めする手段と、を有する歯科補綴物の
３次元形状を測定する３次元形状測定装置において、支
台歯模型２にこれを回転させるためのスプール１を取付
け、このスプール１を回転させながら支台歯模型２とワ
ックスパターン３との組み合わせ品の計測を行うことに
より組み合わせ品の形状データを得、スプール１を取り
外さない状態でワックスパターン３を取り除いた後、ス
プール１を回転させながら支台歯模型２のみの計測を行
うことにより支台歯模型２の形状データを得、組み合わ
せ品及び支台歯模型２のそれぞれの形状データよりワッ
クスパターン３の形状を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本願発明は、レーザー変位計
を用いて、被測定物、特に歯科技工用に使用する支台歯
のモデル、歯科補綴物のワックスパターンあるいはそれ
らの組み合わせ品の３次元形状を測定する方法に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】クラウン等の穴部分のある形状を有する
歯科補綴物をＣＡＤ／ＣＡＭ装置で作製する際には、加
工対象とする歯科補綴物の３次元形状データを予め得て
おく必要がある。このための方法として、例えば、特開
平８−１１２２９４号に開示されているものでは、レー
ザー変位計等の光学式変位計により支台歯模型の形状を
計測する際に、補綴の対象となる歯に隣接する歯のデー
タを同時に計測し、歯科補綴物の外形寸法は、標準デー
タを基に、ＣＡＤ操作により設計するようにしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、この特開平８
−１１２２９４号の方法は、以下の問題点があった。 ．補綴対象の支台歯模型のデータとともに周囲歯列の
形状も計測する必要があり、計測時間が長くかかる。 ．パターン作製の技工操作が不要である反面、歯科補
綴物の外形設計のためのＣＡＤ操作という歯科技工士に
とって不慣れな作業が必要である。 ．データベースに登録した基準形状データを任意の形
状に変形できることが望まれるが、こうした機能を実現
するための処理ソフトウエアはかなり複雑なものとな
り、また、ＣＡＤの操作性も必ずしも良いわけではない
ため、一般に普及するにはいたっていない。

【０００４】一方、歯科技工士にとっては、豊富な経験
に基づくノウハウを歯科補綴物の外形形状に盛り込むた
めには、ＣＡＤ操作よりもワックスパターン作製の操作
のほうが慣れているため、歯科補綴物のパターンをワッ
クス等で作製し、その形状を計測し、３次元形状データ
を得るという方法も考えられる。しかし、 ．クラウン等のワックスパターンは穴を有する形状で
あるため、レーザー変位計等の光学センサーで穴の内面
を計測する際、光線が内壁で遮られるという問題点があ
り、ワックスパターン単品の形状計測は困難である。

【０００５】本発明は、上記の従来技術の問題点を解決
するためになされたものであり、計測時間が短く、ＣＡ
Ｄ操作が不要であり、処理ソフトウエアが簡素であり、
さらには歯科補綴物単品の形状が容易に算出できるよう
な歯科補綴物の３次元形状測定方法を提供することを目
的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明では、クラウン等の穴部分のある形状を有
する被測定物としての歯科補綴物のワックスパターン及
びこのワックスパターンを支持する支台歯模型を回転さ
せる手段と、このワックスパターン及び支台歯模型と光
学式変位計とを相対的に位置決めする手段と、を有す
る、歯科補綴物の形状データを得るため３次元形状測定
装置において、支台歯模型にこれを回転させるためのス
プールを取付け、このスプールを回転させながら支台歯
模型とワックスパターンとの組み合わせ品の計測を行う
ことにより組み合わせ品の形状データを得、スプールを
取り外さない状態でワックスパターンを取り除いた後、
スプールを回転させながら支台歯模型のみの計測を行う
ことにより支台歯模型の形状データを得、前記組み合わ
せ品の形状データ及び支台歯模型の形状データよりワッ
クスパターンの形状を算出するようにしたことを特徴と
する歯科補綴物の３次元形状測定方法とした。

【０００７】この構成としたことにより、歯科補綴物の
ワックスパターンの形状は、支台歯模型と歯科補綴物の
ワックスパターンとの組み合わせ品の計測により得られ
た形状データと、支台歯模型単体の計測により得られた
形状データを基に算出されることとなり、単体での直接
計測が困難な歯科補綴物のワックスパターン自体の形状
を計測する必要はないとともに、歯科補綴物の形状デー
タをＣＡＤ操作により作成する必要もない。特に、上記
の構成では、支台歯模型と歯科補綴物のワックスパター
ンとの組み合わせ品及び支台歯模型単体の３次元形状デ
ータの取得過程において、計測基準となる支台歯模型は
スプールから取り外されないため、組み合わせ品と支台
歯模型単体との相対位置関係が変化しないので、複雑な
座標変換等の操作を要することなく、２つの形状データ
を容易に合成することができる。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につい
て、図面を参照して説明する。図１は、支台歯模型２
と、これに載置された歯科補綴物のワックスパターン
３、及び支台歯模型２を回転させるために取り付けられ
たスプール１の位置関係を示す図である。図２は歯科補
綴物のワックスパターン３が支台歯模型２に載置された
状態における計測形態を示す図である。図３は歯科補綴
物のワックスパターン３が支台歯模型２から取り外され
た状態における計測形態を示す図である。図４は図１と
は異なるスプール１の取付形態を示す図である。

【０００９】図１に示すように、支台歯模型２の側面に
これを支持するとともに回転軸７の回りに回転可能にさ
れたスプール１を取付け、支台歯模型２及び歯科補綴物
のワックスパターン３を組み合わせた第１の被測定物を
回転動作するようにしている。

【００１０】まず、スプール１を回転させながら支台歯
模型２と歯科補綴物のワックスパターン３との組み合わ
せ品の計測を行うことにより、この組み合わせ品の形状
データを得る。詳しくは、図２に示すように、レーザー
光の投射光軸４及び第１の被測定物で反射された反射光
軸５が、第１の被測定物の回転軸７に対して直角となる
ように、レーザー変位計６を設置する。そして、高精度
な計測データを得るために、レーザー光の投射光軸４が
第１の被測定物の回転軸７に直角な断面形状の外周表面
に直角かつ一定距離をおいて当たるように、レーザー変
位計６及び第１の被測定物のそれぞれを図示しない位置
決め装置により相対的に位置決めして、計測データであ
る点データを得る。

【００１１】さらに、スプール１を回転させることによ
り、回転軸７まわりの全周にわたって点データを取得
し、かつ、図示しない位置決め装置により第１の被測定
物を回転軸７の長手方向に移動させ、この方向に一定ピ
ッチで同様の点データを取得するようにすれば、第１の
被測定物全体の３次元形状データが得られる。この計測
では、第１の被測定物は、単歯を対象としたクラウンの
支台歯模型１と、同ワックスパターン３の組み合わせ品
であるため、歯科補綴物のワックスパターン３単体のよ
うに深い穴部分がなく、レーザー光の反射光軸５が被測
定物に遮られるような不具合は無い。

【００１２】なお、図２に示すように、スプール１は取
付ジグ９に取り付けられており、この取付ジグ９が図示
しない位置決め装置により、回転軸７のまわりに回転及
び回転軸７の軸方向に移動されることにより、スプール
１及びこれに支持された第１の被測定物が動作するよう
にされている。また、レーザー変位計６及び第１の被測
定物のそれぞれの位置決めを高精度に行わせるために、
これらを動作させる図示しない位置決め装置のアクチュ
エータとしては、数値制御されるサーボモータの使用が
望ましい。

【００１３】次に、スプール１を取り外さない状態で歯
科補綴物のワックスパターン３を取り除いた後、スプー
ル１を回転させながら支台歯模型２のみの計測を行うこ
とにより支台歯模型２の形状データを得る。詳しくは、
第１の被測定物を取付けジグ９に取り付けたままの状態
で、歯科補綴物のワックスパターン３のみを支台歯模型
２から取り外す。この状態での被測定物すなわち支台歯
模型２を第２の被測定物とする。図３に示すように、第
２の被測定物においても第１の被測定物と同様に深い穴
形状が無いため、第１の被測定物と同様の計測を行うこ
とにより第２の３次元形状データを得ることができる。

【００１４】最後に、上記の組み合わせ品の形状データ
及び支台歯模型の形状データより歯科補綴物のワックス
パターン３の形状を算出する。詳しくは、第１の３次元
形状データと第２の３次元形状データとを合成すること
により、第１の３次元形状データと第２の３次元形状デ
ータとの重複部分、すなわち、歯科補綴物のワックスパ
ターン３の内面以外の支台歯模型部分の形状データが取
り除かれた、目的とする歯科補綴物のワックスパターン
のみの３次元形状データを得ることができる。第１の３
次元形状データと第２の３次元形状データの取得におい
ては、支台歯模型２は取付ジグ９から取り外されていな
いため、第１の被測定物と第２の被測定物との相対位置
関係は変化していないので、第１の３次元形状データと
第２の３次元形状データの合成は、複雑な座標変換など
を行うことなく、単にデータを加え合わせるだけでよ
い。

【００１５】なお、上記の実施形態ではスプール１は支
台歯模型２の側面に取り付けられていたが、これを図４
に示すように、支台歯模型２の底面に垂直にスプール２
を取り付けるようにしてもよい。この場合は、レーザ変
位計６は下方に向けて設置し、上記の実施形態と同様
に、支台歯模型２と歯科補綴物のワックスパターン３と
の組み合わせ品の計測を行った後、スプール１を取り外
さず、そのままの状態で、ワックスパターン３を取り除
き、支台歯模型２のみの計測を行い、両計測データの合
成により、歯科補綴物のワックスパターン３の形状デー
タを得るようにする。

【００１６】

【発明の効果】本発明によれば、クラウン等の穴形状を
有する歯科補綴物のワックスパターン形状データを得る
ため、支台歯模型にスプールを取付け、支台歯模型と歯
科補綴物のワックスパターンとの組み合わせ品の計測を
行った後、スプールを取り外さず、そのままの状態で、
歯科補綴物のワックスパターンを取り除き、支台歯模型
のみの計測を行い、両計測データの合成により、歯科補
綴物のワックスパターン形状データを得るようにした。
そのため、ＣＡＤ操作によりクラウンの外形形状を設計
する必要がなく、自動計測により補綴物の３次元形状デ
ータを得ることができる。また、ワックスパターン作製
時に、隣接歯や対向歯との調整を行えるため、計測は補
綴対象歯のみでよく、隣接歯や対向歯等の周囲歯列の計
測は必要ないので、計測時間が短くて済む。また、技工
操作のノウハウはパターン作製で盛り込むことができ、
ＣＡＤ操作でモデル形状を変形、移動する場合に比べ、
細かな調整が容易となる。

【００１７】さらに、本計測には穴形状の計測を含まな
いため、光学式変位計と被測定物を相対的に適切な位置
関係に位置決めすることにより、被測定物の陰の影響を
受けることはなく、安定した測定が可能となる。また、
支台歯模型と歯科補綴物のワックスパターンとの組み合
わせ品、及び支台歯模型のそれぞれの３次元形状データ
の取得過程において、支台歯模型はジグから取り外さな
いため、相対位置関係が変化せず、２つの計測データは
複雑な座標変換等の操作をすることなく容易に合成でき
るものとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】支台歯模型２と、これに載置された歯科補綴物
のワックスパターン３、及び支台歯模型２を回転させる
ために取り付けられたスプール１の位置関係を示す図で
ある。

【図２】歯科補綴物のワックスパターン３が支台歯模型
２に載置された状態における計測形態を示す図である。

【図３】歯科補綴物のワックスパターン３が支台歯模型
２から取り外された状態における計測形態を示す図であ
る。

【図４】図１とは異なるスプール１の取付形態を示す図
である。

【符号の説明】

１ スプール ２ 支持台模型 ３ 歯科補綴物のワックスパターン ６ 光学式変位計（レーザ変位計）

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】クラウン等の穴部分のある形状を有する被
   測定物としての歯科補綴物のワックスパターン及び該ワ
   ックスパターンを支持する支台歯模型を回転させる手段
   と、該ワックスパターン及び支台歯模型と光学式変位計
   とを相対的に位置決めする手段と、を有する、歯科補綴
   物の形状データを得るため３次元形状測定装置におい
   て、 前記支台歯模型にこれを回転させるためのスプールを取
   付け、 該スプールを回転させながら前記支台歯模型と前記ワッ
   クスパターンとの組み合わせ品の計測を行うことにより
   該組み合わせ品の形状データを得、 前記スプールを取り外さない状態で前記ワックスパター
   ンを取り除いた後、スプールを回転させながら前記支台
   歯模型のみの計測を行うことにより支台歯模型の形状デ
   ータを得、 前記組み合わせ品の形状データ及び前記支台歯模型の形
   状データより前記ワックスパターンの形状を算出するよ
   うにしたことを特徴とする歯科補綴物の３次元形状測定
   方法。