JPH10276609A - アワビ稚貝礁及びこれを利用したアワビ稚貝蝟集方法 - Google Patents

アワビ稚貝礁及びこれを利用したアワビ稚貝蝟集方法

Info

Publication number
JPH10276609A
JPH10276609A JP9086725A JP8672597A JPH10276609A JP H10276609 A JPH10276609 A JP H10276609A JP 9086725 A JP9086725 A JP 9086725A JP 8672597 A JP8672597 A JP 8672597A JP H10276609 A JPH10276609 A JP H10276609A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
abalone
habitat
reef
larvae
light
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9086725A
Other languages
English (en)
Inventor
Akihiro Tasai
彰浩 太齋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Central Research Institute of Electric Power Industry
Original Assignee
Central Research Institute of Electric Power Industry
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Central Research Institute of Electric Power Industry filed Critical Central Research Institute of Electric Power Industry
Priority to JP9086725A priority Critical patent/JPH10276609A/ja
Publication of JPH10276609A publication Critical patent/JPH10276609A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/80Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in fisheries management
    • Y02A40/81Aquaculture, e.g. of fish

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アワビの稚貝が散逸せずに棲み付くようにす
る。 【解決手段】 海底に設置されてアワビの稚貝2が棲み
付く棲息部3を形成するアワビ稚貝礁1において、棲息
部3はアワビの稚貝2が集まる暗さに遮光されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、海中でアワビの稚
貝を棲み付かせるアワビ稚貝礁及びこれを利用したアワ
ビ稚貝蝟集方法に関する。更に詳述すると、本発明はア
ワビ稚貝礁のアワビが棲み付く棲息部の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】アワビを養殖するためには、海中にアワ
ビ稚貝礁を沈めてアワビの稚貝を棲み付かせている。従
来のアワビ稚貝礁としては、ある程度の波で転がるよう
に設計された厚みのある円盤形のブロックが知られてい
る。このアワビ稚貝礁は稚貝にとって好適な餌環境を保
つことに重点をおいたものであり、中央部が膨らんだ円
盤形ブロックの上下両面にアワビの稚貝が付着して棲み
付くU字形の凹みがそれぞれ形成されている。
【0003】このアワビ稚貝礁は、例えば大きな波が来
たときにのみ転がり裏返しになるように設けられてい
る。したがって、アワビ稚貝礁の上面に生えていた海藻
が下面になって枯れてしまうので、上となった面にはア
ワビの稚貝が好む小さな海藻のみが繁茂する。これによ
り、アワビ稚貝はアワビ稚貝礁の表面に生えた小さな海
藻を餌にしながら棲み付くことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たアワビ稚貝礁ではアワビ稚貝の散逸を防ぐことが十分
ではなく予め設定された領域・場所での増殖を実現する
ことが困難であった。
【0005】そこで、本発明は、アワビの稚貝が散逸せ
ずに棲み付くことができるアワビ稚貝礁及びアワビ稚貝
蝟集方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに本願発明者が実験を重ねた結果、アワビの稚貝は光
量の勾配を感知し、より暗い方へと移動する性質を有し
ていることを知得した。そして、この光量の下限、即ち
これよりも暗いと光量の勾配を感知せず移動しない光量
は、0.001μE/m2 /sec付近であることが実
験により求められた。このことにより、従来のアワビ稚
貝礁からアワビ稚貝が散逸した理由は、凹みの内部に光
が入り易く、アワビ稚貝が嫌がらない光の強さとなる部
分がごく限られていたことに因るものと推測される。
【0007】本発明はかかる知見に基づいてなされたも
のであって、請求項1の発明は、海底に設置されてアワ
ビの稚貝が棲み付く棲息部を形成するアワビ稚貝礁にお
いて、棲息部がアワビの稚貝が集まる暗さに遮光される
ようにしている。より好ましくは、棲息部に昼間でも
0.001μE/m2 /secよりも暗くなる領域が形
成されるように遮光されることである。この場合、日中
には遮光された棲息部と周りの海底との間には光量の勾
配が発生し、アワビの稚貝は棲息部内に集まり、尚かつ
棲息部の中のある程度暗い処に棲み付き、当該構造物よ
り外に出ることが希になる。
【0008】一方、夜間には、採餌のために外に出て動
き回れるが、夜明けには再び光量の勾配を感知してより
暗い構造物・アワビ稚貝礁内へ多くのものが蝟集するこ
とから、アワビ稚貝礁を設置しないケースに比べて目的
の場所に止まる個体数が多くなり、増殖が実現される。
【0009】また、請求項2のアワビ稚貝礁では、棲息
部は水平なトンネル状であると共に、棲息部の内壁面に
密着し、かつ棲息部の内外に移動可能な付着板を備える
ようにしている。この場合、海面から差し込む光は水平
なトンネル内には深く入り込まないので、棲息部内に確
実に遮光された領域を確保できる。しかも、トンネル内
では潮の流れが妨げられず、アワビ稚貝の棲息に快適な
環境が維持される。さらに、棲息部の内壁面に密着して
付着板が設けられているので、アワビ稚貝は付着板の上
に付着する。このため、付着板を棲息部から引き出すだ
けでアワビ稚貝の採取を行うことができる。
【0010】また、請求項3のアワビ稚貝礁では、棲息
部の出入口に遮光板を設けるようにしている。したがっ
て、光線が棲息部に直接入り込むことがなく、遮光性が
より高くなりアワビ稚貝が好む棲息部が広がる。
【0011】さらに、本願発明者は実験を重ねた結果、
アワビ稚貝は海底の低い方に移動する習性を有している
ことを知見するに至った。請求項4に記載のアワビ稚貝
蝟集方法はかかる知見に基づいて為されたものであっ
て、上述のアワビ稚貝礁を海底の窪みの底部に設置する
ようにしている。この場合、採餌のために、夜間、アワ
ビ稚貝礁から出ていたアワビ稚貝が、夜明けと共に海底
の低い方に移動すると、そこにアワビ稚貝礁が設置され
ているので、光量の勾配を感知し、そのままその棲息部
に入り込むことが期待できる。したがって、より多くの
アワビ稚貝が目的の場所に止まることが期待できる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成を図面に示す
実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。アワビ稚
貝礁1は海底に設置されてアワビ稚貝の棲みかとして光
を遮る構造物となるもので、図1及び図2に示すように
アワビの稚貝2が棲み付く棲息部3を備える。そして、
この棲息部3はアワビの稚貝2が集まる暗さに遮光され
た領域、即ち構造物の周囲よりも暗い領域、より好まし
くは昼間でも0.001μE/m2 /secよりも暗い
領域を形成する構造とされている。
【0013】例えば、アワビ稚貝礁1は、ブロック状の
本体部4と、本体部4を支持する底板5とから成り、本
体部4の底面にトンネル状の棲息部3を形成して成る。
本体部4は例えばコンクリート製のブロックから成り、
アワビ稚貝礁1を海底6に設置したときに海流によって
移動しない重量を有するものとされている。本体部4の
下面には断面二等辺三角形の溝が平行に2本形成されて
いる。この溝が底板5との間で棲息部3,3を構成して
いる。
【0014】底板5はアワビ稚貝礁1の海底6への埋没
を防止するものであり、コンクリート製の平板から成
り、本体部4の底面にモルタルや接着剤などによる接着
あるいは締結手段などによる連結などによって一体化さ
れている。したがって、アワビ稚貝礁1は全体としてコ
ンクリートブロックの中に断面二等辺三角形のトンネル
で形成される棲息部3が水平に並んで2本設けられた構
造とされている。なお、本実施形態では本体部4と底板
5とを別部材として取り付けているので、本体側のコン
クリートブロックの底面にトンネル状の棲息部3を容易
に形成することができる。
【0015】そして、本実施形態では棲息部3は下寄り
の位置に1段のみ形成されているので、複数段の棲息部
3が形成される場合に比べてアワビ稚貝2の棲息部3の
容積に対する収容効率を高くすることができる。このこ
とは、本願発明者が知得したアワビ稚貝2が低い方に移
動し易いという性質より明らかであり、複数段の棲息部
3が形成される場合には最下段の棲息部3からアワビ稚
貝2が集中し、順次上の段の棲息部3に稚貝が侵入して
棲息する。
【0016】また、各棲息部3にはアワビ稚貝2を付着
させる板、例えば塩化ビニル製の付着板7がそれぞれ収
容されている。各付着板7,7,7は各棲息部3,3,
3の各内壁にそれぞれ密着する大きさとされている。そ
して、1枚の付着板7の2つの長辺に他の付着板7,7
の長辺が折り曲げ可能に取り付けられている。これによ
り、3枚の付着板7,7,7を三角柱形状にして棲息部
3にほぼ密着させながら収容させる。
【0017】そして、棲息部3の各内壁にはいずれも付
着板7が密着するので、アワビ稚貝2は付着板7の上に
付着する。このため、付着板7をアワビ稚貝礁1から引
き出すことによって、全てのアワビ稚貝2を容易に採取
することができる。なお、本実施形態では棲息部3に付
着板7を備えたものとしているが、これに限られず付着
板7を備えなくても構わない。この場合においても、ア
ワビ稚貝の散逸を防いで目的の場所での増殖を実現し得
る効果については変わらない。
【0018】ここで、棲息部3はトンネル状であるの
で、出入口以外からは光が入り込まない。また、光は海
面から差し込むので、棲息部3の各出入口から奥の方に
は光が届かないので中央部は十分に暗くなる。即ち、
0.001μE/m2 /secよりも暗くなる。これに
より、アワビ稚貝礁1の外にいるアワビ稚貝2はアワビ
稚貝礁1の棲息部3の入口付近に光量の勾配を感知して
集まると共に、棲息部3内へ入り、より暗い内側へ移動
してその場に棲み続ける。
【0019】また、棲息部3の出入口は、アワビ稚貝2
は自由に出入りできるがカニ等の外敵は入り込めない大
きさであることが望ましい。しかも、アワビ稚貝が暗い
場所を感知し易くするためには明るさの差がはっきりし
た空間を作ることが重要である。このことからも、棲息
部3の開口部は大きいと効果が低減すると考えられる。
そこで、棲息部3の開口部はアワビ稚貝が出入りできる
程度に小さくすることが好ましい。さらに、棲息部3の
全長は、少なくともその中央部が十分に暗くなる長さ、
より好ましくは十分な長さの暗部が形成される長さとさ
れる。
【0020】ところで、本願発明者は実験を重ねた結
果、メガイアワビの稚貝は0.001μE/m2 /se
c以上の光環境では暗い方に移動することを知見するに
至った。したがって、本実施形態のアワビ稚貝礁1によ
りメガイアワビの稚貝2を養殖する場合は、棲息部3の
少なくとも中央部が昼間でも0.001μE/m2 /s
ecよりも暗くなるように棲息部3の形状及び大きさや
アワビ稚貝礁1の設置位置を設定する。これにより、棲
息部3の少なくとも中央部は一日中0.001μE/m
2 /secよりも暗くなるので、明るい昼間でもアワビ
稚貝2が棲息部3に集まって棲み付く。勿論、0.00
1μE/m2 /secよりも暗い領域が棲息部3にでき
るだけ広く形成されるようにすることが好ましく、可能
であれば棲息部3の出入口に庇などを設けて出入口付近
にまで暗領域を形成することが効率を上げるうえで好ま
しい。
【0021】上述したアワビ稚貝礁1によりアワビ稚貝
2を養殖及び採取する手順を以下に説明する。まず、ア
ワビ稚貝礁1を海底6に設置する。このとき、図2に示
すように、海底6の窪み6aの底部6bにアワビ稚貝礁
1を設置することが好ましい。アワビ稚貝2は低い方に
移動する性質を有することから、アワビ稚貝礁1の周囲
にアワビ稚貝2を集めることができる。
【0022】そして、アワビ稚貝2をアワビ稚貝礁1の
周辺に放流する。アワビ稚貝2は海底6の低い方へ移動
してアワビ稚貝礁1の周辺に集まる。ここで、アワビ稚
貝2はアワビ稚貝礁1の棲息部3が暗いことを感知して
棲息部3に入り込む。
【0023】日中の海底6が明るいときには、アワビ稚
貝2は光量の勾配を感知し、明るい出入口側へは移動せ
ず、暗い棲息部3内に棲み付いて移動しない。一方、海
底6が暗くなる夜間には、アワビ稚貝2は採餌のために
棲息部3から出て動き回る。しかし、明け方になって海
底6が明るくなり始めると、アワビ稚貝2は海底の低い
箇所へ移動し、更にそこにあるアワビ稚貝礁1の棲息部
3に再び入り込む。
【0024】本実施形態によれば、棲息部3の中央部が
昼間でもアワビ稚貝2が集まる暗さとなるように棲息部
3の形状及び大きさが設定されているので、棲息部3に
アワビ稚貝2を集めることができる。これにより、アワ
ビ稚貝2の散逸を抑制して増殖を図ることができる。し
かも、アワビ稚貝礁1が海底6の窪み6aの底部6bに
設置されて周囲の海底6よりも低い位置に存在するの
で、アワビ稚貝2がその性質によって低い方に移動する
ことにより自然にアワビ稚貝礁1の周囲に集まることに
なる。これにより、アワビ稚貝2の散逸を防止すること
ができる。
【0025】したがって、アワビ稚貝礁1からのアワビ
稚貝2の離散が防止されるので、アワビ稚貝2を目的と
する場所に止めて増殖を実現することができる。また、
アワビ稚貝2はアワビ稚貝礁1に集中して棲息するの
で、漁業者にとって管理を容易に行うことができるよう
になる。
【0026】さらに、アワビ稚貝2を採取する際は、ア
ワビ稚貝礁1から付着板7を抜き出して開く。これによ
り、トンネル状の棲息部3の内部に付着したアワビ稚貝
2を容易に抜き取ることができ、作業性を向上させるこ
とができる。
【0027】なお、上述の実施形態は本発明の好適な実
施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発
明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能で
ある。本実施形態では棲息部3の断面形状を図1に示す
ように二等辺三角形としているが、これには限られな
い。例えば、正三角形や直角三角形等の三角形とした
り、図3に示すような正方形等の矩形としたり、図4に
示すような半円形や扇形としたり、図5に示すような円
形や楕円形としたり、図6に示すような複数の多角形を
連続させた形状とすることができる。いずれの場合も棲
息部3の出入口はアワビが自由に出入りできるもカニ等
の外敵が入り込めない大きさであると共に棲息部3の中
央部が昼間でもアワビ稚貝2が集まる暗さ、より好まし
くは0.001μE/m2 /secよりも暗い領域が形
成される大きさであることが好ましい。これにより、棲
息部3にアワビ稚貝2を集めて散逸を防止することがで
きる。
【0028】また、棲息部3の出入口以外にその内外を
連通する連通部を設けることもできる。例えば、図7に
示すように、棲息部3の長手方向に沿った一辺と本体部
4の外部とを連通する隙間から成る連通部3aを設ける
ことができる。また、図1の想像線で示すように、棲息
部3と本体部4の外部とを連通する貫通孔から成る連通
部3aを設けることができる。これらの場合、連通部3
aの高さ若しくは断面積を棲息部3の断面積に比べて十
分に小さくすることにより、棲息部3の内部を暗く維持
したまま棲息部3内の海水の流量を増加させることがで
きる。
【0029】さらに、図8に示すように、水平なトンネ
ル状の棲息部3を交差させることもできる。この場合、
アワビ稚貝礁1の四方の側面に棲息部3の出入口が形成
されるので、アワビ稚貝礁1の周囲に存在する全てのア
ワビ稚貝2がいずれかの棲息部3の出入口から中へ入る
ことができる。このため、アワビ稚貝礁1の周囲に死角
がなくなって、アワビ稚貝2をより多く集めることがで
きる。
【0030】ところで、上述した各実施形態では本体部
4に対して棲息部3が1段のみ形成した例について主に
説明しているが、これに限られず図9に示すように複数
の本体部4を積み重ねて、各本体部4に棲息部3を形成
したものとすることができる。すなわち、アワビ稚貝礁
1に複数段の棲息部3を形成することができる。この場
合、アワビには低い方に移動する性質があることから、
アワビ稚貝2は最下段の棲息部3に集中するが、その棲
息部3に入りきれないアワビ稚貝2はその上の段の棲息
部3に棲み付くことになる。したがって、アワビ稚貝2
を立体的に収容できることによりアワビ稚貝礁1の単位
面積当たりのアワビ稚貝2の収容量を増大することがで
きる。
【0031】また、上述した各実施形態では棲息部3の
出入口はアワビ稚貝礁1の両側面に形成されているが、
これには限られず一方の出入口を塞いでも構わない。こ
の場合、棲息部3への光の侵入をさらに少なくすること
ができる。
【0032】さらに、図10に示すように、棲息部3の
出入口に遮光板8を取り付けることもできる。この場
合、棲息部3の出入口を正面から遮ることができるの
で、海底6での反射光が棲息部3の出入口に正面から直
接侵入することを防止できる。ここで、アワビ稚貝2は
遮光板8の下の奥側に暗部を感知し、そこへ移動してか
ら更に棲息部3に出入りするので、棲息部3の出入り口
が隠れていても、アワビ稚貝2の出入りは妨害されるこ
とはない。
【0033】ところで、上述した各実施形態では棲息部
3は直線的なトンネルによって構成されている場合につ
いて主に説明したが、これに限られず例えば湾曲したト
ンネルあるいは紆余曲折したり、折れ線状に直線的に複
雑に屈曲したトンネル形状とすることもできる。さら
に、棲息部3の出入口よりも内側・中央部が広い形状と
することもできる。この場合、棲息部3への光の入射量
を抑えたままの内部を暗く維持したまま、なおかつ収容
空間を大きくすることができるので、多くアワビの稚貝
2を棲息させることができる。
【0034】また、上述した各実施形態では棲息部3を
トンネルで構成した例について主に説明しているが、こ
れには限られない。例えば、アワビ稚貝礁1を、図11
及び図12に示すように天板9及び底板10を支柱11
で連結してこれら天板9と底板10との間の空間を棲息
部3としても良い。そして、天板9の周縁には棲息部3
の側方を遮光する遮光板8を取り付けることが好まし
い。この場合、棲息部3には遮光板8の下部からしか光
が入り込まないので、棲息部3内を暗くしてアワビ稚貝
2を集めることができる。
【0035】さらに、図11及び図12に示す実施形態
では棲息部3は2枚の平板9,10により形成されてい
るが、これに限られず例えば図13に示すように天板9
をドーム状に形成したり、図示しない2枚の貝殻を合わ
せたような形状にすることもできる。この場合、下半分
を海底に埋めたり、大きな波によって転がるようにする
こともできるし、棲息部3の内部空間が大きくなるの
で、多くのアワビ稚貝2を収容することができる。ま
た、この場合も棲息部3の側方を遮光する遮光板を取り
付けて、棲息部3の内部に所定の暗さの領域を形成する
ことが好ましい。
【0036】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、請求項
1の発明は、海底に設置されてアワビの稚貝が棲み付く
棲息部を形成するアワビ稚貝礁において、棲息部がアワ
ビの稚貝が集まる暗さに遮光されるようにしているの
で、日中には遮光された棲息部と周りの海底との間には
光量の勾配が発生しアワビの稚貝は棲息部内に集まり、
尚かつ棲息部の中のある程度暗い処に棲み付き当該構造
物より外に出ることが希になると共に、夜間には採餌の
ために外に出て動き回れるが、夜明けには再び光量の勾
配を感知してより暗いアワビ稚貝礁内へ多くのものが蝟
集することから、アワビ稚貝礁を設置しないケースに比
べて目的の場所に止まる個体数が多くなり、増殖を実現
することができる。しかも、アワビ稚貝はアワビ稚貝礁
に集中して棲息するので、漁業者にとって管理を容易に
行うことができるようになる。
【0037】また、請求項2のアワビ稚貝礁では、棲息
部は水平なトンネル状であると共に、棲息部の内壁面に
密着し、かつ棲息部の内外に移動可能な付着板を備える
ようにしているので、棲息部にはトンネルの出入口以外
からは光線が入り込むことはなく海面から差し込む光は
水平なトンネル内には深く入り込まず、棲息部内に確実
に遮光された領域を確保できる。このため、アワビ稚貝
礁からのアワビ稚貝の散逸が防止されるので、アワビ稚
貝の増殖を実現することができる。しかも、トンネル内
では潮の流れが妨げられず、アワビ稚貝の棲息に快適な
環境が維持される。
【0038】さらに、棲息部の内壁面に密着して付着板
が設けられているので、アワビ稚貝は付着板の上に付着
する。このため、付着板を棲息部から引き出すだけでア
ワビ稚貝の採取を行うことができる。これにより、アワ
ビ稚貝の採取の作業性を向上させることができる。
【0039】また、請求項3のアワビ稚貝礁では、棲息
部の出入口に遮光板を設けるようにしているので、光線
が棲息部に直接入り込むことがなく、遮光性がより高く
なりアワビ稚貝が好む棲息部が広がる。このため、アワ
ビ稚貝礁からのアワビ稚貝の散逸が防止されるので、ア
ワビ稚貝の増殖を実現することができる。
【0040】さらに、請求項4のアワビ稚貝礁を利用し
たアワビ稚貝蝟集方法は、アワビ稚貝礁を海底の窪みの
底部に設置するようにしているので、採餌のために、夜
間、アワビ稚貝礁から出ていたアワビ稚貝が、夜明けと
共に海底の低い方に移動すると、そこにアワビ稚貝礁が
設置されていることになり、光量の勾配を感知し、その
ままその棲息部に入り込むことが期待できる。したがっ
て、より多くのアワビ稚貝が目的の場所に止まることが
期待でき、アワビ稚貝の増殖を期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアワビ稚貝礁を示す斜視図であり、
(A)は全体を、(B)は棲息部から取り出した付着板
を、(C)は開いた付着板をそれぞれ表わす。
【図2】アワビ稚貝礁の海底での設置状態を示す正面図
である。
【図3】アワビ稚貝礁の棲息部の断面形状が正方形であ
る実施形態を示す正面図である。
【図4】アワビ稚貝礁の棲息部の断面形状が半円形であ
る実施形態を示す側面図である。
【図5】アワビ稚貝礁の棲息部の断面形状が円形である
実施形態を示す側面図である。
【図6】アワビ稚貝礁の棲息部の断面形状が連続した三
角形である実施形態を示す正面図である。
【図7】アワビ稚貝礁の棲息部の側部が外部に連通した
実施形態を示す側面図である。
【図8】アワビ稚貝礁の棲息部が交差した実施形態を示
す側面図である。
【図9】アワビ稚貝礁の棲息部が複数段に重ねたもので
ある実施形態を示す斜視図である。
【図10】アワビ稚貝礁の棲息部の出入口に遮光板を設
けた実施形態を示す一部省略の斜視図である。
【図11】アワビ稚貝礁の棲息部の出入口に遮光板を設
けた他の実施形態を示す斜視図である。
【図12】図11に示すアワビ稚貝礁のXII−XII
線で切断した状態を示す側面図である。
【図13】アワビ稚貝礁の別の実施形態を示す斜視図で
ある。
【符号の説明】
1 アワビ稚貝礁 2 アワビの稚貝 3 棲息部 6 海底 6a 海底の窪み 6b 海底の窪みの底部 7 付着板 8 遮光板

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 海底に設置されてアワビの稚貝が棲み付
    く棲息部を形成するアワビ稚貝礁において、前記棲息部
    はアワビの稚貝が集まる暗さに遮光されていることを特
    徴とするアワビ稚貝礁。
  2. 【請求項2】 前記棲息部は水平なトンネル状であると
    共に、前記棲息部の内壁面に密着し、かつ前記棲息部の
    内外に移動可能な付着板を備えることを特徴とする請求
    項1記載のアワビ稚貝礁。
  3. 【請求項3】 前記棲息部の出入口に遮光板が設けられ
    ていることを特徴とする請求項1または2に記載のアワ
    ビ稚貝礁。
  4. 【請求項4】 アワビ稚貝礁を海底の窪みの底部に設置
    することを特徴とするアワビ稚貝礁を利用したアワビ稚
    貝蝟集方法。
JP9086725A 1997-04-04 1997-04-04 アワビ稚貝礁及びこれを利用したアワビ稚貝蝟集方法 Pending JPH10276609A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9086725A JPH10276609A (ja) 1997-04-04 1997-04-04 アワビ稚貝礁及びこれを利用したアワビ稚貝蝟集方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9086725A JPH10276609A (ja) 1997-04-04 1997-04-04 アワビ稚貝礁及びこれを利用したアワビ稚貝蝟集方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10276609A true JPH10276609A (ja) 1998-10-20

Family

ID=13894849

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9086725A Pending JPH10276609A (ja) 1997-04-04 1997-04-04 アワビ稚貝礁及びこれを利用したアワビ稚貝蝟集方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10276609A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102792904A (zh) * 2011-05-27 2012-11-28 白庠铉 三曲面海藻林鱼礁
JP2017176017A (ja) * 2016-03-30 2017-10-05 株式会社西村組 稚ナマコの中間育成施設及び放流方法
KR20190105807A (ko) * 2018-03-06 2019-09-18 (주)광명바이오산업 해삼 하면장치
CN110839584A (zh) * 2019-12-27 2020-02-28 安徽冠禅生物科技有限公司 一种水蛭过水养殖装置及养殖方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102792904A (zh) * 2011-05-27 2012-11-28 白庠铉 三曲面海藻林鱼礁
JP2017176017A (ja) * 2016-03-30 2017-10-05 株式会社西村組 稚ナマコの中間育成施設及び放流方法
KR20190105807A (ko) * 2018-03-06 2019-09-18 (주)광명바이오산업 해삼 하면장치
CN110839584A (zh) * 2019-12-27 2020-02-28 安徽冠禅生物科技有限公司 一种水蛭过水养殖装置及养殖方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Bumann et al. Mortality risk of spatial positions in animal groups: the danger of being in the front
JP3194157U (ja) 稚魚保護育成礁
KR100890281B1 (ko) 대형 정삼각뿔 인공어초
KR101598322B1 (ko) 다기능 계단형 인공어초
KR101180523B1 (ko) 해삼 및 전복용 초
KR101453990B1 (ko) 조식동물 포획을 위한 유인장치
KR101868222B1 (ko) 벤치형 어초
AU2012201758A1 (en) Artificial Reef for Seaweed
KR100852935B1 (ko) 인공 어초
JPH10276609A (ja) アワビ稚貝礁及びこれを利用したアワビ稚貝蝟集方法
KR101716651B1 (ko) 저인망 어업 방지기능을 갖는 인공어초
Takegaki Monogamous mating system and spawning cycle in the gobiid fish, Amblygobius phalaena (Gobiidae)
KR100948592B1 (ko) 원통 2단형 인공어초
KR101941538B1 (ko) 다중 육면체 구조를 갖는 인공어초
JP3598514B2 (ja) 餌料培養礁を備えた人工魚礁
KR100315165B1 (ko) 상자형 인공어초
KR200235672Y1 (ko) 강제 및 석재로 된 복합증식초
JP2012152126A (ja) 植生浮島における水生植物の根茎保護方法及びこれに用いる植生浮島
KR20040026980A (ko) 피라미드식 강제어초
JP3948769B2 (ja) 魚礁
JP2798382B2 (ja) 貝類養殖用海草植生シート
KR102402241B1 (ko) 해삼 문어 보육전용 다기능 어초
JP4390976B2 (ja) 人工魚礁
JPH06105634A (ja) カニ類飼育装置とカニ類飼育方法
JP3875194B2 (ja) ヤリイカ産卵礁