JPH10272123A

JPH10272123A - 遺伝子情報記録方法

Info

Publication number: JPH10272123A
Application number: JP9079578A
Authority: JP
Inventors: Keiichi Nagai; 啓一永井
Original assignee: Hitachi Ltd
Current assignee: Hitachi Ltd
Priority date: 1997-03-31
Filing date: 1997-03-31
Publication date: 1998-10-13

Abstract

(57)【要約】【課題】遺伝子情報を効率よく蓄積して、集積された
個人の遺伝子情報全体に高速にアクセスする遺伝子情報
記録方法を提供する。【解決手段】遺伝子情報記録ファイルは、遺伝子イン
デックスファイル１、キーワードインデックスファイル
２、および遺伝子情報ファイル３からなる。遺伝子イン
デックスファイル１には、ＧＥＮＥＩＤと、遺伝子情
報の記録アドレスとを記録する。遺伝子をグループで型
指定する場合、遺伝子群のＴＹＰＥＩＤを記録する。
キーワードインデックスファイル２には、遺伝子のキー
ワードを記憶し、遺伝子情報ファイル３には、遺伝子配
列情報、および多型遺伝子群の型の情報を記録する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、遺伝子情報に基づ
いて疾病の診断、治療を行う際に必要な遺伝子情報の記
録方法に関し、特に、個人の遺伝子情報を累積的に記録
するのに適した方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】ヒトゲノム計画等の進展により、ヒトを
含むいくつかの生物種の、ＤＮＡ塩基配列情報を代表と
する遺伝情報が急速に蓄積されてきている。また、ポジ
ショナルクローニングに代表される遺伝子探索手法の進
歩により、疾病の原因となる多くの遺伝子の同定も進み
つつある。今後、蓄積される莫大な情報に基づく遺伝子
機能の解明も急速に進むものと考えられる。現在、遺伝
子情報は、データベースを維持、管理するＧｅｎＢａｎ
ｋ、ＤＤＢＪなどの機関にある計算機システム中のハー
ドディスク、あるいは当該機関から配布されるＣＤ−Ｒ
ＯＭ中に種々のデータがまとめて収納されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】現在、従来から遺伝病
と考えられていた疾病に加えて、成人病等の多くの疾患
に何らかの形で遺伝子が関与していることが分かりつつ
ある。また、ウイルス、細菌等によって引き起こされる
感染症における症状の発現の程度、あるいは薬剤の効果
などにも、何らかの形で遺伝子が関与していることが考
えられる。今後解明されるであろう遺伝子機能に関する
情報を合わせて考えると、将来の疾病の診断、治療にお
いては遺伝子に関する情報が不可欠と考えられる。この
ような遺伝子の関連する疾病の診断、治療を的確に行う
ためには、個人の遺伝子に関する情報が不可欠である。
各個人の遺伝子に関する情報を集中的に管理するのは、
維持、管理等のコスト面、あるいは倫理的な面から見て
問題がある。

【０００４】また、疾患の種類や時期によって異なる医
療機関で診療を受けることを考えると、各自の遺伝子情
報が記録された媒体を個人が所持、携帯することが望ま
しい。一方、一度に各個人の遺伝子に関する全情報、例
えば新生児に対して、それぞれのＤＮＡの全塩基配列を
得るといったことは、コスト面から難しい。また、遺伝
子機能、遺伝子間のネットワークの解明が進むにつれ
て、調べるべき遺伝子の数は徐々に増えてくる。さら
に、個人の疾病によって必要となる遺伝子の情報は異な
る。そこで、診療の際に必要となって検査を受けた遺伝
子部位の情報を順次蓄積して、以後の診療に役立てる方
が効率的である。以上により、遺伝子の関連する疾病の
診断、治療に際しては、個人で携帯可能であり、逐次蓄
積可能な遺伝子情報の記録手段が必要である。また、各
個人の全塩基配列の格納まで考慮すると、３Ｇバイトを
越える莫大な情報量となり、個別の遺伝子情報にアクセ
スする時間の短縮も大きな課題である。さらに、記録さ
れる個人の遺伝子情報は高度にプライベートなものであ
り、第３者に容易に内容を解読されるものであってはな
らない。

【０００５】本発明の目的は、逐次得られる遺伝子情報
を効率よく蓄積できる遺伝子情報記録方法を提供するこ
とである。また、本発明の他の目的は、集積された個人
の遺伝子情報全体への高速なアクセスを可能にする遺伝
子情報記録方法を提供することである。さらにまた、本
発明の他の目的は、プライバシーの保護を可能にする遺
伝子情報記録方法を提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明では、記録媒体に、個人の複数の遺伝子に関す
る情報と、この情報の記録媒体での記録アドレス情報
と、を記録することを特徴とする。また、個人の遺伝子
に関する情報にアクセスする際に入力される入力者識別
情報と個人を識別するための個人識別情報とを照合し
て、入力者識別情報と個人識別情報とが一致する場合
に、個人の遺伝子に関する情報にアクセスできるように
する個人識別情報を、記録媒体に記録することを特徴と
する。

【０００７】さらに、個人の遺伝子に関する情報が、Ｄ
ＮＡの塩基配列情報を含んでいてもよいし、遺伝子多型
の型情報を含んでいてもよい。また、記録媒体として、
ＩＣカード、磁気ディスク、光ディスク、または光磁気
ディスクのいずれかを用いる。

【０００８】さらに詳細に本発明を説明すると、記録媒
体に、個人の複数の遺伝子を識別するための遺伝子識別
情報と、遺伝子に関する遺伝子情報と、前記遺伝子のキ
ーワード情報と、遺伝子情報の記録媒体での記録アドレ
ス情報と、からなる情報群を記録することを特徴とし、
さらに遺伝子が、多型の遺伝子群の遺伝子を含む場合、
この情報群は遺伝子群を識別するために遺伝子多型の型
識別情報を含む。

【０００９】

【発明の実施の形態】本発明の実施例について図１を用
いて説明する。図１は、遺伝子情報記録ファイルの構成
を示す図である。本実施例の遺伝子情報記録ファイル
は、遺伝子インデックスファイル１、キーワードインデ
ックスファイル２、および遺伝子情報ファイル３からな
る。

【００１０】遺伝子インデックスファイル１には、人間
の全遺伝子に１０万程度あると想定される各遺伝子を識
別するＧＥＮＥＩＤと、その遺伝子の遺伝子情報が記
載されているアドレスとを記録する。多型を示す遺伝子
群等で、各遺伝子を個別に指定するよりグループで型指
定する方が簡便な場合、ＧＥＮＥＩＤの代わりに、そ
の遺伝子群を識別するＴＹＰＥＩＤを記録する。個別
遺伝子の情報と遺伝子群の情報を重複して記載する場合
には、遺伝子インデックスファイル１内の対応するＧＥ
ＮＥＩＤとＴＹＰＥＩＤが示す遺伝子が同一の遺伝
子であることを示す情報を記録することにより操作性を
向上できる。

【００１１】キーワードインデックスファイル２は、Ｇ
ＥＮＥＩＤまたはＴＹＰＥＩＤと、その遺伝子ある
いは遺伝子群に関する学術的名称、俗称、コードしてい
るタンパク質名、または関連する疾病の名称等のキーワ
ード等を格納したファイルである。このファイルの存在
により、操作者は、個別のＧＥＮＥＩＤあるいはＴＹ
ＰＥＩＤを記憶する必要なしに、人間が記憶しやすい
形のキーワードで必要な遺伝子情報にアクセスすること
が可能となる。ただし、このファイルは、本記録媒体を
読み取る側の計算機システム中のアプリケーションソフ
トあるいはそこからアクセスできる内部、外部の記憶媒
体中にあってもよい。

【００１２】遺伝子情報ファイル３には、遺伝子に関す
る遺伝子情報が格納されており、例えば、複数の遺伝子
に関する遺伝子配列情報、および多型遺伝子群の型に関
する情報が格納されている。以下、遺伝子情報ファイル
３について説明する。

【００１３】図２は、個別遺伝子の遺伝子配列情報の記
載例を示す図である。個別の遺伝子情報は、ＧＥＮＥ
ＩＤ５で始まり、／／で終了する。ＧＥＮＥＩＤ５
は、各遺伝子のＩＤ番号またはＩＤ符号である。これ
は、当該分野で世界的に共通である方が望ましいが、別
途対応表を用意すれば独自のものでも構わない。ＣＨＲ
ＯＭＯＳＯＭＥ欄には、当該遺伝子が存在する染色体
で、１から２２の数字およびＸ、Ｙを記載する。各染色
体中のより詳細な位置を記述してもよい。ＤＡＴＥは、
当該遺伝子情報が得られた日時を示す。ＭＥＴＨＯＤ
は、当該遺伝子のＤＮＡ塩基配列情報を得た手法を示
す。ＦＯＲＭは、収納されている遺伝子情報が、調節領
域、エクソン、イントロン等を含む全遺伝子情報か、例
えば調節領域のみ、あるいは重要なエクソン部位のみと
いった部分情報なのかといった情報を示す。ＮＯＴＥ
は、定型の項目に含まれないが、記録しておいたほうが
よいと思われる情報を登録者の判断で記録する領域であ
る。ＰＯＳＩＴＩＯＮは、例えば転写開始点とか翻訳開
始点といった基準をベースとした登録ＤＮＡ配列の開始
点と長さを示す。ＳＥＱＵＥＮＣＥには、当該遺伝子の
ＤＮＡ塩基配列を記載する。以上の項目は必要に応じて
取捨選択してもよいし、他の項目を加えてもよい。本実
施例はフラットファイルの例を示したが、記載方法はこ
れに限るものではない。

【００１４】図３は、多型遺伝子群の型に関する情報の
記載例を示す図である。ＨＬＡ遺伝子群を例に説明す
る。表の左上端のＴＹＰＥＩＤ６は、当該遺伝子群の
識別番号または識別符号である。この数または文字の最
初のアドレスが遺伝子インデックスファイル１に登録さ
れることになる。第２列が遺伝子多型を示すＨＬＡ遺伝
子群中の個別遺伝子の名称を示す。第３列には各遺伝子
毎に遺伝子座がホモかへテロかの情報を記載した。この
例では、０がホモで、１がへテロを示している。第４列
と第５列が各遺伝子毎の多型中で、当該個人が有する特
定の型を示す。本実施例では表形式で記載したが、記載
法はこれに限るものではない。また、項目は必要に応じ
て取捨選択してもよいし、他の項目を加えてもよい。

【００１５】本実施例のファイル構成を追記可能にする
ためには、予め、遺伝子インデックスファイル１、キー
ワードインデックスファイル２と遺伝子情報ファイル３
をその予想される情報量に基づき分割しておき、随時空
きスペースの先頭から追記するようにすればよい。ある
いは、記録するたびに上記３種のファイルを空きスペー
スの先頭から記録し、追記する際には、各ファイルの前
回記録分の最後に今回記録分のアドレス情報を記載して
おいてもよい。

【００１６】なお、本実施例におけるファイルの記録媒
体は容易に携帯できる容積、重量のものが望ましいが、
最適なものは、必要となる遺伝子情報ファイルの大きさ
に依存する。配列情報だけで３ＧバイトになるＤＮＡの
全塩基配列を記録する場合には、追記可能なディジタル
ビデオディスクのような大容量のものが必要となる。特
定の遺伝子に関する情報のみ記載すれば十分な場合に
は、取り扱いが容易なＩＣカードのようなものでもよ
い。その他必要に応じて、フロッピーディスク、携帯型
ハードディスクなどの磁気ディスク、あるいは光磁気デ
ィスク等を用いることができる。

【００１７】また、当該記録媒体の所有者が承認した場
合のみファイル内容にアクセス可能とするために、正し
い暗証番号を入力して本ファイルをオープンすることが
できるようにした。また、記録媒体中のファイルの中身
については、当該暗証番号を用いた関数により、ファイ
ル中の各文字、記号等を別の文字、記号等に変換して記
録することにした。これにより、暗証番号なしにはファ
イル内容の解読は不可能になった。

【００１８】以下、本実施例に記載の記録媒体の使用形
態について記述する。新生児あるいは一定年齢の幼児を
対象に、必要とされる特定の遺伝子検査を行う。これ
は、被験者の血液中の白血球に含まれるＤＮＡをベース
に、対象部位のＤＮＡ塩基配列を決定したり、対象部位
のＤＮＡ配列に相補的なＤＮＡプローブのハイブリダイ
ゼーション反応の程度を計測することなどによって実現
できる。これらの検査で得られた遺伝子情報の当該記録
媒体への登録は所定の医療機関で行われ、該記憶媒体へ
のアクセス、解読を可能とする暗証番号の登録は、新生
児あるいは幼児の保護者によって行われる。記録媒体へ
のアクセス権は、対象者が一定年齢に達するまでは保護
者が代行すればよい。その後の健康診断あるいは診療の
際に必要となって、新たに得られた遺伝子情報について
は、順次追記される。以後の診療行為で当該遺伝子情報
が必要になった場合には、当該医療機関で、当人あるい
は保護者による暗証番号入力後、必要とされる遺伝子情
報を読みだし、当該医療機関所有のデータベースあるい
は公共のデータベースを参照し、適当なアプリケーショ
ンプログラムを用いて解析することにより、個人遺伝子
情報に適った診療が受けられることになる。

【００１９】以上説明したように、遺伝子に関連する疾
病の診断、治療の際に必要となる遺伝子情報を個人で所
持、携帯することが可能となった。また、個人の遺伝子
情報に従った適切な診療が受けられるようになった。

【００２０】

【発明の効果】本発明により、逐次得られる遺伝子情報
を効率よく蓄積することが可能となった。また、集積さ
れた個人の遺伝子情報全体への高速なアクセスが可能と
なった。さらに、プライバシーの保護も可能となった。

【図面の簡単な説明】

【図１】遺伝子情報記録ファイルの構成を示す図。

【図２】遺伝子配列情報の記載例を示す図。

【図３】多型遺伝子群の型に関する情報の記載例を示す
図。

【符号の説明】

１…遺伝子インデックスファイル、２…キーワードイン
デックスファイル、３…遺伝子情報ファイル、４…記録
媒体中のアドレス、５…ＧＥＮＥＩＤ、６…ＴＹＰＥ
ＩＤ。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】記録媒体に、個人の複数の遺伝子に関する
情報と、前記情報の前記記録媒体での記録アドレス情報
と、を記録することを特徴とする遺伝子情報記録方法。
【請求項２】前記情報にアクセスする際に入力される入
力者識別情報と前記個人を識別するための個人識別情報
とを照合して、前記入力者識別情報と前記個人識別情報
とが一致する場合に、前記情報にアクセスできるように
する前記個人識別情報を、前記記録媒体に記録すること
を特徴とする請求項１に記載の遺伝子情報記録方法。
【請求項３】個人の遺伝子に関する前記情報が、ＤＮＡ
の塩基配列情報を含むことを特徴とする請求項１に記載
の遺伝子情報記録方法。
【請求項４】個人の遺伝子に関する前記情報が、遺伝子
多型の型情報を含むことを特徴とする請求項１に記載の
遺伝子情報記録方法。
【請求項５】前記記録媒体が、ＩＣカードであることを
特徴とする請求項１に記載の遺伝子情報記録方法。
【請求項６】前記記録媒体が、磁気ディスク、光ディス
ク、または光磁気ディスクであることを特徴とする請求
項１に記載の遺伝子情報記録方法。
【請求項７】記録媒体に、個人の複数の遺伝子を識別す
るための遺伝子識別情報と、前記遺伝子に関する遺伝子
情報と、前記遺伝子のキーワード情報と、前記遺伝子情
報の前記記録媒体での記録アドレス情報と、からなる情
報群を記録することを特徴とする遺伝子情報記録方法。
【請求項８】前記遺伝子が、多型の遺伝子群の遺伝子を
含む場合、前記情報群は、前記遺伝子群を識別するため
に遺伝子多型の型識別情報を、さらに含むことを特徴と
する請求項７に記載の遺伝子情報記録方法。
【請求項９】前記情報群にアクセスする際に入力される
入力者識別情報と前記個人を識別するための個人識別情
報とを照合して、前記入力者識別情報と前記個人識別情
報とが一致する場合に、前記情報群にアクセスできるよ
うにする前記個人識別情報を、前記記録媒体に記録する
ことを特徴とする請求項７に記載の遺伝子情報記録方
法。