JPH10271593A - スピーカ装置 - Google Patents

スピーカ装置

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JPH10271593A
JPH10271593A JP9072158A JP7215897A JPH10271593A JP H10271593 A JPH10271593 A JP H10271593A JP 9072158 A JP9072158 A JP 9072158A JP 7215897 A JP7215897 A JP 7215897A JP H10271593 A JPH10271593 A JP H10271593A
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JP9072158A
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Inventor
Akio Mizoguchi
章夫 溝口
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Sony Group Corp
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Aiwa Co Ltd
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Publication date
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    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04RLOUDSPEAKERS, MICROPHONES, GRAMOPHONE PICK-UPS OR LIKE ACOUSTIC ELECTROMECHANICAL TRANSDUCERS; DEAF-AID SETS; PUBLIC ADDRESS SYSTEMS
    • H04R1/00Details of transducers, loudspeakers or microphones
    • H04R1/20Arrangements for obtaining desired frequency or directional characteristics
    • H04R1/22Arrangements for obtaining desired frequency or directional characteristics for obtaining desired frequency characteristic only 
    • H04R1/227Arrangements for obtaining desired frequency or directional characteristics for obtaining desired frequency characteristic only  using transducers reproducing the same frequency band
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04RLOUDSPEAKERS, MICROPHONES, GRAMOPHONE PICK-UPS OR LIKE ACOUSTIC ELECTROMECHANICAL TRANSDUCERS; DEAF-AID SETS; PUBLIC ADDRESS SYSTEMS
    • H04R1/00Details of transducers, loudspeakers or microphones
    • H04R1/02Casings; Cabinets ; Supports therefor; Mountings therein

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
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  • Obtaining Desirable Characteristics In Audible-Bandwidth Transducers (AREA)
  • Circuit For Audible Band Transducer (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】好ましいステレオ感が得られる聴取位置を拡大
するのに好適な指向性を得る。 【解決手段】ボックス11の正面パネル11Fにスピー
カSP1を取り付け、その上面パネル11Uにスピーカ
SP1と同一口径のスピーカSP2を取り付ける。スピ
ーカSP1を正極性で駆動し、スピーカSP2を負極性
で駆動する。スピーカSP1,SP2の駆動電圧E1,
−E2を、E2/E1<1を満足する任意の値とする。
つまり、スピーカSP2の放射音圧をスピーカSP1の
放射音圧より小さくする。受音位置でのスピーカSP
1,SP2の合成音圧の指向係数は、90゜方向では、
スピーカ単体の指向係数D(90゜)に(1−α)なる
1よりも小さな値を掛けたものとなり、周波数に関係な
くスピーカの出力音圧を低下させることが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、指向性が付与さ
れるスピーカ装置に関する。詳しくは、スピーカボック
スの正面パネルに正極性で駆動される第1のスピーカを
取り付けると共に、スピーカボックスの例えば上面パネ
ルに負極性で駆動される第2のスピーカを取り付け、さ
らに第2のスピーカの放射音圧を第1のスピーカの放射
音圧より小さくすることによって、好ましいステレオ感
が得られる聴取位置を拡大するのに好適な指向性を実現
しようとしたスピーカ装置に係るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、指向性スピーカとしては、以下に
示すようなものがある。
【0003】例えば、図13に示すようなトーンゾイレ
形指向性スピーカ20がある。このスピーカ20は、ス
ピーカボックス21のパネル面に、複数個のスピーカ
(図では5個のスピーカ22a〜22e)を一列に線状
に配列してなるものである。このスピーカ20は、図1
3にのように、複数個のスピーカを横方向に配列した構
成とすることで、水平面内で鋭い指向性を持つようにな
る。
【0004】また例えば、図14に示すような両指向性
スピーカ30がある。このスピーカ30は、バッフル板
31の前後に2個のスピーカ32a,32bを向き合わ
せて取り付け、互いに逆極性で駆動するものである。
【0005】後述するように、この発明に係るスピーカ
装置は、上述したような従来の指向性スピーカとは、構
造および得られる指向性も異なるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の2チ
ャンネルステレオ再生用スピーカ40は、図15に示す
ように、左スピーカ41L、右スピーカ41Rがそれぞ
れスピーカボックス42L,42Rの前面パネル面に取
り付けられ、かつ前面パネル面を正面に向けて聴取され
る。このようなスピーカ40では、好ましいステレオ感
が得られる聴取位置は、図15に斜線で示すように左右
両スピーカの中心線上のa点を含む極めて狭い範囲に限
定される。
【0007】この場合、中心線上から外れたb点では、
聴取位置からスピーカまでの距離が左右で異なるので、
左スピーカ41Lの音は小さく、右スピーカ41Rの音
は大きく聞こえる。このために、b点では、右スピーカ
41Rの方向に片寄った音像定位となり、2チャンネル
ステレオとしても本来のサウンドステージが再現されな
くなる。
【0008】こうした問題の改善、つまり、好ましいス
テレオ感が得られる聴取位置の拡大を意図した2チャン
ネルステレオ音響の再生方法については、従来、スピー
カの指向性を利用する方法が採られている。
【0009】図16に示す2チャネルステレオ再生用ス
ピーカ50は、左スピーカ51L、右スピーカ51Rの
基準軸を、中央聴取位置から見て、45゜程度内方に向
けて、密閉形キャビネット52L,52Rに取り付けた
もので、スピーカの口径とキャビネットの寸法・形状に
依存する指向性を用いるものである。
【0010】すなわち、中心線上から外れた聴取位置、
例えばb点において、両スピーカからの距離の違いに基
づくL,R両信号音のレベル差が、スピーカの指向性に
よってより少なくなるように補正される働きにより、好
ましいステレオ感が得られる聴取位置を拡大しようとす
るものである。
【0011】しかし、スピーカの口径とキャビネットの
形状・寸法に依存する指向性は一般に、スピーカの口径
が小さいほど、より高い周波数から付き始め、中、低域
周波数では、ほぼ全指向性となる。特に、1kHz以下
の周波数での指向性が、上記聴取位置の拡大効果に、大
きな影響を与える。なお、図16において、曲線w1は
中、高域周波数での指向性パターンを示し、曲線w2は
中、低域周波数での指向性パターンを示している。ま
た、a点は、図15と同様に、左右両スピーカの中心線
上の点である。
【0012】聴取位置をより拡大できる指向性は、図1
7に曲線w3で示すように、スピーカの基準軸の前面方
向を0゜とすると、0゜から90゜方向にかけて音圧が
次第に低下するような指向性が必要で、0゜方向に比べ
て90゜方向で6dB以上音圧が低下することが望まし
い。
【0013】そこで、この発明では、例えば1kHz以
下の周波数で0゜方向(正面方向)に比べて90゜方向
で6dB以上音圧を低下できる指向性、従って好ましい
ステレオ感が得られる聴取位置を拡大するのに好適な指
向性を得ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】この発明に係るスピーカ
装置は、スピーカボックスの設置状態で正面に第1のス
ピーカを取り付けると共に、スピーカボックスの設置状
態で上面、下面または背面のいずれかの面に第2のスピ
ーカを取り付け、第1のスピーカを正極性で駆動すると
共に、第2のスピーカを負極性で駆動し、第2のスピー
カの放射音圧を第1のスピーカの放射音圧より小さくす
るものである。
【0015】受音位置での第1および第2のスピーカの
合成音圧の指向係数は、90゜方向では、スピーカ単体
の指向係数D(90゜)に(1−α)なる1よりも小さ
な値を掛けたものとなる。つまり、90゜の方向では、
周波数に関係なくスピーカの出力音圧を低下させること
が可能となる。この場合、出力音圧の低下率は、0゜か
ら90゜にかけて次第に増加し、90゜で最大(1−
α)となり、90゜から180゜にかけては次第に減少
するように変化する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、この
発明の実施の形態について説明する。図1は、実施の形
態としてのスピーカ装置10を示している。
【0017】直方体状のスピーカボックス11の設置状
態で正面パネル(前面パネル)11Fに第1のスピーカ
SP1が取り付けられる。また、スピーカボックス11
の設置状態で上面パネル11Uに、第1のスピーカSP
1と同一口径の第2のスピーカSP2が取り付けられ
る。この場合、スピーカSP2は、その基準軸L2がス
ピーカSP1の基準軸L1の方向に延びるように取り付
けられる。
【0018】また、スピーカSP1は正極性で駆動さ
れ、スピーカSP2は負極性で駆動される。そして、ス
ピーカSP1,SP2の駆動電圧E1,−E2は、E2
/E1<1を満足する任意の値とされる。これにより、
上述したようにスピーカSP1,SP2は同一口径のも
のであることから、スピーカSP2の放射音圧はスピー
カSP1の放射音圧より小さくなる。
【0019】図3は、スピーカSP1,SP2の駆動回
路13を示している。信号源15の出力音声信号SA
は、増幅器16で増幅されてスピーカSP1に供給され
る。これにより、スピーカSP1は駆動電圧E1によっ
て正極性で駆動される。また、信号源15の出力音声信
号SAは、減衰器17で減衰され、そして増幅器18で
増幅および反転されてスピーカSP2に供給される。こ
れにより、スピーカSP2は駆動電圧−E2(E2<E
1)によって、負極性で駆動される。
【0020】このほか、スピーカSP2の駆動力をスピ
ーカSP1よりも小さくする方法として、スピーカSP
2のボイスコイル抵抗値を、スピーカSP1のボイスコ
イル抵抗値よりも大きくする方法がある。この場合、ス
ピーカSP2のボイスコイル電流がスピーカSP1のボ
イスコイル電流よりも小さくなり、スピーカSP2の駆
動力をスピーカSP1の駆動力よりも小さくできる。こ
の方法は、一台の増幅器で、両スピーカを並列駆動でき
る利点がある。
【0021】図1の構造において、スピーカSP1をF
1なる駆動力で、スピーカSP2を−F2なる駆動力
で、両者同時に駆動した場合のスピーカSP1の振動板
の振動速度をV1とすると、(1)式のように表され
る。
【0022】
【数1】
【0023】ここに、V0は(2)式で示され、s0は
振動板の等価スチフネス、m0は振動板の実効質量、r0
は電磁制動抵抗を含む等価機械抵抗、s1は箱内空気の
呈する等価スチフネスである。また、ω0はm0とs0と
で生ずる振動板自身の最低共振角周波数、Q0はその共
振のQである。
【0024】
【数2】
【0025】次に、スピーカSP2の振動速度をV2と
すると、(3)式のように表される。
【0026】
【数3】
【0027】ここで、(1)式、(3)式の{}内の第
2項は、両スピーカが共通の気室を有していることに基
づく、相互影響によって生ずるものであり、次のように
取り扱うことができる。すなわち、{}内、第2項は、
2次のLPF(ローパスフィルタ)特性をもち、その遮
断周波数f0は、スピーカ振動板の最低共振周波数であ
る。このf0は、一般に200Hz以下の低い周波数に
設定できるものであり、かつ、箱の内容積の設定如何
で、s1/s0≪1にすることも極めて容易である。
【0028】したがって、約200Hz以上の周波数範
囲を対象とすれば、{}内の第2項は、第1項に比べて
省略して差し支えない。
【0029】そこで、{}内の第2項を省略すると、V
1およびV2は、それぞれ(4)式および(5)式のよ
うに表される。 V1=V0 ・・・(4) V2=−V0(F2/F1) ・・・(5)
【0030】ここで、スピーカSP1とSP2から放射
される音波の合成音圧について、理論的な検討を行うた
めに、図4に示すような考え方をとる。なお、スピーカ
SP1の前面と、スピーカSP2の開口面の中心間の空
間距離をdとする。また、スピーカSP1とスピーカS
P2から放射される音波の水平面内での一方向成分に着
目し、スピーカSP1の基準軸L1の前面方向を0゜と
して、着目する方向とのなす角を、時計方向にθとす
る。
【0031】図4において、受音位置とスピーカ間の距
離rが、1m以上ある場合には、受音位置での音波は、
ほぼ平面波と見なして差し支えない。また、スピーカの
振動板は有限な面積をもっているので、この面から放射
される音波は、箱の寸法,形状とも関連して、周波数が
高くなるにつれて、スピーカの口径に依存する指向性を
持ち、口径が大きいほど、より低い周波数から指向性が
つき始める。
【0032】そこで、こうした指向性の指向係数をD
(θ)で表すとすれば、スピーカSP1から放射される
音波の受音位置での音圧P1(θ)は、(6)式で表さ
れる。なお、Sは振動板の有効面積、ρは空気の密度、
cは音速である。
【0033】
【数4】
【0034】次に、スピーカSP2から放射される音波
については、スピーカSP2がスピーカボックス11の
上面パネルUに取り付けられているので、水平面内での
指向係数は、θ=0°〜360°の範囲で、常にD(9
0°)である。また、受音位置での音圧P2(θ)は、
P1(θ)に対してdcosθなる時間遅れを生じ、か
つ、スピーカSP2はスピーカSP1とは異なった負極
性の−E2なる電圧で駆動される。そのため、スピーカ
SP2から放射される音波の受音位置での音圧P2
(θ)は、振動板の振動速度を−V2として、(7)式
で表される。
【0035】
【数5】
【0036】したがって、合成音圧P(θ)は、P1
(θ)+P2(θ)であるから、(8)式で表される。
【0037】
【数6】
【0038】そこで、F2/F1=α<1とおくと、
(8)式は、(9)式のように表される。
【0039】
【数7】
【0040】また、スピーカSP1から放射される正面
方向(θ=0°)の音波の受音位置での音圧P0は、
(10)式で表される。そのため、P(θ)/P0は、
(11)式で表される。
【0041】
【数8】
【0042】(11)式は、受音位置での合成音圧の指
向係数を表している。(11)式において、ω/с=k
とおき、三角関数で表すと、(11)式は、(12)式
のように表される。
【0043】
【数9】
【0044】そこで、θ=0゜,90゜,180゜の3
方向の指向係数を(12)式から求めると、(13)
式、(14)式、(15)式で表される。
【0045】
【数10】
【0046】ここで、スピーカの口径と箱の形状、寸法
に依存する指向性は、低い周波数では全指向性である。
故に、低い周波数での指向係数は、D(0゜)≒D(9
0゜)≒D(180゜)≒1となる。また、kd≪1の
低い周波数では、coskd≒1、sinkd≒kdと
なると共に、kdは1に比べて省略できる。したがっ
て、(13)式、(14)式、(15)式は、いずれも
1−αなる値となる。つまり、低い周波数では、合成音
圧の指向性は、1−αなる値の全指向性になる。
【0047】次に、周波数が高くなると、スピーカの口
径と箱の形状、寸法に依存する指向性が付き始め、より
高い周波数ほどシャープな指向性になる。しかし、図1
に示すスピーカ装置10の指向性の特徴は、(14)式
で示されるように、90゜方向の指向係数が、スピーカ
単体の指向係数D(90゜)の値に(1−α)なる1よ
りも小さな値が掛算されるので、スピーカの出力音圧
を、90゜の方向で、周波数に関係なく、より低下させ
ることができる点にある。この出力音圧の低下は、90
゜の一方向だけではない。この場合、出力音圧の低下率
は、0゜から90゜にかけて次第に増加し、90゜で最
大(1−α)となり、90゜から180゜にかけては次
第に減少するように変化するそこで、スピーカ装置10
の出力音圧特性と指向性について、実測結果に基づいて
より具体的に説明する。
【0048】この場合、スピーカボックス11の寸法
は、スピーカSP1の取り付け面が縦、横が11cmの
正方形、奥行きが16cmである。スピーカSP1,S
P2として、いずれも口径が8cmのダイナミックスピ
ーカを用いている。dは、10cmに設定されている。
【0049】次に、実測結果について説明する。
【0050】図5は、スピーカSP1のみを駆動したと
きの出力音圧指向周波数特性を、0゜,90゜,180
゜の3方向のθについて、無響室で測定した結果であ
る。図5によれば、約300Hz以下の周波数での指向
性は、殆ど全指向性である。300Hz以上の周波数に
おける90゜,180゜方向の出力音圧特性は、周波数
が高くなるにつれて、平均的には、ほぼ−6dB/oc
tの割合で低下する。このことは、300Hz以上の周
波数での指向性は、周波数が高くなるにつれて、鋭い指
向性になることを示している。
【0051】そこで、スピーカSP1のみを駆動したと
きの指向性パターンを実測してみると、図6および図7
に示すようになる。測定周波数は、200Hz,500
Hz,1kHz,2kHz,5kHz,10kHzの6
周波数である。これら図6および図7から明らかなよう
に、指向性は、周波数が高くなるにつれて、より鋭くな
る。
【0052】しかし、スピーカSP1のみを駆動する場
合、500Hzより低い周波数では、殆ど全指向性に近
い指向性であり、正面方向(θ=0゜)の音圧に対し
て、90゜方向の音圧低下が少なすぎる。したがって、
好ましいステレオ感が得られる聴取位置の拡大効果をも
たらす指向性としては、好ましくない。
【0053】次に、スピーカSP1,SP2の両方を、
前記理論に従って駆動した場合の実測結果について説明
する。
【0054】まず、図8、図9および図10は、前記α
の値を、0.316(−10dB),0.5(−6d
B)および0.708(−3dB)としたときの出力音
圧指向周波数特性を、0゜,90゜,180゜の3方向
について実測した結果を示したものである。これによれ
ば、低い周波数、即ちこの場合、約200Hz以下の周
波数では、前記理論的な検討で述べたように、殆ど指向
性が付かないが、300Hzよりも高い周波数では、9
0゜方向の音圧特性は、平均的にみると、スピーカSP
1のみを駆動した場合に比べて、α=0.316では約
−3dB、α=0.5では、約−6dB、α=0.70
8では、約−10dB低下している。
【0055】また、180゜方向の音圧特性は、ピー
ク、ディップを生じ、平均的にはスピーカSP1のみを
駆動した場合に比べて増大する傾向にある。しかし、1
80゜方向の音波は、一般の聴取条件からみて、スピー
カの後方に放射する音波であるから、聴取位置の拡大効
果には、直接影響することはない。
【0056】次に、正面方向、即ち、0゜方向の音圧特
性はスピーカSP1のみを駆動した場合に比べて、再生
帯域の低域限界が若干狭くなる程度で、周波数特性の変
化は僅少である。
【0057】なお、200Hz以下の周波数において、
90゜方向の音圧に比べて、0゜方向の音圧が若干高く
なり、逆に、180゜方向の音圧が若干低くなる傾向に
ある。この傾向は、αの値が1に近づく程大きくなる。
【0058】この現象は、スピーカと受音位置間の距離
に依存する問題であって、次のような理由に基づいてい
る。
【0059】即ち、前記の理論的な検討では、両スピー
カ間の空間距離dが、スピーカSP1と受音位置間の距
離rに比べて十分無視できる条件において、低い周波数
の指向性が全指向性になることを述べた。しかし、本文
で示した実測データは、dが10cmであるのに対し
て、γが100cmである。したがって、0゜方向で
は、スピーカSP2と受音位置間の距離が110cmと
なり、180゜方向では、同距離が90cmになる。
【0060】このために、スピーカSP1,SP2と受
音位置間距離が、0゜方向では100cm、110c
m、180゜方向では100cmと90cmとなり、1
0cm分、つまり、10%の距離の違いによる両音圧の
違いが、前記現象をもたらすことになる。わずか、10
%で、こうした現象を生ずるのは、受音位置での合成音
圧が、スピーカSP1とスピーカSP2から放射される
音波のベクトル和でなく、ベクトル差をとっているから
であって、両指向性あるいは単一指向性のマイクロホン
に特有の近接効果と全く同じ現象である。こうした近接
効果は、受音位置が音源に近いほど大きくなる。
【0061】以上は、0゜,90゜,180゜の3方向
についての出力音圧周波数特性であるが、次に、幾つか
の周波数における指向性パターンを実測した結果につい
て説明する。
【0062】図11および図12は、図6および図7に
示したスピーカSP1のみを駆動したときの指向性パタ
ーンに対応する指向性パターンである。αの値は、0.
5である。
【0063】2kHz以上の周波数の指向性パターンに
ついて、図7と図12とを比べてみると、90゜方向の
指向係数は、図12の方がより低下しているが、全体的
な指向性パターンには、それ程大きな変化はない。
【0064】しかし、2kHz以上の周波数では、SP
1のみでもかなり鋭い指向性を有しているので、好まし
いステレオ感が得られる聴取位置の拡大効果を持つ指向
性としては、スピーカSP1のみでも十分である。
【0065】これに対して、1kHz以下の指向性パタ
ーンについて図6と図11とを比べてみると、図11で
は、90゜方向の指向係数が1/2に減少するので、ヒ
ョウタン形の指向性パターンが得られている。したがっ
て、図1に示すスピーカ装置10によれば、好ましいス
テレオ感が得られる聴取範囲を拡大するのに好適な指向
性を得ることができる。
【0066】なお、上述実施の形態においては、スピー
カSP2がスピーカボックス11の設置状態で上面パネ
ル11Uに取り付けられるものを示したが、このスピー
カSP2は下面パネルや背面パネルに取り付けるように
してもよい。また、上述実施の形態においては、スピー
カSP1,SP2として同一口径のものを使用したもの
であるが、これらスピーカSP1,SP2として異なる
口径のものを使用してもよい。その場合であっても、ス
ピーカSP2の放射音圧をスピーカSP1の放射音圧よ
り小さくする必要がある。
【0067】
【発明の効果】この発明に係るスピーカ装置によれば、
スピーカボックスの正面パネルに正極性で駆動される第
1のスピーカを取り付けると共に、スピーカボックスの
例えば上面パネルに負極性で駆動され第2のスピーカを
取り付け、さらに第2のスピーカの放射音圧を第1のス
ピーカの放射音圧より小さくするものであり、受音位置
での第1および第2のスピーカの合成音圧の指向係数
は、90゜方向では、スピーカ単体の指向係数に1より
も小さな値を掛けたものとなる。そのため、例えば1k
Hz以下の周波数で0゜方向(正面方向)に比べて90
゜方向で6dB以上音圧を低下できる指向性、従って好
ましいステレオ感が得られる聴取位置を拡大するのに好
適な指向性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態としてのスピーカ装置を示す斜視図
である。
【図2】スピーカ装置の横断面の概略を示す図である。
【図3】スピーカSP1,SP2の駆動回路を示す図で
ある。
【図4】スピーカSP1,SP2の放射音波の合成音圧
を理論解析するための図である。
【図5】スピーカSP1のみを駆動したときの出力音圧
指向周波数特性を示す図である。
【図6】スピーカSP1のみを駆動したときの指向性パ
ターン(200Hz,500Hz,1kHz)を示す図
である。
【図7】スピーカSP1のみを駆動したときの指向性パ
ターン(2kHz,5kHz,10kHz)を示す図で
ある。
【図8】スピーカSP1,SP2の両方を駆動したとき
の出力音圧指向周波数特性(α=0.316)を示す図
である。
【図9】スピーカSP1,SP2の両方を駆動したとき
の出力音圧指向周波数特性(α=0.5)を示す図であ
る。
【図10】スピーカSP1,SP2の両方を駆動したと
きの出力音圧指向周波数特性(α=0.708)を示す
図である。
【図11】スピーカSP1,SP2の両方を駆動したと
きの指向性パターン(200Hz,500Hz,1kH
z)を示す図である。
【図12】スピーカSP1,SP2の両方を駆動したと
きの指向性パターン(2kHz,5kHz,10kH
z)を示す図である。
【図13】従来の指向性スピーカ(トーンゾイレ形指向
性スピーカ)を示す図である。
【図14】従来の指向性スピーカ(両指向性スピーカ)
を示す図である。
【図15】2チャネルステレオ再生用スピーカの一例を
示す図である。
【図16】2チャネルステレオ再生スピーカの他の例を
示す図である。
【図17】好ましいステレオ感が得られる聴取位置を拡
大できる指向性を示す図である。
【符号の説明】
10 スピーカ装置 11 スピーカボックス 11F 正面パネル 11U 上面パネル 12 仕切り板 13 駆動回路 SP1 第1のスピーカ SP2 第2のスピーカ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スピーカボックスの設置状態で正面パネ
    ルに第1のスピーカを取り付けると共に、上記スピーカ
    ボックスの設置状態で上面、下面または背面のいずれか
    のパネルに第2のスピーカを取り付け、 上記第1のスピーカを正極性で駆動すると共に、上記第
    2のスピーカを負極性で駆動し、 上記第2のスピーカの放射音圧を上記第1のスピーカの
    放射音圧より小さくすることを特徴とするスピーカ装
    置。
  2. 【請求項2】 上記第1および第2のスピーカの口径は
    等しく、上記第2のスピーカの駆動電圧を上記第1のス
    ピーカの駆動電圧より小さくすることを特徴とする請求
    項1に記載のスピーカ装置。
JP9072158A 1997-03-25 1997-03-25 スピーカ装置 Abandoned JPH10271593A (ja)

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EP98105205A EP0868107A3 (en) 1997-03-25 1998-03-23 Loudspeaker unit
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