JPH10256355A - 位置決めデバイス、基板保持装置、及び該装置を備えた露光装置 - Google Patents

位置決めデバイス、基板保持装置、及び該装置を備えた露光装置

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JPH10256355A
JPH10256355A JP9063164A JP6316497A JPH10256355A JP H10256355 A JPH10256355 A JP H10256355A JP 9063164 A JP9063164 A JP 9063164A JP 6316497 A JP6316497 A JP 6316497A JP H10256355 A JPH10256355 A JP H10256355A
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Kazuya Ono
一也 小野
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    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03FPHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
    • G03F7/00Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
    • G03F7/70Microphotolithographic exposure; Apparatus therefor
    • G03F7/70691Handling of masks or workpieces
    • G03F7/70716Stages

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  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
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  • Container, Conveyance, Adherence, Positioning, Of Wafer (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体ウエハ等の基板の裏面の異物によって
その基板が歪まないようにすると共に、その基板の位置
決めを高速且つ高精度に行う。 【解決手段】 ウエハホルダ4の表面に形成された給気
孔12A〜12D,13A〜13Iから圧縮空気を吹き
出してウエハホルダ4の上方にウエハWを浮上させて保
持する。ウエハホルダ4内に配置された駆動ユニット1
7A〜17Iは、それぞれウエハWに対して水平方向に
ローレンツ力よりなる駆動力を発生すると共に、静電吸
引力を発生してウエハWまでの間隔を制御する。駆動ユ
ニット17A〜17Iによるローレンツ力を介してウエ
ハWの水平方向の位置及び回転角を制御し、駆動ユニッ
ト17A〜17Iによる静電吸引力を個別に調整してウ
エハWの曲がりを補正する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば半導体ウエ
ハ等の基板を非接触で位置決めする位置決めデバイス、
そのような基板を非接触で位置決めして保持する基板保
持装置、及びこの基板保持装置を備えた露光装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、半導体素子等を製造するため
のフォトリソグラフィ工程で、マスクとしてのレチクル
のパターンを投影光学系を介して感光基板としてのウエ
ハの各ショット領域に転写する投影露光装置(ステッパ
ー等)、及びレチクルのパターンを直接ウエハ上に転写
するプロキシミティ方式の露光装置等が使用されてい
る。このような露光装置では、ウエハを高精度に露光位
置に位置決めする必要があるため、ウエハはウエハホル
ダ上に真空吸着等によって保持され、このウエハホルダ
が粗微動可能なウエハステージ上に固定されている。
【0003】図9は従来のウエハホルダの一例を示し、
この図9において、ウエハホルダ101の表面のウエハ
Wとの接触面に多数の吸着溝102が形成され、吸着溝
102内の空気等をウエハホルダ101内の排気路10
3を通じて排気することで、ウエハホルダ101の表面
にウエハWが吸着保持される。ところで、そのように吸
着保持されるウエハWに局所的な変形(湾曲等)が生じ
ていると、ウエハW上のショット領域によってはレチク
ル像の良好な露光が行えなくなる。
【0004】そこで、図10に示すように、ウエハの平
坦度を補正できるウエハホルダも提案されている。図1
0において、ウエハホルダ101の内部の排気路103
の底部には空間が設けられ、この空間内に多数の伸縮自
在の圧電素子104が装着されている。従って、それら
の圧電素子104の伸縮量を個別に制御して、それらの
上部のウエハホルダ101の表面領域を変形させること
で、その上に吸着保持されるウエハWの平坦度を改善で
きる。
【0005】また、図11は従来のウエハステージの一
例を示し、この図11において、ウエハベース105上
にYステージ106がY方向に移動自在に載置され、Y
ステージ106上にXステージ107がX方向に移動自
在に載置されている。更に、Xステージ107内に圧電
素子111,112によってX方向に微動できるよう
に、4箇所の弾性ヒンジ108A〜108Dをガイドと
して微動ステージ109が取り付けられ、微動ステージ
109内に圧電素子114,115によってY方向に微
動できるように、4箇所の弾性ヒンジ110A〜110
Dをガイドとして載物台113が取り付けられ、載物台
113上にウエハホルダ101を介してウエハWが固定
され、ウエハホルダ101の近傍にはレーザ干渉計用の
移動鏡116X,116Yも固定されている。この場
合、Xステージ107及びYステージ106は粗動ステ
ージとして、ウエハWの粗い位置決めを行い、微動ステ
ージ109及び載物台113をそれぞれX方向及びY方
向に微動することで、ウエハWの高精度な位置決めが行
われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の如き従来の技術
において、図9のウエハホルダでは、ウエハホルダ10
1上にウエハWを真空吸着しているため、ウエハWの裏
面とウエハホルダ101の表面との間にレジスト残滓等
の異物が挟まれていると、その異物によってウエハWが
歪んで最終的に製造される半導体素子の歩留まりが低下
する恐れがある。一方、図10のウエハホルダでは、ウ
エハホルダ101内に設けた多数の圧電素子104の伸
縮によってウエハWの平坦度を補正しているが、この方
式では圧電素子用の高圧配線を多数配置する必要がある
ため装置構成が大型化し、且つ複雑化すると共に、高コ
スト化を招くという不都合がある。
【0007】また、図11の従来のウエハステージで
は、レチクルの投影像とウエハ上の各ショット領域との
位置合わせを行う際に、Xステージ107及びYステー
ジ106(粗動ステージ)を介して高速にウエハWのス
テッピングを行った後、圧電素子111,112及び1
14,115を介して微動ステージ109及び載物台1
13を微動することで、ウエハWの最終的な位置決めが
行われる。しかしながら、微動ステージ109及び載物
台113を圧電素子で押し引きして位置調整を行う構造
では、高速な位置決めが困難である。更に、微動ステー
ジ109が大型化し、且つ重量が大きくなるため、これ
らを高速に駆動するための粗動ステージでは大きな推力
が必要になり、ステージ全体が大型化すると共に、発熱
量が大きくなって位置決め精度が悪化する恐れもあっ
た。
【0008】本発明は斯かる点に鑑み、半導体ウエハ等
の基板を高速且つ高精度に位置決めして保持できる位置
決めデバイスを提供することを目的とする。また、本発
明は、半導体ウエハ等の基板を高速且つ高精度に位置決
めして保持できると共に、その基板の裏面の異物等によ
ってその基板の歪みが生じない基板保持装置を提供する
ことを目的とする。
【0009】また、本発明は、簡単な構成で基板の平坦
度を改善できる基板保持装置を提供することを目的とす
る。更に、本発明は、そのような基板保持装置を備えて
半導体素子等の製造時の歩留まりの低下を防止できる露
光装置を提供することをも目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明による基板保持装
置は、電気的導体よりなる基板(W)を所定のベース
(4)上に浮上させる浮上装置(14〜16)と、浮上
された基板(W)に電流を誘起させる電流発生部(18
A,18B,25)及びこの電流発生部によって誘起さ
れる電流と交差する方向に磁場を発生する磁場発生部
(19,20,28)を備え、それらの発生した電流及
び磁場の方向と直交する方向にローレンツ力よりなる駆
動力を発生させる駆動力発生装置(17A,22A)
と、その浮上装置により浮上された基板の変位を検出す
る変位検出装置(30A〜30E)と、を有し、この変
位検出装置の検出結果に基づきその駆動力発生装置を介
してその基板を位置決め保持するものである。
【0011】斯かる本発明によれば、その浮上装置によ
って所定のベース(4)上に基板(W)が浮上される。
この状態で、その駆動力発生装置の電流発生部により基
板(W)内に電流が誘起され、この電流と交差する方向
にその磁場発生部により磁場が発生され、それらの電流
及び磁場の方向と直交する方向にローレンツ力が発生し
て、このローレンツ力によって基板(W)が変位する。
この変位がその変位検出装置によって検出され、この検
出結果に基づいて、そのローレンツ力による基板(W)
の変位を制御することで、簡単な構成で基板(W)が非
接触の状態で高速、且つ高精度に位置決めされる。特
に、半導体ウエハは8インチウエハでも100g程度で
あるため、容易に浮上できると共に、ローレンツ力によ
って容易に変位させることができる。
【0012】この場合、その浮上装置の一例は、ベース
(4)上に形成された開口(13A)から圧縮気体を噴
出させる給気装置(14〜16)であり、その圧縮気体
を基板(W)の裏面に吹き付けることで基板(W)が浮
上する。また、その浮上装置の他の例は、基板(W)の
上方に配置された吸引用電極対(58A,58B)より
なり、この吸引用電極対間に所定の電圧を印加して基板
(W)を静電吸引力で吸引浮上する装置である。
【0013】また、その電流発生部の一例は、ベース
(4)の表面上に配列された複数の電極(18A,18
B)を有し、隣接する電極対(18A,18B)間に各
々所定の駆動電圧を印加してこれらの電極対と対向する
基板(W)上の領域間に電流を流す装置である。これに
よって、基板(W)上に非接触で電流を流すことができ
る。
【0014】この場合、その電流発生用の電極(18
A,18B)の表面から基板(W)の裏面までの距離の
変化によって生じる静電容量の変化を検出する静電容量
検出装置(26)を更に備え、この静電容量検出装置の
検出結果に基づいてその基板の裏面までの距離(ギャッ
プ)を計測することが望ましい。これによれば、その電
流発生用の電極をギャップセンサとして兼用できるの
で、構造の簡素化を図れる。更に、基板(W)の裏面の
3箇所の電極でギャップを計測することによって、基板
(W)の傾斜角をも検出でき、4箇所以上の電極でギャ
ップを計測することによって、基板(W)の湾曲等の歪
みも計測できる。
【0015】次に、その磁場発生部の一例は、ベース
(4)内に設けられた発磁体(19,20)を含むもの
である。これによって、基板(W)の面に垂直な方向に
磁場を発生できる。また、その変位検出装置は、その浮
上装置により浮上される基板(W)の外周縁に対応して
配置された複数のエッジセンサ(30A〜30E)と、
その基板の表面又は裏面までの間隔を検出する複数のギ
ャップセンサ(18A,18B,26)とを有すること
が望ましい。基板(W)の周囲には通常切り欠き部が存
在するため、その切り欠き部を含めて3箇所以上にエッ
ジセンサを配置し、3箇所以上にギャップセンサを設け
ることで、基板(W)の3次元的な変位、及び3自由度
の回転よりなる6自由度の変位を検出できる。
【0016】また、本発明において、基板(W)をベー
ス(4)側に吸引する吸引力発生装置(18A,18
B,24)を更に備えることが望ましい。基板(W)は
その浮上装置によってベース(4)上に浮いた状態とな
り、その浮上力を調整することでも或る程度は基板
(W)の高さを制御できる。更にその吸引力発生装置に
よる吸引力を制御することによって、より正確に基板
(W)の高さを制御できる。
【0017】この場合、その吸引力発生装置は、その電
流発生部の隣接する電極対(18A,18B)間に所定
の電圧を印加して基板(W)をベース(4)側に吸引す
る静電吸引力を発生させる装置であることが望ましい。
これによれば、電流発生用の電極(18A,18B)を
吸引装置の一部としても兼用できるため、装置構成が簡
素化される。
【0018】また、その電流発生部の隣接する電極対
(18A,18B)間への印加電圧を組(17A〜17
I)毎に調整して基板(W)の歪みを補正することが望
ましい。半導体ウエハのような薄くて軽い基板は、この
方法によって装置構成を複雑化、大型化することなく非
接触で平坦度を改善できる。次に、本発明による露光装
置は、本発明の基板保持装置(4)上に、感光材料が塗
布された半導体ウエハ(W)を浮上させて保持し、この
保持された半導体ウエハ上にマスクパターン像を露光す
るものである。斯かる本発明の露光装置によれば、本発
明の基板保持装置によって、半導体ウエハ(W)が非接
触で位置決めして保持されるので、裏面の異物等が存在
してもその半導体ウエハが歪むことがないため、半導体
素子等の歩留まりが向上する。
【0019】また、本発明による位置決めデバイスは、
所定のベース(4)上に浮上保持された電気的導体より
なる基板(W)を非接触で位置決めするための位置決め
デバイスであって、その基板に非接触で電流を発生させ
る電流発生部(18A,18B,25)と、この電流発
生部によって発生する電流と交差する方向に磁場を発生
する磁場発生部(19,20,28)と、を有し、それ
らの電流及び磁場の方向と直交する方向にローレンツ力
よりなる駆動力を発生させて基板(W)を位置決めする
ものである。斯かる本発明によれば、そのベース上に浮
上させた基板(W)を極めて簡単な構成で、高速且つ高
精度に位置決めして保持できる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例
につき図面を参照して説明する。本例は投影露光装置に
おける半導体ウエハの保持部に本発明を適用したもので
ある。図1は、本例の投影露光装置を示す概略構成図で
あり、この図1において、照明光学系1からの露光光
(水銀ランプのi線等の輝線、又はエキシマレーザ光
等)ILにより、レチクルRの下面に形成されたパター
ンが均一な照度分布で照明され、露光光ILのもとでレ
チクルRのパターンが投影光学系3を介して所定の縮小
倍率β(βは例えば1/4,1/5等)で、半導体ウエ
ハ(以下、単に「ウエハ」という)W上の所定のショッ
ト領域に投影される。ウエハWの表面にはフォトレジス
トが塗布されている。以下、投影光学系3の光軸AXと
平行にZ軸を取り、光軸AXと垂直な平面内で図1の紙
面と平行にX軸を、図1の紙面と垂直にY軸を取って説
明する。
【0021】レチクルRは、X方向、Y方向、及び回転
方向に微動可能なレチクルステージ2上に保持されてい
る。一方、本例のウエハWは、ウエハホルダ4上に浮揚
状態で非接触で保持されている。ウエハWの浮揚力はウ
エハホルダ4の上面から吹き出される圧縮空気によって
与えられており、その圧縮空気は外部のエアー供給源1
5から流量調整弁14及び給気管16を介してウエハホ
ルダ4に供給され、装置全体の動作を統轄制御する主制
御系9がその流量調整弁14内の流量を制御している
(詳細後述)。
【0022】ウエハホルダ4は、Z方向への位置決めを
行うことができるZステージ5上に固定され、Zステー
ジ5はX方向、Y方向に移動自在なXYステージ6上に
設置されている。Zステージ5の−X方向の上端にはレ
ーザ干渉計8Xからのレーザビームを反射するX軸の移
動鏡7Xが固定され、Zステージ5の+Y方向の上端に
は並列に配置された2個のレーザ干渉計8YA,8YB
(図2(a)参照)からのレーザビームを反射するY軸
の移動鏡7Yも固定されている。レーザ干渉計8X,8
YA,8YBはそれぞれ対応する移動鏡の変位を例えば
0.001μm〜0.01μm程度の分解能で計測し、
計測結果を主制御系9に出力する。
【0023】この場合、例えばレーザ干渉計8Xの計測
値、及びレーザ干渉計8YA,8YBの計測値の平均値
よりそれぞれZステージ5、ひいてはウエハホルダ4の
X座標、及びY座標が求められ、Y軸の2つのレーザ干
渉計8YA,8YBの計測値の差分よりZステージ5
(ウエハホルダ4)の回転角が求められる。主制御系9
は、レーザ干渉計8X,8YA,8YBの計測値から得
られるZステージ5(ウエハW)の位置情報に基づい
て、例えば駆動モータを含む送りねじ方式のウエハステ
ージ駆動部10を介してXYステージ6の位置決め動作
を制御する。また、不図示であるが、投影光学系3の側
面にはウエハWの表面にスリット像等を投影して、その
ウエハWからの反射光によって再結像されるスリット像
の横ずれ量からウエハWのデフォーカス量を検出する斜
入射方式の焦点位置検出系も配置され、この焦点位置検
出系の出力等に基づいて主制御系9は、オートフォーカ
ス方式でZステージ5(ウエハW)のZ方向の位置制御
を行う。なお、後述のように本例のウエハホルダ4には
ウエハWまでの間隔を所望の値に設定する機能もあるた
め、ウエハホルダ4を介してオートフォーカス、更には
オートレベリングを行うこともできる。
【0024】Zステージ5、XYステージ6、移動鏡7
X,7Y、及びウエハステージ駆動部10よりウエハス
テージが構成されている。更に、本例では後述のよう
に、ウエハホルダ4に非接触でウエハWの位置を微動し
て高精度に位置決めする機能が備えられている。そこで
露光時には、ウエハW上の或るショット領域への露光が
終了すると、XYステージ6を介してウエハWを高速に
ステッピングして次のショット領域を投影光学系3の露
光フィールドに移動した後、ウエハホルダ4を介してウ
エハWの位置を高精度に位置決めして、レチクルRのパ
ターン像をそのショット領域へ投影露光するという動作
がステップ・アンド・リピート方式で繰り返されて、ウ
エハWの各ショット領域への露光が行われる。
【0025】さて、上述のように本例のウエハWは、ウ
エハホルダ4上に所定の間隔を隔てて非接触の浮揚状態
で保持されている。更に、本例の投影露光装置のウエハ
ステージはZステージ5(ウエハW)の粗動を高速に行
うことができるが、このウエハステージ自体には従来例
のような微動ステージは備えられていない。なお、ウエ
ハステージ内のXYステージ6を微動ステージとして使
用することも可能であるが、このためにはZステージ5
を含む移動体を位置決めする必要があり、応答速度に劣
る恐れがある。そこで、本例ではウエハホルダ4に微動
ステージの機能も備えられている。そして、主制御系9
はウエハホルダ駆動部21を介してウエハホルダ4の動
作を制御している。以下では、ウエハホルダ4によるウ
エハWの非接触の保持機構及び微動機構につき説明す
る。
【0026】先ず、図2(a)は図1のZステージ5及
びウエハホルダ4を示す平面図、図2(b)は図2
(a)中の一部を切り欠いた正面図であり、図2
(a),(b)に示すように、Zステージ5上に円形の
ウエハホルダ4が固定され、ウエハホルダ4上にウエハ
Wが浮揚状態で保持され、Zステージ5上のウエハホル
ダ4の側面に移動鏡7X及び7Yが固定されている。ま
た、ウエハホルダ4の表面には、保持対象であるウエハ
Wの外形と略同一形状のループ状の浮上用給気溝11が
形成されている。本例のウエハWはほぼ円形で一部にオ
リエンテーションフラット部WFが形成されたウエハで
あるため、浮上用給気溝11も円周の一部が平坦になっ
ている。また、ウエハホルダ4上の浮上用給気溝11の
外側の領域でウエハWの輪郭の底部付近に5個の静電容
量型のエッジセンサ30A〜30Eが配置されている。
エッジセンサ30A〜30Eはそれぞれセンサ内の基準
点からのウエハWの輪郭(エッジ)の法線方向への変位
量を検出し、検出結果を主制御系9に供給する(図4参
照)。
【0027】この際に、エッジセンサ30D,30E
は、ウエハWの回転角を計測するために、ウエハWの外
周のオリエンテーションフラット部WFの両端部に対応
して配置されている。残り3個のエッジセンサ30A〜
30Cは、X方向及びY方向へのウエハWの変位量を計
測するために、ウエハWの円弧状の外周に沿ってほぼ9
0°間隔で配置されている。なお、本例では、エッジセ
ンサ30D,30EをウエハWのオリエンテーションフ
ラット部OFに対応して配置したが、ノッチ部が形成さ
れているウエハの場合には、それに合わせて浮上用給気
溝11の形状やエッジセンサ30D,30Eの配置を変
えるようにしてもよい。
【0028】図3(a)は、図2(a)のウエハホルダ
4を示す拡大平面図であり、この図3(a)に示すよう
に、浮上用給気溝11の内部にほぼ90°間隔で4個の
給気孔12A〜12Dが設けられ、更に浮上用給気溝1
1で囲まれた領域内に3行×3列で9個の給気孔13
A,13B,…,13H,13Iが設けられている。こ
れらの給気孔12A〜12D、及び13A〜13Iは、
図2(b)に示すように、ウエハホルダ4の内部で給気
管16の先端に接続されている。そして、エアー供給源
15内部の圧縮空気(圧縮された窒素ガス等も可)を給
気管16を介してウエハホルダ4の表面の給気孔12A
〜12Dから噴出させることで、ループ状の浮上用給気
溝11に沿って圧縮空気層が形成され、この圧縮空気層
によってウエハWが浮上する。また、浮上用給気溝11
の内側の給気孔13A〜13Iからも圧縮空気が噴出さ
れるため、ウエハWの中央部が下方に反ることはない。
この際に、主制御系9が流量調整弁14を通過する圧縮
空気の流量を制御することで、或る程度ウエハWの浮上
量を制御できる。但し、以下で説明するように本例のウ
エハホルダ4内には、それぞれウエハWを吸引すると共
にウエハWを所定方向に変位させることができる複数個
の駆動ユニットも組み込まれており、これらの駆動ユニ
ットを介してウエハWのZ方向の正確な位置が制御され
ると共に、ウエハWの曲がり等の補正も行われる。
【0029】即ち、図3(a)に示すように、ウエハホ
ルダ4上で浮上用給気溝11によって囲まれた領域の内
部に、X方向に3行及びY方向に3列で9個の同一構成
の駆動ユニット17A,17B,…,17H,17Iが
組み込まれている。但し、駆動ユニット17A〜17I
の方向(回転角)は異なっており、これによって後述の
ように発生するローレンツ力の方向も異なっている。具
体的に、Y軸に平行に配列された1行目の3個の駆動ユ
ニット17A〜17C、及び3行目の3個の駆動ユニッ
ト17G〜17Iの方向は同一であり、Y軸に平行に中
央部に配列された2行目の3個の駆動ユニット17D〜
17Fの方向はそれぞれ他の2行の駆動ユニットに対し
て90°回転している。
【0030】また、図3(b)は図3(a)のAA線に
沿う拡大断面図であり、この図3(b)に示すように、
ウエハホルダ4の上板4aの底部に駆動ユニット17A
が固定され、駆動ユニット17Aの中央を給気孔13A
が貫通し、この給気孔13Aが図2(b)の給気管16
に接続されている。同様に、図3(a)の他の駆動ユニ
ット17B〜17Iにおいても、それぞれ中央部を給気
管16と接続された給気孔13B〜13Iが貫通し、且
つ駆動ユニット17B〜17Iは上板4aの底部に固定
されている。次に、代表的に駆動ユニット17A、及び
この駆動回路の構成につき図3〜図5を参照して説明す
る。
【0031】先ず、図3(b)に示すように、ウエハホ
ルダ4の上板4aの底面に、駆動ユニット17Aの一部
であるY方向に細長い平板状の金属よりなる電極18
A,18B,18C,18DがX方向に配列されてい
る。この場合、1番目の1対の電極18A,18BのX
方向の間隔と、2番目の1対の電極18C,18DのX
方向の間隔とは等しく、且つ中央の電極18B,18C
の間隔は、1番目及び2番目の各対の電極の間隔より広
く設定されている。上板4aは、一例としてウエハWよ
りも薄い絶縁体より形成されている。また、これらの電
極18A〜18Dの下部に略E字型の鉄心(コア)19
が配置され、鉄心19の中央の磁極19aが電極18B
と電極18Cとの間に配置され、鉄心19の両端の磁極
19b及び19cがそれぞれ1対の電極18A,18B
の間、及び別の1対の電極18C,18Dの間に配置さ
れると共に、中央の磁極19aの中心部を給気孔13A
が貫通している。更に、中央の磁極19aの周囲にコイ
ル20が巻回され、鉄心19及びコイル20によって磁
場発生部としての電磁石が構成されている。鉄心19
は、高速に変化する交流磁界を発生できるように積層珪
素鋼板より形成されている。
【0032】図4は、駆動ユニット17Aの拡大斜視
図、及びその駆動回路22Aの構成図を示し、この図4
の駆動回路22A内のマイクロコンピュータからなる制
御部23が駆動回路22A内の各回路の動作を統轄制御
する。また、駆動回路22A内には、静電吸着回路2
4、交流電圧発生回路25、及びギャップ検出回路26
が設けられ、静電吸着回路24では可変の直流電圧VA
1が生成され、交流電圧発生回路25では所定の周波数
f1で可変振幅の交流電圧VA2が生成され、ギャップ
検出回路26では高い周波数(搬送周波数)f2(>f
1)の交流電圧VA3が生成され、これらの直流電圧V
A1、交流電圧VA2、及び交流電圧VA3が合成回路
27で次のように合成されて電圧φAとなり、この電圧
(電位差)φAが駆動ユニット17Aの1対の電極18
A及び18Bの間に印加される。
【0033】φA=VA1(直流)+VA2(周波数f
1)+VA3(周波数f2)(1)また、駆動回路22
A内には、励磁回路28及び部分駆動回路29も設けら
れ、励磁回路28は駆動ユニット17A内の電磁石を構
成するコイル20に対して周波数f1の交流の励磁電流
IEを供給し、部分駆動回路29は電圧(電位差)φB
を駆動ユニット17A内の電極18C,18D間に印加
する。この電圧φBは、次のように静電吸着回路24で
発生される直流電圧VA1と等しい直流電圧VB1、及
び交流電圧発生回路25で発生される交流電圧VA2と
等しい周波数f1の交流電圧VB2を合成した電圧であ
る。
【0034】 φB=VB1(直流)+VB2(周波数f1) (2) この場合、交流電圧発生回路25から励磁回路28及び
部分駆動回路29に対して同期信号S1が供給されてお
り、電圧φA内の周波数f1の成分VA2、励磁電流I
E、及び電圧φB内の周波数f1の成分VB2は互いに
同期して変化する。そして、駆動回路22Aと同一の駆
動回路がそれぞれ他の駆動ユニット17B〜17Iにも
備えられ、これらの駆動回路より図1のウエハホルダ駆
動部21が構成されている。
【0035】ここで、(1)式及び(2)式内の周波数
f1の交流電圧VA2,VB2による駆動ユニット17
Aの基本的な動作につき図4を参照して説明する。図4
に示すように、或る時点で交流電圧VA2は電極18A
側が電極18B側より高くなっているものとすると、他
方の交流電圧VB2も電極18C側が電極18D側より
高くなっている。これによって、電極18A,18Bの
上方のウエハ(不図示)内に+X方向に電流IAが流
れ、電極18C,18Dの上方のウエハ内にも+X方向
に電流IBが流れる。更に、この時点で鉄心19の中央
の磁極19aがN極で両端の磁極19b,19cがそれ
ぞれS極であるとすると、N極からS極に向けて磁場が
発生するため、一方の磁極19bの上方に電流IAと直
交するように−Z方向に磁場BAが生成され、他方の磁
極19cの上方にも電流IBと直交するように−Z方向
に磁場BBが生成される。従って、一方の磁極19bの
上方のウエハ(不図示)に対して+Y方向にローレンツ
力FAが発生し、他方の磁極19cの上方のウエハに対
しても+Y方向にローレンツ力FBが発生する。
【0036】しかも、本例では交流電圧VA2と励磁電
流IEとが同期しているため、電極18B側の電位が電
極18A側より高くなって−X方向に電流が流れると、
磁極19bがN極となって+Z方向に磁場が発生し、や
はり+Y方向に向かうローレンツ力FAが発生する。同
様に、磁極19cの上方で発生するローレンツ力FBの
方向も一定であり、本例では2つのローレンツ力FA及
びFBの大きさ及び方向が同一である。また、ローレン
ツ力FA,FBの方向を変えるには、交流電圧VA2,
VB2(励磁電流IE側でも可)側の位相を反転すれば
よい。そして、ローレンツ力FA,FBの方向、及びこ
れらの作用時間を制御することで駆動ユニット17Aの
上方のウエハを+Y方向、又は−Y方向へ所望の量だけ
変位させることができる。一般にウエハWは数10g程
度と軽量であり、8インチウエハでも100g程度であ
ると共に、ウエハWは浮揚しているため、そのローレン
ツ力FA,FBでウエハWを容易に動かすことができ
る。そのため、制御部23は、発生すべきローレンツ力
FA,FBの方向及び作用時間の情報を交流電圧発生回
路25、及び部分駆動回路29に出力し、これに応じて
交流電圧発生回路25が交流電圧VA2をその作用時間
だけ出力し、その交流電圧VA2に同期して励磁電流I
B、及び交流電圧VB2が出力される。
【0037】次に、(1)式の高い周波数f2の交流電
圧VA3の作用につき説明する。図5は、駆動ユニット
17Aを示す断面図であり、この図5において、電極1
8Aと電極18Bとの間に交流電圧VA3が印加されて
いる。また、電極18A,18BとウエハWとの間には
それらの間隔(ここでは上板4aとウエハWの底面との
間隔とする)δAに応じた容量Cのコンデンサが形成さ
れているとみなすことができる。従って、その交流電圧
VA3を印加した状態で流れる交流電流値よりその容量
Cを求めることができる。即ち、図4のギャップ検出回
路26では、その交流電圧VA3を印加した状態で電極
18A,18B間に流れる交流電流値よりその容量Cを
求め、この容量Cより間隔δAを求めて制御部23に出
力する。その容量Cと間隔δAとの関係は標準ウエハ等
を用いて予め実測しておき、所定の関数、又はテーブル
としてギャップ検出回路26内のメモリに記憶しておけ
ばよい。なお、部分駆動回路29側にも間隔を検出する
機能を持たせて、2つの間隔の平均値を駆動ユニット1
7Aでのウエハとの間隔としてもよい。
【0038】次に、(1)式及び(2)式内の直流電圧
VA1及びVB1による作用につき説明する。図5にお
いて、直流電圧VA1によって電極18A側の電位が電
極18B側より高くなっているものとすると、電極18
A,18B上のウエハWの底面はそれぞれ負及び正に帯
電し、電極18A,18BとウエハWとの間に静電吸引
力52Aが発生する。これは直流電圧VA1の符号が反
転しても同じである。同様に、直流電圧VB1によって
電極18C,18DとウエハWとの間にも静電吸引力5
2Bが発生する。そこで、両方の静電吸引力52A,5
2Bを等しく且つ可変にして、ウエハホルダ4からウエ
ハWに対して−Z方向への可変の吸引力を与える。この
際に、本例では駆動ユニット17Aの中心の給気孔13
AからウエハWの底面に圧縮空気が吹き出し、ウエハW
には+Z方向への浮揚力51も作用している。そこで、
図4の制御部23ではギャップ検出回路26で検出され
る間隔δAが所定の目標値となるように、静電吸着回路
24及び部分駆動回路29に対して交流電圧VA1及び
VB1の大きさの増減を指示する。これによって、ウエ
ハWとウエハホルダ4の上板4aとの間隔δAが所望の
値に設定される。
【0039】上述のように図4に示す駆動ユニット17
Aには、その上のウエハに対して±Y方向にローレンツ
力(駆動力)を与える機能、その上のウエハとの間隔を
計測する機能、及びその上のウエハに対して静電吸引力
を与える機能がある。最後の静電吸引力に関しては、更
に圧縮空気による浮揚力との組み合わせによって、ウエ
ハのZ方向の位置(高さ)を所望の位置に保持する保持
力と言うこともできる。そして、これら3つの機能は、
図3(a)に示す他の8個の駆動ユニット17B〜17
Iもそれぞれ備えている。但し、ローレンツ力に関して
は、1行目の駆動ユニット17A〜17C、及び3行目
の駆動ユニット17G〜17Iの方向は同一であるた
め、発生するローレンツ力の方向は±Y方向であるのに
対して、中央の2行目の駆動ユニット17D〜17Fの
方向は90°回転しているため、これらの駆動ユニット
17D〜17Fによって発生するローレンツ力の方向は
±X方向である。本例ではこれらのローレンツ力を組み
合わせて、ウエハホルダ4に対してウエハWをX方向、
Y方向へ所望の量だけ変位させると共に、ウエハWを所
望の角度だけ回転させる。
【0040】この際のウエハWのX方向、Y方向への変
位量、及び回転角はエッジセンサ30A〜30Eの検出
結果より求められ、この結果に基づいて主制御系9は各
駆動ユニット17A〜17Iの駆動回路内の制御部(例
えば図4の制御部23)に対して、各部分でどの程度ウ
エハWを変位させるかの指令を与え、この指令に応じて
制御部23等は対応する駆動ユニット17A等に所定の
ローレンツ力を発生させる。また、駆動ユニット17A
〜17Iの駆動回路内のギャップ検出回路(例えば図4
のギャップ検出回路26)で検出されるウエハホルダ4
の上板4aからウエハWの底面までの間隔は、対応する
制御部23等を介して主制御系9に供給され、主制御系
9はこれらの間隔に基づいて制御部23等にその間隔の
目標値を出力し、これに応じて駆動ユニット17A〜1
7IではそれぞれウエハWまでの間隔を指定された目標
値に設定する。
【0041】次に、本例の投影露光装置でウエハWに対
して露光を行う場合の動作の一例につき説明する。先
ず、図1において、不図示のウエハローダ系からウエハ
Wがウエハホルダ4上に供給されると、主制御系9は流
量調整弁14を介して予め定められている標準の流量で
ウエハホルダ4の給気孔12A〜12D,13A〜13
Iから圧縮空気を吹き出させる。これによって、ウエハ
ホルダ4の上方にウエハWが浮上して保持される。その
後、主制御系9はウエハWの曲がり補正を行う。
【0042】図6は、ウエハホルダ4の概略断面図であ
り、この図6において、ウエハホルダ4内の駆動ユニッ
ト17B,17E,17Hが現れており、ウエハホルダ
4の上方に圧縮空気によってウエハWが浮上している。
但し、ウエハWには湾曲があって、単に浮上させた状態
では2点鎖線53で示すように外周部が下がっているも
のとする。この場合、図1の主制御系9は駆動ユニット
17A〜17Iでの間隔の計測値よりウエハWの曲がり
を認識できるため、流量調整弁14を介してウエハWの
底面に吹き出される圧縮空気の量を多くして、ウエハW
に対する浮揚力を大きくする。更に主制御系9は、各駆
動ユニット17A〜17Iの制御部(制御部23等)に
対してウエハWまでの間隔を同一にするように指令を発
する。この結果、中央の駆動ユニット17Eでは静電吸
着力を強くしてウエハWまでの間隔δEを目標値に維持
すると共に、両端の駆動ユニット17B及び17Hでは
静電吸着力を弱くしてそれぞれウエハWまでの間隔δB
及びδHを目標値まで広げることで、最終的にそれらの
間隔δB,δE,δHが共に目標値になる。同様に他の
駆動ユニット17A等でも等しい間隔が設定されて、ウ
エハWの湾曲が補正される。
【0043】次に、ウエハWが浮上した状態でウエハW
がウエハホルダ4に対して所定の基準位置にあるとき
に、不図示のアライメントセンサを用いてウエハW上の
各ショット領域のアライメントマークの位置を検出する
ことによって、各ショット領域の配列座標を求める。こ
れによって、レーザ干渉計8X,8YA,8YBの計測
値に基づいて、レチクルRの投影像とウエハWの各ショ
ット領域との位置関係が求められる。その後、図1のX
Yステージ6を介してウエハホルダ4をステッピング駆
動して、ウエハWの露光対象のショット領域を投影光学
系3の露光フィールド内に大まかに位置決めした後、ウ
エハホルダ4によるローレンツ力を介して非接触でウエ
ハWを微動して最終的な位置決めを行う。
【0044】そのために主制御系9は、ウエハWが大ま
かに位置決めされた状態で、レーザ干渉計8X,8Y
A,8YBの計測値、及び図2(a)のエッジセンサ3
0A〜30Eの計測値より、ウエハWの当該ショット領
域の露光位置に対するX方向、Y方向への位置ずれ量Δ
X,ΔY、及び回転角のずれ量Δθを算出する。次に、
主制御系9は先ず回転角のずれ量Δθ(時計周りのずれ
量とする)を補正するため、図7(a)に示すように、
ウエハWの底部の±X方向の駆動ユニット17B,17
H、及び±Y方向の駆動ユニット17D,17Fの制御
部に対してそのずれ量Δθを相殺するような変位量を供
給する。これに応じて駆動ユニット17B,17D,1
7H,17FからウエハWに対してそれぞれ反時計周り
のローレンツ力F1,F2,−F1,−F2が作用し
て、ウエハWが2点鎖線54で示すように−Δθだけ回
転する。この際に、ウエハWの回転角はエッジセンサ3
0D,30Eの計測値よりモニタされているため、これ
に基づいて閉ループでウエハWの回転角が正確に補正さ
れる。
【0045】次に、主制御系9はX方向への位置ずれ量
ΔX(+X方向へのずれ量とする)を補正するため、図
7(b)に示すように、ウエハWの底部の中央部の駆動
ユニット17D〜17Fの制御部に対してそのずれ量Δ
Xを相殺するような変位量を供給する。これに応じて駆
動ユニット17D〜17FからウエハWに対してそれぞ
れ−X方向へのローレンツ力F3が作用して、ウエハW
が2点鎖線55で示すように−ΔXだけ変位する。同様
に、主制御系9はY方向への位置ずれ量ΔY(+Y方向
へのずれ量とする)を補正するため、図7(c)に示す
ように、ウエハWの底部の左右の駆動ユニット17A〜
17C、及び17G〜17Iの制御部に対してそのずれ
量ΔYを相殺するような変位量を供給する。これに応じ
て駆動ユニット17A〜17C,17G〜17Iからウ
エハWに対してそれぞれ−Y方向へのローレンツ力F4
が作用して、ウエハWが2点鎖線56で示すように−Δ
Yだけ変位する。この際にも、ウエハWのX方向、Y方
向の変位はエッジセンサ30A〜30C等によりモニタ
されているため、これに基づいて閉ループでウエハWの
位置が正確に補正される。
【0046】このようにウエハWの位置が目標位置に設
定された状態で、当該ショット領域にレチクルRのパタ
ーン像が露光される。同様に他のショット領域にも露光
が行われる。この際に本例では、図1のZステージ5を
支持する微動ステージが設けられていないため、XYス
テージ6で駆動すべき移動体が従来例に比べて小型、且
つ軽量であり、XYステージ6によるステッピング速度
を高めることができると共に、XYステージ6の駆動モ
ータ等での発熱量も低減される。従って、露光工程のス
ループット(生産性)が高まり、且つウエハWの位置決
め精度も向上する。
【0047】更に、本例のウエハホルダ4上にはウエハ
Wが非接触で浮上して保持されているため、ウエハWの
裏面にレジスト残滓等の異物が付着していてもウエハW
の曲がりが生じないと共に、ウエハWの湾曲等は駆動ユ
ニット17A〜17Iによる静電吸引力の制御によって
補正できるため、露光中のウエハWは平坦な状態で保持
されている。従って、ウエハWの各ショット領域に対し
てレチクル像をそれぞれ高解像度で転写できるため、最
終的に製造される半導体集積回路の歩留りが向上する。
また、本例ではウエハホルダ4内の駆動ユニット17A
〜17IによりウエハWをローレンツ力を介して非接触
で変位させて、ウエハWの最終的な位置調整を行ってい
るため、ウエハホルダ4が微動ステージを兼用している
とみなすことができる。しかも、駆動ユニット17A〜
17Iによるローレンツ力は電気的に高い応答速度で発
生できると共に、ウエハWの変位を検出するエッジセン
サ30A〜30Eが設けられているため、従来例よりも
小型で軽量な機構によって、ウエハWの微動を極めて高
速に且つ高精度に行うことができる。
【0048】また、本例では駆動ユニット17A〜17
Iのそれぞれで個別にウエハWに対する静電吸引力を制
御できると共に、個別にウエハWに対する間隔を計測で
きるため、ウエハWに局所的な変形がある場合にも、そ
の部分の底部の駆動ユニットの静電吸引力を制御するこ
とによって容易にその局所的な変形も補正できる。この
ことは、特に局所的な変形が生じ易い大型のウエハ上に
露光する場合に有効である。
【0049】次に、本発明の実施の形態の他の例につき
図8を参照して説明する。上述の実施の形態ではウエハ
の裏面に圧縮空気を吹き付けてウエハを浮上させていた
のに対して、本例はウエハを上方に吸引して浮上させる
ものであり、図8において図1に対応する部分には同一
符号を付してその詳細説明を省略する。図8は本例の投
影露光装置を示し、この図8において、Zステージ5上
にウエハホルダ4Aが固定され、ウエハホルダ4Aの上
方に所定の間隔をあけてウエハWが浮揚状態で保持され
ている。本例のウエハホルダ4Aは、図1のウエハホル
ダ4とほぼ同様の構造であるが、圧縮空気を吹き出す機
構の無い点だけが異なっている。即ち、ウエハホルダ4
Aの内部には図3(a)と同様に、駆動ユニット17A
〜17I(但し、給気孔13A〜13Iは設けられてい
ない)が組み込まれている。そして、図8の投影光学系
3の下部側面に、ほぼウエハWが移動する領域の全面を
覆うような底面を有する取り付け枠57が固定され、取
り付け枠57の底面にX方向、Y方向に所定ピッチで同
一の多数の吸引用電極対59A,59B,59C,59
D,…が固定され、例えば吸引用電極対59Aは、2つ
のY方向に細長い導体よりなる電極58A及び58Bを
X方向に所定間隔で配列して構成されている。
【0050】また、電極58A及び58B間には主制御
系9内の電源より所定の直流電圧が印加されている。こ
れによって、吸引用電極対59AとウエハWとの間に静
電吸引力が発生し、同様に他の吸引用電極対59B,5
9C,…とウエハWとの間にも静電吸引力が発生してい
るため、ウエハWは上方(+Z方向)に吸引されて浮上
している。これ以外の構成は図1の投影露光装置と同様
である。
【0051】本例では、取り付け枠57側に静電吸引力
によってウエハWが引き上げられているため、ウエハホ
ルダ4A内の各駆動ユニット17A〜17Iによる−Z
方向への静電吸引力を制御することによって、図1の実
施の形態と同様にウエハWのZ方向の位置、及び曲がり
等を補正できる。また、XYステージ6によってウエハ
ホルダ4A(ウエハW)が大きくX方向、Y方向に移動
した場合でも、取り付け枠57の底部の何れかの吸引用
電極対59A,59B,…によってウエハWは上方に吸
引される。本例では、ウエハホルダ4A側に圧縮空気を
吹き出す機構を設ける必要がないため、ウエハホルダ4
Aの機構が簡素化され、更に圧縮空気用の配管の引き回
しも不要となるため、ウエハホルダ4A(ウエハW)の
位置決めをより円滑に行うことができる。
【0052】なお、上述の実施の形態では、ウエハWの
ウエハホルダ4,4Aに対する水平方向の変位を静電容
量型のエッジセンサ30A〜30Eを用いて計測した
が、エッジセンサとしては静電容量型に限らず、例えば
ウエハWのエッジ部で透過又は反射する検出光の光量の
変化からウエハWの変位を計測する光学式のエッジセン
サ等を用いてもよい。
【0053】更に、上記実施の形態では、駆動力発生用
の電極18A,18BをウエハW裏面までの間隔を計測
するためのギャップセンサとしても兼用したため、構成
が簡素化されていたが、別途独立のギャップセンサを設
けてもよい。更に、本例では斜め入射方式でウエハWの
表面のZ方向の位置を検出する焦点位置検出系(不図
示)が設けられているため、この焦点位置検出系を多点
計測ができるようにして、この計測結果よりウエハWの
裏面とウエハホルダ4,4Aとの間隔を制御するように
してもよい。
【0054】また、上述の実施の形態は、本発明をステ
ッパー型の投影露光装置に適用したものであるが、本発
明はレチクル及びウエハを投影光学系に対して同期して
走査して転写を行うステップ・アンド・スキャン方式の
投影露光装置に適用してもよく、更にはプロキシミティ
方式の露光装置に適用してもよい。更に、本発明の位置
決めデバイスや基板保持装置は、露光装置に限らず、工
作機械等の他の装置にも適用できる。このように本発明
は上述の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱
しない範囲で種々の構成を取り得る。
【0055】
【発明の効果】本発明の基板保持装置によれば、ベース
上に基板を浮上させ、浮上した基板に対してローレンツ
力よりなる駆動力を発生させて非接触で基板の位置決め
を行うようにしたので、その基板を高速、且つ高精度に
位置決めできる。更に、その基板の裏面に異物等が存在
してもその基板はそのベースに接触しないため、その基
板の歪みが生じない利点がある。
【0056】そして、浮上装置が、ベースに形成された
開口から圧縮気体を噴出させる給気装置よりなるときに
は、基板の底面に常にほぼ一定の状態で浮揚力を与える
ことができ、その浮上装置が、基板の上方に配置された
吸引用電極対よりなり、この吸引用電極対間に所定の電
圧を印加してその基板を静電吸引力で吸引浮上するとき
には、そのベース側の構成を簡素化できる。
【0057】また、電流発生部が、そのベースの表面上
に配列された複数の電極を有し、隣接する電極対間に各
々所定の駆動電圧を印加してこの電極対と対向するその
基板上の領域間に電流を流す場合には非接触で電流を発
生できる。更に、磁場発生部が、その隣接する電極対間
に設けられた発磁体よりなる場合には容易にその電流に
直交する磁場を発生できる。
【0058】また、その電流発生用の電極の表面からそ
の基板までの距離の変化によって生じる静電容量の変化
に基づいてその基板の裏面までの距離を計測する場合に
は、別途ギャップセンサ等を設ける必要がなく、構造の
簡素化を図ることができる。また、変位計測装置が複数
のエッジセンサと複数のギャップセンサとを有する場合
には、例えばその基板の並進方向及び回転方向の6自由
度の変位を検出でき、この結果に基づいてその基板の6
自由度の位置決めを行うことができる。
【0059】また、その基板をそのベース側に吸引する
吸引力発生装置を更に備えた場合には、その基板の高さ
方向の位置決めを高精度に行うことができる。この場
合、その吸引力発生装置が、その電流発生用の隣接する
電極対間に所定の電圧を印加してその基板をベース側に
吸引する静電吸引力を発生させるときには、その電極を
電流発生部及び吸引力発生装置として兼用でき、極めて
簡単な構成でその基板の高さ方向の位置決めを行える。
【0060】更に、その電流発生用の電極対間への印加
電圧を組毎に調整してその基板の歪みを補正する場合に
は、簡単な構成でその基板の平坦度を改善できる。ま
た、本発明の露光装置によれば、本発明の基板保持装置
を用いて浮上保持される半導体ウエハ上にマスクパター
ン像を露光できるので、半導体ウエハを迅速且つ高精度
に位置決め保持できると共に、半導体ウエハの裏面の異
物に依ってその半導体ウエハが歪まないため、製造され
る半導体集積回路等の歩留まりを向上できる。更に、ベ
ース上に浮上した半導体ウエハを非接触で直接駆動して
位置決めできるので、半導体ウエハの位置を微調整する
微動ステージ等の機構が必要なくなり、粗動ステージの
移動を高速化できると共に、粗動ステージの発熱を抑制
できる。
【0061】更に、本発明の位置決めデバイスによれ
ば、ベース上に浮上保持された基板を極めて簡単な構成
で、非接触で高速且つ高精度に位置決めできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例の投影露光装置を示
す概略構成図である。
【図2】(a)は図1の投影露光装置のZステージ5及
びウエハホルダ4を示す平面図、(b)はそれらの一部
を切り欠いた正面図である。
【図3】(a)は図2のウエハホルダ4を示す平面図、
(b)は図3(a)のAA線に沿う拡大断面図である。
【図4】その実施の形態で使用される駆動ユニット17
A及びこの駆動回路を示す図である。
【図5】駆動ユニット17Aの動作説明に供する断面図
である。
【図6】駆動ユニットを用いてウエハWの曲がりを補正
する場合の説明に供する断面図である。
【図7】駆動ユニットを用いてウエハWの回転角及びX
方向、Y方向への位置ずれ量を補正する場合の説明図で
ある。
【図8】本発明の実施の形態の他の例の投影露光装置を
示す一部を切り欠いた概略構成図である。
【図9】従来のウエハホルダの一例を示す断面図であ
る。
【図10】従来のウエハホルダの他の例を示す断面図で
ある。
【図11】従来の露光装置のウエハステージの一例を示
す平面図である。
【符号の説明】
R レチクル 3 投影光学系 W ウエハ 4,4A ウエハホルダ 5 Zステージ 6 XYステージ 9 主制御系 11 浮上用給気溝 12A〜12D,13A〜13I 給気孔 15 エアー供給源 17A〜17I 駆動ユニット 18A〜18D 電極 19 鉄心 20 コイル 22A 駆動回路 24 静電吸着回路 25 交流電圧発生回路 26 ギャップ検出回路 28 励磁回路 30A〜30E エッジセンサ 59A〜59D 吸引用電極対

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気的導体よりなる基板を所定のベース
    上に保持する基板保持装置であって、 前記基板を前記ベース上に浮上させる浮上装置と、 前記基板に電流を誘起させる電流発生部及び該電流発生
    部によって誘起される電流と交差する方向に磁場を発生
    する磁場発生部を備え、前記基板に対して前記電流及び
    磁場の方向と直交する方向にローレンツ力よりなる駆動
    力を発生させる駆動力発生装置と、 前記基板の変位を検出する変位検出装置と、を有し、 前記変位検出装置の検出結果に基づき前記駆動力発生装
    置を介して前記基板を位置決め保持することを特徴とす
    る基板保持装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の基板保持装置であって、 前記浮上装置は、前記ベースに形成された開口から圧縮
    気体を噴出させる給気装置よりなることを特徴とする基
    板保持装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の基板保持装置であって、 前記浮上装置は、前記基板の上方に配置された吸引用電
    極対よりなり、該吸引用電極対間に所定の電圧を印加し
    て前記基板を静電吸引力で吸引浮上することを特徴とす
    る基板保持装置。
  4. 【請求項4】 請求項1、2、又は3記載の基板保持装
    置であって、 前記電流発生部は、前記ベースの表面上に配列された複
    数の電極を有し、隣接する電極対間に各々所定の駆動電
    圧を印加して該電極対と対向する前記基板上の領域間に
    電流を流すことを特徴とする基板保持装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の基板保持装置であって、 前記磁場発生部は、前記隣接する電極対間に設けられた
    発磁体よりなることを特徴とする基板保持装置。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の基板保持装置であって、 前記電流発生部の電極の表面から前記基板の裏面までの
    距離の変化によって生じる静電容量の変化を検出する静
    電容量検出装置を更に備え、該静電容量検出装置の検出
    結果に基づき前記基板の裏面までの距離を計測すること
    を特徴とする基板保持装置。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6の何れか一項記載の基板保
    持装置であって、 前記変位検出装置は、前記浮上装置により浮上される前
    記基板の外周縁に対応して配置された複数のエッジセン
    サと、前記基板の表面又は裏面までの間隔を検出する複
    数のギャップセンサと、を有することを特徴とする基板
    保持装置。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7の何れか一項記載の基板保
    持装置であって、 前記基板を前記ベース側に吸引する吸引力発生装置を、
    更に備えたことを特徴とする位置決め装置。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の位置決め装置であって、 前記吸引力発生装置は、前記電流発生部の隣接する電極
    対間に所定の電圧を印加して前記基板をベース側に吸引
    する静電吸引力を発生させることを特徴とする基板保持
    装置。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の基板保持装置であっ
    て、 前記電流発生部の隣接する電極対間への印加電圧を組毎
    に調整して前記基板の歪みを補正することを特徴とする
    基板保持装置。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10の何れか一項記載の基
    板保持装置を備え、該基板保持装置上に感光材料が塗布
    された半導体ウエハを浮上させて保持し、該保持された
    半導体ウエハ上にマスクパターン像を露光することを特
    徴とする露光装置。
  12. 【請求項12】 所定のベース上に浮上保持された電気
    的導体よりなる基板を非接触で位置決めするための位置
    決めデバイスであって、 前記基板に非接触で電流を発生させる電流発生部と、 該電流発生部によって発生する電流と交差する方向に磁
    場を発生する磁場発生部と、を有し、 前記電流及び磁場の方向と直交する方向にローレンツ力
    よりなる駆動力を発生させて前記基板を位置決めするこ
    とを特徴とする位置決めデバイス。
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