JPH10256992A - 路車間通信装置 - Google Patents

路車間通信装置

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Publication number
JPH10256992A
JPH10256992A JP9053153A JP5315397A JPH10256992A JP H10256992 A JPH10256992 A JP H10256992A JP 9053153 A JP9053153 A JP 9053153A JP 5315397 A JP5315397 A JP 5315397A JP H10256992 A JPH10256992 A JP H10256992A
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JP
Japan
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signal
transmission
optical beacon
circuit
reception
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Application number
JP9053153A
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English (en)
Inventor
Yuzuru Fujiwara
譲 藤原
Osamu Totori
修 十鳥
Koji Kato
浩二 加藤
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Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光ビーコンの送受信信号の伝送品質を向上さ
せることができ、しかも装置の小型化が可能な路車間通
信装置を提供する。 【解決手段】 電波ビーコン,光ビーコンを送受信する
送受信部、及び送受信信号を処理する本体部の各々に設
けられ、高周波ケーブルLに各種信号を多重分離して多
重伝送を行う多重分離部10,30において、矩形波の
光ビーコン送受信信号LBs,LBrを多重分離する光
ビーコン多重分離回路20,40は、バッファ回路2
4,44、終端抵抗25,45、差動比較器26,46
を備えたハイブリッド回路により構成されている。ハイ
ブリッド回路は構成が簡単で、しかもフィルタのような
カットオフ領域がないので、光ビーコン送受信信号の周
波数が接近していても、低周波数側の信号を抽出する際
に、高周波数側の信号と共に低周波側の信号の高調波成
分まで減衰させ波形を歪ませてしまうことがない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電波ビーコン、光
ビーコン、FM放送を媒体とする通信によって、各種道
路交通情報を提供するVICS(Vehicle Information
and Communication System:道路交通情報システム)等
のサービスを受けるために車両に搭載される路車間通信
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の路車間通信装置にお
いて、道路近傍に設けられた固定局との間で電波ビーコ
ン信号及び光ビーコン信号の送受信を行う送受信部は、
例えばダッシュボードの上等、電波や光を送受信しやす
い位置に取り付ける必要があり、通常、これら電波ビー
コン及び光ビーコンの送受信信号を処理する本体部とは
別体に構成されていた。
【0003】そして、車内の配線を簡素化するため、こ
れら送受信部及び本体部間を1本の信号線にて接続し、
電波ビーコン及び光ビーコンの送受信信号や、本体部か
ら送受信部に供給する電力を、この1本の信号線に多重
化して伝送するものが知られている。
【0004】このように送受信部及び本体部間の伝送を
1本の信号線で行う場合、送受信部及び本体部の夫々に
は、これらの信号を信号線に多重分離するための多重分
離部を備える必要がある。ここで、送受信部及び本体部
に備えられる多重分離部としては、例えば、次の図5に
示すように構成されたものが知られている。
【0005】即ち、図5は、送受信部の多重分離部10
及び本体部の多重分離部30の構成を表すブロック図で
あり、図5に示すように、多重分離部10,30は、送
受信部と本体部とを接続する高周波ケーブルLの両端に
接続され、2.4997[GHz]のマイクロ波からな
る電波ビーコンの受信信号DBrを選択的に通過させる
ストリップライン12,32と、ストリップライン1
2,32と高周波ケーブルLとの接続部位から引き出さ
れた伝送路D11,D31に接続され、電波ビーコン受
信信号DBrにとって高インピーダンスとなるように設
定されたλ/4バイアス回路14,34と、λ/4バイ
アス回路14,34によって電波ビーコン受信信号DB
rが除去された信号を伝送する伝送路D12,D32
に、直流電源VDDとなる信号の直流成分を多重分離する
ローパスフィルタ(LPF)16,36と、コンデンサ
C12,C32によって信号の直流成分がカットされた
信号を伝送するD13,D33に、光ビーコン送受信信
号LBs,LBrを多重分離するための光ビーコン多重
分離回路18,38と、電波ビーコン受信信号DBrの
入出力端に信号の直流成分が流入しないように、該直流
成分をカットするコンデンサC11,C31とを備えて
いる。また、光ビーコン多重分離回路18,38は、基
本波成分が1.024[MHz]の矩形波からなる光ビ
ーコン受信信号LBrを分離多重するバンドパスフィル
タ(BPF)18a,38aと、基本波成分が64[K
Hz]の矩形波からなる光ビーコン送信信号LBsを多
重分離するBPF18b,38bとを備えている。
【0006】なお、送受信部側の多重分離部10は、ス
トリップライン12,λ/4バイアス回路14,LPF
16,光ビーコン多重分離回路18(18a,18
b),コンデンサC11,C12により構成され、本体
部側の多重分離部30は、ストリップライン32,λ/
4バイアス回路34,LPF36,光ビーコン多重分離
回路38(38a,38b),コンデンサC31,C3
2により構成されている。
【0007】このように構成された多重分離部10,3
0では、送受信部にて受信された電波ビーコンの受信信
号DBrは、ストリップライン12,高周波ケーブル
L,ストリップライン32を介して本体部に伝送され
る。なお、伝送路D11,D31には、λ/4バイアス
回路14が接続されているので、電波ビーコン受信信号
DBrが伝送路D12,D32側に漏れることがない。
【0008】また、本体部から送受信部に供給される直
流電源VDDは、LPF36から入力され伝送路D32,
D31,高周波ケーブルL,伝送路D11,D12を介
してLPF16から出力される。なお、ストリップライ
ン12,32の入出力端、及び伝送路D12,D32の
端部には、コンデンサC11,C31及びC12,C3
2が設けられているので、電波ビーコン受信信号DBr
の入出力端、及び光ビーコン多重分離回路18,38が
接続された伝送路D13,D33に、直流成分が漏れる
ことがない。
【0009】更に、送受信部にて受信された光ビーコン
受信信号LBrは、BPF18aから入力され、伝送路
D13,D12,D11(以下、総称するときはD1と
する)、高周波ケーブルL、伝送路D31,D32,D
33(以下、総称するときはD3とする)を介してBP
F38aから出力され、また、本体部から送信された光
ビーコン送信信号LBsは、BPF38bから入力さ
れ、光ビーコン受信信号LBrとは逆の経路をたどっ
て、BPF18bから出力される。
【0010】つまり、電波ビーコン受信信号DBr、光
ビーコン送受信信号LBs,LBr、直流電源VDDは使
用する周波数帯が夫々異なっており、高周波ケーブルL
及び伝送路D1,D3上では周波数分割多重伝送される
ので、従来装置では、各信号毎にその周波数帯に応じた
フィルタを設けることによって、目的の信号を多重分離
するようにされていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、送受信部
は、上述したように電波や光を送受信しやすい位置に取
り付けられるが、そのような位置とは、即ち人目に付き
易い位置でもあり、ドライバの視界の妨げにならないた
めにも、送受信部はできるだけ小型に構成することが望
まれている。
【0012】そこで、例えば、送信信号を多重分離する
BPFの次数を、その構成が最も簡単になる1次とした
場合、通過帯域以外(カットオフ領域)での減衰特性
は、20[dB/dec]となる。なお、送受信側の光
ビーコン多重分離回路18にて光ビーコン送信信号LB
sを分離するBPF18bを考えた場合、光ビーコン受
信信号LBrの基本波成分Fr1(1.024[MH
z])を十分に減衰させるには、その減衰量を通常20
[dB]程度に設定する必要があり、そのためには、図
4(a)に示すように、BPF18bの高域側のカット
オフ周波数を、受信信号LBrの基本波成分Fr1の1
/10、即ち、約100KHzに設定する必要がある。
【0013】しかし、光ビーコン受信信号LBrは、高
調波信号を多く含む矩形波からなるため、このように光
ビーコン送信信号LBsの基本波成分Fs1(64[K
Hz])に非常に接近したカットオフ周波数を有するB
PF18bを用いたのでは、光ビーコン受信信号LBr
と共に、光ビーコン送信信号LBsの高調波成分Fs
2,Fs3,…も減衰されてしまい、光ビーコン送信信
号LBsの波形が歪んでしまうという問題があった。こ
れは、BPF18bに限らず、BPF18a,38a,
38bでも同様であった。
【0014】これに対して、BPF(特にハイパス部)
18bの次数を大きくし減衰特性を急峻にして、そのカ
ットオフ周波数を、光ビーコン送信信号LBsの基本波
成分Fs1からできるだけ離すようにすることが考えら
れるが、フィルタは、次数が大きいほど構成に必要な素
子数が増大するため、光ビーコン多重分離回路18,3
8、ひいては装置が大型化してしまうという問題があっ
た。
【0015】なお、フィルタには、受動部品(コイル,
コンデンサ等)からなるパッシブフィルタの他に、能動
部品(演算増幅器,トランジスタ等)からなるアクティ
ブフィルタがあり、このアクティブフィルタを構成する
能動部品は半導体からなるため、パッシブフィルタに比
べれば装置を小型化することが可能であるが、フィルタ
の次数を大きくすると、素子数が増大することに変わり
はなく、小型化に最適であるとはいえなかった。
【0016】また、パッシブフィルタ、アクティブフィ
ルタに関わらず、次数の大きなフィルタでは、カットオ
フ周波数付近で群遅延が増大して波形歪の原因となり、
光ビーコン送受信信号LBs,LBrの伝送品質を劣化
させてしまうという問題もあった。
【0017】本発明は、上記問題点を解決するために、
光ビーコンの送受信信号の伝送品質を向上させることが
でき、しかも装置の小型化が可能な路車間通信装置を提
供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
になされた発明である請求項1に記載の路車間通信装置
では、送受信部が、道路近傍に配置された固定局との間
で、信号波形が矩形波状の光ビーコン及び電波ビーコン
を送受信し、この送受信部にて送受信される信号を本体
部が処理する。
【0019】ところで、送受信部及び本体部は、1本の
信号線にて接続されており、送受信部にて受信された電
波ビーコンの受信信号は、送受信部に設けられた(以
下、送受信部側という)電波ビーコン多重分離回路によ
り信号線に多重されて本体部側に伝送され、本体部に設
けられた(以下、本体側という)電波ビーコン多重分離
回路にて信号線から分離され、本体部にて処理される。
【0020】一方、送受信部にて受信された光ビーコン
の受信信号は、送受信部側の光ビーコン多重分離回路に
より信号線に多重されて本体部側に伝送され、本体部側
の光ビーコン多重分離回路にて信号線から分離され、本
体部にて処理される。また、本体部にて生成された光ビ
ーコンの送信信号は、本体部側の光ビーコン多重分離回
路にて信号線に多重されて送受信部側に伝送され、送受
信部側の光ビーコン多重分離回路にて信号線から分離さ
れ、この送信信号に基づいて送受信部が光ビーコンの送
信信号を送信する。
【0021】そして、本発明では、光ビーコン多重分離
回路を、信号線を介して伝送しようとする信号を該信号
線に多重すると共に、この多重する信号と信号線上の信
号とを混合して同位相成分を相殺することにより、信号
線により伝送されてきた信号を分離するハイブリッド回
路にて構成している。
【0022】なお、同位相成分を相殺するということ
は、周波数領域上で見た場合、図4(b)に示すよう
に、この相殺された同位相成分、つまり不用な信号成分
のみが減衰することに相当する。即ち、このようなハイ
ブリッド回路では、ある周波数帯の信号をすべて減衰さ
せてしまうフィルタとは異なり帯域制限がないので、例
えば、除去すべき信号の周波数が抽出すべき信号の周波
数より高く、しかもこれら周波数が接近していたとして
も、不用な信号を除去した時に、抽出すべき信号の高調
波成分まで減衰させてしまうことがない。つまり、高調
波成分を多く含む矩形波等を伝送する場合に波形が歪ん
でしまうことがない。また、カットオフ周波数が存在し
ないため、使用する周波数帯域で群遅延特性が平坦にな
り、群遅延による波形歪も防止できる。
【0023】従って、本発明の路車間通信装置によれ
ば、光ビーコン送受信信号を歪ませることなく確実に多
重分離することができ、光ビーコン送受信信号の伝送品
質を向上させることができる。次に、ハイブリッド回路
は、例えば、請求項2に記載のように、信号線に多重す
る信号を該信号線に入力するためのバッファ回路と、バ
ッファ回路と信号線との間に直列接続され、信号線の特
性インピーダンスに等しいインピーダンスを有する終端
抵抗と、終端抵抗の両端からの信号を差動増幅して、信
号線により伝送されてきた信号を分離する差動増幅回路
とにより構成することができる。
【0024】このように構成されたハイブリッド回路を
用いれば、光ビーコン多重分離回路の出力インピーダン
スを、終端抵抗により簡単に調整できるため、高周波ケ
ーブルの特性インピーダンスに簡単に整合させることが
でき、インピーダンス不整合に基づいた信号の反射を原
因とする波形歪等を簡単に防止できる。
【0025】また、上述したように、従来装置では、カ
ットオフ周波数を受信信号の基本波の1/2に設定し、
しかも受信信号の基本波成分を20[dB]以上減衰さ
せようとすると、フィルタの次数を4次以上に設定する
必要があり、各フィルタで4個づつ、各光ビーコン多重
分離回路で8個ずつの演算増幅器が必要であったが、本
発明では、バッファ回路及び作動増幅器を、例えば夫々
1個の演算増幅器にて構成することができ、即ち、送受
信部及び本体部の各光ビーコン多重分離回路を、夫々2
個の演算増幅器にて構成できるので、装置を大幅に小型
化できる。
【0026】ところで、信号線を介して送受信部が使用
する直流電源を本体部から供給する場合、この直流電源
となる直流成分を信号線に多重分離する回路が必要とな
るが、特に送受信部では、この直流成分を分離するため
の平滑回路(ローパスフィルタ)を設けると、次のよう
な問題があった。
【0027】即ち、平滑回路はチョークコイル等により
構成されており、このチョークコイルは、同じ大きさの
電流を流すのであれば、定数(インダクタンス)の大き
いものほど大型化する。しかし、平滑回路からの光ビー
コン送受信信号の漏れを確実に防止するには、チョーク
コイルの定数を大きくする必要があり、従って装置が大
型化してしまうという問題があった。
【0028】一方、装置を小型化するために、小型のチ
ョークコイルを使用すると、チョークコイルの定数を大
きくできないため、平滑回路から光ビーコン送受信信号
が漏れることになる。すると、伝送路の特性インピーダ
ンスが光ビーコン送受信信号の周波数帯でくずれ、ハイ
ブリッド回路の出力インピーダンスが、信号線の特性イ
ンピーダンスと整合しなくなる。その結果、ハイブリッ
ド回路での同位相信号の除去比が劣化して、受信信号が
送信信号に加算され、送信信号の波形を歪ませてしまう
という問題があり、これは装置を小型化する上では避け
られない問題であった。
【0029】また、送受信部において、光ビーコン送信
信号に応じて光ビーコン信号を送信する発光素子、及び
光ビーコン信号を受信して光ビーコン受信信号を出力す
る受光素子は、図6(a)に示すように、通常、同じケ
ースX内に収納され、光を透過するカバーYを介して、
固定局STとの間で光ビーコン信号を送受信するように
構成されており、発光素子SDから放射された光ビーコ
ン信号は、カバーYにて一部反射され、受光素子RDに
て受光される。この反射光により生じる信号成分は、正
規の光ビーコン受信信号に比べて、非常に大きなもので
あるため、上述のように、送信信号を分離する時に受信
信号を除去しきれない場合には、送信信号に与える影響
が大きかった。
【0030】これに対して、図6(b)に示すように、
発光素子SDと受光素子RDとの間に遮へい板Zを挿入
して、反射光を減衰させることも考えられるが、部品点
数が増え装置の小型化に向いていないという問題があっ
た。そこでなされた請求項3に記載の発明は、請求項1
又は請求項2に記載の路車間通信装置において、本体部
が、直流電源となる直流成分を信号線に多重する電力多
重回路を備え、送受信部が、この直流成分を信号線から
分離する電力分離回路を備えている場合、送受信部側の
光ビーコン多重分離回路に、ハイブリッド回路が信号線
から分離した光ビーコン送信信号を、所定の閾値と比較
して2値化する比較回路を設けることを特徴とする。
【0031】このように構成された本発明の路車間通信
装置によれば、ハイブリッド回路により信号線から分離
された送信信号が、反射光による信号成分を含んだ光ビ
ーコン受信信号の影響によって歪んでいたとしても、比
較回路により波形整形された後、光ビーコン信号として
送信されるので、伝送品質を劣化させることがない。
【0032】また、発光素子と受光素子との間に遮へい
板を設ける必要がなくなるので、装置をより小型化でき
る。もちろん、遮へい板は設けたままでもよい。ここ
で、図3は、送受信側の光ビーコン多重分離回路の各部
の波形図であり、(a)はハイブリッド回路の出力イン
ピーダンスと信号線の特性インピーダンスとの整合がと
れている時にハイブリッド回路によって分離される正規
の光ビーコン送信信号、(b)は反射光の受信信号(以
下、単に反射信号とよぶ)、(c)は、ハイブリッド回
路の出力インピーダンスと信号線の特性インピーダンス
との整合がとれていないときに、ハイブリッド回路によ
って分離される歪んだ光ビーコン送信信号である。な
お、(c)の波形は、(a)及び(b)の波形を加算し
たものとなる。
【0033】図3に示すように、反射信号は、光ビーコ
ン送信信号より遅延するため、これらが加算されると、
送信信号の立ち上がり及び立ち下がり部分で大きく歪
み、しかも、その歪の幅は、図3(b)及び(c)に点
線にて示すように、反射信号の振幅に応じて大きくな
る。そして、波形の歪が大きくなると、比較回路が光ビ
ーコン送信信号を正しく2値化(波形整形)できる範囲
が狭くなり、換言すれば、比較回路が誤判定して誤った
波形整形をしてしまう確率が高くなるため、光ビーコン
信号の品質を劣化させてしまう可能性がある。
【0034】そこで、請求項4に記載のように、請求項
3に記載の路車間通信装置には、更に、送受信部側の光
ビーコン多重分離回路に、ハイブリッド回路が信号線に
多重する光ビーコン受信信号の振幅を制限する振幅制限
回路を設けることが望ましい。
【0035】このような振幅制限回路を設けると、反射
信号の振幅が制限され、光ビーコン送信信号での歪量が
小さくなる。その結果、比較回路が、光ビーコン送信信
号を正しく波形整形できる範囲が広がるので、比較回路
の閾値の設定が容易になり、また、比較回路が誤判定す
る確率も低下するので、光ビーコンの伝送品質を向上さ
せることができる。
【0036】但し、振幅制限回路による振幅制限は、正
規の光ビーコン受信信号にとって制限とならない程度に
設定する必要がある。
【0037】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施例を図面と共
に説明する。図2は、VICSのサービスを受けるため
に車両に搭載される本実施例の路車間通信装置の全体構
成を表すブロック図である。
【0038】図2に示すように、本実施例の路車間通信
装置2は、道路近傍に配置された固定局との間で、電波
ビーコン信号及び光ビーコン信号を送受信するための送
受信部4と、FM多重放送を受信するためのFMアンテ
ナ6と、送受信部4及びFMアンテナ6を介して送受信
される信号を処理する本体部8とを備えている。
【0039】なお、送受信部4は、電波ビーコン信号及
び光ビーコン信号を受信しやすいように、ダッシュボー
ドの上等に配置され、本体部8は車室内の適当な位置に
配置される。また、送受信部4及び本体部8間は、電波
ビーコン及び光ビーコンの送受信信号の伝送、及び送受
信部4への電源供給のために高周波ケーブル(本実施例
では、特性インピーダンスが50Ωの同軸ケーブル)L
が接続されている。
【0040】このうち、送受信部4は、電波ビーコン信
号を受信するためのマイクロ波アンテナ50と、光ビー
コン信号を受信するためのフォトダイオード(PD)5
2と、PD52の出力を増幅する増幅回路54と、光ビ
ーコン信号を送信するための発光ダイオード(LED)
56と、光ビーコン送信信号LBsに従ってLED56
を駆動するLED駆動部58と、マイクロ波アンテナ5
0からの電波ビーコン受信信号DBr、及び増幅回路5
4からの光ビーコン受信信号LBrを高周波ケーブルL
を介して本体部8に伝送すると共に、高周波ケーブルL
を介して本体部8から供給される直流電源VDDを抽出
し、また同様に本体部8から伝送されてくる光ビーコン
送信信号LBsを分離してLED駆動部58に供給する
多重分離部10とを備えている。
【0041】一方、本体部8は、車載バッテリ(図示せ
ず)から供給される直流電源Vb(本実施例では12
V)を、所定電圧(本実施例では5V)の直流電源VDD
に変換する直流電源部62と、高周波ケーブルLを介し
て送受信部4から伝送されてくる電波ビーコン受信信号
DBrを後述するデジタル信号処理部70にて処理可能
な形態の信号に変換する電波ビーコン受信部60と、高
周波ケーブルLを介して送受信部4から伝送されてくる
光ビーコン受信信号LBrをデジタル信号処理部70が
取り込むまでの間一時的に保持すると共に、デジタル信
号処理部70の指示に従って、高周波ケーブルLを介し
て送受信部4に伝送すべき光ビーコン送信信号LBsを
送信する光ビーコン送受信バッファ部64と、直流電源
部62が生成する直流電源VDD、及び光ビーコン送受信
バッファ部64が送信する光ビーコン送信信号LBs
を、高周波ケーブルLを介して送受信部4に供給,伝送
すると共に、高周波ケーブルLを介して送受信部4から
伝送されてくる電波ビーコン受信信号DBr及び光ビー
コン受信信号LBrを分離して、夫々電波ビーコン受信
部60及び光ビーコン送受信バッファ部64に供給する
多重分離部30とを備えている。
【0042】また、本体部8は、更に、FMアンテナ6
にて受信されたFM多重信号を個々の信号に分離するF
M多重受信部66と、FM多重受信部66が分離した各
信号をデコードして、デジタル信号処理部70にて処理
可能な形態の信号に変換するデコーダ68と、光ビーコ
ン送受信バッファ部64に光ビーコン送信信号LBsの
送信指示を出力すると共に、電波ビーコン受信部60,
光ビーコン送受信バッファ部64,デコーダ68からの
信号を処理することにより、各種道路交通情報を抽出す
るデジタル信号処理部70と、デジタル信号処理部70
が抽出した道路交通情報を、例えばナビゲーション装置
(図示せず)等に供給するための外部インタフェース部
72とを備えている。
【0043】即ち、路車間通信装置2では、電波ビーコ
ン,光ビーコン,FM多重放送という3種類の通信媒体
を介して、各種道路交通情報を獲得できるように構成さ
れている。ここで、本発明の主要部である多重分離部1
0,30について説明する。
【0044】図1は、多重分離部10,30の詳細な構
成を表すブロック図である。なお、本実施例の多重分離
部10,30は、上述の図5に示す従来装置の多重分離
部とは、一部構成が異なるだけであるので、同じ構成に
ついては、同じ番号を付して説明を省略し、ここでは、
構成の異なる光ビーコン多重分離回路20,40につい
てのみ説明する。
【0045】まず、送受信部4側の光ビーコン多重分離
回路20は、増幅回路54からの光ビーコン受信信号L
Brの振幅を制限するリミッタ回路22と、リミッタ回
路22からの振幅制限された光ビーコン受信信号LBr
を入力とするバッファ回路24と、バッファ回路24の
出力端子と伝送路D13との間に直列接続された終端抵
抗25と、一対の入力端子が終端抵抗25の両端に接続
された差動増幅回路26と、差動増幅回路26の出力を
所定の閾値にて2値化する比較回路28とを備えてい
る。
【0046】一方、本体部8側の光ビーコン多重分離回
路40は、光ビーコン送受信バッファ部64からの光ビ
ーコン送信信号LBsを入力とするバッファ回路44
と、バッファ回路44の出力端子と伝送路D33との間
に直列接続された終端抵抗45と、一対の入力端子が終
端抵抗45の両端に接続された差動増幅回路46とを備
えている。
【0047】そして、バッファ回路24,終端抵抗2
5,差動増幅回路26、及びバッファ回路44,終端抵
抗45,差動増幅回路46は、夫々、送受信信号を多重
分離する周知のハイブリッド回路を構成している。即
ち、終端抵抗25,45は、高周波ケーブルLの特性イ
ンピーダンスと整合するように設定されているので、バ
ッファ回路24,44の各出力端子からみると、互いに
他の出力端子が接地されていることに相当する。従っ
て、バッファ回路24の出力端子には、バッファ回路4
4から送出された光ビーコン送信信号LBsが現れるこ
とがなく、バッファ回路24の出力、即ち光ビーコン受
信信号LBrのみが現れることになる。このため、差動
増幅回路26では、一方の入力端子に光ビーコン受信信
号LBrのみが印加され、他方の端子にはこの光ビーコ
ン受信信号LBrと、高周波ケーブルLを介して伝送さ
れてきた光ビーコン送信信号LBsとを加えた信号が印
加されることになり、差動増幅回路26では、その同位
相除去作用により、伝送されてきた光ビーコン送信信号
LBsのみが抽出されるのである。また、全く同様に、
差動増幅回路46では、高周波ケーブルLを介して伝送
されてきた光ビーコン受信信号LBrのみが抽出される
のである。
【0048】また、送受信部4側の光ビーコン多重分離
回路20において、差動増幅回路26の出力に設けられ
た比較回路28は、差動増幅回路26の出力を波形整形
し、一方、バッファ回路24の入力に設けられたリミッ
タ回路22は、PD52にて受信され増幅回路54にて
増幅された光ビーコン受信信号LBrの振幅を制限す
る。なお、リミッタ回路22は、固定局から受信する正
規の光ビーコンに基づく光ビーコン受信信号LBrの振
幅を制限することのないように、その制限値は、正規の
光ビーコン受信信号LBrの振幅範囲より大きな値に設
定されている。
【0049】ところで、本実施例のように電源分離用の
LPF16が接続されている場合、上述したように、高
周波ケーブルLを含む伝送路側の特性インピーダンスが
変化して、終端抵抗25とのインピーダンスが不整合と
なり、差動増幅回路26での同位相除去能力が低下する
ことにより、差動増幅回路26の出力に光ビーコン受信
信号LBrが重畳され、光ビーコン送信信号LBsが歪
んでしまうことがある(図3(c)参照)。
【0050】しかし、本実施例の路車間通信装置2によ
れば、比較回路28が差動増幅回路26の出力を波形整
形するようにされているので、差動増幅回路26にて除
去しきれなかった同位相信号成分による波形歪の影響を
除去することができ、品質のよい光ビーコン信号を送出
することができる。
【0051】また、本実施例では、リミッタ回路22
が、PD52にて受信され増幅回路54にて増幅された
光ビーコン受信信号LBrの振幅を制限するようにされ
ている。このため、LED56が放射し、該LED56
及びPD52が収納されたケースのカバーに反射してP
D52にて受光される反射光があっても、この反射光に
基づく信号成分を低減することができる。その結果、差
動増幅回路26が出力する光ビーコン送信信号LBsの
波形歪を低減することができ(図3(b)及び(c)の
実線を参照)、比較回路28が正しく波形整形できる範
囲が拡大されるので、比較回路28での判定の信頼性を
向上させることができる。
【0052】更に本実施例では、光ビーコン多重分離回
路20,40を、ハイブリッド回路を用いて構成してい
るので、フィルタを用いて構成する場合に比べて、構成
を簡単にすることができ、しかも、比較回路28及びリ
ミッタ回路22によって反射光の影響も除去できるの
で、光ビーコンを送受信するLED56,PD52の間
に反射光を低減するための遮へい板を設ける必要がな
く、従って当該装置を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施例の要部である多重分離部の構成を表
すブロック図である。
【図2】 本実施例の路車間通信装置の全体構成を表す
ブロック図である。
【図3】 ハイブリッド回路での動作を表す波形図であ
る。
【図4】 フィルタ及びハイブリッド回路の周波数特性
図である。
【図5】 従来装置における多重分離部の構成を表すブ
ロック図である。
【図6】 光ビーコンの反射の仕組みを表わす説明図で
ある。
【符号の説明】
2…路車間通信装置 4…送受信部 6…F
Mアンテナ 8…本体部 10,30…多重分離部 12,32…ストリップライン 14,34…バイア
ス回路 16,36…ローパスフィルタ(LPF) 20,40…光ビーコン多重分離回路 22…リミッ
タ回路 24,44…バッファ回路 25,45…終端抵
抗 26,46…差動増幅回路 28…比較回路 50…マイクロ波アンテナ 52…フォトダイオ
ード(PD) 54…増幅回路 56…発光ダイオー
ド(LED) 58…LED駆動部 60…電波ビーコン
受信部 62…直流電源部 64…光ビーコン送
受信バッファ部 66…FM多重受信部 68…デコーダ 70…デジタル信号処理部 72…外部インタフ
ェース部 D1(D11〜D13),D3(D31〜D33)…伝
送路 C11,C12,C31,C32…コンデンサ L…
高周波ケーブル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01S 1/70 H04B 1/40

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 道路近傍に配置された固定局との間で、
    信号波形が矩形波状の光ビーコン信号及び電波ビーコン
    信号を送受信する送受信部と、 該送受信部にて送受信される信号を処理する本体部と、 を備え、上記光ビーコン及び電波ビーコンを媒体とした
    通信によって、各種道路交通情報の提供を受けるために
    車両に搭載される路車間通信装置において、 上記送受信部及び本体部を1本の信号線にて接続すると
    共に、 上記送受信部及び本体部の夫々に、 上記電波ビーコンの受信信号を上記信号線に多重分離す
    るための電波ビーコン多重分離回路と、 上記光ビーコンの送受信信号を上記信号線に多重分離す
    るための光ビーコン多重分離回路と、 を設け、 上記光ビーコン多重分離回路を、上記信号線を介して伝
    送しようとする信号を該信号線に多重すると共に、該多
    重する信号と上記信号線上の信号とを混合して同位相成
    分を相殺することにより、上記信号線を介して伝送され
    てきた信号を分離するハイブリッド回路にて構成したこ
    とを特徴とする路車間通信装置。
  2. 【請求項2】 上記ハイブリッド回路は、 上記信号線に多重する信号を該信号線に入力するための
    バッファ回路と、 該バッファ回路と上記信号線との間に直列接続され、上
    記信号線の特性インピーダンスに等しいインピーダンス
    を有する終端抵抗と、 該終端抵抗の両端からの信号を差動増幅して、上記信号
    線により伝送されてきた信号を分離する差動増幅回路
    と、 を備えることを特徴とする請求項1に記載の路車間通信
    装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の路車間通
    信装置において、 上記本体部は、直流電源となる直流成分を上記信号線に
    多重する電源多重回路を備えると共に、上記送受信部
    は、上記直流成分を上記信号線から分離する電源分離回
    路を備え、 上記送受信部側の光ビーコン多重分離回路に、上記ハイ
    ブリッド回路が上記信号線から分離した光ビーコン送信
    信号を、所定の閾値と比較して2値化する比較回路を設
    けたことを特徴とする路車間通信装置。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の路車間通信装置におい
    て、 上記送受信部側の光ビーコン多重分離回路に、上記ハイ
    ブリッド回路が上記信号線に多重する光ビーコン受信信
    号の振幅を制限する振幅制限回路を設けたことを特徴と
    する路車間通信装置。
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