JPH10264110A - 基板の処理方法 - Google Patents

基板の処理方法

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JPH10264110A
JPH10264110A JP6935197A JP6935197A JPH10264110A JP H10264110 A JPH10264110 A JP H10264110A JP 6935197 A JP6935197 A JP 6935197A JP 6935197 A JP6935197 A JP 6935197A JP H10264110 A JPH10264110 A JP H10264110A
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plasma
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ionizing radiation
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JP6935197A
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Toshiyuki Origasa
利幸 折笠
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ホルムアルデヒド発散性樹脂を含有する基板
の有効な処理方法を提供し、当該基板のホルムアルデヒ
ド発散量を少なくする。 【解決手段】 基板1に先ず電離放射線4を照射し、し
かる後に当該基板1の表面をプラズマと接触させる。電
離放射線4の照射によりホルムアルデヒドHの基板1か
らの発散や放出を促進し、続くプラズマ処理によりホル
ムアルデヒドを分解乃至は変質せしめてこれを除去す
る。基板自体の性能に影響を与えたり、基板の製造及び
後加工の適性に影響することもない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、木材合板、パーテ
ィクルボード、MDF等の木質基板、FRP等の樹脂系
基板、化粧シートを貼着した化粧板などであって、その
中にホルムアルデヒド発散性樹脂を含む基板の処理方法
に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】木材合板を例にとる
と、層間の接着剤として低価格で接着力の高いフェノー
ル樹脂、尿素・ホルムアルデヒド樹脂が従来より多用さ
れてきた。しかし、これら接着剤用の樹脂は経時的にホ
ルムアルデヒドを発散するため、ホルムアルデヒド臭が
するなどの欠点があることから、これを改善するべく次
に挙げるような試みがなされている。 尿素・ホルムアルデヒド系、メラミン系、フェノール
系等の接着剤を酢酸ビニル系エマルジョン、レゾルシノ
ール樹脂、エポキシ樹脂等のホルムアルデヒドを発散し
ないものに変更する。 ホルムアルデヒド発散性の接着剤中にホルムアルデヒ
ド捕捉剤を混合する(例えば、特公平7−110484
号公報参照)。 ホルムアルデヒド捕捉剤、或いは捕捉剤を混入した樹
脂を木質材料の表面に塗布する(例えば、特公昭51−
42164号公報参照)。 化粧板の裏面にホルムアルデヒド捕捉剤を含浸させた
紙、不織布等を貼着する(例えば、特開昭56−121
713号公報参照)。
【0003】しかしながら、上記したもののうちの方
法では、使用する接着剤のコストが尿素・ホルムアルデ
ヒド系等の接着剤に比べて高い上に、仮接着性(初期接
着力)が悪く、製造時の良品数が低下するという欠点が
あり、また接着剤ごとに加工条件を変更する必要があ
る。また、〜の方法は何れもコストが高くなるばか
りか、の方法では、製造工程中に吸着、放出したホル
ムアルデヒドは捕捉できないと言った問題や、ホルムア
ルデヒド捕捉剤の添加により接着剤の性能が変化してし
まうと言う問題、さらにはグレードにより配合量を変え
る必要があるため接着剤の種類が増える、端面処理が難
しいと言った欠点があり、の方法では、表面に貼着す
る化粧シートとの密着性を考慮する必要があり、また端
面処理が難しいという欠点があり、の方法では、含浸
基材に印刷する場合に印刷適性が悪いという欠点があ
る。
【0004】また、メラミン樹脂含浸紙とフェノール樹
脂含浸紙の積層体からなる所謂メラミン樹脂化粧板やア
ミノアルキッド樹脂塗装木板の場合も同様に樹脂分から
ホルムアルデヒドが発散される。そこでこの場合にも対
策として、樹脂自体に、或いは化粧板を他の基材に積層
する際の接着剤中に、ホルムアルデヒド捕捉剤を添加す
るという工夫を行うことは提案されていた。しかしなが
ら、ホルムアルデヒド捕捉剤を接着剤中に混合すると、
接着力の低下、接着剤の配合変更、接着条件の変更、原
価高騰という問題が起こり、さらには化粧板表面に吸着
されたホルムアルデヒドの発散が防げないと言った問題
がある。また、ホルムアルデヒドを塗料に混入すると、
表面物性(硬度等)の低下、硬化条件の変更、原価高騰
という問題が発生する。
【0005】本発明は、上記のような問題点に鑑みてな
されたものであり、その目的とするところは、ホルムア
ルデヒド発散性樹脂を含有する基板のホルムアルデヒド
量を低減するのに有効な基板の処理方法を提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、ホルムアルデヒド発散性樹脂を含有する
基板のホルムアルデヒド量を低減させる処理方法であっ
て、前記基板に先ず電離放射線を照射し、しかる後に前
記基板の表面をプラズマと接触させることを特徴とする
ものである。
【0007】上記の処理方法では、先ず基板に電離放射
線を照射することによって、ホルムアルデヒドの基材か
らの発散や放出を促進し、しかる後に基板の表面をプラ
ズマと接触させることによって、基板から放出されたホ
ルムアルデヒドをプラズマにより分解乃至は変質せしめ
てこれを除去する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明で対象とする基板はホルム
アルデヒド発散性樹脂を含有するもので、具体的には、
ホルムアルデヒド発散性樹脂単体、ホルムアルデヒ
ド発散性樹脂を層間の接着剤として用いた木材合板(所
謂集成材も含む)、ホルムアルデヒド発散性樹脂をバ
インダーとするパーティクルボード又は木質繊維板(M
DF等)、ホルムアルデヒド発散性樹脂を繊維質材料
と混練又は含浸して複合化したもの(広義のFRP)、
各種基材にホルムアルデヒド発散性樹脂を成分とする
接着剤層を間に介して各種化粧シートを貼着してなる化
粧板の何れの形態であっても構わない。基板の形状とし
ては、平板状又はシート状のものが代表的であるが、そ
の他、曲面板、表面に凹凸や立体形状を有する成形品で
あってもよい。
【0009】ホルムアルデヒド発散性樹脂としては、フ
ェノール(石炭酸)とホルムアルデヒドとの縮重合から
得られるフェノール樹脂、尿素とホルムアルデヒドとの
重合で得られる尿素(或いは尿素・ホルムアルデヒド)
樹脂、アルキド樹脂にメラミン樹脂、尿素樹脂、グアナ
ミン樹脂等を添加してなるアミノアルキド樹脂、メラミ
ン樹脂等がある。ホルムアルデヒドが樹脂系材料中に存
在するのは、主に次の原因によると考えられている。す
なわち、樹脂の未反応物として残る場合、硬化反応
中(加熱・加圧)に遊離したものとして残る場合、樹
脂以外の材料(木材、紙等)に捕捉されたものとして残
る場合、等である。このように樹脂系材料中に存在して
いたものが徐々に遊離し放出される。
【0010】ホルムアルデヒド発散性樹脂単体として
は、ホルムアルデヒド発散性樹脂からなる成形品で、形
状としては、板状、シート状、各種立体形状等の形状の
ものがある。
【0011】木材合板、パーティクルボード又は木質繊
維板に用いられる木材としては、楢、杉、松、欅、樫、
ラワン、チーク等通常使用されているものを用いる。
【0012】ホルムアルデヒド発散性樹脂を混練又は含
浸する繊維質材料としては、上質紙、クラフト紙、チタ
ン紙、和紙等の紙、硝子繊維、炭素繊維、石綿等の無機
物繊維、麻、木綿、ビニロン等の有機物繊維からなる織
布又は不織布があり、さらには前記無機物又は有機物繊
維を1〜10mm程度に切断した短繊維等がある。これ
ら繊維材料に該樹脂を混練又は含浸し硬化させてなるも
のは所謂FRPと呼称されるものであり、メラミン樹脂
化粧板もこれに包含される。
【0013】各種基材と各種化粧シートを接着剤層を間
に介して接着してなる化粧板において、各種基材として
は、木質板(単板、或いは前記の木質合板、パーティク
ルボード、木質繊維板であってもよい)、金属板、セメ
ント板、硅酸カルシウム板、セラミック板等である。各
種化粧シートとしては、紙、不織布、合成樹脂シート等
のシートに塗装、絵柄印刷、凹凸模様エンボス等の装飾
処理を施したものを用いる。
【0014】本発明で言う電離放射線とは電子線(β線
も包含する)、紫外線、X線、γ線等の高エネルギーの
電離放射線を指す。すなわち、数mmから数cmの基材
に浸透することが可能なエネルギーを有することが必要
である。ホルムアルデヒド発散性樹脂単体の基材のよう
に透明性のあるものの場合は紫外線の使用も可能である
が、基材が顔料等を含んで不透明な場合、木材合板のよ
うに不透明な場合には、電子線、X線、或いはγ線が好
ましい。ただし、ホルムアルデヒド発散性基板からのホ
ルムアルデヒドの発散・放出の促進効果の点では電離放
射線として電子線を用いることが好ましい。また、電子
線の加速エネルギーとしては、1〜350keV、照射
量としては500〜10000kGyの範囲が好まし
い。
【0015】電子線照射装置としては公知の各種方式の
ものが使用できる。例えば、電子加速方式としては、コ
ッククロフトウォルトン型、バンデグラフ型、共振変圧
器型、線型加速器型等の方式が用いられる。ビーム形成
方式としては、走査型、カーテン型等の方式が用いられ
る。或いは、電子線照射装置として、60Co(コバルト
60)、 170Tm(ツリウム170)等の放射性原子核
から放出されるβ線を用いてもよい。γ線照射装置とし
ては放射性原子核が用いられる。核種及び線種として
は、例えば60Co(コバルト60)の1.17MeV及
び1.33MeVのγ線、或いは 226Ra(ラジウム2
26)の2.2MeVのγ線等を用いる。X線照射装置
としては、クーリッジ管、イオンX線管等の放電管、ベ
ータトロン、線型加速器等が使用できる。紫外線照射装
置としては、低圧水銀燈、高圧水銀燈、エキシマーラン
プ、或いはエキシマーレーザー等の紫外線レーザーが用
いられる。
【0016】電離放射線を照射する形態の一例を図1に
示す。図示の例では、基板1を搬送装置2上にて矢印方
向に移動させながら、照射装置3から電離放射線4を照
射する。これにより基板1中のホルムアルデヒド(図に
おいて「×」はホルムアルデヒド分子Hを模式的に示
す)の放出が促進される。基板に対する電離放射線の照
射工程は空気中(大気圧又は減圧)、窒素やアルゴン等
の不活性ガス中、或いは真空中のいずれで行うことも可
能である。また照射は基板の一方向のみからでもよい
が、基板の表裏両面から同時に又は順々に行うこともで
きる。特に表裏両面からの照射が好ましいのは、電離放
射線の透過力が弱い場合、被照射基板が厚い場合、或い
は基板表面に電離放射線によって変質劣化しやすい化粧
シート、塗膜等(例えば、電子線によって黄変しやすい
ポリ塩化ビニル樹脂シート)が積層されている場合であ
る。すなわち、電離放射線の強度は浸透距離(深さ)の
指数関数で減衰するため、表裏両面から照射すると、基
板表面近傍の強度(吸収線量)を極端に増大させること
なく、基板内部の中心部の強度(吸収線量)の減衰を防
ぎ、基板内部の厚み方向全体に渡って均質且つ良好なホ
ルムアルデヒド除去が可能である。
【0017】図2は電離放射線を照射した時の基板の厚
み(深さ)方向の強度を示すグラフであり、図2(a)
は基板の表面からのみ照射した場合、図2(b)は基板
の表裏両面から照射した場合である。図2における文字
はそれぞれ次の内容を表す。また、図2(b)における
S ,LB はそれぞれ表面、裏面のみから照射(照射側
と反対の面の強度がそれぞれ殆ど0となるように照射)
した時の電離放射線強度を示している。 T:基板の厚さ I(x):基板内の深さxにおける電離放射線の強度 IA MAX :表面からのみ照射した時の基板内での最大の
電離放射線強度 IA MIN :表面からのみ照射した時の基板内での最小の
電離放射線強度 IB MAX :表裏両面から照射した時の基板内での最大の
電離放射線強度 IB MIN :表裏両面から照射した時の基板内での最小の
電離放射線強度
【0018】図2のグラフから分かるように、 IA MIN =IB MIN とした場合、 IA MAX >IB MAX そして、 (IA MAX −IA MIN )/IA MIN >(IB MAX −IB
MIN )/IB MIN となり、基板内部の厚み方向での強度のレンジは表裏両
面からの照射の方が縮小する。
【0019】電離放射線の照射により基板中のホルムア
ルデヒドが放出・発散されやすくなる機構は現在までの
ところ不明である。推測されるところでは、ホルムアル
デヒド分子が基板の分子と弱い化学結合(水素結合、分
子間力結合等)により結合されているところで、電離放
射線によりホルムアルデヒド分子又は基板の分子が励起
され、該結合が切断されるか或いは基板分子が変成され
てホルムアルデヒドとの結合が弱まるためと思われる。
【0020】電離放射線照射後の基板中の遊離ホルムア
ルデヒドは、基板自体が透気性を有するため基板の表面
から放出される。この放出されたホルムアルデヒドにプ
ラズマを作用させる。プラズマは、正・負の荷電粒子を
含み、全体として電気的にほぼ中性を保つ粒子の集団で
あり、固体プラズマや液体プラズマも存在するが、ここ
では気体プラズマを使用する。このプラズマの中には、
電子、正イオン・負イオンなどの荷電粒子、中性原
子・分子、ラジカルなど、放射される光子が存在す
る。これらの粒子の存在のためプラズマは化学的に活性
であり、ホルムアルデヒドがプラズマと接触すると分解
されて蟻酸或いはさらにH2 OやCO2 となる。
【0021】使用できるプラズマとしては、プラズマの
制御のし易さ、発生のさせ易さ、プラズマの持つ温度や
エネルギーの適性等の観点から、所謂「低温プラズマ」
が用いられる。低温プラズマの中でも特に放電励起によ
る低温プラズマ、即ち低温弱電離プラズマが好ましい。
低温プラズマの発生方法としては次のものがある。 沿面放電方式 誘電体の表面及び裏面の一方に面状電極、他方に紐状電
極を形成した電極を用意し、該電極間に電圧1kV〜1
00kV程度、周波数1kHz〜100kHz程度の交
流電圧を加え、誘電体表面に沿って沿面ストリーマ放電
を行い、気体を励起しプラズマ化する。誘電体としては
セラミックス製のものが好ましい。 パルスコロナ放電方式 wire−cylinder方式、wire−plat
e方式等が代表的である。電極間に電圧1kV〜100
kV程度、立上時間10〜50nS、パルス半値幅50
〜500nSのパルス電圧を加え、ストリーマーコロナ
放電を行わせて気体を励起する。 パックドベッドリアクタ方式 電極間に強誘電体ペレットを充填せしめた上で、電圧1
kV〜100kV程度、周波数50kHz〜100kH
z程度の交流電圧を加え、ペレット間近傍に生じる局部
的且つパルス的な強電場により放電を励起させ、気体を
励起してプラズマ化する。 無声放電方式 電極間に誘電体を挿入した上で、電圧1kV〜100k
V程度、周波数50kHz〜100kHz程度の交流電
圧を加えて放電させ、気体を励起してプラズマ化する。 その他の方式 DCコロナ放電方式、沿面放電方式と無声放電方式との
併用方式、パックドベッドリアクタ方式とパルスコロナ
放電方式との併用方式等。
【0022】これらの中でも沿面放電方式はプラズマ
気体の種類の如何によらず反応効率が良好である。プラ
ズマの原料となる気体としては、O2 (酸素)、N
2 (窒素)、H2 O(水蒸気)、アルゴン、空気、或い
はこれらの混合気体等が用いられる。これら気体の気圧
としては、大気圧(約760mmHg)〜1mmHg程
度であり、通常大気圧程度の圧力で用いられる。これら
気体の低温プラズマ中における高エネルギー電子e
- や、励起状態のO、O3 (オゾン)、N、N2 、OH
等とホルムアルデヒドとが反応することで、前記の分解
乃至は酸化が行われる。低温プラズマによる処理は基板
をプラズマ原料気体と共に密室(チャンバー)内に封入
した状態で行う。ただし、大気圧の空気中での低温プラ
ズマ処理を行う場合は、開放状態で行うことも可能であ
る。
【0023】基板の表面をプラズマと接触させる際に同
時に加熱を行うとホルムアルデヒドをより効率的に放出
させることができる。基板の加熱は、赤外線輻射、誘電
加熱等の手段によればよい。基板の加熱温度は通常30
〜150℃程度である。ただし、基板の材料が熔融、発
火燃焼、分解、化学反応、結晶変態等の劣化、変質、損
傷を起こさない範囲に抑えるようにする。通常の木質材
料では30〜100℃が好ましい。
【0024】基板を加熱する場合、図3に示すように基
板1の下面のみから例えば遠赤外線5を照射すると、下
側表面Aが高温で上側表面Bが低温になるように温度勾
配が生じ、ホルムアルデヒド分子Hが熱拡散に伴い高温
側から低温側へ、すなわち下側表面Aから上側表面Bに
向かって移行して上側表面Bから放出される。プラズマ
照射にこのような加熱方式を組み合わせるとよい。具体
的には、ホルムアルデヒド分子Hが高濃度で放出されて
くる上側表面B側に照射装置を置いてプラズマ粒子Pを
基板に接触させるようにすると、放出されたホルムアル
デヒドHを分解するのに効率が良い。もちろん、温度勾
配を持つ基板1における高温の下側表面A側をプラズマ
と接触させたり、或いは上側表面Bと下側表面Aの両面
を同時にプラズマと接触させることも可能である。
【0025】なお、本願発明の処理方法は、基板から発
散されるホルムアルデヒド以外の有機物気体の除去にも
有効である。除去可能な有機物気体としては、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、塩化メチル、トリクロロエチ
レン、ヘキサン、塩化エチレン等が挙げられる。
【0026】処理を施した基板は、さらに必要に応じて
各種寸法、形状に切断した後、切削、Vカット等の加工
や各種素材との積層を行った上、天井、床、壁等の建築
物内装材、箪笥、机等の家具、テレビジョン受信機等の
弱電機器のキャビネット、箱等の容器、自動車、電車等
の車輛内装材、船舶や航空機の内装材等のような用途に
用いることができる。
【0027】
【実施例】
(実施例1)材種にラワン材を使用し、総厚み5.5m
mになるように熱プレスで積層して合板を作製した。単
板の積層枚数は3枚で、層間接着剤として尿素・ホルム
アルデヒド系樹脂を使用した。そして、図1に示すよう
に、この合板(基板1)を回転ローラー列からなる搬送
装置2上にて矢印方向に移動させながら、照射装置3か
ら電離放射線4を照射した。照射条件は次のようであ
る。
【0028】<照射条件> 電離放射線種:電子線 照射装置:カーテン型電子加速器 加速エネルギー:200keV 照射線量:2000kGy 照射回数:1回 照射雰囲気:空気中
【0029】次いで、照射を完了した直後に合板を大気
中にてプラズマ処理した。具体的には、沿面放電方式の
プラズマ発生装置を用いたセラミックス板を誘電体とす
る面状電極に電圧20kV、周波数50kHzの交流電
圧を加えて空気分子を励起して発生させた低温プラズマ
に合板を15分間接触させた。
【0030】(実施例2)実施例1において電子線の照
射線量を4000kGyとし、その他は実施例1と同条
件で処理を行った。
【0031】(比較例1)実施例1において電子線の照
射を行わず、その他の条件は実施例1と同じにしてプラ
ズマ処理のみを行った。
【0032】(比較例2)実施例1と同じようにして電
子線の照射のみを行い、電子線照射後の合板をプラズマ
処理しなかった。
【0033】(比較例3)基板として実施例と同様のも
のを用意し、これには実施例1と同じ条件の電子線照射
とプラズマ処理を同時に行った。
【0034】(比較例4)基板として実施例と同様のも
のを用意し、これには電子線照射もプラズマ処理も全く
行わなかった。
【0035】<ホルムアルデヒド量の評価>実施例1,
2と比較例1〜4の合板に対して臭覚評価と、JIS−
A−5908及びJAS特殊合板に記載のある「ホルム
アルデヒド放散量試験」に従った定量評価を行い、表1
に示す結果を得た。この結果から、電離放射線の照射工
程及びそれに続くプラズマ処理工程を経たものはホルム
アルデヒド量が低減していることが分かる。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の基板の処
理方法によれば、基板中に存在するホルムアルデヒドを
簡単に効率良く低減することができ、経時的なホルムア
ルデヒドの発散を十分に低減することができる。また、
基板に電離放射線を照射してから基板の表面をプラズマ
と接触させるだけでよく、基板自体への余分な添加剤は
不要である。よって、基板自体の性能に影響を与えた
り、基板の製造及び後加工の適性に影響することもな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】電離放射線を照射する形態の一例を示す説明図
である。
【図2】電離放射線を照射した時の基板の厚み(深さ)
方向の強度を示すグラフであり、(a)は基板の表面か
らのみ照射した場合、(b)は基板の表裏両面から照射
した場合である。
【図3】基板の表面にプラズマを接触させる例を示す説
明図である。
【符号の説明】 1 基板 2 搬送装置 3 照射装置 4 電離放射線 5 遠赤外線 H ホルムアルデヒド分子 P プラズマ粒子

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホルムアルデヒド発散性樹脂を含有する
    基板のホルムアルデヒド量を低減させる処理方法であっ
    て、前記基板に先ず電離放射線を照射し、しかる後に前
    記基板の表面をプラズマと接触させることを特徴とする
    基板の処理方法。
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