JPH10239298A - 液体クロマトグラフ質量分析装置 - Google Patents

液体クロマトグラフ質量分析装置

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JPH10239298A
JPH10239298A JP9059988A JP5998897A JPH10239298A JP H10239298 A JPH10239298 A JP H10239298A JP 9059988 A JP9059988 A JP 9059988A JP 5998897 A JP5998897 A JP 5998897A JP H10239298 A JPH10239298 A JP H10239298A
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JP
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voltage
ions
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capillary
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JP9059988A
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English (en)
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Yasufumi Tanaka
靖文 田中
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Shimadzu Corp
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Shimadzu Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 イオン化及び質量分析器へのイオンの導入を
最適に行なう。 【解決手段】 試料溶液が供給されるノズル11先端に
印加する高電圧の電流値を第1電流測定部14で、ヒー
テッドキャピラリ12に印加する電圧を第2電流測定部
16で検出する。イオン噴霧の状態が良好であるときに
は単位時間当たりに液滴に与える電荷量が大きくなるの
で、電流値Inは大きい。一方、ヒーテッドキャピラリ
12に捕捉されずに通り抜けるイオンが多いほど、電流
値Ihは小さい。そこで、制御部50は、Inが最大、I
hが最小となるように第1及び第2電圧発生部13、1
5の電圧を調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体クロマトグラ
フ質量分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図3は、液体クロマトグラフ質量分析装
置(LC/MS)の一例を示す概略構成図である。液体
クロマトグラフ部(LC部)70の分離カラム71内か
ら時間的に分離して溶出する試料溶液はインタフェイス
部80に導入され、ニードル81先端のノズルから噴霧
されイオン化される。発生したイオンは、インタフェイ
ス部80と質量分析部(MS部)90との間に設けられ
たヒーテッドキャピラリ82を通ってMS部90へと送
り込まれる。そして、イオンレンズ91により収束及び
加速されて四重極フィルタ92に送られ、特定の質量数
(質量m/電荷z)を有する目的イオンのみが四重極フ
ィルタ92を通り抜けて検出器93により検出される。
【0003】インタフェイス部80は、試料溶液を加
熱、高速気流、高電界等によって霧化させることで気体
イオンを生成するものであって、大気圧化学イオン化法
(APCI)やエレクトロスプレイイオン化法(ES
I)が最も広く使用されている。APCIでは、ニード
ル81先端の前方に針電極を配置しておき、ニードル8
1において加熱により霧化した試料溶液の液滴に、針電
極からのコロナ放電により生成したキャリアガスイオン
(バッファイオン)を化学反応させてイオン化を行な
う。一方、ESIでは、ニードル81に数kV程度の高
電圧を印加し、ニードル81先端付近に強い不平等電界
を発生させる。試料溶液はこの電界により電荷分離し、
クーロン引力により引きちぎられて霧化する。周囲の空
気に触れて液滴中の溶媒は蒸発し、気体イオンが発生す
る。
【0004】上記APCI又はESIのいずれの方法で
も、生成したイオンを含む液滴は加熱されているヒーテ
ッドキャピラリ82の中に飛び込み、ヒーテッドキャピ
ラリ82を通ってMS部90へ輸送される間に、液滴中
の溶媒の蒸発が進む。液滴のサイズが小さくなるとクー
ロン反発による自発的な液滴破壊が一層進行するので、
目的イオンの発生も促進される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記構成のLC/MS
において分析感度を向上するためには、インタフェイス
部80で試料溶液を効率的にイオン化すること、及び、
生成したイオンを無駄なく四重極フィルタ92(又は他
の質量分析器)へ導入することが重要である。このため
には、インタフェイス部80及びMS部90における各
種パラメータ(例えば、ESIを使用する際のニードル
81への印加電圧、ヒーテッドキャピラリ82の加熱温
度等)を適正に設定する必要がある。従来、実際に検出
器93の出力にてイオン量を測定しながら、測定者が上
記パラメータの幾つかをそれぞれ調整するようなことは
行なわれていた。しかしながら、これらのパラメータは
互いに関連することが多いため、それぞれのパラメータ
を適切に設定することは難しく、特に初心者にとっては
殆ど不可能であった。
【0006】本発明は上記課題を解決するために成され
たものであり、その目的とするところは、インタフェイ
ス部及び質量分析部の前段における各種パラメータを適
正に自動設定することにより、イオン化及び質量分析器
へのイオンの導入を最適に行なって分析感度を向上する
ことができる液体クロマトグラフ質量分析装置を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に成された本発明は、液体クロマトグラフ部から与えら
れる試料溶液を霧化及びイオン化するイオン化部と、該
イオン化部で生成したイオンを質量分析部へ輸送するた
めのキャピラリとを備える液体クロマトグラフ質量分析
装置において、 a)試料溶液を噴霧するためのニードルと、 b)該ニードル又は該ニードル先端の外側近傍に配置され
た放電電極に高電圧を印加する第1電圧印加手段と、 c)該第1電圧印加手段からの電圧により流れる電流を検
出する第1電流検出手段と、 d)前記キャピラリに電圧を印加する第2電圧印加手段
と、 e)該第2電圧印加手段からの電圧により流れる電流を検
出する第2電流検出手段と、 f)前記キャピラリを加熱する加熱手段と、 g)前記第1及び第2電流検出手段の検出値に基づいて前
記第1及び第2電圧印加手段並びに加熱手段を制御する
制御手段と、 を備えることを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】第1電流検出手段は、APCIの
構成又は配置では第1電圧印加手段から放電電極に供給
される電流を検出し、ESIの構成又は配置では第1電
圧印加手段からニードルに供給される電流を検出する。
APCIでは、放電電極からのコロナ放電により生成さ
れるバッファイオンと噴霧された液滴中の試料との化学
反応により目的イオンが発生し、一方、ESIでは、ニ
ードルに印加された電圧により霧化して帯電液滴とな
り、溶媒が蒸発して目的イオンが取り出される。従っ
て、いずれの場合にも、第1電流検出手段により検出さ
れる電流が大きいほど、ニードルからの液滴の噴霧の状
態が良好であると推測できる。
【0009】一方、キャピラリには、生成したイオンを
集めるために目的イオンと逆極性の電圧が第2電圧印加
手段により加えられる。この電圧によって生じる電流は
キャピラリに誘引され捕捉されたイオンに起因するか
ら、キャピラリに捕捉されずに通り抜けるイオンが多い
ほど第2電流検出手段の検出電流は小さくなる。また、
キャピラリは、その内部に飛び込んだ液滴を乾燥してイ
オン化を一層促進するために、加熱手段により適度な温
度に加熱される。ニードルからの噴霧の状態が良好であ
って飛び込む液滴の量が多いと、キャピラリの熱容量が
大きくなるから、加熱電力が変わらないとすると、キャ
ピラリの温度が低下して適正な液滴の乾燥が行なえなく
なる。
【0010】そこで、制御手段は、第1電流検出手段の
検出結果によりイオンの発生量を推定すると共に、第2
電流検出手段の検出結果によりキャピラリに捕捉される
イオンの量を推定する。そして、イオンの発生量が最大
となる一方キャピラリでのイオンの捕捉量が最小となる
ように印加電圧を調整すべく、第1及び第2電圧印加手
段を制御する。更に、第1電流検出手段の検出結果を基
に液滴量の増減に応じたキャピラリの熱容量の増減を考
慮し、加熱電力を調整するように加熱手段を制御する。
【0011】キャピラリには、通常、温度センサが設け
られており、制御手段は温度センサによる検出温度が所
定値となるように加熱電力を制御している。しかしなが
ら、このような加熱制御は既に発生した温度変動を修正
するものであり、液滴量の急激な増減による急峻な温度
変動を抑えることはできない。これに対し、上記のよう
に、第1電流検出手段の検出結果を用いて加熱制御を行
なうことにより、実際に温度変動が生じる以前に加熱電
力を調整することができるので、急峻な温度変動を抑制
することができる。
【0012】
【発明の効果】以上のように、本発明の液体クロマトグ
ラフ質量分析装置によれば、インタフェイス部及び質量
分析部の前段においてイオンの発生及びイオンの輸送が
最適な状態となるようにパラメータが自動的に調整され
る。これにより、測定者自身が面倒なパラメータの調整
を行なわずとも、より多くのイオンが四重極フィルタ等
の質量分析器に導入されるので、分析感度を向上させる
ことができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明に係る液体クロマトグラフ質量
分析装置の一実施例を図1により説明する。本実施例で
はイオン化インタフェイスとしてESIを利用してい
る。このLC/MSでは、ノズル11が配設された大気
圧下の霧化室10と質量分析器41(図1では四重極フ
ィルタを示したが、磁場型質量分析器等、他の質量分析
器であってもよい)が配設された高真空の質量分析室4
0との間に、第1及び第2中間真空室20、30が設け
られている。霧化室10と第1中間真空室20との間に
はヒーテッドキャピラリ12が、第1中間真空室20と
第2中間真空室30との間には極小径の通過孔を有する
スキマー22が設けられている。また、ヒーテッドキャ
ピラリ12とスキマー22との間にはイオンビームの通
過方向を挟んで対向する4面にそれぞれ偏向電極21a
〜21dが配置され、第2中間真空室30内にはイオン
ビームの通過方向に沿って5枚のレンズ電極31a〜3
1eが配置されている。第1中間真空室20はロータリ
ーポンプ(RP)によって約1Torr程度まで排気され、
第2中間真空室30はターボ分子ポンプ(TMP1)に
よって約10-3〜10-4Torr程度まで排気される。ま
た、質量分析室40はターボ分子ポンプ(TMP2)に
よって約10-5〜10-6Torr程度まで排気される。
【0014】前段のLC部のカラムに連結されているノ
ズル11には第1電圧発生部13から数kV程度の高電
圧が印加され、第1電流測定部14はこの印加電圧によ
って流れる電流を検出してその検出値Inを制御部50
に送る。ヒーテッドキャピラリ12には第2電圧発生部
15から電圧が印加され、第2電流測定部16はこの印
加電圧によって流れる電流を検出してその検出値Ihを
制御部50に送る。また、ヒーテッドキャピラリ12
は、加熱電力発生部18から供給される加熱電力によっ
て発熱するヒータ17により加熱され、密着して取り付
けられた白金センサ等の温度センサ19により検出され
た温度Trが制御部50へ送られる。
【0015】第1中間真空室20内の4枚の偏向電極2
1a〜21dにはそれぞれ第8〜第11電圧発生部23
a〜23d(第9及び第10電圧発生部23b、23c
は図中では省略している)から電圧が印加される。ま
た、第2中間真空室30内の5枚のレンズ電極31a〜
31e(レンズ電極31b〜31dの符号は図中には記
載していない)には、それぞれ第3〜第7電圧発生部3
2a〜32e(第4〜第6電圧発生部32b〜32dは
図中では省略している)から電圧が印加され、第3〜第
7電流測定部33a〜33e(第4〜第6電流測定部3
3b〜33dは図中では省略している)はこれらの印加
電圧によって流れる電流を検出して各検出値IL1〜IL5
を制御部50に送る。
【0016】制御部50は、例えばCPUを中心とした
マイクロコンピュータから構成されており、ノズル11
に供給された試料溶液を最適にイオン化すると共に発生
した目的イオンを無駄なく質量分析器41へ導入するた
めに、第1〜第11電圧発生部13、15、23a〜2
3d、32a〜32e及び加熱電力発生部18を以下の
ように制御する。
【0017】まず、試料溶液をイオン化する前に、第1
〜第11電圧発生部13、15、23a〜23d、32
a〜32eがそれぞれ予め定めた初期電圧を発生するよ
うに制御し、このとき第1〜第7電流測定部14、1
6、33a〜33eにて検出された電流値をそれぞれ暗
電流として記憶しておく。ここで、電流値In、Ih、I
L1〜IL5に対する暗電流を、それぞれInd、Ihd、ILd
1〜ILd5として表わす。
【0018】(1) ノズル及びヒーテッドキャピラリ
のパラメータ調整 ESIでは、ノズル11に印加された高電圧により生じ
る試料溶液の電荷の偏りによって帯電液滴が噴霧され、
液滴中の溶媒が蒸発したり液滴が分裂したりする過程で
イオンが発生する。従って、液滴の有する電荷は第1電
圧発生部13から印加される電圧によって与えられるも
のであり、ノズル11からの液滴の噴霧の状態は電流値
Inと関連している。すなわち、液滴の噴霧の状態が良
好であってイオンの発生量が多いときには、電流値In
は大きな値となる。
【0019】一方、ヒーテッドキャピラリ12には、イ
オンを含む帯電液滴を誘引するために、目的イオンと逆
極性の電圧(通常、数〜数十V程度)が第2電圧発生部
15により印加される。ヒーテッドキャピラリ12内に
飛び込んだ液滴は、ヒータ17により数百℃に加熱され
ているヒーテッドキャピラリ12を通り抜ける間に、溶
媒が蒸発しイオンの生成が促進される。しかしながら、
一部の帯電液滴(又はイオン)は、ヒーテッドキャピラ
リ12に接触し電荷を放出する。これが、第2電圧発生
部15からの印加電圧により流れる電流となる。従っ
て、ヒーテッドキャピラリ12に捕捉されずに通り抜け
るイオンの度合が高いほど、電流値Ihは小さな値とな
る。
【0020】そこで、イオン化の際に、制御部50は電
流値In、Ihを取得すると、それぞれ暗電流Ind、Ihd
を減じた、イオンによる電流の増加分(In−Ind)、
(Ih−Ihd)を算出する。そして、(In−Ind)が最
大となり、(Ih−Ihd)が最小となるように、第1電
圧発生部13の印加電圧、第2電圧発生部15の印加電
圧及び加熱電力発生部18の加熱電力をそれぞれ決定す
る。
【0021】具体的には、例えば、次のような手順で各
パラメータを決定する。まず、第2電圧発生部15の印
加電圧を所定の基準電圧(上記初期電圧と同じでよい)
に設定すると共に、温度センサ19で検出する温度Tr
が所定温度となるように加熱電力発生部18の加熱電力
を設定する。そして、その状態で第1電圧発生部13の
印加電圧を所定の範囲内で走査し、(In−Ind)が最
大となる電圧を探して、第1電圧発生部13の印加電圧
をその値に設定する。次に、第2電圧発生部15の印加
電圧を基準電圧を中心とした所定範囲内で走査し、(I
h−Ihd)が最小となる電圧を探して、第2電圧発生部
15の印加電圧をその値に設定する。更に、再度、第1
電圧発生部13の電圧を先に設定した電圧を中心に所定
範囲で走査し、(In−Ind)が所定値以上増加する電
圧がその範囲内で存在するか否かを調べ、そのような電
圧が存在しないときには、第1及び第2電圧発生部1
3、15の電圧を先の設定電圧に決定する。もし、(I
n−Ind)が所定値以上増加するような電圧が存在する
場合には、その電圧を第1電圧発生部13の新しい設定
電圧とし、再び第2電圧発生部15の印加電圧を走査し
て(Ih−Ihd)が最小となる電圧を探す。そして、こ
のような処理を繰り返すことにより最適な設定電圧を決
定する。
【0022】第1及び第2電圧発生部13、15の設定
電圧が決定したならば、次に加熱電力を決定する。制御
部50は、温度センサ19による現時点での検出温度T
r、制御目標温度及びヒーテッドキャピラリ12の熱容
量をパラメータとする所定の計算式に基づいてヒータ1
7に供給すべき電力を算出し、加熱電力発生部18を制
御する。ヒーテッドキャピラリ12の熱容量は、ノズル
11からの液滴の噴霧状態に依存している。すなわち、
噴霧量が多くヒーテッドキャピラリ12内に飛び込む液
滴量が多いと、熱がより多く奪われるため熱容量が増加
する。逆に、噴霧量が少なくヒーテッドキャピラリ12
に飛び込む液滴量が少ないと、熱が奪われ難いため熱容
量は低下する。上述のように、(In−Ind)に基づい
て液滴の噴霧状態は推定できるから、制御部50は(I
n−Ind)に応じて熱容量のパラメータを修正する。こ
れにより、温度センサ19により実際の温度変化を検知
する以前に、液滴量に応じてヒータ17に供給する加熱
電力が調整される。このため、ヒーテッドキャピラリ1
2の温度が安定し、液滴中の溶媒の蒸発が適切に行なわ
れる。
【0023】(2)偏向電極及びレンズ電極のパラメー
タ調整 ヒーテッドキャピラリ12を通過してきたイオンは第1
中間真空室20に導入され、4枚の偏向電極21a〜2
1dで囲まれる空間に入る。通常、4枚の偏向電極21
a〜21dには目的イオンと同極性の直流電圧(通常、
数十V程度)が印加される。このため、目的イオンは各
偏向電極21a〜21dにより反発され、中央側に収束
される。また、4枚の偏向電極21a〜21dに印加す
る電圧の大きさを後述のようにそれぞれ適当に設定する
ことにより、収束されたイオン及び荷電粒子のビームを
偏向させることができる。従って、例えば、ヒーテッド
キャピラリ12から出射するビームの方向とスキマー2
2の微小孔との位置がずれていても、ビームをスキマー
22の微小孔に正しく導くことができる。また、意図的
にスキマー22の微小孔の位置をずらすことにより、質
量数の大きな荷電粒子を排除した上で目的イオンから成
るビームをスキマー22の微小孔に通過させるようにす
ることもできる。
【0024】スキマー22の微小孔を通過してきたイオ
ンは第2中間真空室30に導入され、中央が円形状に開
口した円板形状のレンズ電極31a〜31eによって加
速される。各レンズ電極31a〜31eには目的イオン
と逆極性の電圧を印加し、各電圧を適当に調整すること
によりイオンに与える運動エネルギーを制御することが
できる。各レンズ電極31a〜31eに流れる電流は、
ヒーテッドキャピラリ12と同様に、各レンズ電極31
a〜31eに捕捉されるイオン(又は荷電粒子)に起因
する。従って、途中で捕捉されずに通過するイオン量が
多いほど電流値IL1〜IL5は小さな値となる。
【0025】さて、第1中間真空室20内の偏向電極2
1a〜21dによりイオンビームの収束のみを行なって
(偏向は行なわない)スキマー22を通過するように制
御する場合、最適な収束を行なう電圧は次のように決定
することができる。すなわち、偏向電極21a〜21d
にて最適の収束が行なわれたとき、スキマー22を通過
して初段のレンズ電極31aに達したイオンビームの広
がりは最小となる。イオンビームが広がらずにレンズ電
極31aの開口に入射すると、レンズ電極31aに捕捉
されるイオンは極めて少なくなり電流値IL1は小さくな
る。そこで、制御部50は、電流値IL1が最小となるよ
うに第8〜第11電圧発生部23a〜23dから偏向電
極21a〜21dに印加する電圧をそれぞれ調整する。
【0026】具体的には、例えば、次のような手順で各
電圧を決定する。まず、第8〜第11電圧発生部23a
〜23dの印加電圧を所定の基準電圧に設定しておく。
そして、第8電圧発生部23aの印加電圧のみをその基
準電圧を中心とする所定範囲内で走査し、電流値IL1が
所定値以上減少する電圧がその範囲内に存在するか否か
を調べる。そのような電圧が存在しないときには、第8
電圧発生部23aの印加電圧をその基準電圧として、次
に第9電圧発生部23bの印加電圧を基準電圧を中心と
する所定範囲内で走査し、電流値IL1が所定値以上減少
する電圧がその範囲内に存在するか否かを調べる。この
ようにして、順次、各偏向電極21a〜21eに印加す
る電圧を独立に走査して電流値IL1が最小となる電圧を
探し、偏向電極21a〜21eへの印加電圧を決定す
る。
【0027】続いて、レンズ電極31a〜31eへの印
加電圧を、スキマー22に近接した側から順番に、各レ
ンズ電極31a〜31eに流れる電流が最小となるよう
に調整する。すなわち、第3電流測定部33aで検出し
た電流値IL1から暗電流ILd1を減じた(IL1−ILd1)
が最小となるように第3電圧発生部32aの印加電圧を
調整する。次に、第4電流測定部33bの電流値IL2か
ら暗電流ILd2を減じた(IL2−ILd2)が最小となるよ
うに第4電圧発生部32bの印加電圧を調整する。同様
に、第5〜第7電圧発生部32c〜32eの印加電圧を
調整する。
【0028】次いで、第3〜第7電流測定部33a〜3
3eの電流値の総和(IL1+IL2+IL3+IL4+IL5)
からそれらの暗電流の総和(ILd1+ILd2+ILd3+IL
d4+ILd5)を減じた総和電流値が最小となるように、
第3〜第7電圧発生部32a〜32eの印加電圧を調整
する。例えば、第3電圧発生部32aから順に、先に設
定された印加電圧を中心とした所定範囲内で電圧を走査
し、総和電流値が所定値以上減少する電圧がその範囲内
に存在するか否かを調べる。そして、第7電圧発生部3
2eまで順次、それぞれ電圧の走査を行ない、総和電流
値がより小さくなる電圧が存在したならば印加電圧を設
定し直す。
【0029】なお、スキマー22とレンズ電極31aと
の間に引き出し電極が存在する場合には、同様の方法に
より引き出し電極に印加する電圧も決定することができ
る。また、各段においてパラメータを決定する際には、
質量分析器41の後段の検出器により測定されるイオン
量等の他の検出値を併用するようにしてもよい。
【0030】以上のように、本実施例のLC/MSで
は、霧化室10におけるイオンの生成及びヒーテッドキ
ャピラリ12を通したイオンの輸送に関連するパラメー
タを最適に設定することができると共に、更にその後段
の第1及び第2中間真空室20、30におけるイオンの
収束及び加速に関連するパラメータも最適に設定するこ
とができる。従って、最適なイオン化を行なうと共に発
生したイオンを無駄なく質量分析室40に導入すること
ができるので、より多くの目的イオンが後段に配置され
たMS部の検出器に到達する。
【0031】なお、図1の構成では、イオン化のために
ネブライザガスを用いていないが、ノズル11の周囲か
ら噴霧と同軸状にネブライザガスを噴出し、電離した試
料溶液を強制的に噴霧する構成としてもよい。このよう
な構成とすることにより、特に試料溶液の流入量が多い
場合でもイオン化を安定的に行なうことができる。
【0032】次に、本発明に係るLC/MSの他の実施
例を図2に示す。この実施例はAPCIによりイオン化
を行なうものであって、霧化室10内のノズル11周辺
の構成が上記実施例とは異なるので、その部分のみを図
2に示している。本実施例によるLC/MSでは、ノズ
ル11とヒーテッドキャピラリ12との間には針状の放
電電極61が配置され、放電電極61には第1電圧発生
部13から数kV程度の高電圧が印加される。また、ノ
ズル11には高電圧が印加される代わりにヒータ62が
密着して設けられ、第2加熱電力発生部63から供給さ
れる加熱電力により適度に加熱されるようになってい
る。
【0033】上記構成の動作は次の通りである。LC部
のカラムから供給される試料溶液は、適度に(例えば2
00〜400℃)に加熱された細径のノズル11を通っ
て大気圧下に噴霧される。噴出した液滴は大気圧のガス
分子と衝突し、更に微細な液滴に粉砕され、速やかに乾
燥して(脱溶媒化されて)試料分子が気化する。この気
体微粒子は放電電極61からのコロナ放電により生成さ
れるバッファイオンと接触し、化学反応を生じてイオン
化される。
【0034】このとき、イオンの有する電荷は放電電極
61からのコロナ放電により与えられるから、ノズル1
1からの噴霧の状態が良好であって液滴が多く発生して
いるときには、放電電極61に流れる電流も増加する。
このときの電流は、定常的に流れる定常電流成分と放電
した瞬間に流れる非定常電流成分とを加算したものとな
っているので、第1電流測定部14では、検出した電流
値のうちの非定常電流成分のみを抽出し電流値Inとし
て制御部50へ送る。
【0035】この場合にも、イオン噴霧の状態が良好で
あるときに電流値Inは大きくなるから、上記実施例と
同様に、電流値In及びIhに基づき第1及び第2電圧発
生部13、15の印加電圧を調整することができる。
【0036】更には、上記実施例は一例であって、本発
明の趣旨の範囲で適宜変更や修正を行なえることは明ら
かである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の液体クロマトグラフ質量分析装置の
実施例の構成図。
【図2】 本発明の液体クロマトグラフ質量分析装置の
他の実施例におけるイオン化部の構成図。
【図3】 液体クロマトグラフ質量分析装置の概略構成
図。
【符号の説明】
11…ノズル 12…ヒーテッドキャピラリ 13、15、23a〜23d、32a〜32e…電圧発
生部 14、16、33a〜33e…電流測定部 17…ヒータ 18…加熱電力発生部 21a〜21d…偏向電極 31a〜31e…レンズ電極 50…制御部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体クロマトグラフ部から与えられる試
    料溶液を霧化及びイオン化するイオン化部と、該イオン
    化部で生成したイオンを質量分析部へ輸送するためのキ
    ャピラリとを備える液体クロマトグラフ質量分析装置に
    おいて、 a)試料溶液を噴霧するためのニードルと、 b)該ニードル又は該ニードル先端の外側近傍に配置され
    た放電電極に高電圧を印加する第1電圧印加手段と、 c)該第1電圧印加手段からの電圧により流れる電流を検
    出する第1電流検出手段と、 d)前記キャピラリに電圧を印加する第2電圧印加手段
    と、 e)該第2電圧印加手段からの電圧により流れる電流を検
    出する第2電流検出手段と、 f)前記キャピラリを加熱する加熱手段と、 g)前記第1及び第2電流検出手段の検出値に基づいて前
    記第1及び第2電圧印加手段並びに加熱手段を制御する
    制御手段と、 を備えることを特徴とする液体クロマトグラフ質量分析
    装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007266007A (ja) * 2000-10-23 2007-10-11 Simon Fraser Univ 個別粒子を生成する方法及び機器
JP2008053020A (ja) * 2006-08-24 2008-03-06 Shimadzu Corp 質量分析装置
JP2011246751A (ja) * 2010-05-25 2011-12-08 National Institute Of Information & Communication Technology 分子ビーム発生装置及び分子堆積装置
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