JPH10239228A - 粒子衝突試験装置 - Google Patents

粒子衝突試験装置

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JPH10239228A
JPH10239228A JP4588497A JP4588497A JPH10239228A JP H10239228 A JPH10239228 A JP H10239228A JP 4588497 A JP4588497 A JP 4588497A JP 4588497 A JP4588497 A JP 4588497A JP H10239228 A JPH10239228 A JP H10239228A
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sabot
particles
particle
hole
lip
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JP4588497A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Kawaura
宏之 川浦
Yoshihiro Oishi
芳宏 大石
Akihiro Ishihara
章博 石原
Kazuaki Nishino
和彰 西野
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Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】サボットによる粒子の保持安定性を低下させる
ことなく、粒子射出速度を向上可能な粒子衝突試験装置
を提供することをその目的としている。 【解決手段】サボット1の前端面101に凹設された保
持穴102の前面開口の周囲に、この前面開口を粒子7
の射出方向と直角な方向の幅未満に狭搾する可撓性のリ
ップ103が形成される。更に、サボットストッパ3の
射出孔31の入口は、リップ102の前方または半径方
向への変形を可能とする大きさをもつように形成され
る。このようにすれば、サボット1による粒子7の安定
保持を実現しつつサボット1の変形による粒子射出速度
抑圧を回避することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、対象物の耐衝撃性
能などを試験するための粒子衝突試験装置の改良に関す
る。
【0002】
【従来の技術】粒子を保持する保持穴が前端面に開口さ
れるサボットと、サボットの前端面が先端面となる姿勢
でサボットをガス圧により加速する筒部を有する加速装
置と、サボット通過不能に筒部の先端開口に連通する射
出孔を有して筒部の先端開口に配設されるサボットスト
ッパとを備え、サボットストッパに射突したサボットか
ら目標へ粒子を射出する粒子衝突試験装置が、従来より
知られている。
【0003】この試験装置では、衝突時のサボット変形
により保持穴の内径が縮小して粒子を押し付け、これに
より粒子射出速度が低下してしまうという問題があっ
た。この問題の解決のために、特開平4ー15539号
は、サボットとサボットストッパとの衝突面より前方へ
略筒状の突起を突設し、この突起に上記保持穴を設ける
ことにより、衝突時に、衝突面などからサボット内部を
通じてこの突起に伝播する衝撃が保持穴を径内方向へ変
形させるのを抑止することを提案している。
【0004】また、特開平4ー15539号は、サボッ
トの前端面に穴を設け、この穴に保持穴をもつ発泡スチ
ロールのような軟質体を嵌め込むことも提案している。
このような軟質体を用いれば、たとえ保持穴の内径が縮
小しても軟質体が粒子へ与える力の影響は当然、小さく
なると推測される。更に、特開平4ー15539号は、
サボットの衝突面近傍、特に保持穴の径外側に位置する
サボットの外周部分が、衝突時に径外方向へ変形して上
記加速用の筒部の内周面に衝突し、その衝撃または反作
用により保持穴が径内方向へ縮小することを防止するた
めに、サボットの外周部の前端部分を面取りしたり、サ
ボットストッパ近傍において上記加速用の筒部の内周面
を拡径したりすることを提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、衝突
時のサボット変形により、その保持穴は通常ではどうし
ても縮径方向に変形し、これにより粒子射出速度の低下
を招いてしまう。すなわち、衝突により、サボットはそ
の粒子射出方向に強く圧縮され、それに応じてサボット
の外周部は拡径方向へ、サボットの内周部すなわち保持
穴の周囲は保持穴を縮径する方向(縮径方向)へ変形
し、粒子はサボットの内周面により圧迫される。
【0006】この問題は、保持穴の内径を粒子径より十
分に大きく設定しておけば、元々発生することはないも
のである。しかしながら、このように保持穴に粒子をた
だ遊嵌しただけでは、ガス圧が衝撃的にサボットに作用
した際、サボットがサボットストッパに衝突する以前
に、粒子がサボットから飛び出してしまったり、きわめ
て小さい粒子がサボットから脱落したのを知らずに試験
を行ってしまったり、あるいはサボットから飛び出す粒
子の射出方向のぶれが大きくなってしまったりするなど
の不具合が生じてしまう。
【0007】また、穴内壁と粒子の摩擦力で粒子を保持
する方法もあるが、特に小さい粒子の場合には重量が小
さく、摩擦力を一定にするには加工精度を良くしなけれ
ばならず、加工が問題となった。これらの種々の問題を
考慮すると、やはりサボットの保持穴は穴の加工精度に
関係なく、更に粒子をがたつきなしに安定に保持するこ
とが重要であることがわかる。
【0008】結局、上記説明から、サボットは、粒子を
がたつきなく安定に保持するとともに、衝突時に保持穴
内の粒子に大きな縮径方向の力を印加しない特性をもつ
必要があることが理解される。なお、この種の試験装置
で高精度の試験結果を得るためには、粒子速度を厳密に
制御することが必要条件である。従って、サボットによ
る上記粒子の減速抑止は試験精度の向上の点で特に重要
である。
【0009】これに対し、特開平4ー15539号の第
一の提案である、衝突面より前方へ突設した略筒状の突
起に保持穴を設けるという案によれば、確かに衝突時に
おけるサボットの外周部の変形エネルギーにより保持穴
が縮径されるという不具合は解決されるが、保持穴をも
つ上記略筒状の突起も衝突時にその基端から伸びようと
するのでその結果、保持穴が縮径方向に変形して粒子を
径内方向へ押し付けてしまい、その結果、依然としてそ
の射出を妨げる。また、それを防止するために、保持穴
を最初から拡径しておくと、保持穴内で粒子ががたつ
き、また、保持穴の内壁と粒子の摩擦力で保持しようと
すると摩擦力を一定とすることが難しいなどの理由によ
る上記各種不具合を発生する。
【0010】また、特開平4ー15539号の第二の提
案である保持穴を発泡スチロールのような軟質体に設け
るという案によれば、微少な粒子を保持するためには構
造が複雑となり、また、粒子の安定保持が困難となって
保持穴から粒子が脱落しやすくなるという問題が新たに
生じてしまう。更に、特開平4ー15539号の第三の
提案である、サボットの外周部の前端部分を面取りした
り、サボットストッパ近傍において上記加速用の筒部の
内周面を拡径したりすることにより、衝突時におけるサ
ボットの外周部の径方向変形エネルギが縮径方向に向か
うのを減少させるという案も、確かに幾分かの保持穴縮
径エネルギの減殺は可能とするものの、上述したサボッ
トによる粒子の安定保持を実現しつつサボット変形によ
る粒子射出速度抑圧問題を解決するという困難な問題を
解決するには、到底不十分であった。
【0011】本発明はこのような従来の問題点に着目し
てなされたもので、サボットによる粒子の保持安定性を
低下させることなく、粒子射出速度を向上可能な粒子衝
突試験装置を提供することをその目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の装置によ
れば、サボットの前端面に凹設された保持穴の前面開口
の周囲に、この前面開口を粒子の射出方向と直角な方向
の幅未満に狭窄する可撓性のリップが形成される。更
に、サボットストッパの射出孔の入口は、リップの前方
への湾曲を可能とする大きさをもつように形成される。
【0013】このようにすれば、サボットによる粒子の
安定保持を実現しつつサボット変形による粒子射出速度
抑圧を回避することができる。更に詳しく説明すると、
リップは保持穴の前面開口の周囲からこの前面開口を狭
窄する形状に突設されているので、粒子が、サボット衝
突時以外に保持穴から脱落したり、またはわずかの付勢
により保持穴から飛び出したりするのを良好に防止する
ことができる。
【0014】一方、サボットがサボットストッパに衝突
する際には、サボットは瞬時的に停止されるものの、リ
ップは、粒子の運動エネルギーにより強く前方へ付勢さ
れ、これにより、リップは前方又は半径方向へ容易に変
形し、これによりリップによる保持穴の狭窄は解除さ
れ、粒子は自己の運動エネルギーをほとんど失うことな
く、保持穴から射出されることができる。
【0015】従って、上述したように、リップが粒子の
脱落や衝突前の飛び出しを防止するために、保持穴の幅
(通常は直径)を制限して粒子を所定値以上の摩擦力な
どで保持穴に保持するなどの工夫が不要となる。このた
め、たとえ衝突時にサボットが保持穴を縮径させる方向
へ変形しても、衝突と同時にリップの変形も始まり、粒
子の射出が開始されるため、保持穴の内面から粒子の外
周にかかる押圧力は無視できるかあるいは非常に小さく
なり、粒子の射出エネルギーのロスを減少することがで
きる。
【0016】請求項2記載の装置によれば、サボットス
トッパに、射出孔と外部とを連通するガス抜き部(例え
ば孔又は溝)が形成される。このようにすれば、サボッ
トが加速装置の管内を加速されつつ進行する場合、サボ
ットがサボットストッパに衝突するまでの間にサボット
によりサボット前方のガスが圧縮されたり、あるいはサ
ボット後方のガスがサボットの前方へ回り込んだりした
としても、それらを射出孔だけでなく、上記ガス抜き部
からも排除することができるので、その結果として管内
のサボット前方のガス圧増大を抑止することができ、そ
の分だけサボットの加速性を改善することができる。
【0017】なお、前記ガス抜き部は、射出孔の手前に
配設することが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、前記発明をさらに具体的
にした発明やこれら発明の実施の形態について説明す
る。 (第1実施形態)第1実施形態の粒子衝突試験装置は、
粒子を保持する保持穴が前端面に凹設されるサボット
と、前記サボットの前記前端面が先端面となる姿勢で前
記サボットをガス圧により加速する筒部を有する加速装
置と、前記サボット通過不能に前記筒部の先端開口に連
通する射出孔を有して前記筒部の先端開口に配設される
サボットストッパとを備え、前記サボットストッパに射
突した前記サボットから前記射出孔を通じて前方へ前記
粒子を射出する粒子衝突試験装置であって、前記保持穴
の前面開口の周囲に形成されて前記前面開口を前記粒子
の射出方向と直角な方向の幅未満に狭窄する可撓性のリ
ップを有し、かつ、前記サボットストッパの射出孔は、
前記粒子の貫通に先立って前記リップの前方又は半径方
向への変形を可能とする大きさを有する。
【0019】特に、本試験装置は、前記リップが、撓ん
だ場合に前記前面開口の前方側に変形して、前面開口を
前記粒子の射出方向と直角な方向の幅以上に拡大するこ
とを特徴としている。この装置によれば、リップの可撓
性または剛性は、衝突により撓んだ場合に保持穴の前面
開口を、粒子の射出方向と直角な方向の幅(粒子が球形
または砲弾形、または円柱形の場合は直径)以上に拡大
するように、設定されている。このようにすれば、粒子
の運動エネルギーのロスを一層低減することができる。 (第2実施形態)第2実施形態の粒子衝突試験装置は、
粒子を保持する保持穴が前端面に凹設されるサボット
と、前記サボットの前記前端面が先端面となる姿勢で前
記サボットをガス圧により加速する筒部を有する加速装
置と、前記サボット通過不能に前記筒部の先端開口に連
通する射出孔を有して前記筒部の先端開口に配設される
サボットストッパとを備え、前記サボットストッパに射
突した前記サボットから前記射出孔を通じて前方へ前記
粒子を射出する粒子衝突試験装置であって、前記保持穴
の前面開口の周囲に形成されて前記前面開口を前記粒子
の射出方向と直角な方向の幅未満に狭窄する可撓性のリ
ップを有し、かつ、前記サボットストッパの射出孔は、
前記粒子の貫通に先立って前記リップの前方又は半径方
向への変形を可能とする大きさを有する。
【0020】特に、本試験装置は、前記前面開口から前
記保持穴の底面までの前記保持穴の深さが、前記粒子の
射出方向の長さ未満に形成され、前記リップが、前記粒
子の前半部分の先細の周面に密着している前記粒子を保
持することを特徴としている。この装置によれば、保持
穴の深さは、粒子の射出方向の長さ未満に形成され、リ
ップが粒子の前半部分の先細の周面に密着される。この
ようにすれば、サボット衝突時の粒子の移動距離が短く
なり、衝突時における保持穴からの粒子の射出は一層容
易となり、更に、衝突時における保持穴縮径が粒子に与
える影響もそれだけ小さくなる。その結果として、粒子
の運動エネルギーのロスを一層低減することができる。
【0021】なお、このような姿勢で粒子を保持穴に安
定保持できるのは、リップが粒子の前半部分の先細の周
面に密着しているために、粒子が自由に動くことがな
く、衝突と同時に前方に射出できるという作用効果も働
くためである。本装置において、粒子が球からなる場
合、保持穴の内径はほぼ粒子直径に当然、等しくされ、
保持穴の深さは、粒子直径より短く設定される。保持穴
の深さは好ましくは、粒子直径の半分より大きく、その
0.8倍より小さく設定される。このようにすれば、衝
突時における保持穴縮径が粒子に与える影響を一層低減
でき、大きな射出速度を実現することができる。 (第3実施形態)第3実施形態の粒子衝突試験装置は、
粒子を保持する保持穴が前端面に凹設されるサボット
と、前記サボットの前記前端面が先端面となる姿勢で前
記サボットをガス圧により加速する筒部を有する加速装
置と、前記サボット通過不能に前記筒部の先端開口に連
通する射出孔を有して前記筒部の先端開口に配設される
サボットストッパとを備え、前記サボットストッパに射
突した前記サボットから前記射出孔を通じて前方へ前記
粒子を射出する粒子衝突試験装置であって、前記保持穴
の前面開口の周囲に形成されて前記前面開口を前記粒子
の射出方向と直角な方向の幅未満に狭窄する可撓性のリ
ップを有し、かつ、前記サボットストッパの射出孔は、
前記粒子の貫通に先立って前記リップの前方又は半径方
向への変形を可能とする大きさを有する。
【0022】特に、本試験装置は、前記前面開口から前
記保持穴の底面までの前記保持穴の深さが、前記粒子の
射出方向の長さ未満に形成され、前記リップが、前記粒
子の前半部分の先細の周面に密着している前記粒子を保
持し、更に、前記粒子の先端部が、前記リップから更に
前方に突出した状態で前記保持穴に保持されていること
を特徴としている。
【0023】この装置によれば、保持穴に保持される粒
子の先端部は、リップから更に前方に突出される。この
ようにすれば、衝突時における粒子の飛び出しが円滑と
なり、飛び出し方向がぶれることも少なくなる。 (第4実施形態)第4実施形態の粒子衝突試験装置は、
粒子を保持する保持穴が前端面に凹設されるサボット
と、前記サボットの前記前端面が先端面となる姿勢で前
記サボットをガス圧により加速する筒部を有する加速装
置と、前記サボット通過不能に前記筒部の先端開口に連
通する射出孔を有して前記筒部の先端開口に配設される
サボットストッパとを備え、前記サボットストッパに射
突した前記サボットから前記射出孔を通じて前方へ前記
粒子を射出する粒子衝突試験装置であって、前記保持穴
の前面開口の周囲に形成されて前記前面開口を前記粒子
の射出方向と直角な方向の幅未満に狭窄する可撓性のリ
ップを有し、かつ、前記サボットストッパの射出孔は、
前記粒子の貫通に先立って前記リップの前方又は半径方
向への変形を可能とする大きさを有する。
【0024】特に、本試験装置は、前記リップが、前記
粒子を前記保持穴に挿入する場合に前記粒子の前側にス
プリングバック可能な弾性を有することを特徴としてい
る。この装置では、リップは、粒子を保持穴に挿入する
際に拡径し、挿入後に粒子の前側にスプリングバックす
る弾性を有する。このようにすれば、粒子を保持穴の後
方から挿入する必要がないので、作業及びサボット構造
の簡素化を図ることができる。
【0025】
【実施例】本発明の粒子衝突試験装置の好適な態様を以
下の実施例により説明する。 (実施例1)本実施例の粒子衝突試験装置の基本構成を
図1を参照して説明する。1はサボット、2はサボット
を加速する加速装置、3はサボットストッパ、4はガス
ボンベ、5は試験片、6は試験片を保持するホルダであ
り、図1はサボット1がサボットストッパ3に衝突した
直後を示す。
【0026】加速装置2は、ガス室11を有するガス発
生部12と、電磁弁からなる弁13と、ガス発生部12
の前端面に設けられてサボット1及び粒子を装填する装
填部16と、装填部16の前端面から前方へ伸びる加速
筒部14とを有する。加速筒部14の内部の基端開口は
サボット1を装填する孔19及び弁13を介してガス室
11に連通している。ガス室11には、定圧弁40を通
じてガスボンベ4から高圧ヘリウムガスが導入されてい
る。加速筒部14の先端部には、固定台18が嵌着、固
定されており、固定台18の前端面は垂直平面となって
いる。サボットストッパ3は衝突後のサボット1を取り
出し易いように固定台18にボルト締めなどで固定され
ている。サボットストッパ3の中央部には、加速筒部1
4の内孔15と同じ径で、サボット1の長さと同じ深さ
の孔17(図6参照)が内孔15に連通して形成されて
おり、更に、孔17から前方へ向けて孔17より径小な
射出孔31(図6参照)が形成されている。
【0027】この試験装置の動作を以下に説明する。加
速筒部14の基端部に接続されている装填部16にサボ
ット1を挿入してから、弁13を開くと、ガス室11か
らサボット1の後端に向けて高圧ガスが流入し、サボッ
ト1は加速筒部14の内で毎秒数百メートル程度まで加
速されてサボットストッパ3に衝突し、それにより、サ
ボット1から飛び出した粒子7はサボットストッパ3の
射出孔31を貫通して試験片5に射突する。粒子7の速
度は、サボット1がサボットストッパ3に衝突した後、
試験片5に衝突するまでの時間を計測して求める。
【0028】衝突前のサボット1の断面図を図2に示
す。サボット1は、軽量であり、比較的軟質の材料(た
とえばポリエチレンやポリアセタール)を素材とする短
円柱体であって、その前端面101の中央には保持穴1
02が凹設されている。サボット1の前端面101に
は、保持穴102の全周縁から粒子7の表面に接してリ
ップ103が環状に形成されている。なお、サボット1
を比較的軟質の材料で形成するのは、サボットストッパ
3の破損、劣化を低減するためである。
【0029】粒子7は、直径0.2〜5ミリ、重量0.
01〜1000ミリグラム程度の球体からなり、保持穴
102に保持されている。粒子7の素材は衝突速度、試
験片の材質、厚さ、形状により自由であるが、たとえば
アルミニウム合金球、セラミック球、超硬合金球、鋼球
からなる。以下、この実施例の特徴をなす保持穴102
及びリップ103について更に詳しく説明する。
【0030】リップ103の基端部はサボット1の前端
面101における、保持穴102の全周縁に隣接する位
置から前方へ突出しており、リップ103の残部すなわ
ち、中央部及び先端部は次第に保持穴102の前面開口
を狭窄するように傾斜している。リップ103は薄い等
厚の膜状、より正確に言えば先端側へ向かうにつれて少
し薄肉となるように形成されており、これによりリップ
103の可撓性を高めている。
【0031】保持穴102は、高さが小さい円柱形状の
キャビティであって、その直径はほぼ球形の粒子7の直
径に等しく設定されている。ただし、粒子7の保持穴1
02への挿入、飛び出しに支障がでるような、緊密な嵌
合は好ましくなく、粒子7が保持穴102内でがたつか
ない程度のクリアランスを上記両直径間に設定すること
が好ましい。このようにすれば、サボット1がサボット
ストッパ3に衝突した時に保持穴102が縮径方向に変
形しても、粒子7は円滑に保持穴102から飛び出すこ
とができる。
【0032】保持穴102の深さは、粒子7の直径より
浅く設定されている。このようにすれば、リップ103
がその弾性により粒子7の表面を押さえて粒子7の飛び
出しを防止することになり、粒子7が保持穴102内で
その進行方向にがたつくことがなく、更に、サボット1
の進行方向と直角方向における粒子7と保持穴102と
の接触点は保持穴102の開口近傍に近接することがで
き、粒子7が保持穴102から飛び出す際、前端部10
1の変形による保持穴102の縮径前に射出され、粒子
7と保持穴102の内周面との摩擦によるエネルギロス
を低減することができる。
【0033】なお、保持穴102の深さは、粒子7の直
径の半分より大きく、その直径の0.8倍より小さく設
定することが好ましい。保持穴102の深さを、粒子7
の直径の半分より小さくすると、リップ103は粒子7
により外側へ大きく開いたようになり、粒子7が保持穴
102から脱落し易くなる。保持穴102の深さを、粒
子7の3/4より大きくすると、保持穴102からの粒
子7の飛び出し時間が長くなり、保持穴102の縮径に
より、粒子7が圧迫される可能性が大きくなる。
【0034】サボット1の前端面101がサボットスト
ッパ3の衝突面32に衝突して、サボット1から粒子7
が飛び出した状態を図3に示す。この時、リップ103
は粒子7の慣性により付勢されて前方又は半径方向へ直
立する形状に変形し、粒子7はほとんどリップ103の
抵抗を受けることなく保持穴102から飛び出すことが
できる。従って、リップ103による粒子7の速度低減
はほとんど無視することができる。換言すれば、リップ
103の剛性は、衝突により保持穴の前面開口を、粒子
の射出方向と直角な方向の幅(粒子が球形または砲弾
形、または円柱形の場合は直径)以上に拡大するよう変
形することができる範囲でできるだけ大きくすることが
好ましい。
【0035】重要なことは、サボットストッパ3の射出
孔31の直径が、リップ103の基礎端部直径(リップ
103の最大径)よりも大きく設定することである。こ
のようにしないと、サボット1の前端面101がサボッ
トストッパ3の衝突面32に衝突する前にリップ103
の基端部がサボットストッパ3の射出孔31の周縁部に
衝突してしまい、好ましくない。
【0036】同様に、リップ103が基端部より前方に
傾斜しているため、先端部の内径は粒子7の直径より小
さくなっている。従って、粒子7を保持穴102に嵌入
する場合にリップ103はそれに抵抗する。しかし、リ
ップ103の長さを、粒子7の直径の1/ 30〜1/ 1
0程度とし、かつ、その全長に対するリップ103の厚
さ、特にその基端部の厚さを粒子径の1/100〜1/
10とすることにより耐座屈性及び可撓性を調節する
と、粒子7を保持穴102に挿入する時、リップ103
は粒子7の通過を許した後、スプリングバックして元の
状態に容易に復帰することができる。
【0037】なお、リップ103は切削加工及び樹脂成
形により上記形状に作製される。 (実施例2)他の実施例を図4を参照して説明する。こ
の実施例は実施例1のサボット1の形状を変更しただけ
であるので、変更点だけを説明する。なお、理解を容易
とするために、実施例1の構成要素と共通機能を有する
構成要素には同一符号を付す。
【0038】この実施例のサボット1は、前端面101
の中央に保持穴102が形成された本体110と、本体
110の前端面101に接着された薄板111とからな
る。薄板111は、樹脂から構成されて保持穴102に
合わせて円形の開口112をもち、開口112の直径は
保持穴102の直径より小さく設定されている。このよ
うにすれば、薄板111の開口112の周縁部113が
リップを構成することができる。(実施例3) 他の実施例を図5を参照して説明する。この実施例は実
施例1のサボット1の形状を変更しただけであるので、
変更点だけを説明する。なお、理解を容易とするため
に、実施例1の構成要素と共通機能を有する構成要素に
は同一符号を付す。
【0039】この実施例のサボット1は、実施例1のサ
ボット1において、その前端面101を後退させるとと
もに、その分だけリップ103を筒状に進行方向へ突出
させたものである。この場合においても、粒子7はリッ
プ103により良好に保持されることができる。 (実施例4)他の実施例を、図6を参照して説明する。
この実施例は実施例1のサボットストッパ3の形状を変
更しただけであるので、変更点だけを説明する。なお、
理解を容易とするために、実施例1の構成要素と共通機
能を有する構成要素には同一符号を付す。
【0040】この実施例のサボットストッパ3は、その
後端面に加速筒部14の内孔15の断面積の1/2以上
の断面積(射出孔31の断面積を含む)となるようにガ
ス抜き溝(本発明でいうガス抜き部)33を凹設した点
に特徴がある。このようにすれば、内孔15内をサボッ
ト1が加速されて進行(飛翔)する際に、その前方のガ
ス(大気中の場合は空気)を射出孔31だけでなく、こ
れらガス抜き溝33によっても抜くことができ、サボッ
ト1の前方の気圧を増加させることなくサボット1の速
度向上を実現することができる。
【0041】なお、サボットストッパ3は、サボット1
の衝突面をサボット1の長さ分だけサボットストッパ3
の内側に形成されているので、使用後のサボット1は孔
17内に残り、サボットストッパ3を取り外すだけで容
易に除去できる。また、この実施例によれば、ガス抜き
孔又は溝をサボット1の衝突面以外の部分に設ける必要
がなく、このためガス抜き孔又は溝へサボット1の変形
部分がはみ出さないため、使用後のサボット1の除去が
容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粒子衝突試験装置の一実施例を示す模
式図である。
【図2】図1の装置におけるサボット1の断面図であ
る。
【図3】図1の装置におけるサボット1の衝突直後の状
態を示す要部断面図である。
【図4】実施例2のサボットを示す要部断面図である。
【図5】実施例3のサボットを示す要部断面図である。
【図6】実施例4の装置を示す要部断面図である。
【符号の説明】
1 サボット、 2 加速装置 7 粒子 33 ガス抜き溝(ガス抜き部) 102 保持穴 103、113はリップ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石原 章博 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 西野 和彰 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粒子を保持する保持穴が前端面に凹設され
    るサボットと、前記サボットの前記前端面が先端面とな
    る姿勢で前記サボットをガス圧により加速する筒部を有
    する加速装置と、前記サボット通過不能に前記筒部の先
    端開口に連通する射出孔を有して前記筒部の先端開口に
    配設されるサボットストッパとを備え、前記サボットス
    トッパに射突した前記サボットから前記射出孔を通じて
    前方へ前記粒子を射出する粒子衝突試験装置において、 前記保持穴の前面開口の周囲に形成されて前記前面開口
    を前記粒子の射出方向と直角な方向の幅未満に狭窄する
    可撓性のリップを有し、かつ、前記サボットストッパの
    射出孔は、前記粒子の貫通に先立って前記リップの前方
    又は半径方向への変形を可能とする大きさを有すること
    を特徴とする粒子衝突試験装置。
  2. 【請求項2】粒子を保持する保持穴が前端面に開口され
    るサボットと、前記サボットの前記前端面が先端面とな
    る姿勢で前記サボットをガス圧により加速する筒部を有
    する加速装置と、前記サボット通過不能に前記筒部の先
    端開口に連通する射出孔を有して前記筒部の先端開口に
    配設されるサボットストッパとを備え、前記サボットス
    トッパに射突した前記サボットから前記射出孔を通じて
    前方へ前記粒子を射出する粒子衝突試験装置において、 前記サボットストッパは、前記射出孔と外部とを連通す
    るガス抜き部を有することを特徴とする粒子衝突試験装
    置。
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