JPH10259943A - 空気調和機の制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 覚醒度に応じた制御が行なわれて、覚醒度を
上げることが可能な空気調和機の制御装置を提供する。 【解決手段】 本発明の制御装置は、空気調和を施すべ
き部屋の内部を撮影するＣＣＤカメラ１及び赤外カメラ
２と、両カメラによる撮影画像に基づいて部屋内の人間
の覚醒度を判定するための画像処理回路４及び覚醒度判
定回路５と、該判定結果に基づいて空気調和機本体を制
御するエアコン制御回路６とを具えている。覚醒度判定
回路５は、両カメラによる撮影画像に基づいて人物の画
像領域を抽出して、該画像領域に含まれる頭部を認識
し、認識された頭部の傾き及び／又は揺れを検出し、該
検出結果に基づいて覚醒度を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、人間の意識的、或
いは無意識的な意図に適応して動作し、常に最適なエア
コンディションが得られる空気調和機に関し、より具体
的には、人間の覚醒度に応じて、覚醒度を上げる様に空
気調和動作が制御される空気調和機の制御装置に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の空気調和機(以下、エアコンと称
する)における空気調和動作の制御は、リモートコント
ローラ(以下、リモコンという)等のキー操作によって指
示された設定温度を目標値とするフィードバック制御に
よって行なわれており、室内温度は、基本的に操作者の
設定によって決められる。従って、室内の温度を変えん
とするときはその都度、リモコンを操作して、設定温度
を変える必要がある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、居眠り
状態など、人間の覚醒度が低下した状態では、室内温度
が不適切であっても、意識的なリモコン操作には至ら
ず、益々覚醒度が低下することとなる。そこで本発明の
目的は、覚醒度に応じた制御が行なわれて、覚醒度を上
げることが可能な空気調和機の制御装置を提供すること
である。

【０００４】

【課題を解決する為の手段】本発明に係る空気調和機の
制御装置は、空気調和を施すべき部屋の内部を撮影する
画像センサーと、該画像センサーによる撮影画像に基づ
いて、部屋内の人間の覚醒度を判定する判定回路と、該
判定結果に基づいて空気調和機本体を制御する制御回路
とを具えている。

【０００５】人間の覚醒度は、特に頭部の傾きや揺れ、
或いはその他の部位の動きの変化となって特徴的に現わ
れる。そこで、本発明の制御装置においては、画像セン
サーによってこれらの特徴的変化を捕らえ、その結果に
基づいて覚醒度を定量的に判定する。そして、この覚醒
度に応じて、設定温度、風量、風向などを、不快感を与
えない範囲で変化させるのである。この変化によって、
部屋内の人間の覚醒度が高まり、例えば居眠り状態から
脱することが出来る。

【０００６】具体的構成において、画像センサーは可視
画像カメラ及び赤外画像カメラから構成され、判定回路
は、両画像カメラによる撮影画像に基づいて人物の画像
領域を抽出して、該画像領域に含まれる頭部を認識する
画像処理手段と、認識された頭部の傾き及び／又は揺れ
を検出する検出手段と、該検出結果に基づいて覚醒度を
算出する演算手段とを具えている。

【０００７】該具体的構成によれば、頭部の傾きや揺れ
が、濃淡画像及び赤外画像を用いた画像処理によって検
出される。即ち、赤外画像において、人物の領域は環境
温度よりも温度が高く、温度分布に基づいて人物領域を
検知することが出来る。従って、可視画像カメラから得
られる濃淡画像の内、前記人物領域と重なる領域を抜き
出すことによって、人物領域の濃淡画像を得ることが出
来る。又、人物領域の内、皮膚が露出した皮膚領域は衣
類によって覆われている領域よりも温度が高く、温度分
布に基づいて頭部の位置を認識することが出来る。従っ
て、この頭部の位置を時間的に追跡することによって、
頭部の傾きや揺れを検出することが出来る。演算手段に
よる覚醒度の算出においては、頭部の傾きが大きい程、
或いは揺れが激しい程、居眠り状態が深いと判断して、
予め設定されている関数等によって小さな覚醒度を与え
る。この結果、覚醒度を高めるべく、室内温度を下げ、
或いは風量を増大させる様に制御が行なわれる。

【０００８】

【発明の効果】本発明に係る空気調和機の制御装置によ
れば、覚醒度に応じて、覚醒度を上げるための制御が行
なわれるため、リモコン操作を行なうことなく、例えば
居眠り状態等の覚醒度の低下した状態から容易に脱する
ことが出来る。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につ
き、図面に沿って具体的に説明する。図２に示す如く、
本発明に係るエアコン(10)は、部屋(８)の壁面に取り付
けられて、その内部には、室内を撮影すべきＣＣＤカメ
ラ(１)及び赤外カメラ(２)が設置されている。赤外カメ
ラ(２)は、人体等から発せられる赤外線を検出するセン
サー片を２次元アレイ上に配列して構成され、夜間等に
おいても人体の撮影が可能であり、同時に、その温度画
像によって各部の温度検出が可能である。

【００１０】ＣＣＤカメラ(１)及び赤外カメラ(２)から
得られる濃淡画像及び赤外画像は、図１に示す如く画像
処理回路(４)へ供給される。又、両カメラ(１)(２)の側
部には焦電センサー(３)が設置され、該焦電センサー
(３)から得られる温度検出信号が画像処理回路(４)へ供
給される。画像処理回路(４)は、焦電センサー(３)から
の温度検出信号に基づいて、人物の位置を大まかに検出
し、該検出に基づいて、前記濃淡画像及び赤外画像の中
の人物領域を抜き出し、該人物領域に含まれる頭部を認
識する。更に画像処理回路(４)は、頭部の濃淡画像に基
づいて、頭部の傾きや揺れの度合いを検出する。

【００１１】覚醒度判定回路(５)は、画像処理回路(４)
によって検出された頭部の傾きや揺れの度合いに基づい
て、その人物の覚醒度を判定し、該判定結果をエアコン
制御回路(６)へ供給する。これに応じて、エアコン制御
回路(６)は、覚醒度を上げるべく、エアコン本体(７)を
制御する。例えば、快適性が損なわれない範囲で、僅か
に設定温度を上げ、或いは風量を増大させる。この結
果、エアコンディションが変化することとなり、この変
化によって覚醒度を上げることが出来る。従って、リモ
コン操作に基づく制御動作を行なうことなく、例えば居
眠り状態等の覚醒度の低下した状態から自然に覚醒度の
高い状態へ移行するための空気調和動作が実行され、室
内の人間の作業能率を高く保つことが出来る。

【００１２】図３は、本発明に係るエアコンの制御動作
を表わしている。この場合、図２に示す如く人体(９)
は、例えば椅子に腰掛けた状態をＣＣＤカメラ(１)及び
赤外カメラ(２)によって撮影される。先ず図３のステッ
プＳ１にて、ＣＣＤカメラ(１)から濃淡画像が取り込ま
れた後、ステップＳ２で、赤外カメラ(２)から赤外画像
が取り込まれる。次にステップＳ３では、両画像に含ま
れる人物領域が特定され、その動きが追跡される(特開
平5-253193号、特開平7-59574号参照)。例えば図４に示
す如き赤外画像が得られた場合、赤外画像には、人体の
皮膚領域Ａと、衣服によって衣服領域Ｂと、周囲の環境
領域Ｃとが含まれることになる。赤外画像は、周知の如
く各部の温度検出が可能な温度画像であり、該温度画像
に基づいて、図５に示す如き温度の頻度分布(包絡線)を
得ることが出来る。

【００１３】図５の例では、約３５℃、２８℃、及び２
２℃にピークが現われており、皮膚領域Ａが最も高い温
度３５℃をピークとする温度領域ａとして、衣服領域Ｂ
が次に高い温度２８℃をピークとする温度領域ｂとし
て、そして、環境領域Ｃが室温２２℃をピークとする温
度領域ｃとして把握され、適当なしきい値Ｓ１、Ｓ２を
設定することによって、これらの３つの領域を区別する
ことが出来る。

【００１４】この様にして、赤外画像に含まれる皮膚領
域Ａ及び衣類領域Ｂを人物領域として特定することが出
来る。又、赤外画像を濃淡画像に重ねることによって、
濃淡画像に含まれる人物領域を特定することが出来る。

【００１５】次に、図３のステップＳ４では、前述の如
く特定された人物領域に含まれる頭部を認識する。即
ち、前記赤外画像に含まれる最も広い皮膚領域を、顔面
即ち頭部として認識することが出来る。続いて、頭部の
前方への傾き及び、左右の揺れを検出する。例えば、図
６に示す如く衣類領域Ｂの中心線を通る垂直軸を人体の
中心軸Ｄとして特定すると共に、頭部Ｈの重心位置Ｇを
検出し、中心軸Ｄに対する重心位置Ｇの傾き角度θを算
出する。そして、単位時間(例えば１秒)当り、１〜２０
回の傾き検出を行なって、傾き角度がしきい値α(例え
ば１５度)を越えたときの時間を積算すると共に、回数
をカウントする。尚、顔面領域の面積が極端に小さいと
きは顔面を前方へ大きく俯けている状態と判定する。図
７は、頭部傾きの時間変化を例示したものであり、この
例では、頭部が左へ一度傾いた後、再度、左に傾いてい
る。

【００１６】次に図３のステップＳ６では、傾き検出の
結果に基づいて覚醒度を算出する。例えば、単位時間
(例えば１０分)内に傾き角度がしきい値αを越えた時間
の割合Ｘ(％)と、単位時間内に傾き角度がしきい値αを
越えた回数Ｙ(回)と、単位時間内に頭部が大きく俯いた
時間の割合Ｚ(％)とを算出し、これらの値の関数とし
て、覚醒度を算出する。例えば、図８は、前記算出値
Ｘ、Ｙ、Ｚと覚醒度Ｗの関数関係を例示したものであっ
て、これらの算出値が大きくなるにつれて覚醒度は低下
することになる。

【００１７】その後、覚醒度の算出結果に基づくエアコ
ン制御に移行するのであるが、図３のステップＳ７は、
室内に複数人が存在する場合の動作であって、各人につ
いての覚醒度の算出結果と各人の位置検出とに基づい
て、室内の覚醒度の分布を算出して、特に覚醒度の低い
領域を検知する。そして、ステップＳ８では、ステップ
Ｓ６で算出された覚醒度、或いはステップＳ７で算出さ
れた覚醒度分布に基づいて、覚醒度を上げる様、エアコ
ン制御を行なう。最後にステップＳ９にて運転の終了が
指示されたかどうかを判断し、ノーの場合はステップＳ
１に戻ってエアコン制御を続行する。

【００１８】上述の制御装置によれば、人体の頭部の傾
きや揺れに基づいて、室内の人間の覚醒度を検出し、そ
の覚醒度を上げるように自動的にエアコン制御が行なわ
れるので、居眠り状態など、人間の覚醒度が低下した状
態において、室内温度が不適切な場合に、リモコン操作
を行なわずとも自動的に、覚醒度を上げるための適切な
エアコンディションが得られることになる。

【００１９】尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に
限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の
変形が可能である。例えば、覚醒度の検出には、頭部の
傾きや揺れ以外に、非接触で検知可能な周知の種々の指
標を採用することが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る空気調和機の制御装置の構成を表
わすブロック図である。

【図２】部屋内のエアコン設置状態を表わす斜視図であ
る。

【図３】エアコン制御動作を表わすフローチャートであ
る。

【図４】赤外画像を例示する図である。

【図５】赤外画像における温度の頻度分布を表わすグラ
フである。

【図６】頭部の傾きを説明する図である。

【図７】頭部の傾き角度の変化を表わすグラフである。

【図８】覚醒度を算出するための関数を表わすグラフで
ある。

【符号の説明】

(10) エアコン (１) ＣＣＤカメラ (２) 赤外カメラ (４) 画像処理回路 (５) 覚醒度判定回路 (６) エアコン制御回路 (７) エアコン本体 (８) 部屋 (９) 人体

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 空気調和を施すべき部屋の内部を撮影す
   る画像センサーと、該画像センサーによる撮影画像に基
   づいて、部屋内の人間の覚醒度を判定する判定回路と、
   該判定結果に基づいて空気調和機本体を制御する制御回
   路とを具えている空気調和機の制御装置。
2. 【請求項２】 画像センサーは可視画像カメラ及び赤外
   画像カメラから構成され、判定回路は、両カメラによる
   撮影画像に基づいて人物の画像領域を抽出して、該画像
   領域に含まれる頭部を認識する画像処理手段と、認識さ
   れた頭部の傾き及び／又は揺れを検出する検出手段と、
   該検出結果に基づいて覚醒度を算出する演算手段とを具
   えている請求項１に記載の制御装置。
3. 【請求項３】 画像処理手段は、赤外画像に含まれる温
   度情報から、人体の皮膚領域及び衣服領域を判別し、衣
   服領域を基準とする皮膚領域の動きに基づいて、頭部の
   傾き及び／又は揺れを検出する請求項２に記載の制御装
   置。
4. 【請求項４】 空気調和機本体は、部屋内の複数の領域
   の内、任意の１つの領域を中心とするエアコンディショ
   ンの調整が可能であって、演算手段は、室内に複数人が
   存在する場合において、各人の覚醒度の算出結果に基づ
   いて覚醒度分布を算出し、制御回路は、覚醒度の低い領
   域を中心として、前記エアコンディションの調整を行な
   う請求項２又は請求項３に記載の制御装置。