JPH1026001A - サイクロイド式出力装置 - Google Patents

サイクロイド式出力装置

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JPH1026001A
JPH1026001A JP19551296A JP19551296A JPH1026001A JP H1026001 A JPH1026001 A JP H1026001A JP 19551296 A JP19551296 A JP 19551296A JP 19551296 A JP19551296 A JP 19551296A JP H1026001 A JPH1026001 A JP H1026001A
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rotor
center
valve
curved surfaces
diameter
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JP19551296A
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Nobuo Takada
信夫 高田
Shigeo Takada
滋生 高田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来にない回転式の出力装置を提供する。 【構成】 出力装置は、3つの等比サイクロイド曲面S
a、Sb、Scを持つハウジング1、この中に入れられ
たロータ2、ハウジング1の中心を中心として回転自在
に支持されると共にロータ2を自転自在に支持する回転
ケーシング3、開口部4に配設された吸気/排気弁5、
6、これらの開閉タイミングを制御する弁制御機構、等
を有する。 【効果】 ロータ2は3つのサイクロイド曲面に3点で
接触し、吸気/排気弁を介してタイミングよく出入りす
る作動流体でロータ2が自転すると共に前記中心を中心
として公転し、回転ケーシング3の出力軸部分に出力ト
ルクを発生させる。小型高性能のエンジンになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガソリンエンジンやデ
ィーゼルエンジン等の内燃機関、油圧モータやエアーモ
ータ、蒸気機関等の各種出力装置の基本構造に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関等の各種出力装置としては、従
来から往復動式、ロータリー式、タービン式等種々の形
式のものが周知である。これらの出力装置は、構造、性
能、製造、価額等の点でそれぞれ長所及び短所を有し、
それぞれ合目的的に使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、出力変動が
少なく、性能の向上された従来に例のない往復及び回転
動作の組み合わされた出力装置を提供することを課題と
する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、出力装置が、導円の直径の2/3の直径を
持つ転円の円周上の一点の描く3つの内転サイクロイド
のそれぞれをその曲率中心の方向に所定距離移動して延
長した等比サイクロイド又はこれに近似した曲線の断面
を持ち長さ方向に延設された3つ曲面を備えた構造体
と、該3つの曲面内に入れられた回転体であって前記転
円の直径の両側に前記所定距離とほぼ同じ幅を持つと共
に前記転円の直径の両端を中心として前記所定距離とほ
ぼ同じ半径の半円又は半円状部分を持つ円盤状図形の断
面から成り前記長さ方向に延設された回転体と、該回転
体が前記円盤状図形の中心を通る長さ方向の軸を中心と
して回転自在なように前記回転体を支持する支持出力体
であって出力端を備え前記導円の中心を中心として回転
自在に支持される支持出力体と、前記3つの曲面で形成
される3つの開口のそれぞれに設けられ前記回転体を動
かすための作動流体を吸入及び吐出する吸入弁及び吐出
弁と、前記3つの曲面の開いた部分を閉鎖する閉鎖部材
と、前記作動流体が前記回転体を動かすように前記吸入
弁及び吐出弁の開閉動作を制御する弁制御機構と、を有
することを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】図1は本発明の出力装置の構造体
の断面を形成する基本形状である内転サイクロイドを示
す。内転サイクロイドC(C1 、C2 、C3 )は、導円
Aの直径6rの2/3の直径4rを持つ転円Bの円周上
の一点pの描く3つの軌跡である。このときには、転円
Bの点pを含む直径線Lの他の一点qも同じ内転サイク
ロイドを描く。又、転円Bの直径が4rであるから、そ
の中心B0 は、導円Aの中心A0 から距離rの位置にあ
り、半径rの円周R上を移動する。図では、転円Bが6
0°づつ3回右回転して合計180°回転し、太い実線
の位置から細い実線と点線とを経由して再び太い実線の
位置まで復帰した状態を示す。このとき、直径線Lも矢
印で示すように順次回転し、L1 、L2 を経由してLま
で復帰し、その両端の点p及びqが、順次、点p1 、p
2 及びq1 、q2 を経由してp3 及びq3 至り、細い実
線、点線、太い実線に示す曲線を形成し、内転サイクロ
イドC1 、C2 、C3 が描かれる。この180°回転し
たときには、点pと点qの位置が入れ代わり、それぞれ
の位置に点q3 とp3 とが来る。1点p又はqだけが描
く内転サイクロイドは、転円Bが360°回転すること
により形成される。
【0006】直径線Lは、このようにして形成される3
つの内転サイクロイドC(C1 、C2 、C3 )に対し
て、p、qを通る直線が常にその3つに接触するという
特性を有する。例えば、転円B及びその直径線Lが90
°回転して2点鎖線で示す直径線L´となり、その中心
Boが点qの位置B0 ´に来たときには、両端p´、q
´がそれぞれ内転サイクロイドC1 、C3 に接触すると
共に、中心B0 ´が内転サイクロイドC2 に接触する。
【0007】図2は、出力装置の構造体としてのハウジ
ング及び回転体としてのロータの断面形状の構成例を示
す。ハウジング1の断面は、図1に示した内転サイクロ
イドC1 、C2 、C3 を、その曲率中心の方向に所定距
離としてtだけ移動すると共に、太い実線で示す部分を
延長し、曲率を一様にtだけ小さくした等比サイクロイ
ドC1 ´、C2 ´、C3 ´の形状を持つ。そして、ハウ
ジング1は、このような断面が図において紙面に直角な
方向である長さ方向に延設され内側を向いた3つの曲面
Sa、Sb、Scを備えている。
【0008】この3つの曲面内には、直径線Lの両端
p、qを中心として所定距離tと同じ幅部分D、Eを持
つと共に同じ半径tの半円状部分F、Gを持つ円盤状図
形の断面を持ち前記長さ方向(紙面に直角な方向)に延
設された回転体としてのロータ2が入れられている。
【0009】ロータ2は、直径線Lの両側に、内転サイ
クロイドと等比サイクロイドとの曲率中心方向即ち法線
方向の間隔tと同じ片側厚みtを持つので、例えば図示
の状態では、曲面Sa、Sb、Scにそれぞれ3点h、
i、jで接触することは明らかである。このようにロー
タの片側厚みtと内転サイクロイドの法線方向の移動距
離tとが全体的に同じであれば、ロータ2が図示の状態
から任意の角度回転しても、ロータ2は常に3つの曲面
に接触することになる。その結果、ハウジング1内には
常に3つの容積部分Va、Vb、Vcが形成される。
【0010】図3は以上のように形成されたハウジング
及びロータを持つ出力装置のハウジング及びロータ部分
の構造例を示し、図4乃至図8は出力装置が内燃機関で
ある場合の各部の構造例を示す。本例では、内燃機関は
4サイクルガソリンエンジンであり、図4及び図5は出
力軸の中心線を含む縦断面を上下に分割して示し、図6
及び図7は前記中心線に直角方向の縦断面又は側面形状
をそれぞれ120°の角度で区分して示し、図8は吸排
気弁部分の構造を示す。
【0011】出力装置は、主要構造部分として、構造体
としての前記ハウジング1、回転体としての前記ロータ
2、支持出力体としての回転ケーシング3、開口4に設
けられる吸入弁及び吐出弁としての吸気弁5及び排気弁
6、閉鎖部材としての中間ケーシング7及び前記回転ケ
ーシング3、弁制御機構8等を備えている。又、これら
と関連した構造として、両端ケーシング9、主軸受1
0、吸排気弁箱11、吸気ケーシング12、排気ケーシ
ング13、吸気管14、排気管15、潤滑兼冷却油入口
及び出口16a及び16b、冷却水ジャケット17等を
備えている。
【0012】ハウジング1は、前記のように断面がC1
´、C2 ´、C3 ´の形状を持つ3つの曲面Sa、S
b、Scを持ち耐圧構造になっている。但し、図6に示
す如く3つの曲面のうち、ロータ2と接触する限界であ
る点h、jより外側の部分は、出力装置の用途等に合わ
せてサイクロイド曲面とは異なった適当な任意の曲面に
することができる。図6では、吸気弁5の配置や燃焼室
18の大きさ等を考慮して、サイクロイド曲面より広が
った曲面Sa´、Sb´、Sc´にしている。但し、燃
焼室の容積や圧縮比等の関係で上部を狭くするような構
造も可能である。又、本実施例ではハウジング1が3つ
に分割されていて、それぞれは中間ケーシング7にピン
1aで位置決めされネジ1bで固定されて一体化されて
いる。
【0013】ロータ2は回転ケーシング3に回転自在に
支持されている。回転ケーシング3は、出力軸部分3
1、これと一体となって半径方向に延びたフランジ部分
32、これらの部分にボルト33によって固定された内
外組立支持軸34及び35、外支持軸35の両端部に配
設された軸受36等によって構成されていて、軸受36
部分によってロータ2の中心を通る長さ方向の軸2aを
中心としてロータ2が回転自在なようにロータ2を支持
すると共に、その中心である前記導円の中心A0 を中心
として回転自在なように主軸受10によって支持されて
いる。
【0014】ロータ2は、本実施例では、主要部として
片側厚みtを持つ幅部分を形成する本体部21と、半径
tの半円状部分を形成する回転シール22とを備え、こ
れらで円盤状図形の断面が構成されている。回転シール
22はその両端部を軸受23で支持されてる。本体部2
1の長さ方向の両側には側板24が設けられ、両者はネ
ジ25で固定されて全体が一体化されている。そして、
側板24が軸受36で支持されることにより、前述のよ
うにロータ2は回転ケーシング3の外支持軸35上で自
由に回転できるようになっている。その結果、ロータ2
は、回転ケーシング3に自転可能に支持されると共に、
回転ケーシング3の回転によってその中心2aが回転ケ
ーシング3の中心A0 を中心として公転する。この関係
は、通常のエンジンで言えば、中心2aがクランクピン
の中心で中心A0 がクランク軸の中心に相当する。
【0015】回転シール22は、断面が円弧状に形成さ
れていて11角形の外周部を持ち、それぞれに溝22a
が形成され、その中にバネ22bで外方向に押し出され
るように付勢された気密保持兼油掻き用のシール板22
cが入れられている。同様に、ロータ2の本体部21に
も溝21aが形成され、その中にバネ21b及びシール
板21cが設けられている。なお、シール板に例えばテ
フロン等を用いて、ハウジング内面を無潤滑にすること
も可能である。
【0016】回転シール22は、前述の如く長さ方向の
両端の軸受23を介して軸26に支持され、軸26上で
自由に回転できる。そして軸26の両端が前記側板24
に嵌め込まれることにより、本体部21と回転シール2
2と側板24とが一体として回転すると共に、回転シー
ル22がロータ2に対して更に自転できるようになって
いる。符号22dは潤滑兼冷却油の両側をつなぐ油路で
ある。なお、図3に示す如く、回転シール22が曲面S
a及びScに接触する部分では、両曲面が一定の接線角
を持つので、この角度から計算して回転シール22の外
周を11角形にしている。又、側板24はフランジ部を
備え、側面及びフランジ部でシール板21c及び22c
の突出位置を規制している。
【0017】吸気弁5(5a、5b、5c)及び排気弁
6(6a、6b、6c)は、3つの曲面Sa、Sb、S
c又はこれから開いた曲面Sa´、Sb´、Sc´(図
6)で形成される3つの開口4(4a、4b、4c)の
それぞれに設けられ、ロータ2を動かすための作動流体
を吸入及び吐出する。作動流体は出力装置の種類によっ
て異なり、例えばディーゼルエンジン、ガソリンエンジ
ン、エアーモータ、油圧モータ、蒸気機関では、それぞ
れ、燃焼用空気及び燃焼ガス、燃料の混合された燃焼用
空気及び燃焼ガス、圧縮空気、圧力油、圧力を持った蒸
気である。
【0018】吸排気弁5、6は一体的に形成された吸排
気弁箱11内に収められていて、どちらも同じ構造にな
っている。従って吸気弁5について説明する。吸収弁5
は、弁棒と一体になった弁体51、弁座52、弁棒ガイ
ド53、スプリング54等で形成されている。弁棒51
の上端には、後述する弁制御機構8のロッカーアーム8
8の作動端88aが圧接している。又弁箱11には、図
8に示すように、点火プラグ19が取り付けられてい
る。吸排気弁5、6の下方は燃焼室18になっている。
【0019】中間ケーシング7及び前記回転ケーシング
3は、3つの曲面Sa、Sb、Sc又はSa´、Sb
´、Sc´の開いた部分である前記開口4a、4b、4
cにおいて吸気/排気弁の設けられていない部分、及
び、前記曲面の長さ方向の端面を閉鎖する。そして、こ
れらの閉鎖された内部で作動流体が作動し、回転ケーシ
ング3の出力軸部分31に出力トルクを発生させる。
【0020】弁制御機構8は吸気弁5及び排気弁6に対
して設けられるが、制御タイミングを変える点を除いて
は何れの弁の制御機構も同じであるから、図4及び図7
により吸気弁5のものとして説明する。弁制御機構8
は、出力軸部分31で回転駆動される駆動歯車81、両
端ケーシング9の一端側に固定された支持軸82aに回
転自在に支持された中間歯車82、駆動歯車81から中
間歯車82を介して回転駆動されるカム歯車83、これ
と一体化されたカム84、これらを回転自在に支持する
カム支持軸受85、カムフォロワ86、吸気弁駆動軸8
7、ロッカーアーム88、等によって構成されている。
【0021】カム歯車83は駆動歯車81の2倍の直径
になっていて、出力軸36が2回転したときにカムは1
回転する。吸気弁はそれぞれ異なったタイミングで作動
するものが円周上の3箇所に設けられているので、カム
84はこれに対応するように3箇所の凹凸部分を持つ形
状になっている。
【0022】図9及び図10は図4及び図5に対応する
図であり、吸気系I、排気系E、燃焼室18、潤滑兼冷
却油系LC、冷却水系Wを、それぞれ、右斜線、左斜
線、クロス斜線、濃い黒塗り、薄い黒塗りで示してい
る。吸排気ケーシング12、13は、図6にも示す如く
(図では吸気ケーシング12を示していて、排気ケーシ
ングは同じ位置で紙面の裏側に配置されている)、円周
方向に連続していて、3つの開口部分に設けられた3つ
の吸気弁又は排気弁間で連通している。そしてそれぞれ
が1箇所で吸気管14及び排気管15につながってい
る。符号14aは吸気ケーシング12と吸気管14とを
結合する連結管である。なお、吸気管14には図示しな
いキャブレター等の燃料ガス供給装置が接続され、排気
管15には図示しない排気消音器が接続される。
【0023】冷却水ジャケット17は、3つのハウジン
グ1と中間ケーシング7との間で形成され、それぞれの
ケーシング毎に独立して設けられていて、それぞれのジ
ャケットに冷却水の入口17aと出口17bが設けられ
ている。図6では異なったケーシング1の別個の入口、
出口17a、17bを示している。これらは、エンジン
回りに配設された図示しない冷却水入口集合管から分配
され出口集合管に集められる。潤滑兼冷却油系及び冷却
水系には、図示しない循環ポンプ及びラジエータ等から
油や水が供給される。
【0024】図11は、出力装置が以上のような構造の
4サイクルエンジンである場合の動作状態を示す。な
お、エンジンがスタートする前に潤滑兼冷却油系や冷却
水系は予め運転されている。図は、同図(a)の室Ra
(燃焼室18)が上死点位置にある状態から、ロータ2
が30°づつ右回転し、室Ra、Rb、Rcのうちの何
れかが上死点又は下死点の位置になっている状態を示
す。なお実際には、吸排気弁の上下死点における開閉に
は、必要によってオーバーラップ等を設けるが、説明を
簡単にするために、上下死点で弁が開閉するものとして
説明する。吸排気弁のうち特に開閉について記載しない
ものは閉になっている。
【0025】同図(a)では、ロータ2の1端が開口4
aの位置である上死点にある。このときには、排気弁6
aが閉になり、吸気弁5aが開になり、燃料と空気の混
合ガスの室Raへの吸入が開始される。このとき、室R
bは膨張行程、室Rcは圧縮行程になっていて、この状
態では吸気弁5a以外の弁は全て閉じている。(b)で
は、ロータ2が3曲面Sa、Sb、Scと3点で接触し
つつ30°右回転(自転)して、その中心2aが出力軸
31(図4)の中心A0 の回りに60°左回転(公転)
した状態を示す。このときには、Raは吸入行程、Rb
は膨張行程の終で排気行程の始、Rcは引き続いて圧縮
行程になっている。従って、吸気弁5aが開で、排気弁
6bが開き始める。他の弁は当然閉じている。このとき
室Rbは最大容積で下死点の位置になっている。なお、
ロータの自転角度は公転角度の1/2になる。
【0026】同図(c)は、ロータ中心2aが120°
公転し、ロータ2が60°自転した状態を示す。この状
態では、室Raでは吸入行程、室Rbでは排気行程が継
続し、室Rcでは圧縮行程が完了して点火プラグ19が
オンになり、爆発・燃焼が始まる。更にロータが回転
し、(d)では吸気弁5aが閉じて室Raで圧縮が始ま
り、(e)では室Rbで排気弁6bが閉じて吸気弁6a
が開になって吸入行程が始まり、(f)では室Rcで膨
張行程が終り排気弁6cが開いて排気行程が始まる。そ
して、ロータが180°即ち1/2回転自転し、その中
心が360°即ち1回転して再び(a)の状態になり、
1/2行程が終了する。次の1/2行程は、室Raでは
点火−燃焼−膨張行程、室Rbでは吸入行程の途中、室
Rcでは排気行程の途中から始まり、それぞれの室では
1/2行程のときとは異なった行程が進み、再び(a)
の状態になる。この間で、全ての室で吸入−圧縮−膨張
−排気の4行程が完了し、それぞれの室で点火−爆発・
燃焼−膨張時に出力トルクが発生する。表1は以上の行
程の進行状態を示す。この表において、図11の縦欄の
符号の“(a)2”等は、1サイクルにおける2回目の
図11(a)等の状態を意味する。
【0027】
【表1】
【0028】以上の如く、本発明を適用した4サイクル
エンジンでは、ロータ2の1回転で出力軸31が2回転
するので、ロータの回転の割りに出力軸の速い回転速度
を得ることができる。従って、作動部分の慣性力が相対
的に小さくなり、エンジンの高速化が容易である。又、
出力軸の1回転中に、3つの室で等間隔に合計3回燃焼
−膨張が行われるので、通常のエンジンの3倍の回数で
出力トルクが発生する。従って、トルク変動が小さくな
り、回転出力部分に付加しなければならない慣性質量等
を低減することができる。即ち、従来型の3気筒エンジ
ンと同じ効果がある。又、同じ出力の従来のエンジンと
比較すると、シリンダ容積に相当する部分の容積を1/
3以下にすることができる。そしてこれに加えて、従来
のエンジンではシリンダとクランク機構とが別に設けら
れているのに対して、燃焼室とクランク機構に相当する
出力部分とが同じ位置で一体化されているので、極めて
小型高出力でバランスが良く安定した運転状態の得られ
るエンジンを実現することができる。
【0029】又、例えば図11(b)の室Rbに示すよ
うに、燃料の燃焼−膨張する室の容積が指数的に大きく
なっているので、燃料と空気の混合ガスの燃焼による体
積増加の状態に近づく。その結果、爆発・膨張行程中の
圧力差が小さくなり、得られる平均有効圧力の割に最高
圧力を低く押さえることができ、エンジンの強度設計が
容易になる。このような容積変化は、慣性をもった弁の
開閉特性に対しても良い作用を及ぼす。又、ロータ2の
上死点位置から行程が進むに従ってロータ2の受圧面積
もエキスポーネンシャルに増加するので、燃焼ガスの圧
力変化とのマッチングが良くなって発生トルクが均一化
する傾向になると共に、受圧力がそのまま回転トルクに
変換される。従って、受圧面積一定のピストンを用い
て、大きな機械的損失を発生させつつ直線運動を回転運
動に変換する従来のエンジンに較べて、エンジンの熱効
率や機械効率を大幅に改善することができる。
【0030】更に、本発明の出力装置では、ロータ2の
往復的動作がハウジング内で常に位置を変えて行われ、
結果的にロータは自転、公転し、回転シールも回転する
ので、基本的には回転動作のエンジンになる。そして、
これらの回転速度は常に相互で一定の比率になっている
ので、等速制御されるエンジンでは、全ての回転が等速
になり、加速度のない極めて安定した動作が得られる。
そしてエンジンとして最高の機械効率を得ることができ
る。又、ロータ2の動作は中心軸回りに偏心回転を行な
うジャイロモーションになっているので、その効果によ
って振動等が吸収され、静かな動きをするエンジンとな
る。又、この出力装置自体に大きなジャイロ力があるの
で、エンジン以外の応用用途に対してその安定した動作
を利用することができる。
【0031】又、図6に示す如く、3つの曲面のうちロ
ータ2と接触する限界である点h、jから外側の部分を
適当な任意の曲線にすることができるので、燃焼室の形
状として最も燃焼効率のよい球形燃焼室を実現し、燃焼
効率の向上と排ガスのクリーン化を図ることができる。
【0032】なお以上では、主として出力装置が4サイ
クルガソリンエンジンである場合について説明したが、
本発明は他の形式のエンジンや種々の出力装置に適用で
きる。他の出力装置の場合には、吸入/吐出弁やその制
御機構はそれぞれの装置に適当な性能や形状のものが選
ばれる。例えば出力装置が2サイクルエンジンやエアー
モータ等の場合には、ロータの1/2回転、従って出力
軸の1回転で1サイクルが完了するので、カム機構とし
ては出力軸の1回転で1回転するものが用いられる。な
お、通常回転羽根等の用いられるエアーモータに較べ
て、本発明の回転往復式出力装置によれば大幅に空気消
費量を低減し、効率的な運転をすることができる。
【0033】又、ハウジング1の3曲面S(Sa、S
b、Sc)の断面形状を、内転サイクロイドに対して幅
tだけ移動させ曲率を小さくした等比サイクロイドと
し、ロータ2の断面形状を、片側寸法tの幅部分及び半
径tの半円状部分を持つ円盤状図形にしたが、ロータ2
がシール板21c、22cを備えるような場合には、シ
ール板に突出代があるため、3曲面及びロータを必ずし
も厳密に上記のような形状にしなくてもよい。
【0034】一方、直径6rの導円に対する直径4rの
内転サイクロイドは、直径7rの円弧と近似した曲線に
なる。即ち、両曲線の中央部分を一致させると、両端近
傍における両曲線の最大誤差はr/1000程度であ
る。従って、実用的には、内転サイクロイドを半径7r
程度の円弧とし、曲面Sを7r−t程度の円弧にするこ
とができる。この場合には、ロータ2の断面の両端部を
半径tの円弧にすると、ロータと3曲面とが完全には接
触しなくなるが、誤差が小さいため通常このような構成
で問題は生じない。特に、低圧用や高い容積効率を必要
としない場合等には、このようなロータ形状で十分であ
る。但し、この円弧を少し突状に修正することにより、
ロータを3曲面に完全に接触させることもできる。
【0035】なお、図3乃至6では、ロータ2が回転シ
ール22を有する例を示したが、例えば出力装置が油圧
モータやエアーモータのように、潤滑性があったり冷却
能力があるような場合には、このような回転シールを設
けることなく、ロータを断面が円盤状の一体物にするこ
とも可能である。又、実施例のように11角形の円弧状
回転体に溝を設けてその中にバネとシール板を入れるシ
ール構造に代えて、弾性体等の材料から成る一体構造の
回転シールを用い、3曲面とはころがり接触をさせるよ
うな構造にしてもよい。
【0036】
【発明の効果】以上の如く本発明によれば、従来に例の
ない往復及び回転動作を組み合わた構造により、出力装
置のトルク変動を少なくし、性能を向上させることがで
きる。即ち、本発明の構成によれば、導円の直径(仮に
6rとする)の2/3の直径4rを持つ転円の円周上の
一点の描く3つの内転サイクロイドでは、その一点を含
む直径の他の一点も同じ内転サイクロイドを描く。従っ
て、転円の直径は常に2つの内転サイクロイドに接触す
る。又、この直径線は残りの1つの内転サイクロイドに
接触するという特性を持つ。更に、直径が4rであるこ
とから、内転サイクロイドを描く直径の中心は、導円の
中心を中心として半径rの円周上を移動するという性質
を持つ。従って、導円の中心を中心として前記直径線を
回転させると、直径線はその両端及び中間部分で3つの
内転サイクロイドの全てに接触しながら回転する。この
内転サイクロイドは、又、全体的に半径7rの円弧に近
似した曲率を持つ。
【0037】これらの内転サイクロイドを、それぞれの
曲率中心の方向に所定距離t移動すれば、元のサイクロ
イドから曲率がtだけ小さくなった等比サイクロイドが
形成される。半径7rの円であれば、7r−tの円弧に
なる。このような曲線図形には、前記直径の中間部分で
は、直径の両側にそれぞれ厚みtを持たせた2つの直線
部の何れかが接触する。又直径の両端部分では、両端を
中心とした半径tの半円状部分が前記曲線図形に接触す
る。更に、それぞれの2つの曲線図形間には、ほぼ2t
開いた開口が形成される。
【0038】3曲面を備えた構造体及び回転体は、それ
ぞれ前記のような断面をもって長さ方向に延設されてい
るので、回転体は3曲面に3点で線状に接触する。その
結果、回転体は、3曲面で囲われた部分を3つの室に分
割する。
【0039】この回転体は支持出力体によって中心軸回
りに回転自在なように支持され、支持回転体が導円の中
心を中心として回転自在に支持されているので、回転体
は常に3曲面に接触しながら自転しつつ導円の中心を中
心として公転できる。このような回転体の自転・公転に
より、それぞれ2曲面で形成された開口を含む3室の容
積は、最小から最大まで拡大/縮小しながら変化する。
この3つの開口には、それぞれ回転体を動かすための作
動流体を吸入及び吐出する吸入弁及び吐出弁が設けら
れ、又、この3つの開口を含み3曲面の開いた部分が閉
鎖部材で閉鎖されるので、タイミングのよい作動流体の
吸入/吐出により、作動流体の圧力によって回転体を自
転しつつ公転させることができる。そして弁制御機構
は、作動流体が回転体を動かすように吸入弁及び吐出弁
の開閉動作を制御するので、上記の如く回転体が自転と
共に公転し、公転力が支持出力体を回転させる。その結
果、この支持出力体の回転を出力トルクとして取り出す
ことができる。
【0040】このような出力装置は、内転サイクロイド
の延長された部分だけ導円より大きい円の範囲内にその
主要構成部分を備えることになるので、簡素で小型な装
置である。又、吸入/吐出は、3つの開口部のそれぞれ
において1回転に1回、従って合計3回行われるので、
例えば4サイクルガソリン機関では、従来のエンジンが
2回転に一回出力トルクを発生させるのに対して、2回
転に3回出力トルクを発生させることになり、出力が平
均化し、1気筒でもトルク変動の少ないエンジンにする
ことができる。
【0041】更に、2つの曲面形状に囲われた室の容積
は、開口部を起点としてエキスポーネンシャルに変化す
るので、燃料の燃焼後の体積変化と近似することにな
り、出力装置を内燃機関にする場合には、燃焼室内の最
大圧力の上昇を抑制すると共に、平均トルクを大きくし
て最大トルクを低減することができる。その結果、燃焼
室回りの部材の応力低減や肉厚及び重量の低減を図るこ
とができる。
【0042】そして、出力装置をエンジンに適用する場
合には、従来のエンジンに較べて、大幅な小型高効率
化、高速化、運転状態の安定化等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】出力装置のハウジング内面形状を決定する基礎
となる内転サイクロイドの説明図である。
【図2】上記出力装置のハイジング内面形状及びロータ
形状の説明図である。
【図3】上記出力装置のハウジング及びロータ部分の断
面図である。
【図4】出力装置の一例である4サイクルガソリン機関
の長さ方向に平行で中心軸を含む縦断面図の上半分の図
である。
【図5】上記縦断面図の下半分の図である。
【図6】図1のA−A線断面図である。
【図7】図1のB−B線断面図と図2の矢印C方向から
みた側面図とを組合せた図である。
【図8】吸排気弁部分を示し、(a)は正面図で(b)
は底面図である。
【図9】図4における流体の流れ状態を示した説明図で
ある。
【図10】図5における流体の流れ状態を示した説明図
である。
【図11】(a)乃至(f)は上記エンジンの動作の説
明図である。
【符号の説明】
1 ハウジング(構造体) 2 ロータ(回転体) 2a 長さ方向の軸 3 回転ケーシング(支持出力体、閉鎖部材) 4(4a、4b、4c) 開口 5(5a、5b、5c) 吸入弁 6(6a、6b、6c) 吐出弁 7 中間ケーシング(閉鎖部材) 8 弁制御機構 31 出力軸部分(出力端) A 導円 A0 導円の中心 B 転円 C(C1 、C2 、C3 ) 内転サイクロイド C´(C1 ´、C2 ´、C3 ´) 等比サイクロイド p 円周上の一点 S(Sa、Sb、Sc) 3つの曲面 t 所定距離

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導円の直径の2/3の直径を持つ転円の
    円周上の一点の描く3つの内転サイクロイドのそれぞれ
    をその曲率中心の方向に所定距離移動して延長した等比
    サイクロイド又はこれに近似した曲線の断面を持ち長さ
    方向に延設された3つ曲面を備えた構造体と、該3つの
    曲面内に入れられた回転体であって前記転円の直径の両
    側に前記所定距離とほぼ同じ幅を持つと共に前記転円の
    直径の両端を中心として前記所定距離とほぼ同じ半径の
    半円又は半円状部分を持つ円盤状図形の断面から成り前
    記長さ方向に延設された回転体と、該回転体が前記円盤
    状図形の中心を通る長さ方向の軸を中心として回転自在
    なように前記回転体を支持する支持出力体であって出力
    端を備え前記導円の中心を中心として回転自在に支持さ
    れる支持出力体と、前記3つの曲面で形成される3つの
    開口のそれぞれに設けられ前記回転体を動かすための作
    動流体を吸入及び吐出する吸入弁及び吐出弁と、前記3
    つの曲面の開いた部分を閉鎖する閉鎖部材と、前記作動
    流体が前記回転体を動かすように前記吸入弁及び吐出弁
    の開閉動作を制御する弁制御機構と、を有することを特
    徴とする出力装置。
JP19551296A 1996-07-05 1996-07-05 サイクロイド式出力装置 Pending JPH1026001A (ja)

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