JPH1022705A - 誘電体線路 - Google Patents

誘電体線路

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JPH1022705A
JPH1022705A JP8171349A JP17134996A JPH1022705A JP H1022705 A JPH1022705 A JP H1022705A JP 8171349 A JP8171349 A JP 8171349A JP 17134996 A JP17134996 A JP 17134996A JP H1022705 A JPH1022705 A JP H1022705A
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篤 斉藤
Hiroshi Nishida
浩 西田
Sadao Yamashita
貞夫 山下
Toru Tanizaki
透 谷崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 例えば構造の差異に起因して異なった線路イ
ンピーダンスを有する誘電体線路同士を接続する場合
や、誘電体線路と導電体線路間の整合を容易にとれるよ
うにする。 【解決手段】 平行な2つの導電体板の間に誘電体板3
を介在させて誘電体ストリップ4a,4bを配設して成
る誘電体線路と、誘電体ストリップ4のみを配設して成
る誘電体線路との接続部において、誘電体板3に開口部
5を形成して、その部分をインピーダンス整合部とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は誘電体線路に関
し、より特定的にはミリ波帯やマイクロ波帯で用いられ
る誘電体線路内に部分的に電気特性の異なる部分を有す
る誘電体線路に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の誘電体線路の例を図21に示す。
誘電体線路の基本構成は、図21の(A)に示すよう
に、略平行な2つの導電体平面を成す導電体板1,2の
間に誘電体ストリップ4を配設してなり、殆ど誘電体ス
トリップ4の領域で電磁波を伝搬させ、誘電体ストリッ
プ4の無い領域で電磁波を遮断することによって放射を
抑えている。図21の(B)に示す誘電体線路では、導
電体板1,2の間に2つの誘電体ストリップ4a,4b
を設けるとともに、この2つの誘電体ストリップ4a,
4bで誘電体板3を挟むように誘電体板3を配置してい
る。このような構造によれば、誘電体板3に各種の導電
体パターンや抵抗体パターンを設けることによって誘電
体線路と導電体線路との伝搬モードの変換を行ったり、
誘電体線路を用いた集積回路を容易に構成することがで
きる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、図21の
(B)に示したように、電磁波の伝搬する誘電体ストリ
ップ部分に誘電体板を設けた構造では、一般に誘電体板
の無い場合に比較して伝送損失が大きいという問題があ
る。そこで、導電体パターンや抵抗体パターンを必要と
する部分や部品を実装する必要のある部分にのみ誘電体
板3を設け、その他の部分には図21の(A)に示した
ように単純な誘電体ストリップで誘電体線路を構成すれ
ばよい。しかしながら、誘電体板3を設けた誘電体線路
と、誘電体板を設けない誘電体線路とを直接接続する
と、通常互いの線路のインピーダンスが異なるため整合
がとれないという問題が生じる。
【0004】また、誘電体線路を用いた集積回路全体を
図21の(B)に示したように、誘電体板を介在させた
構造とする場合であっても、誘電体ストリップ4a,4
bおよび導電体板1,2による誘電体線路と、誘電体板
3に設けた導電体線路との線路のインピーダンスが通常
大きく異なるため、線路間の整合がとれないという問題
が生じる。
【0005】この発明の目的は、例えば構造の差異に起
因して異なった線路インピーダンスを有する誘電体線路
同士を接続する場合の整合を容易にとれるようにした誘
電体線路を提供することにある。
【0006】この発明の他の目的は、インピーダンスの
異なる線路部分での反射を抑えて伝送損失を低減させた
誘電体線路を提供することにある。
【0007】また、従来の誘電体線路においては、伝搬
する電磁波の或る2点間の位相差を所定値にする場合
や、2つの誘電体ストリップを伝搬する電磁波に所定の
位相差をもたせる場合などの位相制御は、専ら誘電体ス
トリップの長さによって定めていた。しかし、このよう
に誘電体ストリップの引回しパターンによって位相制御
を行う方法では、設計上の自由度が低く、また位相制御
のための占有面積が一般に大きくなってしまう問題があ
った。
【0008】この発明の他の目的は、位相制御のための
誘電体ストリップのパターン設計を容易にするととも
に、全体に容易に小型化できるようにした誘電体線路を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、略平行な2
つの導電体平面の間に、誘電体板とともに誘電体ストリ
ップを配設して成り、インピーダンスの異なる線路部分
を有する誘電体線路において、そのインピーダンスの異
なる線路部分の整合をとるため、請求項1に記載のとお
り、インピーダンスの異なる線路の境界部分で誘電体板
を該誘電体板自体の誘電率とは異なる誘電率とし、この
部分の線路のインピーダンスを他の線路部分とは異なら
せて整合部を形成する。この構造によりインピーダンス
の異なる線路の接続部での反射が抑えられて、伝送損失
が低減される。
【0010】上記整合部の線路のインピーダンスをZ
m、整合部を挟む前後の線路のインピーダンスをZa,
Zbとしたとき、請求項2に記載のとおり、Zm=√
(Za・Zb)となるように整合部の誘電率を定めると
ともに、整合部の長さを管内波長の4分の1にする。こ
れにより整合部での反射が最適に抑えられて、伝送損失
が効率良く低減される。
【0011】また、請求項3に記載のとおり、整合部の
線路のインピーダンスがZaからZbへ連続的に変化す
るように整合部の誘電率を連続的に変化させる。これに
より整合部での反射が抑えられるとともに、整合のとれ
る周波数帯域が広くなる。
【0012】またこの発明は、略平行な2つの導電体平
面の間に、誘電体板とともに誘電体ストリップを配設し
て成り、前記誘電体板に形成されている導電体によって
インピーダンスの異なる線路部分を有する誘電体線路に
おいて、そのインピーダンスの異なる線路部分の整合を
とるため、請求項4に記載のとおり、前記導電体に対し
て所定距離離れた前記誘電体板の一部を該誘電体板自体
の誘電率とは異なる誘電率とし、この部分の線路のイン
ピーダンスを他の線路部分とは異ならせて整合部を形成
する。これによりインピーダンスの異なる線路部分での
反射が抑えられて、伝送損失が低減される。
【0013】また、この発明は、略平行な2つの導電体
平面の間に、誘電体板とともに誘電体ストリップを配設
して成る誘電体線路において、線路を伝搬する電磁波の
位相を制御するため、請求項5に記載のとおり、誘電体
板の一部を該誘電体板自体の誘電率とは異なる誘電率と
して、この部分の誘電率および寸法で、線路を伝搬する
電磁波の位相を制御する位相制御部を構成する。これに
より、一定長の誘電体線路であっても、位相制御部を通
過する電磁波の位相を任意に制御できるようになり、誘
電体ストリップの配置パターンの設計上の自由度が増
し、誘電体線路回路全体の小型化も容易となる。
【0014】上記整合部または位相制御部の誘電率は、
請求項6に記載のとおり、誘電体板の一部を開口または
除去することにより定める。また、請求項7に記載のと
おり、誘電体板の誘電率と異なる誘電率を有する誘電体
を貼付したり塗布するなどして付与することによって定
める。
【0015】
【発明の実施の形態】この発明の第1の実施形態に係る
誘電体線路の構成を図1〜図3を参照して説明する。
【0016】図1はこの発明の請求項1および6に係る
整合部の構造を示す斜視図である。(A)において1,
2は平行な2つの導電体平面を成すアルミニウムからな
る導電体板であり、この2つの導電体板1,2の間に誘
電体ストリップ4a,4bおよび誘電体板3を挟むよう
に構成している。同図の(B)は(A)に示す状態から
上部の導電体板2および誘電体ストリップ4bを取り除
いた状態を示す。誘電体板3には、誘電体ストリップ4
a,4bで挟まれる部分に開口部5を形成している。
【0017】図2は図1の(A)に示した誘電体線路の
断面図である。図1および図2において、誘電体ストリ
ップ4a,4bの比誘電率を2.04、誘電体板3の比
誘電率を3.5とし、D=1.05mm、d=0.5m
m、t=0.1mm、Wo=1.8mmとして、開口部
の幅W1を変化させた時の開口部部分の線路のインピー
ダンスは図3の実線で示すようになる。このように開口
部の幅W1を広くする程、その部分の線路のインピーダ
ンスは高くなる。この例では、約560〜680Ωの範
囲で整合部のインピーダンスを設定することができる。
尚、上記開口部に合わせて誘電体ストリップに突出部を
形成するか、開口部に別の誘電体を充填して、開口部内
の比誘電率を誘電体ストリップの比誘電率を同じ値
(2.04)とすると、開口部の幅W1を変化させた時
の開口部部分の線路のインピーダンスは図3の一点鎖線
で示すようになる。
【0018】図4は第2の実施形態に係る誘電体線路の
部分斜視図である。外観構造は図1の(A)に示したも
のと同様であり、図4の(A)は上部の導電体板1およ
び誘電体ストリップ4bを取り除いた状態を示す。この
例では、誘電体板3に、誘電体ストリップ4a,4bで
挟まれる部分に2列の開口部5,5を形成している。こ
こで開口部5,5の形成範囲を誘電体ストリップの幅に
一致させて、その他の部材の材料および寸法を図1およ
び図2に示したものと同じものとすると、開口部5,5
間の幅W2を変化させたときの開口部形成部の線路のイ
ンピーダンスは(B)に示すようになる。このように開
口部間の幅W2を広くする程、その部分の線路のインピ
ーダンスは低くなる。この例では、約690〜580Ω
の範囲で整合部のインピーダンスを設定することができ
る。
【0019】図5は第3の実施形態に係る誘電体線路の
構造を示す図であり、外観構造は図1の(A)に示した
ものと同様であり、図5の(A)は上部の導電体板1お
よび誘電体ストリップ4bを取り除いた状態での部分斜
視図、(B)は断面図である。この例では、誘電体スト
リップ4a,4bに接する誘電体板3の表裏面に誘電体
6をそれぞれ貼付している。ここで誘電体6の厚みを
0.1mmとし、その他の部材の材料および寸法を図1
および図2に示したものと同じものとし、誘電体6の比
誘電率を7または10として、その幅W3を変化させた
ときの誘電体貼付部分の線路のインピーダンスは図6に
示すようになる。このように開口部の幅W3を広くする
程、その部分の線路のインピーダンスは低くなり、誘電
体6の比誘電率が7の場合、約600〜360Ωの範囲
で整合部のインピーダンスを設定することができ、誘電
体6の比誘電率が10の場合、約600〜260Ωの範
囲で整合部のインピーダンスを設定することができる。
【0020】第1の実施形態で示した整合部を用いて、
導電体板の間に誘電体板を設けた誘電体線路と誘電体板
を設けない誘電体線路とからなる2種類の誘電体線路を
整合させる構成を第4の実施形態として、図7〜図11
を参照して次に説明する。
【0021】図7は2種類の誘電体線路の接続部の構成
を示す分解斜視図である。図7においては上部の導電体
板を省略しているが、上部の導電体板と下部の導電体板
1との間に誘電体ストリップ4a,4bおよび誘電体板
3を挟み込むようにして、図中Aで示す部分を第1の誘
電体線路として構成している。また、誘電体板3に開口
部5を設けて、図中Mで示す部分を整合部としている。
さらに上部の導電体板と下部の導電体板1との間に誘電
体ストリップ4を配して、図中Bで示す部分を第2の誘
電体線路として構成している。図8は図7に示した誘電
体線路の等価回路図であり、Za,Zm,Zbは図7に
示したA,M,Bの各部の線路のインピーダンスに相当
する。このうち整合部のインピーダンスZmの長さ(図
7に示すh)は、管内波長をλgとすれば、λg/4に
相当する長さとしている。また、整合部のインピーダン
スZmはZm=√(Za・Zb)となる関係としてい
る。これによって誘電体線路AとBとのインピーダンス
整合をとり、伝送損失を低減する。例えば、Za=55
0Ω、Zb=650Ωであれば、Zm≒600Ωとな
り、図3に示したグラフから開口部5の幅W1を0.5
mmに選ぶ。また、60GHz帯の電磁波を伝送する場
合、整合部の管内波長は約8mmとなることから、開口
部5の長さhを2mmとする。尚、管内波長λgはλg
=2π/βの関係で求め、位相定数βは整合部の各部の
寸法と各部の比誘電率から算出する。
【0022】図9は図7に示した整合部の特性を3次元
の有限要素法によって計算した結果である。上述したよ
うに開口部5の寸法を設計することによって、所定の周
波数(60GHz)における反射を充分抑えることがで
きる。
【0023】図10は図7に示した開口部5の有る場合
と無い場合とについて、実際に測定した結果である。図
10の(A),(B)が開口部の有る場合、(C),
(D)が開口部の無い場合である。このように開口部に
よる整合部を設けたことによって、反射が抑えられ、通
過特性もフラットになる。
【0024】尚、図7に示した例では、誘電体板3を導
電体板1,2の中間位置に挿入するようにしたが、必ず
しも中間位置になくてもよい。また、図7に示した例で
は、開口部5の中心軸を誘電体ストリップ4a,4bの
中心軸に一致させたが、所望のインピーダンスが得られ
れば、中心からずれていてもよい。さらに、誘電体スト
リップおよび誘電体板の比誘電率は上述したものに限ら
ず、同一構造の誘電体ストリップの場合、誘電体板また
は誘電体ストリップの比誘電率が高い程、線路のインピ
ーダンスが低くなり、逆に誘電体板または誘電体ストリ
ップの比誘電率が低い程、線路のインピーダンスが高く
なるので、所望のインピーダンスに応じて誘電体板また
は誘電体ストリップの比誘電率を選定すればよい。ま
た、導電体板1,2についてもアルミニウムに限らず、
銅などの他の金属板や、ある種の金属板に銀メッキなど
を施したもの、さらには樹脂やセラミクスなどに銀など
をメッキ、塗布あるいは焼成したものを用いてもよい。
【0025】図7に示した例では、異種線路の組合せと
して、上下の導電体板間に誘電体板を介在させた誘電体
線路と誘電体板を介在させない誘電体線路との組合せを
示したが、例えば図11に示すような各種の誘電体線路
を組み合わせる場合の接続部においても同様に適用する
ことができる。図11において(A),(D)に示す誘
電体線路と(B)に示す誘電体線路とは、誘電体板3の
比誘電率が異なり、(A),(B),(C)に示す誘電
体線路と(D)に示す誘電体線路とは、誘電体ストリッ
プ4a,4bの比誘電率が異なる。
【0026】図12は第5の実施形態に係る誘電体線路
の接続部の構造を示す平面図である。これは第2の実施
形態で示した整合部を変形して、導電体板の間に誘電体
板を設けた誘電体線路と誘電体板を設けない誘電体線路
とからなる2種類の誘電体線路を整合させる構成であ
る。(A)に示す例では、誘電体板3の一部に、誘電体
ストリップ4aに接する部分に幅W2長さhの突出部7
を設けて、その部分を整合部としている。整合部のイン
ピーダンスは幅W2により定める。整合部の長さhは整
合部における管内波長の4分の1となるように定める。
また同図の(B)では、誘電体板3に突出部7を設ける
とともに、突出部7の両側部に誘電体6を塗布または貼
付する。整合部のインピーダンスは突出部7の幅W2お
よび誘電体6の比誘電率によって所望の値となるように
する。
【0027】次に、第6の実施形態である誘電体線路の
整合部の構成を図13〜図15を参照して説明する。
【0028】図13は2種類の誘電体線路の接続部の構
成を示す分解斜視図であり、図7に比較して明らかなよ
うに、誘電体板3にテーパー状の開口部5を形成してい
る。このようにテーパー状の開口部5を形成したことに
より、整合部Mにおける線路のインピーダンスは線路A
のインピーダンスから線路Bのインピーダンスへ徐々に
連続的に変化するようになる。
【0029】図14は2種類の誘電体線路の接続部の他
の構成を示す平面図であり、(A)に示す例では、誘電
体ストリップ4aの比誘電率と、誘電体板3の比誘電率
および開口部に生じる空隙を考慮して、開口部5の最大
幅W1を誘電体ストリップ4の幅より小さくしている。
また(B)に示す例では、誘電体板3に小刀状の開口部
(切り込み)5を形成している。さらに(C)に示す例
では、誘電体板3の端面を傾斜させて、誘電体ストリッ
プ4および誘電体板3の上下に接する誘電体板(4a,
4b)の接続部も傾斜させている。
【0030】図15は、図14の(C)における誘電体
板3の傾斜角θを変えた時の、3次元有限要素法により
求めた反射特性を示す。図9に示した結果と比較して明
らかなように、θを例えば45°以下にして、整合部の
線路のインピーダンスを滑らかに変化させることによ
り、S11の絶対値が20dB以上となる周波数帯域が
広くなり、広い周波数帯域で整合がとれるようになる。
【0031】尚、図13および図14(A),(B)に
示した例では、誘電体板3にV字型の切り込みを入れる
ことによって開口部を形成したが、逆に、山形やΛ型の
突出部を設けて、その部分で整合部の線路のインピーダ
ンスを連続的に変化させるようにしてもよい。
【0032】次に、第7の実施形態に係る誘電体線路の
整合部の構成を図16に示す。同図においては、誘電体
板3上部の誘電体ストリップおよび導電体板を取り除い
た状態を示している。誘電体板3には誘電体ストリップ
を伝搬する電磁波と結合する導電体線路8を誘電体板3
を挟む上下の誘電体ストリップ(4a,4b)に直交す
る方向に配置している。この導電体線路8と上下の導電
体板とによってサスペデッドラインを構成している。こ
の構成により、LSM01モードの電磁波と導電体線路
8とが磁界結合する。また、誘電体板3には所定位置に
開口部5を形成している。このように誘電体板3に導電
体線路8を設けたことにより、その部分での誘電体線路
のインピーダンスが他の部分とは異なった値となり、ま
た開口部5によっても、その部分の誘電体線路のインピ
ーダンスが他の部分とは異なった値となる。従って誘電
体線路を伝搬する電磁波は、このようなインピーダンス
不整合部分でそれぞれ反射するが、開口部5の幅、長
さ、導電体線路8と開口部5の間隔をそれぞれ設定する
ことによって、両反射波の位相を略逆相にして両反射波
を互いに打ち消す。これにより、導電体線路を設けたこ
とによるインピーダンス不整合を無くす。
【0033】次に、第8の実施形態に係る誘電体線路の
位相制御部の構成を図17〜図19を基に説明する。
【0034】位相制御部の第1の構成は図1および図2
に示したものと同様である。すなわち両図に示したよう
に、2つの導電体板1,2の間に誘電体ストリップ4
a,4bおよび誘電体板3を挟むように配置し、誘電体
板の誘電体ストリップ4a,4bで挟まれる部分に開口
部5を形成する。また、図2に示したように、誘電体ス
トリップ4a,4bの比誘電率を2.04、誘電体板3
の比誘電率を3.5とし、D=1.05mm、d=0.
5mm、t=0.1mm、Wo=1.8mmとして、開
口部の幅W1を変化させた時、開口部部分の線路の位相
定数は図17の実線で示すようになる。このように開口
部の幅W1を広くする程、その部分の線路の位相定数は
小さくなる。この例では、約810〜690rad/m
の範囲で開口部の位相定数を設定することができる。
尚、上記開口部に合わせて誘電体ストリップに突出部を
形成するか、開口部に別の誘電体を充填して、開口部内
の比誘電率を誘電体ストリップの比誘電率を同じ値
(2.04)とすると、開口部の幅W1を変化させた時
の開口部部分の線路のインピーダンスは図17の一点鎖
線で示すようになる。
【0035】位相制御部の第2の構成は図5に示したも
のと同様である。すなわち誘電体ストリップ4a,4b
に接する誘電体板3の表裏面に誘電体6をそれぞれ貼付
する。ここで誘電体6の厚みを0.1mmとし、その他
の部材の材料および寸法を図1および図2に示したもの
と同じものとし、誘電体6の比誘電率を7または10と
して、その幅W3を変化させたときの誘電体貼付部分の
線路の位相定数は図18に示すようになる。このように
開口部の幅W3を広くする程、その部分の線路の位相定
数は大きくなり、誘電体6の比誘電率が7の場合、約7
90〜1200rad/mの範囲で位相制御部の位相定
数を設定することができ、誘電体6の比誘電率が10の
場合、約790〜1400rad/mの範囲で位相制御
部の位相定数を設定することができる。
【0036】図19は上記位相制御部を移相器として用
いた誘電体線路回路の例を示す図であり、上部の導電体
板を取り除いた状態を表している。誘電体板3の上面に
は誘電体ストリップ4b,9bを設けていて、誘電体板
3の下面には上面の誘電体ストリップ4b,9bと同一
パターンの誘電体ストリップを設けて、上下の誘電体ス
トリップで誘電体板3を挟み込むように配置している。
誘電体板3には、誘電体ストリップ4bとその下部の誘
電体ストリップで挟まれる部分に開口部5を設けてい
て、その部分で位相制御を行うようにしている。同図に
おいて10は垂直1次放射器であり、HE111モード
の誘電体共振器11と、これに対して互いに直交する向
きに誘電体ストリップ4,9を設けている。4b,9b
等で示す誘電体板3上下の誘電体ストリップの端部は垂
直1次放射器の誘電体ストリップ4,9に対向させてい
る。この構成により、開口部5による位相制御部の移相
量を設定することによって、誘電体ストリップ4,9に
入力する電磁波の位相差を所定値にすることができる。
従って誘電体板上の誘電体ストリップの長さを一定とし
たまま上記移相量を所定値に定めることによって、直線
偏波、楕円偏波、円偏波のいずれかで電磁波の放射を行
うことも可能となる。
【0037】上述した各実施形態では、導電体板に溝を
形成して、誘電体ストリップを嵌め込んだ、いわゆるグ
ルーブドタイプの非放射性誘電体線路について示した
が、例えば図20の(A)に示すように、誘電体ストリ
ップ4a,4bの上下面が導電体板1,2の内面と同一
平面を成すノーマルタイプにおいても、また(B)に示
すように、ウイング(つば)を有する誘電体ストリップ
4a,4bを用いたいわゆるウイングドタイプにおいて
も同様に適用できる。さらに、導電体板1,2の間に低
誘電率の誘電体層を介して誘電体ストリップを設ける、
いわゆるインシュレーティッドタイプの誘電体線路にも
同様に適用できる。
【0038】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、インピ
ーダンスの異なる線路の接続部での反射が抑えられて、
伝送損失が低減される。
【0039】請求項2に記載の発明によれば、整合部で
の反射が最適に抑えられて、伝送損失が効率良く低減さ
れる。
【0040】請求項3に記載の発明によれば、整合部で
の反射が抑えられるとともに、整合のとれる周波数帯域
が広くなる。
【0041】請求項4に記載の発明によれば、インピー
ダンスの異なる線路部分での反射が抑えられて、伝送損
失が低減される。
【0042】請求項5に記載の発明によれば、誘電体ス
トリップの長さを変えることなく、誘電体線路を伝搬す
る電磁波の位相を制御することができるため、誘電体ス
トリップの配置パターンの設計上の自由度が増し、誘電
体線路回路全体の小型化も容易となる。
【0043】請求項6に記載の発明によれば、誘電体板
の加工のみによって、整合部および位相制御部の誘電率
を容易に定めることができる。
【0044】さらに、請求項7に記載の発明によれば、
整合部および位相制御部の誘電率を容易に広範囲にわた
って定めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る誘電体線路の構成を示す
斜視図である。
【図2】図1に示す誘電体線路の断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る誘電体線路の整合部の特
性を示す図である。
【図4】第2の実施形態に係る誘電体線路の整合部の構
成を示す斜視図およびその特性を示す図である。
【図5】第3の実施形態に係る誘電体線路の整合部の構
成を示す斜視図および断面図である。
【図6】第3の実施形態に係る誘電体線路の整合部の特
性を示す図である。
【図7】第4の実施形態に係る異種誘電体線路の接続部
の構造を示す分解斜視図である。
【図8】同接続部の等価回路図である。
【図9】図7に示す整合部のシミュレーションによる特
性図である。
【図10】図7に示す整合部の測定による特性図であ
る。
【図11】他の異種線路の例を示す図である。
【図12】第5の実施形態に係る誘電体線路の整合部の
構成を示す平面図である。
【図13】第6の実施形態に係る異種線路の接続部の構
造を示す分解斜視図である。
【図14】整合部の他の構成を示す平面図である。
【図15】図14の(C)のシミュレーションによる特
性図である。
【図16】第7の実施形態に係る誘電体線路の平面図で
ある。
【図17】第8の実施形態に係る誘電体線路の位相制御
部の特性を示す図である。
【図18】第8の実施形態に係る他の誘電体線路の位相
制御部の特性を示す図である。
【図19】第8の実施形態に係る誘電体線路回路の構造
を示す図である。
【図20】他の誘電体線路の構成を示す断面図である。
【図21】従来の誘電体線路の構成を示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
1,2−導電体板 3−誘電体板 4,4a,4b−誘電体ストリップ 5−開口部 6−誘電体 7−突出部 8−導電体線路 9,9b−誘電体ストリップ 10−垂直1次放射器 11−誘電体共振器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷崎 透 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 略平行な2つの導電体平面の間に、誘電
    体板とともに誘電体ストリップを配設して成り、インピ
    ーダンスの異なる少なくとも2つの線路部分を有する誘
    電体線路であって、 前記誘電体板の前記インピーダンスの異なる線路の境界
    部分を該誘電体板自体の誘電率とは異なる誘電率とし、
    この部分の線路のインピーダンスを他の線路部分とは異
    ならせて整合部を形成したことを特徴とする誘電体線
    路。
  2. 【請求項2】 前記整合部の線路のインピーダンスをZ
    m、前記整合部を挟む前後の線路のインピーダンスをZ
    a,Zbとしたとき、Zm=√(Za・Zb)となるよ
    うに前記整合部の誘電率を定めるとともに、この整合部
    の長さを管内波長の4分の1にしたことを特徴とする請
    求項1に記載の誘電体線路。
  3. 【請求項3】 前記整合部を挟む前後の誘電体線路のイ
    ンピーダンスをZa,Zbとしたとき、前記整合部の線
    路のインピーダンスがZaからZbへ連続的に変化する
    ように該整合部の誘電率を連続的に変化させたこと特徴
    とする請求項1に記載の誘電体線路。
  4. 【請求項4】 略平行な2つの導電体平面の間に、誘電
    体板とともに誘電体ストリップを配設して成り、前記誘
    電体板に形成されている導電体によってインピーダンス
    の異なる線路部分を有する誘電体線路であって、 前記導電体に対して所定距離離れた前記誘電体板の一部
    を該誘電体板自体の誘電率とは異なる誘電率とし、この
    部分の線路のインピーダンスを他の線路部分とは異なら
    せて整合部を形成したことを特徴とする誘電体線路。
  5. 【請求項5】 略平行な2つの導電体平面の間に、誘電
    体板とともに誘電体ストリップを配設して成る誘電体線
    路であって、 前記誘電体板の一部を該誘電体板自体の誘電率とは異な
    る誘電率として、この部分の誘電率および寸法で、線路
    を伝搬する電磁波の位相を制御する位相制御部を構成し
    たことを特徴とする誘電体線路。
  6. 【請求項6】 前記誘電体板の一部を開口または除去す
    ることにより、前記整合部または前記位相制御部の誘電
    率を定めたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1
    項に記載の誘電体線路。
  7. 【請求項7】 前記誘電体板の一部に該誘電体板の誘電
    率とは異なる誘電率を有する誘電体を付与することによ
    り、前記整合部または前記位相制御部の誘電率を定めた
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の
    誘電体線路。
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