JPH10253584A - 残留ハロゲン濃度の評価方法及び評価機構 - Google Patents

残留ハロゲン濃度の評価方法及び評価機構

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JPH10253584A
JPH10253584A JP9053408A JP5340897A JPH10253584A JP H10253584 A JPH10253584 A JP H10253584A JP 9053408 A JP9053408 A JP 9053408A JP 5340897 A JP5340897 A JP 5340897A JP H10253584 A JPH10253584 A JP H10253584A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 次亜ハロゲン酸の濃度を簡易に評価すること
ができる残留ハロゲン濃度の評価方法及び評価機構を提
供しようとするもの。 【解決手段】 この残留ハロゲン濃度の評価方法は、評
価対象液に含有される残留遊離ハロゲン中の次亜ハロゲ
ン酸の分解過程における前後の電位差を測定し、この電
位差の測定値から、対応する次亜ハロゲン酸濃度を評価
するようにしており、この残留ハロゲン濃度の評価機構
は、評価対象液が導入される分解領域2を有し、前記分
解領域2に導入された評価対象液に含有される残留遊離
ハロゲン中の次亜ハロゲン酸の分解領域2の前後の電位
差を測定し、この電位差の測定値から対応する次亜ハロ
ゲン酸濃度を評価するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、次亜ハロゲン酸
の濃度を測定することができる残留ハロゲン濃度の評価
方法及び評価機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、残留ハロゲン濃度を評価する
には、オルトリジンやN,N−ジエチルパラフェニレン
ジアミン等の試薬を評価対象液に添加し、残留ハロゲン
との反応により生じた発色を光電比色計を用いて測定す
る方法があった。
【0003】この方法によると、試薬は評価対象液中の
残留ハロゲンの全て、即ち次亜ハロゲン酸と遊離のハロ
ゲンと次亜ハロゲン酸イオンとに反応して発色するの
で、これら全部を併せた残留ハロゲン濃度が評価され
る。
【0004】ところで、水道水等の電気分解によって得
られる殺菌水の殺菌能に最も深く関わっているのは残留
ハロゲン濃度中の特に次亜ハロゲン酸の濃度である。し
たがって殺菌水を製造するに当たり、残留ハロゲン濃度
の中の次亜ハロゲン酸の濃度を把握したいという要望が
ある。
【0005】また、残留ハロゲン濃度中の次亜ハロゲン
酸の存在比は水素イオン濃度(pH)により大きく変化
するので、次亜ハロゲン酸と遊離のハロゲンと次亜ハロ
ゲン酸イオンとを併せた濃度が測定されたとしても、次
亜ハロゲン酸単独の濃度は全く把握できない。
【0006】なお、試薬を使わない評価方法として、電
極ポラログラフ方式やガラス電極方式があるが、大型且
つ高価なものでありまた取扱いが難しく、且つ電極の電
解質やメンブレンの交換に手間がかかってメンテナンス
の費用が高くつき一般的ではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、この発明は、
次亜ハロゲン酸の濃度を簡易に評価することができる残
留ハロゲン濃度の評価方法及び評価機構を提供しようと
するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
この発明では次のような技術的手段を講じている。 (1)この発明の残留ハロゲン濃度の評価方法は、評価
対象液に含有される残留遊離ハロゲン中の次亜ハロゲン
酸の分解過程における前後の電位差を測定し、この電位
差の測定値から、対応する次亜ハロゲン酸濃度を評価す
るようにしたことを特徴とする。
【0009】この評価方法によると、予め次亜ハロゲン
酸濃度の目安が既知の基準液を用い、この基準液に含有
される次亜ハロゲン酸が分解する前後の電位差を測定し
ておくと、濃度未知の評価対象液に含有される残留遊離
ハロゲン中の次亜ハロゲン酸の分解過程における前後の
電位差を測定することにより、対応する次亜ハロゲン酸
濃度を、次亜ハロゲン酸濃度の目安が既知の基準液と対
比して評価することができる。 (2)また、この発明の残留ハロゲン濃度の評価方法
は、評価対象液に含有される残留遊離ハロゲン中の次亜
ハロゲン酸を分解せしめ、分解過程における前後の電位
差を測定し、この電位差の測定値から対応する次亜ハロ
ゲン酸濃度を評価するようにしたことを特徴とする。
【0010】この評価方法によると、予め次亜ハロゲン
酸濃度が既知の基準液を用い、この基準液に含有される
次亜ハロゲン酸が分解する前後の電位差を測定しておく
と、濃度未知の評価対象液に含有される残留遊離ハロゲ
ン中の次亜ハロゲン酸の分解過程における前後の電位差
を測定することにより、対応する次亜ハロゲン酸濃度を
評価することができる。 (3)この発明の残留ハロゲン濃度の評価機構は、評価
対象液が導入される分解領域を有し、前記分解領域に導
入された評価対象液に含有される残留遊離ハロゲン中の
次亜ハロゲン酸の分解の前後の電位差を測定し、この電
位差の測定値から対応する次亜ハロゲン酸濃度を評価す
るようにしたことを特徴とする。
【0011】この評価機構によると、予め次亜ハロゲン
酸濃度の目安が既知の基準液を用い、この基準液に含有
される次亜ハロゲン酸が分解する前後の電位差を測定し
ておくと、分解領域に導入された濃度が未知の評価対象
液に含有される残留遊離ハロゲン中の次亜ハロゲン酸の
分解の前後の電位差を測定することにより、対応する次
亜ハロゲン酸濃度を次亜ハロゲン酸濃度の目安が既知の
基準液と対比して評価することができる。 (4)また、この発明の残留ハロゲン濃度の評価機構
は、評価対象液が導入される分解領域を有すると共に前
記分解領域に導入された評価対象液に含有される残留遊
離ハロゲン中の次亜ハロゲン酸を分解する分解手段を具
備し、分解領域の前後の電位差を測定し、この電位差の
測定値から対応する次亜ハロゲン酸濃度を評価するよう
にしたことを特徴とする。
【0012】この評価機構によると、予め次亜ハロゲン
酸濃度が既知の基準液を用い、この基準液に含有される
次亜ハロゲン酸が分解する前後の電位差を測定しておく
と、分解領域に導入された濃度未知の評価対象液に含有
される残留遊離ハロゲン中の次亜ハロゲン酸の分解の前
後の電位差を測定することにより、対応する次亜ハロゲ
ン酸濃度を評価することができる。
【0013】ところで、この発明の方法や機構で評価さ
れる残留ハロゲン濃度は、評価対象液中に存在する次亜
ハロゲン酸の濃度だけであって、遊離のハロゲンの濃度
や次亜ハロゲン酸イオンの濃度は除いたものである。こ
れは、遊離残留ハロゲンが分解された際に生ずる電位差
は、次亜ハロゲン酸だけに起因するからである。 次亜ハロゲン酸の分解手段として、分解領域に触媒
が収納されたこととしてもよい。なお次亜ハロゲン酸を
分解する触媒として、ニッケル、鉄、コバルト、チタ
ン、マンガン等の酸化物や活性炭などを用いることがで
きる。 前記触媒は一定期間の使用後に100 ℃以上に加熱し
て活性を再生させるようにしてもよい。
【0014】触媒で次亜ハロゲン酸を分解する働きは触
媒表面での触媒作用であるので、長期間継続的に使用し
てもその性能が著しく変化して濃度測定が全くできなく
なることはない。しかし、測定精度を高く維持しながら
繰り返し長期間にわたってこの触媒を使用するためには
適当な時期に触媒を更新することがより望ましい。すな
わち、一定期間使用した触媒を100 ℃以上望ましくは11
0 ℃以上に加熱することにより触媒作用の活性を再生す
ることができる。 電位差の測定値の大きさに対応させて、次亜ハロゲ
ン酸濃度のレベルを示す発光ダイオードを点灯させるよ
うにしてもよい。
【0015】このように構成すると、発光ダイオード
に、電位差の測定値に相当する次亜ハロゲン酸濃度のレ
ベルを表示しておくことにより、次亜ハロゲン酸濃度を
容易に視認して把握することができる。
【0016】なお、例えばプリント基板上のコンパレタ
ーのトリマー抵抗の抵抗値を段階的に設定しておき、次
亜ハロゲン酸の分解の前後の電位差の測定値に対応する
コンパレターを通ってトランジスターを経由してその電
位差の測定値に対応する発光ダイオードを点灯させるよ
うにすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】この残留ハロゲン濃度の評価機構
は、評価対象液が導入される分解領域を有する。そし
て、前記分解領域に導入された評価対象液に含有される
残留遊離ハロゲン中の次亜ハロゲン酸の分解の前後の電
位差を測定し、この電位差の測定値から対応する次亜ハ
ロゲン酸濃度を評価するようにしている。
【0018】また前記分解領域には、導入された評価対
象液に含有される残留遊離ハロゲン中の次亜ハロゲン酸
を分解する分解手段(例えば触媒その他)を具備せしめ
ておくこともできる。
【0019】この評価機構により、次のような方法で評
価を行う。予め次亜ハロゲン酸濃度の目安が既知の基準
液を用意し、前記基準液の分解領域の前後の電位差を測
定しておく。そして、この濃度が既知の基準液の電位差
の測定値から、分解領域の前後の電位差と次亜ハロゲン
酸濃度との関係を把握しておく。
【0020】そして実際の評価に当たり、次亜ハロゲン
酸濃度が未知の評価対象液の分解領域の前後の電位差を
測定し、この電位差の測定値と次亜ハロゲン酸濃度の目
安が既知の基準液の電位差との対比により、評価対象液
の対応する次亜ハロゲン酸濃度を評価するようにしてい
る。
【0021】ところで遊離残留ハロゲンが分解された際
に生ずる電位差は、遊離のハロゲンの濃度や次亜ハロゲ
ン酸イオンの濃度に関係せずに、次亜ハロゲン酸の濃度
だけに起因する。したがってこの実施形態のもので評価
される残留ハロゲン濃度は、評価対象液中に存在する次
亜ハロゲン酸の濃度だけであって、遊離のハロゲンの濃
度や次亜ハロゲン酸イオンの濃度は除いたものである。
【0022】評価対象液に例えば塩素が含有される場
合、評価対象液の化学変化は次のように示すことができ
る。次亜塩素酸は、分解すると活性酸素を放出するとと
もに、水素陽イオンと塩素陰イオンとにイオン解離す
る。
【0023】2HClO→2H+ +2Cl- +2(O) 水素陽イオンは、測定電極から電子を受けて水素ガスと
なる。
【0024】2H+ +2e- →H2 電子の授受を受けて次亜塩素酸の分解の前後で電位差が
生じ、その電位差は次亜塩素酸の濃度に比例する。
【0025】次に、この発明の構成を図面を参照してよ
り具体的に説明する。 (実施形態1)図1に示すように、この残留ハロゲン濃
度の評価機構は、中央の分解用ガラス容器1内に評価対
象液を導入すべき分解領域2を形成し、この分解用ガラ
ス容器1内に次亜ハロゲン酸の分解手段たる粉末活性炭
(約5g)を収容した。なお、不織布Wで流入孔と排出
孔とを被覆することにより、粉末活性炭の流出を防止し
ている。
【0026】前記分解用ガラス容器1に定量ポンプPに
よって約5〜30mlの流速で評価対象液を導入して排
出させるようにしていると共に、この分解用ガラス容器
1の前後には、電位差の測定用の白金電極3を設置する
二つの電極設置用ガラス容器4を配した。
【0027】前後の二つの電極設置用ガラス容器4に
は、評価対象液の攪拌用のマグネチック・スターラーS
を収容している。また、夫々のガラス容器内の液体に空
気溜まりが生じないように、エアー抜きAから空気を除
いた。
【0028】そして、中央の分解用ガラス容器1内の粉
末活性炭に評価対象液を接触させ、これに含有される次
亜ハロゲン酸を分解せしめ、評価対象液に含有される次
亜ハロゲン酸が分解する前後の電位差を測定した。
【0029】中央の分解用ガラス容器1内に流入した評
価対象液は懸濁状態の粉末活性炭に接触して発泡し、次
亜ハロゲン酸が分解して発生期の酸素が生成する。なお
発生した酸素ガスは、エア抜きから排出される。
【0030】分解領域2の前後の電位差の測定のため、
電圧・電流測定記録装置V(横河電機社製、商品名LR
−4100)を用いた。 (実施形態2)図2に示すように、次亜ハロゲン酸の分
解領域2を有する前側ガラス容器5(容積10ml)と
後側ガラス容器6(容積10ml)とを用意し、それぞ
れの蓋部7に評価対象液の流入口と流出口とを形成し、
両ガラス容器の間はテフロンチューブ8により連結する
とともに小型ポンプP(流量15ml/分)を設置し
た。
【0031】両ガラス容器には回転子S(磁石)を入
れ、前側ガラス容器5には酸化ニッケル粉末(1.5
g)を収容した。前側ガラス容器5の流出管9の端部に
は濾布Wを被せ、収容した酸化ニッケルの流失を防止し
た。
【0032】また、両ガラス容器には評価対象液に電極
3用の棒状体(φ0.2mm、5mmL)が浸漬するよ
うに挿入した。
【0033】そして、評価対象液に含有される残留遊離
ハロゲン中の次亜ハロゲン酸を分解せしめ、分解過程に
おける前後の電位差を測定し、この電位差の測定値から
対応する次亜ハロゲン酸濃度を評価する。
【0034】なお、分解過程における前後の電位差の測
定に当たり、分解過程における前の方は前側ガラス容器
5に挿入した電極3が、分解過程における後の方は後側
ガラス容器6に挿入した電極3が関与する。 (実施形態3)図3に示すように、この残留ハロゲン濃
度の評価機構は、触媒を収容する中間の分解用ガラス容
器1の前後に図1に示すように配置していた二つの電極
設置用ガラス容器4を省略し、分解領域2の前後の測定
用の電極3を、フッ素樹脂やガラスなどの耐蝕性の材質
のチューブ10に直接挿入するようにしている。 (実施形態4)図4に示すように、この残留ハロゲン濃
度の評価機構(一点鎖線で囲んだ領域に示す)は、手洗
い殺菌水の製造装置に付設し、この製造装置により製造
した手洗い殺菌水の残留ハロゲン濃度中の次亜ハロゲン
酸の濃度を評価するようにしたものである。
【0035】手洗い殺菌水の製造装置は、電解質水溶液
容器から定量ポンプPにより供給される電解質水溶液を
水道水に混合したものを、電源・制御基板により制御す
る直流電流により電気分解装置で電気分解するようにし
たものである。
【0036】電解質水溶液と流量計Fを経由した水道水
との混合液は供給口11から電気分解装置内へ送られ、排
出口12から流量計Fを介して送り出される。そして、こ
の電解処理水を水道水で希釈して手洗い用殺菌水として
おり、これを手洗い殺菌用シャワーから流出させるよう
にしている。
【0037】この手洗い殺菌水の製造装置は、院内感染
防止や食品衛生用に病院や調理場、食品加工場に利用さ
れるものである。病院等での使用時には、有効残留塩素
濃度20〜30ppmの電解処理水に1〜5分間浸漬す
ることにより大腸菌等の殺菌をすることができる。
【0038】ところで、手洗い殺菌水で製造して水道水
で希釈した手洗い用殺菌水の一部は、残留ハロゲン濃度
の評価機構に供給されるように構成している。
【0039】残留ハロゲン濃度の評価機構に於いて、手
洗い用殺菌水中の次亜ハロゲン酸は、分解領域2を構成
する分解用ガラス容器1内に収容した触媒によって分解
され、この時に生じる電位差を、その前後に設置した白
金電極3により測定するようにしている。 (実施形態5)図5に示すように、次亜ハロゲン酸の分
解領域2を有する分解用ガラス容器13(容積10ml)
と対照用ガラス容器14(容積10ml)とを用意し、そ
れぞれに評価対象液の流入口を形成した。両ガラス容器
には、評価対象液は供給口15から供給する。
【0040】両ガラス容器には回転子S(磁石)を入
れ、分解用ガラス容器13には酸化ニッケル粉末(1.5
g)を収容すると共にその流入管9の端部には濾布Wを
被せた。また、両ガラス容器には評価対象液に電極3用
の棒状体(φ0.2mm、5mmL)が浸漬するように
挿入した。
【0041】そして、評価対象液に含有される残留遊離
ハロゲン中の次亜ハロゲン酸を分解せしめ、分解過程に
おける前後の電位差を測定し、この電位差の測定値から
対応する次亜ハロゲン酸濃度を評価する。
【0042】なお、分解過程における前後の電位差の測
定に当たり、分解過程における前の方は対照用ガラス容
器14に挿入した電極3が、分解過程における後の方は分
解用ガラス容器13に挿入した電極3が関与する。
【0043】
【実施例】
(実施例1) 電解処理水の調整 水道水に食塩を添加し、公知の電気分解装置を用いて電
気分解を行い、電解処理水を生成せしめた。この際、電
気分解の条件等を変えることによって電解処理水の水素
イオン濃度を変化させた。なおこの電解処理水は、水道
水による希釈割合の設定などによって手洗いする際等の
殺菌用として利用できるものである。
【0044】水素イオン濃度をpH1〜11で変化させ
た複数の電解処理水を調整した。これらの電解処理水の
残留塩素濃度は、N,N−ジエチルパラフェニレンジア
ミンを添加して生じた発色を光電比色計を用いて測定す
る従来の方法によってそれぞれ18ppmとなるように
調整した。 残留ハロゲン濃度の評価機構による評価 前記のようにして調整した電解処理水を用い、実施形態
1に記載した残留ハロゲン濃度の評価機構によって電位
差を測定した。すると測定された電位差は、pH5のあ
たりの電解処理水が130mVと最大となる曲線を示し
た。
【0045】図6に、水素イオン濃度(pH)と電位差
(mV)との関係の測定データのグラフを示す。併せ
て、次亜ハロゲン酸の存在比率も示す。
【0046】このグラフに示される電位差は、pH5の
あたりをピークとして酸性側とアルカリ性側とに低下す
る。これは「遊離有効塩素の存在比」の次亜塩素酸の濃
度の曲線の文献値とよく一致しているものである。
【0047】文献によると、pH5の残留塩素濃度は1
00%が次亜塩素酸の状態であるので、調整したpH5
の電解処理液の次亜塩素酸の濃度は18ppmであるも
のと評価することができる。 評価の仕方 このpH5の電解処理液の濃度18ppmを基準として
電位差(mV)の測定値と対比することによって、pH
1〜11の他の水素イオン濃度の電解処理液の次亜塩素
酸の濃度を推定することができ、これに対応して濃度未
知の評価対象液に含有される残留塩素の中の次亜塩素酸
の濃度を、その電位差(mV)の測定によってほぼ正確
に評価することができる。 (実施例2) 電解処理水の調整 水道水に臭化ナトリウムを添加し、電気分解装置を用い
て電気分解を行い電解処理水を生成せしめた。この際、
電気分解の条件等を変えることによって電解処理水の水
素イオン濃度を変化させた。
【0048】また実施例1と同様に、水素イオン濃度を
pH1〜11で変化させた複数の電解処理水を調整し
た。これらの電解処理水の残留臭素濃度は、N,N−ジ
エチルパラフェニレンジアミンを添加して生じた発色を
光電比色計を用いて測定する従来の方法によってそれぞ
れ18ppmとなるように調整した。 残留ハロゲン濃度の評価機構による評価 こうして調整した電解処理水を用い、実施形態1に記載
した残留ハロゲン濃度の評価機構によって電位差を測定
した。すると測定された電位差は、pH5〜7のあたり
の電解処理水が130mVと最大となる曲線を示した。
【0049】図7に、水素イオン濃度(pH)と電位差
(mV)との関係の測定データのグラフを示す。
【0050】このグラフに示される電位差は、pH5〜
7のあたりをピークとして酸性側とアルカリ性側とに低
下する。これは「遊離有効臭素の存在比」の次亜臭素酸
の濃度の曲線の文献値とよく一致しているものである。
【0051】文献によると、pH5〜6の残留臭素濃度
は100%が次亜臭素酸の状態であるので、調整したp
H5〜6の電解処理液の次亜臭素酸の濃度は18ppm
であるものと評価することができる。 評価の仕方 このpH5〜6の電解処理液の濃度18ppmを基準と
して電位差(mV)の測定値に対応して比例させること
によって、pH1〜11の他の水素イオン濃度の電解処
理液の次亜臭素酸の濃度を推定することができ、これに
対応して濃度未知の評価対象液に含有される残留臭素の
中の次亜臭素酸の濃度を、その電位差(mV)の測定に
よってほぼ正確に評価することができる。 殺菌能との関連 ところで、実施例1のように水道水を電気分解する際の
電解質として食塩を用い、その電解処理水を殺菌用水と
して利用する場合、弱酸性でpH4〜6の間で用いると
殺菌能が高いが、ステンレス製の治療用具等の殺菌や消
毒にはこの酸性の水素イオン濃度の領域では錆が生じ、
また手洗い殺菌でも流しがステンレス製の場合長期間使
用していると錆や腐食の問題が生じる。
【0052】そこで、pHを7.5以上とすると、殺菌
に有効な次亜ハロゲン酸(HClO、HBrO)が次亜
ハロゲン酸イオン(ClO- 、BrO- )に変わり、そ
の殺菌能が五分の一以下に低下してしまう。
【0053】なおこの時、従来のオルトリジン法等の光
電比色計による常法の評価では次亜ハロゲン酸と次亜ハ
ロゲン酸イオンの合計の残留塩素濃度を測定することに
なりその濃度が20ppmであっても、実際の有効な次
亜ハロゲン酸の濃度は五分の一以下程度になっている。
【0054】一方、この実施例2の手洗い殺菌水のよう
に電解質として臭化ナトリウムを用いた場合にはpH5
〜7という弱アルカリ領域に殺菌能のピークがあると共
に、pH7〜9という弱アルカリ領域において90%以
上という殺菌能があるので、治療用具や流しなどのステ
ンレス金属の発錆や腐食の防止に非常に効果があるとい
う利点がある。 (実施例3) 電解処理水の調整 水道水に食塩を添加し、電気分解装置を用いて電気分解
を行い、電解処理水を生成せしめた。この際、電気分解
の際の食塩濃度の条件などを変えることによって、生成
せしめる電解処理水の残留塩素濃度(遊離)と水素イオ
ン濃度とを調整した。
【0055】こうして、水素イオン濃度をpH2〜11
で変化させた複数の電解処理水を調整した。これらの電
解処理水の残留塩素濃度は、N,N−ジエチルパラフェ
ニレンジアミンを添加して生じた発色を光電比色計を用
いて測定する従来の方法によって、16ppm、22p
pm、27ppmとなるように調整した。 残留ハロゲン濃度の評価機構による評価 前記のようにして調整した電解処理水を用い、実施形態
1に記載した残留ハロゲン濃度の評価機構により、分解
領域の前後の電位差を測定した。図8に、水素イオン濃
度(pH)と電位差(mV)との関係の測定データのグ
ラフを示す。一番下の破線は16ppmのもの、真ん中
の破線は22ppmのもの、一番上の実線は27ppm
のものを示す。 評価の仕方 前記グラフを基準として電位差(mV)の測定値と対比
することによって、各pHに於ける他の水素イオン濃度
の電解処理液の次亜塩素酸の濃度を推定することがで
き、これに対より濃度未知の評価対象液に含有される残
留塩素の中の次亜塩素酸の濃度を、その電位差(mV)
の測定によってほぼ正確に評価することができる。 (実施例4) 電解処理水の調整 水道水に食塩を添加し、電気分解装置を用いて電気分解
を行い、電解処理水を生成せしめた。この際、電気分解
の際の食塩濃度の条件などを変えることによって同じ水
素イオン濃度(pH5)で、残留塩素濃度を変化せしめ
た電解処理水を調整した。 残留ハロゲン濃度の評価機構による評価 そして、実施形態1の残留ハロゲン濃度の評価機構によ
り、それぞれのものの分解領域の前後の電位差を測定し
た。
【0056】図9に、既述の各実施例の結果も参照して
作成した電位差の測定値(mV)と次亜塩素酸濃度(p
pm)の評価値との関係のグラフを示す。両者の関係
は、原点に近づくと傾斜がなだらかになるほぼ直線状の
ものとして表された。 評価の仕方 次亜ハロゲン酸の濃度は、残留ハロゲン濃度の評価機構
での電位差の測定値にほぼ比例するので、この電位差を
測定することによって次亜ハロゲン酸の濃度を評価する
ことができる。なお、この実施例では次亜塩素酸濃度の
評価としては、電位差40mV(次亜塩素酸濃度の評価
値12ppm)から原点にかけては傾斜がなだらかにな
っていくものであった。 (実施例5) 電解処理水の調整 水道水に食塩を添加し、公知の電気分解装置を用いて電
気分解を行い,残留塩素濃度が24.5ppm(pH
6.2)の電解処理水を生成せしめた。 残留ハロゲン濃度の評価機構による評価 〔1〕実施形態2に示す残留ハロゲン濃度の評価機構の
分解領域に、前記電気分解装置で生成せしめた電解処理
水を14ml/分の流量で供給し、分解領域の前後の電
位を測定した。
【0057】すると、分解領域の前後での電位差の測定
値は、90mVであった。 〔2〕次に実施形態2に示す残留ハロゲン濃度の評価機
構の分解領域に、次亜ハロゲン酸を分解せしめる還元性
物質を存在せしめる態様で分解領域の前後の電位を測定
した。なお、分解領域に上記各実施例のような触媒は収
容していない。
【0058】前記還元性物質として、ガスクロ用の高純
度水素ガスを用いた。なお、この還元性物質として水素
ガスの他に還元性の気体や、亜硫酸水やしゅう酸水溶液
などの還元性の水溶液等を利用することもできる。
【0059】前記水素ガスを分解領域の電解処理水中に
バブリングしながら注入すると、分解領域の前後で計測
された電位差は160mVであった。
【0060】前記〔1〕では、電気分解装置での電気分
解で生じた水素による次亜塩素酸の分解作用によって、
分解領域の前後で触媒や還元剤を用いた場合に比べれば
数値は小さいものの電位差が生じている。そして、この
電位差により、精度は触媒や還元剤を用いた場合程は高
くはないながらも、次亜ハロゲン酸の濃度を評価するこ
とできる。
【0061】すなわち、電気分解装置での電気分解で生
じた水素による次亜塩素酸の分解作用を利用したもので
あり、請求項1及び請求項3に記載の手段に対応するも
のである。この〔1〕では、次亜ハロゲン酸を分解する
分解手段たる触媒等は付与していない。
【0062】ところで、食塩水などを電気分解すると陽
極側から塩素が生じ、これが水と反応して次亜ハロゲン
酸となる。一方、陰極側では水酸化ナトリウムが生成す
ると共に水素ガスが発生し、約2%のH2 が溶存してい
る。電解処理水の中の次亜ハロゲン酸は、水素ガスによ
り還元され、 HClO→H+ +Cl- +(O) のように、発生期の酸素を放出すると共に水素陽イオン
と塩素陰イオンに解離して電極との間で電子の授受が行
われるので、分解領域の前後の電極間で電位差が生じ
る。そして、この電位差を測定するようにしている。
【0063】次に、前記〔2〕では分解領域にバブリン
グによって溶存せしめた水素ガスも、次亜ハロゲン酸に
作用して分解させることにより高い電位差を生じた。計
測された電位差は触媒を用いた場合よりも小さかった
が、次亜ハロゲン酸の濃度の評価に十分に寄与するもの
であった。つまり、このものによると、触媒を用いたも
のと比較して発生する電位差は若干小さいものの、十分
に精度が高い次亜ハロゲン酸の濃度の評価を行うことが
できる。
【0064】なお、残留塩素濃度24.5ppm(pH
6.2)の電解処理水にしゅう酸水溶液を加えると、電
位差が90mVから130mVまで上昇した。これによ
っても、精度の高い次亜ハロゲン酸の濃度の評価をする
ことが可能となる。
【0065】触媒や還元剤を用いて分解領域で次亜ハロ
ゲン酸をより完全に分解せしめると、次亜ハロゲン酸の
濃度の精度の高い評価をすることが可能となる。 (実施例6) 次亜塩素酸ソーダ水溶液の調整 次亜塩素酸の濃度とpH値が既知の市販の次亜塩素酸ソ
ーダ水溶液(12%)を希釈したものを用意した。
【0066】すなわち、市販の次亜塩素酸ソーダ水溶液
を希釈したものにN,N’−ジエチルパラフェニレンジ
アミン試薬を添加して、HACH社の光電比色分析計を
用いて発色を測定し、この発色の測定値と次亜塩素酸ソ
ーダ水溶液のpH値等から、前記希釈水溶液の残留塩素
濃度中の次亜塩素酸濃度の目安を付けて、次亜塩素酸濃
度が5、10、20ppmとなるように調整した。 残留ハロゲン濃度の評価機構による評価 実施形態2に示すものを用い、前記次亜塩素酸ソーダ水
溶液を後側ガラス容器と前側ガラス容器と配管中に充満
させるように小型ポンプを駆動して注入し、挿入した電
極棒により分解領域の前後の電位差を測定した。
【0067】図10の残留塩素濃度中の次亜塩素酸濃度
(ppm)と電位差(mV)との関係のグラフに、電極
として白金製のものを用いた場合のデータを△で、電極
として金製のものを用いた場合のデータを○で示す。
【0068】なお、電極として白金製のものを用いた場
合の方が金製のものを用いた場合よりも高い電位差が測
定された。すなわち、電極として白金製のものを用いた
方が解像度が高く、より精度の高い評価が可能となる。
【0069】このようにして作成したグラフにより、残
留塩素濃度中の次亜塩素酸濃度が未知の評価対象液の残
留塩素濃度(ppm)を、その電位差の測定値(mV)
から評価することができる。 (まとめ)従来は残留ハロゲン濃度を測定する際、試薬
を加えて発色させ光電比色計を用い測定し濃度を表示す
るものであり、大型、高価格であるために一般の電解処
理水生成装置に搭載できるものはなかった。また、測定
試薬は評価対象液中に存在する次亜ハロゲン酸と遊離の
ハロゲンと次亜ハロゲン酸イオンとの全てに反応して発
色するものであり、次亜ハロゲン酸の濃度のみを簡易に
評価することはできなかった。したがって、全ての残留
ハロゲン濃度を測定することにより、電解処理水の濃度
管理を行わねばならなかった。さらに、自動連続評価装
置ともなると非常に高価なものであり、殺菌・消毒装置
の残留ハロゲン濃度の管理に一般的に利用することは困
難であった。
【0070】しかし、上記各実施例のものによると、従
来は簡易に評価することができなかった次亜ハロゲン酸
(殺菌能の主役と考えられる)の濃度を、容易に評価し
て管理することができるという利点がある。
【0071】また、小型、安価な装置として実施するこ
とができるので、病院やレストラン、給食関係や家庭用
の手洗い殺菌水装置の次亜ハロゲン酸の濃度管理に好適
に利用できるという利点がある。
【0072】
【発明の効果】この発明は上述のような構成であり、次
の効果を有する。
【0073】濃度未知の評価対象液に含有される残留遊
離ハロゲン中の次次亜ハロゲン酸の分解の前後の電位差
を測定することにより対応する次亜ハロゲン酸濃度を評
価することができるので、次亜ハロゲン酸の濃度を簡易
に測定することができる残留ハロゲン濃度の評価方法及
び評価機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の残留ハロゲン濃度の評価機構の実施
形態1を説明する図。
【図2】この発明の残留ハロゲン濃度の評価機構の実施
形態2を説明する図。
【図3】この発明の残留ハロゲン濃度の評価機構の実施
形態3を説明する図。
【図4】この発明の残留ハロゲン濃度の評価機構の実施
形態4を説明する図。
【図5】この発明の残留ハロゲン濃度の評価機構の実施
形態5を説明する図。
【図6】実施例1に於ける水素イオン濃度(pH)と電
位差(mV)との関係の測定データのグラフ。
【図7】実施例2に於ける水素イオン濃度(pH)と電
位差(mV)との関係の測定データのグラフ。
【図8】実施例3に於ける水素イオン濃度(pH)と電
位差(mV)との関係の測定データのグラフ。
【図9】実施例4に於ける電位差の測定値(mV)と次
亜塩素酸濃度(ppm)の評価値との関係のグラフ。
【図10】実施例6に於ける残留塩素濃度中の次亜塩素
酸濃度(ppm)と電位差(mV)との関係のグラフ。
【符号の説明】
2 分解領域

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 評価対象液に含有される残留遊離ハロゲ
    ン中の次亜ハロゲン酸の分解過程における前後の電位差
    を測定し、この電位差の測定値から、対応する次亜ハロ
    ゲン酸濃度を評価するようにしたことを特徴とする残留
    ハロゲン濃度の評価方法。
  2. 【請求項2】 評価対象液に含有される残留遊離ハロゲ
    ン中の次亜ハロゲン酸を分解せしめ、分解過程における
    前後の電位差を測定し、この電位差の測定値から対応す
    る次亜ハロゲン酸濃度を評価するようにしたことを特徴
    とする残留ハロゲン濃度の評価方法。
  3. 【請求項3】 評価対象液が導入される分解領域を有
    し、前記分解領域に導入された評価対象液に含有される
    残留遊離ハロゲン中の次亜ハロゲン酸の分解領域の前後
    の電位差を測定し、この電位差の測定値から対応する次
    亜ハロゲン酸濃度を評価するようにしたことを特徴とす
    る残留ハロゲン濃度の評価機構。
  4. 【請求項4】 評価対象液が導入される分解領域を有す
    ると共に前記分解領域に導入された評価対象液に含有さ
    れる残留遊離ハロゲン中の次亜ハロゲン酸を分解する分
    解手段を具備し、分解領域の前後の電位差を測定し、こ
    の電位差の測定値から対応する次亜ハロゲン酸濃度を評
    価するようにしたことを特徴とする残留ハロゲン濃度の
    評価機構。
  5. 【請求項5】 次亜ハロゲン酸の分解手段として分解領
    域に触媒が収納された請求項3又は4記載の残留ハロゲ
    ン濃度の評価機構。
  6. 【請求項6】 前記触媒として活性炭、又はニッケル、
    鉄、コバルト、チタン、マンガン等の酸化物を用い、こ
    れらの触媒は一定期間の使用後に100 ℃以上に加熱して
    活性を再生させるようにした請求項3乃至5のいずれか
    に記載の残留ハロゲン濃度の評価機構。
  7. 【請求項7】 電位差の測定値の大きさに対応させて、
    次亜ハロゲン酸濃度のレベルを示す発光ダイオードを点
    灯させるようにした請求項3乃至6のいずれかに記載の
    残留ハロゲン濃度の評価機構。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014199256A (ja) * 2013-03-14 2014-10-23 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター 塩化物イオンの定量方法及び塩化物イオンの定量装置、並びに、塩素の定量方法
JP2016114376A (ja) * 2014-12-11 2016-06-23 国立大学法人横浜国立大学 固体型残留塩素センサーおよびこれを備えた水道メーター

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