JPH10267320A - ダクト式空気調和システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 日射や内部発熱に応じて変動する各ゾーンの
熱負荷に対し、安価な設備でゾーンごとの室温調節が可
能なダクト式空気調和システムを得る。 【解決手段】 熱源機７に接続され熱交換器２と送風機
３を内蔵した室内機１と、送風機３に電気的に接続され
た風量切替器１０と、室内機１の吹き出し側に配置され
複数のダクト５がダクト接続口を介して接続されたプレ
ナム１２と、各々のダクト５の先端に設けられた複数の
吹出口６と、プレナム１２内に設けられダクト接続口へ
の風路面積を総面積は変えず各々の面積比率を自在に変
える単一のスライド式シャッターを設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、例えば住宅の冷
暖房を冷温風でセントラルに行うダクト式空気調和シス
テムに関する。

【０００２】

【従来の技術】住宅用のダクト式空気調和システムに
は、風量制御の方式として従来からいくつかのものがあ
る。図８は、例えば特開平１−２１９４４３号公報に示
された空気調和機の概略図である。図において、１は空
気調和機の室内機、２はこの室内機内に配置された熱交
換器、３は上記室内機１に内蔵された２台の送風機、４
は上記熱交換器２と送風機４との間に設けた可動ベー
ン、５は上記室内機の各々の送風機３に接続されたダク
ト、６はこのダクトの先端に設けられた室内に開口する
吹出口である。

【０００３】このような従来の空気調和機においては、
図示しない２組の室温センサーと室温設定器の温度差に
応答して可動ベーン１７が２本のダクトへ行く空気の能
力比を可変する。従って熱負荷の異なる２つのゾーンの
室温調節を良好に行うことができる。

【０００４】また、第２の従来の技術として、単一ダク
トにより住宅全体を単一のゾーンとして空調する方式が
あった。

【０００５】また、第３の従来技術として可変風量制御
方式があり、室内の各吹出口に対応したダクトの枝部分
あるいは吹出口内に電動式の風量制御ダンパと、このダ
ンパに対応して各部屋にルームサーモを配置し、このル
ームサーモの検出信号に基づき、ダンパの開度制御を行
い吹出風量を可変し室温を各々調節するものがあった。

【０００６】また、第４の従来技術として、室内機に２
台の送風機を内蔵しダクトも各々２系統備え、２個のサ
ーモスタットで各々のゾーンごとに温度制御を行うもの
があった。

【０００７】また、第５の従来技術として、室内機の吹
出口にチャンバーを設け、このチャンバーに２系統のダ
クトを接続し、上記チャンバー内に２系統のダクトに流
れる風量の比率を自在に可変する電動ダンパを設け、こ
の電動ダンパの開度を外部から調整するコントローラを
備え、２系統の熱負荷の比率に応じて風量比をコントロ
ーラの操作で手動制御し、各々のゾーンの室温制御を良
好に保つものがあった。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】以上に述べた第１の従
来技術では、２ゾーン各々の負荷変動に対応した能力制
御が行え、また吹き出し風量も略一定に保つ事が可能だ
が、室内機１に２台の送風機３と可動ベーン４を設ける
ため室内機１が大きくなり、また自動制御のためコスト
が高く、さらに２つ以上のゾーン制御には対応しづらい
という問題点があった。

【０００９】また、第２の従来技術では、単純なダクト
構成で全館空調が実現できるものの、各部屋あるいは階
や方位などのゾーンごとに変動する熱負荷に対応した室
温制御が不十分であった。日本の温暖地では夏・冬共に
日射によるゾーン別、例えば２階北・２階南・１階北・
１階南ゾーンなどの負荷変動が大きく、熱負荷の小さい
高気密・高断熱住宅であっても天候・時刻によりゾーン
ごとに見た熱負荷は大きく変動する。暖房時は暖かい空
気は上昇しやすく２階に比べ１階は暖まりずらい。また
冬期の晴天時の日中、２階の南ゾーンの部屋は日射の影
響により温室状態になり暖房負荷は著しく小さくなる。
このような時でも１階の北ゾーンなどは大きな暖房負荷
が要求される。冷房時は日射により小屋裏が高温となる
ため２階の天井を通して熱が室内に侵入し、１階に比べ
大きな冷房負荷が発生する。また窓からの日射侵入によ
り特に２階の西や南ゾーンの冷房負荷が他のゾーンに比
べ大きい。単一ダクトであっても室内機の送風機は数段
階に風量切り替えが行え、住宅全体の熱負荷変動には対
応できるが、ゾーンごとには風量可変が行えず熱負荷と
風量（供給熱量あるいは除去熱量）との大小関係から室
温は成り行きとなり良好な制御ができないという問題点
があった。

【００１０】また、第３の従来技術では、電動ダンパに
よる可変風量制御により各室ごとの空調の発停や、各室
ごとに異なる室温設定が行え、また負荷変動に対応した
室温調整が可能だが、吹出口ごとに電動ダンパとダンパ
に対応したルームサーモを設けなければならず設備コス
トが高価になるという問題点があった。

【００１１】また、第４の従来技術では、通常は１階と
２階に分けた２ゾーンの各々の温度制御が２組の送風機
とサーモスタットにより実現できるものの、日射の影響
による負荷比率の変動が大きい南北ゾーンごとのきめ細
かい温度制御ができず、また２台の送風機の配置による
室内機の大型化などの問題点があった。

【００１２】また、第５の従来技術では、手動で制御さ
れる電動ダンパにより第３の従来技術と同様、２ゾーン
の各々の負荷変動に対応することはできるが、南北ゾー
ンの負荷アンバランスには対応できないという問題点が
あった。

【００１３】この発明は、上述のような課題を解決する
ためになされたもので、住宅内の複数のゾーンに対応し
た温度制御を安価な構成で手動調整できるダクト式空気
調和システムを得るものである。

【００１４】

【課題を解決するための手段】この発明に係わるダクト
式空気調和システムにおいては、熱源機に接続され熱交
換器と送風機を内蔵した室内機と、上記送風機に電気的
に接続された風量切替器と、上記室内機の吹き出し側に
接続されたプレナムと、このプレナム配置され複数のダ
クトがダクト接続口を介して各々のダクトの先端に設け
られた複数の吹出口と、プレナム内に設けられダクト接
続口への風路面積を総面積は変えず各々の面積比率を自
在に変える単一のスライド式シャッターを設けたもので
ある。

【００１５】また、この発明に係わるダクト式空気調和
システムにおいては、シャッターを手動にてスライドす
るように設けたものである。

【００１６】さらに、この発明に係わるダクト式空気調
和システムにおいては、シャッターを電動駆動機構とコ
ントローラで電動式にスライドするように設けたもので
ある。

【００１７】さらにまた、この発明に係わるダクト式空
気調和システムにおいては、ダクトを空調負荷の傾向が
似かよった階あるいは方位のゾーンごとに接続したもの
である。

【００１８】また、この発明に係わるダクト式空気調和
システムにおいては、ダクト接続口を２階北・２階南・
１階北・１階南のゾーンに分けてダクトを接続するよう
にしたものである。

【００１９】さらに、この発明に係わるダクト式空気調
和システムにおいては、シャッターに設けた穴とこの穴
に対向するダクト接続口の穴を角穴とし、お互いの配置
を重なりあう開口部の総面積がどの相対位置関係にあっ
ても同一となるように配置したものである。

【００２０】

【発明の実施の形態】

実施の形態１．以下、この発明の実施の形態１のダクト
式空気調和システムについて説明する。図１は住宅全体
のシステム構成図、図２はプレナム室の斜視図、図３は
シャッターの動作説明図、図４は風量切替器の正面図、
図５はシャッター角穴と接続口角穴の相対位置関係を示
す説明図である。図において、７はヒートポンプ式の熱
源機、８はこの熱源機により空調される住宅で、１階南
ゾーン８ａ、１階北ゾーン８ｂ、２階南ゾーン８ｃおよ
び２階北ゾーン８ｄに区画され、各ゾーンの天井面８ｅ
にはそれぞれ室内への吹出口６をもうけている。９はこ
の住宅内で上記熱源機７に配管接続された室内機１を設
置する機械室で、住宅内の１階の廊下に面してもうけら
れている。この機械室に設置された室内機１内には熱交
換器２、送風機３が配置されかつ上記各ゾーンの吹出口
６とダクト５により接続されている。なお、ダクト５は
１階の天井裏と２階の屋根裏に配設されている。１０は
この送風機と電気接続された手動式の風量切替器で、切
替ダイヤル１０ａを備え、表面には風量・強・中・弱の
文字表示が記入され、居室等の壁１１に取り付けられて
いる。１２は上記室内機１の吹出部に接続されたプレナ
ムで、上部にダクト接続口１３が４本設けられている。
１４はこのプレナム内に設けられ上記ダクト接続口１３
への風路面積を総面積は変えず各々の面積比率を変更自
在に可能な単一のスライド式シャッターで、ガイドレー
ル（図示しない）などによりプレナム１２内に可動的に
支持されている。

【００２１】１５は上記プレナム１０に内蔵されたシャ
ッター１４の操作レバーである。１６はシャッター１４
に開口した同一面積の４個のシャッター側角穴で、図示
したように交互に千鳥配置されている。１７は上記プレ
ナム１２の上面にダクト接続口１３に対応して開口した
プレナム側角穴で、図示したように上記シャッター側角
穴１６とは逆の関係で交互に千鳥配置されている。この
ようにシャッター１４は図示する矢印のように左右・上
下方向に操作レバー１５を操作することにより上下・左
右に可動する。

【００２２】このように構成された実施の形態１のダク
ト式空気調和システムの動作を図５〜図６を使い説明す
る。図５はシャッター角穴１６と接続口角穴１７の相対
位置関係を示す説明図で、２階北ゾーン８ｄのシャッタ
ー側角穴１６の左上角がプレナム側角穴１７のＡ〜Ｇ位
置に、操作レバー１５を手動操作することにより任意に
変化する。

【００２３】図６はこの時の各ゾーンの開口面積を表で
示したものである。例えばＡ位置では４つの開口面積は
５６・３％で均一である。夜間等住宅の各ゾーンの熱負
荷が等しい時にはこの位置に設定するとよい。Ｂ位置で
は２階北８ｄと２階南８ｃは７５％開度、１階北８ｂと
１階南８ａは３７・５％開度で冷房時などにこの位置に
設定するとよい。ＣはＢと逆の関係となり暖房時などに
この位置に設定するとよい。Ｄは２階・１階共に北ゾー
ンの面積が大きくなり、南ゾーンが小さくなる。暖房で
晴天の時に設定するとよい。ＥはＤと逆の関係となり冷
房で晴天の時に設定するとよい。Ｆは１階北が最大、２
階南が最少面積となる。ＧはＦの逆の関係になる。

【００２４】このように操作レバー１５の操作により各
ゾーン８ａ、８ｂ、８ｃ、８ｄごとの圧損を任意に変
え、各ゾーンの熱負荷に見合った風量を送風することが
でき室温を安定的に制御できる。また総開度はいつも一
定のため送風機３および熱源機１も安定して運転され
る。ヒートポンプ全体の能力は風量切替器１０の切替ダ
イヤル１０ａを強・中・弱に操作し切替える。吹出口６
から居室に吹き出した空気はドアーのアンダーカット等
を通り廊下から室内機２に循環する。

【００２５】実施の形態２．なお、上記実施の形態１で
は、シャッター１４を手動で操作していたが、モータ等
の電動駆動機構を２組設けシャッター１４をＸ・Ｙ方向
に機械的電動式にスライド動作させるようにしてもよ
い。図７はこの時のコントローラ１８を示し、２組のダ
イヤル１８ａによりシャッター１４を階別強弱あるいは
南北別強弱が変わるように動作させる。

【００２６】実施の形態３．また、上記実施の形態１で
は、ダクト５を各４ゾーンに分岐させるように構成して
いたが、住宅の間取り等によっては４ゾーン以外のゾー
ン数であっても良い。

【００２７】実施の形態４．さらに、室内機２の設置形
態は床置形以外の、天井に取り付ける天井カセット形あ
るいは天井埋込形であってもよい。また、プレナム１２
を室内機２と一体化していてもよいものである。

【００２８】

【発明の効果】この発明は、以上説明したように構成さ
れているので、以下に示すような効果を奏する。

【００２９】この発明のダクト式空気調和システムは、
熱源機、この熱源機に接続された熱交換器及び送風機を
内蔵した室内機、上記送風機に電気的に接続され風量を
数段階に切り替える風量切替器、上記室内機の吹き出し
側に接続されたプレナムに設けられた複数のダクト接続
口、このダクト接続口に各々接続され複数ゾーンへ配設
されたダクトを備え、上記ダクト接続口への風路面積を
総面積は変えず各々の面積比率を変更自在可能なスライ
ド式シャッターを上記プレナム内に設けた構成としたか
ら、ダクト系の圧損が大きく変化せず、送風機からの風
量が安定し能力も略一定に保たれ、各ゾーンごとの室温
制御が熱負荷に応じて良好に制御できる効果を有する。

【００３０】また、この発明の第２のダクト式空気調和
システムは、手動にてスライドするシャッターを設けた
構成としたから、システムを安価に構成できる効果を有
する。

【００３１】また、この発明の第３のダクト式空気調和
システムは、電動駆動機構とコントローラとで電動式に
スライドするシャッターを設けた構成としたから、シャ
ッターを電動駆動機構と手動操作のコントローラで操作
することにより、遠隔で操作が行え使用者の使い勝手が
向上する効果を有する。

【００３２】また、この発明の第４のダクト式空気調和
システムは、ダクト接続口のダクトを空調負荷の傾向が
似かよった階あるいは方位のゾーンごとに設けた構成と
したから、日射等により変動するゾーンごとの熱負荷変
動に良好に対応できる効果を有する。

【００３３】また、この発明の第５のダクト式空気調和
システムは、ダクト接続口を２階北、２階南、１階北、
１階南の各ゾーンに分けて設けた構成としたから、より
きめ細かに熱負荷の異なる南北、１階２階別のゾーン空
調を行える効果を有する。

【００３４】また、この発明の第６のダクト式空気調和
システムは、シャッターに設けたシャッター角穴と、こ
の穴に対向するダクト接続口に接続口角穴とを備え、こ
れらシャッター角穴と接続口角穴との配置を重なりあう
開口部の総面積がどの相対位置関係にあっても同一とな
るように配置した構成としたから、簡単な一対の角穴構
成により、シャッター部の圧損を略一定に保ち、送風量
を安定化させる効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明の実施の形態１のダクト式空気調和
システムを住宅内に設置して示すシステム構成図であ
る。

【図２】 この発明の実施の形態１のプレナムの外観斜
視図である。

【図３】 図２のプレナムの下面図である。

【図４】 この発明の実施の形態１の風量切替器の正面
図である。

【図５】 図３のシャッター角穴と接続口角穴の相対位
置関係を示す動作説明図である。

【図６】 図５に対応したシャッターの開度一覧表であ
る。

【図７】 この発明の実施の形態２のコントローラを示
す正面図である。

【図８】 従来の空気調和機のシステム図である。

【符号の説明】

１ 室内機、２ 熱交換器、３ 送風機、７ 熱源機、
８ ダクト、９ 吹出口、１０ 風量切替器、１２ プ
レナム、１３ ダクト接続口、１４ シャッター、１５
操作レバー、１６ シャッター角穴、１７ 接続口角
穴。

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 熱源機、この熱源機に接続された熱交換
   器及び送風機を内蔵した室内機、上記送風機に電気的に
   接続され風量を数段階に切り替える風量切替器、上記室
   内機の吹き出し側に接続されたプレナムに設けられた複
   数のダクト接続口、このダクト接続口に各々接続され複
   数ゾーンへ配設されたダクトを備え、上記ダクト接続口
   への風路面積を総面積は変えず各々の面積比率を変更自
   在可能なスライド式シャッターを上記プレナム内に設け
   たことを特徴とするダクト式空気調和システム。
2. 【請求項２】 手動にてスライドするシャッターを設け
   たことを特徴とする請求項１記載のダクト式空気調和シ
   ステム。
3. 【請求項３】 電動駆動機構とコントローラとで電動式
   にスライドするシャッターを設けたことを特徴とする請
   求項１記載のダクト式空気調和システム。
4. 【請求項４】 ダクト接続口のダクトを空調負荷の傾向
   が似かよった階あるいは方位のゾーンごとに設けたこと
   を特徴とする請求項１記載のダクト式空気調和システ
   ム。
5. 【請求項５】 ダクト接続口を２階北・２階南・１階北
   ・１階南のゾーンごとに分けて設けたことを特徴とする
   請求項４記載のダクト式空気調和システム。
6. 【請求項６】 シャッターに設けたシャッター角穴と、
   この穴に対向するダクト接続口に接続口角穴とを備え、
   これらシャッター角穴と接続口角穴との配置を重なりあ
   う開口部の総面積がどの相対位置関係にあっても同一と
   なるように配置したことを特徴とする請求項１記載のダ
   クト式空気調和システム。