JPH10239062A - 圧電振動角速度計用振動子及びその製造方法 - Google Patents

圧電振動角速度計用振動子及びその製造方法

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JPH10239062A
JPH10239062A JP9038881A JP3888197A JPH10239062A JP H10239062 A JPH10239062 A JP H10239062A JP 9038881 A JP9038881 A JP 9038881A JP 3888197 A JP3888197 A JP 3888197A JP H10239062 A JPH10239062 A JP H10239062A
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vibrator
electrode
piezoelectric
polarization
area
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JP9038881A
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Kenichi Muramatsu
研一 村松
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Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧電振動角速度計用振動子の量産上の欠点を
改良し、回転角速度の検出効率が良好であり、なおかつ
低コストで量産できる圧電体振動子及びその製造方法を
提供することを目的とする。 【解決手段】 四角柱状をなす圧電材料により構成され
た振動子の回転中心に沿って伸びる一の側面側の中心線
近傍に非分極域を形成し、振動子の他の構成部分には前
記一の側面とこれに相対する側面の幅方向に分極方向を
有した分極分域を形成する。その形成方法として、前記
一の側面上に励振用電極、検出用電極等の電極群を形成
し、これに相対する他の側面に基準電極を形成し、これ
らの電極を利用して直流高電圧をかけることによりバッ
チ処理で同時に多量の振動子を製造できるようにしてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は航空機、船舶、自動
車等のナビゲーションシステムやこれらの姿勢制御等、
或いはスチールカメラ、ビデオカメラの手振れや振動感
知に使用される圧電振動角速度計に使用される圧電体振
動子に関する。
【0002】
【従来の技術】振動子に固有振動を励起し回転中心の周
りに回転運動が加えらると、振動方向及び回転中心方向
に垂直な方向に次式で示されるコリオリの力が発生す
る。 Fc=2m[v×Ω] ここで、Fcはコリオリの力、mは振動子の質量、vは
振動子の振動速度、Ωは回転角速度である。振動角速度
計は振動子に生じたコリオリの力による振動を検出する
ことにより回転角速度を測定するものである。
【0003】振動角速度計では、従来より圧電正(直
接)効果、圧電逆効果を利用したGEタイプとワトソン
タイプの2種類の圧電振動角速度計が良く知られてい
る。GEタイプの圧電振動角速度計は図6に示すように
金属(例えば、エリンバ等の恒弾性体)でできた棒状の
振動子20に圧電セラミックス板23を接着し、これに
より金属振動子20を励振するとともに、振動子20の
回転にともない、励振方向と垂直な方向に生じるコリオ
リ力を検出する。振動子20の振動モードは無拘束の基
本モード横振動であり通常は振動の節点において振動子
20を基体に固定して使用される。
【0004】ワトソンタイプの圧電振動角速度計は、図
7に示すように4枚の圧電セラミックスバイモルフ2
1、22を2枚ずつ互いに直交するように重ねて音叉形
状とし、駆動用の圧電バイモルフ21で音叉全体を励振
し、回転に伴って生じるコリオリの力を検出用バイモル
フ22から検知する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】GEタイプの圧電振動
角速度計のように、振動子として金属を用いる場合には
振動子に圧電素子(圧電セラミックス等)を接合する必
要があり、また、ワトソンタイプの圧電振動角速度計の
ように、振動子をバイモルフ型構造にする場合にも圧電
セラミックス同士を接合する必要がある。そのため、振
動子の励振時には、その接着剤も共に振動し検出の効率
を下げたり、温度による接着剤の変化により振動状態が
変化して角速度検出感度の変動を引き起こしたりしてい
た。さらに、これら接合工程を有するタイプでは、振動
子毎に圧電素子を一つ一つ正確な位置合わせをして接合
して行かなければならず、接合工程が量産時の生産効率
を考えるうえでの阻害要因となるばかりか、個々の振動
子の特性のばらつきを発生させる大きな要因にもなって
いた。
【0006】特に構造が簡単で小型化に適したGEタイ
プの圧電振動角速度計では、最近になって三角柱の金属
振動子を用いるもの、円柱状の圧電セラミックスを振動
子として用いるもの等が開発されているが、三角柱状の
金属振動子を用い、その側面に圧電素子を接着するもの
は上記接合の問題点に加えてさらに振動子量産時の製造
工程にも複雑化を招いており、また、円柱状の圧電セラ
ミックス振動子を用いる場合には円柱状側面にロールタ
イプの印刷機等を用いて電極形成をし、その後に個別に
分極処理を行なわなければならない等、量産時の生産効
率が悪く、共に安価に振動子を製作することにおいて問
題点を有するものであった。
【0007】本発明は、上記のような従来の圧電振動角
速度計用振動子の量産上の欠点を改良し、回転角速度の
検出効率が良好であり、なおかつ低コストで量産できる
圧電体振動子及びその製造方法を提供することを目的と
するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
めに、本発明に係る圧電振動角速度計用振動子は四角柱
状をなす圧電材料により構成される。そして、この四角
柱状振動子の回転中心に沿って伸びる一の側面側の中心
線近傍に非分極域を形成し、振動子の他の部分には前記
一の側面とこれに相対する他の側面との幅方向に分極方
向を有する分極分域を形成する。振動子は断面矩形の直
方体状に形成することが望ましい。さらに、この四角柱
状振動子を、振動子の回転中心方向に沿って伸びる一の
側面側の回転中心方向に伸びる中心線を中心とした所定
幅の帯状部分を底面とし、この一の側面に相対する他の
側面上又は側面下において回転中心方向に沿って伸びる
中央線を稜線として形成される三角柱状部分を非分極域
とし、三角柱状部分以外の振動子構成部分が前記一の側
面と前記他の側面との間において幅方向に分極処理され
た分極分域となるように構成することが最良である。
【0009】この四角柱状振動子には、振動子の励振を
行うために形成される励振用電極群、この励振用電極に
接続される駆動源に振動子からの励振信号のフィードバ
ックを行うための帰還用電極群及び発生するコリオリの
力を検出を行うために形成される検出用電極群が形成さ
れる。そして、これら総ての電極を、振動子の回転中心
方向に沿って伸びる側面上であって、非分極域とされた
三角柱状部分の底面を有する一の側面及びこれに相対す
る他の側面上に形成する。このとき、励振用電極、帰還
用電極及び検出用電極を同一側面上において回転中心方
向の中心線を基準として左右に2分割して形成すること
が好ましく、また励振用電極と検出用電極とは同一の電
極で兼用することもできる。
【0010】本発明に係る圧電振動角速度計用振動子を
製造するには、最初に振動子の材料となる圧電体板の一
方の平面全体にべた電極を形成し、相対する他の平面上
に短冊状に分割されて配列された多数の分割電極を形成
する。そして、前記電極の一方をアースとし、他方を直
流高圧電源に接続することにより圧電体板に高電圧をか
けて分極処理を行う。最後に圧電体板を分割電極の長尺
方向に伸びる分割電極上の中心線に沿って切断し、さら
にこれを所定の位置で所定の長さに切断すればよく極め
て簡単に小型振動子の量産が可能である。
【0011】このように構成された本発明に係る圧電振
動角速度計用振動子では、圧電体振動子の圧電効果によ
る電気−機械エネルギ変換と機械−電気エネルギ変換の
両方を同時に行うことによりコリオリ力の検出を効率よ
く行うことができる。すなわち、励振用電極を通して交
流電圧が振動子に印加されると圧電横効果により電気−
機械エネルギ変換が行われ、振動子内部の分極処理され
た分極分域は振動子の回転中心方向に伸縮運動を起こそ
うとする。
【0012】一方、振動子の非分極域はその間自発的な
変形は全く起こさないため、分極分域が回転中心方向に
伸縮運動を起こそうとするのを抑制しようとすることに
なる。従って、分極分域が全面をしめる振動子の他方の
側面側部分の伸縮変形を、非分極域を有する一方の側面
側部分(分極電極側)がその変形を抑制するような形に
なり、振動子は励振用電極面に垂直な方向に基本モード
の屈曲振動が励起される。なお、検出効率をより高める
ため、屈曲運動が振動子の機械的共振周波数の振動若し
くはそれに近い振動となるように印加する交流電圧の発
振周波数を決定する。
【0013】この状態で回転中心の周りに回転が生じる
と励振速度vと加えられた回転角速度Ωに比例したコリ
オリ力Fcが発生し、このコリオリ力Fcにより振動子
は電極面に平行な平面内で屈曲共振振動を行う。コリオ
リ力Fcによるこの屈曲共振振動が生じると圧電横効果
により機械−電気エネルギ変換が行われ、検出用電極に
垂直な方向に分極電荷が誘起される。従って、この発生
した分極電荷を測定することにより回転角速度を評価す
ることができる。この場合、コリオリ力による分極は圧
電横効果により検出用電極と垂直な方向に誘起されるの
で検出効率を落とすことがなく、またコリオリ力による
振動が共振振動となるように振動子の断面形状も決定さ
れ、検出効率が高められる。
【0014】なお、本発明に係る圧電振動角速度計用振
動子では、電極が形成された相対する2側面の幅方向に
のみ分極処理されているので、この電極を通して圧電体
振動子に直流高電圧をかけ簡単に分極処理を行うことが
できる。従って、製造時においては平板状の圧電材料の
相対する側面に反応性エッチングによる電極パターンを
形成した後、この電極を通して高電界をかけることによ
り単一の工程で多数の振動子分を一度に分極処理するこ
とができる。また分極処理後、平板状圧電材料を精密切
断機で切断すれば、接合部のない小型の四角柱状圧電体
振動子を一度に多量に再現性よく量産することができ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明に係る
最適な実施の形態を説明する。図1及び図2に本発明に
基づく圧電振動角速度計用振動子の最適な基本構成を示
す。この圧電体振動子10は圧電材料としてハード系の
PZTセラミックスを用い、断面がほぼ正方形であって
回転中心1に沿って伸びた長尺状の直方体に形成されて
いる。振動子10は回転中心1の軸方向に2つの領域
(図1の図面上、左右の領域)に概念的に区分されてお
り、一方の領域(本実施例では左側領域)を駆動及び検
出のための領域とし、他方の領域(本実施例では右側領
域)を帰還領域として使用する。なお、一般に駆動及び
検出領域を帰還領域より長くして使用することが振動子
10の励振を確実にするうえで望ましく、また駆動及び
検出領域を左側とし帰還領域を右側にしたのは便宜上の
問題にすぎない。
【0016】駆動及び検出領域となる左側領域では図2
に示すように、回転中心1に沿って伸びる振動子10の
一側面を上面とし、この上面に駆動/検出用電極12が
形成されている。電極の形成は銀ペースト等のスクリー
ン印刷、若しくはスパッタ、蒸着、メッキ等により行う
ことができる。この駆動/検出用電極12は振動子10
の上面において回転中心1の方向に伸びた中心軸1aに
対し左右対称に分割して形成されており(12a、12
b)、共に励振信号入力用、コリオリ信号検出用として
使用される。
【0017】一方、振動子10の帰還領域となる右側領
域上面でも図2に示すように、回転中心1方向に沿って
伸びる帰還用電極13が形成されている。この帰還用電
極13も振動子10の上面において回転中心1方向に伸
びた中心軸1aに対して左右対称に分割して形成されて
いる(13a、13b)。また、上記上面に相対する振
動子10の下面には下面全面を覆うようにべた電極が形
成されている。このべた電極は駆動/検出用電極12及
び帰還用電極13の基準電極11として使用される。こ
れら電極群はそれぞれが絶縁された状態で振動子10の
上下側面上に配置されている。
【0018】次に、このような電極配置を有する振動子
10の基準電極11をアースとし、他方、振動子10の
上面に配置された駆動/検出用電極群12a、12b及
び帰還用電極群13a、13bを総て直流高電圧に接続
することにより振動子10を構成する圧電体に高電圧を
かけて分極処理を施す。その結果、図3に示すように、
振動子10の上面において駆動/検出用電極12a、1
2b及び帰還用電極13a、13bが形成されていない
帯状部分15aを底面とし、下面又は下面近傍において
回転中心1の方向に伸びる中央線15bを稜線とする三
角柱状部15が非分極域となり、この三角柱状部15以
外の構成部分16が回転中心1に垂直な平面内において
振動子10の上面から下面に向かう方向に分極処理され
た分極分域となるように振動子10が構成される。
【0019】特に図3に示す実施例では、断面が台形状
をした左右二つの分極部分16a、16bにおいて、分
極方向を振動子10の上面から下面に向かう方向として
いるが、これに限らず共に逆方向に分極処理しても良
い。なお、振動子10の回転中心1に垂直な断面は励振
方向の機械的共振周波数foとコリオリ力による振動の
機械的共振周波数を合わせて検出精度の向上を図るた
め、ほぼ正方形に形成されている。
【0020】以下、本発明に係る振動子10の用いられ
た圧電振動角速度計の動作原理を説明する。図3は本実
施例に係る圧電振動角速度計の動作原理を示すための図
である。駆動/検出用電極12と基準電極11の間に自
励振駆動用電源(図示せず)を接続し、2枚の駆動/検
出用電極に同相の交流電圧を印加すると、振動子10の
内部において圧電横効果により電気−機械エネルギ変換
が行われ、振動子10の分極処理された断面台形状部分
(以下、分極分域という)16a、16bは回転中心1
の方向に伸縮運動を起こそうとする。
【0021】一方、振動子10の非分極域の三角柱状部
分15はその間自発的な変形は全く起こさないため、分
極分域16a、16bが回転中心1の方向に変形を起こ
そうとするのを抑制しようとすることになる。従って、
分極分域16a、16bが多容積を占める基準電極11
側側面の変形を非分極域15が多容積を占める駆動/検
出用電極12の側面側が引っ張るような形になり、振動
子10の電極12、13が形成された側面方向に折れ曲
がる一次の屈曲振動が発生する。
【0022】ここで自励振駆動用電源より駆動/検出用
電極12へ圧電体振動子10の一次の機械的共振周波数
foの交流電圧を入力すれば、圧電体振動子10には屈
曲振動が励起される。この屈曲振動は一次の共振周波数
により励起されるため振動子10全体が共振振動を行う
ことになり、帰還領域ではこの屈曲共振振動に伴う分極
電荷が誘起される。この信号を帰還用電極13a、13
bから取り出し自励振駆動用電源にフィードバックする
ことにより振動子10に安定した屈曲共振振動を与える
ことができる。
【0023】この一次の屈曲共振振動は図1の励振速度
vで示される運動を与えることになる。そして、振動子
10は振動の節点2を境に振動子10の中央部分と端部
とで反対の向きの速度を持った無拘束条件横振動を行う
ことになる(図4(a)参照)。この振動状態において振
動子10に回転中心1の周りに回転が生じ、回転角速度
Ωが与えられると振動子10には電極面に平行な面内に
おいて回転中心1に垂直な方向(図1に示されるFcの
方向)にコリオリ力Fcが発生する。
【0024】振動子10にかかるコリオリ力Fcは、F
c=2m(v×Ω)で与えられることが知られており、
回転角速度Ωが一定の場合には振動子10の振動速度v
の大きさとその方向で決定される。いま、励振信号によ
り屈曲共振振動を行っている振動子10は振動の節点2
を境にその振動速度vが反対である(図4(a))ため発
生するコリオリ力Fcの方向も反対となる(図4
(b))。このため、このコリオリ力Fcは振動速度v
に同期して電極が形成された面に平行な面内において回
転中心1に垂直な方向の屈曲振動を励起する(図4
(c))。
【0025】本振動子10の場合、回転中心1に垂直な
断面はほぼ正方形に形成され、振動子10の一次の屈曲
共振振動とコリオリ力Fcによる屈曲振動の共振周波数
が等しくなるように決定されている。従って、コリオリ
力Fcによる屈曲振動も励振屈曲振動と同様に共振振動
となり、振動子10の両端で同じ方向、中央部で逆方向
をとり、しかも機械的な共振周波数foで変動すること
になる。
【0026】このコリオリ力Fcによる一次の屈曲共振
振動の大きさを評価することがすなわち与えられた回転
角速度Ωを評価することになる。この屈曲共振振動の大
きさの評価には振動子10の圧電横効果が利用される。
すなわち、コリオリ力Fcの大きさは、圧電横効果に基
づく振動子10の機械的な歪みにより発生する応力誘起
電荷を測定することにより決定される。
【0027】コリオリ力Fcにより発生する応力誘起電
荷の検出は振動子10の回転中心1の方向に分割して形
成されている二つの駆動/検出用電極12a、12bを
用いて行われる。すなわち、検出用電極を専用に設ける
ことなく駆動用電極と検出用電極とを兼ねた駆動/検出
用電極12a、12bを用いて行われる。振動子10の
分極方向は駆動/検出用電極12a、12b面に垂直な
方向であり、励振信号による励振方向と同一である。従
って、振動子10が励振され上下方向(図面上、vの方
向)に屈曲振動しても圧電横効果による分極電荷は発生
しないが、駆動/検出用電極12a、12bにはコリオ
リ力が働かないときにも、励振駆動のための電界が印加
されており、それぞれの電極で同一位相の励振信号が存
在することになる。
【0028】一方、コリオリ力Fcによる屈曲振動は励
振駆動による屈曲共振振動とは異なっり、これと垂直な
方向に起こるため、図4(c)に示すように二つに分割
された駆動/検出用電極12a、12bの位置するそれ
ぞれの側面側領域(図3の左右の分極分域16a、16
b)は交互に伸び縮みすることになる。すなわち、振動
子10が一方の駆動/検出用電極12a側に屈曲すると
その電極下の分極領域16aには圧縮応力が、他方の駆
動/検出用電極12b側では伸長応力が働き、圧縮応力
側の電極12aと基準電極11との間には正の電圧が発
生し、それとは逆に、伸長応力側の電極12bと基準電
極11との間には負の電圧が発生することになる。
【0029】また、反対に振動子10が他方の駆動/検
出用電極12b側に屈曲すると、その電極下の分極分域
16bには圧縮応力が、反対側の駆動/検出用電極12
a側では伸長応力が働き、圧縮応力側の電極12bと基
準電極11との間には正の電圧が発生し、それとは逆
に、伸長応力側の電極12aと基準電極11との間には
負の電圧が発生することになる。従って、二つの駆動/
検出用電極12aと12bとの間ではそれぞれ大きさが
同じで符号が逆の分極電荷がコリオリ信号として発生す
ることになる。
【0030】従って、二つの駆動/検出用電極12a、
12bからの出力信号の差を差動回路等でとることによ
って同位相である励振信号は互いに相殺され、逆位相で
あるコリオリ信号のみを取り出すことができる。なお、
励振駆動に用いる交流電圧の周波数がコリオリ力の発生
する方向の機械的な共振周波数foとも一致しているた
め、一旦コリオリ力による屈曲が発生するとこの振動も
共振振動となり、コリオリ力検出の精度を高めることが
できる。
【0031】以上述べた振動子10の実施の態様では駆
動用電極と検出用電極を兼用して構成したが本発明はこ
れに限らず検出用電極と駆動用電極を分けて構成するこ
ともできる。また振動子10の共振駆動を確実にするた
め、振動子10の長手方向中央を駆動/検出用電極12
側に含めているが、これに限らず駆動/検出用電極と帰
還用電極の長さを同等な長さに形成してもよい。
【0032】図5に本発明に係る圧電振動角速度計用振
動子10の製造プロセスの一例を示す。圧電体セラミッ
クス板3の片面全面にベタ電極3b、他方の平面全体に
短冊状に分割されて配列された多数の分割電極3aを形
成する。電極の形成は銀ペースト等のスクリーン印刷、
若しくはスパッタ、蒸着、メッキ等により行う。形成さ
れた電極3a、3bを利用して一方の平面の電極をアー
スにし、他方の電極に直流高電圧を印加することで一方
の平面から他方の平面に向かう方向に分極処理を行う
(図5(b))。
【0033】分割処理の完了した後、圧電体セラミック
ス板3を図5(a)の点線3cに沿って所定の幅W毎に
切断して、図5(b)にその断面形状を示した圧電体ブ
ロック4を作製する。その後、長尺状に伸びる分割電極
の中心線3dに沿って前記圧電体ブロック4を切断し、
図3にその断面形状が示される振動子10を作製する。
従って、本発明に係る振動子10は一の振動子単体に対
して電極形成を行ったり分極処理を行ったりする必要が
無く、バッチ処理で同時に多量の振動子を製造すること
ができる。また、片面の電極はベタ電極3bであること
から、電極形成の際に両面のアライメントを全く行う必
要が無く、製造工程において高い精度が要求されること
もない。このようなプロセスによれば、平板状の圧電セ
ラミックス板から小型振動子を再現性よく量産すること
ができる。
【0034】
【発明の効果】本発明に係る圧電振動角速度計用振動子
は金属振動子に圧電素子を接着するのではなく、圧電体
振動子に銀ペーストによるスクリーン印刷や蒸着、メッ
キ等によって電極を形成できるため、振動子表面に接着
剤部分が存在せず、従って振動子の個々の特性のばらつ
きによる検出精度への悪影響、さらに接着剤や圧電体の
の温度変化による検出精度への悪影響を受ける恐れも極
めて少ない。さらに、振動子は四角柱状の圧電体単体で
あり、電極面も上下側面に設けるだけで済むため、小型
の振動子を再現性よく低コストで量産することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく圧電振動角速度計の振動子の構
成例である。
【図2】前記構成例に係る振動子の電極配置を示す図で
ある。
【図3】前記構成例に係る振動子の分極状態を示す図で
ある。
【図4】前記構成例に係る振動子の動作を説明するため
の図である。(a)は振動子の励振に伴う変形を示す側
面図であり、(b)は振動子に係る力の状態を示す上面
図であり、(c)はコリオリ力による振動を示す側面図
である。
【図5】本発明に係る圧電体振動子の作製方法を示す図
である。
【図6】従来の振動角速度計の概念図である。
【図7】従来の振動角速度計の概念図である。
【符号の説明】
1 回転中心 2 振動の節点 3 圧電体セラミックス板 4 圧電体ブロック 10 振動子 11 基準電極 12 駆動/検出用電極 13 帰還用電極 15 非分極域 16 分極分域 Ω 回転角速度 W 圧電体ブロック幅
【手続補正書】
【提出日】平成9年4月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図6
【補正方法】削除
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図7
【補正方法】削除

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 四角柱状の圧電体により構成され、長手
    方向中心線を回転中心として回転角速度を検出する圧電
    振動角速度計用振動子であって、 前記振動子の前記回転中心に沿って伸びる一の側面側の
    前記回転中心方向の中心線近傍にのみ非分極域が形成さ
    れ、この非分極域を除く前記振動子の構成部分には前記
    一の側面とこれと相対する他の側面との間に幅方向の分
    極分域が形成されてなることを特徴とする圧電振動角速
    度計用振動子。
  2. 【請求項2】 前記非分極域が前記一の側面の前記回転
    中心方向に伸びる中心線を中心にした所定幅の帯状部分
    を底面とし、前記一の側面に相対する他の側面上又は側
    面下において前記回転中心方向に沿って伸びる中央線を
    稜線として形成される三角柱状部分であり、前記振動子
    を構成する前記三角柱状部分以外の部分には前記一の側
    面と前記他の側面との間に幅方向の分極分域が形成され
    てなることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動角速
    度計用振動子。
  3. 【請求項3】 前記振動子の励振を行うための励振用電
    極、駆動源に励振信号の帰還を行うための帰還用電極及
    び発生するコリオリ力を検出を行うために形成される検
    出用電極が前記一の側面及び前記一の側面に相対する他
    の側面に形成されていることを特徴とする請求項1又は
    請求項2に記載の圧電振動角速度計用振動子。
  4. 【請求項4】 前記振動子が断面矩形の四角柱状をな
    し、前記励振用電極、前記帰還用電極及び前記検出用電
    極が前記振動子の前記一の側面上において前記回転中心
    方向に沿って伸びる中央線に対し左右に2分割して形成
    されていることを特徴とする請求項3に記載の圧電振動
    角速度計用振動子。
  5. 【請求項5】 前記励振用電極と前記検出用電極を同一
    電極とすることを特徴とする請求項3又は請求項4に記
    載の圧電振動角速度計用振動子。
  6. 【請求項6】 圧電体板の一方の平面全面にべた電極を
    形成し、相対する他の平面上に短冊状に分割されて配列
    された多数の分割電極を形成する第一の工程と、前記電
    極の一方をアースとし、他方を直流高圧電源に接続する
    ことにより前記圧電体板に高電界をかけて分極処理を行
    う第二の工程と、前記分割処理の完了後、前記圧電体板
    を所定の構成を有する前記振動子に切断する第三の工程
    とからなる請求項1から請求項5のいずれかに記載の圧
    電振動角速度計用振動子の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1327538C (zh) * 2000-11-28 2007-07-18 新科实业有限公司 带有压电微驱动机构的磁头弹簧片组件
JP2008175578A (ja) * 2007-01-16 2008-07-31 Nec Tokin Corp 圧電振動ジャイロ用振動子
CN117241656A (zh) * 2023-10-30 2023-12-15 苏州希盟科技股份有限公司 一种压电堆叠装置

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