JPH10229077A - プラズマ成膜装置 - Google Patents

プラズマ成膜装置

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JPH10229077A
JPH10229077A JP9047092A JP4709297A JPH10229077A JP H10229077 A JPH10229077 A JP H10229077A JP 9047092 A JP9047092 A JP 9047092A JP 4709297 A JP4709297 A JP 4709297A JP H10229077 A JPH10229077 A JP H10229077A
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electrode
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリコンウエハ上のアスペクト比の大きい凹
部に対して例えばSiO2 を良好に埋め込むこと。 【解決手段】 ECR(電子サイクロトロン共鳴)を利
用してプラズマ室で生成したAr及びO2 のプラズマを
成膜室に導入し、この成膜室内に成膜ガス例えばSiH
4 ガスを導入し、前記プラズマにより成膜ガスを活性化
するECR装置において、成膜室内にウエハと対向しか
つ互いに間隔をおいて3枚のグリッド電極4A〜4Cを
重ねて設け、中央のグリッド電極4Bは−V2に設定
し、上下のグリッド電極4A、4Cはゼロ電位と−2V
1との間で振動し、互いに180度位相をずらした交流
電圧を印加する。グリッド電極4A〜4C間にポテンシ
ャル井戸が形成されこれが時間的に変化するのでイオン
がここに閉じ込められて上下に振動し、このイオンに成
膜種が衝突し入射方向の1ウエハに対する垂直性が良く
なる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子サイクロトロ
ン共鳴を用いたプラズマ成膜装置に関する。
【0002】
【従来の技術】集積回路の層間絶縁膜、例えばSiO2
膜(シリコン酸化膜)の形成方法の一つとしてマイクロ
波と磁界とを組み合わせたECR(Electron
Cycrotron Resonance)プラズマ処
理がある。
【0003】このECRプラズマ処理を行なう従来のプ
ラズマ処理装置の一例を図8に挙げると、プラズマ生成
室1A内に例えば2.45GHzのマイクロ波を図示し
ない導波管を介して供給すると同時に所定の大きさ、例
えば875ガウスの磁界を電磁コイル10により印加し
てマイクロ波と磁界との相互作用(共鳴)でプラズマ生
成用ガス例えばArガス及びO2 ガスを高密度にプラズ
マ化し、このプラズマにより、成膜室1B内に導入され
た反応性ガス例えばSiH4 ガスを活性化させて活性種
を形成し、載置台11上のシリコンウエハW表面にスパ
ッタエッチングと堆積とを同時進行で施すようになって
いる。相反するスパッタエッチング操作と堆積操作はマ
クロ的に見れば堆積操作の方が優勢となるようにコント
ロール(制御)され、全体としては堆積が行われる。
【0004】このようなECRプラズマ処理を行なう時
には、一般的には、ウエハを載置する載置台11(サセ
プタ)に例えば高周波電源部12により13.56MH
zの負の高周波バイアス電圧を印加して、ウエハ側にプ
ラズマイオンをできるだけ引き付けてスパッタ効果を発
揮させるようにしている。
【0005】このようにスパッタエッチングを行いつつ
堆積を行うと、図9に示すようにアルミニウム配線13
における凹部のエッジ部14の堆積物が主にスパッタエ
ッチングの影響を受けてこの部分の成膜が抑制され、そ
の結果アルミニウム配線間の間口が広くなって深部まで
十分に堆積が行われてボイドの少ない埋め込みが可能と
なり、膜は緻密になり、下地との密着性も良好となる。
なおアルミニウム配線13の表面の膜15は極薄のTi
N膜である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで半導体デバイ
スの回路パターンは増々微細化していることから、コン
タクトホールやビアホールなどの凹部のアスペクト比
(深さ/幅)がより一層大きくなる傾向にある。アスペ
クト比が大きくなると、イオンによるスパッタエッチン
グ効果は凹部の肩部にとどまってしまい、凹部の奥の部
分は十分削られることはなく、また肩部で削り取られた
部分が凹部の入口付近に再付着し、この結果ボイド(空
隙)が形成されるおそれが大きい。
【0007】これを防止するために真空容器内の圧力を
低くし、かつウエハとプラズマ生成室の出口との距離を
大きくとって、成膜ガスの活性種の垂直性を高める方法
もあるが、この方法では成膜速度が遅く、スループット
が低くなってしまう。
【0008】本発明は、このような事情の下になされた
ものであり、その目的は例えばウエハ上の回路パターン
の凹部に対して良好な埋め込みを行うことができるプラ
ズマ成膜装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、プラズマを成
膜室内に導入し、そのプラズマにより成膜ガスをプラズ
マ化して成膜ガスの活性種を形成し、載置台上の被処理
体の表面に成膜を行なう装置において、前記載置台上の
被処理体と対向する位置にて、イオン振動用電極をなす
3個以上のグリッド電極を前記被処理体に対して平行に
互いに間隔をあけて重ねて配置し、前記プラズマ中のイ
オンをグリッド電極間に閉じ込めて振動させるために、
前記グリッド電極のうち両端に位置するグリッド電極の
電位よりも、両端以外のグリッド電極の電位が低い状態
で、一端側のグリッド電極から他端側のグリッド電極に
至るまでの電位分布を時間的に変化させるように各グリ
ッド電極の電位を制御することを特徴とするプラズマ成
膜装置である。この発明は、例えばプラズマを電子サイ
クロトロン共鳴によりプラズマ室内でプラズマ化し、そ
のプラズマを成膜室内に導入する装置に適用できる。た
だしグリッド電極が被処理体に平行するとは、ほぼ平行
な状態も含む意味である。
【0010】この発明は、プラズマ中のイオンをグリッ
ド電極間に閉じ込めて振動させるものであるため、成膜
室におけるプラズマ導入口とイオン振動用電極との間に
イオン引き込み用電極を設け、成膜室内にイオンを効率
よく引き込むようにすることが望ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の形態に係る
プラズマ成膜装置である。図示するようにこのプラズマ
処理装置1は、例えばアルミニウム等により形成された
真空容器2を有しており、この真空容器2は上方に位置
してプラズマを発生させる筒状のプラズマ室21と、こ
の下方に連通させて連結され、プラズマ室21よりは口
径の大きい筒状の成膜室22とからなる。なおこの真空
容器2は接地されてゼロ電位になっている。
【0012】この真空容器2の上端は、開口されてこの
部分にマイクロ波を透過する部材、例えば石英等の材料
で形成された透過窓23が気密に設けられており、真空
容器2内の真空状態を維持するようになっている。この
透過窓23の外側には、例えば2.45GHzのプラズ
マ発生用の高周波電源部24に接続された導波管25が
設けられており、高周波電源部24に発生したマイクロ
波Mを導波管25で案内して透過窓23からプラズマ室
21内へ導入し得るようになっている。
【0013】プラズマ室21を区画する側壁にはプラズ
マガスノズル26が設けられると共にこのノズル26に
は、図示しないプラズマガス源、例えばArガスやO2
ガス源が接続されている。また、プラズマ室21を区画
する側壁の外周には、これに接近させて磁界形成手段と
して例えばリング状の主電磁コイル27が配置されると
共に、成膜室22の下方側には補助電磁コイル28が配
置され、プラズマ室21から成膜室22に亘って上から
下に向かう磁界例えば875ガウスの磁界Bを形成し得
るようになっており、ECRプラズマ条件が満たされて
いる。なお電磁コイルに代えて永久磁石を用いてもよ
い。
【0014】このようにプラズマ室21内に周波数の制
御されたマイクロ波Mと磁界Bとを形成することによ
り、これらの相互作用によりECRプラズマが発生す
る。この時、前記周波数にて前記導入ガスに共鳴作用が
生じてプラズマが高い密度で形成されることになる。す
なわちこの装置は、電子サイクロトロン共鳴(ECR)
プラズマ処理装置を構成することになる。
【0015】一方前記成膜室22の上部即ちプラズマ室
21と連通している部分には、成膜ガスノズル30が設
けられている。前記プラズマガスノズル26及び成膜ガ
スノズル30は、例えば真空容器2の周方向に複数本配
置され、ガスをムラなく均等に供給し得るようになって
いるが、図示の便宜上各々1本のみ記載してある。また
成膜室22内には、載置台3が昇降自在に設けられてい
る。この載置台3は、例えばアルミニウム製の本体31
の上に、ヒータを内蔵した静電チャック32を設けてな
り、静電チャック32の電極にはウエハWにイオンを引
き込むためのバイアス電圧を印加するように例えば高周
波電源部33が接続されている。そしてまた成膜室22
の底部には排気管4が接続されている。
【0016】前記成膜室22内には載置台3と対向する
位置に、イオン振動用電極である例えば3枚のグリッド
電極4(4A〜4C)が載置台3上のウエハWと平行に
なるように互いに間隔をおいて重ねて配置されている。
これらグリッド電極4A〜4Cのうち両端のグリッド電
極4A、4Cには、図2に示すように各々例えば−15
0Vの直流電源51と例えば80kHz、5kWの高周
波電源52とが直列に接続されると共に、中央のグリッ
ド電極4Bには例えば−500Vの直流電源53が接続
されている。これらグリッド電極4は後述するがプラズ
マ室21で生成されたプラズマ中のイオンを載置台3上
の被処理体例えばウエハWに対してほぼ直交する方向に
振動させるためのものである。
【0017】更に前記グリッド電極4よりも成膜室22
の入口に近い位置には、イオン引き込み用電極である例
えば3枚のグリッド電極6(6A〜6C)が載置台3上
のウエハWと平行になるように互いに間隔をおいて重ね
て配置されている。これらグリッド電極6A〜6Cのう
ち一番上の第1のグリッド電極6Aは接地されており、
真空室2の壁部と同じ電位になっている。中央の第2の
グリッド電極6Bにはパルス電源54が接続されてお
り、例えば周波数3kHz、デューティ比0.02、電
圧−150Vのパルス電圧が印加される。一番下の第3
のグリッド電極6Cは例えばグリッド電極6Bに印加さ
れるパルス電圧の電圧値と同じ−150Vの直流電源5
5に接続されている。
【0018】次に上述の実施の形態の作用について説明
する。先ず、真空容器2の側壁に設けた図示しないゲー
トバルブを開いて図示しない搬送アームにより、例えば
表面にアルミニウム配線が形成された被処理体であるウ
エハWを図示しないロードロック室から搬入して載置台
3上に載置する。
【0019】続いて、このゲートバルブを閉じて内部を
密閉した後、排気管34より内部雰囲気を排出して真空
引きし、プラズマガスノズル26からプラズマ室21内
へプラズマ発生用ガス例えばArガス及びO2 ガスを導
入すると共に成膜ガス供給ノズル30から成膜室22内
へ成膜ガス例えばSiH4 ガスを夫々流量100scc
m及び100sccmで導入する。そして高周波電源部
33により載置台3に13.56MHz、800Vのバ
イアス電圧を印加すると共に、載置台3の表面温度を例
えば400℃に設定する。
【0020】プラズマ発生用高周波電源部24からの
2.45GHzの高周波(マイクロ波)は、導波管25
を搬送されて真空容器2の天井部に至り、ここの透過窓
23を透過してマイクロ波Mがプラズマ室21内へ導入
される。このプラズマ室21内には、電磁コイル27、
28により発生した磁界Bが上方から下方に向けて例え
ば875ガウスの強さで印加されており、この磁界Bと
マイクロ波Mとの相互作用でE(電界)×B(磁界)を
誘発して電子サイクロトロン共鳴が生じ、この共鳴によ
りArガス及びO2 ガスがプラズマ化され、且つ高密度
化される。
【0021】プラズマ室21より成膜室22内に流れ込
んだプラズマ流は、ここに供給されているSiH4 ガス
を活性化させて活性種を形成し、このSiH4 の活性種
とO2 プラズマとの反応によりウエハ表面上にSiO2
膜が成膜される。
【0022】ここでイオン振動用電極(グリッド電極
4)の役割について述べる。グリッド電極4A〜4Cの
電位は例えば図3に示すように制御される。グリッド電
極4A及び、4Cは−V1を中心に振幅V1の大きさで
お互いに180度位相をずらして例えば正弦波で変化
し、グリッド電極4Bは−V2に維持される。ただしV
1<V2であり、−V1、−V2は夫々例えば−150
V、−500Vとされる。図4はこの場合のグリッド電
極4A〜4C間の電位分布曲線を模式的に示す図であ
り、ポテンシャル井戸が形成されている。
【0023】プラズマ室21よりのプラズマ中のイオン
がポテンシャル井戸の中に入り込むと、仮にイオンと衝
突するものが何も存在しないとするとイオンはポテンシ
ャル井戸中を往復運動つまりグリッド電極4A、4C間
で振動する。しかしながら成膜室22には成膜ガスが供
給されているのでイオンは中性粒子と衝突しながら運動
するため、ポテンシャル井戸が固定電位であれば減衰振
動となる。ところがこのポテンシャル井戸は電位分布曲
線が時間的に変動するためイオンが中性粒子と衝突して
も定常的に振動する成分が生ずる。成膜ガスは、成膜室
21内に導入されると、プラズマ室21から流入してき
たプラズマ中のイオン等の粒子と衝突することにより一
部がプラズマ化され、またECRによっても一部がプラ
ズマ化されるものと考えられる。従ってグリッド電極4
A〜4Cが置かれている領域では成膜ガスがプラズマ化
したものと未分解粒子とが混在しているものと推測され
る。
【0024】このようにイオンが上下に振動しながら成
膜ガスの分子あるいは活性種と衝突するために、衝突に
よって分解生成された成膜種(活性種)あるいは運動方
向の変えられた成膜種のウエハW表面に対する入射方向
が垂直に近いものになり、スルーホールなどの凹部の奥
まで入り込む成膜種の量が増え、この結果として成膜時
のステップカバレッジ(段差被覆性)が向上し、アスペ
クト比が大きな凹部においても良好な埋め込みを行うこ
とができる。
【0025】ここでグリッド電極4A〜4C間の距離、
電源52の周波数及び真空容器2内の圧力に関して検討
する。先ず電源52の周波数fとイオンの振動の振幅K
との関係についてみると、(1)式となる。 f=(1/23/2 )・(1/K)・(eV/M)1/2 …(1) ただし e:電子の電荷 即ち1.6×10
-19 (c)、V:ポテンシャル井戸の深さであり、この
例ではグリッド電極4Bの電位(V)、M:Ar原子の
原子量(約40)×1.67×10-27 (kg)であ
る。
【0026】(1)式の根拠について述べると、aをア
ルゴンイオンの半径、T0 をイオンの振動時の半周期に
要する時間(グリッド電極4Aから4Cに至るまでの時
間)、Eをグリッド電極4A〜4C間の電界とすると、
(2)式、(3)式が成り立つ。 K=(1/2)aT0 2 …(2) a=(e/M)E=(e/M)・(V/K) …(3) 周波数fは1/2T0 として表わされるので(2)、
(3)式より(1)式が導かれる。(1)式から電源5
2の周波数fとグリッド電極4A、4Bの電位差Vが決
まれば、イオンの振動の振幅Kが決まる。ところで振幅
Kがグリッド電極4A、4C間の距離よりも小さいと、
グリッド電極4A、4B間にイオンの加速や振動に寄与
しない電界領域が存在することになり、すなわち電位差
の1部分のみをイオンの加速に利用していることになり
効率が悪い。
【0027】また逆にグリッド電極4A、4C間の距離
が計算で求めた振幅Kよりも短く設定すると、これはイ
オンがまだ運動エネルギーの余力を持っているのに移動
方向が変えられてしまうのでイオンを成膜ガスに衝突さ
せる役割からすれば効率が悪い。従って計算で求めた振
幅Kとグリッド電極4A、4C間の距離とを一致させる
ことが好ましい。一例としてグリッド電極4A、4C間
の距離を5cm、つまりKを5cm、グリッド電極4
A、4B間の電位差を1KVとすると、電源52の周波
数はおよそ0.36MHzとなる。
【0028】次に真空容器2内の圧力の決め方について
検討すると、圧力は粒子の平均自由工程の関数であるた
め、この平均自由工程をどのような値に選定するかとい
うことにかかってくる。実際には平均自由工程とグリッ
ド電極4A、4C間との距離を実験によって絞り込むこ
とになるのであるが、およその目安として粒子の平均自
由工程をグリッド電極4A、4C間に設定したとする
と、この場合にはSi等の成膜種がグリッド電極4Aか
ら4Cに抜ける前にほぼ全てがArイオンと衝突すると
考えられる。
【0029】圧力と平均自由工程との関係式を導くと、
Ar、Si、Oの各原子半径が夫々1.9オングストロ
ーム、2.1オングストローム、1.4オングストロー
ム程度であるために、これを考慮してモデル的に例えば
半径2オングストロームの原子同士の衝突を考えた場合
において圧力をP、平均自由工程をLとすると、(4)
式が成り立つ。 P=0.5×10-3×1/L …(4) これは大気圧中のガス密度をn0 、真空中でのガス密度
をnとすると(5)、(6)式が成り立ち、Pが(7)
式で表されるからである。
【0030】 n0 =2.7×1025-3 …(5) n0 /n=L×n0 ×σ …(6) P=760×n/n0 …(7) ただしσ=π×2×2(オングストローム)2 である。
従ってL=5cmとすれば圧力はおよそ1mTorrと
なる。
【0031】更にグリッド電極4における消費電力Qと
プラズマの電離度αとグリッド電極4A、4B間の電位
差Vとの関係について検討してみると、(8)式が成り
立つ。 Q=a・α・1/L・(V)3/2 ・(2A)-1/2 …(8) これは以下の式から導かれる。Sをグリッド電極4の面
積とすると、(9)式が成り立つ。 Q=V・S・e・n・(v*) …(9) ただしv*は、電子が加速され終るまでの平均速度であ
る。nとv*とは夫々(10)、(11)式で表わされ
る。 n=αn0 =α・(1/L)・(1/σ) …(10) v*=1/2×(電子の最終速度)={e・v/(2A)}1/2 …(11) ただしMは既述のようにAr原子の原子量×1.67×
10-27 (kg)である。グリッド電極4の面積を例え
ば12インチであれば7×10-2mとすると、(1
0)、(11)式を(9)式に代入して(8)式が得ら
れる。
【0032】ところで本提案の実施条件において電離度
は電圧Vの平方根に反比例する。その理由は次の通りで
ある。
【0033】ここでは平均自由行程が両端の電極間距離
程度の場合を想定している。また中性粒子の速度はイオ
ンの速度に対して殆ど無視できるものと考える。実際
に、外部から引加された電界によって加速されるイオン
の速度に対して、中性粒子の速度は殆ど無視できる大き
さである。
【0034】また電離度は数%の場合を問題とする。従
ってイオンを中性粒子と比較してかなり速く移動させな
いと中性粒子がイオンと衝突しないまま排気されてしま
う。これでは中性粒子が基板に対して可能な限り垂直方
向に入射するという条件を達成できない。
【0035】ひとつのイオンが衝突すべき中性粒子の数
は電離度の逆数で表現できる。中性粒子が電極間を移動
する間にイオンは電極間距離とほぼ等しい平均自由行程
を電離度で割った距離だけ移動すれば目的の衝突回数は
達成されることになる。この条件は以下のように表現で
き、添字の1は中性粒子、2はイオンを示すものとす
る。 α=n1 /n2 1 =v2 ・n2 /n1 …(12) 従って(13)式が成立する。
【0036】α=n1 /n2 =v2 /v1 …(13) またエネルギー保存則より(14)式が成立するので、 α=V2 {m1 /(2eV)}1/2 …(14) この(14)式と(8)式とを組み合わせると消費電力
Qはα2 に反比例することになる。
【0037】次にイオン引込み用電極6(グリッド電極
6A〜6C)の役割について述べる。図5はグリッド電
極6A〜6Cの電位を示すもので、既述のようにグリッ
ド電極6Aはゼロ電位、グリッド電極6Cは−V3に固
定されているが、グリッド電極6Bは定期的につまり印
加されているパルスのデューティ比に応じて0Vから−
V3まで降下する。図6は、グリッド電極6A〜6Cに
亘る電位分布曲線を模式的に描いたものであり、図6
(a)はグリッド電極6Bがゼロ電位のときの状態、図
6(b)はグリッド電極6Bが−V3のときの状態であ
る。
【0038】プラズマ室21で発生したプラズマ中のイ
オンは、両極性拡散により電子やラジカルなどと共に電
界のない平坦な電位分布の位置を移動して図6(a)の
状態にあるグリッド電極6Bに到達する。そしてこのイ
オンはグリッド電極6B、6C間の電界によって、この
空間(6B、6C間)に引き出されようとする。しかし
一方において、今移動してきた空間(図6中6Bの左方
側の空間)に存在する電子は、イオンを当該空間に押し
戻そうとし、このためイオンは両側から引力を受け、隣
の電極6B、6C間の空間に引き出されにくいと考えら
れる。
【0039】そこで図6(b)に示すように電極6A、
6B間に電界を発生させることにより、今まで電極6
A、6B間に分布して6Bによって拡散を止められてい
たイオンが電極6B側に一気に引き寄せられる。その後
図6(a)の状態に戻っても、図6中電極6Bよりも右
側のイオンは、電極6A側に戻ることがなく、逆にイオ
ン振動用電極4側に移動する。
【0040】このようにグリッド電極6A〜6Cはプラ
ズマ室21中のプラズマから成膜室22内にイオンを効
率よく引き出す役割を果たす。一方プラズマ室21内の
電子については成膜室22内に拡散しにくくなり、プラ
ズマ室における電子密度が高く、電離度が大きくなる。
この結果イオン振動用電極4におけるバイアス電力を大
きくせずに済む。なおイオン引き込み用電極6のグリッ
ド電極6Aを」ゼロ電位とするのは、真空容器2の電位
と同じにして、成膜室22の入口付近の電界の乱れを抑
えるためである。
【0041】以上においてイオン振動用電極4は3枚の
グリッド電極に限られず、4枚以上のグリッド電極によ
り構成してもよい。図7は4枚のグリッド電極4A〜4
D(図1でいえば4A〜4Dの順に上から並ぶことにな
る)によるポテンシャル井戸を(a)の状態と(b)の
状態との間で変化させる様子を示す図である。
【0042】また本発明はプラズマを成膜室に流入させ
て成膜ガスをプラズマ化する装置に適用することがで
き、ECRを利用した装置に限られるものではない。更
にまた本発明はSiO2 膜に限られずSiOF膜などを
成膜する場合にも適用できる。
【0043】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、載置台上
の被処理体に対して平行に3枚以上のグリッド電極を互
いに間隙をおいて重ね、これらグリッド電極の間に井戸
型の電位分布を形成してこれを時間的に変化させている
ため、成膜ガスの活性種について、被処理体に対する入
射方向の垂直性が良くなり、この結果凹部の埋め込み特
性が良好になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明をECRプラズマ成膜装置に適用した実
施の形態の全体構成を示す縦断側面図である。
【図2】上記実施の形態の要部を示す縦断側面図であ
る。
【図3】イオン振動用電極の印加電圧の波形を示す波形
図である。
【図4】イオン振動用電極により形成される電位分布曲
線の時間的変化を模式的に示した説明図である。
【図5】イオン引き込み用電極の印加電圧の波形を示す
波形図である。
【図6】イオン引込み用電極により形成される電位分布
曲線の時間的変化を模式的に示した説明図である。
【図7】イオン振動用電極により形成される電位分布曲
線の時間的変化の他の例を示す説明図である。
【図8】従来のECRプラズマ成膜装置を示す略解図で
ある。
【図9】従来のECRプラズマ成膜装置により凹部を埋
め込む様子を示す説明図である。
【符号の説明】
2 真空容器 21 プラズマ室 22 成膜室 25 導波管 27、28 電磁コイル 3 載置台 4 イオン振動用電極 4A〜4C グリッド電極 6 イオン引き込み用電極 6A〜6C グリッド電極

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラズマを成膜室内に導入し、そのプラ
    ズマにより成膜ガスをプラズマ化して成膜ガスの活性種
    を形成し、載置台上の被処理体の表面に成膜を行なう装
    置において、 前記載置台上の被処理体と対向する位置にて、イオン振
    動用電極をなす3個以上のグリッド電極を前記被処理体
    に対して平行に互いに間隔をあけて重ねて配置し、 前記プラズマ中のイオンをグリッド電極間に閉じ込めて
    振動させるために、前記グリッド電極のうち両端に位置
    するグリッド電極の電位よりも、両端以外のグリッド電
    極の電位が低い状態で、一端側のグリッド電極から他端
    側のグリッド電極に至るまでの電位分布を時間的に変化
    させるように各グリッド電極の電位を制御することを特
    徴とするプラズマ成膜装置。
  2. 【請求項2】 プラズマ生成用ガスを電子サイクロトロ
    ン共鳴によりプラズマ生成室内でプラズマ化し、そのプ
    ラズマにより成膜室内で成膜ガスをプラズマ化して成膜
    ガスの活性種を形成し、載置台上の被処理体の表面に成
    膜を行なう装置において、 前記載置台上の被処理体と対向する位置にて、3個以上
    のグリッド電極を前記被処理体に対して平行に互いに間
    隔をあけて重ねて配置し、 前記プラズマ中のイオンをグリッド電極間に閉じ込めて
    振動させるために、前記グリッド電極のうち両端に位置
    するグリッド電極の電位よりも、両端以外のグリッド電
    極の電位が低い状態で、一端側のグリッド電極から他端
    側のグリッド電極に至るまでの電位分布を時間的に変化
    させるように各グリッド電極の電位を制御することを特
    徴とするプラズマ成膜装置。
  3. 【請求項3】 成膜室におけるプラズマ導入口とイオン
    振動用電極との間にイオン引き込み用電極を設けたこと
    を特徴とする請求項1または2記載のプラズマ成膜装
    置。
  4. 【請求項4】イオン引き込み用電極は、第1、第2、第
    3のグリッド電極を前記被処理体に対して平行に互いに
    間隔をあけて前記プラズマ導入口側から重ねて配置した
    ものからなり、 第1のグリッド電極よりも第3のグリッド電極の電位が
    低い状態で、第1のグリッド電極と第2のグリッド電極
    との電位が揃っている状態と第1のグリッド電極の電位
    よりも第2のグリッド電極の電位の方が低い状態とを交
    互にとるように各グリッド電極の電位を制御することを
    特徴とする請求項3記載のプラズマ成膜装置。
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