JPH10259520A - 弾性モノフィラメント - Google Patents

弾性モノフィラメント

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JPH10259520A
JPH10259520A JP9063343A JP6334397A JPH10259520A JP H10259520 A JPH10259520 A JP H10259520A JP 9063343 A JP9063343 A JP 9063343A JP 6334397 A JP6334397 A JP 6334397A JP H10259520 A JPH10259520 A JP H10259520A
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monofilament
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桂一 木下
Hironobu Kataoka
博信 片岡
Yoshiharu Fujita
義治 藤田
Hirotsugu Kokubu
博継 国分
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 破断強力が高く、伸縮後の歪みや密着性が少
ない弾性モノフィラメントを提供する。 【解決手段】 大部分が水素添加ブロック共重合体であ
る熱可塑性ポリマーで形成されたモノフィラメントであ
って、該水素添加ブロック共重合体が、主としてビニル
芳香族化合物から構成された重合体ブロックAを少なく
とも2個、主として共役ジエン化合物から構成された重
合体ブロックBを少なくとも2個有し、かつ、少なくと
も1個の重合体ブロックBがポリマー鎖の末端にあり、
重合体ブロックAの含有率が5〜30重量%であるブロ
ック共重合体を水素添加して得られた数平均分子量が6
0000〜110000の水素添加ブロック共重合体で
あることを特徴とする弾性モノフィラメント。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は伸縮弾性をもつ熱可塑性
モノフィラメントに関する。さらに詳しくは、本発明は
弾性を有する水素添加ブロック共重合体を主成分とする
伸縮後の歪みや密着が少ない、弾性モノフィラメントに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】伸縮弾性をもつ素材として、天然ゴム、
ポリウレタン、ブロック共重合体が知られている。天然
ゴムは天候の影響を受けて、生産量が大きく変動し、安
定的に生産する上での問題を持つばかりでなく、天然ゴ
ムによるアレルギーが指摘されており、合成製品への転
換が望まれている。また、ポリウレタンは熱安定性が悪
いばかりか、製品の耐候性が悪く、ポリウレタン自身が
コスト的にも高い欠点をもち、ポリウレタンに替わる素
材が必要になっている。
【0003】本発明の対象である水素添加ブロック共重
合体からなる弾性繊維に関してもすでに種々の提案がな
されている。例えば、特公平8−19564号公報に
は、特定の三ブロック共重合体と特定の二ブロック共重
合体を混合することにより溶融押出可能である組成物が
記述されている。しかしながら、均一に2種のブロック
共重合体を混合することは難しく、特に重合段階で2種
のブロック共重合体が所望する特性を有する組成物とな
るように調製する事は非常に難しい。これは、同号公報
の実施例(実施例1、3、比較例A)において二ブロッ
ク共重合体の配合量が増えるにつれて、引張強度がを大
きく低下しており(同号公報の表1)、2種ブロック共
重合体の均一混合が難しいことを示唆していることから
も明らかである。また、特開昭64−70550号公報
にも、ブロックコポリマーのブレンド物が開示されてい
るが、この提案も前記特公平8−19564号公報と同
様の問題を有する。
【0004】さらに、特開平6−57525号公報に
は、ブタジエンからなる重合体ブロック、ビニル芳香族
化合物からなる重合体ブロック、イソプレンとブタジエ
ンとの混合モノマーからなるランダム共重合体ブロック
の特定の3つの重合体ブロックを特定の配列となしたブ
ロック共重合体を水添して得られる水添ブロック共重合
体からなる繊維が記述されている。
【0005】しかしながら、同号公報は数デニール以上
でマルチフィラメントとして利用し得る細繊度で通常の
紡糸機を用いる繊維を開示しているに過ぎず、同号公報
にはこの特定のブロック共重合体の本発明の対象とする
弾性モノフィラメント、特に太繊度モノフィラメントへ
の適否を判断し得る記載が皆無である。以上から明らか
なように、従来十分満足し得る弾性モノフィラメント、
特に、太繊度弾性モノフィラメントは知られていなかっ
たのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、これ
まで解決困難であった前期の問題を解決し得る弾性モノ
フィラメント、すなわち、破断強度が高く、伸縮後の歪
みや密着性が少ない弾性モノフィラメントを提供するこ
とである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく鋭意検討した結果、特定の水添ブロック
共重合体を用いると前記本発明課題を達成し得る弾性モ
ノフィラメントが得られることを見出し、本発明を完成
させるに至った。すなわち、本発明は、 1.大部分が水素添加ブロック共重合体である熱可塑性
ポリマーで形成されたモノフィラメントであって、該水
素添加ブロック共重合体が、主としてビニル芳香族化合
物から構成された重合体ブロックAを少なくとも2個、
主として共役ジエン化合物から構成された重合体ブロッ
クBを少なくとも2個有し、かつ、少なくとも1個の重
合体ブロックBがポリマー鎖の末端にあり、重合体ブロ
ックAの含有率が5〜30重量%であるブロック共重合
体を水素添加して得られた数平均分子量が60000〜
110000の水素添加ブロック共重合体であることを
特徴とする弾性モノフィラメント、 2.水素添加ブロック共重合体50〜95重量部、ポリ
エチレン5〜50重量部からなる熱可塑性ポリマー10
0重量部で形成されたモノフィラメントであって、該水
素添加ブロック共重合体が、主としてビニル芳香族化合
物から構成された重合体ブロックAを少なくとも2個、
主として共役ジエン化合物から構成された重合体ブロッ
クBを少なくとも2個有し、かつ、少なくとも1個の重
合体ブロックBがポリマー鎖の末端にあり、重合体ブロ
ックAの含有率が5〜30重量%であるブロック共重合
体を水素添加して得られた数平均分子量が60000〜
110000の水素添加ブロック共重合体であることを
特徴とする弾性モノフィラメント、 3.水素添加前のブロック共重合体の重合体ブロックA
の数平均重合度が30〜300であり、ポリマー鎖末端
の重合体ブロックBのブロック共重合体中の含有率が3
〜25重量%であって、水素添加ブロック重合体のMF
Rが1〜100であることを特徴とする前記1又は2記
載の弾性モノフィラメント、 4.モノフィラメントが80%伸縮歪みが20%以下で
あり、単糸繊度が200デニール以上であることを特徴
とする前記1、2又は3記載の弾性モノフィラメント、 5.熱可塑性ポリマーがポリマー100重量部に対し
て、脂肪酸アミド0.1〜2重量部、かつ、粉体化合物
0.5〜5重量部を含有するポリマーであることを特徴
とする前記1、2、3又は4記載の弾性モノフィラメン
ト、 6.ビニル芳香族化合物がスチレンであり、共役ジエン
化合物がブタジエンであることを特徴とする前記1、
2、3、4又は5記載の弾性モノフィラメントである。
【0008】以下において、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明による弾性モノフィラメントは、大部分が
特定の水素添加ブロック共重合体である熱可塑性ポリマ
ーからなる。これは、特定の水素添加ブロック共重合体
がモノフィラメントの弾性機能のほとんどを負担するよ
うに存在させることを意味する。本発明における水素添
加前のブロック共重合体は、主としてビニル芳香族化合
物から構成されたブロックAと、主として共役ジエン化
合物から構成されたブロックBから成る。水素添加前の
ブロック共重合体に用いる前記ブロックAを構成するビ
ニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチ
ルスチレン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルス
チレン等を挙げることができ、本発明課題の達成には、
特にスチレンが好ましい。本発明ではこれらの化合物を
単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0009】本発明で水素添加前のブロック共重合体に
用いる前記ブロックBを構成する共役ジエン化合物とし
ては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3
−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエ
ン等を挙げることができ、本発明課題の達成には、1,
3−ブタジエンおよびイソプレンが特に好ましい。これ
らの化合物は単独で用いても、2種以上を組み合わせて
用いてもよい。本発明における水素添加前のブロック共
重合体は、従来公知の重合方法によって得て差し支えな
く、例えば、n−ブチルリチウムなどのリチウムアルキ
ル触媒を用いて逐次的にブロック共重合を行うか、ある
いは、逐次的にブロック重合を行った後にカップリング
反応を行わせることによってブロック共重合体となして
もよい。
【0010】このようにして得られた水素添加前のブロ
ック共重合体は、次いで選択的に水素添加される。本発
明における水素添加反応は既知の水素添加触媒、例え
ば、白金、パラジウムのような貴金属系の担持触媒、ラ
ネーニッケル、有機ニッケル化合物、有機コバルト化合
物あるいはこれらの化合物と他の有機金属化合物とが複
合された触媒などによって行うことができる。本発明で
は、この水素添加反応を共役ジエン化合物の二重結合に
対して選択的に行わせることが好ましい。共役ジエン化
合物の二重結合が水素添加されることなく、大部分存在
する場合には得られるモノフィラメントの耐候性の低下
をまねき易いがため好ましくなく、共役ジエン結合の少
なくとも80重量%以上水素添加されていることが好ま
しい。90重量%以上水素添加されていることがより好
ましい。
【0011】本発明による水素添加後のブロック共重合
体の数平均分子量は60000〜110000である必
要がある。より好ましくは、70000〜110000
であり、特に好ましくは80000〜90000であ
る。数平均分子量が60000未満であるとモノフィラ
メント製造過程においてモノフィラメントが密着する可
能性が高まり、又得られるモノフィラメントの引張強度
が低下する可能性も高まるため好ましくない。水素添加
後のブロック共重合体の数平均分子量が110000を
越えると本発明における水素添加ブロック共重合体は高
溶融粘度を示すようになり、紡糸時のダイ部圧力が上昇
し、紡糸性が不良となる恐れを生じる。また、溶融粘度
がこのように高くなり過ぎると得られるモノフィラメン
ト表面に凹凸が生じるようになり、得られるモノフィラ
メントに均一な特性を期待することが困難となるばかり
か、その製造工程においてモノフィラメントの切断等の
問題を生じ易くなるために好ましくない。
【0012】本発明においては、水素添加ブロック共重
合体におけるビニル芳香族化合物から構成された重合体
ブロックAが得られるモノフィラメントに高引張強度を
付与し得て、共役ジエン化合物から構成された重合体ブ
ロックBが得られるモノフィラメントに伸縮弾性を付与
し得るように水素添加ブロック共重合体を構成させる。
【0013】本発明においては、ビニル芳香族化合物で
構成させるブロックAを数平均重合度が30〜300と
なるように重合させることが好ましい。30〜100が
特に好ましい。平均重合度が30未満ではモノフィラメ
ント弾性体としての十分な特性を付与できなくなる恐れ
がある。ブロックAの平均重合度が300を越えると、
モノフィラメントの伸縮後の歪みが大きくなり、本発明
の目的とする弾性モノフィラメントを得ることが困難と
なる。本発明においては、水素添加前ブロック共重合体
に占めるブロックAの含有率を5〜30重量%となす必
要があり、より好ましくは、5〜20重量%であり、特
に好ましくは10〜20重量%である。5重量%未満で
あると、モノフィラメントに十分な伸縮弾性を付与する
ことが難しくなる恐れがある。また、30重量%を越え
るとモノフィラメントの伸縮後の歪みが大きくなる恐れ
がある。
【0014】本発明における水素添加後ブロック共重合
体のMFR(溶融流れ量)は1〜100であることが好
ましく、より好ましいMFRは5〜20である。MFR
が1未満である水素添加ブロック共重合体は、紡糸工程
における水素添加ブロック共重合体の紡糸流動性に安定
性を欠くようになり、その結果として、紡糸された糸条
の表面形態に均質性を欠くようになり、従って、均一な
形状の糸条体が得られず得られたモノフィラメントも均
一な特性を得られない恐れがある。また、MFRが10
0を越えるブロック共重合体は、モノフィラメントの引
張強度が低くなる恐れがある。
【0015】本発明における水素添加前ブロック共重合
体は、少なくとも1個の共役ジエン化合物から構成され
た重合体ブロックBがポリマー鎖の末端にある必要があ
る。共重合体ブロックBがポリマー鎖の末端にあること
によって、本発明によるモノフィラメントを、破断強度
が高く、かつ、伸縮後の歪みが小さな優れた弾性モノフ
ィラメントとなし得るのである。本発明において、水素
添加前のブロック共重合体中に占める末端のブロックB
の割合は、3〜25重量%とすることが好ましく、5〜
20重量%が特に好ましい。末端のブロックBが3重量
%未満では溶融粘度が高くなり紡糸性が不良となる恐れ
がある。25重量%を越えるとモノフィラメントの引張
強度が低下する恐れがある。
【0016】本発明のモノフィラメントを構成するポリ
マー中には本発明の目的を逸脱しない範囲内で、水素添
加ブロック共重合体以外に他ポリマーを添加することが
できる。本発明においては、水素添加ブロッ共重合体
に、特定量のポリエチレンを添加することによって、水
素添加ブロック共重合体から成るモノフィラメントの特
性をさらに改良することができる。即ち、特定量のポリ
エチレンを添加したブロック共重合体を用いることによ
って、得られるモノフィラメントの伸縮歪みの増大を抑
制し得て、かつ、後記実施例7〜9の結果を対比すると
明らかなように、所望する応力−歪み曲線を示し得るモ
ノフィラメントを得ることができる。さらに、特定量の
ポリエチレン添加は、モノフィラメント紡糸に際して、
溶融ポリマーの流動特性を改良するのに有用であるばか
りか、得られるモノフィラメントの粘着性を低下せし
め、モノフィラメントの取り扱い操作性を著しく高め得
る点でも有用である。
【0017】本発明で用いるポリエチレンの例として、
低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン
(HDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDP
E)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、超々低密
度ポリエチレン(SSCPE)、ポリエチレン共重合体
等が挙げられるが、これらの中では低密度ポリエチレン
(LDPE)が特に好ましい。本発明においては、水素
添加ブロック共重合体50〜95重量部、ポリエチレン
5〜50重量部、ポリマー総量100重量部となるよう
に、ポリエチレンを添加することが好ましい。特に好ま
しいのは、水素添加ブロック共重合体70〜90重量
部、ポリエチレン10〜30重量部となるように調整し
たポリマーである。ポリエチレンの添加量が前記5重量
部未満であるときは、ポリエチレンを添加したときに期
待し得る前記効果を十分に得ることが困難となる。ま
た、ポリエチレンが前記50重量部を越える組成のポリ
マーでは、本発明の目的とするモノフィラメントの伸縮
歪みを適正な範囲に保つことが困難となる。
【0018】本発明に用いるポリエチレンの溶融粘性は
MFR0.5〜250が好ましく、特にMFR1〜10
0が好ましい。ポリエチレンは水素添加ブロック共重合
体の溶融粘性に近い溶融粘性を有するものを用いること
が好ましい。水素添加ブロック共重合体とポリエチレン
の混合方法は、紡糸時にチップブレンドする方法、2種
のポリマーを予め溶融混合したチップを用いる方法のい
ずれでも差し支えない。本発明ではこの2種の混合方法
に限定する特別の理由はないが、均一にブレンドするこ
とが比較的容易になせる点から後者が好ましい。本発明
で用いる水素添加共重合体、又は、この共重合体とポリ
エチレンからなる熱可塑性ポリマーには、モノフィラメ
ントの特性、さらには、モノフィラメント糸条体の製造
工程における工程特性等を改良するために脂肪酸アミド
を添加することが好ましい。
【0019】添加する脂肪酸アミドとして、例えば、ス
テアリン酸アミド、エルカ酸アミド、パルミチン酸アミ
ド等を挙げることができるが、特にステアリン酸アミド
が好ましい。脂肪酸アミドの添加量は前記熱可塑性ポリ
マー100重量部に対して0.1〜2重量部であること
が好ましく、特に好ましくは0.5〜1重量部である。
脂肪酸アミドが0.1重量部未満の場合、モノフィラメ
ント表面に脂肪酸アミドの析出する量が少なく、モノフ
ィラメントの密着が発生する恐れがある。脂肪酸アミド
が2重量部を越えると、析出した脂肪酸アミドの量が適
正量を越えるようになり、逆に接着剤として機能し、モ
ノフィラメントと脂肪酸アミドの間で密着が起こり易く
なり、解除する上で好ましくない。
【0020】本発明における前記熱可塑性ポリマーに
は、モノフィラメントの表面特性及び力学的特性を改良
する等のために粉体化合物を添加することができる。本
発明における粉体化合物としては、例えば、炭酸カルシ
ウム、珪藻土、酸化チタン、タルク、合成シリカ、ガラ
スバルーン等、または加工温度で変形しないポリマー粉
体等を挙げることができるが、炭酸カルシウムが特に好
ましい。粉体化合物の添加量は前記熱可塑性ポリマー1
00重量部に対して、0.5〜5重量部が好ましく、1
〜4重量部が特に好ましい。粉体化合物はモノフィラメ
ント表面に微少の凹凸を形成する。
【0021】粉体化合物の添加量が0.5重量部未満の
場合、モノフィラメントの密着が発生する可能性が多く
なるため好ましくなく、粉体化合物の添加量が5重量部
を越えると溶融紡糸における紡口フィルターに粉体化合
物自体が詰まり易くなり、安定生産の観点上好ましくな
い。本発明に用いる粉体化合物の粒径は溶融紡糸に用い
るノズルの孔径サイズ以下である必要があるが、平均粒
径が0.1〜30μmであることが好ましく、平均粒径
0.5〜2μmの粒径のものが特に好ましい。本発明の
モノフィラメントは、80%伸縮歪みが20%以下であ
ることが好ましく、15%以下であることが特に好まし
い。80%伸縮歪みが20%を越えるモノフィラメント
は、伸縮素材として、実用に供し得る形態保持性を欠く
恐れがある。
【0022】なお、本発明における80%伸縮歪みは、
オートグラフでチャック間10cmにセットし、80%
までの伸縮を2回連続的に繰り返し、2回目の戻りで強
力が0になった時のモノフィラメントの伸度を求めるこ
とで測定される。本発明によるモノフィラメントは単糸
繊度が200デニール以上のフィラメントであることが
好ましく、1000デニール以上の太繊度デニールのフ
ィラメントであることが特に好ましい。200デニール
未満では紡出糸条体の冷却時の水中における水の抵抗に
より、モノフィラメントが切断される可能性が高まり、
また、前記の抵抗によりモノフィラメントが伸ばされた
状態となり、均一な製品が得られない恐れがある。本発
明によるモノフィラメントの断面形状としては、一般的
な丸断面以外にも偏平断面、多角断面等のいずれであっ
てもよい。このようにして得られた本発明による弾性モ
ノフィラメントは特に優れた歪み特性、ブロッキング
性、耐候性をもち、伸縮素材として最適である。
【0023】
【発明の実施の形態】以下本発明の伸縮性モノフィラメ
ントを実施例にもとづいて説明する。本発明における数
平均分子量はGPC(GEL PERMENTION CHROMATOGRAPH
Y)によりスチレン換算分子量から求めた。本発明では
島津製作所(株)製LC−9Aを用い、THF20ml中
に試料10mgを溶解し、1.8ml/minの流量で
測定した。本発明のMFRは、JIS K7210−1
995(A法)に規定された方法で、230℃、荷重
2.16kgで測定されたものである。但し、ポリエチ
レンは一般的に用いられている190℃で測定した。
【0024】80%伸縮歪みは、島津製作所(株)製オ
ートグラフ(AGS100G)で、チャック間を10c
mにセットし、80%までの伸縮(ヘッドの移動速度1
0cm/min)を2回連続的に繰り返し、2回目の戻
りで強力が0gになった時の伸度を読むことで求めた。
一般的にはJISL1096に記載されている伸長回復
率又は残留ひずみ率を用いる場合もあるが、弾性モノフ
ィラメントの場合には伸縮の直後にどれだけもとの長さ
に戻るかが重要である為、本発明では連続伸縮後の伸び
で伸縮歪みを規定することとした。
【0025】
【実施例1〜3、比較例1〜7】n−ブチルリチウム触
媒を用いるブロック共重合を行うことにより、ブタジエ
ン−スチレン−ブタジエン−スチレン型ブロック共重合
体を合成した。この共重合体のポリスチレン含有量が2
0重量%であった。この重合体を水素添加し、ペレット
を作り、数平均分子量が85000の水素添加ブロック
共重合体を得た。
【0026】得られた水素添加ブロック共重合体を単軸
押出機に投入して加熱溶融後(押出機温度:220℃、
220℃、230℃、270℃)、1.2mmφ孔径の
ノズルより吐出させて、直ちに、20℃の水中で冷却し
ながら27m/minで引き取り、6000デニールの
モノフィラメントを得た(実施例1)。同様にして数平
均分子量、スチレン比率を変えて、実施例2、3、比較
例1〜4のモノフィラメントを得た。スチレン−イソプ
レン−スチレン型の水素添加ブロック共重合体(クラレ
(株)製セプトン 2002)を用いた以外は実施例1と
同様にして紡糸し、モノフィラメントを得た(比較例
5)。
【0027】スチレン−ブタジエン−スチレン型の水素
添加ブロック共重合体(Shell Chemical社製,Kraton G-
1652,ビニル芳香族化合物の含有率29%)を用い、実
施例1と同様な方法で紡糸を実施した(比較例6)。し
かしこの場合は、溶融粘度が高く、モノフィラメント表
面に大きな凹凸が発生することが認められた。また、押
出温度を310℃まで上げるとモノフィラメント表面の
凹凸はなくなるが、分解ガスと考えられる煙の発生が多
く、安定的に弾性モノフィラメントを生産できないこと
を確認した。
【0028】以上の実施例及び比較例で得たモノフィラ
メントの評価結果を表1にまとめて示した。表1から明
らかなように、水素添加ブロック共重合体の数平均分子
量が120000以上ではモノフィラメント表面に凹凸
が生じるのが観察され、従って、均一な伸縮性を有する
モノフィラメントが得られないことが判った。また、数
平均分子量が60000未満の水素添加ブロック共重合
体の場合は紡糸、製造工程において、糸の密着が激し
く、解除することができなかった。さらに、ポリスチレ
ン含有量が30%を越えると80%伸縮歪みが本発明の
目的を達成するのに適正な値である20%を越えること
が明らかであり、この場合は伸縮素材として好ましくな
い。
【0029】
【実施例4〜9、比較例7〜8】実施例1で得た水素添
加ブロック共重合体(数平均分子量85000、ポリス
チレン含有量20重量%)と、ポリオレフィンとしてポ
リエチレン(実施例5、7、8、9、比較例8)、ポリ
プロピレン(比較例7)、エチレン−エチルアクリレー
ト共重合体(実施例6)を選び、ペレット状でタンブラ
ー型ブレンダーを用いてブレンドした以外は、実施例1
と全く同様にして、6000デニールのモノフィラメン
トを得た。なお、ブランクとして、ポリオレフィン無添
加であること以外は実施例5と全く同様にして、実施例
4のモノフィラメントを得た。得られたモノフィラメン
トの評価結果を表2にまとめて示した。
【0030】表2から明らかなようにポリエチレンをブ
レンドした場合は80%伸縮歪みが20%を越え本発明
の目的とするモノフィラメントは得られない。また、ポ
リエチレンをブレンドした場合でも75重量部以上ブレ
ンドすると、80%伸縮歪みが20%以上となり、同様
に本発明課題を達成できないことが明らかである。
【0031】
【実施例10〜15】実施例1で得られた水素添加ブロ
ック共重合体ペレット75重量部、ポリエチレン(旭化
成(株)製サンテックLDPE F2225)25重量部
に、炭酸カルシウムをポリマー総重量部の4%、ステア
リン酸アミドをポリマー総重量部の1%をブレンドし
て、2軸押出機により溶融ブレンドしたのち、再ペレッ
ト化した。この溶融ブレンドしたペレットを、実施例1
で用いた単軸押出機で溶融し、スリット巾0.2mm、
スリット長さ25mmのスリットより吐出させ、水中で
冷却したのち、65m/minの速度でモノフィラメン
トを紙管に巻取った。得られたモノフィラメントの紙管
巻き後の密着性を評価し、表3に結果を示した。紙管に
巻くことで巻き付け力により、糸条同士が密着し易くな
るが、表3から明らかなように脂肪酸アミド及び粉体化
合物をブレンドする事でモノフィラメントの密着性はさ
らに大きく改善される。本発明においては特に脂肪酸酸
アミドと粉体化合物を併用することが望ましく、併用に
より著しく密着性が改善される。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【発明の効果】本発明の弾性モノフィラメントは伸縮後
の歪みが少なく、モノフィラメントとしての密着性が非
常に改善されており、また、用途に応じて任意に伸縮の
強さを変えることが可能である。これらの特性により伸
縮テープ、包帯、おむつ等、さらには衣料等に広く用い
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 国分 博継 大阪府大阪市北区堂島浜1丁目2番6号 旭化成工業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大部分が水素添加ブロック共重合体であ
    る熱可塑性ポリマーで形成されたモノフィラメントであ
    って、該水素添加ブロック共重合体が、主としてビニル
    芳香族化合物から構成された重合体ブロックAを少なく
    とも2個、主として共役ジエン化合物から構成された重
    合体ブロックBを少なくとも2個有し、かつ、少なくと
    も1個の重合体ブロックBがポリマー鎖の末端にあり、
    重合体ブロックAの含有率が5〜30重量%であるブロ
    ック共重合体を水素添加して得られた数平均分子量が6
    0000〜110000の水素添加ブロック共重合体で
    あることを特徴とする弾性モノフィラメント。
  2. 【請求項2】 水素添加ブロック共重合体50〜95重
    量部、ポリエチレン5〜50重量部からなる熱可塑性ポ
    リマー100重量部で形成されたモノフィラメントであ
    って、該水素添加ブロック共重合体が、主としてビニル
    芳香族化合物から構成された重合体ブロックAを少なく
    とも2個、主として共役ジエン化合物から構成された重
    合体ブロックBを少なくとも2個有し、かつ、少なくと
    も1個の重合体ブロックBがポリマー鎖の末端にあり、
    重合体ブロックAの含有率が5〜30重量%であるブロ
    ック共重合体を水素添加して得られた数平均分子量が6
    0000〜110000の水素添加ブロック共重合体で
    あることを特徴とする弾性モノフィラメント。
  3. 【請求項3】 水素添加前のブロック共重合体の重合体
    ブロックAの数平均重合度が30〜300であり、ポリ
    マー鎖末端の重合体ブロックBのブロック共重合体中の
    含有率が3〜25重量%であって、水素添加ブロック共
    重合体のMFRが1〜100であることを特徴とする請
    求項1又は2記載の弾性モノフィラメント。
  4. 【請求項4】 モノフィラメントが、80%伸縮歪みが
    20%以下であり、単糸繊度が200デニール以上であ
    ることを特徴とする請求項1、2又は3記載の弾性モノ
    フィラメント。
  5. 【請求項5】 熱可塑性ポリマーがポリマー100重量
    部に対して、脂肪酸アミド0.1〜2重量部、かつ、粉
    体化合物0.5〜5重量部を含有するポリマーであるこ
    とを特徴とする請求項1、2、3または4記載の弾性モ
    ノフィラメント。
  6. 【請求項6】 ビニル芳香族化合物がスチレンであり、
    共役ジエン化合物がブタジエンであることを特徴とする
    請求項1、2、3、4または5記載の弾性モノフィラメ
    ント。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009030182A (ja) * 2007-07-24 2009-02-12 Kao Corp 弾性フィラメント及びこれを用いた伸縮シート
JP2011074272A (ja) * 2009-09-30 2011-04-14 Nippon Zeon Co Ltd 弾性フィラメント用組成物、弾性フィラメントおよび伸縮性シート

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