JPH10239602A - 光スイッチ - Google Patents

光スイッチ

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JPH10239602A
JPH10239602A JP9040577A JP4057797A JPH10239602A JP H10239602 A JPH10239602 A JP H10239602A JP 9040577 A JP9040577 A JP 9040577A JP 4057797 A JP4057797 A JP 4057797A JP H10239602 A JPH10239602 A JP H10239602A
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JP
Japan
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optical
piezoelectric element
optical fiber
piezoelectric
optical switch
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Application number
JP9040577A
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English (en)
Inventor
Yumi Kanbe
由美 神戸
Tetsuya Takeuchi
哲也 竹内
Masahisa Isaji
雅久 伊佐治
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Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
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Publication date
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  • Mechanical Light Control Or Optical Switches (AREA)
  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)
  • Optical Communication System (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決課題】 小型で長期に亘って動作が安定し、高精
度、低損失で、消費電力が小さく、かつ低コストで製造
できる光スイッチの提供。 【解決手段】 圧電体に電圧を印加して変形させること
により光信号伝搬手段の位置または形状を変化させて光
路を切り替える光スイッチにおいて、水熱合成によって
形成された圧電体を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光スイッチ、特に圧
電素子を用いた光スイッチに関する。
【0002】
【従来技術】光スイッチは、光通信システムにおける通
信路の変更、故障時または保守作業時の予備回路への切
替等に必須の光回路部品である。光スイッチは、O/E
/O変換型と光路切替型に大別される。O/E/O変換
型は、光信号を一旦電気信号に変換(O/E変換)し、
電気回路上でスイッチングを行ない、しかる後に光信号
に変換(E/O変換)するものであり、従来の電子スイ
ッチング技術を応用できるという利点がある。しかし、
光・電気信号間の変換素子が必要である上、通信路が電
気回路部を経由することになるため、信号伝達特性が電
気回路部の特性により制約される。
【0003】光路切替型は,非機械式と機械式の2つの
タイプに大別される。非機械式スイッチは、複数の光導
波路を近接して配置し、これに電界や磁界等を作用さ
せ、電気光学的効果や磁気光学効果等を用いて光路の切
替えを行なうものである。非機械式スイッチは、スイッ
チング速度は高速であるが、使用可能な波長や偏波が制
限されたり、スイッチ挿入部の前後で位相や偏波等が変
化する。さらに、スイッチングに電気光学的効果や磁気
光学効果を有する材料が必要となるため、製造コストが
高くなる。
【0004】一方、機械式スイッチには、バネや電磁石
等を用いてロッドレンズ、プリズムまたは鏡等の光学素
子を回転あるいは移動させるもの(光学素子駆動型光ス
イッチ)、光ファイバ端部を変位して光路を切り替える
もの(ファイバ移動型光スイッチ)、光導波路間の結合
率を変位により変化させて光路を切り替えるもの(光導
波路変形型光スイッチ)がある。前2者は非機械式と比
較するとスイッチング速度は遅いが、波長や偏波に依存
せずアイソレーションが大きくとれるため現状では最も
実用的な光スイッチである。しかし、光学素子やファイ
バを移動させる駆動装置の小型化が難しい。また、機械
的駆動部分を含むため長期に亘る使用が難しいという問
題があった。また、光導波路変形型光スイッチは一般に
構成が複雑になりやすく、小型化にはコストがかかると
いう問題がある。
【0005】これらの問題を解決するべく様々な方法が
提案されている。例えば、特開昭53-1040号公報には駆
動手段として圧電素子を用いたマトリクス状光スイッチ
が記載されている。また、特開平5-313074号公報には、
伝送路の光ファイバとの結合損失が小さく経済性の点で
も優れるガラス系あるいはプラスチック系材料を用いて
平板導波路を形成し、これを圧電素子等を用いて変形さ
せ導波路の結合率を変化させる方法が記載されている。
しかし、従来用いられている圧電素子は、基板上に接着
層を介して分極した圧電体を貼り付けて形成しているた
め(例えば、特開平6-143163号公報参照。)、その小型
化に限界がある。また、長期に亘って繰り返し使用する
と接着層が変形あるいは劣化してサブミクロン単位の精
度を維持できなくなる。さらに、高い駆動電圧が必要で
あるという問題点がある。
【0006】重量百μg程度の磁性合金からなるパイプ
を光ファイバの端部に装着し、周辺磁界を変化させるこ
とにより光ファイバを変位させる方法も提案されている
(長岡新二「小型・高性能自己保持型単一モード光ファ
イバスイッチの開発」NTT技術ジャーナル(1994.1
0))。しかし、この方法では内径が百〜数百μm程度で
肉厚が数十μm程度の特殊な微小金属パイプが必要であ
り製造コストの面で問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明
は、(1) 小型である、(2) 長期に亘って動作が安定して
いる、(3) 高精度である、(4) 低損失である、(5) 消費
電力が小さい、かつ(6) 低コストで製造できる、という
条件を同時に満たす光スイッチを提供することを目的と
する。また、上記の条件に加え、スイッチングが高速
で、変調器としての利用も可能である光スイッチを提供
することを目的とする。
【0008】
【課題解決の手段】本発明者らは、上記課題の解決手段
について鋭意検討した結果、水熱合成により圧電膜を形
成した圧電素子を用いれば、圧電素子の薄膜化、したが
って小型化が容易であり、しかも長期に亘り高精度が維
持され、なおかつ低消費電力化も可能であることを見出
だし本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、以下の光スイッチを
提供する。 (1) 水熱合成によって形成された圧電体に電圧を印
加して変形させることにより光信号伝搬手段の位置また
は形状を変化させて光路を切り替える光スイッチ。 (2) 前記光信号伝搬手段が光ファイバである前記1
に記載の光スイッチ。 (3) 光ファイバ端面を圧電素子上に担持するか、圧
電素子の近傍に配置し、圧電素子の変形によって前記端
面の位置または方向を変化させて光路を切り替える前記
2に記載の光スイッチ。 (4) 光ファイバの端面近傍における外周面上に圧電
素子膜を形成し、圧電素子の変形によって前記端面の位
置または方向を変化させて光路を切り替える前記2に記
載の光スイッチ。
【0010】(5) 前記光信号伝搬手段が光導波路で
ある前記1に記載の光スイッチ。 (6) 2つの光導波路を微小な空隙を隔てて平行に配
設し、前記空隙の大きさを圧電素子の変形により制御し
て光導波路間の光学的な結合率を変化させる前記5に記
載の光スイッチ。 (7) 圧電体が鉛またはチタンを含有する圧電性複合
酸化物薄膜である前記1〜6のいずれかに記載の光スイ
ッチ。 (8) 圧電性複合酸化物がチタン酸ジルコン酸鉛であ
る前記7に記載の光スイッチ。
【0011】(I)発明の概要 本発明は、基本的には、圧電素子を利用した光スイッチ
であれば、どのような原理のものについても適用できる
が、基本的には、ファイバ移動型光スイッチ及び光導波
路変形型光スイッチについて好適に適用され得る。ファ
イバ移動型光スイッチは、図1に示すように端面の切ら
れた入力側ファイバ1と、当該端面の近傍に配置された
複数の出力側ファイバ(この例ではファイバ2及び3)
からなる。図1において、ファイバ1の端部は第一の位
置aと第二の位置bのいずれかを採り得るように設計さ
れている。端部が第一の位置aに位置するときは、ファ
イバ1の端面はファイバ2の端面に対向する。この結
果、信号は、ファイバ1から2へと伝達される。ファイ
バ1の端部が第二の位置bに位置するときは、ファイバ
1の端面はファイバ3の端面に対向する。この結果、信
号は、ファイバ1から3へと伝達される。
【0012】光導波路変形型光スイッチは、図2に示す
ように空隙を隔てて配置された入力側導波路4と出力側
導波路5及び両者の結合率を変化させる手段6からな
る。図2において、導波路間の空隙が大きいと導波路4
に入力された信号は、通常の減衰分を除いてそのすべて
が出力端aに出力される。ここで、空隙の大きさを十分
に小さくすると、導波路4を伝搬する光エネルギーがト
ンネル効果により導波路5に浸み出す。この結果、導波
路4に入力された光信号は導波路5にも分配され、出力
端bにも現れる。かくして、信号の分岐または分配とい
うスイッチング機能が実現されることになる。本発明で
は、上述のような光ファイバの移動もしくは変形または
導波路間の結合率の調整に水熱合成法により形成した圧
電体を用いることを特徴とする。
【0013】(II)圧電体 圧電体は、圧電素子とし、その上に光ファイバ端面また
は光導波路を担持するか、光ファイバ端面または光導波
路の近傍に設ける。または、光ファイバの端面近傍にお
ける外周面上に圧電体膜を形成する。圧電素子は、基板
上に圧電体を配設することにより製造される。基板の片
面に圧電体を設けたモノモルフ、両側面に圧電体を設け
たバイモルフ、基板と圧電体とを交互に積層した積層型
圧電素子があるが、本発明ではそのいずれを用いてもよ
い。
【0014】基板は水熱合成時の加熱加圧条件に耐え得
るものであればよい。具体的には、ステンレス、鉄、ア
ルミニウム、チタン、鉛等の金属または合金、アルミ
ナ、チタニア等のセラミックス、及びフッ素樹脂、ポリ
イミド等の耐熱性有機材料が挙げられる。これらの材料
の複合体、あるいは、ガラス材料の上に上記材料を堆積
ないし被覆した複合体でもよい。圧電体と基板との接合
性を高めるために、水熱合成しようとする圧電体を構成
する金属元素からなる金属材料を選択するか、圧電体の
構成元素のうち少なくとも1種類の金属元素成分を、析
出あるいは塗布などにより基板最表面に存在させること
が好ましい。
【0015】圧電体は通常、複合酸化物である。具体的
には、水熱合成され得るものであれば特に限定されな
い。このような複合酸化物の例としては、鉛またはチタ
ンを含有する複合酸化物、特に、PZTとして知られる
Pb、Zr及びTiの3つの元素を含むペロブスカイト
(ABO3)構造の複合酸化物が挙げられる。Aサイト
(PZTではPb)をBa、Ca、Sr、LaまたはB
i等から選択される1種または2種以上の元素で置換
し、Bサイト(PZTではZrまたはTi)をZn、N
i、Mg、Co、W、Nb、Sb、TaまたはFe等か
ら選択される1種または2種以上の元素で置換してなる
複合酸化物も好適に用いられる。置換は複合的なもので
もよい。このような複合酸化物の例としては、Pb(M
1/3Nb2/3)O3、Pb(Ni1/3Ta2/3)O3、Pb
(Ni1/3Nb2/3)O3、Pb(Zn1 /3Ta2/3)O3
Pb(Zn1/3Nb2/3)O3、Pb(Ni1/3Nb2/3
3、Pb(Fe1/21/2)O3等、あるいはこれらの1
種以上とPZTとの複合酸化物等が挙げられる。薄膜の
厚さは、通常、50nm〜50μm程度である。
【0016】(III)水熱合成 水熱合成は、既知の方法にしたがって行なわれる。典型
的な操作手順は以下の通りである。 (1)原料水溶液の調製 水熱合成法では、はじめに、原料となる各種の金属塩を
水に溶解または半溶解する。用いる金属塩は、合成しよ
うとする複合酸化物の構成元素である金属陽イオンと適
当な陰イオンとの組合わせである。一般的には、硝酸
塩、硫酸塩、塩化物、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素
酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩等の有機酸塩が
用いられる。無機塩濃度は、各化合物について0.05〜5.
0 mol/リットル程度が好ましい。濃度が低すぎると膜形成の
効率が低下する。濃度が高すぎると無機塩濃度が飽和
し、原料が均一に調整できず、膜の収量が低下したり、
均一な膜質・膜厚のものが得られにくい。pHは重要な
因子であり、合成しようとする複合酸化物により決ま
る。通常は、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、
水酸化カリウム等を用いてアルカリ性領域に調整する。
【0017】(2)水熱合成 水熱合成は上記の原料水溶液と基板をオートクレーブに
装入し加圧下に加熱して行なう。加圧・加熱することに
より常温常圧下では水に溶けにくい物質が溶解し、反応
速度が増大して、結晶の成長が促進される。加熱温度
は、原料となる金属塩の種類にもよるが、通常は110
〜180℃である。このような温度範囲で結晶を析出さ
せることにより、分極軸の揃った薄膜を得ることができ
る。密閉容器(オートクレーブ)中で加熱することによ
り加圧も同時に行なわれる。オートクレーブ内圧は一般
には温度によって決まるが、積極的に加圧してもよい。
1.4〜10.3気圧程度の圧力が好ましい。
【0018】結晶核生成と結晶成長の2段階に分けて水
熱合成を行なってもよい(特開平4-342489号)。また、
オートクレーブを鉛直方向(重力方向)に振動させつつ
水熱合成を行なってもよい。振動を加えることにより、
大面積で、かつ厚みの均一な複合酸化物薄膜を安定的に
製造することができる(特願平8-77044号)。振動の周
波数は1Hz以上、好ましくは3Hz〜30Hzとす
る。1Hz未満ではその効果が十分に発揮されない。振
動周波数が高くなると効果が飽和する上、オートクレー
ブ内の気体が気泡となって基板上に付着するなど、かえ
って薄膜の均一性が低下する。加熱、加圧及び振動を同
時に行なうためには、例えば、オイルバスや電気炉中に
上下に可動のステージまたは握持手段を設け、これにオ
ートクレーブを担持して電気モータやエアーモータによ
り上下動を加えればよい。
【0019】本発明においては、水熱合成された基板−
複合酸化物積層体の表面を封孔処理してもよい(特願平
8-277825号)。封孔処理は、(a)樹脂、セラミック等の
絶縁材料を用いて複合酸化物薄膜の多孔質部分及びピン
ホールを絶縁物で埋める処理をする方法、あるいは(b)
基板に金属を使用する場合に、複合酸化物薄膜を形成し
た後、基板−複合酸化物積層体を高温酸化性雰囲気下に
置き、薄膜による被覆がされていないか、あるいは被覆
が不十分なピンホール部分に絶縁性酸化物被膜を形成す
る方法のいずれかにより行なうことができる。処理に使
用する絶縁材料またはその前駆材料は、有機系及び無機
系のいずれでもよい。
【0020】有機系材料としては、例えば、塩化ビニ
ル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネー
ト、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ樹脂、フェノー
ル樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール、ポ
リサルフォン、液晶ポリマー、PEEK(ポリエーテル
エーテルケトン)等が挙げられる。また、無機系材料と
しては、アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニア等の
材料をベースにしたセラミックコーティング材料、金属
アルコキシドやポリシラザン等のセラミック前駆体等が
挙げられる。
【0021】(IV)圧電素子の形成 上記のようにして基板上に圧電体層を堆積した後、さら
にその上に電極を堆積ないし被覆することにより圧電素
子を形成する。圧電層上に形成される電極は、Al、N
i、Pt、Au、Ag、Cu等の導電材料からなる。膜
厚は通常1μm以下、より好ましくは0.1μm以下とす
る。電極形成方法はとくに限定されないが、例えば、無
電解メッキ法、スパッタリング法、蒸着法、導電ペース
トの塗布等によることができる。特にスパッタリング法
が好ましい。
【0022】
【実施例】以下、実施例により、本発明の光スイッチの
好適構成例を示すが、これらは例示であり、本発明はこ
れらに限定されるものではない。実施例1 図3に本発明の一態様による光スイッチ10を示す。光
スイッチ10は、基本的には、ハウジング11、並びに
その内部に収容された圧電素子板12、支持ブロック1
3及び出力端ブロック14、さらに制御ユニット(図示
していない。)からなる。入力光信号は光端子15によ
りスイッチ10内に導入される。光端子15には光ファ
イバ16が接続されており、この光ファイバ16は、ス
イッチ10内の空洞17を経て入力端子15とは反対側
の端部が圧電素子板12上に固定されている。なお、光
ファイバの圧電素子板上への固定は、例えば、エポキシ
系、シアノアクリレート系のような接着剤により行われ
る。
【0023】図4(図3のA−A′における断面図)に
示すように、圧電素子板12は、基板18上に圧電体層
19及び電極層20を設けてなる。圧電素子板12は、
その一方の端部が支持ブロック13内に嵌入し固定され
ている。固定部では、圧電素子板12の表面に設けられ
た電極層20が支持ブロック13に設けられた電極板2
1に接触している。電極板21は支持ブロックを貫いて
端子22に接続される。なお、この例では、基板の両面
に圧電体層を設けたバイモルフ構造を示しているが、基
板が導電体、例えば、Ti板等の金属板である場合に
は、これに接続する端子をさらに設けた3端子構造とし
てもよい。あるいは、基板の片面のみに圧電体層及び電
極層を設け、基板と前記電極層に電圧を印加するモノモ
ルフ構造としてもよい。圧電素子板の残りの部分はハウ
ジング11内の空洞17に突出しているため、端子22
を介して電圧を印加することによりこれを屈曲させ、そ
の上に固定された光ファイバ15の端面23の位置を変
位することができる。
【0024】すなわち、端子22間に電圧を印加しない
(つまり、両端子を同電位とした)状態では、図4に示
すように、圧電素子板12は支持ブロックから垂直に突
き出た位置にある。このとき、光ファイバ16の端面2
3は、位置a、すなわち、出力端ブロック14に埋め込
まれた出力側光ファイバ24の端面と対向する位置にあ
る(図3参照)。このため、光信号は光ファイバ24内
を伝搬し、端子27より出力される(図6)。ここで、
端子22間に電圧を印加すると、圧電素子板12が屈曲
し、光ファイバ16の端面23は、位置bに変位され
る。この結果、端面23は、出力端ブロック14に埋め
込まれた出力側光ファイバ25の端面(図4及び図5)
と対向することとなり、光信号は端子28より出力され
る(図6)。また、電圧を逆極性にして印加すると、圧
電素子板12は反対方向に屈曲する。この結果、光ファ
イバ16の端面23は、位置cに変位する。この結果、
端面23は、出力端ブロック14に埋め込まれた光ファ
イバ25の端面と対向することとなり、光信号は端子2
9より出力される(図6)。なお、光ファイバ24〜2
6の代わりに光導波路を用いてもよい。
【0025】この例では、圧電素子の位置を、電圧印加
なし、及び正極性及び逆極性印加の3つの位置とした
が、圧電素子に印加する電圧を調整することにより、さ
らに多数の位置を設定し、これにより、1×n型スイッ
チを構成してもよい。また、反対に、上記3状態のうち
のいずれか2つのみを有効にした1×2型スイッチとし
てもよい。あるいは、図7のように印加電圧なしの状態
で圧電素子板12がハウジングの底面に支持されるよう
にして状態aとbのみを有効にした1×2型スイッチと
してもよい。これらの場合、いずれのスイッチング位置
でも光ファイバ16または圧電素子板12がそれぞれハ
ウジングの内壁面に当接し固定されるので、端面23の
位置をより精密に、すなわちサブミクロン単位で位置決
めすることが可能であり、光ファイバ間の光軸ずれによ
る損失が最小限に抑えられる。かつスイッチ全体を薄型
化できる。
【0026】あるいはまた、図8に示すように圧電素子
板12をハウジング11の壁面と支持ブロック13によ
って両もち梁構造としてもよい。この場合、電圧(正極
性)印加時に圧電素子板12は中央が凸な湾曲構造とな
るので、光ファイバを安定に保持するためには圧電素子
板12の当該部分にV字溝30を設けることが好まし
い。図8(b)では圧電体にV字溝30を設けているが、
基板にV字溝を設けてその上に水熱合成膜を形成しもよ
い。また、ハウジング11の壁面からの張力は湾曲を妨
げるため、ハウジング11の壁面に凹みを設けるか該壁
面に突起31を設けて、圧電素子板12の保持を点接触
とし、ハウジング11の壁面からの張力の発生を防ぎつ
つ圧電素子板12の端部を拘束することが好ましい。ま
た、突起31により、外的振動に対し位置ずれが防止さ
れる効果もある。
【0027】なお、スイッチへの入力端子15及び出力
端子27〜29の構成は既知の光スイッチと同様であ
る。また、結合損失を低減するためには、ハウジング
内、特に光ファイバ16の端面23と光ファイバ24〜
26の端面が対向する位置にファイバのコアとほぼ等し
い屈折率を有する屈折率整合液を充填することが好まし
い。屈折率整合液としては、シリコーンオイル等を用い
ることができる。一般に光ファイバのコア部は、シング
ルモード光ファイバで数〜十μm程度、マルチモード光
ファイバで数十〜百μm程度である。このため、ファイ
バ移動型光スイッチでは、ファイバの精密な移動が必要
であるが、本発明の水熱合成膜を利用した光スイッチで
は上述のように精密な位置合わせを容易に行なうことが
可能となる。
【0028】実施例2 図9及び図10には実施例1とは異なる態様、具体的に
は光導波路変形型の光スイッチ40を示す。光スイッチ
40は、方向性結合器41の側面に圧電素子板42を設
けたものである。方向性結合器41は、クラッド内に入
力側光信号伝搬路45に続く光導波路コア43及びコア
44を含む。コア43と44は、結合部において近接し
た後(図10(a))、出力側の光信号伝搬路46及び4
7にそれぞれ続いている。図では、入出力端の光信号伝
搬路45、46、47を光導波路コアとして示している
が(わかりやすくするため周囲のクラッドを除いて示し
ている。)、これらは光ファイバでもよい。通常、結合
部の長さ(結合長)lはmmオーダーの値であり、コア
間隔dはμmオーダーの値である。本発明においては、
コア及びクラッドはアクリル樹脂、ポリカーボネート等
のポリマー等からなる可撓性材料で構成する。圧電素子
板42の構成は実施例1と同様である。
【0029】実施例1と同様にして圧電素子板42の表
裏に設けた電極に電圧を印加し、圧電素子板42を変形
させると、図9(b)に示すように、方向性結合器41も
変形する。この結果、結合長l及びコア間隔d及び結合
部の屈折率が変化する(図10(b))。信号分岐比、す
なわち、入力端45に信号入力した際における出力端4
7からの出力を全出力(46と47からの出力の合計
値)で割った比率は、信号を伝搬する光波長λ、コア及
びクラッドの屈折率、並びに結合長l及びコア間隔d等
により決まる。したがって、圧電素子板42への電圧印
加により、上記パラメータl及びdを変化させ、これに
より信号分岐比を変化させることができる。本発明で用
いる水熱合成膜は可撓性に優れ、かつ強い駆動力を示す
ため、分岐比を0〜100%程度の範囲で変化させるこ
とが可能であり、信号分配器及びスイッチとして有用で
ある。また、応答時間が数十ミリ秒程度と短いため、信
号変調手段として利用することも可能である。
【0030】なお、方向性結合器41は、常法にしたが
い、例えば、クラッドに溝を形成し、これにコア材料を
埋め込み、しかる後、これらをさらにクラッド層で被覆
することにより製造できる。また、図9には方向性結合
器41及び圧電素子板42の支持構造の詳細は示してい
ないが、図8(b)と同様に両もち梁構造とした圧電素子
板42の表面に方向性結合器41を接着剤で貼り付ける
構造が好ましい。
【0031】実施例3 図11〜13には本発明のさらに異なる態様による光ス
イッチ50を示す。図11に示す態様は1×2型スイッ
チである。ハウジング51には概ねY字型のファイバ収
納部52が設けられている。Y字の基部には入力側光フ
ァイバ53が収納される。Y字の腕部には出力側光ファ
イバ54と55が収納される。Y字の交差部にはスイッ
チング制御用端子56と57が設けられ、これは制御ユ
ニット(図示していない。)に接続している。図13に
示すように、入力側光ファイバ53の出力端(Y字の交
差部側)の外周面には好ましくはTi膜である金属被膜
58が設けられ、その上に水熱合成圧電体膜59が形成
されている。さらにその上に電極60と61が互いにフ
ァイバ53の軸に対して対称的にかつ分離して形成さ
れ、Ti膜58−圧電体膜59−電極60及びTi膜5
8−圧電体膜59−電極61が、それぞれ圧電素子を形
成している。電極60と61はそれぞれ、前記のスイッ
チング制御用端子56と57にリード線62と63を介
して接続される。光ファイバ上への金属被膜の形成は、
蒸着、無電解メッキ等の既知の方法にしたがって行えば
よい。分離電極の形成等は、適当なマスキング材を使用
するほかは通常の電極形成方法と同様である。
【0032】Ti膜58をアースして、電極60に正電
圧を電極61に負電圧を印加すると電極60側の水熱合
成膜はファイバ長手方向に縮み、電極61側がファイバ
長手方向に伸びるため、光ファイバ53の端部は屈曲し
て第1の出力側ファイバ54の端面に対向する。第1の
出力側ファイバ54の延長上には突起64が設けられて
いるため、光ファイバ53は光ファイバ54の端面と正
確に対向する。このため光軸ずれのない精密な光学的結
合が実現できる。また、印加電圧を反転させると、光フ
ァイバ53の端部は反対方向に屈曲して第2の出力側フ
ァイバ55の端面に対向する。第1の出力側ファイバ5
5の延長上には突起65が設けられているため、光軸ず
れのない精密な光学的結合が実現できる。損失を低減す
るためには、交差部内にはファイバのコアとほぼ等しい
屈折率を有する屈折率整合液を充填することが好まし
い。
【0033】この態様では圧電素子が光ファイバ自体に
形成されているため、光スイッチ全体の大きさを小さく
かつ薄いものとすることができる。また、スイッチング
速度が速い。なおかつ、出力側光ファイバ54と55は
分離部66により互いに分離されているため、信号を確
実に分離することができる。
【0034】以上の例では、一つの入力に対し複数の出
力を有する光スイッチの例を挙げたが、入出力を反対に
すれば複数の入力のいずれか一つを選択するような光ス
イッチを構成することもできる。また、これらのスイッ
チを一つ以上組み合わせることにより、複数の入出力の
任意の組を関連付けるマトリクス型光スイッチの構成も
可能である。
【0035】
【発明の効果】本発明の光スイッチでは、薄膜である水
熱合成膜を用いるため小型化が容易であり、かつ駆動電
圧を下げることができる。駆動電圧が低いため、電源と
して乾電池の利用も可能となるなど、装置全体の製造コ
スト及び装置の使用に伴うランニングコストも低減され
る。また、水熱合成では基板と圧電素子との間に接着剤
が介在しないため位置決め精度、温度安定性、耐久性及
び耐振動性が改善される。さらに、基板の材料について
は選択し得る範囲が広いため、所望の強度、可撓性の圧
電素子を設計し、用途に応じた光スイッチを製造するこ
とが可能である。また、任意の形状の基板を用い得るた
め、例えば、基板にV字溝を設けて光ファイバの保持を
安定化したり、光ファイバの外周面に圧電素子膜を形成
することも可能である。さらに光スイッチの切り換え速
度を上げることにより、本発明による光スイッチング技
術を変調器に応用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 光ファイバ移動型光スイッチの動作原理を説
明する模式図。
【図2】 光導波路結合型光スイッチの動作原理を説明
する模式図。
【図3】 本発明の光スイッチの一態様を示す、壁面を
部分的に除いた斜視図。
【図4】 図3のA−A′に沿って切断した断面図。
【図5】 図3のB−B′に沿って切断した断面図。
【図6】 図3の光スイッチの出力端側の端子の配置を
示した部分的斜視図。
【図7】 図3の光スイッチとは別の態様における図4
に相当する断面図。
【図8】 図3の光スイッチとは別の態様における図4
に相当する断面図。
【図9】 本発明による導波路変形型光スイッチの一態
様を示す斜視図。
【図10】 図9の光スイッチを導波路を横断するよう
にA−A′に沿って切断し、スイッチングの動作原理を
示した断面図。
【図11】 本発明によるさらに別の光スイッチを示す
斜視図。
【図12】 図12の光スイッチを水平に切断した断面
図。
【図13】 図12の光スイッチで用いる圧電素子を形
成した光ファイバの端面の積層構造を示す模式図。
【符号の説明】
1 光ファイバ(入力側) 2,3 光ファイバ(出力側) 4,5 光導波路コア部 6 光導波結合率増減手段 10 光スイッチ 11 ハウジング 12 圧電素子板 13 支持ブロック 14 出力端ブロック 15 光信号入力端子 16 光ファイバ 17 空洞 18 基板 19 圧電体層 20 電極層 21 電極板 22 端子 23 光ファイバ端面 24,25,26 光ファイバ 27,28,29 光信号出力端子 30 V字溝 31 突起 40 光スイッチ 41 光方向性結合器 42 圧電素子板 43,44 光導波路コア部 45,46,47 光信号伝搬路 50 光スイッチ 51 ハウジング 52 光ファイバ収納部 53 入力側光ファイバ 54,55 出力側光ファイバ 56,57 電極 58 金属層 59 圧電体層 60,61 電極層 62,63 リード線 64,65 突起
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H04B 10/02 H01L 41/18 101C 101D H04B 9/00 T

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水熱合成によって形成された圧電体に電
    圧を印加して変形させることにより光信号伝搬手段の位
    置または形状を変化させて光路を切り替える光スイッ
    チ。
  2. 【請求項2】 前記光信号伝搬手段が光ファイバである
    請求項1に記載の光スイッチ。
  3. 【請求項3】 光ファイバ端面を圧電素子上に担持する
    か、圧電素子の近傍に配置し、圧電素子の変形によって
    前記端面の位置または方向を変化させて光路を切り替え
    る請求項2に記載の光スイッチ。
  4. 【請求項4】 光ファイバの端面近傍における外周面上
    に圧電素子膜を形成し、圧電素子の変形によって前記端
    面の位置または方向を変化させて光路を切り替える請求
    項2に記載の光スイッチ。
  5. 【請求項5】 前記光信号伝搬手段が光導波路である請
    求項1に記載の光スイッチ。
  6. 【請求項6】 2つの光導波路を微小な空隙を隔てて平
    行に配設し、前記空隙の大きさを圧電素子の変形により
    制御して光導波路間の光学的な結合率を変化させる請求
    項5に記載の光スイッチ。
  7. 【請求項7】 圧電体が鉛またはチタンを含有する圧電
    性複合酸化物薄膜である請求項1〜6のいずれかに記載
    の光スイッチ。
  8. 【請求項8】 圧電性複合酸化物がチタン酸ジルコン酸
    鉛である請求項7に記載の光スイッチ。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018109883A1 (ja) * 2016-12-14 2018-06-21 オリンパス株式会社 光ファイバスキャナ、照明装置および観察装置

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