JPH10270901A - 伝送線路 - Google Patents

伝送線路

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JPH10270901A
JPH10270901A JP9069387A JP6938797A JPH10270901A JP H10270901 A JPH10270901 A JP H10270901A JP 9069387 A JP9069387 A JP 9069387A JP 6938797 A JP6938797 A JP 6938797A JP H10270901 A JPH10270901 A JP H10270901A
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JP
Japan
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transmission line
power supply
circuit device
low
wire
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JP9069387A
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English (en)
Inventor
直之 ▼徳▲地
Naoyuki Tokuchi
Mitsuya Okazaki
三也 岡崎
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IDOTAI TSUSHIN SENTAN GIJUTSU KENKYUSHO KK
Original Assignee
IDOTAI TSUSHIN SENTAN GIJUTSU KENKYUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、回路装置の駆動電源、あるいはバ
イアスを供給する電源供給線路に適用が可能で、回路装
置の安定な動作特性を実現することができる伝送線路を
提供することを課題とする。 【解決手段】 回路装置1は、所定の動作電源、高電位
電源VA、低電位電源VBに接続され、入力端子INに印
加される入力信号に対して所定の信号処理を行ない、出
力端子OUTから出力信号として出力する。そして、動
作電源VAを回路装置1に供給する電源供給線路(伝送
線路)には、電気抵抗率が高い線材、例えばニクロム線
を所定の長さ、半径及び巻数に設定したコイル2が形成
されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所定の回路装置に
駆動電源あるいはバイアス電圧を供給する伝送線に適用
して良好な形状及び物性を有する伝送線路に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、極低温状態で特有の動作特性を示
す回路素子、例えば超伝導デバイスや高電子移動度トラ
ンジスタ(HEMT:High Electoron Mobility Transi
sitor)等を用いた回路装置の実用機器への適用に関す
る研究が著しい。例えば、超伝導デバイスの低損失特性
を利用したフィルタ回路や、HEMTの動作特性や低雑
音特性を利用した増幅回路等は、高周波通信機等への適
用が期待されている。このような低温状態で特有の動作
特性を示す熱依存性の回路装置を実現するための装置構
成の一例を図5に示す。
【0003】図5において、21は室温(300K)等
の外部の温度状態の内部への伝導を遮断し、例えば液体
窒素温度(77K)等の内部の温度状態を保持する低温
保持体、22は超伝導デバイス等の熱依存性回路装置2
0を載置する熱拡散板22aと、熱依存性回路装置20
に所定の低温状態を与える蓄冷器22bとから構成され
るコールドヘッド、23は低温保持体21の外部と熱依
存性回路装置20の入力パッドとを信号入力線23aを
介して電気的に接続する入力コネクタ、24は低温保持
体21の外部と熱依存性回路装置20の出力パッドとを
信号出力線24aを介して電気的に接続する出力コネク
タである。また、図示を省略したが、低温保持体21に
は所定の低温状態を保持するための液体ヘリウムや液体
窒素等の冷却源、ロータリーポンプ、拡散ポンプ等の真
空保持手段等が付設されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような低温保持体
内の熱依存性回路装置と外部に設置された受信回路や電
源回路等の外部回路との電気的接続に用いられる信号入
出力線や電源供給線等の伝送線には、熱遮断特性のみな
らず、基本的な回路特性に優れていることが求められ
る。
【0005】例えば、高周波通信機の信号伝送線に適用
される共振回路やコイルとしては、一般には回路を構成
する抵抗成分、インダクタンス成分及び回路に印加され
る信号周波数によって決まるQ(いわゆる、共振回路あ
るいはコイルの良さ。選択度ともいう。)が高いものが
必要とされるため、電気抵抗率の低い銅線や銀めっき線
が用いられている。ところが、このような高いQを有す
る伝送線を熱依存性回路装置への動作電源やバイアス電
圧等を供給する電源供給線に用いると、熱依存性回路装
置の動作において周波数変化に伴って急激な位相変化を
生じ、回路動作が不安定となる問題があった。また、こ
のような電源供給線においては、低温保持体外部から熱
依存性回路装置への熱伝導に伴う動作特性の劣化を防止
する対策について十分考慮されていなかった。
【0006】本発明の目的は、上記問題点を解決し、回
路装置の駆動電源、あるいはバイアスを供給する電源供
給線路に適用が可能で、回路装置の安定な動作特性を実
現することができる伝送線路を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を解決するた
めに、請求項1記載の発明は、所定の回路装置に電気的
に接続された伝送線路において、前記伝送線路が、高い
電気抵抗率を有する線材を所定のコイル形状に形成して
構成されていることを特徴としている。このような構成
によれば、高い電気抵抗率を有する線材を適当な長さ、
半径及び巻数に設定してコイル状に形成することによ
り、低いQを有するコイル状伝送線路を容易に実現でき
る。そのため、このコイル状伝送線路に電気的に接続さ
れる回路装置の動作において周波数に対する位相変化の
影響等を抑制することができ、回路装置を安定して動作
させることができる。
【0008】高い電気抵抗率は、高い体積抵抗率によっ
て得られる。そして、高い体積抵抗率とは、一般的に信
号用あるいは電源供給用に適用される伝送線である銅線
や銀めっき線の体積抵抗率(銅:1.55〔Ω・m〕、
銀:1.47〔Ω・m〕)に比較して概ね10倍から数
十倍以上高い値を有することを意味し、例えばニクロム
(107.3〔Ω・m〕)等の線材が適用できる。な
お、体積抵抗率として示した値は、いずれも0℃におけ
る数値である。
【0009】また、請求項2記載の発明は、請求項1記
載の伝送線路において、前記伝送線路が、前記回路装置
への動作電源を供給する電源供給線路であることを特徴
としている。このような構成によれば、回路装置の駆動
電源、あるいはバイアス電圧を供給する電源供給線路と
して低いQを有するコイル状伝送線を用いることができ
るため、例えば高周波通信機の受信回路側を構成する低
雑音増幅回路の回路電源、あるいはバイアス電圧の供給
線路に適用することができ、低雑音増幅回路に入力され
る受信信号の周波数変化に伴う急激な位相の変化を抑制
して、動作特性の安定した低雑音増幅回路を実現するこ
とができる。
【0010】そして、請求項3記載の発明は、請求項1
又は2記載の伝送線路において、前記伝送線路が、高い
電気抵抗率を有するとともに、高い熱抵抗率を有する線
材を所定のコイル形状に形成して構成されていることを
特徴としている。このような構成によれば、高い電気抵
抗率を有するとともに、高い熱抵抗率(すなわち、低い
熱伝導率)を有する線材を適当な長さ、半径及び巻数に
設定してコイル状に形成することにより、低いQを有す
るコイル状伝送線路を実現できるため、回路装置の動作
において周波数に対する位相変化の影響等を抑制するこ
とができるとともに、伝送線路の一端側から他端側への
熱伝導が抑制されるため、回路装置への熱的影響を低減
することができ、動作特性の安定した回路装置を実現す
ることができる。
【0011】ここで、高い熱抵抗率、すなわち低い熱伝
導率とは、一般に信号用あるいは電源供給用に適用され
る伝送線である銅線や銀めっき線の熱伝導率(銅:40
3〔W・mー1・Kー1〕、銀:428〔W・mー1
ー1〕)に比較して概ね10倍から数十倍以上低い熱伝
導率を意味し、例えばニクロム(13〔W・mー1
ー1〕)やステンレス(15〔W・mー1・Kー1〕)の線
材が適用できる。なお、熱伝導率として示した値は、い
ずれも0℃における数値である。
【0012】さらに、請求項4記載の発明は、請求項3
記載の伝送線路において、前記回路装置が、外部との熱
的影響を遮断する系内で用いられ、該系内の所定の熱的
雰囲気内でのみ特有の動作を行なう熱依存性の回路素子
を含み、前記伝送線路が、前記系外から前記熱依存性の
回路素子に動作電源を供給する電源供給線路であること
を特徴としている。
【0013】このような構成によれば、所定の熱的雰囲
気内でのみ特有の動作を行なう熱依存性の回路素子、例
えばHEMT等の能動素子を混載し、低温状態で低雑音
特性が向上する低雑音増幅回路において、高い電気抵抗
率を有するとともに、高い熱抵抗率を有する線材をコイ
ル状に形成して、低い熱伝導率、かつ低いQを実現した
コイル状伝送線路を、系外部からの低雑音増幅回路の能
動素子へのバイアス電圧の供給を行なう伝送線路として
用いることにより、低雑音増幅回路に入力される受信信
号の周波数変化に伴う急激な位相の変化を抑制すること
ができるとともに、系外部から伝送線路を介して侵入
し、能動素子へ伝導する熱を抑制することができるた
め、系内部の熱的雰囲気を良好に維持することができる
とともに、動作特性の安定した低雑音増幅回路を実現す
ることができる。よって、系内の熱的雰囲気を保持する
温度保持手段、例えば冷却装置の能力を低減して、通信
機等の小型化を図ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1又は2に係る伝
送線路の一実施例を図1に示して説明する。図1におい
て、1は回路装置であって、所定の動作電源、高電位電
源VA、低電位電源VBに接続され、入力端子INに印加
される入力信号に対して所定の信号処理を行ない、出力
端子OUTから出力信号として出力する。そして、動作
電源VAを回路装置1に供給する電源供給線路(伝送線
路)には、電気抵抗率が高い線材、例えばニクロム線を
所定の長さ、半径及び巻数に設定したコイル2が形成さ
れている。
【0015】ここで、コイル2の特性について具体的に
説明する。一般に、単相ソレノイド(コイル)のインダ
クタンスLは、
【0016】
【数1】
【0017】で表される。なお、lはコイルの長さ、r
はコイルの半径、Nはコイルの巻数、Knは長岡係数で
ある。また、長岡係数Knは、
【0018】
【数2】
【0019】で表され、コイルの長さl及び半径rによ
り一義的に決定される。一方、コイルのQは、
【0020】
【数3】
【0021】で表されるため、Qは導体の電気抵抗率ρ
に逆比例する関係にある。なお、ρは電気抵抗率、Rは
導体の抵抗、ωはコイルに印加される信号の角周波数で
ある。このような関係から、従来技術において説明した
ように高周波通信機等の信号伝送線に適用されるコイル
は、電気抵抗率ρの低い線材を用いて高いQを実現して
いた。
【0022】これに対して、本実施例においては、回路
装置1の動作電源あるいはバイアス電圧を供給する電源
供給線路として、電気抵抗率が高いニクロム線を所定の
長さl、半径r及び巻数Nに設定してコイル形状とし、
Qの低いコイル状伝送線路(コイル2)を適用すること
ができるため、回路装置1の回路動作において周波数変
化が生じた場合にも、急激な位相変化を抑制することが
でき、動作特性の安定した回路装置を供給することがで
きる。
【0023】ここで、高い電気抵抗率の線材としては、
上述したニクロム線のほか、ステンレス線材を例えばシ
ート形状に形成したり、不純物をドーピングする等の構
成により電気抵抗率を高くして用いることもできる。ま
た、図1においては、高電位電源VA側にコイル2を形
成した構成を示したが、低電位電源VB側、あるいは双
方の電源VA、VB側に同様の構成を設けてもよいことは
いうまでもない。さらに、本実施例で示した回路装置は
熱依存性の回路装置に限定されない。要するに、周波数
変化に対して回路装置の動作特性(位相変化)に影響を
及ぼすものであれば良好に適用できる。
【0024】次に、請求項1又は2に係る伝送線路の他
の実施例を図2に示して説明する。図2に示すように、
回路装置1に供給される動作電源のレベルを任意に調整
するための電圧降下抵抗3等の電源レベル設定素子がコ
イル2に直列に接続されている。ここで、高電位電源V
A側の電源供給線路は、コイル2及び抵抗3からなるR
L共振回路を構成するため、コイル2の形状のほか、抵
抗3の抵抗値を適当に設定することにより、上記(3)
式のQをさらに小さくできるため、周波数に対する位相
変化を一層抑制して回路装置の動作特性を安定させるこ
とができる。
【0025】次に、本発明の請求項3又は4に係る伝送
線路の一実施例を図3に示して説明する。図3におい
て、4は外部(図面上方)との熱的影響を遮断する系で
あって、系4の内部(図面下方)には、系4内の所定の
熱的雰囲気で特有の動作特性を示す熱依存性の回路素子
5を含む熱依存性回路装置1が設けられている。そし
て、熱依存性の回路素子5の高電位電源パッドと高電位
電源VAとは、高い電気抵抗率を有するとともに、高い
熱抵抗率を有する線材、例えばニクロム線を適当な長
さ、半径及び巻数に設定してコイル形状に形成したコイ
ル状伝送線路(コイル2)及び系4の接続端子を介して
接続されている。
【0026】このように、高い電気抵抗率を有する線材
を所定の長さ、半径及び巻数に設定してコイル2を形成
しているため、上述した実施例においても説明したよう
に、低いQを有する電源供給線路を実現して、熱依存性
回路装置1を安定に動作させることができるとともに、
コイル2を構成する線材が、高い熱抵抗率、すなわち低
い熱伝導率を有しているため、系4外部から電源供給線
路を介して侵入する熱の伝導を抑制することができ、熱
依存性回路素子5に熱的な影響を抑制することができ、
動作特性の劣化を防止することができる。また、系4外
部から侵入する熱が抑制されるため、系4内部の熱的雰
囲気を良好に維持することができ、図示を省略した系4
内の熱的雰囲気を維持する付属装置を小型化することが
できる。
【0027】次に、本発明の請求項3又は4に係る伝送
線路を高周波通信機の受信回路部に適用した場合の具体
構成を図4に示して説明する。なお、低温保持のための
具体的な装置構成は図5と同等であるので、その説明を
省略する。図4において、12は低温状態で顕著な低雑
音特性が期待できる低雑音増幅回路(LNA:Low Nois
e Amplifier)であって、例えばアルミナセラミックス
のLNA基板12A上にHEMTやチップコンデンサ等
が混載され、HEMT13のゲート電極は、入力コンデ
ンサ12aを介して図示を省略した高温超伝導フィルタ
回路(HTSF:High Temparature Superconducting F
ilter)側の入力パッド12cに接続されるとともに、
所定のバイアス電圧をLNA12外部から印加するため
の接続パッド12eおよびバイアス電圧供給線14aを
介して、低温保持体11に設けられたバイアス電圧入力
コネクタ11aに接続される。ここで、バイアス電圧供
給線14aにはニクロム線によって構成されるコイル1
6aが形成されている。そして、低温保持体11外部に
導出されたバイアス電圧供給線14aは、所定のバイア
ス電圧を生成するバイアス抵抗15aを介して図示を省
略した電源電位VDDに接続されている。
【0028】また、HEMT13のドレイン電極は、出
力コンデンサ12bを介して出力パッド12dに接続さ
れるとともに、ドレイン電流をLNA12外部から供給
するための接続パッド12fおよびドレイン電流供給線
14bを介して、低温保持体11に設けられたドレイン
電流入力コネクタ11bに接続される。ここで、ドレイ
ン電流供給線14bにはニクロム線によって構成される
コイル16bが形成されている。そして、低温保持体1
1外部に導出されたドレイン電流供給線14bは、所定
のドレイン電流を生成する電流制限抵抗15bを介して
図示を省略した電源電位VDDに接続されている。なお、
HEMT13のソース電極は、低温保持体1内のコール
ドヘッド等に接続されて接地電位VGNDにバイアスされ
ている。
【0029】このような構成により、低温保持体11外
部に設けられたバイアス抵抗15aにより所定のバイア
ス電圧が生成され、コイル16aが形成されたバイアス
電圧供給線14aを介してHEMT13のベース電極に
印加される。また、低温保持体11外部に設けられた電
流制限抵抗15bにより所定のドレイン電流が生成さ
れ、コイル16bが形成されたドレイン電流供給線14
bを介してHEMT13のドレイン電極に印加される。
【0030】このとき、低温保持体11外部において所
定値に設定されたバイアス電圧およびドレイン電流は、
バイアス電圧入力コネクタ11aおよびドレイン電流入
力コネクタ11bを介して低温保持体11内に供給され
る構成であるため、低温保持体11外部からの熱量の侵
入が考えられるが、各入力コネクタ11a、11bから
LNA12の各接続パッド12e、12fまでの供給線
14a、14bには、通常伝送線として用いられる銅線
や銀めっき線等に比較して熱伝導率が概ね40倍程度低
いニクロム線のコイル16a、16bが形成されている
ため、低温保持体1外部から各入力コネクタ11a、1
1bおよび供給線14a、14bを介して内部に侵入す
る熱量およびLNA12に到達する熱量を大幅に抑制す
ることができ、低温保持体11内の低温状態、例えば液
体窒素温度を保持するための冷却装置の能力を軽減し、
周辺装置の小型化を図ることができる。
【0031】また、コイル16a、16bを構成するニ
クロム線は、上述したように、電気抵抗率が銅線や銀め
っき線等に比較して概ね70倍程度大きいため、上記
(3)式により求められるQを大幅に低くすることがで
きる。そのため、バイアス電圧供給線14a及びドレイ
ン電流供給線14bを低いQの伝送線路により構成する
ことができ、HTSF側からLNA12に入力される信
号に周波数変化が生じた場合にも、急激な位相変化を抑
制することができ、HEMT13を安定して動作させる
ことができ、所望の動作特性を有するLNA12を実現
することができる。
【0032】なお、本実施例においては、本発明の伝送
線路を高周波通信機の受信回路部に適用した例を示した
が、本発明の適用は通信機に限定されるものではなく、
信号処理において周波数の影響を受けやすく、かつ所定
の温度状態において特定の動作特性を示す熱依存性回路
装置に良好に適用することができる。また、上記実施例
のようにLNAのバイアス電圧供給線やドレイン電流供
給線に限定されない。さらに、バイアス電圧供給線およ
びドレイン電流供給線としてニクロム線のコイル形状を
示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、従
来の伝送線路として一般的に適用されていた銅線や銀め
っき線等の線材に比較して電気抵抗率が十倍から数十倍
以上高く、かつ熱伝導率が十倍から数倍以上低い材質を
用いるか、あるいは高い電気抵抗及び低い熱伝導性を有
するような形状に構成したものであればよく、例えばニ
クロムのほかにはステンレスや鉛等を利用することもで
きる。
【0033】
【発明の効果】請求項1記載の伝送線路によれば、高い
電気抵抗率を有する線材を適当な長さ、半径及び巻数に
設定してコイル状に形成することにより、低いQを有す
るコイル状伝送線路を容易に実現できる。そのため、こ
のコイル状伝送線路に電気的に接続される回路装置の動
作において周波数に対する位相変化の影響等を抑制する
ことができ、回路装置を安定して動作させることができ
る。
【0034】また、請求項2記載の伝送線路によれば、
回路装置の駆動電源、あるいはバイアス電圧を供給する
電源供給線路として低いQを有するコイル状伝送線を用
いることができるため、例えば高周波通信機の受信回路
側を構成する低雑音増幅回路の回路電源、あるいはバイ
アス電圧の供給線路に適用することができ、低雑音増幅
回路に入力される受信信号の周波数変化に伴う急激な位
相の変化を抑制して、動作特性の安定した低雑音増幅回
路を実現することができる。
【0035】そして、請求項3記載の伝送線路によれ
ば、高い電気抵抗率を有するとともに、高い熱抵抗率を
有する線材を適当な長さ、半径及び巻数に設定してコイ
ル状に形成することにより、低いQを有するコイル状伝
送線路を実現できるため、回路装置の動作において周波
数に対する位相変化の影響等を抑制することができると
ともに、伝送線路の一端側から他端側への熱伝導が抑制
されるため、回路装置への熱的影響を低減することがで
き、動作特性の安定した回路装置を実現することができ
る。
【0036】さらに、請求項4記載の伝送線路によれ
ば、所定の熱的雰囲気内でのみ特有の動作を行なう熱依
存性の回路素子、例えばHEMT等の能動素子を混載
し、低温状態で低雑音特性が向上する低雑音増幅回路に
おいて、高い電気抵抗率を有するとともに、高い熱抵抗
率を有する線材をコイル状に形成して、低い熱伝導率、
かつ低いQを実現したコイル状伝送線路を、系外部から
の低雑音増幅回路の能動素子へのバイアス電圧の供給を
行なう伝送線路として用いることにより、低雑音増幅回
路に入力される受信信号の周波数変化に伴う急激な位相
の変化を抑制することができるとともに、系外部から伝
送線路を介して侵入し、能動素子へ伝導する熱を抑制す
ることができるため、系内部の熱的雰囲気を良好に維持
することができるとともに、動作特性の安定した低雑音
増幅回路を実現することができる。よって、系内の熱的
雰囲気を保持する温度保持手段、例えば冷却装置の能力
を低減して、通信機等の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の請求項1又は2に係る伝送線路の一実
施例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の請求項1又は2に係る伝送線路の他の
実施例を示す概略構成図である。
【図3】本発明の請求項3又は4に係る伝送線路の一実
施例を示す概略構成図である。
【図4】本発明の請求項3又は4に係る伝送線路の具体
回路例を示す図である。
【図5】熱依存性回路装置を用いた場合の、低温保持体
の構成例を示す図である。
【符号の説明】
1 回路装置 2、16a、16b コイル 3 抵抗 4 系 11、21 低温保持体 11a 電源供給コネクタ 11c 出力コネクタ 12、33 LNA 12A LNA基板 12a 入力コンデンサ 12b 出力コンデンサ 12c 入力パッド 12d 出力パッド 12e、12f 接続パッド 13 HEMT 14a バイアス電圧供給線 14b ドレイン電流供給線 14c 信号出力線 14d 電源供給線 15a バイアス抵抗 15b 電流制限抵抗 20 熱依存性回路装置 22 コールドヘッド 22a 熱拡散板 22b 蓄冷器 23 入力コネクタ 23a 信号入力線 24 出力コネクタ 24a 信号出力線

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の回路装置に電気的に接続された伝送
    線路において、前記伝送線路が、高い電気抵抗率を有す
    る線材を所定のコイル形状に形成して構成されているこ
    とを特徴とする伝送線路。
  2. 【請求項2】前記伝送線路が、前記回路装置への動作電
    源を供給する電源供給線路であることを特徴とする請求
    項1記載の伝送線路。
  3. 【請求項3】前記伝送線路が、高い電気抵抗率を有する
    とともに、高い熱抵抗率を有する線材を所定のコイル形
    状に形成して構成されていることを特徴とする請求項1
    または2記載の伝送線路。
  4. 【請求項4】前記回路装置が、外部との熱的影響を遮断
    する系内で用いられ、該系内の所定の熱的雰囲気内での
    み特有の動作を行なう熱依存性の回路素子を含み、前記
    伝送線路が、前記系外から前記熱依存性の回路素子に動
    作電源を供給する電源供給線路であることを特徴とする
    請求項3記載の伝送線路。
JP9069387A 1997-03-24 1997-03-24 伝送線路 Pending JPH10270901A (ja)

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