JPH10245312A - 植物保護剤及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 疾病の予防、治療と殺菌、殺虫効力が比較的
に強い農薬を提供する。 【解決手段】 本発明は植物保護剤に関する。黄苓、黄
柏、黄蓮、板藍根、百部、酸化苦参アルカリ、テレビン
油、透皮剤で製造した製剤である。当該保護剤は疾病の
予防治療と殺病原菌の効果があると同時に、殺虫作用も
ある。並びに葉面養分増加と土壌改良の多種効能があ
る。人と家畜に対して無毒、無汚染、多種の農作物、林
木、野菜等の植物にとって最も理想的な保護剤である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は植物保護剤及びその
製造方法と使用方法に関する。この製品は多種類の農作
物、林木、野菜、草花の疾病予防、治療と殺菌に使用す
る。同時に又、害虫を消滅し、葉の肥料を増加し、土壌
を改良する作用がある。

【０００２】

【従来の技術】現在、農業に使われる農薬は、人と家畜
に毒性残留が低い化学農薬又は複合製剤であり、殺虫効
果は良いが、単一抗体であるので、長期の使用は耐薬
性、並びに農作植物の慢性中毒を引起こしやすく、農作
物の欠作を引起こす。同時に、環境を汚染し、生態系の
バランスを破壊する。一部の植物農薬はその原料の制限
と加工方法の立遅れによりコストが高く、使用が不便、
効力が単一又は明確でなく、薬効力を充分に発揮できな
い。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上に述
べた従来の欠点と不足を克服するため、疾病の予防、治
療と殺菌、殺虫効力が比較的に強い農薬を提供すること
にある。本発明の植物保護剤に含まれる黄苓、黄柏、黄
蓮等の成分は病原菌に対して極めて強い殺菌の特性があ
る。従って、多種の病害の発生を予防し、抑制する作用
がある。板藍根はウイルスに対して強力な消滅作用があ
る。酸化苦参アルカリは強い殺虫作用を持っている。同
時に、本発明は植物の成長と土壌改良の効果をも持って
いる。最新の「転溶加工」技術の採用により、薬効の向
上、コスト削減、使用の便利等を実現させた。多種の効
力を持つ、総合的な農薬である。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明の目的は下記の形
態により達成した。

【０００５】本発明は、第一に一種の植物保護剤で、下
記の原料（重量部）からなり、各成分用量比（総重量に
対して）は次の通りである。 ａ）黄苓３０〜４０部、黄柏１０〜２０部、黄蓮５〜１
０部、板藍根、１０〜１５部、百部５〜１０部、酸化苦
参アルカリ１０〜２０部、テレビン油５〜１５部、透皮
剤５〜１５部。

【０００６】本発明は第二に上記植物保護剤を調製する
ための方法であって以下の工程を含むことを特徴とす
る。

【０００７】各々を粉砕し（高梁粒の大きさ程に）、各
種の薬物にその重量の６〜９倍の水を入れ、抽出容器で
３〜４時間煎じ、薬液を抽出し、各種類の薬液を薬滓と
分離させ、薬滓は又薬物重量の５〜８倍の水を加入し、
二回目の煎じを２〜３時間行う。分離した薬液を第一回
目の薬液と混合させる。酸化苦参アルカリは単独に抽出
する。各種の混合薬液を１２０目のフィルターを用いて
濾過させ、薬液をポーメ度が１０〜１２まで遠心、真空
で濃縮させる。その後、パイプポンプでアルコール還流
タワーに送り込み、「転溶」を行い、不純物と大分子を
取り出し、薬液の中の食用アルコールの含有量が５〜１
５重量部になる時に分離させ、アルコールを回収し中間
製品を得る。

【０００８】中間製品に酸化苦参アルカリ１０〜２０重
量部、テレビン油５〜１５重量部と透皮剤５〜１５重量
部を加入し充分に混合して、薬瓶にいれる。又、本発明
は粉末剤にも加工でき、地下病虫害を予防治療する。

【０００９】本発明の保護剤に使われた原料は疾病予防
と治療、殺菌、殺虫の機能があり、煎じることにより、
薬剤内の百種類以上の有効成分と多種類の栄養素を抽出
する。黄苓、黄柏、黄蓮には多種類のアルカロイドと多
種類の微量元素及び大量の窒素、リン、カリウムが含ま
れている。アルコール沈澱プロセスより、薬液の中の大
分子と不純物を取り除いて、更に薬液の純度を高め、薬
性も安定させ、沈澱が発生せず、薬液が清澄で、使用に
便利である。国家基準に符合している。テレビン油は効
力増加作用がある。透皮剤は浸透の作用をもち、薬効を
高め、植物の葉に栄養を充分吸収させる。

【００１０】本発明の保護剤は比較的強い疾病予防と治
療及び殺菌作用があり、同時に害虫に対しても接触殺虫
効果が良い。この保護剤は多種類の漢方薬から抽出した
薬液であり、百種類以上の成分を含有し、各成分は又一
つの抗体である。従って、耐薬性が発生し難く、植物に
吸収されやすく、分解し難い。それゆえ、薬性は持続的
に発揮できる。他の成分と総合的に植物に作用し、葉面
肥料を増加させ、植物の生長を促進する。その薬液の中
に多種類の繊維を含むので、使用後に土壌に対し、殺
菌、害虫の卵を消滅させる作用がある他、土壌を柔らか
くほぐす作用があり、土壌改良の効果がある。

【００１１】本保護剤の分析結果を表１に示す。

【００１２】

【表１】

【００１３】表１から見られるように本保護剤に含まれ
る栄養成分は高く、植物の生長と発育に極めて有利であ
る。

【００１４】

【発明の実施の形態】本発明の保護剤に就いて毒性と薬
効試験を行った。その結果は次の通り：

【００１５】１． 急性毒性試験は天津市労働局衛生職
業研究所のレポートによる、結果の表明：Ｗｉｓｔａｒ
種ラット雌雄二組を対照とし、塗布してからの最大耐受
量はＬＤ５０００ｍｇ／ｋｇであり、国家基準により、
無毒と判定した。同じように胃に注入し、最大耐受量は
ＬＤ＞１０００ｍｇ／ｋｇ、無毒と判定した。

【００１６】２． 亜慢性毒性試験は天津化学品毒性検
定所のレポートによる、結果の表明：大耳白ウサギ雌雄
とブランクの三群を、各々１００ｍｇ／ｋｇ、１０００
ｍｇ／ｋｇとブランクの対照群とし、１２週の染毒試験
をし、二群は動物中毒症状の発生がなく、臨床検査と病
理組織検査でも異常は認められなかった。従って１００
ｍｇ／ｋｇは保護剤量の無作用用量として安全である。

【００１７】３． 染色体変異原性分析と復帰突然変異
原性実験では、小核実験、染色体異常試験は天津市労働
局衛生職業研究所のレポートによって、結果の表明：マ
ウス骨髄染色体変異を分析し、陰性と判定した。誘発性
実験の結果も陰性。小核実験の結果表明：５０００ｍｇ
／ｋｇと１０００ｍｇ／ｋｇどちらの使用量の場合もマ
ウスに小核を認められなかった。染色体異常試験は次の
ようになった。１０００ｍｇ／ｋｇの用量をもって妊娠
したマウスの胃に口から注入した結果は陰性で、胎鼠の
発育は正常であり、染色体異常と認められない。

【００１８】４． 毒力測定は沈陽農業大学のレポート
によって、結果は次のように表明した。野菜青虫、黄掌
舟蛾に大変強い接触殺虫力があった。４週齢の野菜青虫
にＬＣ５０を浸漬して７５２．６ｐｐｍ、ｄｉｐｔｅｒ
ｅｘのＬＣ５０を浸漬したものと対照したところ４７２
１．９ｐｐｍになった。保護剤の毒力はｄｉｐｔｅｒｅ
ｘの５．７倍になり、楡葉甲虫に対する接触殺虫力はｄ
ｉｐｔｅｒｅｘよりやや大きい。浸漬ＬＣ５０で楡藍葉
甲を接触殺虫し、保護剤とｄｉｐｔｅｒｅｘの敏感基性
は近い。

【００１９】１．萎黄病に対する予防治療及び生産量増
加試験：

【表２】 植物保護剤は萎黄病及び最終生産量に対する影響効果が
著しい。

【００２０】２．綿花病害予防治療の田間試験は河北省
綿花研究所のレポートによる。

【表３】

【００２１】綿花炭疽菌とレプタンドラ腐れ菌に対する
毒力測定。

【表４】

【００２２】フラン病に対する予防治療の薬効試験

【表５】

【００２３】萎黄病に対する予防治療の薬効試験結果

【表６】

【００２４】萎黄病に対する予防治療の薬効試験結果

【表７】

【００２５】表３〜７の結果から、保護剤はフラン、萎
黄病、菌病等の病害に対して強い予防と治療作用又は抑
制作用があると表明した。

【００２６】３．松毛虫に対する薬効試験は承徳市農林
局森防ステーションのレポートによる。試験対象として
はツリー・ファームの松林の５〜６齢油松毛虫であり、
保護剤を用いて殺菌菊脂と対照する。結果を表８、９に
示す。

【００２７】

【表８】

【００２８】

【表９】

【００２９】表８〜９の結果から次のように判明した。
当該保護剤は松毛虫の幼虫に対して予防治療効果があ
り、その１０００、２０００、３０００倍液の７２時間
後の殺虫率は１００％、９９．２％、９７％であり、対
照組の３０００倍液の殺虫率は９８．６％、殺虫効果は
１．４〜０．６％向上した。全体から言えば、松毛虫、
幼虫に対する予防治療効果は非常に理想的である。

【００３０】４．えんじゅの尺取幼虫予防治療の野良薬
効試験：試験対象は１５年生のえんじゅの木の４〜５齢
の尺取幼虫である。１０００、２０００、３０００倍液
に希釈した保護剤と１５００倍液に希釈した菊殺乳油、
２０００倍液に希釈した２０％の滅掃利及び清水と対照
して薬効試験を行った。結果を表１０に示す。

【００３１】

【表１０】

【００３２】

【表１１】

【００３３】表１０〜１１の結果から次のように判明し
た。保護剤はえんじゅ尺取虫に対して大きな予防と治療
効果があり、大変強い接触殺作用と一定の胃毒作用があ
る。使用濃度は１０００〜２０００倍液が好ましい。

【００３４】４．油虫の予防治療試験承徳市野菜研究セ
ンターのレポートによる。試験対象はキュウリである。
５００、１０００、１５００倍液の保護剤と１０００倍
液の４０％Ｒｏｇｏｒ乳油とブランク対照組と対照し
て、結果を表１２に示す。

【００３５】

【表１２】

【００３６】表１２の結果から判明したように、三組の
使用薬は２４時間後の薬効は８８．８８％以上であり、
対照組よりやや高く、しかも薬効時間が長い。七日後の
効果も８７％以上になる。瓜類に対してはいかなる公害
も生じない。１０００〜１２００倍液の噴霧を採用すれ
ば、同時にコストダウンもできる。

【００３７】５．芽虫、綿赤蜘蛛、野菜青虫に対する毒
力測定では中国科学院植物保護研究センターのレポート
による。試験対照は油菜で育成した“挑芽菜溢管芽”、
モヤシで育成した綿赤蜘蛛で、キャベツ等の青虫であ
る。濃度の異なった保護剤組と清水対照組の測定結果を
表１３〜１４に示す。

【００３８】芽虫に対する毒力測定結果

【表１３】

【００３９】綿赤蜘蛛に対する毒力測定結果

【表１４】

【００４０】野菜青虫に対する毒力測定結果

【表１５】

【００４１】試験結果の表明：三種類の試験対象である
虫に対して強い毒殺作用を持ち、対照薬剤の酸素Ｒｏｇ
ｏｒより著しく優れている。野菜芽虫の毒力は酸素Ｒｏ
ｇｏｒの３７３倍（成虫）と１１７．４倍（幼虫）であ
り、綿赤蜘蛛に対する毒力は酸素Ｒｏｇｏｒの２１．５
倍、野菜青虫に対する毒力は酸素Ｒｏｇｏｒの７３．５
倍（２４時間）と９７．５倍（４８時間）である。統計
分析によると、芽虫に対する殺虫力が最も強い。二番目
に野菜青虫、三番目に綿赤蜘蛛に対する毒殺力が強い。

【００４２】

【実施例】実施例１ 精選した百部１０ｋｇ、黄柏２０ｋｇ、黄苓３０ｋｇ、
黄蓮１０ｋｇ、板藍根１５ｋｇに、それぞれ薬物重量の
８倍の水を加え、薬缶にいれ、３時間煮て抽出し、薬液
を分離し、それから６倍の水を加え、２時間煮て抽出
し、分離した薬液を一回目の薬液と混合させ、濾過して
から真空濃縮させ、５４．１ｋｇぐらいの薬液を得る。
そのポーメ度は１２であり、再び、パイプポンプにてア
ルコール還流タワーに打ち込み、沈澱させ、食用アルコ
ール１２ｋｇになるように薬液をコントロールし、アル
コールを分離し回収する。そして薬液にテレビン油５ｋ
ｇ、透皮剤５ｋｇを加え、充分に混合させると製品にな
る。

【００４３】実施例２ 精選した百部１０ｋｇ、黄柏１０ｋｇ、黄苓３５ｋｇ、
黄蓮８ｋｇ、板藍根１０ｋｇ、チヤンチン皮３５ｋｇ、
酸化苦参アルカリ１５ｋｇに、それぞれ薬物重量の７倍
の水を加え、薬缶にいれ、３．５時間煮て抽出し、薬液
を分離し、それから６倍の水を加え、２．５時間煮て抽
出し、分離した薬液を一回目の薬液と混合し、濾過して
から真空濃縮させ、４９．６ｋｇの薬液を得る。そのポ
ーメ度は１１であり、再び、パイプポンプにてアルコー
ル缶に打ち込み、沈澱させ、食用アルコール８ｋｇにな
るように薬液をコントロールし、アルコールを分離し回
収する。そして薬液にテレビン油１０ｋｇ、透皮剤１０
ｋｇを加え、充分に混合させて製品になる。

【００４４】実施例３ 精選した苦参５０ｋｇ、百部５ｋｇ、黄柏１０ｋｇ、黄
苓４０ｋｇ、黄蓮５ｋｇ、板藍根１０ｋｇ、酸化苦参ア
ルカリ２０ｋｇを取り、それぞれ薬物重量の９倍の水を
加え、薬缶にいれ、４時間煮て抽出し、薬液を分離し、
それから５倍の水を加え、３時間煮て抽出し、分離した
薬液を第一回目の薬液と混合し、濾過してから真空濃縮
させ、４１．５８ｋｇの薬液を得る。そのポーメ度は１
０であり、再び、パイプポンプにてアルコール還流タワ
ーに打ち込み、沈澱させ、食用アルコール５ｋｇになる
ように薬液をコントロールし、アルコールを分離し回収
する。そして薬液にテレビン油１５ｋｇ、透皮剤１５ｋ
ｇを加え、充分に混合させて製品になる。

【００４５】

【発明の効果】本発明は従来の技術に比べて、下記の長
所と効果がある。 （ａ）疾病の予防と治療、殺菌、殺虫等の多種効能を持
つ植物保護剤であり、その効果は著しく、それに土壌に
対して良い改良作用があり、土壌の菌虫卵を滅殺し、土
壌を柔軟にする。 （ｂ）人や家畜には無毒、無公害、無汚染、無残留であ
り、無公害農薬に属し、グリーン植物に対する最も理想
的な薬剤である。 （ｃ）えんじゅの尺取虫、松毛虫、綿鈴虫、赤蜘蛛、野
菜青虫、粘虫、芽虫、松林葉甲虫に対して長期的な効果
があり、しかも耐薬性が生じず、収穫期間の農作物に対
しては更に理想的な薬剤である。 （ｄ）製品の安定性が良く、高温下、低温下での安定性
は共に優れており、５４℃±２に於いては、１４日間で
分解率は＜５％、０℃±１に於いては、七日間で、析出
物がなく、酸性はＨ₂ ＳＯ₄ で＜１％である。 （ｅ）原料が入手し易く、製造方法も簡単である。 （ｆ）多種類の栄養素を含むので、特にＮ、Ｐ、Ｋの含
有量が高い、植物の葉面に対して生長促進作用がある。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ティーフア・リウ 中華人民共和国、ベイジン 100037、ハイ ディアン・ディストリクト、ツェングアン グル ナンバー 55、ジユ・ホテル、ルー ム 4106 (72)発明者 ショウツォン・ワン 中華人民共和国、ベイジン 100037、ハイ ディアン・ディストリクト、ツェングアン グル ナンバー 55、ジユ・ホテル、ルー ム 4106

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 以下の原料（重量部）からなり、各成分
   用量配比（総重量に対して）を次の通りとする植物保護
   剤。黄苓３０〜４０部、黄柏１０〜２０部、黄蓮５〜１
   ０部、板藍根１０〜１５部、百部５〜１０部、透皮剤５
   〜１５部、酸化苦参アルカリ１０〜２０部、テレビン油
   ５〜１５部。
2. 【請求項２】 疾病の予防治療、殺菌、殺虫の効果があ
   る請求項１に記載した植物保護剤。
3. 【請求項３】 葉面の肥料を増加し、土壌を改良する作
   用がある請求項１に記載した植物保護剤。
4. 【請求項４】 次のプロセスからなる植物保護剤の製造
   方法。精選した黄苓、黄柏、黄蓮、板藍根、百部を粗粉
   （高梁の粒の大きさ）に粉砕し、 各薬物の中にそれぞれ薬物重量の６〜９倍の水を加え、
   ３〜４時間煮て、薬液を取り上げ、各種類の薬液、薬滓
   を分離させ、再びその薬物重量の５〜８倍の水を加え、
   二回目に２〜３時間煮、 そして、分離した薬液を一回目の薬液と混合し、各種類
   の混合薬物をそれぞれ濾過、遠心、真空濃縮を行い、薬
   液のポーメ度を１０〜２０となるようにする。
5. 【請求項５】 「酒沈澱」のプロセスにて、パイプポン
   プで薬液を還流タワーに打ち込み、「転溶」を行い、薬
   液の中に含まれるアルコールは５〜１５部になる時に分
   離させ、アルコールを回収する大分子及び不純物を取り
   去って中間製品を得ることを特徴とする請求項４に記載
   した製造方法。